超人強度

登録日:2018/04/23 Mon 17:43:56
更新日:2024/04/09 Tue 12:31:49
所要時間:約7分で読めます




委員長「超人強度?んなもん、超人に生まれつき備わってる数値としか言いようがないわい、のぉ真弓ちゃん」


真弓「まったくだわい委員長。まったく最近の若い超人どもときたら、やれ超人強度の高さが強さに関係あるだのどうの無駄なことばかり考えおってからに…」























バカヤロ―こんな糞項目で満足すると思ってるのかー!

近代項目立ては甘かねぇぜ!!
物を投げないでください!



目次


【概要】

超人(ちょうじん)強度(きょうど)とは、漫画作品キン肉マンシリーズにおける登場超人の強さの基準の一つとなる数値である。
単位は「パワー」

超人強度の数値は邪悪の神によると生まれつき不変であり原則として変化しない
だが、現状その唯一の例外と明言できるのはキン肉マン火事場のクソ力と、
『オメガ・ケンタウリの六鎗客編』で登場したオメガマン・アリステラの、「自分を上回る相手と戦うことによる強化」である*1
ドラゴンボール』の戦闘力のような概念とは異なり、この数字が高いからと言って強いと断言できるわけでもない。

…が、現在のweb連載以降の基本設定にて、やっぱり数値が高い方が強いと一応は明言された。
……が、そう言い切れない数々の事情については以降の記事内に挙げた事柄を参考にしていただきたい。

一応、現在までの少年マンガ等における数値化されたパワーの流行の始まりとも言われる概念とも言われてたりするのだが、描いてるのがゆでだから……。*2

何せ10倍・100倍の差がひっくり返されることもザラにあり、冒頭における ロートル 大先輩超人お二方による茶番もあながち戯言とは言い切れない側面もある。
その扱いは非常に曖昧であり、この数値はとにかく強さや勝敗に関わったり関わらなかったりする
特に説明もなく圧倒的な差を跳ね返したかと思えば、差があり過ぎるから負けた、とケースバイケースでその違いに明確な根拠が見出せない。
以下具体例。

  • ウォーズマン理論
  • 新幹線アタック1位「博多駅」を叩きだしたタイルマンの超人強度がたったの20万パワー
    • 小倉のカナディアンマンが100万、岡山のラーメンマンが97万なのに……
  • 地球で活動する超人の中では決して低い方ではないキン肉マンが、地球人にも石もていじめられる ダメ超人 扱い
  • 七人の悪魔超人の中でも最大の体格と一番力押しっぽい戦闘スタイルのザ・魔雲天の超人強度がダントツ最下位の50万パワー止まり
    • ※これに関しては誤植説あり
  • どう考えてもバッファローマンアシュラマン1.5倍どころではない悪魔将軍の強さ
  • 2800万パワーのネプチューンマンが1000万のバッファローマンに力負けする
    • 『「バッファローマンの1000万パワーにモンゴルマンの1000万の技」が2000万パワーズ』というタッグ名の由来から分かる通り、超人レスリングにおいて力以上に技が重要であると分かる。
      だが、この事実から超人強度が単純にフィジカルの強さを示すものではないようだ(往々にして基礎体力的な扱いの描写もあるが)。
  • 火事場のクソ力が封印されて95万パワーのキン肉マンのマッスルスパークに瞬殺される、8600万のジ・オメガマンの弟の方
  • その後のフェニックス戦では超人強度不足が原因でマッスルスパークを破られる

それでもなお、超人強度の高低は無視できるものではないのも事実。
作中のキャラクターの強さ・勝敗に反映されることもあり、キン肉マンファンが作品について妄想考察するにあたって常に議題に挙げられる要素でもある。
イレギュラーなんて設定が出たあたり、公式に絶対ではないと言われたようなものだが。

尚、以前(黄金のマスク編あたりまで)は自分の肉体の中から素手で掴み取ることも可能であり、
いざというとき(?)には掴み出したパワーを仲間に与えることも可能であった。
バッファローマンはサタンとの契約によるパワーの増幅以外にもロングホーンで刺したキン肉マンの火事場のクソ力を吸収することができ文字通り火事場になったり
贖罪としてバッファローマンが死んだロビン達を復活させたりと、超人同士ならある程度の融通は利く描写があった。無理だよ……「だってオラは人間だから
始祖編でもストロング・ザ・武道零の悲劇により超人パワーを奪い去っていたりする他、
『キン肉マンⅡ世 倫敦の若大将!!』ではロビンマスクが三日三晩ストーンヘンジを持ち上げる*3ことで超人強度を完全放出して人間になったりしてるし、
後述の火事場のクソ力(仮)を発動させた超人にボワァと表現される発光現象が起きる等、物理現象として目に見える形で触れたり捉えられたりしているのは確実な様である。

◆数値に関して

正義超人は、多くても数十~百万前後。
悪魔超人では平均して数百万パワーといった所となる。
完璧超人は数値に関しては下等(正義・悪魔)超人と比して圧倒的なインフレを起こしており、数千万パワーを持つ者が殆ど……と、下等に対して数十倍もの差が出る場合も少なくない。
設定上は完璧超人にも数十万パワー程度の者がいるなど上下の幅は広いようだが、それでも主力級の数値には明確な差がある。
数千万パワーを誇る完璧超人らは“神に最も近い超人”の証明と言いたい所だが、繰り返すが劇中ではほとんどの場合に於いて問題とならなかった。
一応、完璧超人の脅威の理由付けの一つとなっている等、無視されている訳では無いのだが……。
これについては、後にweb連載以降のシリーズにて補完されている。詳細は後述。

因みに、端数が揃えられた数値の超人よりも半端な数値の超人の方が多いのは関西出身のゆで先生達にとって「お釣りが出る方がお得感があるから」である。


……以下から、キン肉マンの歴史とともに超人強度の扱い、及びその変遷について見ていこう。


【超人強度の歴史】

◆初出

その初登場は「七人の悪魔超人」編におけるウォーズマン対バッファローマン戦において。
前シリーズのボスであるウォーズマンを圧倒し、その理由を「超人強度」の差とするバッファローマンであるが、この時点での正義超人の中で最高の超人強度100万パワーを誇る自分が
手も足も出ないことに疑問を呈し、バッファローマンはその10倍の1000万パワーであるという衝撃の事実を明かす、と以上のような形で披露された。

・・・これまでもキン肉マンたちはあまたの戦いを繰り広げてきたわけだが、キャラの強さが数値化されたことはなく、
この後も基準として曖昧になったりあまり注目されなくなっていくことを考えると「バッファローマンの強大さを強調するための演出としてとっさに考え出された」感が強い。
つまりいつもの「だってゆでだから」かもしれない。

バッファローマンとキン肉マンの戦いでは「スピードを上げると反比例して強度が下がる」「全力を振り絞った直後は超人強度は0になる」という設定が登場。
これらを用いてキン肉バスター返しを新キン肉バスターで返したりしていた。
だが、決着において、キン肉マンの超人強度はバッファローマンの1/10ほどにもかかわらず10倍多くなければできないバスター返しが何の理屈もなくできてしまった。
そのため、登場初期から曖昧(・・・・・・・・)であることが分かる。
後付け設定的にも火事場のクソ力は夢の超人タッグ編時点で7000万のため、悪魔超人編でその域に達しているとは思えず、
仮に達してるとしても10倍の差はないため理屈の上では不可能のはずである。


◆その後の展開

正義超人たちや初見の読者は数値に裏打ちされた圧倒的な強さのバッファローマンに震えることになるが、直後の悪魔六騎士&悪魔将軍編以降は目立たなくなる。
だが黄金のマスク編のブロッケンJr.ザ・ニンジャの試合の時、順逆自在の術を見たキン肉マンが「あの動きには少なくとも500万パワーが必要…」という重要な発言をしている。
超人強度が低いほどスピードが上がるんじゃなかったのかとか順逆自在の術を使ったブロッケンもニンジャも500万パワーもないだろとか色々ツッコミどころはあるが。

最終章の王位争奪戦では神に最も近い者としてビッグ・ザ・武道5000万パワー、神の化身として登場したキン肉マン スーパー・フェニックスら運命の5王子の1億パワー
そして闘うごとに超人強度が成長していきやがて神に追いつくのではないかと危惧されるキン肉マンの火事場のクソ力が作中挙げられた。
ただ、これらもバッファローマン戦ほど「強さの根拠」として機能しておらず、神との比較という側面が強かった。
しかも、この頃はクソ力の唯一の体現者とされており、過去に強敵達を破る切り札であったとされていたキン肉マンは、序盤の戦いでクソ力を邪悪5神の策略により封印されてしまっており、その後は最後の決着の場面まで本来の95万パワーのみで戦い抜いてしまっている。

また、王位争奪戦の決勝戦でのサタンクロスとの魔法陣リング装着デスマッチにおいてサタンクロスは「魔法陣リングの窓を開けるには500万パワークラス級の技を掛け窓に激突させなければならない」とも発言しておりこれを聞く限りだと超人強度=技の威力とも解釈できる。(その後ディフェンド・スーツを取り出すためマジック・スクェア500万パワーに相当する光を発射するトンデモ描写があるが…)


◆Ⅱ世時代

そして世代交代したキン肉マンⅡ世でも各超人に超人強度は割り振られることになるのだが、その扱いは前作以上に杜撰になっていく。
ケビンマスク曰く「今の超人は大型化が進んでおり1000万超えはザラ*4」とのことだが、
実際にその数値を超す超人はほとんどいなかったので作者自身超人強度に対する認識がそこまでハッキリ決めてなかったようだ。
いつもの「ゆでだから」で特に深く考えずこのような発言をさせた可能性も高し

時間超人コンビからは「お前ら雑魚超人は超人強度だの硬度だの下らないことばかりこだわっている(意訳)」とバッサリ切り捨てられた。
そんな彼らの超人強度はこの項目が作成された2018年段階においてすら不明だったが、2019年5月に発売の学研の図鑑本でようやく判明した。初登場から実に10数年後の出来事である。

しかしながら扱いが悪いだけかというとそうでもなく再生(リボーン)アシュラマンからはかの有名な

「(同じ超人強度でも)鍛え方が違う!精根が違う!理想が違う!決意が違う!」

と「生まれ持った超人強度をいかに活かすか」を強調する、テーマとして後のシリーズにも通じる名言も生まれた。

意図は不明だが、究極の超人タッグ編に入るまでは「超人強度」という単語は使われず「超人パワー」という言葉で表現されていた。


◆現行web連載シリーズ

Ⅱ世直後に始まった完璧・無量大数軍完璧超人始祖編においても超人強度が圧倒的に劣る正義超人・悪魔超人たちが
完璧超人に次々と勝利するなど*5その曖昧さは相変わらず。
また無量大数軍より数値の上では劣っている始祖も、実際の実力や格付けは無量大数軍を遥かに上回る等、
超人強度のインフレも極まった完璧超人の間ですら超人強度は絶対ではない。
どころか、始祖の中にはクソ力を発動させても問題にもしなかった奴まで居た……シャバハハハハ

実にシルバーマンの超人強度の4.7倍のネメシスがアロガントスパークの負荷に耐えられず失敗するシーンが正にその象徴。*6
このあたりのバランスについては旧作で設定されていた悪魔将軍やヘル・ミッショネルズあたりの超人強度をもとに調整された結果なのかもしれない。

……だが、特に説明もなく圧倒的な超人強度差がひっくり返されてきたこれまでと違い
「実力では上回るも掟に拘泥し進化が止まり始めた完璧超人に対し、進化の途上にあり奇策・閃き・挙句の果てには泣き落としからの騙し討ちという正に下等な卑劣な手段を使ってでも逆転する正義超人と悪魔超人」という対比構造が深く描写されている。

更に言えば、このシリーズにて無量大数軍や始祖を迎え撃ったのは“イレギュラー”と呼ばれる、完璧超人側から直々に監視対象とされてきた連中なので、
並の一流以下の一般の超人とは分けて考えるべきなのかもしれない。

“イレギュラー”とは、通常は絶対的な“壁”となる筈の超人強度の差を正しく乗り越えて来る連中であり、
正義超人で言えばシルバーマンの末裔たるキン肉マンを初めとしたアイドル超人軍。
悪魔超人で言えばゴールドマンこと悪魔将軍が直々に鍛え上げた高弟達である悪魔六騎士や、先に挙げられた超人強度設定の生みの親とも言うべきバッファローマン、
そしてその同志たる七人の悪魔超人あたりが該当する。

また、このシリーズで「友情パワー」と「火事場のクソ力」が同じものであると定義づけられ、
キン肉マン達の闘いを通じて多くの正義超人・悪魔超人らに伝染し強化を促していたことが明らかになった。
というかスグルと戦うと間違いなく伝播している可能性があり、マジで元凶と呼んでも差し支えの無い印象である。始祖編、及び現行シリーズの勝敗予想でもスグルと戦ってるか否か=目覚めた証拠である無限のパワーの発現を示すボワァが間違いなく出るヤツかそうじゃないか……と、ファンからも判断基準にされている。

これはすなわち「これまで曖昧だった超人強度の扱いを逆手に取り超人強度が劣る側が勝てることの理由づけ、それにより作品の命題と呼べるまでに昇華させた」
言えるのではないだろうか。
そして、これによってキン肉マン以外の超人達にも無限の進化への可能性が示されたことにもなった。

また、前述のように完璧超人始祖から後の世代の完璧超人の異常に高過ぎる超人強度については
劇中でも“ドーピング”と評されたマグネット・パワーを利用した底上げの可能性がここで示され、ムック等でも指摘されているのだが本編では明言されていない。

超人強度は生まれ持った数値から変化しない筈なのだが、サタンとの契約で悪魔超人に生まれ変わったバッファローマン同様、
劇中でのミラージュマンとの手合わせを経て、何らかの装置によってサダハルがネメシスに変身したシーンから、
完璧超人に転身すると共に新たに超人強度も設定され直されているのかもしれない。
この仮説が正しければネプチューンマンやネメシスが元・正義超人とは思えない超人強度の数値を誇っているのも納得である。
(実際、超人墓場に向かう悪行超人らしき下等超人たちは手っ取り早く超人強度を得たいがために完璧超人入りしようとしていたし)

完璧超人の洗礼を受けていない者同士である正義超人と悪魔超人も超人強度の差は大きいが、これは太古の世界で虐げていた側と虐げられていた側の血統の差なのかもしれない。
回想シーンでもゴールドマンが指導していた超人はシルバーマン側と違い強面や異形の者が多く、かつて完璧超人始祖に粛清されていた超人達と容姿が似通っている。

またマグネットパワーは「地球の持つ超人パワーのようなもの」と言われ、超人墓場で死者が時計回りに回している
この世で唯一無二と言われる超人パワーの人工生成装置 「禁断の石臼(モルティエ・デ・ビン)」 に応用されている。



正義超人陣営は完璧超人との戦いに決着をつけた後オメガ・ケンタウリの六鎗客からの侵略を受け、
その一人ヘイルマンと対戦したティーパックマン「圧倒的な超人強度差」が原因となり敗北した。
超人オリンピック本選出場者という“並”の一流超人では差をひっくり返せるものではなく、
それができるのは、やはりキン肉マンら“イレギュラー”と呼ばれる超人のみのようだ。

後に六鎗客もメンバーの一人であるパイレートマン8000万パワーもの超人強度という圧倒的なパワーを誇っていたことがスグル戦で明らかになっており、矢張り弟と同じ8600万パワーの持ち主であることが明らかになったオメガマン・アリステラ以下の六鎗客は、完璧超人と比しても優る程の超人強度の持ち主であったことが明らかになっている。

六鎗客が圧倒的なパワーを持つに至った事情については珍しく明らかにされており、かつて地球を支配するまでになっていた先祖が始祖の粛清を受けて外宇宙に追放……厳しい環境の中で世代を繋いで生き抜く中で、子孫である六鎗客達は生来より強大なパワーを持つに至った……ということらしい。
また、こうした経緯から六鎗客の目的が太古の昔に一族を追放したザ・マンを倒し神の治世を終わらせることであることも明かされた。

六鎗客は、クソ力と同様にマグネットパワーも狙っているが、
前述の様にこの二つの力は超人強度の“壁”を越え得る力であるという共通点があり、その目的はザ・マンを倒す為に神の領域である1億パワーを越えることであることも明かされている。

また、六鎗客のリーダーにしてオメガ家の当主であるアリステラは自分より強大な敵と戦うことでパワーを底上げ出来るという超人強度は不変というルールから外れた特性の持ち主らしく、その能力故にオメガの希望と呼ばれていることが判明した。
因みに、弟ディクシアの方の8600万パワーは生まれつきの数値であり、これ程の数値はオメガの長い歴史の中でも初めてであり、メタモルフォーゼ能力も含めて、当初はディクシアの方が希望と呼ばれていた模様。

それに対し、本来はオメガの当主となる筈のアリステラの誕生時の超人強度は僅か95万パワーで、スグルの超人強度に準えて設定されたと思われるこの数値はオメガの民としては有り得ない程に低く、ディクシアの様なメタモルフォーゼ能力も持っていない……と、父親や民からは期待されない存在であったと述懐している。*7

しかし、その後で自分より超人強度の高い相手と諍いを起こした際に、相手の超人強度がそっくりと自分の物になっていたという特異体質が明らかになり、希望を見出だしたアリステラは研鑽を重ね、やがては弟を越えて誰もが認めるオメガの当主、オメガ最強の存在、オメガの希望となったようである。

つまり、アリステラの8600万パワーは過去に手合わせした中で最もパワーの高かった実弟ディクシアのパワーが移った物であり、超人レスラーとしての実力に於いてはディクシアを凌いでいる模様。

その後のフェニックスとの戦いでは、悪い予感を感じつつも知性の神を再び宿したフェニックスの1億パワーにも呼応していき、更には死んでいった仲間の思いを加えた暫定的な火事場のクソ力を加えてフェニックスを降したアリステラであるが、一度の手合わせ程度の短い時間では本格的に己のパワーとすることは流石に出来なかった。

また、この特性から自分とは別の手段(クソ力)によるパワーアップとはいえ、境遇を含めて自分に良く似ているキン肉スグルには、ある種のシンパシーを感じているらしい。
そして、僅かな時間の中で相手のパワーを吸収してしまうアリステラの特異体質(これがアリステラのメタモルフォーゼ能力であった)のヤバさも明らかに。

そして、生き残ったマリキータマンと共に挑むソルジャー=キン肉アタル&ブロッケンJr.との戦いを通じて、スグルのクソ力に匹敵するであろうアタルの業火のクソ力を、今度こそ己の身に完璧に宿すことを目標としていたアリステラであったが、その境地へと確かにたどり着きながらも、最後の最後でオメガの憎しみの心にとらわれたままでは“慈悲の力”であるクソ力は使えないという事実を突きつけられることになったのだった。(下記参照)

……以上、六鎗客の例で明らかになったように、環境の違いによる超人強度差は、旧シリーズからの正義超人と悪魔超人との超人強度の差にも大体に於て当てはまる。
オメガの民は地球より数十倍も厳しい環境を生き抜いて来た、ということなのだろう。
マンモスマンや、かつての始祖のような古代超人も後の世代の超人より素の数値が高いのも同じ理由で説明がつく。
ただし、繰り返すがそれでも超人強度は絶対的な強さの基準等ではなく、後天的な修行や鍛練、能力の習熟がその超人の強さとなる。
“イレギュラー”や始祖がその証明である。

マグネットパワー発見当初は地球のみの特別な力とされていたが、星の寿命は一般に同種の力であるらしく、
禁断の石臼(モルティエ・デ・ビン)(及び後述の火事場のクソ力が生み出す無尽蔵の超人パワー)を逆利用することで星の蘇生も可能であるとされている。

一方で、超人という種の平均超人強度の上昇及び火事場のクソ力の発現が超人の神の過激派達が下天して超神となり粛清に走る要因にもなった。
なぜなら、かつて地上の超人達の争いで治安が悪化した一件の再発を彼らが危惧していただけでなく、超人という種の発展と成長こそが宇宙の存亡にかかわる死活問題のためであった。
「キン肉マン」の世界では宇宙に於けるエネルギーの総量は一定であり、どこかに偏ればどこかでしわ寄せが起こり、リソースの減退が起きる。
そして本編時点では超人達の目まぐるしい進化により彼らが持つエネルギーが急激に増大している、
つまり超人達の鍛え上げた努力がより高い超人強度として次世代に継承され続け、その底上げが急速に起きた結果、
しわ寄せが星の寿命などのリソースの減退として発生し、天変地異など宇宙の存続を脅かす災害や現象を起こしていると調和の神ことザ・ワンの口から語られたのである。
実際に、オメガの民が拠点とするオメガ・ケンタウルス星団の母星が滅亡の危機に瀕していたのも、
オメガの民達が高すぎる超人強度を持って生まれるせいでそちらにリソースが偏りすぎ、星のエネルギーバランスを崩してしまったためである。

超人の神々も手をこまねいていたわけではなく、リソースの減退で起こる崩壊を天界で引き受ければ世界は保てると考え、
アポロン・ウィンドゥの様な形の大穴を天界に創り出して世界を守ることにした。
ところが超人の進化は神々の予想したペースを大きく凌駕しており、大穴が起こす崩壊は神々でも制御不可能な域に達した。
ザ・マンが地上の超人達の発展を定期的に阻止していたのも、最初に語った無軌道な進化による無秩序状態になる事を危惧していたという主張は完全に方便という訳ではないが、
人格面や実力面で価値無しと見なした超人を適度に間引きしてリソースの減退を阻止する意図もあった模様。
だが、キン肉マンを中心に大幅に超人強度の増強を起こす火事場のクソ力を地上の超人達が身に付けたため、これを放置するとエネルギーバランスの均衡は完全に破綻すると考え、
ザ・ワンを中心にした超人粛清派の神々は下天して超人達を滅ぼすべく侵攻を開始したのだが……。


【火事場のクソ力】

超人強度の搭乗前からキン肉マンが数々の番狂わせを起こしてきた力。
基本的には火事場の馬鹿力と同じものであるが、初期は「運」「奇跡」などと呼ばれ、
初登場はキン肉マンがロビンマスクに勝ったときのラーメンマンによる解説。その時は「自己防衛本能が働いた」と言われ、
キン肉マン自身はバッファローマンとウォーズマンとの戦いで「体力の限界を超えたガンバリ」「相手の力を逆用する」と言ったり
バッファローマンとの戦いでは「体力に関係なく気力によって生まれる」と言ったりしていた。
バッファローマンはウォーズマンと戦った際に「潜在している力を引き出すのでスタミナを著しく消費する」と見ており、
キン肉マンのクソ力が無尽蔵と知った時はうろたえていた。
対ネメシス戦での窮地のキン肉マンが無意識にロープを手繰り寄せて生存した状況から、悪魔将軍はかつてただ一度だけ必殺の地獄の断頭台からスグルが生き延びたのを思い出したのか、あれこそが火事場のクソ力であり、必然の力と言い切っていた。

その後は超人強度に換算できる、成長を続けるパワー、もしくは敵の不思議ギミックへのカウンターという設定で落ち着き、『王位争奪戦』では7000万。
『Ⅱ世』ではK・K・Dという略称で呼ばれ、「寛容」「無我」「友情」から生まれるとされた。
ロビンマスクがウォーズマンに教えた「冷酷」「冷徹」「冷血」の「 氷の精神
アシュラマン版の「 魔界のクソ力
ノ―リスペクトの「強欲」「残虐」「非道」の「 墓場のクソ力
クロエがケビンマスクに教えた「 大渦パワー
などの類似概念や対抗概念があり、「77の謎」ではテリーマンが巨漢に強いのもクソ力だと解説されている。
クソ力に敗れたウォーズマンが「ラーメンマンとの二人を相手にしているような気がした」というなど
友情パワーとの境目があいまいな描写も度々あったが、
『完璧超人始祖編』にて友情パワーと同じものだということが明言された。
同シリーズ中のバッファローマンのパワーは8000万以上で計測不能
また、ストロング・ザ・武道との戦いでクソ力を発現させた悪魔将軍は、零の悲劇を仕掛けている当の武道からいくら吸いとっても湧いてくるこの力と評されている。

スグルvsパイレートマンの戦いでは、スグルをして屈指の強敵と呼べる8000万パワーを誇る上に歴戦の超人ファイターであるパイレートマンに対して火事場のクソ力を発動。
……しかし、スグルの上限したパワーにすら対応し、圧倒までしたパイレートマンは失望すら口にしたのだが、戦いの中で聞かされたΩの民の苦難と六鎗客の覚悟を胸に、敵対している筈のΩの民をも救う覚悟を見せたスグルは重傷の状態からマッスル・スパークで逆転勝利。
かつて、オメガマン・ディクシアが敗北と共にスグルに救いを見出だしたであろうことを語りつつ、火事場のクソ力にも、

①己のための発動

②友のための発動

③敵すら含めた全てを救うための発動

……と、スグルも気付いていなかった、より強い力が引き出される為の段階があることが明かされた。
この2段階目と3段階目の間には決定的な差があり、パイレートマンは2段階目のスグルの猛攻を割と余裕で耐え抜いたのに対して、3段階目のマッスルスパークは振りほどく事すらできず、内心で「なんなんだこの力は!?今までこやつがクソ力と呼んでいたのはいったい何だったんだ!」「明らかに次元が違う」と驚きを見せており、アリステラは(おそらく)業火のクソ力第2段階を発動した状態でアタルに仕掛けたΩハルマゲドンアベンジャーを、3段階目を発動したアタルにいとも簡単に外されてしまっている。

また前述のウルフマンとの戦いで伝播していたルナイト、伝播が確認できないとはいえベンキマン流クソ力と戦っていたギヤマスターと並び、
ティーパックマンとキン肉マン マリポーサとのどちらの戦いでもボワァが起きていないヘイルマンも、アリステラの窮地に発光現象を起こしており、必ずしも発現にボワァとの接触が必要とは限らないようである。

これらの爆発的な成長こそが上記の理由からリソースの枯渇を加速度的に進める危険因子と見なされたため超人の神達が地上の超人達を危険視する原因にもなったのだが、
かつての弟子に敗れて重圧から解かれたザ・マンの観察・分析により、宇宙を脅かすものではなくむしろ世界を救う希望になり得る力という事実が明らかになった。
なぜなら、火事場のクソ力の使い手であるキン肉マンは試合中だけ超人強度を爆発的に上昇させるが、戦いが終われば常に自前の95万パワー。
では火事場のクソ力で発生する超人強度はどこから来てどこへ還るのか?
これにザ・マンが出した結論は実際には火事場のクソ力は超人強度を「増強」させる代物という当初の前提自体がそもそも誤りであり、実際には超人同士の間で「循環・集約」する原理で発生させるものという見解であった。
すなわち、火事場のクソ力とは仲間だったり戦いを経て認め合ったりした他の超人達からエネルギーを借り受けたり、逆に戦っている他の仲間にエネルギーを貸し与える代物で、
そのエネルギーの往来を可能にしているラインこそが「友情」だったのである。

なお、この設定が明らかになった事により、火事場のクソ力で得た超人強度を封印されたキン肉星王位争奪編でのキン肉マンが「それ以上の力が湧いてくる」と語り、強豪超人を次々打ち破る展開がご都合主義ではなく、ちゃんと論理立てて説明できるものとなった。

【余談】

基本的に作中に登場する主な超人たちの超人強度は数十万~数千万だが、判明している超人だけで見れば結構ピンキリであり幅が広い。
2018年現在での最高値は超人の神(天上の超人神と邪悪五大神)の1億パワー(邪悪の神全員憑依状態フェニックスが単純合計値と仮定するなら5億だが、最新シリーズにて上限は1億パワーと改めて明言された)、最低値はカニベースの2パワー(唯一の1桁台)となっている。
読者投稿で7億パワーのスキーマンという奴がいたことはあるが、本編未登場。ただし『Ⅱ世』ではポスターに描かれていた。
尚、上限は1億パワーというのは、邪悪5神が憑依した運命の王子達の例からも解るように本来は天上に居る“神”を指す訳なのだが、当の元“慈悲の神”であったザ・マン(ストロング・ザ・武道)が、それより1万パワー足りない9999万パワーとなっていることについて、読者から地上に降りたのが理由と殆ど正解を導き出されていたものの、始祖編の時点では公式には説明されていなかった。
これが明言されたのは現行の最新シリーズである超神編(仮)であり、ここに至り、ザ・マンが地上に降臨する以前より真の敵として警戒してきた超人という種の滅亡を主導していた“調和の神”とその一派自らが、天上界で対立していた慈悲の神こと、かつてのザ・マンと同じく本来は肉体を持たない神でありながら1万パワーを失うのと引き替えに肉体を得て自ら降臨
これを調和の神と一派は下天と称し、更には自分達を元の神でもない、そして超人に替わり地上の新たなる支配者となる種族として超神(ちょうしん)を名乗るのだった。
超神”達は肉体を得たことと、共通して1億パワーが9999万パワーに減じている等*8が特徴らしく、受肉したことにより邪悪5神やサタンが見せていたような憑依等は出来なくなっていると思われるが、ザ・マンの例からもそれ以外に神であった頃から大幅に能力が減じている……ということも無さそうである。
また、この展開により神の座を捨てて一人の超人となったとして、自身も始祖達も誇りを以て語っていた(られていた)ザ・マンは、同時に最初の“超神”でもあることになったというかなってしまった

悪魔六騎士の一人スニゲーターはかつて超人強度4000万とされていたが、現在では400万の誤植ということになっている。とはいえ、キン肉マンの火事場のクソ力を吸収した挙げ句事実上殺害していることを考えると4000万という数字はそれなりに説得力があると考えている読者も少なくない。

キン肉マン マリポーサいわく飛翔チームのメンバーは「超人強度5000万以上の者だけを集めた」とのことだが、実際は数100万~1000万くらいで合計しても到底5000万には足らない程だった。
 だが彼らも強敵だったとは言えキン肉マン一人に実質3人抜きされたし風格もそこまで大物っぽくはないので、いくら超人強度が決定的な戦力差にならないといっても実際の数値の方が妥当と考える読者も多かった。え、プリズマン?アイツはオツムと人格とテクニックはともかく、特殊能力はチートで身体能力も悪くなかったし…
 またマリポーサとの仲は良好だったことを考えると盗人ジョージ時代の仲間なり舎弟だった(メンバーの敗北を罵ったりマリポーサから能力を把握されてなかったミキサー大帝除く)疑惑もあり、そうなると増々並の超人強度の方が自然ということになってくる。
 が、学研発行の図鑑により、飛翔チームメンバー全員本当に5000万以上に設定され直された。マリポーサの発言との矛盾を解消するためだろうが、作中描写的に同格の強さだった技巧チームは変わってないのであんまりといえばあんまりである。



ま・・・まさか!!項目というのは一度立てられればアニヲタwikiが死ぬまで追記も修正もできないはずだーーーー!!


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最終更新:2024年04月09日 12:31

*1 完璧超人に関してはマグネットパワーのドーピングによる上昇も作中示唆されているが、それが実行されているとは明言されていない。またバッファローマンが大魔王サタンとの契約で超人一人を破るたびに100万パワーを得てきたという例もあるが、これは増大しているのか破った超人から吸収しているのか定かではない

*2 尚、超人強度のアイディアの元になったのは『鉄腕アトム』の◯◯馬力からの発想であったらしい。

*3 恒例のオモシロ起源説によると、ストーンヘンジは人類ではなくロビン一族の作ったもので、その重量を持ち上げ続けることで超人強度を制御できるようになるんだってさ。

*4 ちなみに体格と超人強度はあまり関係ない。体格に関係するのは普通の筋力の方で、見た目通りに巨漢超人にはパワーファイターが多く、また、カナディアンマンvsパイレートマンの様に圧倒的な超人強度差があっても似た体格とタイプの選手ならば筋力自体は互角である。

*5 と言っても基本逆転勝利による綱渡りの連続でもあるが

*6 web連載時はシルバーマンが1500万パワーだと判明していなかったが、判明済の始祖の超人強度は平均値が無量大数軍より大分劣りシルバーマンもそれに倣うというのが大方の読者の予想だった

*7 ただし、アリステラは「いい兄ではない」発言を初め、周囲からの評価に比べて自分を卑下したり悪ぶったりする発言が多いので本当にそう見られていただけなのかは不明。

*8 この他、元憤怒の神バイコーンの発言から超神は特殊なオーラによるフィルターによりカピラリア七光線への耐性を持っているらしいのだが、これは物理的な力でも取り除けてしまう模様。