決闘

登録日:2018/06/10 Sun 18:10:51
更新日:2024/03/23 Sat 01:24:39
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決闘とは、二人の人間が互いに譲れないものを賭けて戦うこと。
血斗と当て字されることもある。


概要

司法制度が未発達な時代では、揉め事の解決に政治家を頼ることが難しいことがしばしばあった。
そのため、「勝った方が正しい」というごくシンプルな裁定方法がヴァイキングのホルムガンガなど世界各地で自然発生した。
互いに示し合わせてルールを決めた上で決闘を行い、勝った方の主張が認められる、という形式である。

発生当初は「神は正しい物に味方する」という神託裁判の形式も含んでいたが、時代が下るにつれ単に決闘者の勇気を示す儀式へと転じていった。
「フェーデ」として制度化されていた時代は、 人質を取って金品目当てに決闘を申し込む 盗賊騎士と呼ばれる輩が跋扈し、
その後司法制度が整っていくに従い、決闘自体も不要で野蛮なものであるとみなされるようになり、現代では日本をはじめとするほぼ全ての国で決闘は犯罪となっている。


世界各地の色々な決闘

ヨーロッパ


一番有名で伝統的な決闘。フィクションでも一番よく見られるタイプではないだろうか。
特に「相手に手袋を投げつけ、それを相手が拾うと決闘の受諾となる」という形式は良く見られる。
要するにこういうことだ。


決闘を申し込む!

   /⌒ヽ
`⊂[( ^ω^)
  / (⌒マ
 (⌒\ヘ」つ
  > _)、
  じ \_)\\\
      n_
      [L_三) (
         (⌒
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`// ⌒ヽ /\(^ω^ )
(/L_\二) (ニ)  \
 / (_\  L人 ̄~)ニ)
/ / / ノ  < <\ \
ヒニフ (二)  (二) ヽニ)

特に侮辱を受けたと感じた側が、名誉の回復を求めて決闘を申し込むことが多かったようだ。
基本的には対等な立場同士で行われるものであり、また農奴や自由民は決闘を申し込めなかった。

決闘は当事者2名とそれぞれの介添え人(セコンド)と審判の合計5名で行われるが、大抵はそれに加えて多くのギャラリーが詰めかけていた。
挑戦者が成人男性なら、その当人が戦うのが望ましいが、女性や子供、老人なら代闘士(チャンピオン)を雇うことが認められていた。
後に代闘士を雇うのは全ての階級で認められるようになった。

決闘の方式は時代によって異なるが、中世ならば、近世以降なら拳銃を用いることが多かった。
大抵は全く同じ武器を二つ用意し、公平になるように配慮がされている。

初期はどちらかが死ぬまで行われる血なまぐさいものが中心だったが、
やがて「どちらかが傷を負ったら負け」「武器を落とされたら負け」のようにレクリエーションに近い形式のものも増えて行った。


アメリカ

西部劇で有名なガンマン同士の決闘で知られる。
決闘する者同士が互いに背を向けて三歩離れて拳銃を抜き合い、撃たれた方が負け、というシンプルなもの。

ちなみにこの決闘にはちゃんと法的根拠があり、
まともな法整備がされていない未開拓時代においては「いかなる理由があろうと先に銃を抜いた方が悪い」と決まっていたのである。
そのため、「互いに銃を収めた状態で向き合い、相手に先に銃を抜かせた上で撃ち殺す」ならば「無罪」とされていたのだ。

なお、他の国と違い今でも一部の州では決闘のルールに関する法律が残っている。
もっとも、法律上有効であるとされるかどうかは裁判所の判断次第であるが。


日本

「果し合い」という決闘方式が長年に渡って受け継がれている。
拳銃がほとんど普及しなかったので、近世に至るまで果し合いの主流は日本刀であった。

基本的には相手に果たし状を送りつけてそれを相手が受諾すれば決闘となるが、
町中などでも自身の名誉が傷つけられたと感じたならば刀を抜いて決闘を申し込むこともあったようだ。
江戸時代以降は表向きは非合法になったが、巌流島の決闘のようにどこの領地でもないような場所で行われることはあったようだ。
忠臣蔵の前日譚の一つでもある「高田馬場の決闘」も果し合いだが、決闘の当事者が双方共に斃れ助太刀一人だけ生き延びるという珍しい話であった。

その後明治時代になると、「決闘罪ニ関スル件」という法律が施行され、一気に決闘の風習は廃れることになる。

なお、この法律 施行から120年が経過しているにもかかわらず一度も改正されていない 稀有な法律である。
そのため、現在でも決闘を目論んだ場合、当事者だけでなく審判や観客、場所や武器を提供した者など、関係者は軒並みこの法律を根拠に逮捕されることになる。
まぁ当事者はこの法律以前に暴行罪や傷害罪や殺人未遂が付く可能性が高いが。

一般人には縁のない古びた法律……かと思いきや、現代でも多少ながら適用例がある。
「暴走族の抗争」(暴力団と違って当事者以外のメンバーを組織ごとしょっぴくのが難しい)に際して決闘罪を適用することで、
ギャラリーごと芋づる式に引っ張ることが可能なのである。

「格闘技の試合は決闘にならないのか」という疑問を持たれることもあるが、アレはあくまで「格闘家としての正当な業務」なので、無論セーフ。
ただし、地下で巨大格闘技大会を目論んだ人たちや、経済的紛争を代理闘士の試合で解決しようとしている人たちは、正当な業務とみなされず決闘罪になる可能性が高い。まあどっちも法律の外でやってるような連中だが


カードゲーム世界

なぜか「デュエル!」と叫んでカードゲームをプレイすることで揉め事は大抵解決するようになっている。
これに関して決闘罪が適用されることは基本的にないようだ(死傷者も出ているため普通の決闘並に危険なのだが……)。
むしろ法より優先される例すらあり、結果を覆そうとするものは大体ひどい目にあう。

ちなみに「デュエル(Duel)」はそのまま英語で「決闘」の意味で、「決闘(デュエル)」とルビが振られる事も。
「デュエル」は元々はマジック:ザ・ギャザリングにおける用語だったが、
使われなくなった後、2004年にKONAMIによって商標登録された。

カードゲームに限らず、あらゆるホビーアニメ・麻雀漫画では、
ご近所付き合いから惑星間戦争まであらゆるトラブルは玩具か麻雀で解決できる事になっている。

なお、初期の遊戯王はゲームで直接解決するのではなく、ゲームで勝ったという結果を出した後に罰ゲームに持ち込むことで解決していた。


著名な決闘

  • 巌流島の戦い
1612年頃に行われた、当時剣豪として名を馳せていた宮本武蔵佐々木小次郎の決闘。
決闘の経過や背景に関しては定説がなくはっきりしておらず、
実はサシの勝負ではなく各々弟子を呼び込んでの乱闘だった、武蔵が小次郎をおびきだし手下と集団で叩きのめしたといった説まであったり。

  • OK牧場の決闘
1881年10月26日、アリゾナ州トゥームストーンのO.K.コラル近くの路上で起こった決闘(実際には乱闘騒ぎに近いが)。
クラントン兄弟をはじめとするカウボーイズたちが当時対立していたワイアット・アープら保安官達を襲撃。激しい銃撃戦となった。





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最終更新:2024年03月23日 01:24