《1期》
5話におけるバーテックスとの戦闘で満開を起動した後に散華の影響で左目の視覚を失った。
その後東郷からの話で勇者システムの正体を知るものの、暫くは半信半疑だった。が、いつまでも声が戻らない樹を見続けたことで疑念が増していく。
更に東郷の体を張った実験により、「自ら命を絶とうとしても精霊が介入し、勇者を絶対に死なせない」という結果を聞いた事で「
乃木園子が齎した情報が真実である」という結論が導き出され、疑念は確信に変わってしまった。
知らなかった…知らなかったの…。人を守るため、身体を捧げて戦う。それが勇者…!?
自身の勇者としての使命に巻き込んだが故に樹の夢を奪ってしまった形になったこと。樹の夢を奪った散華の真実を秘匿し続ける大赦。
様々な事が積み重なり、大赦に対する怒りや自分に対しての絶望が募っていく。
そしてその日の夕方、樹が声を取り戻すために奮闘している事、声が戻ったらやりたい事などが書かれたノートを見つける。
さらに樹がオーディションに出した音声ファイルの内容を聞いた事で悲しみの感情が爆発。
『私には大好きなお姉ちゃんが居ます。お姉ちゃんは強くてしっかり者で、いつも皆の前に立って歩いていける人です。
反対に私は臆病で弱くて、いつもお姉ちゃんの後ろを歩いてばかりでした。 でも本当は私、お姉ちゃんの隣を歩いていけるようになりたかった。
だから、お姉ちゃんの後ろを歩くんじゃなくて、自分の力で歩くために、私自身の夢を、私自身の生き方を持ちたい。
二度と戻らない樹の声。絶たれてしまった夢。自分の使命に巻き込んでしまったせいで…
怒りと悲しみで心の均衡が保てなくなった風は―――大赦を潰さんと暴走を始めた。
大赦から「勇者四人が不安定な状態。有事の際は貴女が止めなさい」と指令を受けていた夏凜と斬り結びながら、絶望の心の内を吐き出していく。
友奈達から聞かされた満開と散華の真実。散華の犠牲になった勇者・乃木園子の存在。そして今度は自分達がその生贄に選ばれてしまった…。
その事実は、樹の夢や他の部員たちの未来を奪ってしまったに等しく、部長という立場の風の心に痛撃を与えるには十分過ぎたのである。
なんで樹が声を失わないといけない!夢を諦めないといけない!!
あわや夏凜を切り伏せようとするが、間一髪間に合った友奈が割って入る。
それでも「自分のせいで樹や部員たちの未来を奪ってしまった」「勇者部なんて作らなければ」と絶望のままに荒れ狂うが、友奈は自身の満開ゲージが貯まるのも厭わず、風の攻撃を捌き続けた。
友奈の満開ゲージが貯まってしまった事を目の当たりにしたことで正気に返り、更に全てを受け入れた樹に抱擁され「勇者部が無ければ、自分は歌うという夢を持てていなかった」と諭された事で己を取り戻し、涙ながらに樹達に詫びた。
その後暫くは戦意を喪失し、
メンタルが非常に不安定になってしまったものの、友奈の言葉や孤軍奮闘する樹の姿に奮起し戦線へ復帰。
樹…。隣どころか…いつの間にか前に立ってるじゃない…。
姉として妹に頼りきってるわけにはいかないわ。もう大丈夫よ、樹。
さあ、犬吠埼姉妹の女子力、見せつけてやるわ!行くわよ、樹!
その後は東郷を止めようと試みるも満開され失敗。しかし友奈が東郷を絶望から救い出したことで状況が好転。
神樹に近づくレオ・バーテックスを食い止めんと、勇者部全員の力を以てして戦い抜き、これを阻止した。
決戦後、失われた身体機能を取り戻し、同じく発声機能を取り戻した樹を抱擁した。
《勇者の章》
讃州中学に転入した乃木園子を新入部員として勇者部に迎え入れた。同時に園子から女子力ネタで弄られながら受験勉強をしている。
友奈たちと同様、東郷に関する記憶を失っており、彼女の記憶を取り戻した際は「部長である自分がその事に真っ先に気付けなかった」と悔やんでいた。
天の神の祟りに悩む友奈から相談を受けたことにより、祟りの影響を受け交通事故による大怪我を負ってしまう。
幸いな事に2週間程の入院で済んだが、東郷と園子から友奈の異変を知らされ、勇者部の仲間たちと事態の解決に動く。
1期での事を考えれば無理もないが、大赦に対しての不信感は拭いきれておらず、友奈への祟りが明らかになった時は「また私達に大切な事を黙って…!」と憤りを露わにしていた。
東郷が結城家から持ち出した勇者御記のお陰で、友奈が祟りに苦しめられている事は分かったが、手の打ちようが無く歯痒い思いをする勇者部の面々。
そんな矢先、友奈は神樹との神婚を承諾する、という相談を持ってきた。
それを聞いた風は真っ先に「怪しい」と口火を切り、引き受ける必要はないと友奈を引き留めようとするが…
皆って言うのは、自分自身もそこに含まれているのよ!友奈!
ゆ、勇者部五箇条!「なるべく諦めない」!私は皆が助かる可能性に賭けているんだよ!
勇者部五箇条「成せば大抵何とかなる」!成さないと何にもならない!
お互いがお互いを思うがゆえに勇者部と友奈の問答は激しさを増し、「勇者部五箇条」にすがる友奈にきつい言葉をぶつけてでも止めようとする。
…しかし、その様子を見かねた樹が泣き出してしまった際は、さすがに冷静さを取り戻した。
その後、大赦に大橋近くにある「英霊之碑」へと呼ばれ、大赦神官から「歴代の勇者の多くは役目の中で命を落とした」「勇者は人類を守ろうと懸命に戦い、役目を果たして英霊になった」と聞かされると、怒りを露わにした。
友奈様もまた、戦い方は違えど皆のためにその身を捧げようとされています。
歴代の勇者と巫女…皆、私達と同じぐらいの年齢って訳でしょ…。
いつだって子供達を犠牲にして生き延びて来たってことじゃない…そんな歪な世界ってあるの!?
「大勢を助けるためなら少数の犠牲を是とする」という大赦の考えは、到底勇者部の面々に受け入れられるものではなかった。
あなた達のクラスメイトは、その友達は、家族は…もうすぐ来る春を待ち遠しく思いながら、家でうどんを食べて、温かい布団で寝て、今日も平和な日常生活を送っている。
少々の犠牲。このやり方で大部分の人たちが幸せに暮らしているのです。
それなら…それなら、貴方達が人柱になれば良いのに!
心が無いかのような神官の言い分に、風は感情を爆発させた。
しかしそんな折、神婚に怒り狂った天の神が四国に襲撃してくる。大赦から神婚を防衛するための「最後の御役目」を依頼されると、引き受けつつも友奈を取り戻すことを宣言。
神婚を阻止すべく、天の神に対して勇者部全員で立ち向かう。
天の神の足止めに向かった夏凛の援護を樹たちに託し、自身は東郷と共に神樹へ赴く事に。
神婚の邪魔をさせまいとする神樹の巨大な蔓やツタでの妨害を掻い潜りながらとにかく先へ、友奈の元へ急ぐ。
そんな二人の前に、神樹が作り出した巨大な蔦の壁が立ちふさがる。
完全な満開は出来ずとも、剣だけを部分的に満開する事は出来る。
ここが踏ん張りどころとばかりに風は残る満開ゲージを消費して大剣を超巨大化し、蔦の壁を一刀両断。
剣その物で「道」を作り、東郷を友奈の元へと導いた。
全てが終わった後は高校入試を乗り越え、無事卒業式を迎え勇者部部長を勇退。次期部長の樹にバトンを渡した。
『大満開の章』エピローグでは、なんと科学者として登場。
神樹様が残した化石燃料を研究する仕事に就き、かつて勇者であった経験を生かして働いている。
ただ妹の路上ライブで樹の活躍を見て感涙するなど、相も変わらずシスコンのようである。