ジンメン(デビルマン)

登録日:2018/04/01 Sun 23:22:00
更新日:2024/02/11 Sun 16:44:48
所要時間:約 5 分で読めます






カカカ。おまえにくらべれば、俺はまだ善良なもんだ。人間どもの言う仏さまのように慈悲深いよ。

なんせおれは食っただけだからなー。
人間の感覚じゃ生き物を食うのはわるいことじゃない、そーだろう。従順で大人しいウシ、ブタを平気で食ってるからなー。

だが、殺すのはいけないな。生き物を殺すのはいけないことだ。なーっ、そうだろう。カカカカカ


だからおれは殺さずに食ったのさ!


殺さずに殺さずに、食ったのさ…クククク…

おれに食われたやつらはしあわせだろ、カカカカ!!


ジンメンとは、漫画デビルマン』に登場した敵・デーモンの1人。
TVアニメ版には登場せず、以下の記述は原則として漫画版に基づく。
CV:青野武(OVA版)/船木誠勝(映画)/大塚芳忠(サイボーグ009VSデビルマン)/広瀬彰勇(DEVILMAN crybaby)/島田敏(スパロボDD)


【概要】

デーモン一族の幹部・魔将軍ザン率いる「ザン魔団」の一員。
見た目は二足歩行で歩き、瘤だらけの甲羅を背負った巨大な亀。
しかし背中の甲羅の瘤には、苦悶の表情を浮かべる無数の人間の顔が浮かび上がっている。
ジンメンと戦う前の段階で多くのデーモンと死闘を繰り広げてきた明ですら、甲羅を直視した際は余りの悍ましさから恐怖の悲鳴を上げるほどに風貌は不気味で醜悪。

同時にインパクトの強すぎるビジュアルと劇中の残虐さもあり、シレーヌと並ぶデビルマンのデーモンの代表格である。


【性格】

基本残虐なデーモン一族の中でも飛びぬけて露悪的で狡猾。
人間の顔が浮かび上がった甲羅を「美しい美術品」「人間のするイレズミより数段上」と称して愛でているが、
その理由は「背中に浮かんだ顔がわめき、さけび、うらみごとを言うから」という最低な理由。

加えて自分の行為を棚に上げ、甲羅の人面瘡を殺してしまったデビルマンを「人殺し」と糾弾し、
他者に怨まれ憎まれることを「デーモンの強さの証」と語って喜ぶどこまでも性根の腐った卑劣漢。

そのあまりの卑劣さ故にデビルマンを心底激昂させ、
「今度ほどおまえたちデーモンが、憎いと思ったことはないぞ!」と涙ながらに憎悪を向けられた作中最大のド外道である。


【能力】

伸縮自在の首と掌から高熱を発して触れた者を燃やす能力を持つが、単体で見るとそこまで凶悪な代物ではない。
素の戦闘力だけを見た場合、その前に戦ったシレーヌにも劣る。
が、ジンメンの最大の武器は直接攻撃ではない。

  • 人面瘡
ジンメンの持つ固有能力。
ジンメンに食われた人間の怨念と悲しみが甲羅に宿り、人面瘡となって背中の甲羅の瘤に浮かび上がる。
甲羅で呻く人間の顔とは全てジンメンに喰い殺された犠牲者たちの成れの果て。
これらの顔は生前の魂がそのまま宿った本物の顔であり、絶えず「殺してくれ」「痛い」「苦しい」「身体を返せ」など嘆きと苦しみの呻き声を上げている。
ジンメンの背中で苦しみ続ける人々の叫びをデビルマンは「地獄の声」と例える。

おまけに人面瘡と化した者は生前の記憶や自我も残り痛覚も生きているため、人面瘡にダメージが当たれば人面瘡は痛みで苦しみ叫んで死んでしまう。
ジンメンはこの甲羅の人面瘡を盾にして人の情を持ったデビルマンの心を徹底的に追い詰めた。

ただし甲羅に取り込まれた人々の顔は残留思念のようなものなので、時間が経つと甲羅から消えてしまうのが欠点。
後基本残虐な上に弱肉強食主義なデーモン達にこの能力がどこまで通じるかは不明。
情の深い人間を追い詰めることに特化した能力だと言える。


【物語での活躍】


出ろ!ジンメン!!不動明がきさまの招待に応じて出てきたぞ!!

おにいちゃーん 明にいちゃーん

サ、サッちゃん 生きているのか!? サッちゃん!

死んだの…あ…あたし。

あたし死んだの!!

あ、あたし…あたし死人なの。

怖かったわ。痛かったわ。腕がかみちぎられ、血がふきだしたわ…化け物の手が、

あたしのからだをひきさいたの。あたしは死人…もうママといっしょに暮らすこともできないの。

パパにあそんでもらうことも。明兄ちゃんと会うことも、友だちみんなにさよならも言えないの…

あたしは死人…あたしは死人。まだ生きたかったのに。

もっともっと、もっともっと、生きたかったの。

カカカカ!!お気に召したかね。不動明、いや…デビルマン!


劇中ではデビルマン抹殺の刺客として登場。
デビルマン・不動明の親友である幼女サッちゃんの乗る新幹線を襲撃し、サッちゃんを含めた乗客を喰い殺して乗客の顔と意識を人質とする。
そしてデビルマンを電話を通じて呼び出して対峙。
サッちゃんを含めた犠牲者の顔が浮かび上がった背中の甲羅と、甲羅が叫ぶ嘆きと苦しみをこれ見よがしに自慢してデビルマンを激昂させて闘いを開始する。
なお上記の悲しい語りは、ジンメンに食い殺された親友サッちゃんのもの。
殺伐とした物語に可愛い新ヒロイン登場かと思ったらこれだよ!!

当初は圧倒的なデビルマンの力に終始押されてしまうが、
迂闊に攻撃したせいで甲羅に囚われた一般人を殺してしまい、動揺で動けなくなったデビルマンの姿にほくそ笑み、項目冒頭の台詞で散々なじる。
そして背中の甲羅をにしてデビルマンに一気にトドメを刺そうとする…が


喰らえー、デビルマン!!

お兄ちゃんこいつを殺してー!!あたしは死んでる気にしないでー!!あたしは死人よ!!

うわぁ~っ!!


サッちゃんの必死の懇願を聞き届け、断腸の思いでサッちゃんの顔が宿る甲羅をデビルマンは貫手で攻撃。
ジンメンの要の人質であったサッちゃんを殺害してまで放った予想外の攻撃で痛みに苦しむジンメンを倒すべく、一気にデビルマンは勝負をかける。


やめろ~っ!!やめてくれー!!
甲羅をはがすと全員死ぬぞ、いいのか!? 全員死ぬんだぞ!


だが!貴様も死ぬんだろ!!


遂に覚悟を決めたデビルマンの手により背中の甲羅を剥がされ、デビルマンに対抗できる唯一の武器を失ったジンメンはそのまま惨殺。
ジンメンとの戦いの後には、犠牲者を救うこともできず無言で立ち尽くすデビルマンと、ジンメンに囚われ苦しんだ犠牲者たちのデスマスクが張り付いた甲羅だけが残るという余りにやりきれない結末を迎えた。

なおこの時点で食われた犠牲者は開放されなかったらしく、続編の『デビルマンレディー』の地獄編にもしぶとく登場。
当然ながら明に情け容赦なく叩きのめされ、人々の魂を全て開放されて、何の力もない小亀の姿にまで貶められた上で叩き潰された。
それでもなお、生きる意志さえあれば何度でも生き返るらしい。


【本編外での活躍】

『デビルマン対闇の帝王』


これはこれは…

もうちょっと遊んでやるかと思ってたが……相変わらず面白味のない奴だな カカカ

2012~2014年に月刊ヤングマガジンで連載された『デビルマン対闇の帝王』では、闇の帝王の手先として復活する。
下卑た卑劣な性格は相変わらずだが、同時に不動明の心を知り尽くした刺客として抜擢。
自身も「デビルマンを一番よく知る者」と豪語し、デビルマンを排除したら地上界を手に入れるという契約の元デビルマンを再度強襲する。

闇の帝王に強化された結果身体のサイズが背の甲羅に街一つを乗せることが出来るほどに巨大化。
最早怪人というより大怪獣と呼ぶのが相応しい姿に成長した。なおビジュアルは完全な四足歩行の亀と化した。
能力も強化され、捕食し取り込んだ人間の魂に人の姿を与えてそのまま背の街で生前と何ら変わりなく活動させられるように進化。
加えてジンメンが作った仮初の住民は自分達が偽物と知らず本物の人間だと思い込まされており、死ぬことも生きることもできずジンメンの体の一部として町を彷徨っている。


カカカカ! デビルマンよ 何を慌てふためいておるのだ…

こいつらは一度死んだ身ではないか!!

それもオマエのせいで(・・・・・・・)……だ!!

劇中では不動明の美樹を愛する心に付け込み、
自身の背中に不動明が人間だった頃暮らしていた頃の町を美樹も含めた住民まで完璧に再現して惑わす策略で明を翻弄した。
なお今作の不動明は亡くなった美樹を蘇らせるために戦いに赴いており、ジンメンの所業は文字通り明の逆鱗を逆撫でする行為である。
しかし策を看破されると正体を明らかにし、偽の住民たちの負の叫びを聞かせてデビルマンを追い詰める精神攻撃を仕掛けながら、デビルマンを捕食してデビルマンの強大な力を手に入れようとする。
だが大切な美樹と昔の思い出を弄ばれてブチ切れた不動明の怒りのエネルギーにより逆に肉体の支配権を奪われると、
ジンメンの身体を逆に利用して巨大化したデビルマンに顔面を只管タコ殴りされたことでまたもや敗北。
そのままデビルマンを道連れにしようとするも、闇の帝王に切り捨てられデビルマン諸共業火に焼かれ死亡した。


DEVILMAN crybaby


出てけぇ…出てけぇ…!!

負けるな父さん!悪魔なんかに!母さんを殺した奴なんかに!!

うぁああああああ!悪魔めぇえええええっ!!

ザン!

……人間が、悪魔に勝つだと!? あるわけねェだろそんなこと!!

弱い人間の心で俺を殺せるか!泣けェ!オラァ!オラァ!!

原作50周年記念で作られたWebアニメ『DEVILMAN crybaby』でもやっぱり登場。
こちらでは展開が大きく変わり、何と明の父親に憑依して肉体を乗っ取った挙句、夫に妻を食い殺させる暴挙に出る。
卑劣さも相変わらずで、基本人間の事を徹底的に見下し、
腹や背中に浮かんだ人面瘡を嬉々として自らいたぶっておきながら、いざ人面瘡が破壊されると「ひどい人間だ!子供を撃つなんて!」と身勝手に糾弾する下衆さを見せつける。

明の母が乗った旅客機の乗客を襲って乗客を食い殺すと、デーモンの存在を察知して現れた明と了と対峙。
当初はデーモン化した影響で妻を食い殺したことを嬉々として喜ぶ父親だったが、明と妻の必死の説得を受けて正気に戻りジンメンの支配から逃れ、明同様ジンメンに打ち勝とうとする。
しかし明の父の意識が宿った頭を刃の尾で斬り飛ばして明の父を殺害することで乗っ取られることを阻止。
デーモンに抗おうとした明の父を侮辱し、明の母の死を懇願する姿を見て「泣き虫のお前が俺を殺せるわけがない」と嘲笑うが、完全にキレた明の涙ながらの一撃を受けて死亡した。

原作版と異なり弁舌による精神攻撃こそあまりなかったが、説得パートが親友ではなく主人公の母親になり、
明の最愛の両親を手にかけるなど精神的ダメージや陰惨さを与えたという点では原作とどっこいどっこいな所業を見せた。

ちなみに終盤でデビルマンと対峙するデーモンの中には「シレーヌとカイムの仇だ!」と凄む者が居たのだが、ジンメンの名を口にするデーモンは一体も居なかった。
やっぱりというか何と言うか、その下衆な性格と能力から同族間でも嫌われていた模様。

実写映画版

評判の悪い実写版デビルマンでもしぶとく登場したジンメンだが、根底の設定変更で真逆の性格に変容。
不動明の知り合いの人間を食べてしまうのは同じなのだが、嫌がらせなどではなく純粋な食欲による行動であり、
またデビルマンをデーモンだと思っていたので、「なぜ同族でもない人間を食べた自分をデビルマンが怒っているのか?」を
最後まで理解できずに倒されてしまった。

スーパーロボット大戦DD

『デビルマン』が『真(チェンジ!!)ゲッターロボ 世界最後の日』と同時に参戦という事でジンメンがどうなるのかと思われていたが、原作通りにサッちゃんが登場、そして原作通りの展開へ…。
そしてやむなくジンメンを真っ二つにした後、主人公であるディーダリオンと真ゲッター1が動き出す。

『DD』ではジンメンが甲羅に食べた人間を浮かび上がらせるのは「食した生命を再生させる能力による物」という解釈がされており、一部のみを再生する事で顔だけを浮かび上がらせていた。
そしてディーダリオンはネピリアンという巨人種族で(主人公が記憶喪失の為、このエピソード時点で分からない事が多いが)ザアム・ダムという他者を操作する能力を持つ。
この能力で敵のネピリアンに操作され味方に刃を向けてしまったディーダリオンだが、自身も同種族である為に同様の事が出来ると分かりジンメンを操作、中途半端に再生させるのではなく完全に生前の姿まで再生させることで救出。
その後ゲッター線の力により汚染部分が取り除かれ、さらには食われた前後の記憶が消されるというスパロボ補正により、彼女らは救われることとなった。
なお、ジンメンのエピソードは寺田貴信氏のトラウマだったらしく、かつて原作を読んだ時に感じた感情に従った結果、救済される結末になったとのこと。

【ジンメンの系譜】

ダイナミックプロ作品では、これ以降の作品でも、人質を体に纏って攻撃を躊躇わせるような敵が度々登場している。
ここでは、それらの敵を紹介する。

  • グロゴスG5
漫画版『マジンガーZ』に登場。東映版には登場しない。
ブロッケン伯爵配下の機械獣であり、全身に配置した透明のカプセルに全裸の民間人の女子供を人質として入れ、攻撃を受けると爆発する(なお、カプセルを避けて攻撃してもカプセルが自爆する)という卑劣極まりない戦法でマジンガーZを追い詰めた。
最終的には甲児の機転とボス達の活躍で人質を救出されるも、自爆でマジンガーZを相打ちに追い込んだ。

真マジンガー 衝撃! Z編』では人質作戦は取らずただの機械獣として登場したが、こちらの名義で登場した『第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇』では、漫画版のように陣代高校の生徒達を人質として、ボランティア部の面々を苦しめた。

『マジンガーエンジェル』ではデビルマン(東映版設定)との競演回で登場。
美樹をはじめとした女性達を人質に取り、マジンガーエンジェル達が手を出せないようにしたが、デビルマンの活躍で人質を奪還された。

  • バルバラD-2
『マジンカイザーSKLヴァーサス』に登場。
スカーフェイスという男が搭乗するロボット。
本作に登場する敵ロボットは大半がデーモン族をデザインモチーフとしており、この機体はずばりジンメンがモチーフ。
背中のカプセルに民間人を閉じ込め、機体の動力と背中が直結しているため、攻撃すると背中が爆発して人質が死亡してしまうという厄介な存在。
しかし、これ以上被害を出さないために自分たちを犠牲にしてでも倒すようカイザーに訴えかける人質たちの覚悟に報いるため、海動は甲羅を引き離すと同時に本体と甲羅の間にカイザーを割り込ませて、人質を庇いながら本体を撃破したため、無事に人質は救出された。

  • バレンドス親衛隊長
UFOロボ グレンダイザー対グレートマジンガー』に登場。
グレートマジンガーをロボット博物館から盗み出し、悪の手先としたベガ星連合軍の親衛隊長。
映画では特に人質戦法は取っていないのだが、石川賢の漫画版では、フリード星侵攻時に子供達を人質にとって武装解除を要求し、相手がそれに応じると人質を全員投げ捨てて転落死させるという非道な戦法をとったことが語られた。
そしてグレートマジンガーを操っての戦いでも子供達をグレートの体に縛り付けてグレンダイザーと戦う卑劣さを見せたが、最期はコックピットから投げ出されたところにダブルハーケンを食らい死亡した。

  • オウムガイ型メタルビースト
真(チェンジ!!)ゲッターロボ 世界最後の日』に登場。
北極基地の住民を取り込んで巨大化したインベーダーが、更にゲッター線収集装置と融合したメタルビースト。
取り込んだ人々を盾にし、その無念の声を聞かせて真ゲッターロボを苦しめたが、ブラックゲッターによって人質を気にせず攻撃され、倒された。
人質の苦しむ様子の描写や、人質は既に死亡しており、救出が不可能という点で、ここに上げた中でも最もジンメンに近いといえる。
唯一、今作のゲストヒロインである少女レアンヌまでもが取り込まれなかったのは救いと言えるかもしれないが……。

スーパーロボット大戦D』では一般のインベーダーがこの役割を担っており、ニュータイプのキャラクター達が死亡した人々の苦しみを感じ取り苦しむクロスオーバーが見られた。
ちなみに、オウムガイ型メタルビースト自体はスパロボシリーズには『スーパーロボット大戦Operation Extend』に登場するが、単なる中ボス扱いで原作再現はない。


追記・修正よろしくお願いします。


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最終更新:2024年02月11日 16:44