近鉄京都線

登録日:2018/04/30 Mon 06:06:05
更新日:2024/01/27 Sat 10:45:34
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近鉄京都線とは、京都駅から大和西大寺駅を結ぶ近畿日本鉄道が運営する鉄道路線。
路線記号はB
*1

概要

京都・奈良の二大古都を結ぶ、近鉄の主要路線の一つ。
都市間輸送のほかにも沿線に広がる新興住宅街の足として重宝されているほか、京都駅で東海道新幹線と接続するため新幹線利用客を奈良・伊勢志摩といった近鉄沿線の観光地へと運ぶ役目も果たす。
一部の列車は竹田から京都市営地下鉄烏丸線国際会館まで、大和西大寺で接続する橿原線に直通する。

元は「奈良電気鉄道(奈良電)」という京阪電気鉄道と近鉄の前身・大阪電気軌道が合弁で設立した別会社の私鉄で、戦後の経営関連のイザコザの結果1963年に合併され近鉄の路線となった。
このため、近鉄の1500V昇圧までは京阪電車との相互乗り入れも実施していた。

ほぼ全線にわたりJR奈良線と並行し競合路線となっているが、運転本数などもあり近鉄が優勢であり、皇族の京都訪問時にもお召し列車が運行される。
また、新田辺から新祝園まではJR学研都市線も並行するほか、京阪線とも京都市内から宇治市にかけて競合する関係にある。

種別

特急

日中は毎時4本、京都~近鉄奈良・橿原神宮前間を結ぶ特急が運行されている。
その他大和八木から大阪線に乗り入れ伊勢志摩方面へ向かう京伊特急、しまかぜも運行されており、京都~賢島間の運行距離195.2kmは私鉄特急で最長を誇る。
2022年からはかつて運行されていた阪京特急を復活させる形で京都~近鉄奈良~大阪難波間で観光特急「あをによし」が運行を開始。
基本的には京都を出ると京都線内では近鉄丹波橋、大和西大寺に停車するほか、朝の京都方面と夕方以降の西大寺方面は高の原にも停車する。
2018年までは奈良行き・橿原行きを西大寺で分割することもあったが、現在は基本単独運行である。

急行

近鉄奈良方面や橿原線へと直通する主力速達種別。
毎時4本、うち1本が竹田から地下鉄烏丸線に、2本が橿原線へとそれぞれ直通する。
なお、同志社大学の開校日には通学生の関係から興戸、三山木に停車する宮津発着の急行が運行され、また、奈良競輪開催時には競輪場最寄りの平城にも停車する。
ただし、天理教月次祭と被るときには朝の臨時急行がこの3駅に停車しない代わりに天理まで直通するほか、平城にも停車しないことがある。
この列車は京都市営地下鉄の車両も使用されるため、全列車6両で統一されている。

準急

ラッシュ時に運行されている種別。
京都市内の3駅しか通過しないことから、どちらかというと普通の補完という意味合いが強い。

普通

文字通りの普通で、地下鉄から毎時2本が乗り入れてくる。
原則、新田辺止まりとなる地下鉄直通が6両、京都駅から発着する列車は、新田辺以南にホーム有効長が4両制限の駅があるため4両編成である。

車両

大半の車両が奈良線と運用が共通していることから、本項では烏丸線関連の車両のみ紹介する。
なお、L/Cカーについては京都線内ではロングシートで固定されて使用される。

自社車両

  • 3200系
1986年に登場した烏丸線直通用車両。
マルーンとホワイトの新塗装を採用した第1号であり、形式全体でVVVFを導入した初の車両である。
前面形状は先に登場した東大阪線用の7000系に近い独特なもので、近鉄の一般車では数少ない顔と形式が一致するであろう車両。

  • 3220系
烏丸線直通急行運転開始に伴う増備分として2000年に登場した。
標準通勤車「シリーズ21」の第1号。
京都市営地下鉄直通仕様であることから、全長が一般車よりも少し短い。
3編成が在籍する。
2001年鉄道友の会ローレル賞受賞。

  • 3000系
1979年に登場。4両1編成のみ在籍した。
近鉄初にして唯一となるオールステンレス車両で、当時東急車輛の特許でガチガチに固められていた製造工法を回避したうえで完成にこぎつけたある意味記念碑的車両。
制御方式はこれまた唯一となる電機子チョッパで、省エネルギーの試験も兼ねた実験的要素の強い車両であった。
元々は烏丸線乗り入れを想定して製造された車両だが、相互直通運転開始の遅れもあり実現しなかった。
2012年に廃車され、現在は先頭車のカットモデルが高安検車区に保存されている。

乗り入れ車両

  • 京都市交通局10系
1980年に登場した烏丸線の車両。
半蔵門線?は禁句。登場はこちらの方が早い。
1988年から延伸開業および近鉄直通用として増備が再開されたが、さすがにパクりと思われるのはまずかったのか前面形状が大幅に変更され、3200系に近いものとなった。
初期導入編成については20系の導入に伴い置き換え予定。

  • 京都市交通局20系
10系初期車の置き換えとして2022年に登場。
10系と同じ近畿車輛製だが、前面窓上の黒い塗装や運転席下のヘッドライトなど、どことなく関東の新車を思わせる外観となっている。
というのも、この車両のデザイン原案は総合車両製作所1円で落札したことも理由か。
内装も同じ近畿車輛製の東京メトロ13000系に近いものとなっているほか、先頭車の座席配置は西武40000系の10号車そのもの。
どんだけ関東要素が入っているのか…
なお、車号表記や先頭車のスペースには京都の伝統工芸品を使用・展示している。
2023年の鉄道友の会ローレル賞受賞。

駅一覧

●…停車 |…通過
▲…朝及び夕方以降停車 △…宮津発着列車のみ停車 ※…奈良競輪開催時のみ停車 

駅番号 駅名







乗り換え・備考
B01 京都 東海道新幹線
JR京都線・琵琶湖線湖西線嵯峨野線奈良線
京都市営地下鉄烏丸線
B02 東寺
B03 十条
B04 上鳥羽口
B05 竹田 京都市営地下鉄烏丸線(相互乗り入れ)
B06 伏見
B07 近鉄丹波橋 京阪本線(丹波橋駅)
B08 桃山御陵前 京阪本線(伏見桃山駅)
B09 向島
B10 小倉
B11 伊勢田
B12 大久保 JR奈良線(新田駅)
B13 久津川
B14 寺田
B15 富野荘
B16 新田辺 JR学研都市線(京田辺駅)
B17 興戸
(同志社前)
JR学研都市線(同志社前駅)
B18 三山木 JR学研都市線(JR三山木駅)
B19 近鉄宮津
B20 狛田 JR学研都市線(下狛駅)
4両限界
B21 新祝園 JR学研都市線(祝園駅)
B22 木津川台
B23 山田川 4両限界
B24 高の原
B25 平城
B26 大和西大寺 近鉄奈良線・橿原線(一部列車直通)

主要駅解説

B01 京都
東海道新幹線JR京都線・琵琶湖線奈良線湖西線嵯峨野線、京都市営地下鉄烏丸線乗り換え。
「京都」を名乗る唯一の駅名ではあるものの、駅の位置は中心から少し離れた八条にあり、文字通りの中心であり阪急や京阪の拠点駅となる河原町や三条に比べると微妙な立地。
因みに奈良県からやって来た奴に駅構内で大暴れされ爆発・炎上の憂き目にあった事がある。

B02 東寺
名前の通り五重塔で有名な東寺の最寄り駅。
そのためか、急行以下は全て停車する。

B05 竹田
京都市営地下鉄烏丸線との分岐点で、一部の列車は烏丸線へ直通する。
地下鉄を建設する時に移転しているが、移転前の風光明媚な駅舎は一見。
駅近くに阪神高速京都線が通り、名神高速京都南インターなどがある京都の交通の要衝。
城南宮が近い他、頑張れば龍谷大学まで歩きで行ける。
この駅だけ他の駅と違い、市営地下鉄の駅名標が使われている。

B07 近鉄丹波橋
京阪本線乗り換え。
特急も停車する伏見の中心駅。隣駅の伏見からの一帯は京都教育大学関連の施設が立ち並ぶ京教大タウンでもある。
京阪との乗り入れがあったころには京阪と同一駅だったが、乗り入れ終了と同時に乗り入れ前の駅の位置に戻って再開業。現在でも駅南側に京阪との連絡線跡地が残る。

B08 桃山御陵前
京阪本線乗り換え(伏見桃山駅)。
丹波橋と違って連絡通路はなく案内もないが、距離的にはこちらのほうが近い。
駅名の由来は桃山にある明治天皇陵から。ただ実際には結構歩くうえJR桃山駅の方が近い。
かつてからの伏見の町並みの最寄りでもあり、酒造や水運で栄えた街の名残を見ることも出来る。
なお、次の向島駅との間にある澱川橋梁は、何としても橋をかけたい奈良電、水流のある川で訓練をしたい陸軍、地下水に影響が出ると抗議した伏見の酒造組合の三者の妥協点として、橋脚がないトラス橋という構造になっている。

B09 向島
京都線京都市最南端の駅。
向島ニュータウンの最寄り。
駅の西側にはかつての巨椋池を干拓してできた農地が広がる。
なお、京都線の急行が止まらない駅の中では隣の小倉駅と乗降客数1.2位を取り合っている

B11 伊勢田
宇治のニュータウンのど真ん中にある駅。
在日韓国・朝鮮人街、不法占拠で問題となったウトロ地区の最寄り駅でもあるが、同地区は近年再開発が進められている。

B12 大久保
JR奈良線新田駅に近く、東口から10分程度歩く。
急行停車駅で、待避線もある。
ウトロ問題の発端である日産車体京都工場や陸上自衛隊大久保駐屯地はこちらのほうが最寄り。特に陸自の駐屯地は西口のほん駅前に見える。

B16 新田辺
JR学研都市線乗り換え(京田辺駅)。
近年発展しつつある京田辺市の中心駅。
一休さんで有名な一休宗純の終の棲家・酬恩庵の最寄り駅でもある。

B17 興戸(同志社前)
公式な乗換駅ではないが、学研都市線同志社前駅が至近にある。
同志社前の副駅名が示す通り、同志社大学・同志社女子大学京田辺キャンパスの最寄り駅で、朝夕には同大・同女の学生で賑わう。
しかしキャンパスが割と…というか相当な山の中にあるため道のりは結構キツめ。

B18 三山木
こちらも公式に案内はされていないが、学研都市線JR三山木駅とは至近…というかほぼ目の前にあり駅前ロータリーを共用している。
このバスロータリーからは同志社京田辺キャンパスへのバスが出ているため、ここを利用する学生も多い。

B19 近鉄宮津
車庫所在駅で、通過線を持つ駅。ただし島式であるためホームは線路のど真ん中にある。
同志社学生向けの急行の発着駅であり、当駅発着急行のみ新田辺までの各駅に停車する。
ちなみに「近鉄」と付くのは、既に同じ京都府の宮津線に宮津駅が存在したため。

B21 新祝園
JR学研都市線乗り換え(祝園駅)。学研都市線との乗り換えができる駅は当駅が最南端である。
こちらも近年開発が進む精華町の中心駅。
赤字公共施設の悪例として知られた「私のしごと館」の最寄り。現在は閉館し、施設は再利用されている。

B24 高の原
平城・相楽ニュータウン、関西学術研究都市の代表駅の一つ。
名の由来は万葉集の「高野原」から。
朝と夕方以降には特急が停車する。

B25 平城
佐紀古墳群の中にある駅。秋篠寺も近い。
奈良競輪場の最寄り駅であり、競輪開催時は急行が臨時停車する。

B26 大和西大寺
近鉄奈良線・橿原線乗り換え。
大阪難波、奈良、京都各方面を東西南北に結ぶ交差点にあり、さらに西大寺車庫も併設されている近鉄でも超重要ポイントにある駅。分岐的な意味のポイントの数も構内だけで28個と全国最多。
問題はこの3路線すべてが平面交差となっている上、運行本数が多く大阪難波・京都寄りには踏切、奈良・橿原神宮前寄りには西大寺検車区の出入り口があるため、慢性的な遅延や開かずの踏切問題が発生している。
高架化も検討されたことがあるらしいが、様々な事情により実現は難しいと思われる。
駅前の道路もひどい有様だったが、近年は改良され、奈良市第二の中心地としてにぎわう。駅ナカ施設もできた。


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最終更新:2024年01月27日 10:45