井之頭五郎

登録日:2012/05/14 Mon 03:27:28
更新日:2024/03/23 Sat 23:05:23
所要時間:約 5 分で読めます




モノを食べる時はね
誰にも邪魔されず
自由でなんというか
救われてなきゃあダメなんだ

独りで 静かで 豊かで……




井之頭(いのがしら)五郎(ごろう)は、漫画『孤独のグルメ』の主人公。
ドラマCD版の声優は小山力也氏。アプリ「アニメBeans(旧・タテアニメ)」配信のアニメ版での声優は堀内賢雄氏。実写ドラマ版では松重豊氏がSeason10まで一貫して演じている。



【人物】


個人で輸入雑貨の貿易商を営む中年男性。
「男は基本的に体ひとつでいたい」という信条を持っており、結婚はしておらず自分の店も持っていない。
(※趣味程度の小さなものなら開いてもいいと考えている)
車は外車で、持とうと思えば店を持てるほどの余裕があったりセレブなお得意さんが居たりと中々儲かっている様子。
高い食事の1~2回程度でグラつくほどヤワな収入ではないことがうかがえ、実際食事に関しては出費を気にしている様子はほとんどない。
とはいえ、高い店を好んでいるわけではなく、回転寿司やたこ焼きの屋台などの庶民的な店にも入って食事を楽しんでいる他、
ライス代200円が帰ってきて「得しちゃった」と嬉しそうにしたり、コンビニで2000円くらい食品を買い込んで「結構いっちゃったな」と述懐するなど、浮世離れした金銭感覚というわけでもない。
要は「食べたいものを食べる」のが最優先で値段の高安には拘泥しない、食べることを趣味のように楽しんでいるタイプなのだろう。

原作では五郎の正確な年齢がわかる描写はないのだが、ドラマの彼は原作よりも(何年かは不明だが)年月が過ぎた設定である。
これは原作は80年代の実在の店をモデルにして90年代に描いた漫画なのに対して、
ドラマは撮影時に実在する店で収録しているため、描写される時代背景のずれをフォローするためと思われる。
そのドラマ内で「赤羽に来るのが20年ぶり」という趣旨の発言があり、これを踏まえるなら、
原作で赤羽のうな丼を食べていた時が30代、ドラマ版は50代「くらい」と思って見ると外見の印象からもずれないので良いかもしれない。

鷹揚で物静かな佇まいをしているが、実際は結構神経質で些細な事が気になってしまいがち。
心中であーだこーだと自問自答したり、独り言をつぶやく事も多い。
また、お腹が減ると精神的余裕がなくなり、イライラしたり焦ったりして失敗することもある。

基本的に孤独を好み、アットホームな雰囲気の店や騒がしい関西人のノリは苦手。
初対面の人間には社交辞令程度の受け答えしかしないが、決して人付き合いは悪くないようで、
滝山淳太という同業者の友人が居たり、若い頃は大女優の小雪(さゆき)と付き合っていたこともある。
小雪以外の女性とも付き合った経験があり、結構モテるようだが、あまり長続きはしないらしい。
また、外国人観光客を見かけて彼らのカメラで二人の写真を撮ってあげるなど、寡黙ながら結構親切。

甘党で、特に餡やミツなどを使った和菓子には目が無い。
その反面下戸であり、酒は全く飲めない。
本人は「前世によほど酒で痛い目にあった者がいたらしい」と冗談交じりに語っている。
そしてなによりかなりの大食漢であり、最初に注文したものを食べただけでは物足りず追加注文する事も多い。
ドラマ版ではどちらにするか迷った店の名物丼を結果的に両方食べることになり*1、店の女将さんに苦笑されたことも(東北スペシャル)。

劇中では主に大衆食堂に寄ることが多いが、場合によっては回転寿司などのファーストフード店やコンビニに入ることもある。
ただハンバーガーショップに関しては、「日本のはガキ臭い所」として敬遠している。
過去に嫌なことでもあったのか、それとも海外の御洒落なところが気に入っているのか。

行列には並ばない派で、以前当たりだった店でも行列が出来ているというだけで選択肢から外すレベル。
これは後述の食事への姿勢から「自分が食べ終わるのを待つ人がいる」という状況を苦手としているため。

喫煙者で、食後に一服するシーンが度々描かれている。

少年時代に古武術の館長だった祖父に鍛えられた経験があり(曰く「高校生ぐらいまで、毎日こってりしぼられた」)、服を脱ぐと今でもかなりの筋肉質。
彼が大食漢なのも、こうして鍛え上げられた肉体が求めるもの…と考えればごく自然なのかも知れない。

なお、作中では仕事でもプライベートでも常に背広姿。
徹夜覚悟で事務仕事をしていた回でも、自宅、あるいは個人の仕事場と思われるマンションの一室で、
既に深夜の時間帯であるにもかかわらず、カッターシャツにスーツのズボン姿であった*2
一度だけジーンズにシャツという私服姿が描かれたが、シャツをきっちりジーンズに入れていた

高校野球には興味がないらしいが、甥っ子の太(ふとし)が甲子園の予選の準々決勝にエースとして出場したときには、
姉が2年前に離婚したこともあり4年も会ってない甥っ子のことが気にかかり、炎天下の中応援に駆けつけた。

19年10月に出た小説版で色々と過去が明かされており、その設定がアリならば、
東京の西部で生まれ育ち、最初は普通に企業でサラリーマンをしていたものの、会社勤めが性に合わず3年程度で衝動的に退職。
その後ある人物に誘われて彼の仕事を手伝うことになったが、その仕事は予備知識もないのに突然海外に品物の買い付けに行かされるようなものだった。
四苦八苦しつつも達成しその経験が現在の個人輸入雑貨商の職につながったらしい。
父親は60歳で亡くなったが母親は存命で、年末年始は母・姉・甥の太と実家で過ごすことが多い。
シウマイ弁当を勧めてくれた滝山が一番の友人という扱いらしく(友人自体は他にもいる)、滝山俊平という名前を与えられた上に描写が大きく追加された。

ただし小説版の作者は漫画版の初代担当者だが、原作者の久住昌之氏は直接手掛けておらず、
些細なことだが既存の設定と矛盾する描写もあるため、小説版の内容すべてをいわゆる「正史」とみなすべきかは断言を避ける。
例えば、小説版の五郎は「20年来 腕時計をはめたことがない 」と言っているが、ドラマ版の五郎はタグホイヤーを愛用している他、
漫画版でも、神宮球場でカレーを食べた回では上半身裸になるほど暑いのに時計を外していない。

一時期、同じ原作者の『花のズボラ飯』の主人公駒沢花の旦那(名前が吾郎)ではないかという噂が流れたがこちらは井之頭であるため事実無根。
そもそも結婚をしていないのは本人自ら語っているので、その時点で矛盾するのであるが。



【食事への姿勢】


彼にとって食事とは時間や社会に捕われず自由になれる孤高の行為であり、
忙しい現代社会を生きる中での最高の癒しと言える、なくてはならない存在である。
そのため食事には彼独自のこだわりがあり、邪魔されることを激しく嫌う。

…と、ここまで書けばカッコいいのだが抜けたところや無計画なところもあり
  • 食材をダブらせる(豚肉炒めと豚汁、おでんの卵と卵焼きとうずら卵等々)
  • 食べたかったメニューが取り扱われておらず出鼻をくじかれる
  • ご飯を扱ってない店に入ってしまい「残酷すぎる」と愚痴をこぼす
  • 腹具合を考えずにメニューを頼みすぎてしまい、結局残す
  • 新幹線の中でシュウマイを加熱し車内に匂いを充満させる
  • お茶漬け目当てで居酒屋に入り、「いきなり茶漬けだけ注文するのも…」と注文した慣れないおつまみに四苦八苦する(なおお茶漬けは食い損ねた
  • 以前通っていたお気に入りの店に久しぶりに行くと無くなっていた
などといったミスをほぼ毎回のようにやらかしている。

また、客の前でも店員をいびる店主や、居酒屋で下戸の部下に飲酒を強要する上司などの、
所謂「メシがまずくなる」ようなことをする人間が食事中に目に入ると抗議したり注意したりすることもあり、
逆ギレした相手と口論になって暴力沙汰に巻き込まれることもあるが、その度にかつて仕込まれた古武術(主にアームロック)で相手を撃退している。
相当実戦形式を重んじる武術であったらしく、空手経験者が相手でも技をかけて勝っており、実力の高さが窺える。
もしかして、本人が望めば跡取りにでもなれたんじゃないだろうか…。


【名言】


「モノを食べる時はね、誰にも邪魔されず
自由でなんというか、救われてなきゃあダメなんだ
独りで、静かで、豊かで……」

「そうか…都会のぐしゃぐしゃから逃げたければここにくればいいんだな
ここでは青空がおかずだ」

「それでも ひとり 食べるんだな
生きているというのは体にものを入れてくということなんだな」

「人生には…大嫌いなものを黙って食べなきゃならない時もある
だけど 食うのは自分で決めること 他人にその自由を奪う権利はない」



【迷言】


「持ち帰り!そういうのもあるのか」

「うーん…ぶた肉ととん汁でぶたがダブってしまった」

「ラストの2枚…あれが効いたな」

「がーんだな…出鼻をくじかれた」

「このワザとらしいメロン味!」

「トホホ 渚ゆう子…か」

「ジェットのせいで歯車がズレたか…」

「まるで俺の身体は製鉄所 胃はその溶鉱炉のようだ」

「うおォン 俺はまるで人間火力発電所だ」

「腹もペコちゃんだし夜食でも食ってひと息つくか」

「うわあ なんだか凄いことになっちゃったぞ」

「ソースの味って男のコだよな」

「なんだかんだ食っても もぐ しょせん俺たちゃ島国の農耕民族ということか」

「この野沢菜マジメな味」

「…俺はまるで犬だな」

「とどのつまり米ですよ我々 主食に米、そこにおかずと、汁! この三本柱があればどこでもニッポン」



五郎「スイマセン この『追記』をひとつください」
冥殿 「あ…ごめんなさい それ来月からなんですよ」
五郎「(がーんだな…出鼻をくじかれた)じゃ…この『修正』を」
冥殿「ですからごめんなさい 追記・修正は来月からなんですよ」




冥殿「がああああ」

wiki籠り「それ以上いけない」

五郎「……」

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最終更新:2024年03月23日 23:05

*1 海鮮丼と特大穴子天丼で迷って海鮮丼にしたが、海鮮丼完食後に特大穴子天ぷらとご飯を単品で注文し、女将さんが厚意で穴子天丼のタレをサービスしてくれた

*2 まあ、外回りの仕事が終わってから着替える暇も惜しんでずっと事務仕事をしていたという可能性もあるが。