六腕(オーバーロード)

登録日:2018/02/24 01:30:15 (Sat)
更新日:2023/04/01 Sat 23:27:42
所要時間:約 12 分で読めます





この娼館を襲ったやつを見せしめに殺さねば、俺達の評価が落ちるわ。
もはや損失など考えるな。六腕全員で襲撃犯を殺す。

──〝不死王〟デイバーノック

〝空間斬〟ペシュリアン 

〝踊る三日月刀〟エドストレーム 

〝千殺〟マルムヴィスト

そしてこの俺、〝闘鬼〟ゼロがな!






六腕とは、ライトノベル『オーバーロード』に登場する一団の名称。
なおアニメで判明した読みは「ろくうで」。一方コミック版では「ろくわん」とルビが振られている。


【解説】


リ=エスティーゼ王国を裏で牛耳る犯罪結社、「八本指」の最高戦力とされる6名の総称。
八本指の名前の由来となった盗みの神の兄弟神である、六本腕の神になぞらえ名付けられた。
八本指を構成する8つの部門の内、警備部門に所属している。

個々の戦闘力は、冒険者でいえば最高位のアダマンタイト級に匹敵するとされている。
王国戦士長ガゼフ・ストロノーフやアダマンタイト級冒険者を王国における表の最強とするならば、裏世界の最強が彼ら六腕であると言われる。

特異な能力や武器の持ち主、強力な異形種(モンスター)までもが属しており、更に八本指の資金力を活かして高級な装備やマジックアイテムを所持している。

原作第6巻では彼らの口絵が掲載され、裏面には所持するマジックアイテムが紹介されるなど無駄に仰々しい扱いをされている。通称:遺影


【メンバー】


〝闘鬼〟ゼロ


これからは強さによって全てが決まる時間の始まりだ!

CV.西凜太朗

六腕筆頭にして八本指・警備部門の長も務める男。
六腕の中でも最強の戦闘力を誇り、他のメンバーからも畏怖されている。

屈強な体格で禿頭、顔の半分や身体中に獣を模した入れ墨を彫り込んでいる。
粗暴な雰囲気のある外見だが、組織人としての交渉や手回しなどもこなせている。
冷徹な性格だが、利用価値があれば人外の者でも招き入れ、失敗した部下にも一度は挽回のチャンスを与えるなど、リーダーとしてそれなりの器はある模様。

一方で自身や六腕の力に対するプライドは極めて高く、刃向かった者や侮った者には容赦しない。
戦闘において己の力を誇示する傾向があるが、戦士としての観察力や戦況を読む力には長けている。


修行僧(モンク)系統の職業(クラス)を多く身につけ、素手での格闘を得意とする。
拳の強度・破壊力は特に凄まじく、鋼鉄製の扉を貫く、金属鎧をへこませる、拳で刀と打ち合うといった、常識はずれの芸当を平然とこなす。

保有する技能(スキル)シャーマニック・アデプトというものがある。
これは動物の霊魂を自身の肉体に宿らせ、身体能力を跳ね上げるというもの。
全身の入れ墨はこの能力を発動させるための媒介となる。

切り札としているのは、全力で放つ正面からの拳の一撃。
単純な攻撃だが多種の特殊技術スキルやマジックアイテムで強化され、小手先では破れない圧倒的な速度と破壊力を誇る。



〝不死王〟デイバーノック


何を言うか。あやつが負けたからと言って、相手が強いとも言えまい?

CV.ファストワン真木駿一

自然発生したアンデッド、死者の大魔法使いエルダーリッチ。メンバー唯一の人外。
基本的に生者を憎み殺戮に腐心するアンデッドの中で例外的に憎悪を抑えられている。
多くの魔法を使いこなすことを目標としており、金銭を対価として他者に教えを乞おうと考える。

しかし、
  • 旅人を襲って略奪→冒険者に討伐されかけ、敗走。
  • 人間に扮し傭兵団に所属→正体がバレて逃走。
という次第で稼ぐ手段を失っていたところを、ゼロにスカウトされる。

以降は相応の報酬や魔法教導の人脈と引き換えに、ゼロの配下として力を行使する
アンデッドゆえに寿命に縛られることはなく、成長を続ければ人類を脅かす存在にもなり得た。




〝空間斬〟ペシュリアン


二人掛かりだ! 二人でやるぞ!

CV.山本祥太

全身鎧(フルプレート)を装着した寡黙な男。
1メートル程の鞘から抜いた剣で3メートル近く離れた相手を両断する技を使う。
技の正体は、柔らかな金属を鞭のように細く削った剣による一閃。
人間では対処不能な速度での斬撃は、空間を切り裂いていることとほぼ同等であると言われる。

武器自体も元々非常に扱いづらいものであり、戦士として高い技量を必要とするもの。
王国最強の戦士ガゼフすら、同じ武器をペシュリアンほど使いこなせないとされている。



〝踊る三日月刀(シミター)〟エドストレーム


お爺さん、あなたなかなか強いんだって?拳一つでぼっこぼこに殴り飛ばすんでしょ?

CV.松井恵理子

六腕の紅一点。薄絹をまとった踊り子のような格好の女。
所有者の思念に従い自動的に敵を攻撃する、舞踊(ダンス)という魔法を付与された武器を操る。

通常、舞踊による武器の動きは単調で不意打ちや牽制、敵の妨害程度にしか使えない。
しかし彼女の場合は、自身と同等の力を持つ不可視の戦士がその場にいるかのような自然な動きで操ることが可能。
その理由は異常な空間認識能力と、複数の動きを同時に思考できる脳の柔軟性にある。
王国全土でも、これほど噛み合った2つの能力を有する者は他にいないとされている。

攻撃は宙に浮かせた5本の三日月刀にまかせ、自身は防御に専念する戦法を取る。
間合いに入れば確実に命が奪われるとされ、ゼロには「剣の結界」と表現される。



〝千殺〟マルムヴィスト


それは手に入れたいブツだね。いろいろと脅しに使えそうだ

CV.手塚ヒロミチ

きらびやかな衣装をまとった軽薄な雰囲気の優男。
薔薇から剣先が突き出したような形状のレイピア・薔薇の棘(ローズソーン)を主武器とする。

薔薇の棘には、突き刺さった瞬間に肉を捩じりながら食い込む肉軋み(フレッシュグラインディング)と、傷口を開いてより深手とする暗殺の達人(アサシネイトマスター)という2つの魔法が付与されている。
加えて複数の毒を混ぜ合わせた致死性の猛毒を先端に塗りこんであり、かすり傷でも致命傷となる凶悪な武器である。

毒で勝負を決める考えに頼っているためか、剣の腕は若干劣る模様。
しかし刺突に関しては本物の威力を誇り、人間の戦士最強であるクレマンティーヌの一撃に近いとされる程。



〝幻魔〟サキュロント


見破っていたか!

CV.シュトロハイム伊丸岡篤

フードを被り、顔中傷だらけで痩せこけた鋭い目つきの男。
六腕の中では最弱とされ、他のメンバーからは見下されている。

幻術士(イリュージョナリスト)」と「軽戦士(フェンサー)」の職業クラスを修め、剣術と幻術を組み合わせた戦法を取る。
能力を分散させているため、それぞれの技量は専門職には及ばないがトリッキーな戦術で相手を翻弄する。


◆使用魔法
  • 多重残像(マルチブルビジョン):幻で自身の分身を作り出す。分身は攻撃を受けると消滅する。本体の現状が反映されるため汚れなどの変化では見破れない。ただしマジックアイテムによる変化は別。
  • 閃輝暗点(シンチレーティング・スコトーマン):相手の視界の一部を欠けたようにする。
  • 偽死(フォックス・スリープ):傷を受けた後に発動し、分身で自身の死体を作り出す。攻撃した感触や、出血なども再現できる。





【関連人物】

セバス・チャン
ナザリック地下大墳墓の執事。
戦闘メイドのソリュシャン・イプシロンと共に正体を隠して、王都で情報収集の任務をしていた。
彼が八本指傘下の娼館から少女ツアレを救い出したことを機に因縁が生じる。
六腕の認識では、なかなか強いが自分たちにはえらく劣る相手。


ツアレ
八本指傘下の非合法な娼館で働かされていた少女。
凄惨な扱いによって瀕死となり、処分されそうになったところをセバスに救われる。
セバスが娼館を壊滅させ、六腕のメンツを潰したことで彼をおびき出すために拉致された。
救いに来た者に騙し討ちをするため、サキュロントは彼女の着ていたメイド服を奪って着ている。


ラナー・ティエール・シャルドロン・ライル・ヴァイセルフ
王国の第3王女。「黄金」と讃えられる美貌と、天才と称される頭脳の持ち主。
彼女の提案で奴隷売買禁止の法律が制定されたため、八本指の構成員からは強く憎まれ「世界で最もムカついているメス」「売女」などと称される。


クライム
ラナーに絶対の忠誠を尽くす、お付きの兵士。
八本指の構成員からは、ラナーに対する手札あるいは意趣返しの道具として狙われている。
偶然の出会いが元でセバスに協力することになり、ブレインと共に八本指傘下の娼館を襲撃。
サキュロントとは2度に渡って戦っている。


ブレイン・アングラウス
王国最強の戦士ガゼフに匹敵すると言われる剣士。
あるきっかけから、セバスとクライムに協力して八本指の討伐に参じることになる。
兼ねてより名が知られている事もあって、六腕からも一目置かれている。
対峙したサキュロントとゼロからは、実力を見込んで勧誘されたことも。


ガゼフ・ストロノーフ
王国の戦士長にして、周辺国最強と名高い戦士。
愛国心と忠誠心に溢れ、国を蝕む八本指を兼ねてより疎ましく思っている。
六腕と直接対峙することは無かったが、彼らの実力が語られる上でよく引き合いに出されている。ものさし大活躍


ラキュース・アルベイン・デイル・アインドラ
王国を拠点とするアダマンタイト級冒険者チーム「蒼の薔薇」のリーダー。
ラナーとは親友同士であり、彼女の依頼でチームメンバーと共に八本指の麻薬生産所を襲撃する。
六腕とは互いに警戒し、いずれぶつかり合うことを予期していたが、結局一度も対峙することは無かった。


ロックマイアー
王国の大貴族・レエブン侯の親衛隊を務める元オリハルコン級冒険者。盗賊系の能力を持つ。
娼館壊滅後、八本指の拠点を襲撃する計画に参加し、クライムやブレインと同行する。
クライムとサキュロントとの2度目の戦いでサポートに回り、戦いを有利に進めた。この際、六腕全てに対処するための備えをしていた。


コッコドール
八本指・奴隷売買部門の長。ツアレが働かされていた娼館の持ち主。
セバスがツアレを連れ去ったことで生じる問題を危惧し、ゼロに六腕から警護を出すよう依頼。
ゼロも同僚及び雇い主として多少は気を回している。





【活躍】



八本指の部門長達による談合で、ゼロが先立って登場。
コッコドールの要請により、サキュロントが護衛として派遣される。

ツアレの件を糾弾するため、娼館側の代表としてサキュロントがセバスの元に訪れる。
賠償金などを一方的に宣告した後、一旦引き上げた上でセバスに刺客を送る。(後の責任はセバスの主に扮していたソリュシャンに負わせるつもりであった)
しかしそれが仇となってセバス・ブレイン・クライムにより娼館が襲撃されることとなった。

手分けして娼館内部を探索していたクライムに、コッコドールを連れたサキュロントが遭遇。
そのまま戦闘となり、幻術を交えた戦法でクライムを瀕死にまで追い詰める。
しかしセバスとの稽古がきっかけで脳のリミッターの外し方が身についていたクライムに反撃を許す。
危機感を覚えさせられるも、ほどなくクライムが限界を迎えて力尽きた。

そのままトドメを刺そうとするが駆けつけたブレインによって妨害される。
ブレインに六腕に加わるようスカウトするもあっさり断られ、意趣返しに幻術を用いてクライムを狙う。
しかしブレインの武技によって見抜かれ、サキュロントは一撃で倒された。


サキュロントがコッコドールと共に捕縛された後、残るメンバーが壊滅した娼館に集結。
鋼鉄製の扉が素手で破られた跡からセバスの実力を推し量るも、
またこの時点で、サキュロントを釈放させる手はずを整えている。


その翌日にツアレを拉致し、八本指の拠点の一つにセバスを呼び出す。
一方、ラナー主導の八本指の拠点襲撃作戦によりクライム・ブレイン・ロックマイアーが偶然同じ場所に向かっており、セバスと合流。
セバスが六腕を相手にしている間に、クライム等が侵入しツアレを救い出す手はずとなる。

そして待ち受けていたデイバーノックエドストレームペシュリアンマルムヴィスト
セバスとの戦いの火蓋が切られたのだが──


+ ...
  • デイバーノック
二つ名が至高の主人と被っている」という理由で出会う前から不快に思われており、真っ先に頭を砕かれる。
防御や回避どころか、一切のリアクションを取ることもできず、犠牲者第1号となった。
「その二つ名を名乗って良いのはこの世界にたった御一人。いと高き場所に座られた方だけです。お前ごとき下等アンデッドがおこがましい」


  • エドストレーム
得意の剣の結界を発動させるも、攻撃を開始する間もなくセバスの手刀で首を落とされる。
あまりの速度に最初は自分が殺されたことに気づかず、剣はセバスに向かっていく。
気づいた直後も認められず、認めた瞬間絶望し、剣はセバスに届くことなく地に落ちた。
「頭を落とされても、まだ戦うとは……その戦闘意欲に敬意を示します」


  • ペシュリアン
上記の2人が瞬殺され、死を確信するも一応は戦士の意地を見せ戦いを挑む。「お、お、おれ、俺の『空……空間斬』をく、くらえ」
マルムヴィストと同時にかかり、自慢の空間斬を放つもセバスの指で剣先をつままれあっさり止められる。
しかも技名を聞いた瞬間にセバスは、自身の創造主「たっちみー」の切り札である次元断切(ワールドブレイク)*1のまがい物と推測し、警戒していた。
実態はトリックのような技だったことでセバスの怒りを買い、力任せに頭を殴り砕かれる。
ただし技名への警戒によってセバスに予定外の15秒という時間を使わせ、さらに怒り混じりの攻撃によって汚れた手袋を廃棄させている。
結果的には、六腕の中で一番の戦果を上げたと言える……かもしれない。
「なんですか、これは……空間を切り裂くなど……」


  • マルムヴィスト
ペシュリアンと同時にかかり、渾身の突きを放つも人差し指1本で止められる。
ペシュリアンが斃された後、セバスが捨てた手袋を必死で拾い上げ、訝しまれた。
手袋を強化系統のマジックアイテムなどと宣っていたが、この時点で半分発狂していた模様。
もちろんただの布手袋である。ほどなく頭を殴り砕かれた。
「一体……何をしたいのですか?」


アニメ版においては「空間斬」に対するセバスの反応や、手袋拾いなどの過程がカットされている。
そのためセバスが宣言したとおり、およそ10秒ほどで戦闘は終了した。




拠点内部に侵入したクライム達は、囚われていたツアレを発見し、無事救出。
しかしその帰路でゼロが襲撃をかけ、ブレインとの戦闘に入る。


+ ...
実は救われたツアレはサキュロントの幻術による変装であった。
ブレインに背後から不意打ちをかけようとするも、元より違和感を持たれており、ロックマイアーに妨害される。
見破られて正体を現すが、服装はツアレから奪ったメイド服であった。
さらにその状態で多重残像を使ったため、人相の悪い男がメイド姿で画面を埋め尽くすという地獄絵図ができあがった。

そのままクライム・ロックマイアーとの戦闘になるも、終始劣勢を強いられる。
ロクな装備もなく、元より戦士としての技量はクライムに劣っており、幻術士としての利点はロックマイアーに潰された。
ついにはクライムに金的を喰らって悶絶したところを切り伏せられ、絶命する。


一方ゼロは、ブレインと他の者が立ち入る隙が無いほどの激戦を繰り広げていた。
だがそこに本物のツアレを連れたセバスが現れ、他の4人を全て倒したと告げる。
その言葉を信じられず激高するも、伏兵などの可能性を考え撤退を決意。

ブレイン達への牽制も兼ねてセバスだけは抹殺しようと全力の一撃を彼に放つ。
一切動くことも出来ぬまま無防備な腹部に拳が突き刺さり、セバスは軽々と吹き飛んで即死した。










──というのはゼロの妄想であり、実際にはセバスをピクリとも動かすこともなかった。
目の前の事実を信じられず、その後の行動を何も取れぬまま、セバスの踵落としによりゼロは踏み潰された。

「ふぅ、危ないところでした。もし警告が遅れたら死んでいたでしょうな」

クライム・ブレイン・ロックマイアー(絶対、嘘だ!)


こうして王国裏の最強と呼ばれる六腕は、全滅した。





余談

Web版ではゼロやサキュロントは登場するものの、六腕という名称は出てこない。
またゼロに次ぐ戦闘力の持ち主として、ルベリナという女性キャラが登場し、レイピアを使うなどマルムヴィストとの共通点が見られる。

アダマンタイト級に匹敵すると評されているが、
作者によるとゼロの強さはその中だと下位(ブレインやガガーランよりも低い)
レベル的には高いのだがモンクは戦士に比べると基礎の部分が弱いのが要因らしい





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最終更新:2023年04月01日 23:27

*1 戦士系最強職・ワールドチャンピオンの最終レベルで習得できる奥義であり、第10位階魔法トップクラスの威力を持つ現断[リアリティ・スラッシュ]すらその劣化版。