蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH

登録日:2010/12/28(火) 00:00:10
更新日:2023/09/12 Tue 15:35:11
所要時間:約 10 分で読めます





命を持ったフェストゥム

人になりたかった…

そう皆城総士という名の人間に

だから俺はここへ来たんだ










蒼穹(そうきゅう)のファフナー HEAVEN AND EARTH(ヘブン アンド アース)』とは、2010年12月25日に公開された劇場アニメ作品である。




■概要

2004年に放映されたTVアニメ『蒼穹のファフナー』の続編にあたる作品。本編約88分。
略称は「HAE」「天地」等。
アニメシリーズでは『蒼穹のファフナー』から6年、その前日談となるTVSP『蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT』から実に5年ぶりに制作された完全新作となっている。


アニメーション制作はTVシリーズ引き続き『劇場版 機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-』や『ブレイク ブレイド』などで有名なXEBECが担当。

脚本には『マルドゥック・スクランブル』や『シュピーゲルシリーズ』などでお馴染みの冲方丁、キャラクターデザインは『スクライド』や『鉄のラインバレル』などでお馴染みの平井久司がそれぞれ担当し、主要制作陣は続投している。
ただし監督は羽原信義から上記2人が携わった『ヒロイック・エイジ』で監督を務めた鈴木利正に変更となった*1

劇場作品としての体制や技術的な進歩もあって、TVシリーズから作品のクオリティもUP。
平井デザインのキャラクターや美しい空と海の背景など、映像面もかなり美麗になっている。
また本作からファフナー等のメカニックやフェストゥムはCGモデルを織り交ぜて描かれるようになり、複雑な形状のファフナーたちはダイナミックなアクションを、フェストゥムは神秘的・金属質な体表を魅せてくれる。


楽曲は引き続きangelaが提供している。
イメージソングの『FORTUNES』は一騎視点、『理解と破壊へのプレリュード』はフェストゥム(操)視点、そして主題歌の『蒼穹』は総士視点の歌だと思われる。
また挿入歌として『さよならの時くらい微笑んで』も提供した。
なお『蒼穹』のカラオケ難易度はあの『Shangri-La』のさらに上をいく凄まじい高音と早口言葉ラッシュである。
高得点を出すには相当な歌唱力を必要とされるだろう。


壮絶な戦いと悲壮な展開で有名となったTVシリーズの続編として描かれた本作。
その内容が欝なのか、はたまたそうではないのかは実際に目で見て確かめてほしい。
ただ、原作を見た人にとって映画は制作陣からの最高のクリスマスプレゼントになると思われる。


DVDやBDは2011年9月21日(一騎の誕生日)に発売。
後年発売された究極BOXにも他のシリーズ作品の多くと共に収録されている。

小説版も検討されている。

2013年にはTV版と共に『スーパーロボット大戦UX』に参戦した。



■ストーリー

西暦2148年、30年以上に渡った人類と地球外生命体・フェストゥムの戦いは北極での決戦によって終わりを迎えた。
その最後の戦いの最中、竜宮島の面々は島から攫われた皆城総士を救出し、人類に味方するフェストゥムのコア解放を目的とする「蒼穹作戦」を展開。
作戦は成功し、コアと総士の救出は果たされたが、フェストゥムに同化された総士は真壁一騎に「必ず竜宮島に戻る」という誓いを遺して結晶化し、フェストゥムの「無」へと消えていってしまった……


あれから一年あまりの時が過ぎた2150年。
平和を取り戻し再び楽園として、人々の平穏な営みが戻った竜宮島。
一騎もまた、喫茶店の店員として穏やかな日々を過ごしていた。

しかし盆踊りの夜、突如一隻の輸送船が島へと打ち揚げられる。
船の中には一人の少年が眠っていた。

その船に続くように島に襲来したのは皆が待ち望んだ総士ではなく奇怪な空、そして黄金の質問者だった。

奪われた平和を取り戻すべく、一騎をはじめとした島の人々は再びフェストゥムに立ち向かう。



■登場人物

☆ファフナーパイロット

真壁一騎
CV.石井真
本作品の主人公。
前作ラストで「蒼穹作戦」から帰還した後ぶっ倒れ一年間も昏睡していたが、なんとか意識を取り戻した。
現在は溝口さんと共に喫茶店『楽園』の調理師をしている。評判がいいらしく、特に一騎カレーは絶品らしい。
同化治療のおかげで「蒼穹作戦」で失われた視力も明るい場所でなら物を判別できる程度まで回復している。
総士の帰還を信じており、戦いの中で新たな存在・操と対話を重ねる。
かつての愛機「マークザイン」も健在だが負担が大きすぎるため搭乗は禁じられている。


皆城総士
CV.喜安浩平
一騎の親友、もといヒロイン。
肉体が消滅してもなお、幻影として一騎の前に現れるが、実は一騎とクロッシング状態で繋がり続けることで言葉を伝えていた。
にしても相変わらず距離感が色々おかしい気がする。
未だ「存在」を取り戻せず「無」の中にいながらも一騎たちに希望を告げ、操との対話を後押しするが……?


遠見真矢
CV.松本まりか
ヒロイン。
喫茶店『楽園』にてバイトしている。
一騎のことを気遣い、彼に負担をかけないよう再びファフナーに乗り込む。
戦闘では相変わらずマークゴルゴ。
ファフナー「マークジーベン」に搭乗。


羽佐間カノン
CV.小林沙苗
唯一髪型がガラッと変わったキャラ。容子と正式に養子縁組し姓も羽佐間に変えた。
島の生活にもすっかり馴染んで表情豊かな少女となっており、高校では副会長を務めている。
ファフナー「マークドライ」に搭乗していたが途中から新型機「マークドライツェン」に乗り換える。


近藤剣司
CV.白石稔
高校でも生徒会長を務めているが、保の世話や咲良の介助で多忙を極めているのでほぼカノンが生徒会長状態。
今回は良い先輩という役割をしている(彼の成長ぶりは誰もが驚愕した)。
咲良とは前作の時よりも関係が進展している。
ファフナー「マークアハト」に搭乗。


要咲良
CV.新井里美
ミョルニアが教えた治療法により前作の昏睡状態から復帰した。
ただしまだ完全な状態ではないため、剣司の介助を受けながら車椅子を用いて日常生活を送っている。
途中からパイロットに復帰し「マークドライ(リンドブルム装備)」に搭乗して空戦を担う。


◇西尾里奈
CV.白石涼子
アルヴィス研究者行美の孫。
前作ではCDCのオペレーターを務めていたが、今作では正式にファフナーパイロットに就任。
敵への恐れと怒りの変性意識や暉への苛立ちなどに振り回されることになる。
新型のファフナー「マークノイン」に搭乗する。
汚物は消毒だ~!!を武器に使う。


◇西尾暉
CV.梶裕貴
里奈の双子の弟。
両親が「いなくなった」ショックで言葉を失くした過去を持ち、彼らの意志を継ごうとしている。
真矢に恋心を抱いているが気付いてもらえず、初めてのフェストゥムとの戦闘で戦いをゲームのように捉えていた事を真矢に伝えてしまい、彼女から冷たく突き放されてしまうことに…
ファフナー「マークツェーン」に搭乗する。


立上芹
CV.福圓美里
乙姫の最初の友達。
彼女の生まれ変わりである新しいコアの下にも足しげく通い語りかけている。
里奈と共に今作から正式パイロットとなるが、戦いの最中フェストゥムが何かを訴えていることに気付く。
ファフナー「マークツヴォルフ」に搭乗する。武器は頭突き。


堂馬広登
CV.佐々木望
前作では東京でスターになることに憧れていた少年。
今作ではから譲り受けたゴウバインのマスクを着用(生存フラグ)し、衛の機体だったファフナー「マークフュンフ」に搭乗する。
変性意識によって先走り剣司とも衝突してしまうが……?


???
戦闘の最中島へと帰ってきた存在。



☆アルヴィス職員、竜宮島島民

◇真壁史彦
CV.田中正彦
アルヴィス司令。
今作でも相変わらず生活力も芸術的センスも皆無である。
フェストゥムとは共存寄りの意志を持ち、一騎に操との対話を任せる。
戦いで島の機能が不安定となったことでかつて行われた人間同士の戦争での被爆による後遺症が再発。
日に日に悪化していく体調に苦しみながらも未来のため指揮を執る。


◇遠見千鶴
CV.篠原恵美
アルヴィス職員でアルベリヒド機関研究主任。弓子と真矢の母。
戦いの中で史彦の体が蝕まれていくのを目の当たりにし、迷いながらも島とコアを守るために手を尽くす。
ちなみにこの時点で46歳(孫持ち)。見えねぇよ。


◇小楯保
CV.高瀬右光
アルヴィスのチーフメカニック。
「蒼穹作戦」後破損していたファフナーの修復に尽力し欠番機以外全ての修復を果たしたが、その後は妻と息子を亡くしたこともあり酒浸りになり剣司に世話を焼かれていた。
しかし新たな戦いに向けてアルヴィスに復帰。
メカニックとして新たなパイロットたちを送り出す。


◇西尾行美
CV.京田尚子
西尾姉弟の祖母。
保の師でもあり、彼が酒浸りになってからもアルヴィスでその辣腕を振っていた。
かつて娘夫婦(孫姉弟の両親)を自身が開発した「ゼロファフナー」の起動実験で喪ってから第一線を退いていたことが明かされる。


◇日野弓子
CV.ゆかな
真矢の姉で美羽の母親。道生の死後姓を日野に変えた。
道生の忘れ形見である美羽を守ろうとしているが、愛娘に秘められた力を感じ思い悩む。
美羽を守ろうとする気持ちが強すぎるのか、彼女が関わるとヒステリックになってしまう一面も。


◇日野美羽
CV.諸星すみれ
弓子と道生さんとの間で自然受胎によって産まれた女の子。
美羽が存在し、産まれた意味とは何か。それが物語の鍵の一つとなる。


皆城乙姫
CV.仲西環
竜宮島のコアにして総士の妹。
前作の「蒼穹作戦」の過程で芹達に見守られながら島のミールと同化し消滅した。
しかしまだ意識は完全に消えておらず、今作で赤ん坊抱いた姿で島民の前に幻影のように現れる。


◇新しい島のコア
乙姫が抱いている赤ん坊。
現在はワルキューレの岩戸にいるが「成長期」を迎えており、そこにフェストゥムの襲来が重なった影響で島の機能が不安定になりつつある。



☆その他

◇来主操
CV.木村良平
本作品の重要人物(冲方曰く、真のヒロイン)。
竜宮島に漂着した船の中で眠っていた謎の少年。
その正体はコア型に近い肉体を持った人間型のフェストゥム。
空を「綺麗だ」と感じたことからフェストゥムの世界へと渡った総士と交流し人間的な感性を養っている。
性格もとても無邪気で、目覚めて外に出た時の反応はかつての乙姫に近い。
自分のミールからのメッセンジャーとして竜宮島へやって来るが、一騎との対話を経て自身の使命と心の間で板挟みとなっていく。



ミョルニア
CV.豊口めぐみ
マスター型フェストゥム。かつて真壁紅音であったもの。
フェストゥムと人間が共存する道を開いた特異な存在。
前作では「蒼穹作戦」を導き、アルヴィスに同化現象の治療法をはじめとした様々な情報を届けたが今作では……



フェストゥム

かつて北極に落下したミールから発生した地球外ケイ素生命体。
「蒼穹作戦」でミールが破壊されたことで大半が滅びたと思われていたが、砕けたミールの破片がそれぞれ独立した意思を持って活動するようになり、フェストゥムも一個の総体から複数の群れへと分裂。
それぞれが平和なコロニーを築くなど戦いの意思は薄れていたが、人類軍が残存フェストゥム殲滅を図って各群れへの核攻撃などを行ったことで今回の戦いの火種が生まれることとなる。

南極の戦いで「個」や「痛み」を学んだことで、時折人間的な「表情」を垣間見せるようになっている。


☆ボレアリオスミールの群れ

今作で登場するフェストゥムの群れ。
人類軍の空母ボレアリオスを同化したミールの破片を中心に構築されている。
操の母体であり、総士もこの群れの中で自分の存在を取り戻そうとしていたようだが、作品冒頭で核攻撃を受け強い「痛み」を味わったことで、「全ての痛みを消す」という目的を持ち、他の群れや人類から戦う力を全て奪うため竜宮島の力を得ようと行動を開始。
メッセンジャーとして操を送り込むと共に、空を覆うオーロラのようなフィールドや自分たちや他の群れからもかき集めた無数のフェストゥムの使い竜宮島を追い詰め、島のミールの同化を迫る。


◇エウロス型
ボレアリオスミールが生み出した新型フェストゥム。
紅い体表と長い尻尾を持つ人型タイプで、強力な同化能力と人類の兵器を模倣した攻撃手段を備える強力な戦闘型。




ネタバレ











2015年放送開始







追記・修正よろしくお願いします。








「痛みが増えていく」

「悲しいよ」

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最終更新:2023年09月12日 15:35

*1 同年に『ブレイク ブレイド』を監督していたスケジュールの都合と思われる。本作では監修として表記されているので全く関わっていないわけではないが。