UFOロボ グレンダイザー(桜多吾作版)

登録日:2018/02/15 Thu 18:12:34
更新日:2024/04/07 Sun 22:15:15
所要時間:約 32 分で読めます




本項目では、『UFOロボ グレンダイザー』の数ある漫画版……その内の一つ、桜多吾作氏によるコミカライズ版を紹介する。


概要

言わずと知れた70年代コミカライズの核実験場と名高い『冒険王』誌にて連載されたコミカライズ版で、俗に言う「桜多吾作版マジンガーシリーズ」の第3作目にして最終章。

内容は、はっきり言ってしまうとTVシリーズとは全くの別物
TVシリーズの『グレンダイザー』が、星の境を越えた「愛」をテーマとし、高年層や女性ファンのハートをも掴んだのに対し、
こちらは前作『グレートマジンガー』の路線から全く変わる事なく……否、更にアクセルがかかる勢いでハード路線一直線
『グレート』で極まった感のあるリアリティはより突き進み、更に本作では桜多氏のSF趣味もプラスされた結果、
TVシリーズとはほぼ完全に、登場人物や一部固有名詞が共通しただけの別作品となった感が強い。

他作品で例えるとすれば、TV版『グレンダイザー』がスパロボの『バルディオスで、
桜多吾作版『グレンダイザー』は原作の『バルディオス』と言える。うん、間違いなく何かおかしいね。
むしろダイナミックプロ的には『デビルマン』や『ゴッドマジンガー』のアニメ版と漫画版の違いといった方が適切かもしれない。結末的にも

評価は……やはりというべきか賛否両論
前作『グレート』以上にTVシリーズとの解離は激しいと言わざるを得ず、登場人物の度重なる暴走に加え、
あまりにも主人公を始めとする人々に過酷すぎる運命を背負わせたシナリオは、当時から少なからず賛否があったのも事実で、
また作品全体を通しての、時折挟まれるコメディ描写すらも霞んでしまうほどの重苦しい空気ゆえに、
『グレート』までに残っていた娯楽性が薄まってしまっているという指摘もある。
更に『マジンガーZ』『グレート』でも描かれてきた、人間の心の「負」の部分に対する糾弾もエスカレート。人間嫌いになること必至である。
最終的な結末についても、詳しくは後述するが……早い話が(一縷の希望はあるとはいえ)所謂バッドエンドの類であり、
見ようによっては『マジンガーZ』並びに『グレートマジンガー』までの物語を全て無に帰すかのようでもある事から、
その点でどうしても本作を許容できないという意見も少なくない。

しかし、それらの点を受け入れてしまえさえすれば、同じく桜多氏が手掛けた『マジンガーZ』『グレートマジンガー』から続く
「桜多吾作版マジンガーシリーズ」という一大叙事で一貫して描かれ続けてきたテーマを総括する「トリ」を務めた作品として、
TV版『グレンダイザー』とはまた違った魅力を持っている漫画である事は間違いないだろう。
本作の象徴的とも言える結末も、桜多氏の鮮やかな手腕によって伏線から舞台装置まで何から何まで綺麗に纏め上げられたそれは、
同じロボアニメで終末的結末を描いた『宇宙戦士バルディオス』や『新世紀エヴァンゲリオン』などを遥かに先取りしており、
連載時期で言えばロボット物かつ破局的結末という点で共通する点がある『マーズ』ともほぼ重なっている。
また掲載誌の対象年齢を全く無視していると言われれば必ずしもそういう訳でもなく、この手の終末的作品にありがちな小難しい専門用語やSF知識の乱発も殆どなく、
年少の読者でも作者が描かんとしている一貫性のあるテーマをすんなり読み取ることは十分に可能と思われる。
もし『グレンダイザー』のファンで本作に未だ触れた事がなければ、前評判に惑わされず、今一度自分の手で読んでみてはいかがだろうか。
その結果トラウマになった、人間不信に陥ったなどの症状が出てもアニヲタWikiは一切の責任を取らないのであしからず

ちなみに、本漫画におけるナイーダの登場エピソード「かなしみのデューク・フリード」はアニメ本編における第25話「大空に輝く愛の花」に相当する回なのだが、
実はこれ、元々この桜多吾作版『グレンダイザー』オリジナルエピソードだったものが、当該話演出の勝間田具治氏の目に留まり、
氏がTV版『グレンダイザー』のプロデューサーに映像化を持ちかけた結果、晴れてリアルタイムでおよそ3ヶ月後にTVシリーズへと逆輸入されたという経緯だったりする。
流石の勝間田氏も、桜多版ダイザーが後々恐ろしい暴走をするとは夢にも思わなかったに違いない。

その他、桜多氏は、劇場映画『グレンダイザー ゲッターロボG グレートマジンガー 決戦!大海獣』の漫画版も執筆しており、
こちらでは同じく氏が手掛けたコミカライズの最終回で命を落とした剣鉄也ゲッターチームが普通に存命していたりと
桜多版『グレンダイザー』本筋とは繋がらない、純粋に「劇場映画のコミカライズ」となっている。
とはいえ、ロボット軍団を軽視する官僚が出てきたりと、随所に桜多吾作らしさは垣間見える内容だが。
これはサンワイドやアクションコミックスの単行本には収録されず、大都社の『決戦!ゲッターロボG ゲッターロボG・アンソロジー』に併録される形となっている。


物語

剣鉄也がその命を持ってしてミケーネ帝国を撤退に追い込んでから暫く経ったある日。
突如として十五夜の夜、夜空の満月にドクロのマークが浮かび上がるという異変が発生した。
シラカバ牧場で仕事に勤しんでいた青年・宇門大介は、それを見て得体の知れない胸騒ぎを覚える。
やがて、光子力研究所から宇宙科学研究所へと移籍したかつてのマジンガーZの操縦士・兜甲児の出会い、
そして突如として東京に出現したベガ星連合軍の姿を見た事で、自身が記憶を消されたフリード星の王子、デューク・フリードであることを思い出す。
デューク・フリードとして第2の故郷・地球を守るべく、甲児らと共にベガ星連合軍との戦いに赴く大介であったが、
それは彼自信のアイデンティティを揺るがす苦悩の始まり、やがては全てを巻き込むカタストロフの序章に過ぎなかった……!


登場人物


宇宙科学研究所・シラカバ牧場


  • デューク・フリード/宇門大介
主人公。かつてベガ星連合軍に滅ぼされたフリード星の王子にして、グレンダイザーのパイロット。
地球に漂着した当時は、故郷を滅ぼされ、家族を奪われた辛い記憶を忘れさせんがために
宇門博士の手により洗脳装置で地球人の記憶を移植され、博士の息子として平和な日々を送っていたという設定。この時点で色々ヤバい。
当初こそベガ星連合軍に対する憎しみと、地球を守るという使命感故に戦ってきたが、
ナイーダから敵の戦力・円盤獣が「フリード星人の脳髄を生体ユニットとしている」事を明かされ、戦い続けることに苦悩するように。
それ故に、宇門博士が自身を洗脳して戦うだけのマシーンにしようとした際には、地球人に失望して地球から去ってしまうが、
最終的にジョン・カーターらの説得もあり、「これ以上地球人達が身勝手な行いを続けるなら、自分達が地球を支配する」という名目のもと、
地球に帰還して再度守りに付くことを決意する。
その後も、かつての部下たちを失うなどの悲劇を経ながらもベガ星人と戦い続けたが、その先に待っていた残酷な結末とは……

キャラクターデザインはTVシリーズと(特に髪型が)大きく異なり、桜多吾作氏による独自のものとなっている。
またデューク・フリード時はヘルメットの頭部パーツをアイスラッガーのごとく射出することが可能

前2作からの連続性がTVシリーズよりも重視され、原作以上に「もう一人の主人公」的な立ち位置として描かれている。
大介の事は敬称もつけずに「大介」と呼び捨てにするなど、TVシリーズに比べて年齢差のない間柄。
本作最大の特徴として、後年桜多氏が「自身の性格が憑依した」と述懐したように、
海外留学の設定どこいったと言わんばかりのレベルで「ドスケベ」になってる事が挙げられ、
思慕を抱いたひかるに対して犯罪スレスレの行為で迫ることもしばしば。団兵衛が銃器を持ちだすのも無理はない。
一方、思慮深さやナイーブさについても顧みられており、特にミケーネ帝国絡みのエピソードでは深い苦悩と葛藤に直面することとなった。
何気に、亡き剣鉄也の事を「鉄也さん」と呼ぶ一幕もあり、総じて後年のスパロボシリーズ黎明期の甲児のイメージに近いかもしれない*1
またインテリ設定が皆無な訳でもなく、ベガ星人とのファーストコンタクトを迎える前には、度重なるUFOの目撃情報を
「宇宙人は地球人と交易したいのではないか」と考え、地球の将来を考えて友好に踏み切るべきではないかと意見したこともあった。

前作『グレート』に続いてサイボーグ化された設定はほぼ忘れられている……というか、
普通に海パンを着用した際に生身の地肌が見えてるため、ほぼ完全に無かった事にされた模様。
ぶっちゃけ彼がマジンガーZに乗ってれば、もうちょっとマシになった局面もあったのでは、という気がしないでもない。

  • 牧葉ひかる
本作のヒロイン。
父親の過保護ぶりにほとほと呆れており、「このままじゃあたしゃ売れ残っちゃうよ」と洩らす一面も。
また甲児の過激なアプローチには怯えつつも、訪れたさやかを前にして彼が態度を改めたり、
さやかから歯牙にもかけられなかった際には内心かなりの嫉妬を見せたりと、
彼女もまた桜多吾作ワールドのヒロインの例に漏れずコメディ色が強い。さやかとは犬猿の仲。

大介同様にデザインが漫画独自のものとなっており、一部からはTVシリーズより可愛いとの声も。

  • グレース・マリア・フリード
キャラ付けが漫画独自のものとなっており、べらんめぇ口調なちゃきちゃきの江戸っ子に。一人称は「あたい」。
本作ではハワイ在住であり、連発式のポップガンで人食いザメを一撃のもと討ち取る生粋のハンター気質。
育ての親を殺されて誤解から大介に襲い掛かる……という大筋はTVシリーズと同じだが、
漫画ではそう簡単に誤解が解けず、兄と再会しても「顔は整形したに違いない」とかぬかして容赦なく襲い掛かった。
一応、次回エピソードの冒頭では既に和解していたが。
甲児曰く「ライオンみたいなやつ」。

ちなみにTVシリーズにおける甲児への思慕は本作では描かれず、最終的にさやかが真ヒロインとも言える立ち位置となった事もあり、
結果として本作では初登場エピソードを除いてひかるよりも影が薄くなってしまった印象は否めない。

  • 宇門源蔵
宇宙科学研究所の所長で、地球に漂着した大介を洗脳して養子として迎え入れた人物。が……
本作最大の暴走をやらかした大戦犯。
当初こそ大介を戦地に赴かせることに否定的であったが、度重なる戦いの日々の中で心境が変わったのか、
「地球を守るためには時には肉親や友をも見捨てる冷徹さが必要」と考えるようになり(実際その頃大介が増長の傾向にあったのも事実だが)、
大介の枕元に催眠学習装置を仕込み、戦うだけのマシーンに洗脳しようとするという、
どう考えてもそれ悪役のやることだろうとしか言わざるを得ない暴挙をやらかす。ぶっちゃけ最初から洗脳して地球人として育ててた辺りにその片鱗はあった。
当然ながら大介には一度とはいえ見限られ、彼の部下からも無言の非難を受ける羽目になった。
その際の「わしのしたことはそんなに酷いことだったのか、答えてくれ」は、それこそ至高の迷言。
一応、彼も彼なりに反省して大介と和解はしており、以降は完全に正義の人として味方を指揮し、世界会議でベガ星人の脅威を訴えるなどの活動に及んではいたのだが……

容貌は大介やひかる以上にTVシリーズと異なり、恰幅のよい髭面の男性といった風貌となっている。
こちらのバージョンの宇門博士は、桜多氏が原作を務めたアニメ『グロイザーX』の飛島秀樹にデザインがそのまま流用されている。

  • 牧葉団兵衛
娘への溺愛ぶりがエスカレートしており、彼女に近づく大介や甲児を悪い虫扱いして猟銃をぶっ放したことも。

  • 牧葉吾郎、荒野番太
ほぼモブ。


光子力研究所


  • 弓さやか
TVシリーズでは劇場版『決戦! 大海獣』以外では影も形もなかった前々作ヒロインだが、本作では前2作より継続して登場。
闇の帝王から送られたミケーネ帝国本拠地への招待状を、宇宙科学研究所に届けに訪れたのが初登場で、
ひかるに対してスケベ心を丸出しな甲児に釘を刺しつつも、ひかるから「どういう関係」と聞かれて赤面するなど、正妻ぶりは健在。
以降、宇宙科学研究所の所属になったらしく、彼らと行動を共にするように。
ミケーネ帝国本拠地で、フリード星の模様が刻まれた指輪を拾ったことで、「謎の人面石」を度々夢に見るようになり、
やがてはシグマ文明の遺産・大魔神ラーガを操縦するライセンスを得たことが、彼女の運命を大きく左右することに……

ある意味ではひかるやマリア、大介を差し置いて、本作の「真ヒロイン」にして「裏主人公」とも言える役割を担う事となった。
「ヒロインちゅうのも知られざる苦労があるだね~」

本作での活躍から、『グレンダイザーU』への登場が決まった事に戦々恐々するファンもいるとかなんとか

  • 弓弦之助
さやかと共にミケーネ闇の帝王からのメッセージを持参し、宇宙科学研究所の面々と共にミケーネ帝国本拠地へと赴く。
ミケーネ帝国編が終わった後はフェードアウト。娘のピンチになにやってたのやら


ベガ星連合軍


  • 科学長官ズリル
中盤から登場したベガ星連合軍の科学長官で、ズリ星出身。
TVシリーズでは単なる悪役の一人に過ぎなかったが、桜多吾作版においては大介らと並ぶ「敵側の主人公」とも言える立ち位置に。
本作では侵略者でありながら地球の自然を愛し、特に夕日やオーロラなどの景色を好むという漫画独自のキャラ付けが成されており、
大量破壊兵器などの使用を「地球が痘痕になってしまう」という理由で拒み、可能な限り地球環境を保全した上で手中に収めようと目論む。
その分、地球を汚し続ける地球人類への憎しみも相当なもので、必要とあらば民間人を数十万人単位で殺戮することも厭わないほど。
ベガ星雲が完全に滅亡した際には、母星を汚染し続けてきたダントスやベガ大王への恨み辛みを吐露しており、
自身の星系を救うことのできなかった後悔が、汚染されつつもまだ豊かな自然を蓄えている地球の環境保全に固執する原因であることは想像に難くない。

ガンダル司令とは犬猿の仲ながらも、ダントス着任の際には利害の一致で協力したこともあったが、
最終的に自身らも切羽詰まった状況下での地球侵略に対する作戦の方向性で対立、粛清する事に。

形は違えど「地球のために」大介たちとは拮抗し続けていたが、やがてベガ星滅亡に伴うベガ大王の地球襲来が、運命の歯車を狂わせてゆく……

  • ガンダル司令
初代地球攻撃軍司令官。最初期にはレディガンダルも登場したが、中盤以降はほぼ表のガンダルのみとなった。
TVシリーズに比べて粗暴かつ短気な側面がピックアップされ、地球侵攻作戦も搦め手を使わず
円盤獣やベガ獣による力押しの作戦を主導していたが、やがてスカルムーン基地が窮状に陥った事で作戦立案の方向性でズリルと対立、
剣をふるってズリルを脅そうしたことで彼の部下に腕を焼き切られ、眠らされた上に監禁され、その後はフェードアウト。

なお、切り落とされたガンダルの両腕は回収され、ズリルの指示で培養室に送られる事に……

  • ブラッキー隊長
地球攻撃部隊の攻撃隊長だったが、度重なる失敗が原因でガンダルに八つ当たりされ、
遂にキレて銃撃を敢行するも、ものともしなかったガンダルに絞殺される最期を迎えた。

  • ブラッドベリー
宇宙科学研究所の一行をハワイ旅行に誘った企画者だが、その正体はベガ星連合軍のスパイ。
人食いザメによる暗殺が失敗すると見るや、戦闘用サイボーグの正体を現して一行を襲うも、
デューク・フリードに変身した大介のアイスラッガーを受けて顔面を両断された。

  • ダントス防衛長官
ベガ大王の側近を務める防衛長官。
滅びゆくベガ星脱出に際しては、兵士を満載して脱出した大王らを非難するベガ星の一般市民に向けての発砲を命令するなど、その性格は悪辣。
ズリル曰く、計画的な長期展望のビジョンもないままベガトロン鉱脈の開発を主導し、ベガ星系に放射能汚染をもたらした最大級の戦犯ともいえる人物であるらしく、
彼からは「ベガ大王以上の破壊者」として憎悪されている。
結局、地球攻略の主導権争いにより、ズリルとガンダルの手で謀殺される末路を迎えた。

  • 恐星大王ベガ
ベガ星連合軍の総帥にしてベガ星の支配者。
当初はモニター越しに指示を出すのみだったが、ベガ星壊滅に伴い、大勢の臣民達を見捨てて脱出、月面のスカルムーン基地に拠点を移す。
TVシリーズ以上に悪辣さは勿論の事、愚かさが際立っており、
地球の核ミサイル基地を襲撃して、核保有国同士を戦わせて核戦争を誘発することで地球を放射能汚染して地球人を全滅させるという、
どう考えても同じく放射能汚染で滅び去ったベガ星系の二の舞を演じさせるようにしか見えない、最悪レベルの愚策を目論む。
当然ながらズリルから反発を受けるも、彼がラーガを撃退できなかった事で、ベガ大王の作戦は実行に移されてしまう。が……
……その最期は、TVシリーズのラスボスを務めた人物とは思えないほど、無様かつ惨めなものであった。

ルビーナ?影も形もありません。

  • ベガ兵
覆面を被った兵士と、素顔の兵士が混在。
ズリル配下の兵士たちは、彼がベガ大王に対するクーデターを敢行した際にも迷うことなく彼についていく忠臣達である。


フリード星人


  • ナイーダ・バルザキック
元フリード星公爵令嬢にして、大介の幼馴染。TVシリーズにも登場したキャラだが、上述の通り実はこっちが初出。
ベガ星連合軍のスパイとして大介らのもとに送り込まれ、陽子爆弾によるグレンダイザーの破壊を敢行、
大介に対し、これまで彼が叩き潰してきた円盤獣には洗脳されたフリード星人の脳髄が使われており、
グレンダイザー初陣の相手である円盤獣ギルギルには彼女の弟・シリウスの脳が使われていた事を暴露した。
洗脳装置を埋め込まれているのはTVシリーズと同じだが、こちらでは円盤獣の真実を吐露した直後に洗脳装置のスイッチを入れられており、
大介に対する憎しみの吐露は、シリウスが円盤獣の生体ユニットにされた件も含めて素の感情という事になっている。
そのため、大介への感情も「片時も忘れないほど愛しているが、それでもなお自分達を見捨てて逃げた憎悪を捨てられない」という
愛憎入り混じったものとして描写されている。
最期は研究所に攻め入ってきたミニフォーの大群にTFOで特攻、今わの際にテレパシーで自身の本心を大介に吐露して還らぬ人に。

  • ジョン・カーター、バローズ、ミットン
円盤獣に脳髄を移植された、元フリード星の近衛兵たち。
大介を葬るに相応しいメンバーとしてガンダルに選ばれ、グレンダイザーを迎え撃ったが
ブラックゾーンが崩壊したショックで制御装置が壊れ、元の人格を取り戻してベガ星人に反旗を翻した。
その後は宇宙科学研究所の麾下に入り、大介が地球を見限った際には真相を知るや彼に同伴するも、
地球を出ても20光年以内に人が住める星は存在しない」と彼を説得、結果的に大介が地球に帰還する切っ掛けを作った。
その後は彼らも再び地球に戻るも、最終的に大介がベガ星連合軍のスパイだという嫌疑をかけられた際に
彼の身の潔白を示すためにスカルムーン基地へと襲撃を仕掛け、返り討ちにされて全員戦死した。

なお、ジョンは大介らと合流した際に「やがて宇宙のあちらこちらから隠れた勇士たちが集まってくるはずです」と彼を励ましたが、
作中では結局……お察しください。

ちなみに彼らの名前は、SF作家のエドガー・ライス・バローズ並びにエドモンド・ハミルトン、
そしてバローズの著作『火星のプリンセス』の主人公が由来であり、桜多吾作氏のSFに対する造詣がうかがえる。


ミケーネ帝国


  • 闇の帝王
ミケーネ帝国の支配者。
かつて剣鉄也の捨て身の攻撃によりその戦力の多くを失い、本人曰く「一千年の喪」に服したとのことだが、
ベガ星連合軍という外宇宙からの脅威に対抗するために、宇宙科学研究所の面々にミケーネの科学力を提供するという名目で
自身らも大介達との共同戦線を持ちかけたが、その真意は鉄也の犠牲で壊滅状態に陥ったミケーネ帝国を立て直す時間の確保であり、
裏では大介らとベガ星人が双方五分五分で戦い疲れたところを一網打尽にしようと画策していた。

桜多版における闇の帝王の正体は、現在主流となっている精神生命体という設定とは異なり、
炎のような姿は遠隔操作されてる純粋エネルギーで、本体は培養液に浸された脳髄と心臓」という解釈が成されている。
ガンダルに正体を暴かれ、駆けつけてきた甲児と大介によって安全な場所へと移送されようとした……が、
甲児がうっかり培養ケースを落としてしまった事でケースが粉砕、そのまま死亡してしまうという情けない最期を迎えてしまった。

なお、実のところ甲児は父や鉄也、みさとの仇であるミケーネ帝国との共同戦線には難色を示しており、
闇の帝王の本体と対面した際にも明確に憎悪を募らせるほどだった。
故に、甲児自身も「手を滑らせた際に本当に殺意がなかったとは言い切れるだろうか」と、ミケーネ帝国壊滅後に複雑な想いを抱くことに……

彼の死に伴い、ベガ星連合軍の総攻撃を受けたミケーネ帝国は完全に瓦解、滅び去ることとなった。
つまり心境はどうあれ結果として、甲児は仲間たちの敵討ちに成功したことになる。

余談だが、ベガ星連合軍の攻撃で死亡した人々の衣服やその居住地の跡は、
戦闘獣を初めとした超兵器を生み出した文明とは思えない、古代ローマ時代そのままの様な粗末なものであった。
それを見た宇門博士達は、
文明全体で誤った方向に突き進んだ末路
間違った指導者を選んでしまった結果であり、ワシらもこんな末路を遂げない様にしないとな
と言っていたが、後に彼らを迎える結末を考えると皮肉としか言いようが無い。

  • 超人将軍ユリシーザー
ミケーネ帝国7大将軍の一人で、恐らくは地上侵攻軍唯一の生き残り。
ベガ星連合軍の侵攻を闇の帝王に報告するシーンでちょっとだけ登場したが、以降の出番はなし。
その後ミケーネ帝国が完膚なきまでに叩き潰されてしまったため、彼自身も恐らくは死亡したと思われる。

ちなみに前作『グレート』では、ラストでグレートマジンガーが特攻した場面にユリシーザーも立ち会っており、
順当に考えれば彼も地獄大元帥ら共々、グレートの自爆に巻き込まれているはずである。
もしかしたらユリシーザーに似ているだけのモブ戦闘獣という可能性もあるかも。


その他


  • 世界各国の代表
国会で宇門博士がベガ星連合軍の脅威を提唱したにもかかわらず、現状その攻撃目標が日本のみとなっている事から、
「日本だけ盗ったら静かになるのでは」と自国の安全ばかりを考えて楽観視していた日和見主義者たち。
実際のところ、ズリル長官はグレンダイザーを倒した後、情報網のあまり発達していない秘密主義の両国、
中国とソ連の国境辺りから本格的な侵略を開始するつもりであり、彼らもまたベガ星人を軽視したツケは、世界の運命をもって支払う羽目に……

  • シグマ
またの名をオリンポスのゼウス。
日本近海に眠っていた伝説のアトランティスに呼び寄せられたさやかの前に出現した、精神体のような存在で、
彼女にシグマ文明の全てを語った後、大魔神ラーガを操縦する選ばれた後継者として認めた。


用語


  • フリード星
大介達の故郷。
かつて、全宇宙の平和の監視のためにベガ星と二星間協定を結ぶも、それ自体がベガ大王の仕掛けた罠であり、
会談の席で国王夫妻は惨殺され、大介は命辛々グレンダイザーに守られ、遥か宇宙の彼方の地球へと落ちのびる。
侵略後のフリード星はベガ星人によって徹底的に蹂躙されたようで、僅かに生き延びた者たちに残された道は
スポーツハンティングの獲物、実験用のモルモット、女性ならばベガ星人の慰みものにされるなど、まさに地獄だった模様。
そりゃ国民を見捨てて逃げだした形になった大介は憎まれてもおかしくはない
ちなみに慰みものの一件は、イラスト付きで明確に描かれている(※児童誌です)。

  • 防衛隊
日本の平和を守る防衛隊。作中の台詞から自衛隊も存在しているらしいが、防衛軍とどういう違いがあるのかは不明。
ズリル率いる大戦力を迎え撃つに際して日本中から戦力がかき集められたが、ベガ星人の戦力には全く通用せず、
民間人の盾もあって完全に無力化されてしまう醜態をさらしてしまった。

  • 人面石
突如として太平洋の海底に出現した、巨大な人面を象った遺構。
出現地点から日本海溝を越えて、不審に思い攻撃を仕掛けてきたベガ星連合軍の戦力すらも蹴散らす迎撃能力を有している。
指輪に導かれたさやかを内部に収納し、大魔神ラーガが眠る海底遺跡へと彼女を送りだした。

  • シグマ文明
数十万年前に地球を中心に栄えていた古代文明であり、グレンダイザー並びにラーガを建造した大本。
地球・ミケーネ帝国・フリード星・ベガ星といった、桜多版マジンガーシリーズにこれまで登場した勢力に纏わる全ての文明は、
このシグマ文明が源流となっている事が終盤明かされた。その詳細は後述の最終章ネタバレを参照のこと。


登場メカ


暴走しまくるキャラクター達とは裏腹に、主人公機は概ねTVシリーズと同じ……と思っていたのか?
終盤、ベガ星連合軍の差し金があったとはいえ、地球人達が核戦争を始めて地球を盛大に荒廃させてしまった事で「本来の機能」が発動し……

  • 大魔神ラーガ
漫画版オリジナルのメカニックで、古代ミケーネ帝国……その源流となったシグマ文明が生み出した「地球版グレンダイザー」とも言える古代兵器。
グレンダイザーとは見た目も能力も酷似しており、カラー原稿が無いため色は不明だが、漫画では両腕両脚が黒色に模様が刻まれており、それ以外はトーンなしの白色で描かれている。
序盤からミケーネ帝国の壁画にその姿が描かれていたが、それを紹介した闇の帝王自身も戦闘兵器としてのラーガの実在を知っていたかは不明。
内蔵兵装としては額のランプ及び角から発射するビーム攻撃が作中で確認できるが、そんなものを使用せずともその戦闘能力は圧倒的で、
ズリル長官が総動員したベガ獣の大群を単機の徒手空拳のみで蹴散らすほどのポテンシャルを持っている。

物語終盤、指輪に導かれるかのように海底遺跡に訪れたさやかの呼びかけに応じ、彼女を操縦者として認め、遺跡の中から遂に復活を果たす。
以降はグレンダイザーと並ぶ戦力として、宇宙科学研究所の頼もしい味方になったかのように見えたが……

  • 円盤獣
お馴染み、ベガ星連合軍の初期主要戦力。
TVシリーズでは、ナイーダの口より洗脳されたフリード星人の脳髄が制御用の生体ユニットにされていたという
ショッキングな事実が語られ、グレンダイザー初戦の敵である円盤獣ギルギルも彼女の弟・シリウスの脳髄を搭載していたとされるが、
その後のエピソードで大介が円盤獣相手に躊躇している様子がなく、ほぼ投げ捨てられた設定となっていた。
(当のナイーダが洗脳されていたため、大介を動揺させるための嘘と看做すファンの見解も)

……が、TVシリーズの原案である当該エピソードを執筆した桜多吾作氏が、そんな生温いオチにするはずもなく、
漫画においては虚言などではなく「ガチ」であり、その後の戦いでも大介は円盤獣相手に躊躇するようになってしまい、
その結果、見かねた宇門博士が大暴走をやらかす遠因に繋がってしまう。

  • ベガ獣
ベガ大王とダントスの着任によってもたらされた、野生の生物をサイボーグ化したベガ星連合軍の新たなる戦力。
……が、ズリルとガンダルの策略によってグレンダイザーに敗退したり、ラーガの初陣のかませにされたりと良いところがない。

  • ミニフォー
ベガ兵の駆るベガ星連合軍のUFO型戦闘機で、実質本作における敵側の主戦力。
その物量で地上を容易く灰塵にする他、最終盤ではベガ大王の指示のもと、全世界の核ミサイルを爆破させるべく殺到した。
ぶっちゃけ、全編通して円盤獣やベガ獣よりも強敵感がある

  • 戦闘獣/無敵要塞デモニカ
ミケーネ帝国の戦力。
デモニカはミニフォー部隊を蹴散らす活躍を見せた一方、
(なお、全体的なフォルムはそのままだが、デザインが『グレートマジンガー』時とは明らかに変わっている)
戦闘獣は名称不明のものが3体登場するも、円盤獣に一蹴されてしまう。








追記・修正は、終盤の展開を読んで「甲児がマジンガーZに乗ってさえいれば……」と思わずにはいられなかった方がお願いします。

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最終更新:2024年04月07日 22:15

*1 実際、シリーズ黎明期のウィンキーソフト開発時代は、古い作品ほど資料不足で原作情報が思うように手に入らなかったらしく、サンワイド版の単行本の発売時期を考えても、スタッフが甲児のキャラ造形に際してTVシリーズではなく桜多吾作版『グレンダイザー』を参考にした……という可能性は十分考えられる。