鈍器

登録日:2018/06/19 Tue 23:18:33
更新日:2024/03/21 Thu 14:44:06
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鈍・鈍・鈍・鈍器

鈍器ホーテ♪


打撃の殿堂・鈍器ホーテへようこそ!
鈍器がお好き? 結構。ではますます好きになりますよ。さあさどうぞ。
古今東西のあらゆる鈍器を取り揃えております。
強そうでしょう?ああ仰らないで。刃がついてない、でも剣なんて見かけだけで鎧は貫けないわすぐ刃こぼれするわ、ろくな事はない。
重量もたっぷりありますよ、どんな長身の敵でも大丈夫。どうぞ振り回してみて下さい、いい音でしょう。余裕の音だ、破壊力が違いますよ。

えっ、お客様、あまり鈍器にはお詳しくない?
これは失礼いたしました。ではこの鈍器ホーテ店長が鈍器の奥深い世界をたっぷりとご紹介いたしましょう。
お帰りになる頃には、必ずやお客様にも鈍器の魅力をご理解いただけるものと思いますよ!



突かば槍 払えば薙刀 持たば太刀


鈍器とは、武器の種別の一種。英語ではBlunt indtrumentやBlunt and heavy weapon、Skull smasherと呼ばれる。
それ自体の硬度と質量で相手を傷つけるタイプの武器である。対義語は「利器(りき)」。「文明の利器」や「鋭利な刃物」の利の事だと解釈すれば憶え易い。

要するに刃物(など)でも飛び道具(、銃など)でもない武器全般と言ってもいいかもしれない。
尤も銃も銃身を振り回したり、グリップ部分やストックの硬い部分で殴りつけられるので鈍器にもなる。


鈍器の長所

基本的に刃が付いていないため、出血多量や窒息などによる殺害は望み難い代わりに、その硬さと重さによる衝撃で相手を傷つける。
その性質上、相手が分厚く硬い板金鎧を着ていたとしても鎧を通して衝撃を伝えて中の人間にダメージを与えられるという長所を持つ。
逆に対策は躱す以外では打撃力の低減(羽毛やゲル状素材のなどのクッションによる衝撃低減)が有効である。

ヨーロッパでは重厚な板金鎧が発達した結果、で敵を傷つける事が極めて難しくなり、特に騎士同士の殴り合いではメイスを始めとした鈍器が活躍していた。
もっとも戦場の全員が高価な鎧を着ていたわけではなく、軽装の相手には従来の武器の方が効果的だったので
現代で言うと突撃銃が効かない戦車相手に対戦車ロケットランチャーを使うような扱いだったのかもしれない。

また、武器自体の重量と遠心力が威力となるため、扱いを誤って打突部に触っても致命傷になり難いというメリットもあり、現代でも非致死性兵器としても使われる(警棒など)。その他に体罰の道具として使われることも多い。
運用自体も体力さえあれば容易なので素人に使わせるのに適していた面もある。

そして簡素な物なら調達や自作も楽。何といっても、最古の武器である棍棒と石も鈍器なのだから。
その一方、硬いものであればなんでも鈍器と化すため、日用品やスポーツ用品などを使った殺人事件や暴動は絶えない。
新聞紙でさえ鈍器として使用されており、中には日用品を利用・偽装した鈍器もある。その辺りは暗器が詳しい。

鈍器の短所

重い。
質量で攻撃するという性質上、ある程度重くなければ鈍器として機能しない。必然、取り回しが悪くなる。
リーチを長くするとメイスやハンマーの様に先端に重心を置かなければならなくなり、この短所は更に悪化する。
突く、斬ると言った牽制の選択肢である『技』がある刃物と違い、長柄の鈍器は力を込めて思い切り打ち下ろす以外の選択肢がほぼ無い。
重いだけでなく重心のバランスも悪い為、横に薙ぐ事すら難しいのだ。この為、懐に入られ易くなる。
ただでさえ重量で嵩張るのに、武器にとって重要なステータスであるリーチを稼ぎにくい。

また、被弾面積が広くなりがちなのでダメージが分散しやすく、見た目の割りに傷が浅くなりやすい。
同じエネルギー量ならば力の掛かる面積が狭い方が単位面積当たりのダメージは高くなるため、同じ重量で刃筋を立てる事ができるなら刃物にした方がダメージ効率が良いのである。
長所にある「相手を傷つけ過ぎない」が、命のやり取りを行う戦場においては短所になってしまうのだ。
また利器なら部位切断や出血によって相手を弱らせる事も容易に可能である。

以上の取り回しの悪さと殺傷力の低さから、せっかく耐久力がありそうな見た目に反して、継戦力が低かった
刃物は戦っていると血が付いたり刃こぼれしてすぐ斬れなくなるという説があるが、鈍器の場合は使い手が先に疲れ切るのである。
刃物は例え破損しても鈍器より軽いので脇差など予備を持つ手が使えるが、鈍器の使い手の消耗はどうしようもなかった。
そもそも刃物使いと戦ったときにリーチと殺傷力の差で負けるなら、「敵を倒し続ける」ことを前提とした耐久力の優位はあまり意味がないだろう。

「戦場の予備の武器」や「日常で携帯可能な武器」としても重いのであまり向いてなかった。*1

故に、最終的な殺傷能力・重量効率といった「兵器としての能力」は刃物類に劣る。
素人でも簡単に使いこなせる代わりに、戦士として成熟して行く程に短所が目立ってくる。
鈍器が低俗な武器と認識されるのは、決して見栄えだけの問題ではないのだ。

なお、長所として「素人では扱いが難しい刃物と比べて、鈍器は単純な武器なので誰でも高い殺傷力を出せる」と言われることもあるがこれはデマ
上記のようにその扱いは難しく、重い武器を手足のように扱っての戦闘および敵の撲殺には斬殺以上の体力や技術を要する。
入手性、殺傷力の低さなど素人が運用するのに「適している」面は書いた通りだが、それは「戦いやすい、敵を倒しやすい」こととイコールではない。



主な鈍器の種類

鈍器として発明されたもの

棍棒

第三次世界大戦がどのような武器で戦われるかはわかりません。ですが、第四次世界大戦は棍棒と石で戦われることでしょう。
アルバート・アインシュタイン

アインシュタインも保証する世界最古にして最強の武器。英語ではClub(クラブ)と呼ばれる。
単なる木の棒や動物の骨を握りしめ、獲物を追いかけ始めたところから人類の歴史は始まったと言ってもいいだろう。
先端が膨らんだ形状を想像するかもしれないが、実際には棒状の打撃用具全般を指す。
例としてはゴルフで球を打って飛ばす棒もゴルフ「クラブ」である。
後述の棒・杖・トンファーなども棍棒の一種である(正確には鈍器武装として打撃を主に使う物は「打棍」とカテゴライズする)。また単に棍とも呼ぶ。

戦場の主力武器としては比較的早い段階から後述のメイスなどに取って代わられたが、簡単に作成できることから民間では広く使われている存在。
殺傷力を高めるために、トゲを付けたスパイクドクラブという物も作られた、よく原始人や巨人が片手に持ってるアレである。
近代ではアフリカのズールー族で槍や盾と共に兵士の標準装備として使われ、第一次世界大戦では塹壕戦で使用されたことがある。
トランプのクラブの様に農民の象徴としても扱われる。
また、ヘラクレスなど古代の英雄に愛用されたことから、イギリスやフィジーなど権力や力のシンボルともみなされることがある。
フィクションでは原始人や巨人などが持っていることが多い。
※尚、冒頭の言葉の意味は実際は第三次世界大戦により文明が崩壊した結果、第四次では鈍器が使われるという意味である。

メイス

柄頭(つかがしら)を石や金属などの大きく重い錘とする事で、遠心力を強く働かせ殺傷力を高めた棍棒。古代エジプトでは既に使われており、その後ドイツやイタリアで発展した。
更に殺傷力を高める為に柄頭である錘に(うね)や薄い鉄板などによる出縁(でぶち)を付けた「プレートメイス」などの派生亜種も作られた。
前述の様に鎧を着た兵士同士の戦いでの主力武器。
中国では「(すい)」、インドやペルシアでは「グルズ」という類似武器がある。
ちなみにガンダムが振り回してそうなギザギザの刃が付いたメイスがあるが、あれは当時「豪華な飾りが付いた杖」という口実で聖職者が持っていたらしい。しかも戦場とかではなく田舎の教会の神父さんとかが。当時の「田舎」といえば山賊や盗賊、凶暴な獣等がいた為、そういったものが必要な場面がままあったそうな。
布教って大変ですね。

フレイル

「連節棍」。鎖で打撃部分である「穀物(からもの)」と持ち手を接続し、より遠心力を高めた武器。
元々は脱穀に使う為の農具である。
柄の長い物はポールウェポンの項目も参照。

モルゲンシュテルン(モルゲンステルン)

日本では英語訳の『モーニングスター』表記の方が一般的か。
14世紀のドイツで誕生した、「明けの明星」という華やかな名前に反し、先端部をびっしりと棘で覆った殺傷力の高いメイス。
フレイルと混ざりあって鎖でヘッドが接続されたタイプのものも見受けられる。
14世紀のフス戦争では、ターボル軍が集団で使用し絶大な戦果を上げた。

上記のフレイルと併せて、詳細はフレイル/モーニングスターの項目も参照。

ハンマー

金槌などを戦闘用に流用したもの。
特に戦闘用に作られた物は「ウォーハンマー」とも呼ばれる。
北欧神話の雷神トールの振るう「ミョルニル」もこれの一種。
日本でも掛矢という木製のハンマーが使われた。

ちなみに漢字表記は金属製の物が「鎚」、木製などそれ以外の素材のものが「槌」。

金砕棒(かなさいぼう)

数少ない日本の鈍器。全体にびっしりと棘や鋲を貼り付けた金属製の棍棒。
要はが持っているアレである。
爛熟期には総金属製のものが使われたとも言われるが、それだと重量がとんでもない事になるので解釈多数。
和歌山市の和歌山城天守閣の博物エリアに、入館者が自由に手に持てるレプリカが展示されている。冗談のような重さと大きさで、これを持って戦場を何時間も歩き回ったとは信じられない…。


棒・スタッフ・ロッド

金属や木を削ってできた棒。長く硬いので遠心力を利用して振り回すだけで十分な威力になる。
日本では戦国武将の最上義光が振るったことで知られる。
八角形にしたり、中を刳り貫き金属を芯として通すなどして威力と持ち易さを高めた棒もある。
武術としてのものは棒術(武術)を参照。こちらは槍のように長い棒を振るうタイプで棒自体の重量は然程でもない。

棒よりもさらに短いもの。
「杖術」という戦闘技術が存在する。
ただしサガシリーズぐらいでしか馴染みがないため、魔法使いの武器という印象の方が強いかもしれない。

硬鞭

紐状でしなってビシバシ叩く軟鞭ではなく、鋼鉄や木材で拵えた硬鞭の方。
中国では広く使われた武器で、封神演義の太公望(姜子牙)や聞仲、趙公明、隋唐演義の尉遅敬徳、水滸伝の呼延灼など、民間にまで広く知られた英雄たちが使用するかなりの人気武器。
日本でも早くに伝わり、戦国武将などが愛用した。ただ日本の創作界隈では馴染みが薄い為、上述の棒(特に警棒などの様な短い物)や軟鞭の類と勘違いされ易いのが難点の一つ。
実際、横山光輝版の水滸伝では呼延灼が軟鞭二刀流の使い手になっている。

ヌンチャク

ブルース・リーが振るうアレ。元は琉球武道もしくはフィリピンの「エスクリマ」で使われていた武器と言われている。
上記のフレイルに近いが、こちらは格闘技のための武器というイメージがある。

トンファー

こちらも琉球武道出身(ただしその出自は中国の「拐」が関与しているとも言われている)の横向きに柄の付いた棒。
柄を握って棒の長い方を前方に向ければ棍棒、逆に短い方を前に向けるとナックルダスター兼簡易
棒の長い方を持てば鎌、もしくは鉤状の武器になるというマルチウェポン
アメリカの警察などでは一時期警棒として採用されていた(トンファーバトンなどとも呼ばれていた)。

特殊警棒

現代の警備員や警官がよく使っている伸縮式の警棒。携帯が容易でパッと振るだけで2倍~3倍ほどに伸びる。
なおこの名前自体は商標登録されてるので公式文書などでは別の呼び方を使う。
相手を下手に死傷させないよう、長さ太さ重さ等にも規定がある。

ちなみに昔は特殊じゃない警棒――伸縮しない木製の丸棒を使っていた。

十手(じって)

根元に鉤のついた短い金属製の棒。室町時代に中国から伝わったとされ、江戸時代の捕り物に使われた。身分によって房の色が異なり、与力や同心の使う物は赤い房が付けられている。
鉤部分は敵の刃物を防いだ上で絡め取る、圧し折るなどする為のものとされる。
江戸の町では、主にこれを用いていた与力・同心の身分を証明するものでもあったという。
中には先端に鎖分銅をつけた変わり種もある。

木刀

修学旅行のお土産の定番。しかし最近では購入が禁止されている学校も多い。
木の棒を削り刀状の形に成型した日本刀の模造品。しかし刃も切っ先も、峰すらも丸いため、横から見た形がに似ているだけで事実上の棍棒である。
とはいえ「刀身」がかなり分厚く、重みもあるため人一人を殺傷するには十分な威力を持つ。
創作、特に時代劇などでは「木刀など……」とバカにされたり虚仮脅しと侮られるケースが多いが、
剣術/剣道の正式な練習用の木刀ともなると、その重量もバランスも日本刀と同じに作り上げられ同等の運動エネルギーを発揮する。
また実際に日本刀などを扱った経験の有る者からすれば「斬れない事以外は日本刀と全く同じ為代用の得物としても扱い易い」との事。
そういった熟練者が振り回せば人間の手足の骨などあっさり折ってしまう破壊力が出るため、「武器」と呼んで差し支えない。
てか、木刀による剣術練習だと怪我人が続出した為に、より安全な「竹刀」が発明されたという経緯があるので…。
プロレス道場などではシゴキの道具として使われることもあった。

ちなみに同じく竹を日本刀の形に削って作られる模造品の『竹光』は、かなり刀に近い形状をしている代わりに殺傷力はほぼ皆無。
用途も武装としての刀の代わりではなく、装身具としての刀の代わりや、殺陣を安全に行う為の道具として存在している。

ナックルダスター

拳鍔、メリケンサック、カイザーナックル*2、クー・ドゥー・ポアン・アメリケン(フランス語)、ナックルスなどとも呼ばれる、握り込んでパンチの威力を高めるための打撃武器。19世紀から登場した。
特にメリケンサック(及びその訳語)と呼ばれる物は不良・チンピラが使う指部分のガードしかない「粗悪品」を本来は指す。
「硬い部分を当てることで威力を高めている」と認識されがちだがそれは一部分にしか過ぎず、空拳で握り拳を作るよりモノを握る方がしっかり握り緊める事ができ、拳の形状が安定して衝撃力が増す*3・パンチ力を発揮し易いという側面もある。
正規品では更に殴った時の衝撃を掌底を通して手首や腕に逃がすパーツもあり、これにより普通に殴った時の様に手や指に負荷が集中せず痛みも少ない。
実例として金属の指輪を嵌めて指だけガードして殴ると自分の方が痛い目に合う。
棒の類と異なり、「敵に奪われて逆にピンチになる」という展開になり難いのもポイント。
金属製の物が一般的だが、作ろうと思えば新聞紙やハンカチなどを拳に巻き付けるだけでも同じ効果を得られる応急粗製品は作れる。中には骨で作られた変わり種も。

サップ

袋の中にコインや石等を錘として詰めて、それを振り回して使う打撃武器の総称。わかりやすく言えば即製の棍棒である。
その歴史は古く、中世ヨーロッパではすでに近いものが使われていた。
主なものにブラック・ジャックやスラッパーがある。
丈夫な袋と錘になる物があれば簡単に作れるので、財布やが武器に早変わりする。
丸腰を装えるので、推理小説などではおなじみの凶器。

ブーメラン

オーストラリアのアボリジニが狩猟などに活用する武器。意外なことだが、実は投げる棍棒である。
一般的には投げても手元に戻ってくるというイメージがあるが、種類によっては戻ってこない物もある。

ストゥ

アイヌが制裁を加えるために使う棒。
乱用は許されない。
上川盆地のアイヌが使うものは特にでかい。
乱用は許されない。


鈍器として利用できる武器

銃器

上記の通り銃身やグリップ、ストックなどで打撃すれば鈍器として使える。激しく使い方を間違っている気がするが、
アクション映画で、ただ撃って決着ではあまりに味気ない場面や弾切れの描写などで多用される。
重さがあって丈夫なので間合いによっては割とリアルに有効な手らしい…。
もっとも、最近の先進国の銃器はプラスチック素材を多用して軽量化したり多機能化しているため、鈍器として叩きつけると銃としてはお釈迦になってしまうモデルも多いとのこと。
木と鉄でできた古ぶるしい銃器であるからこそ格闘戦で鈍器として活躍するという、有る種ロマンな面もある。
これを最もスタイリッシュに示したのがかのガン=カタであろう。

…ごく稀に「これ鈍器だろ」とツッコまれる銃が誕生する事もあるのはご愛嬌。

防具だが、”シールドバッシュ””シールドスマイト”など鈍器として使う技術も開発されている。

「安心せい、峰打ちじゃ」
とはいえ金属で思いっきりブン殴られたら骨ぐらい簡単に折れるし普通に死ねるので安心できない。
もちろん刀の方も折れたり反りがおかしくなったりするのでやる方も安心できない。

本来は切る用途の武器だが、柄や鞘で殴れば鈍器になるし、護拳をナックルダスター代わりにして殴りつけられる。
あまり使う機会がなさそうに見えるが、実は剣身を持って柄や鍔で殴るという攻撃方法は西洋剣では普通にあった。
というのも戦場での主役が剣に取って変わられてから再び鈍器が台頭してきたのは、チェインメイルやプレートアーマーといった防具の発展が背景にあった。
これらは刃の斬撃を通さないので、鈍器による衝撃によって中の人間を倒さなければならなくなったために鈍器が発展していったのだ。
そうなれば剣は淘汰されてしまうはずだが、この攻撃手段があることによって剣がなくなることはなかった。
ちなみに剣身を持つ時は自分の手が切れないよう刃を付けてない部分を握ったり刃のつけ具合を敢えて抑えておいて籠手を着けて持つ。
更に時代が下ると銃の時代が訪れたが、その頃には重量のある鎧などはみな使わなくなっていく。
すると植民地支配に抵抗する勢力が剣を使い始め、柄や鞘を鈍器として使うのも再び有効になったためフィリピン武術などでその技術が現在にも残っている。

鈍器として利用できる道具など

これも基本的といえば基本的な打撃武器。
ちなみに人類史初の「刑罰方式」は「民衆による石打刑」とされている。
サスペンス物では凶器の定番。
丸い石を握り込んで殴るだけでも高い威力を発揮する。
両手に抱える程の石を頭にぶつければ大の大人でも死ぬ。
投擲武器としても一般的で、戦国時代の死因トップを飾っている。

丸太

「みんな丸太は持ったな!!行くぞォ!!」
棒より更に太い、もしくは成形すらされていないもの。持ち難いが重量質量共に申し分なく威力は抜群。
吸血鬼を狩るのに最も適しているとして有名だが、どこぞの武器屋では兜の上にくっつけて販売してたりもする。
しかし現実にこれを振り回して戦ったという剛の者もいたらしい。

バール

バールのようなもの。犯罪のようなものにも広く使われる鈍器と思しきもの。
爪がついているので利器と言えなくもないあたり悩ましい。
…本来はテコの原理を利用してこじ開けたり釘を抜いたりするための工具なのだが、十分武器になる。
似たような扱いをされるモノとしてスパナやパイプレンチ、モンキーレンチなどがある。
FPS界隈ではとある物理学者が愛用する武器として有名。

シャベルスコップ

容易に手に入る質量物として古今東西広く使われる。
軍用の物は特に頑丈な構造になっており、一部の特殊部隊はこれを利用したCQC技術の訓練も行っている。
先端は鋭利で、特に最近の軍用スコップはエッジ部にノコギリやらついててこれも利器との境目が曖昧。

火かき棒

石炭ストーブなどをメンテナンスするときに使う道具。本来は。
雪山でのミステリーなんかでよく殺人事件の凶器として利用されている(刃は有るのでシャドウゲイトの主人公よろしく突き刺すことも多いが)。
住人が異界の怪物と化した村では他にロクな武器が手に入らないこともあってお世話になる

ビール瓶・ワインボトル

恐らく最も手軽に手に入れられる鈍器の一つ。
アニメや漫画、ドラマなどでこれで殴られると割れる描写がよくあるのですぐ割れるイメージが強いが実際は殴った程度では割れないどころか頭蓋骨の方が先に割れる*4
更にその殺傷能力に中身の有無は関係なく、その危険性を検証した研究者はイグノーベル賞を受賞した。

鉄パイプ

こちらも比較的手軽に入手可能な鈍器。不良の定番。

バイクのチェーン

暴走族が使う。どっちかと言えば総金属の軟鞭みたいな使い方。本家の軟鞭に比べ撓り方向の制限など一部機能は劣っているが。
ガリアンソードでおなじみ蛇腹剣の元ネタになった逸話は有名。

スポーツ用品

野球のバットやゴルフクラブ、ホッケースティック、剣道の竹刀など長くて硬い物を使う競技の道具は全て鈍器になりうる。
実際そうしたスポーツをする文化がない国では護身用の棍棒として売られていたりするらしい。
木製のバットに釘を打ち込んで殺傷力を高めた釘バットもあるが、当然強度が落ちるため打ち込みすぎは禁物。

楽器(武器)

本来は武器ではないのだが。
でもこれを鈍器として使う人々も一定数存在する。

家財道具

こっちも武器ではないのだが。
花瓶や椅子、灰皿に電気スタンドなどはミステリーなんかでの凶器として一般的だが、割れ物は砕け散るため後の掃除や鑑識の証拠採集が大変である。使い方によっては盾としても使える。
それと、椅子のある場所でジャッキー・チェンと戦うべからず。

プロレスの凶器

レスラーに対するダメージ等を考慮してか、利器よりも鈍器の方が武器として使われることが多い。
しかしリングの上のみならず、実況席や観客席にある全てのモノが凶器として使われる。
具体的にはゴング・ゴング用の木槌・長机・パイプ椅子・マイクなども全て凶器として使用され、果てはリングに上がるための階段やチャンピオンベルトに至るまで文字通りあらゆるものが凶器と化す。
更に持ち込まれた凶器として上述の工具・建築資材・木刀・竹刀・バット・釘バット・ビール瓶の他、ガラス板や一斗缶←ドリフのコントか、メガホン、蛍光灯といったものまで使う。
これらは公認凶器として、凶器公認マッチで使われることもある。
また蛍光灯は威力がないぶち割れた際の見栄えが良く入手しやすいためか、オブジェにして殴りつけられることもある。

マグライト

アメリカの老舗懐中電灯会社マグ・インストルメント社の製品。素で目くらまし機能付き。
その長さとジュラルミン製の丈夫さから鈍器として扱うこともできる。映画『ナイト・ミュージアム』でも、主人公ラリーが大立ち回りを演じていた。
民間警備員が巨大なマグライトを持ち歩くのはそれが理由で、
「民間人の武器携帯は禁止」 → 「これはライトです」という建前。

櫂/オール

一般的には舟を漕ぐときの道具であるが、琉球古武術では武器として発達した。
櫂を武器にできれば舟で上陸してそのまま戦えるし、舟に余計な荷物も置かなくて済むという南海の島国らしい発想である。
ハワイ島の戦闘術「カプ・クイアルア」でもカヌーの(ホエ)を使用した武器術があり、「ホエ・レイオマノ」と呼ばれるサメの歯を仕込んで殺傷力を増した櫂まで存在している(これはもはや刃物の類だが)。
それらとはあまり関係ないが有名な使い手が巌流島の時の宮本武蔵である。

ミルウォール・ブリック

サッカーの試合会場で使われた、武器であり暗器
詳しいことはあちらの記事を参照。

京極夏彦川上稔の小説、広辞苑、六法全書、コミケカタログ、月刊少年ガンガン、D&D他TRPGルールブック等

別名「鈍器本」。冗談抜きで人間を殴り殺せそうな分厚さを誇る書籍群。
月刊少年ガンガンは特に2000年代頃は毎月1000ページを超える厚さを誇っており、その鈍器らしい名前と共に愛されていたが、近年はだいぶページ数が落ち着いており、それを寂しがる読者もいる。
最近では「月刊ドラゴンエイジ」がかつてのガンガンくらい厚い。
プロレスでも本が凶器として使われたことがあったが、出版社から苦情が入り使えなくなってしまった。
鈍器としての本の使い手としてはFFの学者、クラース・F・レスター、マカ=アルバーン、小鳥遊一枝、モズグス様、アリス(アシュラブレード)など。

ニンテンドーゲームキューブ

ゲーム機史上最強の鈍器ーコング
取手も付いてて持ち運びも便利。
構造が頑丈で真四角なので角で殴れば威力バツグン。
人生RTAのお供に是非。

建築資材

鉄パイプや角材、コンクリートブロック、瓦礫などで手で持てるほどの大きさの物が鈍器として利用される。
とある焼け野原ひろしは搭乗するロボット兵器が武器を失った時、手近に転がっていた鉄筋コンクリートの柱を武器として振り回して暴れまわった。

石鹸とタオル

ドーナツデブ用暗器。腕立て伏せのお礼に一発。
武器種としては先述のサップの類である。

ゴルフボールと靴下

車に使うと雹が降ってきたかのような打痕が残るらしいので、修理料金を水増しするにはうってつけ。

ヘルメット各種

時には投げつけて飛び道具として使う事も。

エンジンオーG12

炎神戦隊ゴーオンジャー』に登場する4体の巨大ロボが全て合体した姿。
ロボ4機/バラメカ12機編成だけあって凄まじいサイズと重量であり、番組でも敵と視聴者の度肝を抜いたが、放送当時に発売された玩具も全高約50cm、重量約3.2kgという暴力的スケール。
特に、ゴーオンレッド/江角走輔を演じた古原靖久氏が自身の所有していたG12をうっかりテレビの上に落としてしまった際、G12ではなくテレビの方が破壊されたエピソードは有名で、その結果ファンの間でついたあだ名が鈍器。古原氏本人もよくネタにしている。
ついでに全部買い揃えると値段も凄まじいため、全国の親御さんの財布も見事に撲殺された

消火器


タイヤ


掃除道具

掃除機・モップ・箒など、長物が多いので振り回すのは危険。

鈍器として利用できる食品

あずきバー

食品界きっての知名度を誇る食べられる鈍器。
ガリガリ君やパルム等の他のアイスバーとは一線を画す、異様な硬さを持つ事で有名。
冗談抜きに冷凍庫から取り出した直後は文字通り歯が立たない。
メチャクチャ硬いが重量密度はそれほどでもないので、どちらかというと利器に属するのは内緒。
ちなみにスイカバーは突き刺さるためモビルスーツ刃物

かつおぶし

普段は削られている物しか見ないという人も多いだろう、食べられる鈍器。
製造工程のどこで終えるかで種類分けがなされており、最後の最後に出来上がる「仕上げ節・本枯節」は叩くと金属みたいな音が鳴るくらい硬い。
世界一硬い食品という噂もあるが真偽は不明。
実際に武器として活躍したこともある。

チーズ

そんなバカなと思うかもしれないが脱水して長年熟成を重ねた超硬質チーズなどは凄まじい硬さと重量を誇る。
例えば超硬質チーズのパルミジャーノ・レッジャーノなら一塊で数十kgにも達する重量とノコギリで切らないと切断できない硬さを誇るため、例え手に持てるような大きさにカットしたとしても撲殺するには十分過ぎるだろう。
事実どこぞのビッチは投石機で発射されたチーズが頭に直撃して死んだそうな。


その他、鈍器として使えるもの

己の肉体

最も基本的と言えば基本的な打撃武器。拳で殴り足で蹴り頭で叩く
しかし素の拳で殴り続ければ自分の拳も痛くなり足も頭も当然そうであるため使用回数には限度がある。
その為軍隊格闘技では比較的固い肘や膝で攻撃することを重視した訓練を行うが、ムエタイ選手の故障などで見られるようにやはり限度は存在する。
だが足は安全靴、肘や膝はサポーター、肩はショルダーパットといった硬いもので保護しつつ威力を上げられる。
また喧嘩のテクニックとして、硬貨など硬い物を握り緊める事でパンチの威力を高めるやり方がある。
ゲームなどでは拳を覆う「グローブ」や「籠手」が武器として扱われることも。

他人の肉体

自分で殴ると痛いので、他人を敵にぶち当てることで痛みを押し付ければ解決!…っておい。
だがその重量から放たれる威力は抜群、ジャイアントスイングでぶつけてやろう。持ち上げて遠心力で振り回すだけでもかなりしんどいが…
「ぬりゃ!人手裏剣!」



フィクションにおける鈍器

戦い方が野蛮なため、主人公の武器としてはあまり好まれない傾向がある。
何と言っても剣の方がスマートでカッコイイし。

しかし、「血が流れない」という性質もあって、子供向けゲームなどではあえて主人公の武器としてハンマーなどの鈍器を採用することもある。いや、リアルな話をすると鈍器でも血は流れるけどね?
例:マリオ(任天堂)

原始的な武器ということで、「ドラゴンクエスト」などのかつてのRPGにおいては、「金属の剣」の下位武器として「木製の棍棒」が存在していることがあったが、
属性やスキルが細分化されグラフィックも発展した現代のゲームにおいては、剣と鈍器は別ジャンルの武器になっている方が多いだろう。

それ以外のキャラクターとしては概ねパワーファイターの武器として登場することが多い。
特にオークやトロールなどの野蛮な怪力モンスターが持っていることが多々見られる。
だが、近年ではギャップを狙ってあえてロリやショタが重量級の鈍器を振り回すケースも散見される。

また、「戒律により血を流させる刃物を扱えない」と設定された聖職者のための武器としてメイスタイプの鈍器が登場することも多い。
特に前衛タイプの聖職者は「剣を持ち攻撃力に長けた戦士」に対し「メイスしか持てないので攻撃力には劣るが回復魔法を持つ聖職者」として差別化される。
その場合、どう見ても聖職者に似つかわしくないモーニングスターを振るうシスターさんというこれまたギャップの酷い光景が繰り広げられる。

聖職者以外でもあまり前線に向かないキャラは杖などの鈍器を持たされることが多い。変り種だと剣玉や本なんかもある。
しかしフライパンやお玉など明らかに戦闘に向かなそうな鈍器でバリバリ前衛で戦うキャラもいる。ていうかこれ全部あの作品群のことですよね?

なお、「聖職者は血を流せないので鈍器を使っていた」「鈍器は当てやすいので素人でも使いやすい」などはあくまでバランスの都合であり、
現実においては必ずしもそうではなかったので注意が必要。
宗教戦争の聖戦士も普通に刃物は使ってるし、歴史上のどこかにモデルになった話があっても、「全ての」聖職者がそうだったとするのは主語が広すぎる。
ゲームではバランス上「専任戦士向けの上級武器、その他向けの低レベル武器」が必要で、見た目での分かりやすさから前者にカッコイイ剣、後者に野蛮な鈍器が割り当てられ、
「剣はプロの戦士でなければ使えないが、鈍器は当てるだけでいいので素人でも使える」ともっともらしい――事実とは異なる――理屈が後付けされたにすぎない。
ゴブリンスレイヤーにおいて鈍器が使いやすいとの表現があったのは、ソード・ワールドで鈍器が強すぎてメイス・ワールドと呼ばれていたのをパロディしたギャグである)

「斬撃は刃を立てなければ通らないが、打撃は鎧を抜くことができる」というフィクションでよく聞く鈍器有利の理屈も、
我々の世界の戦場では全員が高価な鎧を全身に着ていたわけではない。
半端な防具相手なら「正しく殴らないと死亡に至らない打撃より、刃を立てるだけでダメージになる斬撃」の方がずっと使いやすかった。
また我々の世界の鈍器は「粗野で安い武器」というゲームのイメージとは違い、鎧を抜くために使われたものは、重くするため金属を多く使う高価な武器でもあった。
使用に恵まれた体格と高度な訓練を必要とし、貴重な金属を多く使い、鎧戦士を倒すために用意された「決戦兵器」――それが「鎧を抜ける鈍器」だったのだが、
ゲームでは木の棍棒など低レベル鈍器と差別化しなかった結果、「用意しやすくて使いやすくてどんな敵にも効く鈍器」という優遇気味な武器になることもあった。

フィクション内では「刃物は欠けたり切れ味がなくなるので戦えなくなるが、鈍器はそうでない」と継戦能力の優位性が設定されることもあり、*5
打ち砕くパワータイプの武器としてだけでないいぶし銀なポジションを確保することもある。
ステータスが腕力や技量などで分かれているゲームでは、「技量を磨かずとも腕力さえあれば扱える」としてステータス面で差別化されることもある。*6

また、日本では銃刀法の関係上対人能力が高い刃物や銃器があまり一般的でないため、日本国内のどこかが舞台の作品は他人に危害を加える場合に鈍器を使うことが多い。
一般人の範疇に納まる人間同士が街中でバトルを行うことが主体となるヤンキー漫画などでも、金属を入れたカバンや安全靴、鉄パイプなどの工具といったものがよく使われる。
更にキャラの強さを強調するため、ドエレー"COOOL(クール)"な鈍器が使われることもある。
具体的には瓶の中身が入ったビールケース、コンクリ塊を重石としたバス停、へし折った道路標識、祭りの屋台でよく見るプロパンガスの入れ物などがある。!?ンなの振り回す奴ぁ人間じゃ‥‥無ェ‥‥!?ま‥"魔人"‥だ‥!?



鈍・鈍・鈍・鈍器

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最終更新:2024年03月21日 14:44

*1 ただし「殺傷力が弱い」ことは社会の規制に対する許容性や隠しやすさになるのでそこは携帯しやすいメリットだった

*2 漫画リングにかけろに登場した武器が由来

*3 普通に殴ると指の骨や腱に衝撃が過度に集中して指を痛めたり拳が崩れて衝撃が逃げてしまう

*4 映画やドラマで使われる割れ易く砕け易いガラス瓶の小道具は演者の負傷なども考慮して飴を成型した物で作られている。

*5 現実では撲殺は体力を消耗するので、『ゴブリンスレイヤー』でも「当てやすく長持ちするが長期戦では剣より疲れやすい」とされている様に継戦能力は低いのだが、体力が無尽蔵のフィクションの超人が振るうのであれば話は別なのだろう

*6 現実の怪力自慢の素人は訓練していなくてもなど腕力に応じた刃物を持った方が普通に強いと思われるが、フィクションにおいては鈍器はパワーキャラの象徴なのである