園咲琉兵衛/テラー・ドーパント

登録日:2011/02/05 Sat 15:46:35
更新日:2024/04/03 Wed 00:04:31
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ビルが溶け、人が死ぬ。
この街ではよくあることだ…

仮面ライダーW』の登場人物。


演:寺田農

●目次

【概要】


我が家族を乱す者は
この地上には存在を許さない。

風都に名だたる富豪一家「園咲家」の家長にして「風都博物館」の館長。
その威厳に満ちた佇まいは見る人に畏敬の念を与え、風都の名士でもある。
しかし、その裏の姿は風都を影で支配し、ガイアメモリを流通させ、ドーパント犯罪を促進させているミュージアムのトップである。

ミュージアムのとある目的のために非道を貫いてきた。
娘二人には全く異なる待遇を敷き、姉の冴子には幼少の頃から自身の後継者としてスパルタ教育を行い、妹の若菜には芸能活動を許すなど自由に育てさせた。
しかし、その教育方針が結果的に姉妹間の確執を生み出してしまっている。

かつては冴子と若菜の母親にあたる妻と同じく弟にあたる息子がいたようだが……。

名前の由来は『サザエさん』の磯野波平と思われる。



【テラー・ドーパント】


苦しいかね?でも今、すぐに楽にしてあげよう…

\テラー!/


残念だよ…家族が減るのは…。ハッハッハッハッ……!

身長:185cm
体重:97kg
特色 / 力:テラーフィールド生成によって敵に激しい恐怖心をあおり、自滅させる。
スーツアクター:横田遼

園咲琉兵衛が園咲家の所持する最上位メモリであるゴールドメモリ「テラーメモリ」とガイアドライバーで変身する『恐怖の記憶』を司るドーパント
黒い肌の人間のような簡素な体に、頭部にある巨大な青い冠「テラークラウン」*1が特徴的な、南米の古代人めいた風貌を持つ。
そのメモリだけで常に自信に満ちた態度をとっている婿養子の園咲霧彦を恐怖させるほど。


君はもう終わりだ。一生を恐怖の中で生きる。

精神干渉タイプのドーパントであり、最大の能力は黒い粘液状の精神干渉波「テラークラウド」で周囲を満たす〈テラーフィールド〉
これに接触した者や能力を視認した者に恐怖心を植え付けることができる。
ひとたびこの能力を受けてしまえば精神を恐怖で支配され、琉兵衛に歯向かう意思すら奪われた末に、発狂や自滅に追い込まれてしまう。
また、このテラーフィールド自体も単純にぶつけて物理的な攻撃手段に転用できるほか、壁のように展開して防御に利用したり、自身や対象を包み込んでワープしたりと、幅広い応用力がある。
この能力のため左翔太郎は早いうちから園咲家とガイアメモリの関係を疑うことができたのにもかかわらず、変身前の琉兵衛と出会った時点で気づかぬうちに恐怖心を植え付けられ、番組終盤まで無意識のうちに園咲家と関わることを避けるようになってしまっていた。

その能力の一端はドーパントとなっていない状態でも発揮可能な強力さで、警察すら「怖いから捜査できない」と言った子供じみた理由に疑問すら持てず引き下がったり、
翔太郎に至っては、博物館で琉兵衛と会った後、明らかに怪しい園咲家をろくに調べず、住んでる屋敷に近づいただけで恐怖で一瞬意識が遠くなり、やがて自分の排除を意識した琉兵衛が近づいてきただけで発狂寸前に追い込まれたほど。
ちなみにこの「ドーパント変身状態でなくとも超常的な能力を発揮できる、ハイレベルなガイアメモリユーザー」は後に『風都探偵』で〈ハイドープ〉と呼称されている。
もしかしたら琉兵衛もこのハイドープと呼ばれるものだったのかもしれない。


テラードラゴン


テラーを精神攻撃のみのドーパントと思うか?

君は噛み砕いて差し上げよう。物理的に(・・・・)ね。

体長:13.6m
体重:計測不能
特色 / 力:テラー・ドーパント頭部のテラークラウンが怪物化することで、超強力な物理攻撃を可能とする

頭部の冠テラークラウンから分離・実体化する巨大なドラゴン型のモンスター。
物理的にも相手を打ちのめすことができ、時折存在する精神干渉系の能力が効かない体質の人間にはこれで対応することが可能。
ただしテラードラゴンのエネルギー源には元々冠の中に充満しているテラークラウドが、肋骨の内部に渦巻く形で使われているため、その間テラーフィールドは使用できなくなってしまうのが欠点。
この他、掌から衝撃波を発する能力も持っており、接近してきた相手にもある程度対応ができるが、テラーフィールドやテラードラゴンの能力と比べると強力な能力とは言い難く、補助的な攻撃手段の域にとどまる。

琉兵衛自身が老齢なこともあり、テラードラゴンと分断されたうえで肉弾戦に追い込まれることが弱点となる。

また、明言はされていないがこのメモリもゴールドメモリらしく副作用があるようで、琉兵衛の場合「恐怖心」が麻痺していた様子。
自分の目的は人類にとって大義あるものとはいえ、そのために“恐怖”なく家族や人々を犠牲にする『自分』に恐怖していた琉兵衛は、家族の絆の象徴である「とある物」に執着するようになっていった。


【劇中での活躍】

長女の冴子が気に入った相手である霧彦を婿養子に迎え入れ、彼に同じくゴールドメモリの〈ナスカ〉を与える。

霧彦が未成年へのガイアメモリ流出の一件で組織を見限り、自身に反旗を翻すと裏切り者としてミックを差し向けた。

井坂深紅郎が愛娘の若菜を実験台にしていたことに静かながら憤りを感じ、釘をさしていた。
また、冴子が井坂と何か企んでいる事にも気付いていた。

冴子が井坂と造反すると処刑人としてミックを差し向け、新たに若菜をディガルコーポレーションの代表にした。
彼は最初から冴子ではなく若菜を自身の後継者として選んでおり、最強のメモリ〈クレイドール=神に捧げられる土人形〉を与えていた。

そして計画が最終段階に進むと、ミュージアムの悲願である〈ガイアインパクト〉の達成のためにフィリップを狙う。

ガイアインパクトの計画に至るきっかけとなったのは彼が発掘作業で地球の意識そのものと接触したこと。
そこで琉兵衛は「人類もまた、恐竜と言った生物と同じくいずれ滅びる存在」であることを知り、やがて来る人類滅亡を回避するために行動を起こした。
財団Xから支援を引き出し、ガイアメモリをばらまきながらデータ収集を重ね、地球の本棚に直結しうる仮面ライダーWを泳がせるなど、ガイアインパクトに向けて準備していた。
Wを放置していた理由の一つは、左翔太郎に対して初めて風都博物館で出会った時にすでに恐怖を彼に植え付けており、そのため自分といざ相対すれば何も出来ないことを知っていたためである。


フィリップの本名は園咲来人、彼の実の息子である。
また、敵対しているシュラウドも彼のかつての妻園咲文音で、最愛の息子を道具として扱われ、復讐のために離反した。


そして琉兵衛は、計画に必要な紛失していた「イーヴィルテイル」を発見した上で、ガイアインパクトの計画を最後に実行。
再びフィリップをミュージアムが始まった場所である泉に突き落とし、若菜を地球の巫女としたガイアインパクトを開始する。
人類滅亡を回避する手段とは、若菜が『地球の巫女』として地球と契約し、人類を地球と結ばれた滅びない種族に変えるだった。

なお、彼が計画の要として大事にする〈イーヴィルテイル〉とはかつて愛用していた作業用の刷毛に家族の名前を書いたものだった。
それを家族の絆として保管し、現実の家族には非情に徹していた。つまり彼の人生もまた、ガイアメモリと人類の滅亡に対する「恐怖」によって狂ってしまった人生だったとも言える。

しかしガイアインパクトの最中、シュラウドの助言でフィリップは間一髪で泉から脱し、若菜は昏睡状態に陥ってしまう。
フィリップと共にテラーの恐怖を克服した翔太郎に負けてメモリを砕かれ、炎上する邸宅で意識を取り戻す。
若菜の意識と肉体が地球とつながり、地球の未来は彼女に無事託されたことを理解する。
自分の使命は果たされたと理解した彼は、地球と、そして愛した家族に思いを馳せながら踊り明かし、炎の中に消えていった。

そうか…! 今、地球の未来は確かに女王に託されたのだ!

私の人生に後悔はない…! 踊ろう母さん!あの日のように…!ハハハハハ……!


それから1年後、依然として絶えないドーパント犯罪に自ら決めたガイアインパクトを決行してフィリップを蘇生させた若菜達と死後の世界で再会。
妻子達とも以前のような家族に戻っていた。再び命を授けられたフィリップの背中を後押しし、彼を笑顔で送り出した。


【その他の作品での活躍】

オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー

テラー・ドーパントの姿としてのみで登場し、セリフもない。
ショッカーと同盟を結んだドーパントの代表としてショッカーの世界会議に参加していた。

仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズMOVIE大戦 MEGAMAX

財団Xが生み出したダミーが登場。
日本某所・空港X付近にて他のダミー怪人達と総出で仮面ライダーオーズを襲撃するも、仮面ライダーフォーゼとオーズの手でアストロスイッチ・コアメダルの状態から復活した伝説の7人ライダー&仮面ライダーアクアと交戦。
自身は仮面ライダーストロンガーと戦い、手から光弾を放つも全てかわされた挙句、「ストロンガー電キック」の一撃で葬られた。

『仮面ライダーゴースト 伝説!ライダーの魂!』

仮面ライダーゴースト』のネット配信限定特別編の第2話『ダブル編』に、テラー・ドーパントの姿で登場。CVは原典同様、寺田氏が担当。
謎の少女・フレイにより復活させられ、駆けつけた深海マコトが変身した仮面ライダースペクターと交戦。
テラーフィールドで彼に恐怖を与えるが、「タケルとカノンが愛したこの街を守る」と決意したマコトには効かず、克服された*2

その後、突如現れたジョーカーメモリが変化したダブルゴースト眼魂でダブル魂に変身したスペクターの「オメガドライブ ダブル」に敗北。
「家族のもとへ戻るとするか……」と言い残して、爆散した。


風都探偵では?】

W本編のその後を描いたこの作品でも故人であることは確定。
それでも回想や幻影の形で何度か姿が映っている。

『死神はLの顔』の章においては、回想としてガイアメモリ精製とその量産に必要な専門家4人を引き入れる『園咲琉兵衛のビギンズナイト』ともいうべき一幕が描かれた。
さらにはその『園咲琉兵衛のビギンズナイト』に居合わせた一人を見込み、自分の死後に最高級品である金のメモリを届けるよう手配してあったことが明かされる。
ちなみに与えたメモリは『Laugh(笑い)』歯が開く形で「L」を表している。
金のメモリだけあって強力であり、また概念系メモリだけあって能力が特殊かつ応用幅が広いのが特徴。結果として翔太郎は連続殺人の防止に失敗し二度取り逃がしている。

琉兵衛の「恐怖」の対ともいうべき「笑い」が、またヒーローの戦う理由として「人々の笑顔」を掲げる主人公もいる中で「笑い」が敵側の能力に回るのは皮肉なものである。
だが笑いと一言で言っても「恐怖でひきつった笑い」や「他人を馬鹿にした笑い」のような良くない笑いがあるのも確かであり、この章でも様々な「笑顔」が描かれる。


【余談】

演者の寺田農氏はかねてから特撮作品にも前向きに出演していたが、特撮が若手俳優が多く長く出演するジャンルとして知られてきたのもあり、
オファーの際には「共演者で気になるところがあったら指摘していいの?長くやるなら直してほしいことは直してもらわないと。」と確認し、了承を得たことで出演を決めたという。
その言葉の通り、特に共演時間の長い娘役の2人には良家のお嬢様に相応しく見えるよう細かい部分に度々指導を入れ、時には監督のOKを遮ってもう1回撮るよう勧めた厳しい場面もあったと語るが
当の娘役である生井氏と飛鳥氏としては寺田氏の指摘は分からない部分を助けていただく形でありがたく、またその指導も丁寧なものであったという。
寺田氏は娘役2人に応えて撮影の合間にムスカの台詞もやってあげたとか。

ムスカといえば「見ろ!人がゴミのようだ!」という台詞が有名であるが
琉兵衛は序盤で項目冒頭のように「ビルが溶け、人が死ぬ。この街ではよくあることだ」と語る。
つまりは「この街では人がゴミのように死ぬのは当たり前だ」と平然と語るようであり、さながらムスカの悪役ぶりがスケールアップしたようとも取れるだろう。


また寺田氏はWの5年後に放送された仮面ライダー鎧武外伝にて、呉島貴虎光実兄弟の父親も演じている。



見て分からんかね?追記・修正の誘いだよ。



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最終更新:2024年04月03日 00:04

*1 中国の妖怪「饕餮(とうてつ)」がモチーフになっている。

*2 この際、「君も恐怖を克服するのか?」と発言している。