非致死性兵器

登録日:2018/06/17 Sun 21:00:56
更新日:2024/03/27 Wed 14:42:05
所要時間:約 10 分で読めます




非致死性兵器/低致死性兵器とは、名前の通り殺傷することなく対象を無力化する武器のこと。

英語ではNon lethal Weapon(ノンリーサルウェポン)、またはLess lethal Weapon(レスリーサルウェポン)


目次


概要

法治国家には裁判を受ける権利が存在する。
例え重犯罪者であっても、例えテロリスト相手でも「犯罪者だから」という理由だけで皆殺しにすることは人権を否定する行為であり、あってはならないのだ*1

しかし、説得すれば必ず投降してくれるほど楽なわけもなく、犯罪者に対するある程度の攻撃力がどうしても要求される。
通常の武器でも殺さないように手加減できるが、使い手の腕前と状況に左右される側面があり難しい局面は多い。

民間人や犯罪者に対して軍隊や警察が用いうるもので、対象へのダメージを回復可能な程度に留め、殺さず、重篤な後遺症や障害を残すことも無いように、設計や運用法が工夫された兵器群。
それが「より多くの敵に、より大きなダメージを」という兵器の本質から離れた「非致死性兵器」である。
このため、対人地雷のように、殺傷力こそ低いものの、「傷ついた者を救助する人員を消耗させる」目的で調整された兵器は非致死性兵器にあたらない。

主に対象を生け捕りにする為に用いられるが、対象が人質を取っている際にも人質ごと巻き込むように使ったり狙いが外れても大きな問題にならないので十分活躍する。
これらの中には、凶器の持ち歩きが厳しく制限される日本のような社会でも合法的に携帯可能で、護身用に一般販売されているものもある。(過剰防衛に注意)

また、死亡率が低いといっても所詮は兵器

犯罪に悪用されるケースも少なくないし、攻撃力が低いといってもあくまで手加減しているだけで人を攻撃する道具には変わりない。回復不能なダメージを与えたり、死亡してしまう可能性もあり、場合によっては犯人を逆上させたり反撃を許してしまう可能性も秘めている。

一例としてはテーザー銃導入直後は銃より安全と見なされて濫用されていたが、運用実績が挙がるにつれて 犯罪者を銃で撃って行動不能にしてから応急処置して病院に運ぶ方が、テーザーで撃つより死亡率が低い となったりする。

そしてうっかり死亡/殺害してしまった場合、「傷つけにくいって話だったのに死んだじゃないか!どうしてくれる!!」と製造元が訴えられるリスクもある。

こういったリスクがまだまだ多く、下記の例でも軒並み何かしらの問題を抱えているし、運用の関係も闇が色濃いのだ。







接触または器具で投擲するもの

スタンガン

高圧電流を発し筋肉を機能しなくさせる事で、対象を無力化する護身用武器。フィクションでも最も頻繁に登場する。
最もよく目にするのは携帯タイプだが、警棒タイプや携帯電話に偽装されたタイプなど色々な種類がある。

その性質上、威力は人体の水分量や脂肪量に左右されるため、最も効果を発揮する相手は「体脂肪率が低く筋肉モリモリ」のマッチョ。性差的に脂肪の多い女性や脂肪だらけのピザデブにはあまり効果はない
押し付けられた相手が気絶する描写が見られるが、そんな高電圧だと命に関わるし、死なずともまず深い火傷を負うってそれただの兵器じゃねえか
実際には痙攣して武器を取り落としたりする程度であり、意識を失うほどの威力はないらしいので、最近は「違法改造されたもの」という設定を付加したうえで登場させる作品も増えてきている。


テーザー銃

スタンガンの派生。銃型の本体からワイヤーで繋がった一対の電極針を飛ばして刺し、遠距離の相手に電流を浴びせる武器。
スタンガンと共通する欠点もあるが、特徴は何と言っても2cm以上の長さの針を突き刺す点。
皮膚下へと直に電気を通すぶんだけスタンガンより影響力は大きく、取り扱いを間違えれば簡単に死亡事故が起こる。
テーザー銃の製造メーカーは「心臓部付近等に着弾したことによる死亡事故が起こっていない」と主張しているが、実態は甚だしく怪しい。
更にガス圧等で電極を飛ばす構造上、日本では基本的に銃扱い。民間人は所持不能なものも多い。


ゴム弾

主に散弾銃で発射する、先端を硬質のゴムで覆った弾丸。類似品に、ゴムの粒々が入ったお手玉のような袋を飛ばす「ビーンバッグ弾」も存在する。
他の非致死性兵器と異なり、弾丸の交換だけで使用でき、専用の機材が必要ないのが長所。
ただいくらゴムボールでも「実銃で発射する」威力はバカにならず、当たるとめっちゃ痛い上に骨折程度は珍しくない。剣が無いからと木刀で叩かれるようなものである。
たった一発でも当たりどころによっては失明などの後遺症、確率こそ低いが死ぬ可能性だってある。
「ゴム弾だから」と散弾銃を至近距離で撃ち込むシーンを創作で見かけることがあるが、あんな真似をすれば多臓器破裂による死亡は免れない。

岩塩弾

こちらも散弾銃の弾丸。散弾銃はライフリングがなく激発された弾を傷つけることなく撃てるため特殊な機構の弾を使いやすい。
で、散弾銃というと小さな粒状の鉛玉をたくさん撃ち出す弾を思い浮かべる人が多いだろうがこの弾は鉛の代わりに 固めた岩塩の粒を撃ち出す。
塩(塩化ナトリウム結晶)では硬さも重さも金属より大きく劣るため、人体に高速で叩きつけられても岩塩はダメージが少ない。(鉛よりは)
そして鉛は毒性があるから体内に撃ち込まれたら摘出しないと健康を害するが、 塩分は適切な量なら人体に有用で 無理に摘出するほどでは無い。
仮にも銃弾なのでメーカーは「これを使っても必ず死なないとは保証はできない」と予防線は張っているが非殺傷用途として取り扱われている。
神聖な加護が付いて魔物によく効きそうな銃弾というわけではない
これで鳥や鹿を撃てば狩猟した時点で肉に味付けできるなあというための弾でもない…と言いたいが
狩猟時による鉛汚染を懸念したり獲物の肉から鉛玉を取り出すのが面倒という理由で
鳥くらいならこれで狩猟するハンターもいる。
しかもガチで 撃った時点で肉に下味付いたら凄くね? という理由で ハーブやスパイスの粒を撃ち出す香辛料弾もある。 (流石に欧米でもネタ枠の弾だが)
????「食える弾丸とは…いい時代になったな!!」

ペッパー弾

こちらは唐辛子のエキスを充填した散弾銃の弾丸。
お腹空いてきたかい?でもこれはそんな甘いものではないぞ唐辛子だけにな
熊対策スプレーに使うような100万スコヴィル以上の辛味成分の入った液を飛ばすために
皮膚に付いても大変なことになるし蒸気が目や粘膜に触れたら激痛でしばらくのたうち回るレベルなのだ。
それでもそれ自体には人を死なせるような効果は少ないため暴徒鎮圧に用いられる。

麻酔銃

フィクションでは「腕時計型麻酔銃」を始め対人用武器として頻繁に登場し、シロサイを即座に眠らせるレベルの麻酔銃は、地上最強の生物への数少ない制圧手段で、あの江田島平八も一度は敗れた最強の武器である。

本来は大型動物をできるだけ傷つけずに捕獲するもので、無論、大型動物を麻痺させるような代物を人間に撃つと筋肉の麻痺や呼吸停止などに陥り十中八九死亡、良くて後遺症が残る。
というか、化学兵器のコイツは軍用兵器としての使用は条約違反*2。使っている国もあるが、大体適当に理由付けして見ないふりを強いられているんだ
そもそも麻酔薬の配合のバランスは難しく、医療現場ですら問題が度々発生するクセモノで、動物捕獲用途ですら屠殺覚悟の上で使ったり、危険な熊などを確殺する搦手として火薬銃と併用する場合もある。
また、麻酔薬は麻薬成分を含み常習性がある薬品なので依存症が懸念される…というより実際に麻酔による依存症は社会問題になっている*3

なお、「街中に野生動物が現れて射殺〜」というニュースに対し、「なんで射殺するんだ、麻酔銃で眠らせて野生に返せばいいだろ」という意見が時折出るが、現代日本で麻酔銃を取り扱えるのは「銃砲所持許可と麻薬類取扱の知識の両方を持っている」という超激レアな人だけであった。
現在は麻薬取扱者がすぐ後方で監督指揮すればハンターも麻酔銃を活用できるようになりかなりハードルは下がったものの、それでもそのコンビを即座に招聘できるわけではないので被害拡大を防ぐために早々に射殺せざるを得ない、というのが大きな理由となる。


スタングレネード

爆発すると同時にすさまじい閃光と爆音を発し、周囲の人間の視覚と聴覚に対して効果的な手榴弾
人質事件などで犯人を無力化するために用いられる。
日本では、いわゆるネオ麦茶によるバスジャック事件がきっかけでこれを知ったという人も多いものと思われる。
ゲームでは視界や聴覚を3〜4秒ほど奪う描写が見られるが、実際は閃光と爆発音は一瞬で、それでも そのくらいの効果がある 代物。
車のハイビームで違反となる光量の10数倍の光と、すぐ隣でジェット機が飛んだ以上の轟音を起こすため
もし心の準備もしていない人の顔の前で爆発させると失明を含めた回復不能な視力の障害や鼓膜の破損、
頭の中がぐらんぐらんして平衡感覚を失って地面に転がってしまうような被害を起こしうる強さの光と音が出るので
それを多少離れた距離を想定して投げ込むといった感じ。
正しい用途としては爆発音と光で驚かせて隙を作り、突入の時間を作るために使う。
そのため、これ自体は非致死性兵器だが使う状況がたいてい鉄火場なので多くの場合そのまま相手を殺害する、人質作戦で使っても時折人質の目や耳を痛める事例はある。


催涙ガス

吸い込むと涙やくしゃみが止まらなくなる特殊ガス。
手榴弾やグレネードランチャー等でガス弾を飛ばす他、個人でも携帯できるようスプレー缶に詰めたものが「催涙スプレー」の名称で売られている。
最近ではペン型や拳銃型の発射機もある。
第一次世界大戦から登場したそれと違って、OCガスなどの唐辛子を主成分に後遺症の残らないような成分で構成されているが、場合によってはアレルギーなどの症状を起こしたり、元々呼吸器疾患のある人は重体ないし死亡するおそれがある。


放水銃

英語ではwater cannon(水砲)。高圧の水を発射し、暴徒を鎮圧するための武器。主に大型車両や船舶などの乗物に搭載される。
近寄らずに使える絶妙な安全性から、過度の鎮圧活動の手始めとして使われる事も多い。その性質から海上保安庁では相手の船を足止めする際に使用する。
平時には消防用として使い回し、軍隊を出すに出せない状況でも配置可能な遠距離攻撃手段である事が強み。
確かにこれ単体なら死者は比較的出しにくいのだが、実際には『通常の警備用の武具<放水<殺傷用武具』という威力である。つまり、状況としては問答無用に警官や軍が突撃して逮捕する寸前だったり、実弾飛び交う一歩手前*4なので、むしろ危険なイメージが強い。

スリングショット

サイズと構造の関係上、パチンコ玉など殺傷力の低い物体を致命傷を与えない程度の勢いで飛ばすことが多いので、
フィクションでは非致死性兵器として使われることがそれなりにある。
しかし、現実においては使い方と当たりどころ次第なことと、兵器として使える場合は(仮に死ななくとも)障害を負わせる可能性も高いため、非致死性兵器には分類されない

寄棒(よりぼう)

捕物などで使われた六尺(約180㎝)程の長さのただの棒。
特に棒術を極めなくとも、人海戦術で使用するのが基本。

警棒

警察官や警備員の定番装備であるただの鈍器。英語ではbaton。
相手を下手に死傷させないよう、長さ太さ重さ等にも規定がある。
頭を狙うと致命傷を与えかねないため、犯人の手を叩いて凶器をはたき落とすなど、体の末端を狙って使用する。またこれを使い犯人を抑えつけるテクニックもある。

昔は単なる木製の丸棒だったが、近年は振ると伸びる伸縮式の特殊警棒*5が主流。
スタンガンが組み込まれているものや、催涙ガスを発射可能なものも。
アメリカでは、トンファーやポリスヌンチャクが警棒として使われていた事がある。

刺又(さすまた)

長い棒にY字型の二股に分かれた先端部が付いており、対象の首、腹、手足などをこの二股部分で捉え、壁や地面に押しつけることで拘束する。不審者対策として全国の学校に配備されたことで有名。
近年では、看板としても使える「さすまた看板」や先端部に足払いが付いている物、相手に当たると挟んでしまうアタッチメントが装着可能なキャッチマスターProケルベロスも登場した。

元々は江戸時代から使われていた伝統的な捕縛用武器で、野猿や野犬などにも使えなくはない。
犯人が掴んだりすり抜けたりできないように 二股にびっしり棘が生えている 物騒な構造をしたものもあり、リーチも長いのでかなり有用なのだが、一本だけ持って突撃しても捕まえるのは無理。基本的に多人数で少数または一人を捕まえ、これで抑えながらヒモなどで拘束、または警官が来るまでの時間を稼ぐ。

似た道具に先がT字型の「突棒(つくぼう)」や先のフックを服に絡ませ転倒させる「袖搦(そでがらみ)」があり、江戸時代には刺又・突棒・袖搦を併せて「捕物の三つ道具」と呼ばれたとされる。弁慶の七つ道具にも含まれている。
ちなみに消防署のマークも刺又を象ったものだが、これはかつての町火消しが延焼を防ぐために刺又を使っていたのが由来。大捕物ともなると人海戦術のために町火消等も駆り出され、梯子で犯人を囲みつつ掛矢や熊手等も持ち出して鎮圧にかかっていた。

十手(じって)

江戸時代の警棒とされるが、本物の実存数は驚くほど少ない。存在そのものは室町時代辺りからあるとされる。
犯人を取り押さえるための十手術も色々編み出された…と学んだかもしれないが、日本刀に対抗などできるわけなく、それどころか木刀相手ですら難しい。
実際は武器ではなく岡っ引きの身分証*6であった模様。

逆刃刀

フィクションでは珍しい完全な非致死目的の武器。要は「常に峰打ちをするための」である。
金属製である以上鈍器としては十分機能するため凶器には違いなく、そもそも逆向きというだけで刃は残されている。作中でも触れられているが『突き』の場合は一般的な日本刀と同じ殺傷武器と化す。
...にも拘わらず、作中では脳天だの胴体だのにバカスカ必殺技を叩き込みまくっているのに死んでいないことが不思議な描写も多いなど、
連載当時からツッコミが多かったせいか北海道編で「絶対に相手を殺さないように相手の実力を推し量った上で攻撃の瞬間に適度に力を緩める必要がある」とフォローされ、
むしろ殺人剣の達人でなければ使いこなせない事が説明された。
また「人を殺したくない主人公が逆側とはいえ刃が付いた武器を使うのはなぜか」という指摘もあるが
逆刃刀を作った刀匠は「殺したくないと言っているがいざとなれば斬れる剣でその誘惑に耐えて戦えるか?」という意図を込めており
剣心もその心意気を汲んであえてその誘惑に耐える道を選択している。
とはいえさすがに人間以外なら結構躊躇なく逆刃を使う*7し、剣心も「この逆刃刀は人以外ならなんでも斬り裂く」と豪語している。
大体が斬らないとマズイ代物だが、観柳邸の街灯だけは単に観柳にブチギレて宣戦布告を兼ねて観柳邸に街灯をぶっ飛ばすという壊す必要が全くないのに壊した例外中の例外だったりする

ちなみに、るろうに剣心は廃刀令が発布された時期を舞台としているのだが、剣心の逆刃刀が規制対象かどうかは地域によって解釈が異なる、グレーゾーンとして描写されている…というよりは、
剣心が暮らしている地域では警察側が剣心の人柄を信じて「仕込み杖よりも安全な代物」と黙認してくれているというのが正しい。
どちらにせよ当時の 佩刀禁止令 は武士の特権である腰に刀を帯びる権利の廃止であり
腰に帯びずに手で持ったり背中に括り付ける分には合法である。*8
剣心のように日本刀にしか見えない刀を腰に帯びて普段から街を歩いている以上その刀に刃があろうが逆向きだろうが警察に叱られるのはやむを得まい。
読み切り版の剣心は逆刃刀だから廃刀令違反にならないとのたまってたそして警官にんなわけねーだろと追いかけられたが、さすがに本編の剣心は廃刀令違反である事は意識している。

長らく『るろうに剣心』のオリジナルとされていたが、最近になって逆刃刀と同じ構造の小刀が発見された。
こちらは実用品ではなくジョークグッズの類として作られたと見られている。

また逆刃ではないが、捕物用として刃の無い鉄刀が作られる事もあった。折れない事優先で刀身を太く厚くし、さながら鉄製木刀の様な代物もあった模様。



ヒモ状のもの

Bola(ボーラ)

二個以上の石などの重りを紐で結び付けたもの。サイズを調整すればトンボを捕まえることができる。
紐を持って振り回し勢いをつけてから投げつけ、獲物の足に絡ませて転倒させる。
主に南米で使われていた狩猟道具で、原始時代には既に用いられていた。

Bolawrap(ボララップ)

上記のボーラを機械的に射出できるようにしたもの。アメリカのラップテクノロジーズ社が開発したもので、ワイヤーを発射して相手を縛り上げる。
大きさはテレビのリモコンほどで、発射の際は内蔵されたレーザーポインターで目標を狙う。
近年では形状は違うものの、ゲーム作品でも採用された。

投げ縄

先に大きな輪を作った縄で、アメリカなどのカウボーイ等が主に牛を捕まえるのに使うが、フィクションでは人間を捕まえるのにも使われる。
日本でもシカの捕獲用に十字投げ縄という物が使われる。

万力鎖

万力や鎖分銅などとも呼ばれる、両端に分銅のついた鎖。
主に上方(現在の関西地方)で捕物道具(とりものどうぐ)として使われていた。
使用時には鎖を犯人の体に絡ませたり、分銅部分をぶつけたりする。

古代ローマの剣闘士の中には、網と銛(またはトライデント)で武装する「網闘士」がいた。
網は相手に投げ被せて動きを鈍らせたり、相手の武器を絡めて封じたりという使い方をする。

フィクションでは捕獲用の武器として多用される。
昭和の頃は、普通の人間以上の身体能力を持っていそうなスーパーヒーローや巨大人型ロボットでさえもコレでアッサリ捕まるという光景が珍しくなかった。
また警察などが使う武器としてネットランチャーがある。



その他

音響兵器

ウェスタンソング「インディアン・ラブ・コール」日本の鬼の「音撃武器」ではない。
指向性スピーカーによって不快な音を浴びせ続けることで、相手を無力化する兵器。アメリカ製の「LRAD(長距離音響発生装置)」などが有名。
海上自衛隊も護衛艦に搭載した音響兵器によって海賊の撃退に成功している。
「音」は完全に防御するのが難しいため、実際の戦場でも用いられることがある。
これも高出力の音波を浴び過ぎると聴覚障害を起こす可能性が指摘されている。
…というか兵器になるほどの出力だと出しっぱなしだったり、さっさと逃げられなかった場合、まず後遺症が残るだろう。
かつて理想的な立体音響技術として注目を集めていた「ホロフォニクス」がロストテクノロジーと化したのは、もしもこのような形で軍事転用されたら誰も手に負えなくなるため意図的に封印されたのではないかとする説がある*9
たまに常識はずれの音痴がこんなふうに言われたりすることもある。

悪臭兵器

耐えきれない程の酷い悪臭を散布し、暴徒などを無力化する兵器。イスラエル製の「スカンク」やスウェーデンのシュールストレミングなどが有名。
環境保護団体のシーシェパードも酪酸で作り出した悪臭弾を使用しており、捕鯨船の無力化を狙った嫌がらせに使用した例が報告されている。
悪臭を相手の衣服に染み付かせることで、相手の士気の低下と服装の着替えなどのための一時的な撤退という効果が期待される。
しかし、主な用途は(業務)妨害や過激な鎮圧活動だったり、催涙スプレーで同様の問題を起こしたりと、血生臭くないだけで迷惑な印象などの方が強い兵器。

ドクササコ

キノコ界の非致死性兵器。
単体ではまず死に至ることはないが、その代わり食べると長い期間苦しみまくることになる。
むしろ、 あえて殺さない ことに悪意すら感じる。



フィクションの非致死性兵器

敵を殺さないということで、不殺主義者が使うことがある。
悪人を殺さず捕まえるという目的では、警察関係者や探偵が使うことが多く、一般人でも自分たちに被害を遭わせた泥棒相手に使ったりもする。
逆に悪人側も逃亡・妨害・捕獲・拉致などを行う時に使うことが多い。
臭い靴下を悪臭兵器として使うなどギャグ色の強い兵器も多数。

現実に存在する非致死性兵器を誇張した存在もフィクションではよく見る。
麻酔銃は一発で敵を昏倒させる超兵器として扱われるほか、スタンガンの延長で電気攻撃が不殺兵器として出てくることが多い。
パンチ(技)やチョップで相手を昏倒させるシーンもあり、打撃攻撃であれば不殺寄りのものとして扱われるようだ。




追記・修正は誰も傷つけないようにお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 武器
  • 武器項目
  • 非致死性兵器
  • スタングレネード
  • ゴム弾
  • 催涙ガス
  • スタンガン
  • 警棒
  • 不殺主義
  • 逆刃刀
  • 鈍器
  • 警察
  • 護身用具
  • 捕物

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月27日 14:42

*1 ただし軍隊系の特殊部隊など、状況や条件に応じて度外視される。

*2 ハーグ陸戦条約と化学兵器禁止条約に二重に違反している。

*3 依存症については手術等の事故よりも、必要でも無いのに摂取する形が多い

*4 主に威嚇射撃だが、撃つときは撃つ。牽制射撃の弾が自由落下して人に当たることもままある(大抵の場合人が密集しているからなおさら)ので危険

*5 この名前自体は商標登録されてるので、公式文書などでは別の呼び方を使う

*6 ただし、実際には岡っ引きに貸与されるものではなく、江戸町奉行所の与力や同心などが持つものとされている。そのため岡っ引きが本物を持っていたら非合法で作らせたものか盗品ということになる。

*7 作中では木砲の砲弾、斬馬刀の刀身、観柳邸の街灯、炸裂弾の導線、アームストロング砲の砲身、参號夷腕坊の腕、グレネードランチャーの砲身などをぶった斬っている。

*8 「武士の象徴」の廃止であるので腰に帯びることができないのならあんな重くて邪魔な刀を護身用に持ち歩く理由がない。

*9 ちなみに、ホロフォニクスのレシピは厳重に秘匿され、この技術を開発した本人しか取り扱うことができなかった。