灰流うらら(遊戯王OCG)

登録日:2018/07/10 (火曜日) 21:41:00
更新日:2024/04/17 Wed 22:38:38
所要時間:約 7 分で読めます





「増援発動!」

「うららで^^」


「うららで^^」

「先攻1ターン目隣の芝刈りオラァ!」

「うららで^^」

クリッター戦闘破壊されたんで効果使います」

「うららで^^」

「できません」

「え?」


【概要】

灰流(はる)うらら》とはカードゲーム遊戯王OCG」に登場するモンスターである。
収録パックは9期最後のパック「マキシマム・クライシス」
ウマでは無い。間違えたら墓地送り。

《幽鬼うさぎ》から毎年冬のパックに収録されるレベル3チューナーの手札誘発シリーズの一体。
シリーズの例にならい当然のようにスーパーレア。
後にこのシリーズは妖怪少女というモンスター群であることが判明している。
イラストは猫耳ででこっぱちと非常に可愛らしいものだが、そんな感想を吹き飛ばすほどカードとしての性能がえげつない。
昨今のOCGで当たり前の手札誘発シリーズの中でも《増殖するG》と共に最高レベルの使い勝手を誇る。

【効果】

チューナー・効果モンスター
星3/炎属性/アンデット族/攻 0/守1800
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):以下のいずれかの効果を含む魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、
このカードを手札から捨てて発動できる。
その効果を無効にする。
●デッキからカードを手札に加える効果
●デッキからモンスターを特殊召喚する効果
●デッキからカードを墓地へ送る効果

デッキを触る3種の行動にチェーンする形で手札から発動しその効果を無効にする効果を持つ。
効果にそれらの行動が含まれていれば無効にできる。
そのためデッキ以外に墓地からも特殊召喚ができる「聖刻」や、デッキからモンスターを特殊召喚できるか不確定な《名推理》なども止められる。
《幽鬼うさぎ》と違いフィールドからは発動できないが、捨てられるならどこに送られるかの指定はないので《次元の裂け目》などにより除外される状況でも発動可能。
ただし効果を無効にするだけで破壊はできない点には注意が必要である。
とはいえ使い切りの魔法・罠であれば破壊できてなくても関係はなく、モンスターの効果も1ターンに1度しか発動できない物が多いため、影響は大きい。
ついでに墓地で発動するものや既に表側になっている魔法・罠カードの効果の発動を止めることも可能。

「発動を無効」ではないのでダメージステップ中の発動は不可能。上記の《クリッター》でのやりとりはそれによるもの。
これによる欠点はダメステでの行動に干渉できない他にも、発動した事実は残してしまうのでそれをトリガーとするカードの発動を許してしまう。
ただし効果のみの無効は「1ターンに1度しか発動できない」制限のカードの再発動を防ぐことも可能なので、一概に欠点とも言えない*1
というか最近はこの制限のカードがそれなりにあるので大きい利点だったりもする。
これといい何故かその制限皆無なカードもあるが。

まず最初の「デッキからカードを手札に加える効果」の無効。つまりドローとサーチカードの妨害。
《増援》《テラ・フォーミング》《貪欲な壷》などを無効にすることが可能。
効果を無効にしているだけなので《強欲で謙虚な壷》などの誓約は適用されるし、払ったコストは帰ってこない。
《トレード・イン》《強欲で貪欲な壷》《左腕の代償》当たりに喰らうと洒落にならない被害が出る。トレインとかは墓地肥やしも目的?知らんな
テーマ専用カードにも《E・HERO エアーマン》《トリックスター・キャンディナ》《ソーラー・エクスチェンジ》《ブリュ―ナクの影霊衣》
などを止めることができる。
サーチカードはテーマデッキの生命線とも言える存在なので、それらを止められるのは非常に強力。
ドローやサーチが不確定なカードでも止められるため、このカードと同じぐらいの採用率を誇る《増殖するG》の対策としても使える。
果てはデメリットとしてのドローを含む《皆既日蝕の書》すら止めれる。なんだこいつ…
正直止められるのはこれだけでも十分な気がするが後2つある

次に「デッキからモンスターを特殊召喚する効果」を止める。つまりデッキからのリクルート効果に対する妨害。
《深海のディーヴァ》《ローンファイア・ブロッサム》《ワン・フォー・ワン》《緊急テレポート》なんかが止まる。
あくまでデッキからの特殊召喚のみなので、エクストラデッキからの特殊召喚は範囲外。
よって《簡易融合》《水晶機巧-ハリファイバー》の(2)の効果は止まらない。
この手のカードは《ヒーローアライブ》や「剣闘獣」など大きめのコストや召喚権を使う事が多く、止められた場合の被害が大きい。
このカードの登場以後は使うのに慎重にならないといけなくなった。
ちなみに《マクロコスモス》の(1)の効果である「原始太陽ヘリオスを特殊召喚する効果」に対しても発動できる。
が、無効になるのはその効果だけで(2)の「墓地へ送られるカードは全て除外される効果」は無効にはならない。
本気でヘリオスを特殊召喚する物好きに対して以外には意味は無い。
この効果だけでも1つのカードとして作って十分使われるレベルではあるがさらに1つ効果がある

最後に「デッキからカードを墓地へ送る効果」を止める。これはそのまんま墓地肥やしに対する妨害。
《おろかな埋葬》《隣の芝刈り》《終末の騎士》《マスマティシャン》《ユニゾンビ》などが止まる。
デッキ融合の大半も止めることができ、《影依融合》などはデッキ融合可能な条件を満たしていない状態でも止められる。
あくまで止めるのは効果のみであるため《ジェネクス・ウンディーネ》《E・HERO プリズマー》ヴォルカニック・バックショット
などのコストで墓地へ送る部分は止められず仕事をされてしまう。
ウンディーネはサーチ部分を阻止できるが大半の場合は水属性を墓地へ送る方がメインのため、だからどうした程度になるだろう。
正直この効果1つだけのカードを作っても需要はあると思うが(ry


まとめると、あらゆるデッキの生命線となるサーチ・ドロー・リクルート・墓地肥やし全て阻止するカード
しかも魔法・罠・モンスター効果と種別問わずに全てに対応できる。
ノーコストでこれといった発動条件や制約もないため非常に使い勝手が良い*2

以上の理由もあり非常に守備範囲が広くほぼ相手を選ばないため、大変気軽に採用できる。
投入しないデッキは、種族縛りの伴う《一族の結束》や《不死武士》《ミンゲイドラゴン》、対策カード候補の《禁止令》や《発禁令》《メンタルドレイン》を使う*3
他には手札誘発の使用権を放棄する《時を裂く魔瞳》を使うデッキ、手札にカードを持てないデッキ墓地肥やしの邪魔になる可能性があるデッキ、モンスターの攻撃で勝利を目指さない通常のデッキとは異なる特殊な立ち回りを要求されるバーン特殊勝利、先攻1キル系デッキなど一部に限られる*4
こうした特別な理由が無ければ2枚以上、大抵フル投入前提といえる必須カードである。

あまりにも汎用性が高すぎたためか2018年4月のリミットレギュレーションにおいて準制限カードに指定された。
《増殖するG》の前例もあるので次の制限改訂で帰って来るんじゃないかと言われていたが、次の改定での動きはなかった。
後述の通り《増殖するG》と違い、先攻時の相手の手札誘発(要は相手の《増殖するG》)を対策できてしまうことが理由だろうか。
2年後の20/04/01のリミットレギュレーションで再び緩和された。

前述の通りスーパーレアかつ再録時の入手難易度も高く、汎用性が非常に高い上に複数積み推奨という財布泣かせなスペック。
故にシングルカードは高額で取引されている。
現在はストラクで再録後に、更に再録パックでばらまかれたためフル投入必須のカードなのに異様に手に入りにくい事は解消されている。
しかし、
汎用性故の需要の高さにより何度再録されても供給が追い付かず中々値段が下がらない状況が続いていたが、
冬の再録パックで毎年収録されている状況が続き、封入率も渋らなくなったため大分落ち着いた値段にはなった。
値段が落ち着くまで時間がかかったのは、パック再録の最初の頃は封入率が渋かった影響もあるかもしれない。
ただし、ほぼどんなデッキにも入るカードなだけあって需要は尽きず、その汎用性故にストラク・再録パックのカードもそこそこの価格で取引されている。
《増殖するG》と同じく再録パックでの再録が見送られたり、ストラクでの再録もない期間が続くと値上がりしてしまう現象は定期的に起こる。

対策方法等は手札誘発(遊戯王OCG)の項目を参照。

評価

説明したとおり極めて高い汎用性を持つカードで、必須扱いされる一方で規制すべきという声も未だに多い。
「握ったもの勝ち」は他の手札誘発にも言えることだが、このカードは無効にできる範囲があまりにも広い。
先手でも後手でも腐らないため、特にその印象が強くなる。

このカードが《増殖するG》同様必要悪で済まされるかと言われればそうとも言い切れない事情がある。
1つは後攻側が握れば先攻側への行動の妨害になるが、自分の動きを通しきって制圧した先攻側が使用すると、後攻側に対するトドメにもなること。

最も問題となるのは先攻制圧を狙う側が後攻側が放った《増殖するG》をうららで止めてしまう点。
現在は高速化が進み過ぎたため、先攻1ターン目に好き放題を許したが最後。
そのままソリティアによって殺されるか、返すのが困難な盤面を作られてしまうため「手札誘発ゲー」と言われている。
しかし近年のテーマは展開力が非常に高く手数で踏み越えてくるため、うらら1枚では足りず他の手札誘発も投げてやっと止まるかという事も珍しくない。
その点《増殖するG》は1度通ってしまえば効果が残留する上に他の手札誘発を引いてくる可能性も作ってくれる。
返しのターンで引いた物量に任せて巻き返すことも可能になるため非常に心強い存在…
なのだが、これを《灰流うらら》は止めてしまう。
悪い事は重なるもので、《墓穴の指名者》という手札誘発全般を止めてしまうカードも出てしまった
そのためうららと合わせて《増殖するG》がまともに通らないという,
本末転倒としか思えない事態が起きている。


まとめると、「うららがあるから先攻制圧を止められるけど、うららがあるから先攻制圧が止まらないということ。
矛盾しているようでどちらのパターンもよくあるので、どうしても賛否が分かれるカードになる。

とはいえ一度規制された後に緩和されている事を鑑みると、必要悪であるというのがコナミの判断なのだろう。
展開カードのパワーが過激かつ展開手段も多様化しているため、広い守備範囲を持つこのカードを前提にカードデザインが行われている可能性はある。
年々カードパワーが過激になってきているため、うららを的確なところで投げたとしても止める事ができないという状況すら頻発している。
「相手ターン限定だったら丸く収まった」とはしばしば囁かれている



注意点

以上のように強みを説明し続けてきたが、とりあえず投げとけばいいというカードではないことには注意。
「とりあえずで使っても強いカード」なのは間違いない。
だが前述の「プレイングレベルでの対策」が示すように、うらら登場以降の環境デッキは、うららの囮が出せるレベルの潤沢な展開リソースくらいあって当然という領域にある。
大雑把な例として、初動となるカードをサーチする効果にとりあえず投げてみたとする。
しかしその後、多少質が下がる程度の予備ルートの展開に切り替えられたり、別のサーチ手段があったり…
なんならサーチ先の初動カードは最初から手札にあって、その初動カードが発動するリクルート効果こそがそのデッキのマストカウンターである…
みたいなケースはしばしばある。
どこにでも使えるようなカードだからこそ、どこに使うかというプレイング(カードプールへの知識)が要求されるカードとなってきているのだ。
それ次第で単なる1:1交換で終わるか、相手の心を折る一撃になるかが変わりうるのである。

また、このカード自体はデッキの展開に関与しないことが殆どであり、更に1ターンに1枚しか発動できないため、手札事故の要因にもなり得る点も注意が必要。
フル投入が推奨されるのは事実ではあるが、仮想敵や事故率を考慮した上で投入枚数を検討したい。

極端な例として、このカードが登場した環境である【十二獣】の全盛期ではフル投入されないどころかメイン採用が見送られることもあった
【十二獣】相手だとリクルート効果持ちの《十二獣の開局》に撃っても普通に「十二獣」モンスターを召喚されて動かれる事もある。
何より破壊をしてくれないので残った開局を次のターンに使われてしまう。
《十二獣モルモラット》の同名特殊召喚効果を1回止めても、重ねて再度使われてしまうので追いつかないし、
《十二獣ブルホーン》のサーチを止めても、《ダイガスタ・エメラル》や《十二獣の方合》の墓地効果などでの手札補充はできてしまう。
つまるところどこに撃っても焼け石に水なのだ。
効果こそ止められないが直接破壊してしまう《幽鬼うさぎ》の方が明確に効き目があったた。
更に【十二獣】は出張性能も強すぎて環境で「十二獣」の無いデッキに当たることがかなり珍しく、ほぼ他のデッキを見る必要がないのも拍車をかけた。
ただ【十二獣】ミラーにおいては直撃すると非常に痛い《増殖するG》を止められるため、そこを見ての採用と言う事例はあったのだが。
登場直後の環境では意外に現在ほどの評価ではなかった《灰流うらら》だが、この評価に甘んじてしまうのは後にも先にもこの環境ぐらいだとは思われる。

余談

遊戯王マスターデュエルでも当たり前のように活躍している。
それどころかデュエル中にフィールドの横に置ける「メイト」やスリーブ、更に750ジェムで10パックと共に確実に1枚手に入るお得なセットまで存在する。
それだけでもかなり優遇されているのだが、2023年2月のアップデートにてうららの効果を使った際、それによって効果を封じられた対象カードに桜の花びらと少女の笑い声が発生するという固有エフェクトまで付けられた。
色々と言われているが愛されている証拠と言える。



追記・修正は《増殖するG》をうららで止めてからエクストラリンクを達成させた後にお願いします。

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最終更新:2024年04月17日 22:38

*1 1ターンに1度しか「使用」できないカードは「発動を無効」でも再利用できないという違いに注意

*2 決まった時の強力さで言えば「PSYフレーム」シリーズの方が勝るが、あちらは場にモンスターがいない時を発動条件とし、上級の通常モンスター《PSYフレーム・ドライバー》をデッキに入れる必要があるため、癖がありデッキは選ぶ。

*3 自身にも影響してしまうため。

*4 もちろん、これらのデッキであっても構築によっては投入も十分に検討できる。