ティターン十二神

登録日:2018/02/27 Tue 10:38:31
更新日:2024/03/08 Fri 12:34:06
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ティターン十二神(英語読みはタイタン)とはギリシャ神話の神々で、オリュンポス十二神にさきがけて宇宙を支配した神々である。
彼らはみな原初神たる大地母神ガイア天空神ウラヌスを親とする兄弟姉妹であり、
お互いに交わりあって後の多くの神々の祖となった。


  • 目次

【概要】

ティターン十二神はゼウスの父親であるクロノスを主とした、以下の12柱の巨神たちを指す。


大海の神オケアノス
知性の神コイオス
星の神クレイオス
武器と死の神イアペトス
高空の神ヒュペリオン
輝きの女神テイア
大地の母神レア
掟の女神テミス
記憶の女神ムネモシュネ
予言の女神ポイペ
水の女神テテュス
農耕の神クロノス


彼らはみなガイアウラヌスの子供らであり、両親ら原初神が作り上げた世界を最初に支配した者たちであった。*1
その彼らが世界を統治した時代を指して黄金時代と呼ぶ。

しかしクロノスをはじめとしオケアノスを除いたティターンの男神たちはわが子ゼウスらに倒され放逐される。
よく星座解説本やマンガなどでは「こうしてティターン神族は地獄に落ちました」とあっさり流されることが多いが、
タルタロス送りになったのはあくまでクロノスとその4人の弟、その部下たちであり、残るオケアノスと5姉妹はゼウスらと戦わず天界に留まっている。
そしてオケアノスや女神たちがゼウスら十二神に服属し、オリュンポスの神々の時代が幕を開けるのである。

なお「ティターン」という名称は、基本的には彼ら十二神のことを指す。
あとは彼らの子どもなど血縁者、かつオリュンポス十二神に組みしなかった者たちを指して「ティターン(族)」と呼ぶ。

○神話について

ギリシャ神話においてティターン十二神が大きく取り上げられるのは、ひとつはウラヌスへの反逆}。
もうひとつはゼウスらオリュンポス十二神との戦い「ティタノマキア」である。

●ウラヌスへの反逆

ガイアから生じたウラヌスはガイアと交わり、ティターンや一つ目の巨人サイクロプス、
百の腕を持つヘカトンケイルらを産ませた。
しかしウラヌスはサイクロプスやヘカトンケイルの醜さを厭い、タルタロスへと押しこめてしまう。
クロノスは母ガイアより鎌を受け取ると兄や姉らにも反逆に参加するよう説き伏せる。
オケアノス以外の4人の兄、コイオスクレイオスイアペトスヒュペリオンがこれに応え、協力することとなった。

4人の兄は天の東西南北の四隅にひそみ、クロノスはガイアの下でウラヌスを待ち受ける。
クロノスがガイアのもとへ降り立ってくると、すかさず四方から四人の兄が父を押さえつけた。
そして身動きの取れなくなったところを、クロノスがガイアから授かった鎌でウラヌスの男根を斬り落とした。

これによりウラヌスは神威を失って追放され、クロノスがあらたに宇宙の覇権を握ることとなった。
しかしクロノスは恐るべき力を持つ巨人たちをついに開放しようとはしなかった。
それがガイアの怒りをかい、後述のティタノマキア勃発の原因となるのである。

●ティタノマキア


約定をたがえわが子らを解放しなかったクロノスに、ガイアは呪いともとれる予言を投げかけた。


「お前もいずれ、わが子に王位を奪われるのだ」


クロノスはこの予言を恐れ、レアとの間に出来た子を次々に腹の中へと飲みこんでしまう。
レアは悲嘆にくれ、夫を裏切り子を守ることを決意。
母であるガイアの助力を得てゼウスを夫から隠したのである。

成人したゼウスはガイアらの助けを得て兄姉たちをクロノスの腹の中から救出。
彼らとともに団結し父に戦いを挑んだ。
クロノスとオケアノスを除く四人の兄らはティターン神族を集めこれを迎え撃った。
ここに宇宙の覇権をめぐる争いティタノマキアが開戦したのである。


しかし長兄オケアノスと女神らはいちはやくオリュンポス側に与した。
それでも神々の戦いは熾烈を極め、10年を経てもまだ決着はつかなかった。
そこでガイアの助言を得たゼウスは、タルタロスからサイクロプス三兄弟と
ヘカトンケイル三兄弟を解放し味方につける。
サイクロプスは強力な武器を作り出し、ヘカトンケイルは岩山を雨あられと投げつけて援護する。
それでもなおイアぺトスの息子・アトラスは「力なら負けるか!」と自分も岩を投げつけて応戦するが、2対300ではあまりに無謀であり捕らえられた。
絶大な力を持つ巨人たちの助力を得たゼウスたちはついに勝利し、クロノスと四人の兄らをタルタロスに幽閉した。
最後まで抗い続けたアトラスはゼウスにより、天空を支え続ける刑に処されるのだった。

こうしてティターン十二神の時代は終わりをつげ、ゼウスらオリュンポス十二神の治世が訪れたのである。


【ティターン12神】

この項目ではティターン十二神それぞれについて、その神話や伝承などを紹介する。
なお見出しの下の名称については以下の通り。
英語 古代ギリシャ語 ギリシャ語  日本語(長音含む)

オケアノス

Oceanus Ωκεανός Ōkeanos オーケアノス

ティターン十二神の長男とされる海の神
ギリシャ世界を取り囲む外海、そこをめぐる海流を神格化したもの。
古代ギリシャではこの外海の水が地下から陸地へ入りこみ河や湖、
泉となると考えられていたためすべての水の主でもある。
そのため、妻であるテテュスとの間に海や川や泉などの無数のニンフの娘*2らをもうけたとされている。

謀議を嫌う性格で、ウラヌスへの反逆にもティタノマキアにも参加しなかった。
そのためオリュンポス十二神の治世となってもその地位を維持することとなった。
後代の神話でも外海、すなわち地の果てを治めるものとしてしばしばその名が出てくる。


コイオス

Coeus Κοιος  Koios コイオス

ティターン十二神のひとりで、クロノスの反逆に加担した神のひとり。
彼は天の北側を押さえ、クロノスがウラヌスを討ち取るのを助力した。

その名の意味は「質問」「疑問」を指す。
予言と託宣の女神ポイペを妻とすることで人類に無数の知恵と知識をもたらした知恵の神
そして彼女との間に女神レトアステリアをもうけた。
つまりアポロンアルテミスヘカテーら叡智あふれる神々の祖父でもある。

また星座をめぐらせる北天の軸をつかさどる神ポーラス(Polos)は彼の別名とも、同一視された神とも言われる。


クレイオス

Crius Κρειος Kreios クレイオス

ティターン十二神のひとりで、ウラヌスへの反逆の際に天の南側を押さえた星と星座の神とされる。
その名は「牡羊」「支配者・統治者」を意味し、牡羊座と関連するとされる。
古代ギリシャでは牡羊座が南天に上がったときを春の訪れ、新年のはじまりとした。

妻はポントスとガイアの娘エウリュビアー。
その間の子に星の神アストライオス、ヘカテーの父ペルセース、パラース*3がいる。


イアペトス

Iapetos Ἰάπετος Īapetos イーアペトス

ティターン十二神のひとりで、クロノスを助け天の西を押さえたとされる神。
その名は「(槍で)貫くもの」という意味を持つ。
そのため人々に武器、殺しあいをもたらした「職人の神」「死の神」とみなされるようになった。

彼はオケアノスの娘クリュメネーを妻とした。
そしてプロメテウス・エピメテウス・アトラスら巨神らの父となった。
特に人類に英知と悪徳をもたらしたプロメテウスとエピメテウス兄弟の父であることから
イアペトスは人類の祖とされることもある。


ヒュペリオン

Hyperion Υπερίων Hyperiôn ヒューペリオーン

ティターン十二神のひとり。天の東を押さえ、クロノスの反逆に力を貸した。
名の意味は「高みを行くもの」「高くから見るもの(俯瞰者)」で、古代の太陽神である。
人々に天体の運行と季節の関係を教えた神だと言われる。

同じくティターン十二神であるテイアを妻とし、太陽神ヘリオスや月女神セレネ、暁の女神エオスらの父となった。
また「ヒュペリオン」とは太陽神全般を指す言葉ともなり、アポロンやヘリオンらを呼ぶときにも用いられている。

テイア

Theia Θεία Theiā テイアー

ティターン十二神のひとりで光の女神。名の意味は「視ること」もしくは「予言」。

古代ギリシャでは視覚について、人間の眼のほうから光が放たれているという考えを持っていた。
眼から放たれた光が物に当たってはね返り眼に戻ってくることにより、
人の眼は物の姿をとらえることができるのだという。
テイアはこの「人の目から放たれる光」を神格化した女神なのであろう。
また金銀宝石に輝きと価値を与えた神ともされる。

自分と同じ「見るもの」の名を持つヒュペリオンの妻で、ヘリオス・セレネらの母。

レア

Rhea Ῥέα Rheā レアー

ティターン十二神のひとりで、クロノスの妻となった女神。
「流れだすもの・溢れだすもの」「やすらぎ」を意味する名を持つ、大地の慈愛と豊穣の女神
大地の豊穣神である点は夫にして弟のクロノスと共通であるが、クロノスが農作物を始めとする植物の加護を得意としていたのに対し、レアは家畜を含むあらゆる動物の守護者ともいわれている。

ウラヌスを倒したクロノスの妻となり、ゼウスら後のオリュンポス十二神となる神々を産み落とした。
しかしわが子らを呑みこんでいくクロノスに逆らい、末子のゼウスをかくまうため
クロノスにはゼウスだと偽り石を呑みこませ、ゼウスをガイアに託した。

クロノスらが投獄されゼウスたちが天に君臨した後はオリュンポス十二神たちを陰ながら支える立場となり、
ゼウスとの不倫に怒り狂ったヘラに虐待されたレトを救ったり、
ペルセポネをさらったハデスデメテルの間に立ち仲裁するなどした。
怒り狂って手が付けられなくなったヘラやデメテルを抑えられるほぼ唯一の存在なので、ゼウスも自分の不誠実で事態の収拾がつかなくなった際には泣きついてくる。

また、死者蘇生、厳密には遺体の生前の記憶や人格、能力を復元して新しい生命を噴き込み直す力も持っており、遺体さえ回収すればズタズタに切り刻まれてシチューにされた遺体すら蘇生させる事が出来るが、冥界の責任者である息子のハデスの認可が無い限り、この能力の行使は行わない。

元来はギリシャ古来の神ではなく、ギリシャの南にあるクレタ島の女神だったと考えられている。
クレタ島には「母親と引き離されて育てられた子供の神」の伝承があり、この伝承がクレタ島が古代ギリシャ人に征服された際にギリシャ神話に取り込まれ、ゼウスの誕生の由来となったと考察されている。
その為かクレタ島ではレアに対する信仰が盛んで、古代のクレタ島では毎年ゼウスの誕生と母神であるレアを称える祭りが行われていた。
また、古代ギリシャではレアは小アジアの大地母神である「キュベレ」と同一視されており、キュベレの眷属であるライオンを連れた姿で描かれる事が多い。

テミス

Themis Θέμις Themis テミス

ティターン十二神のひとりである女神、名の意味は「不変の掟」「神々の法」。
その名の通り神々の掟をつかさどる女神である。
ティタノマキア後、敗れたティターンの神々の多くが処罰を受けたり追放されたり、
またオリュンポス十二神に味方した神々であっても統治の表舞台から退いたりしたなかで
唯一ティターン十二神の時代と変わらぬ権威をもち、その権勢を維持し続けた神。

ゼウスの二番目の妻として迎えられ、エウノミアー(秩序)、ディケー(正義)、エイレーネー(平和)の時間の三女神ホーライ三姉妹、
クロートー、ラケシス、アトロポスの運命の三女神モイライ三姉妹らの母となった。
神の法そのものである彼女は娘の正義(ディケー)を従えてゼウスのかたわらに立ち、法に背いた者たちのことをゼウスに報せていたのだという。
またデルポイの神託所の管理者のひとりで、アポロン予言の技術をさずけた女神でもある。


ムネモシュネ

Mnemosyne Μνημοσύνη Mnēmosynē ムネーモシュネー

ティターン十二神のひとりで「記憶」を意味する名を持つ記憶と追憶の女神
学問や芸術、詩や歌といった「言葉」を用いた文化の母でもある。
彼女はゼウスとの間に文芸の女神ムーサ(ミューズ)の九姉妹を産み落としたとされている。

記憶の女神である彼女はティタノマキア後、兄弟やその子らの骨肉の争いの記憶に心うちひしがれていた。
ゼウスは叔母である彼女のもとを羊飼いの姿で訪れ、九日間の間夜をともにする。
少しのあいだ苦しい記憶から逃れることができたムネモシュネはその一年後に、
人々のそして自分自身のつらい記憶をやわらげる力を持った芸術の女神ムーサらを産み落としたのだという。


ポイベ

Phoibe Φοίβη Phoibē ポイベー

ティターン十二神のひとりである予言と託宣の女神。名の意味は「輝き」「予言」。
コイオスの妻であり、アポロン・アルテミスらの祖母。
デルポイの神託所の三番目の管理者となり、のちにその地位を孫であるアポロンにゆずったとされる。
また彼女の名は月の女神全般を指すものともなり、アルテミスに対して用いられることもある。

テテュス

Tethys Τηθύς Tēthȳs テーテュース

ティターン十二神のひとりで、オケアノスの妻。
オケアノスとの間に無数の水のニンフの娘をもうけた、地上の水の女神

名には「保母・乳母」「お祖母ちゃん」という意味がある。
オケアノスとともにヘラをかくまってわが乳を与えて育て、
恋人を死なせ自暴自棄となって海に身を投げたアイサコスを優しく受け止め海鳥へと変えるなど
その名の通りオリュンポス十二神や人々を陰ながら慈悲深く支え続けた。


クロノス

Kronos Κρόνος  Kronos クロノス

ティターン十二神の末弟で、ゼウスらの父親である大地と農耕の神
名の意味は「完成する」。大地の母神であるレアとの間にゼウスら後のオリュンポス十二神の中核となる6人の子をもうけた。
またケンタウロスの賢者ケイローンの父でもある。

上記の通り母ガイアから鎌を受け取り父親であるウラヌスの男根を斬り落として追放して黄金時代を築く。
そして飲みこんだはずのわが子ゼウスらオリュンポス十二神に敗れタルタロスに幽閉された。

ローマでは同じく農耕神であるサトゥルヌス(サターン)と同一視された。
また農耕はめぐる季節とともになされる行為なので、名が似ていることもあり
原初神クロノス(Chronos) とも同一視され、時間の神として知られるようになった。
上記の通り土星の英名「サターン(Saturn)」はサトゥルヌスが語源であり、最大衛星(太陽系で一番巨大、水星よりでかい)にはタイタンの名が冠せられている。
間違ってもキリスト教における悪の大魔王サタン(Satan)ではない。ないったらない。

詳しくは個別項目を参照。


●その他のティターン

上記の十二神のほかにも「ティターン」と呼ばれる神々は多い。
主たるティターンは十二柱とされるのが一般的だが、ウラノスとガイアの娘で「女ゼウス」とも呼ばれる女神ディオネ
ガイアとポントスの子でありゴルゴン三姉妹やグライアイらの父であるポルキュスを加えて十四神とされることもある。

また上記で名の挙がっているプロメテウス、アトラス、ヘリオス、セレネ、エオス、
他にもゼウスの妻でアテナの母となった知恵の女神メティス、時にはヘカテーもティターン族とされることもある。


【登場作品など】

この項目では神話以後の、十二神をはじめとするティターンの扱いについて取り上げる。
「ティターン」という言葉は古来より「巨大なるもの」「強きもの」の名に使われてきた。
また十二神のうちティタノマキアで敗れ幽閉された男神たちはクロノスを除きあまり扱いが多くなく、
半面オケアノスや女神たちは古来より多くの他文化でとりあげられている。

ティターン族全般

十二神をはじめとするティターン族は神話の時代から偉大な神々、叡智と威徳を兼ね備えた支配者として人々に受け入れられていた。
それはオリュンポス十二神に敗れ去ったあとも変わらず、支配の座を追われた後も彼らはその威厳を失うことは無かった。
古代ギリシャ美術におけるティターンたちは貫頭衣を身にまとっていたり鎧をまとい盾を掲げた重装歩兵のいでたちといった、当時の人々とほぼ同じ姿・服装でもって描写される。
同じ巨人であるギガス*4らが邪悪かつ醜悪な存在として描かれたのとは対照的である。

神話の時代が終わったあともティターンという言葉は強くかつ偉大なものの代名詞として扱われてきた。
そのなかでも最も有名なものをあげるとすれば美しい光沢と強靭さをあわせもつ原子番号22番の金属「チタン(Ti)」、
悲劇的な伝説を残した豪華客船『タイタニック号』が一番二番を争うだろう。

この扱いは創作文化においても変わらず、ティターンという言葉には神話と同じく「強大・偉大な敵」としての役回りがあてがわれる多い。
漫画『進撃の巨人』に登場する巨人も英訳は必ずTitanでありGigantではない。
ザ☆ドラえもんズ スペシャル』では王ドラが「地獄に落ちた巨神の名を使うから呪われていたかもしれない」とあんまりなことを言っている。
一々全部を書いていてはキリがないが、創作でも色々タイタンの名は使われている。連邦軍特殊部隊とか一つ目とか紫のクウガとかアフロ君とか六神ロボとか。
ファイナルファンタジーシリーズでは「タイタン」が地属性の召喚獣として常連であるが、FF11ではそれとは別に*5巨人族の中でも特に強大な一族「ウラノス家」が登場する。黒い肌に白い入れ墨が特徴の彼らは十二神からはクロノス、ヒュペリオン、オケアノスの名を冠する者がおり、それ以外の巨人もティターン族の名を戴いている。*6


クロノス

さすがに主神だけあって、ティターン十二神の中でも扱いは最も多い。
オリュンポス十二神の前に立ちはだかった強大かつ偉大な敵として、
同一視されたサトゥルヌスとともに古来より多くの創作文化で取り上げられてきた。
現代の創作文化においても絶大な力を持つ神として扱われることが多い。
特に原初神クロノスの要素である「時間」としばしば関連付けられる。
また絶大な力の象徴として、兵器や団体の名称にもしばしば用いられる。
メタな意味では「ウラヌスから支配権を奪い、ゼウスに奪われる」展開が暗示されていることも多い。
詳しくは個別項目を参照。

オケアノス

海の神だけあって、現実創作問わず海そのものや船など海に関わるものの名称として使われることが多い。
最も有名なのは英語のオーシャン(ocean)の語源としてだろう。
日本の創作文化ではアニメ『ゼーガペイン』の戦艦名、『Fate/Grand Order』第三章のタイトル「封鎖終局四海オケアノス」、翠星のガルガンティアの原作名義など。
各種神話系ゲームでは海洋・水属性のキャラとして出現し、場合によっては女体化も。
FFシリーズやアークライズファンタジアではモンスターの名前で使われる。ちなみに前者は魚類で後者は亀。
仮面ライダーアギトのアンノウンにはテストゥード・オケアヌスがいる。こいつも亀
海外の創作文化ではダーク・ピットシリーズの「オケアノスの野望を砕け」に登場する海洋企業など。
あとはカシオの高級ソーラー電波腕時計のブランド「OCEANUS(オシアナス)」としても有名。


コイオスクレイオスイアペトス

地味。本人たちよりも子どもや孫のほうが知られているせいか…
設定が近いのは聖闘士星矢 エピソードGの「黒雷のコイオス」「星漢のクレイオス」「次元のイアペトス」くらい。
あとスマホゲー・古の女神と宝石の射手では三人とも女体化されて登場。
オンゲー・トリックスターでは何種類か存在し、現行のスマホ版ではやっぱり女の子。

ヒュペリオン

オケアノスを除いたクロノスの四人の兄らは古代ギリシャの時点で扱いが少なく、美術品などとしてほとんど残されていない。
それは現代の文化でも同様だが太陽神の代名詞的存在であるからか
あるいはその名前の語感の良さからか、彼のみ例外的に比較的扱いが多い。
現実社会でも木星の衛星や名前通り世界一高い木の名称になっていたり、駆逐艦や競走馬の名称として用いられている。

創作文化においてはキャラクター名としてはもちろん「高空」「太陽」からの連想か、
特に宇宙で運用する兵器などにその名がつけられることが多い。
英語文学の世界ではジョン・キーツによるハイペリオンを主役とした長詩「ハイペリオン」「ハイペリオンの没落」(二部作ではなくリメイク)、
さらにこれを基にしたダン・シモンズの(長ったるい)SF小説ハイペリオン四部作というのがある。
日本では、キャラクター名として聖闘士星矢Ωの天地崩滅斬のハイペリオンエピソードGの「漆黒のヒュペリオン」。
あとは遊戯王のカード「マスター・ヒュペリオン」など。
兵器名関連としては銀河英雄伝説におけるヤン・ウェンリーの乗艦「ヒューベリオン」、
『機動戦士ガンダムSEED X ASTRAY』の主役のひとりカナード・パルスの乗機 ハイペリオンガンダム
第2次スーパーロボット大戦αの主人公機であるオリジナルロボ「ハイペリオン」、
ゲーム『EINHANDER』の最終ボスである戦略衛星ヒュペリオン、宇宙戦艦ヤマト2のヒペリオン艦隊などが挙がる。

テイア

あまり扱いの多いほうではないが、その中でもっとも有名なのが月の誕生説のひとつ
ジャイアント・インパクト」において地球に衝突した仮定の存在の小惑星につけられた名としてだろう。
また東方Projectの登場人物であるヘカーティア・ラピスラズリも、上記の説をモチーフとしたと思われるスペルカード
ルナティック・インパクト」を所持しており、その名がヘカテーとテイアの合成である可能性もある。

レア

クロノスの夫でありゼウスの母であるところから、比較的扱いは多いほう。
土星の衛星や小惑星の名になっていたり、欧米では一般的な女性名としても扱われている。
なので女性名としてのレアも含めると分類不能なほどの数になるだろう。

テミス

掟・法の神である彼女は娘のディケーとともに、古来より法と正義の象徴とされた。
彼女たち母娘はローマ神話では正義の女神ユースティティア*7と同一視された。
彼女らはキリスト教にも受け入れられ、法と正義すなわち司法の象徴とされたのである。
現代でも裁判所や弁護士事務所など司法に関わる機関が、しばしば彼女の像を建物に飾っている。

それと同様に創作文化でも裁判を扱った物語のテーマに使われたり、単純に正義漢のヒロインのモチーフになることが目立つ。
物語のモチーフとしては逆転裁判5の私立テミス法律学園
法曹ミステリー小説に「テミスの剣」(中山七里)、「テミスの休息」(藤岡陽子)、「テミスの求刑」(大門剛明)
Shadowverseのスペルカード「テミスの審判」など。
キャラクターとしては千年戦争アイギス、ブレイブフロンティア、エレメンタルストーリーなど。
関係は薄そうなキャラクターにガンダムEXAのテミス・キロンなど。

ムネモシュネ

これもあまり扱いの多いほうではないが、記憶を司る女神なので人間の精神に関わるものにその名がつけられたり
芸術の女神ミューズたちの母であることから美術に関連する作品でもよくとりあげられている。
またサブカルでは人の心をテーマとする場面で頻出する。
主なものは仮面ライダー バトライド・ウォーの洗脳装置ムネモシュネ、
観念的エログロアクションSFアニメ「Mnemosyne-ムネモシュネの娘たち-」など。
キャラクターとしてラグナブレイクの「罪憶女神ムネモシュネ」など。

ポイベ

扱いが非常に少ない。 
神話の時点ですでにそういう状態で、ティタノマキア後に男神らとともにタルタロスに幽閉されたという説もあるほど。
現代でもそれは変わらず、彼女のみでピックアップされるのは非常にまれ。
だいたいが12神全員を扱う際に登場する形となる。
前述の聖闘士星矢 エピソードGや古の女神と宝石の射手には兄弟姉妹らとともに出演している。
それでも一応土星の衛星の名になったり、英語圏での女性名*8として使われたりはしている。

テテュス

夫のオケアノスに引っ張られる形で、古来より比較的多くの題材で取り上げられてきた。
絵画や壁画などでしばしば、夫と並び立つ姿で描かれている。
後世でも海に関するものにその名が使われ、古代の海やウミウシの学名などになっている。

なお日本ではしばしば孫でありアキレスの母であるテティスと混同される。
創作文化ではパズドラに、妻であるレアをさしおいてクロノスとともに参戦したり
遊戯王に光神テテュスとして登場したりしている。


十二神すべて

絶大な力と威厳をもつティターン十二神だが、個々の神々はともかくひとまとめで扱われることは少ない。
コイオス・クレイオス・イアペトス・ポイペなどはただでさえ扱いが少なく、他の神々を合わせても
ギリシャ神話の主役であるオリュンポス十二神にはとても届かない。
ギリシャ神話を題材にした作品や教材においてさえ、十二神がそろい踏みするのはまれである。

数少ない例外としては聖闘士星矢 エピソードGがあるだろう。
聖闘士星矢の前日譚であり黄金聖闘士たちが活躍するこの作品では、ティターン十二神全員が本人役として登場。
上記された神話で語られる要素をふんだんに設定に盛りこみ、原典に忠実にその力を再現している。
十二人全員が想像を絶する力を持つと同時に単なる悪役にとどまらない精神性を兼ね備え、
若き日の黄金聖闘士たちの前に巨大な壁として立ちはだかった。
あと上述のスマホゲー、古の女神と宝石の射手でも全員女体化されているもののティターン十二神がそろって参戦している。
そのほかではイナズマイレブンGOの聖堂山中はメンバーのモチーフがティターン十二神となっている。




追記・修正は黄金時代を築いてからお願いします。

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最終更新:2024年03月08日 12:34

*1 これに同じくガイアとウラヌスの娘であり「女ゼウス」と呼ばれるディオネを入れて十三神にすることもある。 あとゴルゴンの父である海の神ポルキュスが入ることもある。

*2 オケアノスの娘:オケアニス ギリシャ語 Ōkeanis 古代ギリシャ語 Ὠκεανίς, 複数形はオケアニデス ギリシャ語 Ōkeanides 古代ギリシャ語 Ὠκεανίδες 3000人いると言われ、長姉は冥府を流れる川であるステュクス。

*3 ティターン神の一柱で男神。アテナと同一となった女神パラスとは別の神。

*4 ギガント、英語読みでジャイアント。こちらはウラノスが去勢された時に飛び散った血から生まれた粗暴で野卑な巨人族。オリンポス十二神との大戦争「ギガントマキア」を引き起こしたが、頭目がヘラクレスにボコり倒されて最終的に全滅する。

*5 神獣タイタンは「最後のタイタン族が天に召されて星座となった」という伝承が伝えられている

*6 ただ、巨人族自体がFF11のシナリオにあまり関わらないため設定資料集等でしか明かされない裏設定に近い要素であり、また彼らより高位の巨人としてヘカトンケイルの名を持つ「ヘカトンケイレス」が後に登場した。

*7 ユースティティア Jūstitia 名はラテン語で「正義」を指し、英語のjusticeの語源となった。

*8 英語読みだとフィービー Phoebe