いつもの空き地(ドラえもん)

登録日:2018/03/26 Mon 04:08:03
更新日:2023/06/23 Fri 21:12:47
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いつもの空き地とは、『ドラえもん』に登場する空き地である。

概要

『ドラえもん』を知っている人なら間違いなく知っているだろうあの場所である。
作中の人物はほぼ全員が「空き地」としか呼ばないので、少なくとものび太の交友圏内では「空き地」と言えばあそこを指すという共通認識があると思われる。
内部はとても殺風景で「三本の土管と数本の木」以外にはほぼ何もなく、道路に面している一面が入口となっていてそれ以外の三方が壁に囲まれたシンプルな構造である。
原作ではエピソードによって細々と配置物が変わったりしていたが、アニメ版では美術設定が補強されたのでほぼ共通のデザインになっている。
なお、大山版ドラでは初期の頃は右側に高架橋があった。
また、セメントや角材などが置いてあるのでモデルは資材置き場と思われる*1
デザインが定まった以降はおなじみの「三本の土管と数本の木」になり、向かって左側に階段があってその先は別の道に続いているようになっている。

余談だが、のび太達が下校途中に十字路で別れる際にも、こことは別の空き地が写り込んでいる。
ここはいつもの空き地と違い柵で囲われているため進入が不可能となっている。

わさドラ以降はほぼ原作と同じとなっている。
面積についてはハッキリとしないが、少なくとも50人を収容してライブができるぐらいの面積はある。
しかし、野球回では明らかに面積が広がっている気がする。少なくとも普段の面積は野球のダイアモンドが作れるほどには見えないのだが……。
バブル期ということもあるが、『日本誕生』では 3億円 という値が付けられていたので、資産価値は結構高いと思われる。

なお、野球回では河川敷の本格的な野球場を使用しているエピソードもあり、どのようにジャイアン達が使い分けているのかは謎。
河川敷球場はのび太たちの生活圏からは少し離れているようなので、本格的な試合だけあちらを使うのかもしれない。

土管

ご存知の通り空き地には土管が置かれており、普段は2段3本だが3段6本になっていたり、両端の連結が無いチクワ型になっていたりすることもある。
土管の上はジャイアンの定位置。のび太もよく昼寝している。あんなところで昼寝できるって結構バランス感覚いいんじゃないのか?
また、土管の中は多くのキャラクターが「大事なもの」を隠す場所として使用している。
一時期逃走中の犯罪者(たぶんハッタリ)が潜伏して子供から小遣いをせしめていたこともあった。
この犯罪者以外にも、土管の裏側は「隠れる場所」としても頻繁に使用されている。
ドラえもんの道具で乗り物に改造されることもある。

また、隣町の番長ゲンコツげんごろうにより素手で破壊されたこともあった。ちゃんと弁償したのだろうか?

地理

「のび太達全員の家から徒歩圏内にある」という以外にはハッキリとはしない。
少なくとも、のび太の家からすぐ見える、という位置ではない。恐らく徒歩数分と言ったところではないだろうか。
自転車で訪れるキャラクターがいないことからも、徒歩圏内にあることは推測できる。

のび太は大抵右側の道からやって来るので、野比家はそちら側にあるのだろう。
ちなみに学校帰りののび太と静香は左側からやってくる。

道から入って右側には神成さんの家が建っており、頻繁に野球ボールが飛び込んできてはガラス、若しくは盆栽が割られている。
その後は決まってのび太達を叱りつけており、竹刀を持ってぶちのめしたり、二階の窓からそこら中にあるものを投げ付けたりしているが、
リサイタル回でジャイアンのひどい歌声に怒鳴った事は少ない、というかジャイアンの酷い歌で気絶してしまうのか一度もない。

また神成さんは別に空地の地主というわけではないのだが、頻繁に掃除などのメンテナンスを行っているらしく、
大長編ではどこでもドアを粗大ごみと勘違いして焼却処分したり、どこでもホールを巨大なハンマーでボコボコに叩き潰したりして、
ドラえもん一行の退路を断つといういらん世話をかけている(なお、映画ではどちらのシーンもカットされている*2)。

ちなみに地主については『日本誕生』で登場しており、キャンピングカプセルで勝手に住居を作ったのび太を追い出している。

ドラベースの特別編ではエーモンドとクロえもん各1回ずつ家をまるごと破壊されたことがあり、
流石にこれにはマジギレしてドラーズをフルボッコにしていた。

その他、空き地の周囲にいる人たち

  • ブルじいさん
TC6巻に収録されている『ダイリガム』で登場。ブルドッグのようないかめしい顔のスキンヘッドの老人。
頑固者で厳格であり、今まで26回ボールが飛び込んで1度も帰ってきたことが無かった。
27回目を取りに行ったのび太は、ダイリガムを誤って自分に付けてしまい正面から謝りに行ったためその心意気に免じ全部返してくれた。

  • 空き地の奥に住んでいたおばさん
TC14巻収録『悪の道を進め!』で登場。空き地の土管側の家で暮らしている主婦のおばさん。サザエさんのような髪型。
のび太が腹立ちまぎれに放った石でガラスを割られたが、たまたまガス中毒で死にかけていたので運良く助かった。

  • 迫力じいさん
TC18巻『ひい木』に登場。ステテコにラクダシャツの細身のじいさん。
他の住人同様何度も窓ガラスを割られているため、遂に竹刀を持ってスネ夫をボコボコにした。


利用

そもそも何のために存在している空き地なのかは不明。
土管が置かれていることからしても、工事の資材置き場であると考えられるが…*3
一向に工事が始まらない上に、そもそも3本だけポツンと土管を放置していることも不自然なので、
ひょっとすると工事会社が破綻して宙ぶらりんになっている土管なのかもしれない。

数回工事が始まったエピソードもあったが、当然のように後のエピソードではなかったことになっている。
『日本誕生』では地主が登場しているが、普段は遠いところに住んでいるのかもしれない。

子供たちはこの空き地を使って実に多彩なイベントを自発的に行っている。
野球のグラウンドとして用いられているのはもちろんだが、特に多いのがジャイアンリサイタルの会場。
なんとジャイアンはこの面倒な設営作業を全部一人でこなしている 。年の割には異様にアグレッシブである。

他には、大人から逃げるための場所になったり、あるいは基地になったり。
一度だけ「のび太国」の領土になったこともあったが、諸事情あって崩壊した。

◆出現したものの例

  • 人食いザメ
  • バトルスーツ
  • 恐竜(型クラフトペーパー)
  • 野比家(ドラえもんの道具で作った偽物)
  • 象(のび太の変身)
  • のびちゃんマン、ヒトデ怪獣、のびちゃんママ(幻影)
  • 巨大ロボット デブラム
  • 人食いハウス
  • 折り畳みハウス
  • のび太のキャンピングカプセル
  • のび太空港
  • のび太国
  • イモ掘りロボットのイモ畑

時代

今の子供たちからすれば「土管=ドラえもんの空き地ワープコンティニュー」という程度にしか思えない要素だが、
ドラえもんの連載が始まった昭和40年代当時は実際こういう空き地があちこちにあったのだ。
高度経済成長により、休む間もなく発達していく街並みに対応すべく、あちこちで工事が行われていたのだ。
そういった工事のための資材置き場は当時の子供たちにとって格好の遊び場であり、藤子・F・不二雄先生はそう言った世相も知っていたのだろう。
反面、 転がった土管に子供が押し潰される という事故もあったようだが、それでも藤子先生は漫画の中に土管を登場させ続けた。
その真意までは知る由もないが、漫画の中では子供たちが頻繁に「僕らの遊び場がなくなっていく」と嘆いている。
「危険だから遊ばせるな」というのは一面の真理であるが、それで自由がなくなっていく風潮を藤子先生は望んでいなかったのだろう。

現在ではこのような空き地はほぼ完全に絶滅してしまったが、一部の公園ではドラえもんを意識してか、土管型の遊具を設置している。
もちろんこの土管はしっかり固定されているので、転がったりはしない安全な遊具である。

藤子・F・不二雄ミュージアムにもこの土管は展示してある。

また、漫画『タコピーの原罪』でも、主人公のしずかちゃんがよく行く場所にこの空き地のような形で土管が積み上がっている。「陰湿なドラえもん」を目指して作られた作品と作者が明言しているため、ここでもリスペクトしていることが窺える。


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最終更新:2023年06月23日 21:12

*1 昭和の頃は「私有地=子供の遊び場」が当たり前だった

*2 前者はワニに噛み砕かれ、後者は車に跳ねられて破壊された

*3 TC26巻「のび太の地底国」ではマンション建設工事の資材置き場として使われていた。