機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン

登録日:2017/12/23 Sat 22:02:00
更新日:2024/03/20 Wed 20:21:48
所要時間:約 4 分で読めます






ぼくにはベルトーチカとお腹のなかの赤ちゃんがいる。

この違いは、絶対的な力だ


【概要】

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』とは、角川書店より出版された小説作品である。全1巻。
著者は映像作品の監督として、言わずと知れた富野由悠季氏。
2014年から2018年にかけて「ガンダムエース」誌において、さびしうろあき氏と柳瀬敬之氏による漫画版が連載されていた。全7巻。

富野監督が映画『逆襲のシャア』用に書き上げたシナリオの初稿として、主人公アムロ・レイが『Ζガンダム』に登場したベルトーチカ・イルマとの恋人関係を引き継ぎ、
ベルトーチカがお腹にアムロとの子を宿している…という設定を提示したが、スポンサーからの「結婚したアムロは見たくない」といった声を受けて没になり、
映画ではベルトーチカは登場せず、代わりにアムロの恋人としてチェーン・アギが新たに登場することになった。
そこでその初稿を、小説として復活させたのがこの『ベルトーチカ・チルドレン』である。

なお、富野氏の手による『逆襲のシャア』小説作品は本作以外にも、徳間書店の媒体で展開された『ハイ・ストリーマー』があり、
『ベルトーチカ・チルドレン』に比べて映像作品に忠実ながらも、本編では描き切れなかった前後の物語などに比重を置くなど、こちらもまた独自要素の強いノベライズとなっている。


【映像版との相違点】

νガンダムのデザインが異なる(表紙や挿絵ではいつものνガンダムが描かれているためややこしい)。
サザビーの代わりにナイチンゲールが、ヤクト・ドーガの代わりにサイコ・ドーガが登場する。
◆ナナイ・ミゲルがメスタ・メスア、ギュネイ・ガスがグラーブ・ガスという名前になっている*1
ブライトがヒゲを生やしている。
◆ロンド・ベルがサイコフレームを入手する経緯が異なる*2
◆ベルトーチカがνガンダムに乗って合流するため、アムロがベースジャバーでフォン・ブラウンに向かわず、ジェガンに乗ってレズンの部隊を迎撃している*3
クェスが宇宙空間に飛び出す時の姿が全裸
アクシズ破壊の方法が、核ミサイルと内部からの爆破の上に、νガンダムとラー・カイラムを接続してのハイパー・メガ・バズーカ・ランチャーによる砲撃が加わる。
◆アムロの苦戦。ジェガン搭乗でレズン相手に劣勢となり、シャアに魂を吸われたのかと自らに喝する、シャアに冷や汗の戦いしつつ撃墜される直撃弾を赤ちゃん(アムロとベルトーチカの胎児)のサイコパワーバリア発動によって難を逃れる(バリアがあるのかとシャアもびっくりだった)など。そのような助けも借りた上での辛勝であり、アムロ自身の衰えを示唆する描写も存在する(あくまで本作限定の話なので、他作のアムロを論じる時に混同しないように注意)。
◆シャアの最後の台詞がアムロへの恨み節ではなく、アクシズ落としの失敗により地球にいるはずのセイラを犠牲にせずに済んだ事を安堵するものになっている。

……等々、ベルトーチカに関する部分以外でも細かい違いは多数あるあとシャアがネオ・ジオンの皆さん全員からロリコンだと思われているという恐ろしい事実が明かされたりもするものの、最大の違いはクェスの死に方である。
本作ではハサウェイ自身が誤射によってクェスを殺めてしまい、そのことで精神を病んだまま大人になり『閃光のハサウェイ』へと繋がっていく。
つまり本作と小説版『閃ハサ』ではハサウェイは機体を勝手に利用した罪はあるが
それ以外では問題を起こしておらずむしろ敵の大型MAを落とした「功績」に免じて許された設定であり
しかも公的に軍事裁判でそう裁定されて公的記録に残っている。
逆にベルトーチカはこの展開によりクェスを殺めることは無かったため、チェーンとは違いハサウェイに殺されることなく生還する。
(そのため、クェスの死に方が異なる映画版は『閃ハサ』には繋がらない、というのがかつての見解であった。
 ただし、宇宙世紀年表においてマフティー動乱が記載されている場合は多く、
 小説版『UC』においても、ハサウェイが鬱病になっていたり植物学を志していることが語られているため、
 どちらの逆シャアからでも閃ハサには繋がり得る、というのが現在のサンライズの見解のようである)

とはいえ、小説版ガンダムとしては大筋の差異は少ない部類なので、映画を視聴していればスムーズに読み込めるであろう。


【外部作品での扱い】

この作品に登場するνガンダムは「Hi-νガンダム」と名を改めた上で、ナイチンゲールと共にそれぞれνガンダムとサザビーの発展型として
『CCA-MSV』に組み込まれることになった(詳細はHi-νの項目を参照)。
νガンダムとサザビーの後継機として、ゲームに登場した際は高性能に設定されている場合が多い。

また、サイコ・ドーガはCCA-MSVに同名の機体が存在するのだが、そちらはα・アジールの小型プロトタイプ的な機体であり、小説版の描写とは似ても似つかない。
昔のGジェネなどに出てくるのもα・アジール系のサイコ・ドーガのほうだった。
べルチル版のほうは現在では「サイコ・ギラ・ドーガ」と表記されるようになっているが、
そうすると今度は「ギラ・ドーガ サイコミュ試験型」などと存在が重複するためか、Hi-νやナイチンゲールと違いMSVには組み込まれていない模様。

ちなみに、(Hi-)νガンダムのハイパー・メガ・バズーカ・ランチャーは作中に挿絵が存在していなかったため、
各ゲームや漫画版それぞれによって独自のデザインがされている。


大筋の変更点が少ないことと、知名度が高いためか、ゲーム作品でも部分的に『べルチル』ネタが使われる場合が少なくなかった*4

かつてはHi-νやナイチンゲールは『CCA-MSV』としての参戦が多かったが、2010年代以降では『べルチル』名義で参戦する場合も増えてきている。
(『ガンダムVSシリーズ』や『X』以降のスーパーロボット大戦シリーズ等)


前述したように2014年から2018年にかけて本作のコミカライズ版が連載されていた。
MSのデザインもちゃんと最新のものに合わせられており(つまりνガンダムが映像版そのものだったりナイチンゲールがサザビーだったりしない)、安定している。
あまりに似合わなかったせいか、ブライトは途中で髭を剃った



私は心底、項目を追記・修正したいと欲望するのも、Wiki籠りだと信じているのだよ。

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最終更新:2024年03月20日 20:21

*1 名前の違いだけでキャラとしての違いはほぼ無い。

*2 映画ではシャアがデータをアナハイムに流出させたが、こちらではわざとグラーブにサイコ・ドーガを放棄させて脱出させ、それをロンド・ベルに回収させている。

*3 その際、一般兵用の機体はアムロ機と違ってモニターがCG補正されていることに言及されている。

*4 『スーパーロボット大戦64』ではブライトが「あの裏切り者の息の根は、俺達の手で止めなきゃな?」というべルチル由来の台詞を使っていたり、アクシズ破壊作戦において第二段階で外部からのビーム砲撃を用いる点もべルチルと共通している。『新ギレンの野望』のCCAシャア編では、フィフス・ルナにおいてギュネイ機を放棄させることで後のアムロの乗機がHi-νになる。