ひそねとまそたん

登録日:2018/06/02 (土) 23:38:06
更新日:2020/12/08 Tue 11:27:13
所要時間:約 8 分で読めます







空に重ねた未来に、君が聞こえた。



概要

2018年4月12日より放送開始した、ボンズ制作のオリジナルアニメ。全12話。

スタッフには総監督に平成ガメラシリーズや『シン・ゴジラ』の樋口真嗣、
脚本に『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。』の岡田麿里、
キャラクター原案に『きみの声をとどけたい』の青木俊直などといったメンバーが集う。

伝説と思われていたが、実は日本で密かに匿われていたドラゴンと、
それに関わる運命を背負った新人航空自衛隊の少女達の物語を描いている。

青木絵のほのぼのとした雰囲気と可愛らしいドラゴンで牧歌的な雰囲気もするが、そこはマリー起用作品なだけはあり後半には結構不穏な展開もあったりする。

樋口監督で、少女と伝説の生物が交わる…どこかで見たような…?


あらすじ


甘粕ひそねは、航空自衛隊の岐阜基地に勤務を始めた新人だ。
素直すぎて無意識で他人を傷つけるのに疲れ、人気限定の自衛官を選んだのだ。
だが、運命の出会いが彼女の人生を根底から変える。
基地に秘匿された戦闘機に擬態するドラゴンがひそねを選び、大空高く舞い上がったのだ。
こうして「OTF(変態飛翔生体)」であるドラゴンに乗り込む飛行要員が、ひそねの仕事になった。
国家的な命運を左右するとも言われるドラゴンには、
はたしてどんな秘密が隠されているのだろうか……。

(「ひそねとまそたん」TVアニメ公式サイトより抜粋)


登場人物

Dパイ(ドラゴンパイロット)及び候補生

■甘粕ひそね
CV:久野美咲
階級:2等空士→2等空曹
TACネーム:【HSN(ひそね)】
素直で真面目な性格。思ったことをオブラートに包みもせず口にしてしまう悪癖があり、無意識に他人を傷つけてしまうことが多い。ひそね自身もそれを気にしている。
はじめは事務職についていたが、格納庫で出会ったドラゴンに見初められ飲み込まれたことでDパイに選ばれる。
そして「まそたん」と名付けたそのドラゴンとともに、不器用ながらも自分の運命と向き合っていく。


■貝崎名織
CV:黒沢ともよ
階級:2等空士→2等空曹
岐阜基地のDパイ候補生。小柄だが喧嘩っ早い性格でひそね曰く「小学生ヤンキー」。
かつてDパイだった母親に憧れており、彼女自身もひそねが来るまでは最有力候補だった。
ドラゴンに選ばれたことへの嫉妬からひそねに執拗な嫌がらせを続けていたが
ある日脱柵した末に負傷し、身動きできなくなっていたところをひそねとOTFに助けられてからはそのようなことはなくなった。
それ以後はひそねのどこかズレた発言に対してツッコむ役回りが多い。


■星野絵瑠
CV:河瀬茉希
階級:空曹長
TACネーム:【ペンギン】
福岡県築城基地のDパイ。
クールな性格で、文部両道でスタイルも良いショートカットの美女。
幼少時に見たF-2A戦闘機に強く憧れて以来、戦闘機パイロットを目指し男性社会の中で努力してきた。
その一方でエリート意識が強すぎたり、「戦闘機パイロット」という肩書にこだわるあまり
F-2Aに偽装する自身のOTFに愛称をつけていなかったり、F形態を解かせないなど理解には乏しかった。
しかし無人島での合同訓練を境に、F-2Aの想いを知ったことで彼を受け入れて「ノーマ」という愛称をつけ*1、絆を結ぶ。
TACネームの由来はペンギンの群れで一番始めに飛び込む個体「ファーストペンギン」から。


■絹番莉々子
CV:新井里美
階級:2等空曹
TACネーム:【ジミー】
青森県三沢基地のDパイ。
冷静で頭が回るがそれが却って物事の最低ラインを見極めてしまうため、常にネガティブ思考。
視線恐怖症であり他人とのコミュニケーションも苦手だが、
空気を読むことには長けているらしい。故に状況判断力も高い。
漫画『キングダム』を愛読している。
TACネームはそのまま「地味」から。


■日登美真弓
CV:名塚佳織
階級:2等空曹
TACネーム:【モーリス】
埼玉県入間基地のDパイ。
大柄でふくよかな体格の女性で、その外見に違わぬおっとりした女性。
もとは動物園で飼育員をしており、猛獣に懐かれているところをDパイにスカウトされた。
ドラゴンの言葉や気持ちを自然と理解しており、通訳することもある。
一方で、絵瑠のOTFをモノ扱いするような言動に対して静かにブチ切れたこともあった。
その際口調が荒くなり、手に持っていたシャンプーボトルを握りつぶし破裂させている。
TACネームは自身が搭乗するドラゴンの太腿が「モリモリしてる」から。


航空自衛隊岐阜基地関係者

■小此木榛人
CV:梶裕貴
階級:空士長
整備員。
登場シーンでは主にまそたんの世話をしている。童顔だがタバコを愛煙する。
ひそねに助言することもあり穏やかで優しい性格だが、押しが弱いため上から厄介事を押し付けられることも。
ひそねにとっても彼のことは良き理解者となっているようだ。


■財投豊
CV:徳本恭敏
階級:1等空尉
戦闘機パイロット。
お調子者かつ女好きで「揺り籠から墓場まで」「フェーズドアレイ並みにビンビン」というほどストライクゾーンが広い。
特に絵瑠が岐阜に来てからはなにかと彼女に絡んでいる。なお、ひそねにだけは反応しない模様。
その一方でパイロットとしての経験は豊富で、確かな腕を持つ。
TACネームは【ZETTON(ゼットン)】。…この世界でもウルトラシリーズが放送されてるのだろうか?


■柿保令美
CV:釘宮理恵
階級:2空等佐
OTF飛行班班帳。気の強いクールな女性でありDパイを指導する立場にある。
かつては輸送機飛行班でパイロットを務めていた。


■曽々田弘
CV:中田譲治
階級:空将補
飛行開発実験団司令。
飄々としているが柔軟な思考の持ち主でもあり、ひそねが脱柵した名織の捜索願を出した際に
夜間飛行に紛れさせるという形でOTFの出動許可を下したりしている。
まそたんに選ばれ、その真名にも気{づいたひそねに一目置いているようだが…。


■森山
CV:斎藤千和
階級(元):2等空尉
3年前までまそたんのDパイを務めていた女性で、現役時代のTACネームは【フォレスト】。令美の元先輩でもある。
まそたんのことは「オスカー」と呼んでいた。表向きでは結婚・妊娠を除隊理由としていたが
実のところは「恋愛によってオスカーと波長が合わなくなり、乗せてくれなくなったから」だった。
現役時代はスタイル抜群だったようだが、一児の母となった現在はふくよかな体形になっており
それを見た元同僚たちは始めは気づかず、その変わりように驚いていた。
また、ひそねのTACネームを命名したのは彼女である。


その他

■樋本貞
CV:朴璐美
岐阜基地に出入りしている老齢のヤクルトレディーでひそね曰く「謎のジョアおばあさん」。
ひそねが悩んでいるところに現れては彼女に助言をし、ヤクルト製品を勧めてくる。

■幾嶋博己
CV:諏訪部順一
技術者であり、航空装備メーカー「岡本化成バーンズ/ウォリス 特殊被覆部 開発課」次長。
Dパイ専用パイロットスーツの開発を任されており、岐阜基地に入り浸っている。
伊達男であり、名織を筆頭に女性のファンも多いが自身はスーツの開発にしか興味がない変態。
名織にナンパのような手口で迫ることもあるが、その目的はやっぱりスーツ(の実験台)。


■飯干
CV:下山吉光
当初は事務次官とされていたが、後に宮内庁式部官と判明する。
74年周期でDパイとOTFを以てとり行われる「マツリゴト」を統括する立場にあり、
成功裏に収めるべく裏方で計画を進めているが…。
ご当地銘菓をこよなく愛する一面もある。



■三角棗
CV:福本莉子
「マツリゴト」のために呼ばれた女子高校生巫女たちのうちの一人。
小此木とは幼馴染で、彼のことが好きで「ハルくん」と呼んでいる。


OTF

古来より日本に存在している「ドラゴン」と呼ばれる生物の総称。
OTFとは「Organic Transformed Flyer」の略。おとうふではない。

かつては国の富の象徴とされ、OTFを巡り戦が起きたこともあったとされている。
権力者によって特定の何かに擬態させることでその存在を秘匿させることが続いており、
これまでには天女の羽衣や大凧といったものが隠れ蓑になっていたらしい。
航空機への擬態は日本政府発足からであり、帝国陸海軍を経て現在は航空自衛隊によって秘匿義務がなされている。
故に世間一般では「空想上の生物」であると思われている。

DパイはOTFに飲み込まれることで搭乗する形となり、そのままでは体内の胃壁しか見えないが
ヘルメット型デバイスのヘッドピースリアライザ(通称:ヘッピリ)を起動させることにより
胃壁がモニター代わりとなって透過され、周囲を見渡す事ができるようになる。

擬態の度合いで呼びが異なっており、
完全に航空機に偽装している状態はフォックストロット形態
擬態を解いたが航空機の換装を身に着けている状態は{ホテル形態}と呼ぶようだ。
レアメタルが好物のためガラケーを食べるが、人間の食物も食べられないことはない。

遥か長い時を生きている存在であるようだが、担当のDパイがその代限りの愛称をつけるのが慣習になっている。
ただ、それとは別に真名も持っている模様。

なお、OTFの声はいずれも講談師の神田松之丞氏が担当している。

■まそたん
種別:F-15J戦闘機
所属:岐阜基地
全高:5.6m(F形態時)
全長:19.4m(F形態時)
全幅:13.1m(F形態時)
ひそねが搭乗するOTF。身体は紺色で、巨大な翼と長い尾を持つ。
前任者のDパイ・森山の搭乗を拒否するようになってから約3年間、だれも受け入れてこなかったが
ひょんなことから格納庫を訪れたひそねを見ると彼女を飲み込み搭乗者として選んだ。
作中で唯一真名が判明しているOTFであり、ひそねは胃壁に埋め込まれた円盤状の板に
「間租譚」と刻まれていたのを見つけたことから「まそたん」と呼ぶようになる。
なお、森山のことは搭乗者としては受け入れなくなったが嫌いになったわけではないらしく、
彼女のTACネームを聞くとそわそわしたり、実際に再会したときは嬉しそうにしていた。

■ノーマ
種別:F-2A戦闘機
所属:築城基地
全高:5.0m(F形態時)
全長:15.5m(F形態時)
全幅:11.1m(F形態時)
絵瑠が搭乗するOTF。体色は赤で腕と翼が一体化した所謂ワイバーン型。シャープなフォルムがどこぞの超遺伝子獣に似ているような…。
岐阜に来てからなかなかF形態を解こうとしなかったが、
これは他ならぬ絵瑠の「F-2A戦闘機に乗りたい」という思いに応えるためであった。
無人島での訓練で彼の献身を知った絵瑠はOTFとしての彼を受け入れたことで「ノーマ」と呼ぶようになった。
ちなみに命名の経緯は「F-2(えふつー)→ふつー→普通→ノーマル→ノーマ」とのこと。


■あけみ
種別:E-2C早期警戒機
所属:三沢基地
全高:5.6m(F形態時)
全長:17.6m(F形態時)
全幅:24.6m(F形態時)
莉々子が搭乗するOTF。身体は黄色で、右目を眼帯のようなもので覆っている。
腕と翼が一体化した所謂ワイバーン型だが上半身に対して下半身が細く、尾のようなものが見られないなどその体形は独特。
E-2Cのロートドームを頭に被っており、これに隠れるようにしていることが多い。


■フトモモ
種別:C-1輸送機
所属:入間基地
全高:9.99m(F形態時)
全長:29.0m(F形態時)
全幅:30.6m(F形態時)
真弓が搭乗するOTF。緑色のずんぐりとした大柄な体格のドラゴン。
常にギザ歯をむき出しにして笑ったような顔をしている。
食いしん坊で、無人島での訓練時に勝手に食料を食べてしまっていた。
真弓曰く「太腿を撫でると気持ちよさそうにする」のでこう名付けたらしい。



主題歌

『少女はあの空を渡る』
歌:福本莉子

『Le temps de la rentree~恋の家路(新学期)~』*2
歌:Dパイ(ひそね・名織・絵瑠・莉々子・真弓)


余談

  • 第7話では漫画『キングダム』の実際の原稿が使用されており、エンディングのスタッフクレジットの「協力」欄に作者である原泰久の名前も載っている。

  • 放送された年の舞台となった岐阜基地航空祭では久野美咲が一日基地司令として参加した。

  • 所属しているF-15にはまそたんの目が描かれ展示飛行を実施、他にもまそたんと同じ実在しない「02-8999」の番号に変更されたものも展示された。

  • 放送終了の2か月後に航空自衛隊で初の女性戦闘機パイロットが誕生し機体はF-15だった。




「私は、君とツイキ・シュウセイをする。」



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最終更新:2020年12月08日 11:27

*1 ただし、その後の帰還時にひそねから「心の中ではF2じゃなくノーマって呼んでたんですか?」と問われた際、図星を指されたような反応をしていた。

*2 フランス人歌手フランス・ギャルのアルバム『すてきなフランス・ギャル』に収録されている「恋の家路(Le Temps De La Rentrée)」のカヴァー。