戦姫絶唱シンフォギアシリーズ

登録日:2018/03/18 Sun 12:11:30
更新日:2024/04/19 Fri 01:05:12
所要時間:約 8 分で読めます





――少女の歌には、血が流れている。


戦姫絶唱シンフォギアシリーズは、サテライト制作のオリジナルテレビアニメシリーズである。
2012年の第1作から約2年ごとに新作が放映されている。


誕生までの経緯

アニメを中心に音楽活動を行っていた上松範康氏が、ワイルドアームズシリーズ等で知られるシナリオライター・金子彰史氏に企画書を持ち込んだことが全ての始まりであった。

金子氏は持ち込まれた複数の企画の中から、「女の子が歌を歌って得た力を駆使して戦う」コンセプトの企画を選び、シナリオ執筆を開始。
わずか1週間で全13話分のシナリオを書き上げ、その熱意で上松氏を大いに驚かせたという。
シナリオはキングレコードに持ち込まれ、そこでGOサインが出たことでアニメ化が始動。
そして制作にあたり、第1期の監督を務めた伊藤達文氏が上記の設定にちょっとした勘違いをし、アニメ史上類を見ない「歌いながら戦う変身ヒロイン」が誕生したのであった。


作品概要

ビジュアルだけ見れば普通の変身ヒロインものだが、中身は少年漫画と特撮とアクション映画とオカルト要素をちゃんぽんに混ぜ込んだ、荒唐無稽な熱血バトルアクション
独特すぎる言語センスの台詞回し(通称「金子節」)をはじめ、ケレン味の利いた演出、ジェットコースターの如き勢いで突っ走るシナリオ、そして後述の「歌」など、とにかくクセが強く人を選ぶ作風となっている。
そのため合わない人にはとことん合わず、ネタアニメ扱いされることもしばしば。
二期以降監督が変わり、ネットを意識したネタが多くなる。
ちなみに作中には金子氏がかつてシナリオを務めたワイルドアームズシリーズの用語や台詞がセルフパロディとして散りばめられており、ファンの楽しみの一つとなっている。

そして何より、本シリーズを語る上で欠かせない要素が「」である。
キャラクター達は変身して敵と戦う時、あたかもミュージカルの如く歌いながら戦うのである。挿入歌とかではなく、実際にリアルタイムで歌唱しながら殴ったり斬ったり撃ったりするのだ。
多くの視聴者の度肝を抜いたこの演出は、前述した監督の勘違いと、第1期でメインキャラを演じた高山みなみ女史の発案によるもの。
上松氏が代表を務めるElement Gardenによる数々の楽曲は、歌うキャラの心情に強くマッチした作詞作曲がなされており、劇中歌としてバトルを熱く盛り上げ、時に大きな感動を与えてくれる。
また、この劇中歌はただCD音源を流すのではなく、毎回アフレコ現場で歌い直された録り下ろし音源である。
これにより「歌いながら戦う」ことを演出し、生歌ならではの力みやブレ、時には台詞との境目が分からなくなるほどの熱い叫びも交えた歌唱で、バトルを臨場感のあるものへと仕上げている。
なお、CD版は聴きやすさを重視した歌入れとなっており、「CD版じゃ物足りない」という現象がよく起こる。


シリーズ紹介

Meteoroid-falling,burning,and disappear,then…

2012年放送。全てはここから始まった。
放送前は奏と翼のダブルヒロインであるかのような詐欺プロモーションが行われたため、いざ放送された第1話に多くの視聴者がスクリューボールの直撃を受けた。
作画や演出面では続作に比べると流石にチープさが目立つものの、各キャラクターの成長を丹念に描いた物語やOTONAの活躍、熱さ爆発・落涙必至の最終決戦など、総じて評価は高く、原点にして頂点との呼び声も高い。

In the distance,that day,when the star became music…

2013年放送の第2期。「力だけでは解決できない敵」との闘いを主軸に描いた「エピソードG」第一作。
総じて明快な勧善懲悪だった1期と比べると、個人の因果や組織の思惑、理想と現実の落差といったさまざまな要素が複雑に絡み合う、やや翳りのある作風。
とはいえそういった諸々を気持ちよく吹き飛ばしてくれる熱量と勢いは健在である。
前期から予算がアップしたのか、作画が見違えるほど向上し、バトルはより派手に、アクションもより機敏になった。
また曲のメロディだけではなく、歌詞の内容と場面展開やキャラの心情を巧みにリンクさせて組み込むなど、演出面でもさらなる進化を遂げた。

Believe in justice and hold determinathion to fist.

2015年放送の第3期。前作から続く「エピソードG」の完結作。新たに現れた敵『錬金術師』達との戦いを描く。
タイトルの「X」は野球のスコアボードにおけるバッテンを表しており、合わせて「Gを終わらせる」という意味を持っている。
ストーリー面では「G」の雰囲気を継いでいるが、全体的にバトルやドラマがかなり駆け足気味であり、多すぎる情報量に対して性急に進行するため描写・説明不足の感が否めない。
一方で伝説となった第1話アバン(通称「6分でわかるシンフォギア」)や、響に関わる重大な問題の解決など、シリーズを語る上で必見のシーンもあり、シリーズ中でも特に賛否の分かれる一作となっている。

By shedding many tears, the reality you face is…

2017年放送の第4期。「AXZ」の読みは「アクシズ」。
金子氏の体調不良から別のライターが関わっているが、金子氏が「違和感は1兆分の1レベルで感じないはず」と断言するだけあって作風に違いはない。前期までの設定や伏線を巧みに活かしたストーリーも概ね好評。
戦闘曲を持つ女性キャラへの男性声優の起用や、今まであまり絡む描写のなかった装者同士のデュエットといった新たな試みも見受けられる意欲作となっている。
ちなみに4期と5期は同時に制作が発表されており、この4期は5期への繋ぎとしての側面も持つ。とはいえ尻切れトンボなどにはならず、話自体はしっかりと完結しているので安心されたし。

  • 戦姫絶唱シンフォギアXV
Create a history, with the light God could not know

2019年7月より放送の第5期にしてTVシリーズ完結作。「XV」の読みは「エクシヴ」。
AXZの最終話でとんでもない伏線が回収され、制作陣もシリーズの集大成になると明言していることから「第5期で完結か」と予想されていたが、果たしてその予想は的中し、7年に渡ったシンフォギアシリーズに幕が降りることとなる。
テーマとして掲げる「集大成」および「原点回帰」の言葉に違わず、過去作の伏線を次々に回収する怒濤の展開やセルフオマージュ的な描写に加え、第1期を彷彿とさせるハードでシリアスな雰囲気が目を引く。


番外編。映像ソフト特典のショートアニメ。
デフォルメされたキャラ達によるほのぼのとした日常や、アニメ本編の裏話などが描かれる。


キーワード

認定特異災害ノイズ
機械的に人間のみを襲い、跡形もなく炭素の塊へと変えてしまう謎の存在。モブキャラに厳しく、メインキャラには空気を読む敵役の鑑であり、えげつない設定の割に妙に見た目がゆるい、本作のマスコット。
GXからは錬金術によって生み出されたアルカ・ノイズが登場。

◇聖遺物
世界各地の神話や伝承に登場する、神々や英雄が用いたとされる武器・道具などの総称。いわゆるオーパーツ。
ほとんどは経年劣化などで破損しており、劇中で単に「聖遺物」と呼ばれた際は破損したものやその欠片を指す事が多い。
一方、本来の姿を留めているものは「完全聖遺物」と呼ばれ、不完全な欠片とは異なり起動さえできれば適合者を選ばず使う事ができ、絶大な力を発揮する。
また、自律稼働を行い生物のように振る舞う「自律型」も存在する。

シンフォギア・システム
聖遺物の欠片から作られた、ノイズに対抗するための武装。聖詠を唱えることで起動し、常に歌を歌い続けることで戦闘力を維持できる。これを身に纏って戦場(いくさば)に臨む者はシンフォギア装者と呼ばれる*1

絶唱
シンフォギア・システムにおける最後の切り札。瞬時に爆発的な威力を発揮する反面、装者の身体に重大な負荷をもたらす諸刃の剣である。
シリーズの要所要所で誰かしらが発動し、視聴者に数々の感動とトラウマを与えてきた。

◇特異災害対策機動部二課/S.O.N.G.
シンフォギア装者が属し、ノイズへの対処を行う政府の機密組織。
GX以降は国連直轄のタスクフォースS.O.N.G.に改組。

◇適合者
シンフォギアに適合した者。転じて、シンフォギアシリーズの魅力に取り憑かれた紳士淑女の皆さんのこと。
当初はファンの間での俗称だったが、現在は公式にファンの呼称になった。
なお作中用語としては、基本的に適合者=シンフォギア装者であるため「装者」で呼ばれる事の方が多い。


登場人物

◇シンフォギア装者
立花響(声:悠木碧)
風鳴翼(声:水樹奈々)
雪音クリス(声:高垣彩陽)
天羽奏(声:高山みなみ)
マリア・カデンツァヴナ・イヴ(声:日笠陽子)
暁切歌(声:茅野愛衣)
月読調(声:南條愛乃)
小日向未来(声:井口裕香)
セレナ・カデンツァヴナ・イヴ(声:堀江由衣)

◇特異災害対策機動部二課/S.O.N.G.
風鳴弦十郎(声:石川英郎)
緒川慎次(声:保志総一朗)
櫻井了子(声:沢城みゆき)
藤尭朔也(声:赤羽根健治)
友里あおい(声:瀬戸麻沙美)

◇日本政府
斯波田賢仁(声:柴田秀勝)
風鳴八紘(声:山路和弘)

◇私立リディアン音楽院
板場弓美(声:赤崎千夏)
寺島詩織(声:東山奈央)
安藤創世(声:小松未可子)

◇F.I.S
ナスターシャ教授(声:井上喜久子)
ウェル博士(声:杉田智和)

◇錬金術師と自動人形
キャロル・マールス・ディーンハイム(声:水瀬いのり)
エルフナイン(声:久野美咲)
レイア・ダラーヒム(声:石上静香)
ガリィ・トゥーマーン(声:村瀬迪与)
ミカ・ジャウカーン(声:井澤詩織)
ファラ・スユーフ(声:田澤茉純)

◇パヴァリア光明結社
サンジェルマン(声:寿美菜子)
カリオストロ(声:蒼井翔太)
プレラーティ(声:日高里菜)
ティキ(声:木野日菜)
アダム・ヴァイスハウプト(声:三木眞一郎)

◇風鳴機関
風鳴訃堂(声:麦人)

◇ノーブルレッド
ヴァネッサ(声:M・A・O)
ミラアルク(声:愛美)
エルザ(声:一ノ瀬加奈)

◇アヌンナキ
エンキ(声:草尾毅)
シェム・ハ(声:日髙のり子)

シンフォギアライブ

本シリーズの集大成にして、適合者達の夢の祭典。各シリーズ放映終了後から半年ほどのブランクを空けて開催されている(XVの場合コロナ禍により2年以上空いている)。
過去に5回開催され、回を重ねるごとにスケールが拡大していくのも特徴。
新シリーズに関わる重大発表もこの場で行われる。


ゲームアプリ

◇戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITED
2017年6月26日から配信されているスマートフォン向けアプリ。略称はXD又はXDU。開発はブシロード及びポケラボ。
完全聖遺物「ギャラルホルン」によって結ばれた並行世界を舞台に、装者達の新たな戦いを描くシンフォニックRPG。
シリーズ4期までのストーリーの振り返りとゲームオリジナルストーリー『戦記絶唱シンフォギア3.5』をメインストーリーとしている。
ゲームバランスについては賛否両論あるが、ゲームオリジナルデザインのギアや、アニメ本編とは歴史を異とするIFの並行世界*2を描くイベントオリジナルストーリーは概ね好評。
3年目からは様々なジャンルの作品とのコラボイベントを実施することで話題を呼んでいる。

Webラジオ

◇戦姫絶笑シンフォギアRADIO
響-HiBiKi Radio Station-にて配信。パーソナリティは小日向未来役の井口裕香氏。
第1期はGXに合わせて2015年7月から全15回。第2期はXDUに合わせて2017年6月より配信中。
ほぼ毎週、出演者をゲストとして招き、収録の裏話やグッズなどの関連情報、井口氏の放送事故素晴らしい歌声を放送している。
後に雪音クリス役の高垣彩陽氏が井口氏と共にパーソナリティに就任し、二人体制になっている。



追記・修正は正義を信じて、握り締めてからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 戦姫絶唱シンフォギア
  • 水樹奈々
  • 金子彰史
  • 上松範康
  • サテライト
  • 戦姫絶笑
  • 豪華声優陣
  • 音楽
  • 胸囲の格差社会
  • 何故そこで愛ッ!?
  • 悠木碧
  • 高垣彩陽
  • 日笠陽子
  • 茅野愛衣
  • 南條愛乃
  • ついてこれる奴だけついてこいッ!
  • 戦姫絶唱シンフォギア
  • 戦姫絶唱シンフォギアG
  • 戦姫絶唱シンフォギアGX
  • 戦姫絶唱シンフォギアAXZ
  • 戦姫絶唱シンフォギアXV
  • 声に出して読みたい日本語
  • シリーズ項目
  • アニメ
  • 12年冬アニメ
  • 13年夏アニメ
  • 15年夏アニメ
  • 17年夏アニメ
  • 19年夏アニメ
  • 戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITED

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月19日 01:05

*1 間違われやすいが、『奏者』ではなく『装者』である

*2 「奏ではなく翼が無印1話で殉職していたら」「過去の研究所の事故でマリアがセレナを庇って死亡していたら」等々