東京タワー(特撮)

登録日:2018/05/11 Fri 22:49:08
更新日:2024/01/09 Tue 17:07:30
所要時間:約 12 分で読めます





なあ、父ちゃん父ちゃん

―何だい?

日本で一番よく壊されて、そのたびに作り直されてる建物ってな~んだ!

―よく壊されて、作り直されてる建物?
そうだな、それは…

東京タワー

~モスラとガメラと、時々、ケムール~


昭和33年12月23日にオープンした、日本で一番有名な電波塔であろう東京タワー
高さ333mを誇る大鉄塔であり、日本人でその名を知らぬものはない、東京のシンボルである。

テレビの電波をあまねく関東全域に届けるため、総工費30億円、延べ219,335人の人員を投じ、
わずか1年半の強行軍で建てられた、戦後日本の努力と技術の象徴。

一度は焦土と化した東京の地に、朝鮮戦争の米軍戦車を鋳潰した鉄で建てられた、平和と繁栄の結晶。
2倍近い高さの東京スカイツリーが誕生してなおその人気は衰えず、年間300万人もの観光客が訪れる、日本屈指の観光スポットである。

しかし、「せっかく東京に来たんだから、東京タワーに行こうぜ!」と考えるのは、観光客だけではない。
竣工以来たびたび招かれざる客が現れ、しばしば東京タワーを破壊してしまうのだ。

この招かれざる客たちは田舎から都会に出てきたおのぼりさんのような思考回路をしており、
大阪に行けば大阪城を、名古屋に行けば名古屋城をと、その街のランドマークを訪れて記念に破壊していくのが常態化している。
この傍迷惑な田舎者たちを総称して、怪獣と言う。

本項では、日本一よく破壊される建物である東京タワーと、
せっかぐ東京さ来だんだから、東京タワーさぶっ壊して帰ぇるべみたいなノリで東京タワーを壊していく怪獣たちの、終わりなき戦いをご紹介したい。


ちなみに特撮モノに登場する怪獣たちは身長40~60m、大きい部類でも100m弱のものが大半を占め、基本的に東京タワーの333mよりだいぶ小さめ。
にもかかわらず、劇中ではどう見ても東京タワーは怪獣より少し大きいくらいである事が多い。
もっとも、縮尺の正しい東京タワーを怪獣が倒すシーンを作ると東京タワーの脚しか画面に映らないので、仕方ないといえば仕方ない。

また、同一シリーズでありながら、
一度東京タワーが破壊されたはずなのに、後の話で東京タワーが出てきてまた壊されるといったこともしばしばある。
東京タワー!?破壊したはずでは… 残念だったなぁ、トリックだよ

このため、特撮世界ではあまりに頻繁に東京タワーが破壊されるため、建て直されるたびに低くなっていっているんじゃないか
…という説が、まことしやかに囁かれている。





さて、ここで問題である。
特撮で最初に東京タワーを破壊したのはだ~れだ!




「え~?ゴジラか何かじゃな~い?」と思ったそこのアナタ。違う。

「東京タワーを初めて破壊したのはモスラだ!俺は詳しいんだ!」と思ったそこのアナタ。残念ながら違う。

「フフ…これはひっかけ問題ですね。よく見ると『東京タワーを破壊した怪獣』ではなく『特撮で最初に東京タワーを破壊した』と書かれています。つまり正解は怪獣ではありません。ずばり「モスラの繭に攻撃を仕掛けた自衛隊」です!」と考えたそこのアナタ。着眼点は良いが、違う。

正解はコイツだ。


ナショナルキッド第2部「海底魔王ネルコン」(1960年)にて、シーラカンスが吐いた炎によって爆破。

誰じゃ!?と思われた方が多いのではないだろうか。
『ナショナルキッド』とは『ウルトラマン』より7年も前に放送されていたTV特撮番組であり、
主役はスーパーマンにチョウチンアンコウのチョウチンを生やしたような姿のナショナルキッド、スポンサーはその名の通りナショナルであった。
映画化もされた漫画20世紀少年』で、幼少期のともだちが着けていた白い仮面、あれがナショナルキッドである。
最近(2020年代)では『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』に登場するソノゴのモチーフとしても使われた。

話を元に戻すと、本作に登場する「古代魚シーラカンスが進化した海底人類であるシーラカンスの1人・フィッシュ4号」が、記念すべき東京タワー破壊者第一号である。
が、その事実はほとんど忘れ去られている。
意外にも、東京タワーの建造から初破壊までは2年も掛かった。


モスラ(1961年)にて、モスラが繭を作り折れ曲がる。

初めて東京タワーが出てきた怪獣映画であり、モスラの幼虫が東京タワーに糸をかけ繭を作った。
初代モスラの幼虫は体長180mとサイズ的には丁度いい感じになっていて、それほど違和感はない。
なお、倒壊の直接の原因となったたのはモスラでなく、それを狙った自衛隊の攻撃とする見方もある。


三大怪獣 地球最大の決戦(1964年)にて、キングギドラが飛行時に放つ衝撃波によってへし折られる。

東宝怪獣映画2度めの破壊。
この映画には1961年の『モスラ』の設定を引き継ぐモスラが登場しており、明らかに世界観が同一。
つまり、この世界では前回の倒壊から3年以内に東京タワーが再建され、また破壊されてしまった事になる。上記の通り1年半で建造したのでやろうと思えば出来るだろうが、鉄はどこからもってきた。
これ以降、特撮界には大東京タワー破壊時代が到来、東京タワーはほぼ毎年破壊され、雨後のタケノコのごとくまたたく間に再生を繰り返す事になる。


大怪獣ガメラ(1965年)にて、ガメラに破壊される。

ゴジラと並ぶ日本生まれの主人公怪獣であるガメラ。初登場作が竣工後というのはゴジラにはない強みである。
東京に現れた際に東京タワーをいともたやすく押し倒すという怪力を見せた。
この場面のガメラ(身長60m)は東京タワーの3分の1くらいの大きさであるため、東京タワーの高さは約180mと見られる。
後述するガラモンやベロクロンの例に比べれば寸法の狂いは比較的おとなしい。


ウルトラQ第16話「ガラモンの逆襲」(1966年)にて、ガラモンが破壊。

久々のテレビ進出。
ガラモンは身長40mだが、展望台(高さ150mほど)にガラモンの顔が迫るシーンがある。
やはり100mくらいに縮んでるのでは…?
これを逆手にとって、「ガラモンは1機1機で大きさが違う」「どでかいやつは100mを軽く超えた」という設定にする場合もある。
(ガラモンは胸のマークで個体が識別されていたため、大きさが違う機体がいるという考えもここから出た)
余談だがTVチャンピオン「悪役怪獣・怪人王選手権」にて、「ガラモンによる東京タワー破壊シーンを再現せよ」という出題が第一ラウンドでされたことがある。

ウルトラQ第19話「2020年の挑戦」(1966年)にて、ケムール人撃破する。

誤字ではない。東京タワーが怪獣(厳密には巨大宇宙人)を倒したのである。
身長30mに巨大化した電波怪人ケムール人に対し、弱点となるXチャンネル光波を照射、これを倒した。
怪獣にこれだけ破壊された実在の建物は他に類を見ないが、怪獣を倒した経験のある実在の建物も他に類を見ない。

…お気づきになっただろうか。『ウルトラQ』劇中では、つい3話前の第16話でガラモンが東京タワーを破壊したばかりなのである
第16話で東京タワーが破壊されてから第19話でケムール人を撃破するまで、現実にはわずか21日しか経っていない
『ウルトラQ』劇中の時間の進みが放送と同程度とすると、特撮史上有数の早さで東京タワーが再生したことになる*1
特撮史上最速ではない。


マグマ大使第51話「宇宙怪獣ゴアゴンゴン襲来す!」(1967年)にて、ゴアゴンゴンに破壊される。

連続テレビ小説『半分、青い。』になぜか登場し知名度がちょっと上がった、手塚治虫作品を実写化した特撮『マグマ大使』の中でも東京タワーは破壊されている。
悪の帝王、つまりラスボスであるゴアが変身した最強最後の怪獣・ゴアゴンゴンに破壊されるという、クライマックス級の扱いを受けた。
ちなみにゴアゴンゴンは身長200mという、昭和の怪獣では稀に見る超巨大サイズを誇っており、東京タワーと並ぶには丁度いい感じの数字である。


キングコングの逆襲(1967年)にて、キングコングとメカニコングの最終決戦の舞台となる。

特撮史上最も丈夫と思われる東京タワー。
キングコングは身長20m/体重1万t、メカニコングは身長20m/体重1万5000tと比較的小型ではあるが、
怪獣2体の重さを支えきるという驚異的な頑丈さを見せた。

「登る」というシーンの性質上、この東京タワーの縮尺はかなり大きく、他作品のように「どう見ても数十メートル」ということは全く無い。
このシーンは、1933年のオリジナル版『キング・コング』で、エンパイアステートビルにコングが登る場面のオマージュとなっている。


ガメラ対宇宙怪獣バイラス(1968年)にて、バイラス星人に操られたガメラに破壊される。

実はガメラは東京タワーを2度も破壊した怪獣界でも稀に見る存在なのだ!すごいぞガメラ!
……と言いたい所だが、東京タワー破壊シーンはどう見ても3年前の『大怪獣ガメラ』と同じ映像。
何を隠そう、本作以降ガメラシリーズは深刻な予算不足に陥るため、過去の映像を使いまわしているのだ*2
ガメラの最大の敵は金欠であった。


スペクトルマン第15話「大地震東京を襲う!!」(1971年)にて、モグネチュードンの起こした大地震で倒壊する。

モグラとナマズが合成された地震怪獣モグネチュードンが今回の破壊者。
大展望台(下の展望台)の上辺りでグニャリと曲がり、真っ二つになってしまった。
東京に大地震を起こしてなんやかんやで日本を支配するのだ!という計画は昭和特撮ではよく見られるが、実際に地震を起こして成功する所までやってしまったのは中々類を見ない功績である。


スペクトルマン第16話「モグネチュードンの反撃!!」(1971年)にて、ネビュラの星が時間を巻き戻したことで復活する。

スペクトルマンがモグネチュードンを倒すと、スペクトルマンを派遣したネビュラの星が地球の時間を巻き戻し、大地震はなかったことになってしまった。
真っ二つになった東京タワーもまるでフィルムを逆回しにしたかのような速度で元に戻った。
東京タワーが破壊されるシーンは数あれど、破壊された東京タワーが元に戻るシーンは多分これだけであろう。

東京タワー倒壊から復活まで1話。間違いなく史上最速の東京タワー再生である。


帰ってきたウルトラマン第26話「怪奇!殺人甲虫事件」(1971年)にて、怪獣ノコギリンのレーザーを食らい爆破される。

クワガタの怪獣ノコギリンが帰ってきたウルトラマン(ウルトラマンジャック)レーザーを撃った所、ウルトラマンはこれを華麗に回避、背後にあった東京タワーに見事直撃した。
バカヤロー、なんてヘタクソな戦い方だ!
ちなみにウルトラシリーズでは前述の『Q』が最初だが、ウルトラマンシリーズではこれが最初の破壊。

シルバー仮面ジャイアント第13話「サソリンガ東京猛襲」(1972年)にて、サソリンガにへし折られる。

サソリ型の怪獣サソリンガにゆさぶられ、大展望台から上が折れてしまった。
眼前に現れたシルバー仮面ジャイアントには目もくれずに向かっていくあたり、やはり東京タワーには怪獣を引き寄せる何かがあるのだろうか?

ウルトラマンA第1話「輝け!ウルトラ五兄弟」(1972年)にて、ベロクロンにへし折られる。

劇中では、東京タワーは防衛組織TACの「通信網の要」と説明されている。
こんなに怪獣に狙われやすい建物に通信網の要を置くのは明らかに失敗だった。
ちなみにベロクロンは、ミサイルなど飛び道具系の武器が豊富なのにも関わらずわざわざタワーを両手で揺さぶって倒している。そのため寸法が(ry


地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン(1972年)にて、ガイガンのハンマーハンドで殴り倒される。

もはや東京タワー破壊は珍しいことでもなくなってきた。
ちなみにこの映画では、以前東京タワーを倒したキングギドラがガイガンの相方を務めている。


ファイヤーマン第20話「怪獣ガガンゴの嵐」(1973年)にて、ガガンゴのくしゃみで破壊される。

史上もっともぞんざいに破壊された東京タワーではないだろうか。
サイズも極めて小さく、直立したファイヤーマン(身長50m)より若干大きい程度の高さしかなかったため、せいぜい60m程度と見られる。


ウルトラマンタロウ第21話「東京ニュータウン沈没」(1973年)にて、キングゼミラが止まり木として利用する。

怪獣が出てくるたびに殺るか殺られるかの戦いを繰り広げてきた東京タワーが遂に怪獣と和解。
大東京タワー破壊時代が終わり、東京タワーと怪獣が共存する時代がやってきた事の象徴と言えるだろう。
ちなみにキングゼミラはセミの怪獣である。先述のモスラといい、巨大昆虫には丁度良いサイズなのだろうか。


鉄人タイガーセブン第11話「とける顔 ロウ原人」(1973年)にて、ロウ原人の爆発に巻き込まれて折れ曲がる。

巨大な怪獣ではなく等身大の怪人による珍しい例。
かつてタワー内に存在した蝋​人形館をアジトとしていたロウ原人。
そんなロウ原人のアジトを突き止め地上に追い詰めたタイガーセブンだが、蝋の体でガッチリと組み付かれてしまい、爆弾で道連れ寸前のピンチに。
これに対してタイガーセブンは愛車スパーク号で東京タワーを駆け上り、頂上から回転しつつ落下、遠心力でロウ原人を振り払う。
タワーは飛ばされたロウ原人の大爆発に巻き込まれ、大展望台と特別展望台(上の展望台)のちょうど中間でポッキリと折れ曲がってしまった。
「もう少し安全な場所に連れていけなかったのか」と突っ込みたくなるかもしれないが、
組み付かれて体の自由が効かず技がまともに出せない状況であり、かつ爆弾で死ぬ恐怖も考えれば、根本で爆発して全壊するよりはマシな結果だったのかもしれない。

一応タイガーセブンの仲間達には「東京タワーまでひどい目にあったんですね」「俺達の身代わりになってくれたんだな、可哀想に」と哀れんではもらえた。


ウルトラマンタロウ第38話「ウルトラのクリスマスツリー」(1973年)にて、クリスマスツリーになる。

タロウがキングブレスレットをかざすとその時不思議なことが起こった。
特撮界において東京タワーがこんなに平和利用されるのは初めてではないだろうか。


日本沈没第25話「噫々 東京が沈む」(1975年)にて、東京もろとも沈没。

怪獣や侵略者のみに止まらず、自然の猛威も東京タワーに牙を剥く。
全国で同時多発的に進行する「日本沈没」の中、第二次関東大震災の直撃を受けた東京タワー。
度重なる怪獣の襲来で鍛えられたのか、地震と火災には耐え抜くしぶとさを見せたが、その後の水没には耐えきれず、傾きながら水中へと消えていった。
なお、倒壊寸前まで残留していた放送局の職員が「東京からの最後のラジオ放送」を発信している。
ちなみに、先行する1973年の映画版でも東京タワーは震災に見舞われているが、破壊されるシーンはない。

もはや東京タワー破壊があまりにも多用され、全く特別感がなくなってしまったためか、これが昭和特撮最後の東京タワー破壊となった。
大東京タワー破壊時代は終焉を迎え、東京タワーに安息の時が訪れたのである。


ガメラ 大怪獣空中決戦(1995年)にて、陸上自衛隊のミサイルにより爆破される。

約20年ぶりにして、平成初となる東京タワー破壊。
ギャオス……ではなく、それに向けて放たれた誘導ミサイル(81式短距離地対空誘導弾)が誤爆した。
東京タワーは展望台の上あたりで爆破炎上、ギャオスは展望台を巣として産卵を行うという皮肉な結果となる。
営巣したギャオスが夕日に照らされるカットは非常に美しく、本作屈指の名シーンである。

ちなみに平成ガメラの世界は昭和特撮世界のような東京タワー回復力がないようで、続編『ガメラ2 レギオン襲来』(1996年)には折れたままの東京タワーが登場する。


ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS(2003年)にて、ゴジラの放射能火炎で倒壊。

生誕50年目前の本作にて、とうとう我らが怪獣王が東京タワーを破壊。
意外にも、ゴジラシリーズの映像作品でゴジラが東京タワーを破壊したのはこれが初かつ現在唯一である。
第1作にはゴジラが電波塔を破壊するシーンはあるのだが、第1作の公開は昭和29年(1954年)であり、当時はまだ東京タワーが存在していなかったのだ*3
日本を代表する建物の国会議事堂と東京タワーがゴジラのゴールとして壊すのにふさわしいとして選ばれ、今作でものの見事にぶっ壊された。

経緯としてはモスラを狙った放射熱線が避けられたことでタワーを直撃した。
ノコギリンと同じパターンであるが、遠隔攻撃で破壊することにより縮尺の問題は解決している。
なお、展望台に居た自衛隊員はモスラ登場時点で避難を開始しているため、直接的な熱線の被害者はいないと思われる。

ちなみに本作は61年版『モスラ』の続編とも言える内容になっており、東京タワーの選出はそれを踏襲したものでもある。
よって本作の東京タワーの破壊は世界観的には二代目の東京タワーとなる(これは前作でも映像が出ている)。
なお、本来は前作の時点で破壊予定だったが、合成の都合で本作に持ち越された。


ゴジラ FINAL WARS(2004年)にて、モンスターXの落着に巻き込まれ損壊。

妖星ゴラスの姿で宇宙から東京へと落下するモンスターXと、ハイパースパイラル熱線でそれを迎え撃つゴジラ。
東京タワーもその激突で生じた大爆発の巻き添えを食った。
ただし、劇中で映るのは爆風でねじ曲がった後の姿のみで、破壊シーンは描かれないというある種ぞんざいな扱いを受けている。


仮面ライダーカブト(2006年)にて、何も起こらない

第1話は東京タワーをかすめて隕石が落下し、東京タワーは無傷で渋谷が壊滅するシーンから始まる。
その後も『カブト』全編にわたって東京タワーが遠景で映るカットが頻出するものの、東京タワーの中身は第6話でちょっと映るだけで、破壊されたり怪人と戦ったりする事はまったくなかった。
結果として、東京タワーは『カブト』を代表する建物ではあるのだが、具体的には何も起きていないという奇妙なシンボルとなっている。
その後も『仮面ライダーディケイド』でカブトの世界の象徴として東京タワーと天を指す指のタペストリーが登場したり、『仮面ライダージオウ』のカブト編でも映っていたりと、「『カブト』と言えば東京タワー」のイメージは継承され続けている。


日本沈没(2006年)にて、震度6強の大地震により倒壊。

日本が沈むとなれば東京タワーも無事では済まないのだ、ということで、1974年版に続いて被害を受けた。
ただし、今作では人類側が日本沈没を途中で食い止めているため、大展望台から上がへし折れたものの水没は免れている。


ALWAYS 続・三丁目の夕日(2007年)にて、ゴジラの放射熱線を受け倒壊。

この映画の冒頭で流れるのは登場人物が描いた小説のイメージ映像なのだが、その中でゴジラの放った熱線が東京タワーを直撃、倒壊させた。
ゴジラシリーズではないが、ゴジラとしてはこれが一応2度目の破壊となる。
ちなみに作中年代は1959年であり、ゴジラ第1作の公開、そして東京タワー竣工から間もない年である。
それに従うならば、地味にモスラはおろかナショナルキッドのシーラカンスよりも早く東京タワーを破壊したゴジラということになる。


巨神兵東京に現わる(2012年)にて、巨神兵のプロトンビームの余波で破壊される。

恐らく平成最後の東京タワー破壊。
重篤な特撮マニアである庵野秀明氏の作品で東京タワーが無事で済むはずはなかった。


ウルトラマンオーブ第24話「逆襲の超大魔王獣」(2016年)にて、マガタノオロチが出現。

大魔王獣マガオロチから産み落とされた物体が東京タワー直下の地中でエネルギーを蓄えていた。
そして蓄えられたエネルギーは地中から東京タワーを伝わり先端部分から放出。
超大魔王獣マガタノオロチが地上に現れることになる。
数々の経験を経て東京タワーも鍛えられたのか、今回はマガタノオロチのエネルギーにも耐えきり倒壊しなかった。


ゴジラ・ザ・ライド 大怪獣頂上決戦(2021年)にて、キングギドラの破壊光線を受け倒壊。

西武園ゆうえんちのアトラクションとはいえ、キングギドラがガメラに続いて東京タワー2回破壊を達成した。
ラドンを倒したついでとばかりにへし折られている。
なお、本作も監督が同じ『続・三丁目の夕日』と同様に昭和を舞台としているが、園内で配布されている新聞によると作中年代は1950年……東京タワー着工前である。


ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA第25話「笑顔を信じるものたちへ〜PULL THE TRIGGER〜」(2022年)にて、メガロゾーア及びエタニティコアの暴走の余波によって破壊。

CGの東京タワーが倒壊するのはウルトラシリーズでは初である。
闇の巨人・カルミラが巨大エネルギー・エタニティコアに触れて変貌し、邪神メガロゾーアが誕生。東京へ進撃する。
同時にエタニティコアも暴走し、世界が闇に覆われていく。メガロゾーアを迎え撃つウルトラマントリガートリガーダークだが、その強大な力に劣勢を強いられる。
この時、引きの空撮カットで爆発とともに大展望台あたりから倒壊する……という、怪獣の攻撃によるものでも、ヒーローもしくは防衛隊の攻撃の流れ玉によるものでもない「怪獣が引き起こした現象のついでに壊される」といういまいちパッとしないものになってしまった。
とはいえ、ミニチュアとCG、実景の融合を目指して印象的なカットを作り続けた新世代ヒーローズの一つの到達点といえるシーンである。


シン・ウルトラマン(2022年)にて、ペギラの冷凍ガスで氷漬けにされる。

プロローグにて、禍威獣ペギラが東京タワー近くに出現したため、ペギラがもたらした「東京氷河期」にもろに巻き込まれている。
だが、深刻な損害は受けなかったようで、本編でも健在な姿を見せている。


……とこんな感じで、巨大特撮に東京タワーが出演すると極めて高い確率で破壊されてしまう。
ショッカー戦闘員に匹敵するやられ役っぷりだが、密かに怪獣キルスコア1を記録している辺り、ショッカー戦闘員より戦績は良いと言える。
これからも我が国で巨大特撮が作られ続ける限り、怪獣と東京タワーの戦いは続くであろう。






―って訳で、正解は東京タワーだ!

父ちゃん、怪獣は架空の生物ですよ?
正解は式年遷宮でこれまでに62回壊されて再建されている伊勢神宮です。*4


おまけ

ウルトラQ dark fantasy第26話「虚無の扉」(2004年)にて、「第二東京タワー」がレキューム人と相討ちに。

電波新時代に対応すべく建造された世界最大の新電波塔「第二東京タワー」が登場する。サイズは近いが東京スカイツリーとは別物。
電磁波の身体を持つレキューム人を倒すため、彼らを打ち消す極超短波の発信源として使用される。
発信を止めるべく身長373mまで巨大化して現れたレキューム人に上半分をもぎ取られながらも、相手の肉体を崩壊させた。
「全高666m」という縁起の悪い数字、そしてなにより「東京タワー」というネーミングの時点で、怪獣に破壊されるフラグが立っているのは明らかであった。

小説 仮面ライダークウガ(2012年)にてプロトクウガのモーフィングパワーで武器にされる。

原作は特撮だが、小説媒体という事でこちらに記載。
禍々しい漆黒の「怒りの塔」と呼ばれる巨大兵器に変貌した。
その後色々あってプロトクウガは変身を解除、兵器として使われることはなかったが、タワーが元に戻ったのかは不明。

それいけ!電エース(2012年)にて引っこ抜かれ、武器にされた後継塔の東京スカイツリー。

その通りであり、当時いろいろと話題になった。
なお、引っこ抜いた電エースは1000m越えの超巨大ヒーローである。
ちなみに、スカイツリー竣工以前は東京タワーそっくりの「νトーキョータワー」を武器にしていた。

第2315回笑点(2012年5月20日放送)にて、メンバーが東京スカイツリーに扮して東京タワーに話しかけるというネタで、特撮における破壊率の高さがネタにされた東京タワー。

東京スカイツリー「映画ゴジラシリーズってやだよなあ」
東京タワー「わかるなぁ」
東京スカイツリー「お前、昔モスラに繭作られたろ。次は多分俺壊されると思うんだよな」
なお、実際には東京スカイツリーは下記の『Over Qurtzer』まで破壊されなかった。

ウルトラ怪獣散歩(2015年 - )では、怪獣だからという理由で東京スカイツリーを登らせてくれない。

破壊はダメでも平和的に観光するならいいのではないかと思いきや、撮影許可は降りなかった。よほど悔しかったらしく、メフィラス星人は「スカイツリー登らせてくれなかった」と恨み節をこめて主題歌を歌っている。ちなみにお寺や神社も大抵撮影NG。
ウルトラマンの企画が催されることはあるので、登らせてくれなかった理由はやはり「怪獣だから」なのだろう。

劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer(2019年)にて引っこ抜かれる東京スカイツリーと、影響を受けずに済んだ東京タワー。

ダイマジーンの平成生まれ吸い込みゲートの餌食に。なお、昭和時代に建設された東京タワーは無事だった。
東映はこの時チラッとしか映らないスカイツリーをへし折る為だけに東武鉄道に許可を取ったらしい。

ニッポン超緊急事態シミュレーション もしも怪獣が襲ってきたら(2023年)にて、アタギラーとボルガーモに破壊される東京スカイツリー。

完成から約11年が経過し、ついに商業実写怪獣もので描かれたスカイツリー破壊。映画でもテレビドラマでもなくバラエティ番組が1番手を飾るという意外な展開を見せた。
ただし、作中の特撮映像こそ迫力あるものの、スカイツリーに関しては「炎エフェクトに包まれる資料写真」という形で処理されている。バラエティの限界ということか。
結果的に、マイナー作品で最初に破壊されるところも東京タワーを踏襲することに。

なぜ東京スカイツリーはあまり壊されないのか。

スカイツリーを作品中で使用する場合は許可を取る必要があるとのことで、上記の『Over Quartzer』のようにへし折ったり破壊したりするとなると流石に許可も降りづらくなり、降りたとしても莫大な使用料が取られるという。
本項目の趣旨からは外れるが、アニメでのスカイツリー破壊は『ビビッドレッド・オペレーション』第8話と『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE FINAL 両津勘吉 最後の日』の2つのみ。
竣工からまだ少ししか経ってないとはいえ、あまりにも少なすぎる!

何故スカイツリーに許可が必要なのかというと、怪獣絵師ことイラストレーターの開田裕治氏によれば「映像に映ると東武鉄道に対して使用料が発生する」とのこと。
アニメはまだしも、下手に実写で使うと東武鉄道から請求書が送られてくるらしい。
なお、東京タワーの方は「株式会社TOKYO TOWER」が管理しており、恐らくそっちの方はそうした使用に関する手続きがゆるい…のかも知れない。
ちなみに、「東京スカイツリー」の名称も東武鉄道の登録商標なので名前が使えない場合は変える必要がある。

ただし、ビジュアルによる描写がない小説作品などでは比較的自由が効くようで、一例を挙げると、
小説『MM9 -invasion-』では宇宙怪獣ゼロケルビンが東京への降下中にスカイツリーにぶち当たっているほか
アニメ映画『GODZILLA』3部作の前日譚を描いた小説では、文字媒体とはいえとうとうゴジラによって破壊される場面が登場することとなった。




追記・修正は怪獣が迫る東京タワーから避難しつつお願いします。

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最終更新:2024年01月09日 17:07

*1 マジレスすると、『ウルトラQ』は制作順と放映順がバラバラなのが原因。本作は放送開始前に全話の制作が終了しており、第16話の制作は第19話より後に行われた。

*2 東京タワー破壊シーン以外では黒部ダムの破壊シーンも『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』の流用。

*3 ちなみに、この電波塔はNHK千代田放送所に建っていたもので、1982年に廃止され現存しない。

*4 正しくは「神宮式年遷宮」。20年ごとに社殿を全部作り替えて神座を遷す、を持統4年(西暦690年)から約1300年続けているという歴史がある。