財前晃

登録日:2017/12/15 (金曜日) 01:26:40
更新日:2024/03/31 Sun 17:16:29
所要時間:約 7分で読めます






過去にとらわれ、瞬く間に流れゆく尊い時間を

今、君の目の前に流れている幸福を逃してはならない…!




財前晃は遊戯王VRAINSの登場人物の一人。
CVは山本匠馬氏が担当している。


▽目次

概要


本作の舞台となっているDenCityのもう一つの顔であるネットワーク世界「LINK VRAINS」(以降カナ表記)を運営する大企業「SOLテクノロジー社」に勤める青年。
メインヒロインであるブルーエンジェルこと財前葵の兄でもある。
本編開始時点では若くして*1セキュリティ部長の立場にあったが、現在は後述の理由から部下わずか1名のサーバー機器を管理する閑職に左遷されている。

基本的に物腰は柔らかく、頭も切れる人物。
しかし、葵がブルーエンジェルとして活動する真意を理解できなかったり、遊作とのデュエルの際には意図せずして彼と草薙の逆鱗に触れる発言をしてしまうなど、他人の考えを汲むことは少々不得手なようである。
ただ、その裏には「辛い時代に自身の支えとなってくれた葵に危険な目にあってほしくない」「葵と同年代であるPlaymakerに復讐者という暗い道を歩んでほしくない」という思いがある。
権謀術数渦巻くSOLテクノロジー社に勤めながらも、他人のことを思いやれる優しさと、自分が動けるのならすぐにでも行動する実行力を併せ持つ正義漢。
辛辣な人物評も目立つ遊作をして「いい人」と言わしめている。

良く言えば自分を顧みず他人のために親身になれる善人だが、悪く言えば必要以上に他人のことに踏み込んでくるお節介な人ともいえる人物である。


妹との関係

たった2人の兄妹。
兄の優しさは虚しく空回る。妹は仮初めの姿を装い、
LINK VRAINSの幻想に悲しみを押し込め
兄の温もりを追い求め続ける…。
(第6話の草薙ポエム次回予告より)

妹の葵とは義理の兄妹であり、血のつながりはない。
仲は悪くなく、むしろ晃も葵もお互いを大切に思っているのだが、それゆえに
葵は「多忙な兄に、もっと自分を見てもらいたい」という気持ちから、アイドル・ブルーエンジェルとして活動し、
晃は「辛い時代に自身の支えとなってくれた葵に危険な目にあってほしくない」という思いから、ブルーエンジェルとしての活動を止めようとする
という、すれ違い状態にあった。

傍から見ると葵への対応は過保護気味であるが、これは遊戯王における兄の逃れられない業だから兄妹の辛い過去に由来する。
自身が遊作と同い年の頃に両親が交通事故で2人とも亡くなるという悲劇に遭い、両親が遺した遺産も全て部外者たちによって奪われた結果、晃は16歳、葵に至っては6歳で世間に放り出される事となる。
晃は弱冠16歳でありながらクラッカー*2として生活費を稼ぎ、その合間にも勉学を積みSOLテクノロジー社へ就職。
血の滲むような努力の末セキュリティ部長の立場に上り詰めた。

彼の原動力は一貫して「葵を不幸な目に遭わせたくない」という思いであり、「彼女がいたからこそここまでやってこれた」と本人も述べている。
裏を返せば、葵のこととなると周りが見えなくなる悪癖とも言える。

劇中での活躍

第1話からSOLテクノロジー社の関係者として登場。5年前にハノイの騎士の襲撃によって失われたネットワークに恩恵をもたらす「サイバース世界」の鍵であるAiの探索及び捕獲を上層部から命じられており、リンクヴレインズ全域に大規模な捜索網を展開するがそれを逆手に取った遊作によってAiを先取りされてしまう。

その後は遊作からAiを奪還するために上層部が危険視していたスピードデュエルを規制せずにより普及させるよう進言し遊作が確実にリンクヴレインズにやってくるように図ったり、有力なデュエリストとしての腕を買い鬼塚に好待遇と引き換えに遊作を倒すよう取引を持ち掛ける、リンクヴレインズに精通しているエマに遊作の身辺調査を依頼するなど、用意周到且つ的確な判断で根回しをしていく。


しかし、彼の歯車はあることで僅かに狂うこととなる。


それは第7話「ハノイの天使」にて行われたPlaymakerVSブルーエンジェルのデュエルの終盤でブルーエンジェルがハノイの騎士によって仕込まれた電脳ウイルス入りのカードによって発狂に近い状態になってしまう。
明らかな異常事態にサーバー切断によるデュエル中断を行うも、ハノイによる妨害を受け中断は失敗に終わる。最終的にその局面はPlaymakerがエンコード・トーカーによる一撃で素早くデュエルを終了させたことで一応の解決には至った。

しかし、葵は発狂の末に昏睡状態へと陥っており医師でも治療法が現状では不明と宣告され途方にくれることになる。そこへ追い討ちをかけるように今回の事件で妹がハノイの騎士と接触していたことが(一部誤解があるとはいえ)上層部の知るところとなった事で、左遷の検討を告げられ進退窮まる状況へと陥いる。

そこで彼はセキュリティ部長の権限が生きている内に決着をつけようと左遷の件に一枚噛んでいるエマを利用してPlaymakerをリンクヴレインズに誘き寄せ、半ば拷問に近い形で葵の昏睡について聞き出そうとするも当然Playmakerは知るはずもなく、一方で晃は昏睡の原因はPlaymakerにあると思い込んでいるために話は平行線を辿る。

しかし、そこへ突如リボルバーが現れ昏睡の件は自分達が仕込んだウイルスによるものだと真実を明かし、Playmakerがデュエルに勝てば除去プログラムを渡すことを約束(脅迫)される。*3
要求を飲めば「ハノイの騎士に協力し、イグニス(Ai)獲得のチャンスを自ら手放す」事になり左遷されるのは確実だったが、妹の命には変えられずPlaymakerを解放すると共に非礼を詫び、全てを託した。
最終的にPlaymakerはリボルバーを下し、除去プログラムを手にして帰って来たことで葵は昏睡状態から回復し、目が覚めた時には涙ながらに喜んでいた。このことがきっかけでお互いのすれ違いは少しずつ埋まっていくこととなる。

同時にこのデュエルでのPlaymakerとリボルバーの会話から10年前のSOLテクノロジーの暗部を知ったことで上層部からセキュリティ部長の座を降ろされるもそのまま野放しにして余計なことをされると不味いと判断されたのか、クビにまでは至らず前述の通り以降はサーバー機器の管理職に就いている。

その後は、件の会話からSOLテクノロジーに懐疑心を持つようになり何とかして情報を掴み出そうと再びエマと水面下で計画を進める。
そして第16話にてPlaymakerを囮にする形でゴーストガールとともにSOLテクノロジーのアーカイブ野放しに最深部へと侵入を開始する。

Playmakerと途中参戦したブルーエンジェル*4によってセキュリティAIの注意が向いている間に最深部に辿り着きいち早く10年前のSOLテクノロジーについての情報を入手する。

時を同じくして、AIデュエリストを蹴散らしたplaymakerが最深部に到着し鉢合わせることとなってしまう。
ゴーストガールは身を隠してplaymakerをやり過ごそうとするも、どう言うわけか晃は身を隠すことなくそれどころか堂々とPlaymakerの前へと姿を現わす。

この展開には視聴者たちも驚き「何をする気だ?」と思っていた矢先にまさかの展開が起きる。





待っていたぞ…Playmaker!



なんとここに来て彼もデュエリストの1人であることが判明。彼らより遅れてやって来たPlaymakerの前に立ちはだかりデュエルディスクを構えたのである。
その真意は彼らが得た情報の中には幼い遊作が被害者となった事件「ロスト事件」の核心へと繋がる情報が含まれていたのだが、この情報を知ってしまえば遊作はもう後戻りが出来ないと考え、「復讐という道を諦め、葵と同じく1人の学生として生きて欲しい」という信念からPlaymakerの説得を試みる。

しかし当然遊作も、長い間探し求めた仇の情報を前に諦める程やわな信念を持ってはおらず、デュエルの勝敗によってどちらの信念を通すかを決めることとなる。

そして遂に披露した晃のデュエルは
  • 初手からモンスターを裏守備でセットし、裏守備モンスターがいる時特殊召喚できる「ティンダングル・ベース・ガードナー」で布陣を整える
  • 続くPlaymakerのターンではベースガードナーの効果で「ティンダングル・ハウンド」を呼び出し、そのモンスター効果と「ティンダングル」サポートカードによって盤面を制圧
  • Playmakerによってハウンドが倒されればハウンドの効果で、セットしていた「ティンダングル・エンジェル」をリバース。そのリバース効果によってハウンドを蘇生&バトルを強制終了
と、慎重かつ堅実で実に晃らしいものであった。(Aiも「見かけ通りお堅そうなデュエル」「珍しいし面白い」と評している。)

その後も再度遊作を説得しようとするも、それがかえってPlaymakerの逆鱗に触れてしまうこととなってしまう。説得はもはや通じない事を悟り、力づくでPlaymakerを止める覚悟を決めてデュエルを再開する。

蘇生したハウンドを反転召喚し、再び盤面制圧を図るが、対するplaymakerは切り札であるファイアウォール・ドラゴンを呼び出し、更には魔法カードでハウンドとエンジェルを同時に破壊。
守りが無くなったところへデコード・トーカーのダイレクトアタックを受けるも、晃も負けじと罠カード「ティンダングル・ドロネー」でデコード・トーカーを破壊する*5
同時に切り札である「ティンダングル・アキュート・ケルベロス」をリンク召喚。
サポートカードとアキュート・ケルベロスの能力によってPlaymakerを防戦一方に追い込み、最終的にはフィールド魔法も加えて攻撃封じの布陣を作る。


財前。これは正義を貫くためのデュエルだ。


そうだ。分かっている! だからこそ私は勝たなければならないのだ。
今こそ必ずこの事件の闇を暴き、その責任を取らせてみせる!


いいや、お前は何も分かっていない。


!?


正義を貫くデュエルだからこそ、勝つのは俺だということだ!


何!?


俺は自分の正義以外は何も信用しない!!


しかし、追いつめられながらも先を見据えていたPlaymakerの方が一手先を行っており攻撃封じとアキュート・ケルベロスの効果も失われた結果晃はPlaymakerに敗北することとなった。

約束通りPlaymakerはSOLテクノロジーのアーカイブからデータを入手し晃に対して「この件から手を引き、自分には関わるな(意訳)」と述べ立ち去って行った。

自分は何もできなかったのかと落ち込む晃だったが、一部始終を見ていたブルーエンジェルから気持ちはしっかりと伝わっていたと励まされ彼の復讐を止めることは誰にもできないのだろうと悟り、去り行くPlaymakerの背中を見送るように見つめていた。

結果的にこのデュエルは晃の「遊作に復讐をやめさせ、代わりに自分が闇を背負い仇を取る」という信念と遊作の「この復讐は自分自身の問題であり、無関係の人を巻き込みたくはない」という信念のぶつかり合いとなっており、シリーズでも稀有な「善意と善意のぶつかり合い」の構図となっており、晃がデュエルをする予想外の展開、一進一退の攻防戦、遊作のみならず主要人物達の暗い過去、財前兄妹の溝の消滅などいくつもの重要な要素が含まれておりある種のターニングポイントとなっている。
そのためこのデュエルをリボルバー戦に次ぐベストバウトと呼ぶ人は多い。

遊作とのデュエル以降はSOLテクノロジー社の社員としての描写が多く、大きな活躍はないもののアナザー事件が頻発し始めたときは自分から会社に出向き少しでも事件の終息に勤めたり、ブルーエンジェルVSバイラのデュエルでのブルーエンジェルの活躍によって多くの人々が救われ、アナザー事件が沈静化へと大きく向かったときには彼女の活躍を褒めたたえる。
アナザー事件終息後も社内の動向からリンクヴレインズの僅かな異変を感じ取り、エマにリンクヴレインズの調査を依頼するなど以前の様に切れ者として裏方の活躍をしている。

使用デッキ

リバースモンスターを展開の主軸とした【ティンダングル】デッキを使用する。
エースカードはリンク3の「ティンダングル・アキュート・ケルベロス」。



余談

  • 晃のCVを担当している山本匠馬氏は、アニメ第4作目の遊戯王ZEXALにてVを演じていた。
    晃は「VR(ヴァーチャル・リアリティ)」の管理を担当している事に加え、Vも晃も弟・妹から「兄様」と呼ばれている事から、視聴者からはVR兄様と呼ばれている。
    • Vは登場から20話以上にわたって全くデュエルしなかった(その理由説明は「まだ私が動くときではない」の一言のみ)ため、視聴者からさんざんニートとしてネタにされたキャラクターであった。
      しかし晃は多忙な人物であるため「前世のツケが晃に回ってきている」だの「転生してV兄様がようやく働きだした」だのと言われ、左遷されると「VR兄様がV兄様にランクダウンする」と言われたりと、彼の忙しさをVと比較するネタが常態化している。
      今後も彼が出世したり降格したりするたびにRがついたり取れたりすることだろう。





私は、ティンダングル・アキュート・冥殿の効果を発動!

墓地にある追記・修正それぞれ1体につき攻撃力をアップする!

行くぞ、Playmaker!バトルだ!アキュート・マス・編集!



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最終更新:2024年03月31日 17:16

*1 作中のセリフや描写から26歳と推測されている

*2 よからぬ事をするハッカー

*3 このシーンは「リボルバーが直々に主人公の冤罪を晴らしに来てくれた。」とネタにされることがある。

*4 この時の葵は退院して日が浅いためか外出を禁じられていたため当然ながらリンクヴレインズのログインも許されていなかったが、彼女も囮に利用しようとエマが独断で誘い出した

*5 奇しくもこのシチュエーションはブルーエンジェル戦の時と同じでデコード・トーカーはバトルフェイズ中発動した罠カードによって破壊されている。偶然であるのだが、謎の縁を感じるものとなっている。