単眼/一つ目

登録日:2018/01/18 Thu 19:58:00
更新日:2024/04/03 Wed 12:56:03
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単眼/一つ目とは読んで字のごとく目が一つしかないことである。
英語ではモノアイとも。
なお、本項目では生来所持する目が一つしかないケースのみを扱い、後天的に目が一つになるケース(隻眼/独眼)は扱わないものとする。



(<●>)概要及び現実における単眼

単眼は『目が一つしかない』という意味以外にも『節足動物の目の構造』という意味を持つ言葉でもある。
多くの昆虫に共通する複眼が目の集合体という構造なのに対して単眼は文字通りそれぞれが独立した一つの目として機能している。
視野は複眼に比べて狭いものの一つ一つが独立していることから複眼よりも情報の伝達が速いという長所がある。
節足動物では原始的な傾向にあるムカデやヤスデの目がそうだし蜘蛛の目も8つすべてが単眼である。

もっとも現在では生物学的な意味合いで使われることはあまりなく、文字通り目が一つしかないという意味で使われることが多い。
まあ、現実ではデフォで目が一つしかない生物はミジンコくらいのものであるが*1
ただ、それ以外の生物にも単眼症(サイクロピア)という奇形で稀に誕生する事がある…が興味本位で検索しないように。
※気分を害されても責任は負いかねるのでどうしても検索して見てみたいという場合は自己責任でお願いします。

また、HMD、すなわち「メガネ型ディスプレイ/端末」において、片目のみに装着するものは「単眼式HMD」と呼ばれている。
どういうものかわからない?要するに、ドラゴンボールのスカウターとかあんな奴のこと。


(<●>)伝承上における単眼

伝承上においてもそうした単眼の存在が確認されており、ギリシャ神話ではサイクロプス、日本では天目一箇神、一つ目小僧や傘お化けと意外といる。
特に天目一箇神とサイクロプスは鍛冶や製鉄との関りが深いとされており、一説には鍛冶屋が熱を測る際に片目を瞑っている様子や製鉄中に熱や火の粉によって片目を失った人が単眼という伝承の元になっているのではないかという。
また胎児のがうまく左右に分割されなかった場合、単眼で鼻になるべきものが1本角のように頭に生えた状態で死産となり、これが伝承元の物もあるかもしれない。

別の説だと、「一つ目巨人象の頭蓋骨」ともいわれる。
マンモスの頭蓋骨は、顔のど真ん中に大きな穴(本当は鼻腔)があり、しかも牙もある。
ちなみに本来の目玉の入る穴は小さくて目立たない。
その為、なにも知らずに古代象の頭骨を見た人が「目玉が一つしかない人食い巨人の頭蓋骨だ!」と勘違いしたとも考えられる。

ただし本来二つ備わってるものが一つしかないというのは魔物というイメージが強かったようで、
については先天的に単眼だった例は少なく、戦いなど後天的要因で片目を失った言わば「隻眼」である場合がほとんど。
その意味で三つ目等の多眼属性とは対を成すとも言えるが、魔物が多いのはそれ以上に気持ち悪いという印象が強いのも原因だろう。


(<●>)二次元における単眼

頭部の中央に大きな目がギョロりと覗く姿は確かに不気味であり、ロボットのそれのようなバイザー状のデザインでもない限り大概は怖い、気持ち悪いという印象が強かった…
のだが、近年ではなんと萌えキャラにこの属性が備わってる事も多く、それでも賛否両論こそあるがデフォルメされたキャラは
意外にかわいいという評価もされるようになっている。
また、目から光線等を発射する能力や超視覚・超眼力の類を持ってることやわかりやすいウィークポイントとして
その巨大な目が弱点であることが多いのも特徴と言えるだろうか。

ザク(SD系)や一つ目小僧のような妖怪のように「生まれながらの単眼種族」は二次元界隈に結構見られる。

後述のように怪人や怪獣などで恐ろしい存在の印象もあるが、近年は萌え要素としての扱いもよい。
モンスター娘のいる日常のマナコもそうだし、ヒトミ先生の保健室などでは主役である。
どちらも人間型の美少女として描かれている。


(<●>)代表的な一つ目のキャラ等

シドニアの騎士』の白羽衣つむぎは巨大な本体の端末的触手だが一つ目の顔があるという変則的なタイプ。
本体の方も片目があるのは確認できる。スタッフは小つむぎと呼んでいたらしい。
動く音も触手イメージにありがちなニュルニュルではなく、ビニール風船マスコットのような愛らしさ。声も洲崎綾

仮面ライダーゴースト』のユルセンはCV悠木碧幽霊っぽいマスコット。
人の生き死にとディストピア/ユートピアがテーマな、場合によると主人公のSAN値が飛んだりする重い・エグい場面もある作品においてコメディリリーフを演じてくれる。たまに狂言回しとして怖いけど。

三つ目萌えが『3×3EYES』のパイ以降大物の印象が余りない中、単眼萌えは最近結構隆盛なものである。


宇宙生物としては長谷川裕一漫画マップス』に出てくるガッハ・カラカラ(と彼の同種)は単眼の珪素生命体である。
名前の由来と思われる言葉から、呵々大笑で我が道を行かんとする商人の腹黒オヤジ。ツンデレはあるよ!


ちなみに上記のキャラたちは基本的に生来単眼だが、水木しげるのゲゲゲの鬼太郎シリーズで有名な目玉おやじは
「自身の死体(鬼太郎の片目ではない)の目に魂を移転した存在なので、生来の姿ではない。


なお伊達政宗は戦国ランス版では単眼妖怪として描かれており、隻眼ではなく単眼キャラである。

他にも敵キャラとしてドラクエのギガンテスなどや、『ロックマン』のイエローデビルなどの単眼巨人もいる。
こうした巨人タイプのものは、伝承の「一つ目巨人」に連なる伝統的描写なのかも知れない。

また星のカービィシリーズではワドルドゥクラッコダークマター族を始め一つ目の敵キャラが数多く登場している。
彼らは元のデザインの関係かやっぱりカワイイ枠に近い面もある。性能的にはガチでボスだったりもするが。

特撮ではガイガンガンQガテゾーンを始めロボットサイボーグ系、妖怪チックな存在に多く見られる。
タイタン(仮面ライダーストロンガー)は後に個数が変化している。


  • サイクロプス(ギリシャ神話)
ギリシャ神話に登場する一つ目の巨人であり、キング・オブ・モノアイであろう存在。
元々は神の血を引く由緒正しい存在なのだが一つ目という不気味な姿故に
今日では人を食らう魔物同然の存在として扱われることがほとんど。

日本の漫画・アニメ界における最古の一つ目キャラであろう目玉おやじ。
勘違いされることが多いが上記のように元々は鬼太郎の父親の眼球が変化したものであり、鬼太郎の片目から変化したわけではない。

同じくゲゲゲの鬼太郎に登場し、今日では「このロリコンどもめ!」のネタ画像で知られる妖怪。
その外見は枝のようなものが生えた真っ黒な球体に大きな一つ目というインパクトのある姿であり
その目を見たものは催眠術にかかってしまう。
水木以前に北川幸比古の書いた記事では複眼の塊のような姿で、
ビジュアル的な元ネタは印象派の画家ルドンの気球、或いは写真家内藤正敏の『新宿幻影・キメラ』と言われる。

ゴジラシリーズで有名なサイボーグ怪獣。
赤いサングラスのようなバイザーから単眼が覗くデザインだがサイボーグなので左程怖くはなく寧ろカッコいい。
昭和シリーズではその単眼からビームを発射する設定があるが未使用。

ウルトラマンガイア』に登場する巨大な目の奇獣で、一度みただけで忘れられないインパクトを誇る。
『ガイア』本編ではいくつかの形態が存在しているが、最もポピュラーなのは「No.01」と呼ばれる角と手足(こちらにも目玉状の意匠が見られる)の生えた姿。
シンプルな名前とデザイン故か子供からも人気が高いようで、平成ウルトラ怪獣の中では後年の作品への再登場が多い。
主役級のエピソードが用意されたこともある。

  • ビホルダー(ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)シリーズ)
世界初のRPGであり、後々のJRPGにも多大なる影響を与えた元祖TRPGに登場する一つ目の化け物。
2~3mほどの球体の身体に巨大な眼と口、そして頭の上に同じく単眼がついた触手が10本ほど生えている。
胴体の巨眼はあらゆる魔法を無力化する不可視の光線を放つ。*2
また触手の眼も石化、即死、分解などの非常に強力かつ厄介な魔法を放ってくる。*3
ちなみに、過去には日本の漫画やゲームにもほぼまんまの姿でビホルダーの名前で登場したりしていたが、D&Dの日本代理店の抗議により単行本やリメイクなどの際には名前や姿が変更されることがほとんどである。
詳しくは『鈴木土下座衛門』『ビホルダー問題』で検索。

完璧超人始祖の一人にして説明なしのデザイン変更にも関わらず直後に発した「私は変身などしなーい!!」や、
下等超人顔負けな「殺しに行こうぜー!!粛清だー!!」等のツッコミどころ満載のセリフで有名な超人。
デザイン変更前、後で姿は異なるが単眼という特徴は共通しており嘘偽りを見抜く特殊能力・真眼を持つ。

『モンスターファーム』シリーズの看板キャラ。
手足のない黄色く丸い体に大きな一つ目と口を持ち、尻尾で体を支えている。
まさに「目玉お化け」といった出で立ちであり、一見全然マスコットっぽくないのだが
随所に見られるコミカルさ故どこか憎めないところがあり、不思議な魅力を持つモンスター。
こう見えてテレポートやサイコキネシスのような超能力も使いこなせる。

看板キャラではないがシリーズ皆勤の敵モンスター。
目を光らせることで催眠術を掛けてシレンを操って勝手に行動させる。
「復活の草を飲まされた」は風来人ならば誰もが経験する洗礼であり、「持ち帰りの巻物を読まされて強制送還」などまさかのハプニングを引き起こす危険な敵である。
作品によっては異様に特技使用率が高かったり、対象が部屋全体に及んでいたり(通常は隣接時のみ)、シレンを操ってアイテムを投げる(装備品含む)という実質シハンの上位互換と化している凶悪な存在になっているケースもある。
一方で対策は割と容易で、素のステータスは高くないので能力を無効化するを入手すれば経験値が美味しい敵にもなる。
ゲイズを含んだ外見が一つ目のモンスター達に対して特効効果を持つ「一ツ目殺し」という武器も存在している。

さて、上で散々怖い・気持ち悪いという印象が強いと書いた単眼属性持ちだが
これに一石を投じ革命をもたらしたキャラの一つがマナコだろう。
例に漏れず顔のほぼ中央に大きな目があり他の単眼属性持ちと同じく気持ち悪いという声もある一方、性格が乙女な為可愛いという声もそれなりにあるのだ。

  • ヒトミ先生(ヒトミ先生の保健室)
上項目モンスター娘のいる日常と同じ、月刊コミックRyuに連載されているマンガ作品
「ヒトミ先生の保健室」のメインヒロイン。モン娘からさらに進んだ、単眼キャラにして揺るがしようの無いヒロインという怪物。
細い身体にドカンと飛び出す立派なバスト、明るい笑顔にどんな種族相手でも思いやりにあふれる応対を崩さない、まさに理想の「保健室の先生」。
そして顔輪郭の1/3を占めるでっかい単眼。単眼なせいで距離感が甘く、よく頭をぶつけている。名は体を表し過ぎだろ...。
このマンガ作品を長く読んでいると、単眼に違和感を感じなくなる。それくらいヤバイ養護教諭である。注意だ。


(<●>)その他有名な単眼キャラ一覧

(<●>)妖怪・モンスター


(<●>)怪人


(<●>)人型ロボット


(<●>)追記・修正お願いします。




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最終更新:2024年04月03日 12:56

*1 余談だが、ミジンコの眼球は複眼なため「複眼で単眼」ということになる。

*2 詠唱する魔法はもちろん、魔法剣や魔法のポーションもただの剣、ただの水にしてしまう。ただし、永続的な魔力をそれ自体が有しているもの(主にマジックアイテム)なら、視界から逃れれば魔力を取り戻す。

*3 なお、本体の巨眼の力は触手の魔法すら無効化してしまうため、触手が魔法を放つ際には胴体の眼は閉じられる。