西遊記(中国古典)

登録日:2018/04/18 Wed 12:33:22
更新日:2024/03/27 Wed 08:25:43
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西遊記』とは、中国で生まれた伝奇小説にして、日本にも多大なる影響を与えた古典作品である。
中国では『水滸伝』・『三国志演義』・『金瓶梅』と合わせ「四大奇書」、『金瓶梅』を『紅楼夢』に差し替え「四大名書」とも称され、
中国・日本の両国で京劇・ドラマ等各種メディア化が無数になされている。
本項目では本作の概要と、各種派生作品の一覧について説明する。


●概要

史実で唐代(7世紀)僧侶玄奘が行った天竺(インド)への仏教修行の旅、及びその冒険の軌跡を記した『大唐西域記』を基に、
各地の伝承を講談化した『大唐三蔵取経詩話(新(ちょう)大唐三蔵法師取経記)』を経て
「巨岩から生まれた岩猿孫悟空」・「天竺へと赴く僧侶三蔵法師(玄奘)」・「元天界の将で煩悩に弱い豚妖怪猪八戒」・「元天界の役人で流砂河に居ついていた妖怪沙悟浄」・「化して旅に付き従う龍王の息子玉龍」の冒険譚が描かれる。
まあ一応史実が基だが、実質的主人公が仙術を使う猿なので活劇系ファンタジー作品でもあり、
作中の「天界」も道教の「仙人」と仏教の「仏」が混在するという、ちょっとカオスでいかにも中国的な世界観である。
また仙人繋がりで『封神演義』の一部キャラが、唐代繋がりで『隋唐演義』の一部エピソードが登場している。

一応作者は「丘処機」(12世紀元代初期の人物)*1または「呉承恩」(16世紀明代の人物)とされているが、日本を中心に異論が多数ありよくわかっていない。
作者がよく分からないのは時代によって内容の深化や編集等が異なるせいで、
現在日本で入手しやすい完訳本は明末の『李卓吾先生批評西遊記』ベースの岩波文庫版(中野美代子訳)だが、
「李卓吾~」前のバージョンである『世徳堂本』版や各種書物からの編集本『西遊真詮』では『李卓吾~』で大幅に省略された「三蔵法師の過去」が書かれており、
そっちをベースにした岩波少年文庫版や平凡社版で確認できる。

●あらすじ

昔々、世界は東西南北4つに区分されており、その中でも「東勝神州」は「傲来国」にある花果山の頂上に、穴ぼこだらけの不思議な石が世界の仙気を吸いながら鎮座していた。
ある日その石がぱっくり割れて小さな石の卵を産み落とし、中から生まれたるは何とお猿!
その石猿は花果山に根城を構え、山の滝つぼに眠っていた洞窟「水簾洞」を見つけ山の猿王になる。
だがある日「俺だっていつかは死ぬよね…」と鬱になり*2、部下猿の薦めで「不老不死の仙人」になるべく仙人を探す旅に出、ついに出会った仙人に「孫悟空」と名付けられ、仙術修行に明けくれ多彩な術と仙人の秘法を身に着けた。
最後は調子に乗って叩きだされたものの、留守の間に水簾洞を奪った魔王を倒して再び王となり、牛魔王ら他の妖怪達とも義兄弟になる猛者として君臨。
龍王から如意棒と揃いの豪華衣装をカツアゲし、あの世から迎えに来た閻魔の使いは撲殺、ついでに自分はおろか猿たちの寿命もない事にする等の蛮行に及ぶも、
これらを通報された事で天界に目をつけられ、懐柔案により一度は天界に。
だが結局「天界スカウト→逃げ出して地上に戻る→バトル→天界再スカウト→悪戯しまくってバトル」と大騒動の元になり、最終的にお釈迦様に戦いを挑んで五行山に封印された。
それから五百年後、お釈迦様の「乱れる地上に正しい仏教をもたらしたい」との願いから、
観音様が各地でくすぶっていた悟空ら過去にポカやらかした連中に「これからくる法師様に心入れ替えて仕えれば赦すよ!」と諭していく。
そして中国の皇帝太宗はひょんなことから経験した冥府巡りと啓示から「徳のある僧侶を天竺へ行かせよう」と決め、
僧侶玄奘(三蔵法師)に命を与え、彼を天竺に旅立たせる。
三蔵法師は行く先々で妙な連中に会い彼らを弟子にしていくが、その旅路は三蔵をつけ狙う妖怪と、天界の齎す試練によって過酷なものになるのだった…。


●主な登場人物

  • 孫悟空
主人公で石猿。
天界でトラブルを起こして出て行ったあと、その件を知った子分の妖王が提案した「斉天大聖」なるカッコいい称号をいたく気に入り、以降は自称するようになる。
三蔵法師の弟子になってからはそのお寺の小間使いのような容姿から「孫行者」とも呼ばれるようになった。
道中しばしば「雷公様」と呼ばれるが、これは顔つきが怖いからではなく、猿の口が飛び出した顔つきが中国の伝統的な雷公の図像によく似ているため。
八戒・悟浄とは弟子仲間として義兄弟関係にあり、「兄貴(哥哥)」と呼ばれることも。
元猿の王なためかなりプライドが高く、一回目の天界暮らしの時は自分の役職「弼馬慍」(天馬*3の世話係)が
かなり低い身分だとばらされた所為でキレ(それで大聖と名乗るように)、以来「弼馬温」は彼にとって最悪の悪口となった。
須菩提祖師*4に仙術を習い、少女から巨人まで多彩な姿と化す「七十二の変化術」・毛を材料に自在に分身する「身外身の術」・かつては中国各地の河の深さを測る物差しで、天の河の底をも突き固めたという長短巨小自在の「如意金箍棒」・
十万八千里を自在に駆ける「筋斗雲」*5とどれをとっても凄い能力を持っている。
捕縛の際の大暴れを見るに哪吒とは互角かやや有利、二郎神君にはやや不利といったところ。
なぜか「小さくなって体内から攻撃」という手をやけに好むため、三蔵から突っ込まれたことがある。
また最初の目的だった「不老不死」に関しても、仙人修行・閻魔帳塗りつぶしの他仙桃盗み食いや
仙丹炉蒸し焼きの刑*6による強化で予想以上に叶い、ちょっとやそっとじゃダメージを受けない鋼の体を手に入れた。
ルーツはインド神話の風の神ハヌマーンとも、インドの善無畏三蔵が経典を手に入れたとき番をしていた猿とも、
玄奘の次の世代に天竺からの取経を成し遂げた「悟空」という僧侶とも。

なお、中国に生息する猿のキンシコウがモデルというのは、
日本モンキーパーク園長がキンシコウの毛並みを評価した際に言った言葉が過大解釈されたものとみられ、
その言葉も指摘を受けた際に訂正しているため、根拠のない俗説となる。
所謂『西遊記』として認知されているテキストである『李卓吾先生〜』では「小さな身体」「長い尻尾」「赤い尻」「仲間が猿回しに使われる」などの描写があるため、ニホンザルとごく近縁なアカゲザルをイメージの下敷きにしているものと思われる。

  • 三蔵法師(玄奘)
史実では過酷な旅をこなした偉人だったのだが*7、本作では悟空というチート主人公がいるためヒロインポジとなった人*8
僧になる前の俗名は「陳江流」で、三蔵の意味は「(仏教で大切な書物)経蔵・律蔵・論蔵をマスターしたもの」。つまり、彼以外にも三蔵法師は何人もいる*9
太宗経由で観音様から授かった袈裟と錫杖*10をいつも纏っている。
また無茶な悟空を止めるストッパーとして、観音様から金輪「緊錮児」と呪文を授かり、悟空に付けた金輪を呪文で締め付けることが出来るようになった。
実は前世不信心でお釈迦様の元を叩きだされた弟子「金蝉子」だったという設定がある。
そんな仏弟子は実在しないが、「金蝉」とは肉体を捨て仙人になるように脱皮する蝉を表す道教由来の語で、本作のカオスな世界観を象徴するような名である。

その特殊な出生や「精を放出したことがない」という道教的には凄いエネルギーを秘めている点から、金角・銀角ら天界と縁がある妖怪たちのターゲットとなる*11
一応弟子たちの他に見えない護衛として天界から来た「六丁六甲」・「五方掲諦」・「四値功曹」・「護教伽藍」が付き従っているが、あまり役に立っていない。
バージョンによっては両親が賊に襲われた際に母が川に流して逃がし、寺に拾われたという生い立ちが語られることもあり、前述の悟空のルーツがハヌマーンという説と合わせてラーマーヤナのシーター姫がルーツと言われることも。
なお、ラストに語られる八十一難のうち、金蝉が人間に貶められる第一の難に続く三つの難が、この三蔵誕生のストーリーのものである。


  • 猪八戒
前世は天界の武将「天蓬元帥」だったが、蟠桃会にて酔った勢いで嫦娥(月の模様の由来の一つで、不老不死の薬を飲んだ美女)にセクハラしたせいで地上に堕とされ、豚に転生した豚妖怪。
殺生を重ねていたが観音様に諭され三蔵の弟子になる&食生活を精進料理オンリーにすることを決意した。
悟空に比べるとバリエーションは少ないが、太上老君が鍛えた九歯の鈀(日本では熊手、まぐわともされる)、名付けて上宝沁金鈀を振る怪力や三十六の変化術を持つ。一行では荷物持ち担当。
どうも欲に弱く、三蔵が来る前人間に化けてある家の婿養子になるまで奮闘するも、
次第に本当の姿がばれ嫁を監禁した事で三蔵や悟空に退治依頼が来たことで初対面というアレな事になった。
物語のラストが近づいてもなお月の仙女に言い寄るシーンがあるほどの好色ではあるが、師匠のためなら絶世の美女に面と向かって啖呵を切る憎めない奴。
なお観音様から「悟能」という法名を貰ったのだが、三蔵から「仏教の食生活での8つの戒めをちゃんと守っている」と命名された「八戒」と普段は呼ばれている*12
テキストとして成立する以前の『西遊記』の姿を残していると言われる『雑劇西遊記(楊東来先生批評西遊記)』では「摩利支天の御車将軍、黒風洞の黒風大王」を名乗って悪さをするが、二郎真君に取り押さえられる。

  • 沙悟浄
かつては天界の近衛兵「捲簾大将」だったが、蟠桃会でうっかり天帝の宝物である玻璃の容器を割ってしまった*13せいで地上に堕とされ妖怪となり、
流沙河で取経僧を次々と喰らっていたが観音様に諭され改心し、(一回悟空らとバトルした後)三蔵様の弟子となった。三蔵からは「沙和尚」と呼ばれる。
上2人が元々戦士なためあまり目立たないが、月の桂の木から伝説の大工が削り出した武器「降妖真宝杖」を振るい、悟空には疎い水中探索*14では元水軍の八戒と共に活躍している。
一行では馬の手綱を引いたり悟空・八戒の仲裁役を務めたりしている。
なお容姿は「藍色の肌」で「三蔵に弟子いりする時赤い髪をそって坊主にした」とあり、
元河住まいとはいえ決して河童とか半魚人ではないのだが、なぜか日本では殆ど河童扱いされている。
この河童扱いは明治の講談にまで起源が遡ることが出来、皿が三枚ある河童の化物として描写されたのが文章における最初のものであるらしい。
しかし、この三枚皿の河童が描写されたのとほぼ同時期にただの髭面のおっさんの挿絵を挿入した講談もあり、イメージが完全に膾炙しきってはいなかった模様。
ヨウスコウカワイルカやヨウスコウアリゲーターがモデルとされることもある。
『大唐西域記』では砂漠で水が底をついて絶望しかけた玄奘を励ました現地の神「深沙大将」で、流沙河も元は水の流れる河川ではなく河のように流れる流砂を指していた。
つまり本来は水属性ではなく砂属性なはずだが、『西遊記』の時点で既に流沙河=水の河と誤解されており、水の妖怪と解釈されてしまっている。
能の演目『大般若』では竜神「真蛇大王」の姿で玄奘に大般若経を授ける。
なお、彼が首に下げている九つの髑髏は、全て三蔵法師の前世とされることもあるが、『李卓吾先生〜』『西遊真詮』の沙悟浄にこの設定は見られない
確かに『大唐三蔵取経詩話』で現れた深沙大将は三蔵の前世を食ってその髑髏を持ち歩いているし、『雑劇西遊記』では「九度の生涯全てで西天を目指したとある僧侶を、九度ともここで食ってしまった」と述べる沙悟浄が登場しているものの、その設定はどうやら『西遊記』として編纂・成立する過程で抜け落ちた模様*15

  • 玉龍
西海龍王敖閏の三男だったが、うっかり火事騒ぎを起こして父の宝を焼いてしまい、逆さ吊りののち斬首の刑を受けていた所で観音様と出会い取りなされる。
解放後は三蔵法師の乗る馬を食べてしまい、悟空に懲らしめられ白馬に変じて旅の伴となる。いわゆる龍馬というやつである。
基本「馬」として行動しているが、一回だけ一行の危機に人化して行動したことがある。もう一度だけ一行の助けになったことがあるが……山の奥の薬屋さん
西遊記成立前のレリーフに「猿と東海火龍太子(人間体で如意棒が得物)を従えた玄奘三蔵」という像があり、
実は初期から関連が深いようだ。
『雑劇西遊記』では南海龍王の第三太子、火龍太子として登場する。

○天界の神仙

我らがお釈迦様。玉帝*16に次ぐ天界のNo.2で仏教のトップにあらせられるお方。
大昔に酔った勢いでケガをして、その時垂らした血が岩に降り注いだことで悟空が生まれたという説もあり、これだと実質悟空の父親である。
天界で暴れる悟空に「私の手から逃げのびてみろ」と命じ、あっさりと彼を捕まえ五行山に封印した。
故郷である天竺にある三蔵経を玄奘一向に持ち帰らせようとする。

悟空達を三蔵の元へと誘い、その後もちょいちょい彼らを助ける仏様。
一応「仏」なので性別とか超越している存在なのだが、西遊記では女性の姿として描写される。
悟空からは「行かず後家」だの陰口をたたかれていたせいか、日本語訳文では女性的言葉で話しているように解釈される時もある。

  • 恵岸行者・木叉
観世音菩薩の一番弟子で、ちょくちょく三蔵一行を助ける。
実は李天王の次男であり、仏道に帰依する前の名前は「木吒」。

  • 托塔李天王
天界を守護する将軍。その正体は毘沙門天(多聞天)であり、沙悟浄の前身となった深沙神は彼が化身したものという説も。
投げることで相手を封じ込め、焼き尽くす「玲瓏塔」を抱えていることからこの異名が付いた。
が、西遊記での塔は如来の姿を見せて息子の怒りを鎮めるための道具にすぎない。
封神演義におけるダメ親父李靖に該当する。

  • 哪吒太子
封神演義でおなじみの蓮華サイボーグショタ。ナタクじゃないよナタだよ。李天王の三男で木叉の弟。
悟空とは天界戦争の折から似た者同士という事もあってケンカ友達であり、悟空が天界に助けを求めると一緒に悪乗りしたりする憎めない奴。
封神演義とは使う武器の内訳が異なる。

  • 顕聖二郎真君
玉帝の甥(父親は人間)で天界最強の戦士。額に三つ目がある。
七十二変化を使いこなし、愛犬・哮天犬は悟空をもとらえるほどの強さ。猿だけに犬には弱いのか。
封神演義における楊センに該当。

  • 四海竜王
世界の海を管理する竜王の4兄弟。よく悟空が炎系の敵を相手にした時に力貸さんかいと呼びつけるパシリ。
悟空の持つ如意棒は長兄の東海竜王・敖廣が重いので海の宝蔵にほったらかしていたものを、
悟空が寄越せとジャイアニズム的なKOUSHOUを行った結果手に入れた物。
三男西海竜王・敖閏は玉龍のパパ。
一応竜の王様のため、そこいらの河の神では門前払いを食らうぐらいには偉い。このせいで起きたひと悶着を悟空が解決するパートもある。

  • 太上老君
道教三清の一角で、道教の開祖である老子その人。
太古の昔に如意金箍棒を鍛え上げて禹王に与え、九歯のまぐわを自ら金槌を取って鍛造したという肉体派のお爺さんで、
八卦炉から飛び出して大暴れする悟空を真っ先に捕まえようとしたのは彼であった。
腕輪にしている金剛琢は二回も悟空を苦しめている、
しょっちゅう弟子や眷属が宝貝を盗んで堕天してくるので悟空からは「また爺様か!」と呆れられている。
『西遊記』での居場所は兜率宮とされるが、この兜率天というのは弥勒菩薩がおわす仏教界の地名である。

○著名な妖怪

勿論全部書いていてはキリがないので、創作などで取り上げられる機会が多いメジャーなものを紹介する。

  • 混世魔王
名前はめっちゃ強そうだが最初に登場するかませ犬ゲームで言う所のチュートリアル要因
仙人修行のために悟空が抜け出した花果山をジャックしたため、悟空の仙術の最初の試し切り要因にされる。
なぜか某ゲームではラスボス。

  • 黒熊怪(黒風大王)
悟空が三蔵に弟子入りして最初に戦った、黒風洞に住まう黒熊の妖怪。全身真っ黒。
寺の悪徳坊主と結託しており、坊主の放火に乗じて三蔵の袈裟を盗んだ文字通りの火事場泥棒
友人の蛇男、狼男と共に三蔵を食べようとしたが、蛇男は悟空に瞬殺され、狼男も殺されて成り代わられた挙句、
観世音菩薩と結託して金丹に変身した悟空を誤飲してしまい、腹の中で散々痛めつけられ、観世音菩薩の下で修業を積むこととなる。
その後、改心して悟空の友人になっている。
在野の妖怪でありながら天界の事情に詳しく、また悟空と互角の腕前という謎多き妖怪。『雑劇西遊記』にその理由の一端が垣間見えるか。

  • 白骨夫人(白骨の精)
霊峰深山の一部である「白虎嶺」という場所を根城にしていた、美女の姿をした妖怪。
「解屍法」と言う死体を操る術を得意とし、三蔵法師の天竺行きツアー御一行の前に三度に渡って立ちはだかったガッツの持ち主でもある。
まず一度目は18歳程の果物売りの娘に化けて休憩中だった三蔵法師に近付くも
たまたま野ションから戻ってきた悟空にすぐに正体を見破られてボコボコにされかけた為、
得意の解屍法を使って身代わりの死体を残し一度目の撤退。
これを八戒が人殺しをしたと激しく咎めるがじゃあこれは何だと悟空が見せた、白骨夫人が残した籠の中には無数の蛇や毒虫がウジャウジャと蠢いていた。
次に白骨夫人は「まさか三蔵って枯れ専…?」と思ったかは定かではないが真逆の80代程の老婆に化けて、人を尋ねるフリをして近付こうとした。
これに対して八戒がどういう見方をすればそう判断するのかきっとあの婆さんはさっきの娘の母親だと断じるが
即座に悟空からは「80のババアに18の娘が産める訳無いだろ!いい加減にしろ!」とツッコまれ、またもやボコボコにされかけたので今回も解屍法でクールに去った
そして迎えた第三ラウンド、早くもネタが尽きたのか今度は老爺に化けて近付こうとしてまた悟空に即刻見破られ、三度解屍法でクールに…といこうとしたが、
「もうエエわ!」とばかりに悟空が事前に呼んで見張りを頼んでおいた深山の土地神と山神に逃げ道を封じられてしまった。
そのお陰で、とうとう悟空に引導を渡されることとなった。ゆ、許されなかった…

正体は深山の霊力によって永らえていた不死の存在。つまりは一種のキョンシーであったが、その出自故に深山一帯に縛られていたので、
予てから聞いていた三蔵の血肉を喰らう事でそれから解放され、完全なる不死の存在へとなる事を望んだというのが一行を襲った理由だった。
そして滅せられた際には自分の真の姿であった背骨に己の名を刻んだ白骨死体へと戻ったという。
しかしこれを悟空が一日に三回も殺生を行ったと目の前で顛末を見ていたにも関わらず誤解した三蔵は彼を破門にしてしまい、
渋々悟空は古巣こと花果山に帰って暫くはヒキニートと化してしまうが、
下記の黄袍怪との戦いの際に助太刀に来た事を機に許され再びツアーメンバーに加わる事になる。ゆ、許された…
「夫人」と名に付き、卑劣な戦略で初の破門イベントを起こしたことからか中国では昔からキャラが盛られがち。

  • 黄袍怪(黄袍郎)
上記悟空家出の際に三蔵を食べようとした妖怪。
美男子のふりをしているが実は醜悪な人食い妖怪であり、宝象国の姫を攫って妻にし、子供まで産ませていた卑劣漢。
三蔵を虎に変え、「姫を襲おうとして叩きのめした」と言って宝象国の王の信任を得ようとしたが、舞い戻ってきた悟空に叩きのめされる。
正体は二十八星宿の一人・奎木狼。
この騒ぎにより、死罪こそ免れたものの下っ端暮らしを余儀なくされる……はずだったのだが、数日(天界の一日は地上の一年)で復帰して二十八宿として参上している。

  • 金角大王/銀角大王
平頂山蓮華洞のボスで、天界の五つの秘宝を盗んだ妖怪兄弟。
九尾の狐(例の妲己や玉藻のアレとは違い、弱い)を母、その弟の狐阿七大王を叔父と呼んでいるが血縁は無い。
「今までやってたような面倒な丹薬作りや修行をしなくても不老長寿になれる」という至極真っ当な理由で三蔵の肉を狙う。
秘宝の中でも名前を呼んで返事をした相手を吸い込んでしまう「紫金紅葫蘆」「羊脂玉浄瓶」を用いた戦いは有名。後の三つはちょい役とも言うが。
正体は太上老君の弟子、金炉童子と銀炉童子であった。
名前が画数が少ないわかりやすいので非常に人気が高い妖怪であり、後世の創作ではよく牛魔王の前座として出てくる。

  • 紅孩児
枯松澗火雲洞のボス。後述する牛魔王と羅刹女の子供。
子供(300歳以上だが)ゆえに残虐かつ傲慢な性格で、水の中でも燃え続ける「三昧真火」を操る難敵。キャラが哪吒太子と被っている気がしないでもない
悟空の罠にはまって針地獄に落とされてしまい、観世音菩薩の下で弟子となって「善財童子」となった。
『雑劇西遊記』では鬼子母の息子として登場しており、元々牛の息子というわけではなかったらしい。

  • 三大仙
車遅国を干害から救って恩を売り、仏教を弾圧していた「虎力大仙」「鹿力大仙」「羊力大仙」というインチキ道人トリオ。
猿豚河童の3名により小便を飲まされる屈辱を受け三蔵に法力勝負を挑むも悟空の裏工作もあり失敗。
再戦と称し悟空と無茶な我慢比べ対決を行うも、悟空の裏工作により首なし虎、鹿の三枚おろし、羊の油揚げ*17という無惨すぎる屍に成り果てた。

  • 牛魔王
「平天大聖」を自称する巨大な牛の怪物。
数ある西遊記妖怪の中でも絵本や演劇、映画での採用率は間違いなくトップで西遊記で最も有名な敵キャラの1人であるが、実はラスボスでも何でもなく中盤の敵である
ガンダムで言う所のランバ・ラル北斗の拳で言う所のサウザーくらいのポジション。なるほど人気が出るわけだ
元は悟空の義兄だったが、悟空が五行山に封印されてからは袂を分かち、火焔山を根城に悪行を繰り返していた。
あと勘違いされだが三蔵を食おうとしたのは後世の二次創作であり原作では一切そんな描写は無い
山よりも巨大な白牛に変化し、悟空と闘うも、加勢に現れた二郎真君により調伏される。

  • 羅刹女(鉄扇公主)
牛魔王の正室であり、悟空の義姉に当たるお方。…実は牛魔王には愛人もいるんだなこれが。よくカットされるけど。
どっかの猿が天界から落としてきた火焔山の炎が凡間の水では消えないことをいいことに、地元の人間から財物をせしめていた悪女。
紅孩児を仏門に帰依させた悟空を憎悪している。
二郎真君に痛めつけられる夫を見かねて命乞いし、降参して改心した。
経典に名を遺す善財童子と羅刹女の由来はここにあったのでございます、と〆て火焔山編は終了する。
なお、彼女の芭蕉扇と太上老君の芭蕉扇で、都合芭蕉扇はふたつある。羅刹女のそれは陰の気を帯びた宝で、冷気と水を生じて火を消す力があるとされる。
太上老君のそれは五行のうちから直接火を取り出し、また消し止める力をも持つ。真逆に近い性質を持つ両者であるが、特にその由来については触れられることはない。


このほかにも様々な妖怪が登場するが、ザコはともかく強敵はだいたい土着の妖怪ではなく天界から逃げ出してきた神獣やら下級神やらばかりである。
(例)
  • 黄風大王:お釈迦様の修業した霊山の油を舐めたイタチ。
  • 偽烏鶏国王:文殊菩薩の乗る青獅子(去勢済み)。
  • 霊感大王:観世音菩薩が飼育していた金魚。
  • 独角兕大王:太上老君の乗る神牛。
  • 賽太歳:観世音菩薩の乗り物である「コウ」という霊獣。
  • 三大魔王:また逃げ出した文殊の青獅子、普賢菩薩の白象、阿弥陀如来とややこしい親縁関係にある大鵬金翅鳥
  • 池湧夫人:李天王の養女(正体はネズミ)。
  • 偽天竺王女:月のウサギ。

まあ中には土着でも、例外的に強い妖怪もいる。
  • 六耳獼猴:耳が六個ある情報通の化け猿。恒例の「偽ヒーロー」枠で、悟空に寸分たがわず変身し全ての術・能力をコピーしたすげえ奴。最期は情けなかったが。
  • 百眼魔君:全身から強烈な光を放ち悟空を一度完敗させた大百足の怪物。妹は美女妖怪(正体は蜘蛛女)×7というエロゲ主人公みたいな出自の奴
  • 辟寒、辟暑、辟塵大王:在野で珍しく強いサイの三大王。

●四遊記と続編

明代以降には人気にあやかって『東遊記』『南遊記』『北遊記』というパチモン派生作品も書かれている。「四遊記」とも称される。
『東遊記(別名:『上洞八仙伝』や『八仙出処東遊記』)
道教の仙人代表選手 八仙 が八人揃うまでの話と、東へ観光に出かけて東海龍王と争いが起こるが、龍王の訴えで関帝趙公明ら四方の神が、八仙サイドには悟空が加わってきて……
『南遊記』(別名:『五顕霊官大帝華光天王伝』)
殺生を犯した文殊菩薩妙吉祥童子が人間に転生して罪を償い、やがて天界に仕える五顕霊官大帝・華光天王となるが
その過程で仙桃を盗み出すために悟空に化けてしまい悟空と戦うことに……
『北遊記』(別名:『北方真武祖師玄天上帝出身志伝』)
地上の花に心を奪われて玉皇大帝が地上に降りた間に、部下の三十六天将が脱走して地上を騒がせ、
分裂して人間に生まれ変わっていた玉皇大帝の北方真武大将軍が征伐する。

また後の世代を描いた『後西遊記』という作品も。
『後西遊記』
取経の旅から二百年が経過した後のこと。花果山から再び生まれた石猿は、孫悟空の伝説を知り、自ら斉天小聖の孫履真と名乗る。
一方、唐の国に伝えられた玄奘の経典は難解で、誤った解釈がなされるようになってしまった。
自らの取経の旅が無為になることを悲しんだ玄奘はお釈迦様に相談し、真経の解説文の真解を取りに来させることを決定する。
玄奘に選び出された和尚、大顛は先ほどの孫履真、八戒の息子の猪一戒、沙悟浄の弟子の沙弥を道中で仲間とし、東海龍王から龍の子供たちの代わりに履真がカツアゲした龍馬に跨って、遥か天竺へ三蔵の真経ならぬ真解を取りに行く旅に出るのであった。
訳本は二冊(1948年発行と1994年発行)があるが、いずれも一部エピソードが削除されている。これが「天地を補った神器VS如意金箍棒」という、一見問題なさそうなエピソードなのだが……
『西遊補』
続編というよりサイドストーリー。火炎山の戦いと九頭駙馬との戦いの合間の物語。眠りこけた一行を後に置いてさまよう内に、鏡の世界に封じ込められた悟空。別の鏡から出られないか試してみるが青銅鏡をくぐった先は秦の始皇帝の時代で……。
邦題では『鏡の国の孫悟空(東洋文庫,2002)』とされる事も。こちらは完訳で、訳者による増補改訂版がネットに存在している。
『続西遊記』
『西遊記』の第九十八回から分岐したifストーリー。ようやく西天に辿り着き、旅も終わりに近づいた三蔵一行。しかし『西遊記』とは違い、数多の経典を持ち帰るのは雲に乗ってではなく、三蔵たちが素手の徒歩で行ってこそ、というのが如来の思し召しであった。
如来は「害を生み妖怪を生む元となった」という理由で悟空たちから自慢の武器を没収。そして変化自慢の在家人の霊虚子、知恵役の僧侶の到彼に、三蔵たちを密かに守護するように命ずるのであった。一行の道中にはやはり妖怪がうようよ……
上記二作と異なり抄訳すら存在しないため、内容がかなり謎に包まれている。割と江戸・明治の学者からの評価は辛辣な模様。


●主な二次創作・派生作品(日本)

主役陣が男4人+オス1頭という大変華のない面子なため、2次創作では悟空達のルックスやキャラの性別等に大きく補正がかかることがある。
また役割分担が分かりやすいためか、既存キャラと西遊記設定をクロスオーバーさせた作品も複数見受けられる。

実写ドラマ

  • 日本テレビ系連続ドラマシリーズ『西遊記(1978年版)』・『西遊記2』(1979年)
孫悟空役は堺正章、三蔵法師役は夏目雅子、沙悟浄役は岸部シロー、猪八戒役は西田敏行(西遊記)と左とん平(西遊記2)、玉竜役は藤村俊二。
男性である三蔵法師を夏目雅子が演じており、日本の創作物に登場する三蔵法師が女性だったり女優が男性設定で演じている(パロディなら女性キャラや中性的な男性キャラが割り当てられる)事が多いのはこのドラマの影響だろう*18
後述の『飛べ!孫悟空』と同時期なせいか、こっちの八戒役の二人があっちにゲスト出演し、
他にも両方のゲストになった研ナオコがいたり、あっちに堺の元バンド仲間や岸部の元先輩が出てたりした。
ゴダイゴが担当したOP『Monkey Magic』、ED『ガンダーラ』も有名。

  • 日本テレビ系SPドラマ『西遊記』(1993年)
孫悟空役は本木雅弘、三蔵法師役は宮沢りえ、猪八戒役は河原さぶ、沙悟浄役は嶋田久作。
三蔵は男性設定であるが、女性のような美貌の持ち主で悟空の初恋相手の女性に似ている。…今でいう男の娘?
B'zの『愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない』が本作の主題歌と聞いて驚く人は多いだろう。

  • 日本テレビ系連続ドラマ『西遊記』(1994年)
孫悟空役は唐沢寿明、三蔵法師役は牧瀬里穂、沙悟浄役は柄本明、猪八戒役は小倉久寛、白竜役は柳沢慎吾。

  • フジテレビ系連続ドラマ『西遊記』(2006年)
孫悟空役は香取慎吾、三蔵法師役は深津絵里、沙悟浄役は内村光良、猪八戒役は伊藤淳史。
「月9」枠で放送され、2007年に映画化もされた。なまか~!

玄奘三蔵法師をモチーフとした「サンゾウゴースト眼魂」が登場。
劇中では主に仮面ライダーネクロムがフォームチェンジに使用する。

『西遊記』をモチーフとした「西遊ジャーニーワンダーライドブック」が登場。
当初は仮面ライダーカリバー必殺技発動時に使用していたが、仮面ライダーセイバーが入手して以降は西遊ドラゴン・クリムゾンドラゴン仮面ライダークリムゾンセイバーへのフォームチェンジに使用された。
また、映画『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』では『西遊記』の世界が同作の舞台の一つとして登場。
新堂倫太郎と『機界戦隊ゼンカイジャー』の五色田介人セッちゃんがここに迷い込んだ他、
仮面ライダー電王』からモモタロスウラタロスキンタロスリュウタロスがそれぞれ悟空・悟浄・八戒・三蔵の役割を与えられ、更に『仮面ライダージオウ』から常磐ソウゴオーマジオウまでもが登場した。

孫悟空がモチーフであるドンドラゴクウが追加戦士として登場。
実は『ドンブラザーズ』の初期段階は『西遊記』を元にしようとしたが、紆余曲折あり『桃太郎』モチーフに変更された経緯を持つ。


人形劇

  • 『飛べ!孫悟空』(1977~1979)
TBS系。ザ・ドリフターズ主演で、悟空役は志村けん、三蔵役はいかりや長介、悟浄役は仲本工事、八戒役は高木ブー、馬役はドリフの付き人すわしんじ。
進行役兼主題歌担当に当時の人気アイドルだったピンク・レディーが出演していたが非常に影が薄い。
お馴染いかりや三蔵様一行になぜか加藤茶演じるカトちゃんが付いてくるため、八戒の影が薄い珍しい作品。
同時期に放送されていた人気番組「8時だョ!全員集合」の人形劇版と言ったほうが分かりやすい。
中の人の顔と人形の顔を似せるようにしており(もしくは著名人顔の人形にプロ声優や声帯模写師を割り振る)、当時を代表する歌手が多くゲスト参加した。

挿入歌の「ゴー・ウエスト」が有名。

  • 『西遊記外伝 モンキーパーマ』(2013、2014、2015)
TEAM NACS主演で、悟空役は大泉洋三蔵役は森崎博之悟浄役は戸次重幸八戒役は音尾琢真、玉龍役は安田顕
こちらはちゃんとメンバー5人を4人と1頭に割り振っている。2015年版には人気声優の戸松遥が登場した。


漫画

  • 手塚治虫『ぼくの孫悟空(ぼくのそんごくう)』
日本サブカル界隈最初期の作品という事もあってか、珍しい「河童じゃない沙悟浄」が登場する漫画*19。あと玉龍が女の子。
後に『悟空の大冒険』の題でアニメ化されたが…。

  • 赤塚不二夫・藤子不二雄・つのだじろう『ギャハハ三銃士』
週刊少年サンデーに連載されていた『おそ松くん』(赤塚)・『オバケのQ太郎』(藤子)・『ブラック団』(つのだ)のトキワ荘組によるクロスオーバー作品で、
「頭がパー」な王様の頭を良くする薬をイヤミから奪うため、三蔵デカパンとお供の悟空チビ太・八戒オバQ・悟浄タロー(ブラック団)が冒険の旅に出る。

西遊記の絵本にハマりすぎたチンパンジーのブービー(パーマン2号)が、八戒パーマン1号と悟浄パー子を連れて西へ…(パーやんは大阪担当なため不在)。
日テレ版西遊記前の作品のせいか、2号が三蔵役として坊さんを浚おうとしていた。

  • 藤子・F・不二雄『T・Pぼん』「白竜の吠える谷」
凡&リームコンビが、不慮の事故で死んでしまう玄奘三蔵の弟子を救いに行く。
寒かったので二人は猿と豚の着ぐるみを着て吹雪を凌いだのだが…?

主人公が如意棒と筋斗雲を持つ猿尻尾な孫悟空な他、初期登場する仲間の編成が西遊記な漫画。
初期案ではもろに西遊記だったが、マシリトからストップがかかって今の設定になる。
他にも牛魔王やアニオリキャラの金角銀角(79話登場)も登場し、チチは牛魔王の息子である紅孩児がモデル。
なお、映画の敵キャラであるターレスは仙桃を盗み食いした孫悟空、ブロリーは天界で暴れていた頃の孫悟空が元ネタである。

キャラ名等を除いてほぼオリジナル設定の漫画。特に、お前だお前*20
掲載誌移動や著者の闘病生活などの要因も重なり、掲載期間が史実上の玄奘の旅を越す事に。

  • 諸星大二郎『西遊妖猿伝』シリーズ
「もしリアルな唐代の時代設定で(妖等はいるが)人間として悟空達がいたら?」という構想による漫画。
度重なる連載中断と雑誌移籍により、史実玄奘の旅期間を超えた先でやっと天竺への旅が始まり、何と悟浄の本格的参戦が2010年代に。

「もしパタリロが孫悟空だったら」設定のパラレルストーリー。三蔵はマライヒ、八戒・悟浄はオリキャラ。バンコランとヒューイットは十六羅漢の一人として登場。
単独でアニメ・舞台化された。

  • 白井三二朗『Dear Monkey西遊記』
主人公が三蔵法師の妹で、悟空本人では無くその分身が同行するという、異色の熱血大河漫画。

  • 山口貴由『悟空道』
覚悟のススメ』完結後に描かれた連載漫画。
タイトルに恥じぬ一行の「仏契(ぶっちぎり)」ぶりが見所。

上記の香取慎吾版に勝手に便乗して始まったギャグマンガ。第2部は堺西遊記要素も取り入れられた。

元々は作者が自身のサイトで掲載していた漫画作品が商業媒体となったもの。

「オレ 八戒って言いまーす! 特技はー 食材でーす! なーんちゃってー! ブー!!」

項目参照。

単行本第9巻収録のエピソード「ペットがほしい」において、ひみつ道具「ペットたまご」によって生まれた孫悟空が敵役として登場。

連載第5回のエピソードで、大昔の中国にタイムスリップしたスカイライダーが玄奘一行と出会う展開が描かれる。

打ち切りのせいで沙悟浄は登場すらしなかった。

  • 古賀亮一『電撃テンジカーズ』
モロ河童とメス豚と眼鏡っ子三蔵ちゃんによるギャグマンガ。悟空は現実世界から飛ばされてきたショタ。

  • 小池一夫(原作)小島剛夕(作画)『孫悟空』
「アクションシルクロード孫悟空」とも。全員がガラの悪い広島弁でまくし立てるヤクザ映画的西遊記。

  • さいとう・たかを『CHO 八戒』
西遊記モチーフのサイバーパンク系漫画作品でタイトル通り八戒が主人公。

第2部が西遊記パロディになっている。
因みに『魁』と『暁』の中間が舞台の『天より高く』でも西遊記をパロディした話があったりするが、関係は全く無い。

  • 雑破業・ぽ~じゅ『SECRET JOURNEY』
18禁漫画。この手の作品では珍しく猿豚河童が女で三蔵がショタ。何を血迷ったかOVA化もされたが猪八戒編で終わってしまった。

アニメ

  • 『西遊記』(東映)
1960年に放送されたアニメ映画。『ぼくの孫悟空』が原作だがほぼ原典西遊記をそのままアニメ化したような内容で全く漫画版と関係ない。
牛魔王がラスボスのアニメは本作が初であり、スーパーマリオブラザーズ』のクッパのモデルとしても知られる。
手塚治虫が「ヒロイン(猿)殺せば盛り上がるじゃん」と言い出して当時製作スタッフだった宮崎駿が「こいつにはもうついていけん」と離心したことで有名。
(結局東映が大反対してヒロインが生き残っている)

後述のSF西遊記原案、キャラデザはあの松本零士が担当。

項目参照。

玉龍役がいないため、ドラえもんだけ余っていたりする。

  • 『おそ松くん』(カラー版)64話「ちびざるチビ太の大冒険!」・65話「トト子のわがままオシャカ様」

  • 『バカボン・おそ松のカレーを訪ねて三千里』
カラー版『おそ松くん』・『平成天才バカボン』のクロスオーバー作品で、バカボンのパパが三蔵様になってカレーを買いに天竺まで行く話。
なお両作品の仕様から、チビ太が悟空役・イヤミが沙悟浄役と目立つ一方、題になっているおそ松ら六つ子はただの悪役扱い*21になるなど影が薄くなっている(バカボンは八戒役)。

項目参照。

  • 『アソボット戦記五九』

  • 『MONKEY MAGIC』
OP主題歌をヴィジュアル系バンドのRaphaelが担当した。

『SDガンダムワールド』シリーズ第二作。
孫悟空とインパルスガンダムをモチーフとした「悟空インパルスガンダム」を主人公とする作品であり、
悟空を巡る物語や悟空の様々な姿が『西遊記』及びキングコングとドラゴンボールをモチーフとしている。

作中に登場する絵本の中に、西遊記が登場。
牛魔王が悪役として登場するが、「魔王」に洗脳されて悟空を始めとする物語のヒーローたちが悪堕ちしてしまったため、一時的にプリキュアに力を化した。
その為「顔のイケメンは桃太郎(因みに声もイケメン)、性格のイケメンは牛魔王」とか言われたりする映画。
…あ、金角銀角は普通に悪役でした。


舞台

劇中劇として花組が西遊記を上演し、桐島カンナが孫悟空役に。
ちなみにカンナの中の人は元チビ太でかつドラゴンボールな悟空の仲間なので、これで2次元・3次元双方で悟空になったことになる。


  • 西遊記(2024年)
1978年ドラマ版・SPドラマ版・『新・西遊記』を製作した日本テレビによる、開局70周年記念舞台。
メインキャストは片岡愛之助(孫悟空)・小池徹平(三蔵法師)・戸次重幸(猪八戒)・加藤和樹(沙悟浄)・村井良大(玉龍)。

小説

  • 中島敦『悟浄出世』『悟浄歎異―沙門悟浄の手記―』
俗に「わが西遊記」と呼称される、中島敦の短編小説シリーズ。
タイトル通り、沙悟浄の視点から人生哲学を追い求める趣旨の外伝的な内容。

  • 万城目学『悟浄出立』
上記の「わが西遊記」に影響を受けた作品。

  • 田中英光『我が西遊記』
やはり上記の「わが西遊記」に影響を受けた作品。江戸時代の訳本を基とした翻案で、内容はわりと原典に近い。

  • 石川英輔『SF西遊記』
西遊記を大胆にアレンジしたSF作品。超サイヤ人ゴッドより強いんじゃないかというくらい強い悟空が登場するが、やっぱり他力本願。

  • 村山庄三『こども版西遊記』(あすなろ書房刊)
80年代に出版されたハードカバー版の絵本で全10巻。
非常に可愛らしい絵柄でとっつきやすい作風だが、アレンジが非常に多く、原作のキャラクターが全く違う扱いを受けていることもザラ。
どう見ても老人の哪吒太子霊感大王の前座として雑に死亡する独角ジなど、これしか読まずに西遊記を知ったかぶったら大恥をかくこと請け合いである。
登場人物(主に悟空)の言葉遣いが子供向けとは思えないほど悪いが、そもそも原作からしてそんな感じなので…。

  • 吉本直志郎『東遊記』(とんでる悟空シリーズ)
ポプラ社から発売の児童文学。同社から発刊された『西遊記』現代語訳版で絵師を務めた原ゆたか(かいけつゾロリの人)と再びタッグを組んだギャグ小説。
ただ、沙悟浄が完全に河童と断言されていたり、三蔵法師の顔立ちが違っていたりとポプラ社版『西遊記』とは繋がりが無い設定。
内容は天竺から唐を目指す三蔵一行のお話(勿論原作やポプラ社版ではすぐさま直帰しているのでそんな冒険は無い)。
三蔵が持ち帰った経典は「妖魔消滅」「不老長生」「超力開眼」の三つ。

本作においては悟空・八戒・悟浄はもともと平凡に暮らしていた妖怪だったが
人類すべてに仏族の掟を守らせようと勝手に思い立った三蔵に洗脳されていたという設定。
後に仏族は弥勒菩薩により全員解脱(=地球を去り新天地を目指す)のだが、三蔵は怨霊となり主人公たちの前に再び立ちはだかる。

  • SOW『大長編べるぜバブ ベルベル西遊記~魔王、孫悟空になる~』
魔界の絵本のせいで男鹿一行が西遊記の世界に飛ばされちゃったよどうしようというギャグ漫画によくあるネタ。
三蔵一行や牛魔王一味*22はもちろん、太白金星(夏目)や托塔李天王(城山)まで登場、「沙悟浄は河童じゃない」「金角銀角は本来は神」といった小ネタも丁寧に拾っている。
アニメ化もされたが、こっちは終始ギャグである。

  • 筒井康隆『魚籃観音記』
著名なSF作家であると同時に、どぎついエログロ短編も手がける筆者という時点で察せられる内容の短編。
通天河にて強大なる妖魔を取り押さえた観音菩薩。ところが着物の前がはだけて美しい肢体があらわになってしまう。
禁欲が旨の暮らしを送ってきた孫悟空はこれを見て……

  • 宇能鴻一郎『秘本西遊記』
官能小説家の手になる、平凡社版の完訳をベースとしたパスティーシュ。当然お下劣なエロ描写まみれ。
お馴染みのお堅いお坊様の三蔵、童貞卒業済みだが純真な悟空、原典に輪をかけて好色大食らいの八戒、ネコもタチもいける男色家だが自制もきく沙悟浄が、アハンうふんな冒険を経て天竺を目指す珍道中。


ゲーム

FCで発売されたアクションRPG。出来はお察し

  • 『ふぁみこん昔話 遊遊記』
FCディスクシステムで発売されたアドベンチャーゲーム。

  • 『西遊記』
PSから発売されたコーエーのSRPG。同社から発売された封神演義の姉妹編。
主人公は三蔵でゲーム開始時に性別を選べる。
実は小説版が出ており、こちらの三蔵は一人称僕の女三蔵。

玄奘三蔵(もちろん女性!)が登場する「星の三蔵ちゃん天竺に行く」というシナリオがある。

1995年にアルュメから発売された格闘ゲームで、登場キャラクターは実写(!)取り込み。

  • 『ウルトラマン英雄伝』
中国で展開されているカードゲームの一つ。
西遊記の世界のヒーローとして三蔵法師をコスモス、残りをウルティメイトフォースゼロの4名が担当。
特に悟空になったゼロは中国で最も人気が高いウルトラ戦士ということもあり、特別に着ぐるみも制作された。
キャラクター的にも「ヤンチャのし過ぎで封じ込められた」という点でそっくりである。

  • 『デジタルモンスター』シリーズ
三蔵法師・孫悟空・猪八戒・沙悟浄・お釈迦様・金角・銀角をモチーフにしたデジモンが登場しているが、なぜか沙悟浄だけ二種類いる。

スーファミで発売されたシミュレーションゲームのDSリメイク版。
ミオ・サスガのファミリア(使い魔)がゴクー、ゴジョー、ハッカイというカモノハシの三人組。
厳密には上記した堺正章版『西遊記』と人形劇『飛べ!孫悟空』のパロディで、主人であるミオが三蔵法師のポジションらしい。
……問題は「リメイク前の露骨すぎたパロディキャラ*23の差し替えでまた露骨なパロディキャラを出す」という彼ら三匹の登場経緯なのだが。






追記・修正は天竺に辿り着いてからお願いします。

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最終更新:2024年03月27日 08:25

*1 一説には道教の教団「全真教」の高弟としての彼の遊説記録『長春真人西遊記』と混同されたとも

*2 なお、この時すでに悟空は300歳を優に越している

*3 赤兎馬や穆王の八駿など、有名な伝説の馬が飼われている。なお八駿を記した文献が二種あるせいで、この八駿に当たる馬が厩舎に九頭存在している。

*4 釈迦十大弟子の一人と同じ名だが、本作では特に仏教関係のことはしていない

*5 「じゃあそれでとっととお師匠様を天竺まで連れてきゃ」と八戒に突っ込まれた時は「お前の雲もそうだが、普通の人間は雲に乗せられない」と説明した。

*6 火のこない場所に逃げたせいで焼かれなかったが、煙にいぶされ続けたせいで眼が赤くなり煙が苦手になった。

*7 ちなみに史実では法相宗の開祖で遣唐使の日本人の弟子もいる。

*8 しかし、当時大罪とされていた密出国を行い、『大唐西域記』を提出することで許されたものの、彼の旅を援助した国に恐らくその情報を元に唐が攻め込んでいるなど、史実に忠実に描写しても物語の主人公としてはきな臭い話が目立つのも事実

*9 『徒然草』で紹介された「法顕三蔵」もその一人。玄奘三蔵と同様に天竺に留学したエリート坊主だが、ホームシックにかかってしまった。

*10 袈裟は纏えば輪廻に堕ちず、錫杖は持つ限り毒害を避ける力があるとされる。三蔵は一度妖怪の毒で死にかけているのだが、錫杖の力の限界なのかは不明。

*11 白骨夫人などの例外もいるが、在野の妖怪である虎将軍や黒風王、黄風怪は三蔵の肉質について言及しない。その後もちょくちょく三蔵をただの坊主と見做す妖怪が出てきている。

*12 なお原語では、悟空・悟浄もその名でなく三蔵によってつけられた名で呼ばれている(行者、沙和尚=沙僧)。

*13 ここでいう玻璃はいわゆる水晶のこと。よほど天帝のお気に入りだったのか、過失なのに捲簾大将は鞭打ち八百回+七日に一回脇腹をぶっ刺されるという拷問に遭っている。

*14 悟空も水に潜ることは出来るが、水を除ける印を結ぶか魚や蟹に変身しなければならず、武器を上手く使うことが出来ないと理由づけがなされている。

*15 仮に彼が三蔵の前世九人をことごとく食っていた場合、堕天した金蝉に課せられた八十一難のうち九つが同じ内容で埋まってしまうという物語の都合があると思われる。

*16 道教における最高神。ちなみに封神演義でも知られる元始天尊とは別の存在である。

*17 虎力大仙は「首を刎ねても元通りになる」と豪語したが悟空が作り出した野良犬に首を持っていかれ、鹿力大仙は「切腹しても元通りになる」と言ったが悟空が作り出した鷹に腸を引き抜かれ、羊力大仙は「窯茹でに耐える」と称したが悟空から窯の中に待機させていた氷の龍を追い出された

*18 誤解されがちだが本作でも設定上はあくまで男性。

*19 この時期既に「河童」イメージは存在した様で、八戒にツッコまれ「リアリズム」と答えている。

*20 ただし、OVAの際に発売されたキャラクターブックでは「三蔵一行のキャラクターは意図的に表面上は原典と正反対に見えるような設定にしたが、八戒が過去に女絡みの問題を起こしていたりなど、根底の部分では原典を意識している」という旨が語られている。

*21 モデルは「アリババと40人の盗賊」に出てくる盗賊団

*22 牛魔王=東条、羅刹女=ヒルダ、金角=姫川、銀角=神崎。アニオリとして紅孩児役はわがまま放題で泣くと周囲が焼け野原になる悪ガキの炎王、という実に「らしい」チョイス。

*23 「ジュン、チョーサク、ショージ」。元ネタは言うまでもなく「レツゴー三匹」で、未遂とはいえ、有名な「三波春夫でございます」と名乗るネタもやっている。