猗窩座(鬼滅の刃)

登録日:2017/12/05 Tue 22:04:00
更新日:2024/04/10 Wed 14:54:54
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U.F.O. お前も鬼にならないか? スカウト スカウトマン パワハラ被害者 パワーファイター レベルを上げて物理で殴ればいい 上参 上弦 上弦の参 修羅 偏食 元人間 入墨 勧誘マン 十二鬼月 名シーン製造機 名勝負製造機 名場面製造機 名悪役 哀しき悪役 壮絶な過去持ち 寿退社 幽鬼 弱肉強食 強者 役立たずの狛犬 悪役 悲しい過去 悲しき鬼 悲劇の人生 悲劇の男 惨めで滑稽でつまらない話 戦闘狂 抜け殻 拳士 拳鬼 涙腺崩壊 漢字読めない 特製!節分仕様!?猗窩座お面 狛治 猗窩座 猗窩座殿 生き恥 石田彰 破壊殺 社畜 結構重い過去持ち 美形悪役 至高の領域 花火 語録しか喋らない男 赤髪 重ねた罪にも抱擁を 饒舌 鬼滅の刃



今まで殺してきた柱たちに炎はいなかったな そして俺の誘いに頷く者もなかった

なぜだろうな?同じく武の道を極める者として理解しかねる 選ばれた者しか鬼にはなれないというのに

素晴らしき才能を持つ者が醜く衰えてゆく

俺はつらい

耐えられない 死んでくれ杏寿郎 若く強いまま


猗窩座(あかざ)とは『鬼滅の刃』の登場人物の一人である。






◆プロフィール

身長:173cm
体重:74kg
猗窩座としての趣味:鍛錬
狛治としての趣味:庭の手入れ、錦鯉の世話(慶蔵と恋雪が可愛がっていた。)、絵を描く(恋雪が喜ぶので)

声:石田彰

◆概要

鬼舞辻無惨直属の精鋭集団「十二鬼月」の上位階級『上弦の参』を預かる

作中で初めて登場した上弦の鬼であり、無惨から直々に特別な任務を与えられているため行動範囲が非常に広い。
また、報告に馳せ参じるために人間に擬態する無惨の潜む住処の場所を知るなどこれまでの鬼とは別格の扱いを見せる。
なお、経歴的には十二鬼月創設のきっかけになった鬼でもあるので、十二鬼月における最古参にも位置する。

無限列車での下弦の壱・魘夢との戦闘に勝利した竈門炭治郎達の前に突如として登場、夜明けが迫る中で『炎柱』煉獄杏寿郎と激闘を繰り広げた。

ちなみに名前の発音は「あ↓か↓ざ↑」ではなく「あ↑か↓ざ↓」。「土下座」ではなく「バナナ」もしくは「オペラ」と同じアクセント。

◆外見

見た目は細身で筋肉質な赤髪の青年。
服装は上は素肌に直接袖無し羽織、下は踝までのズボンに素足という軽装。
顔や腕など全身のあちこちに藍色のタトゥーの様な紋様が浮かんでおり、手足の指先は同じく藍色に染まっている。
また、薄い青色に染まり罅割れの様な模様が描かれた眼に数字が刻まれた黄色の瞳を持つ。

◆人格

一人称は(おれ)
若く強い肉体のまま何百年も鍛錬し続けられる鬼という種族を賛美しており、純粋な強さと武の極みを求めて『至高の領域』に到達することを望む生粋の戦闘狂。
一般的な鬼が人間を自らの餌や愉悦の対象としか見ていない場合が殆どであるのに対し、柱の様に高い実力を兼ね備えた人間に対しては心からの敬意を払い笑顔で賞賛を送るなど、鬼とは思えない友好的な素振りを見せる。
ただし、自分が弱者と見定めた者は「虫唾が走る」露骨に忌み嫌って見下しており、唾を吐きかけ侮辱することすら当たり前のように考え、「弱者が淘汰されることは自然の摂理」と断言。
また、どれだけ強い者でも年を重ねれば老いて弱体化していく人間という種そのものも「人間は鬼には決して勝てない」と見下しており、総じて鬼らしく残忍で傲慢な性格の持ち主でもある。

この独特の価値観から「己と同じ境地に至った仲間と永遠に戦い続け研鑽を積みたい*1という強い願望を持ち、強者と認めた相手を同じ鬼になるよう積極的に勧誘する。
そして断られた場合には「老いて醜く弱っていくのは悲しいので、いっそ若く強いまま死んでほしい(意訳)」として、自身の成長の糧とするべく戦闘を仕掛け、容赦無く殺害するという姿勢をとっている*2

また、猗窩座の中ではあくまで戦って生き残った者が勝者、死んだ者が敗者と「互いの生死」が勝利における判断基準。
予想外の事態により己の命が危険に晒されれば、戦闘の決着の仕方は問わずそれまでの執着など露知らずといった体で撤退を選択するといった生き汚さを見せている。
ただし、相手が正面から純粋に己を上回った場合には自身の敗北を素直に認めるだけの度量はあり、戦闘中想定外の事態が発生した場合も武術家としてその事実を素直に受け入れた上で対処に臨むなど単純な小物というわけでもない。

なお、鬼という種族としては珍しく陽気で饒舌な姿を見せたが、これはあくまで自身が認めた強者と相対した際にのみ現れる態度。
無惨に対しては静かに平伏するのみで特に敬意も憎悪もないらしい。他の上弦の前では常に口数が少なく苛つきを抱えている。
特に童磨とは相性最悪であり、事あるごとに彼の頭部を粉砕するほど毛嫌いしている。
ただし、本人曰く「俺は喋ることが好きだ」とのことなので、無限城で口数が少なかったのは単純に同僚が嫌いだったからという可能性が高い。
……まあ実際にお喋りをして楽しいと思える様な面子ではないだろうが。

他にも人間時代の影響なのか「例え鬼殺隊であっても女性を喰えず、それどころか殺せない」という一面を持つ。
この性質は無惨も知ってはいたが、無惨にとってお気に入りの部類に収まっていた猗窩座に対しては特別扱いだったため、何度か嫌味を言ったものの強制はしなかったらしい。もしくは強制してもできなかったのか……






◆戦闘能力

基本的に血鬼術の特殊性頼りの傾向にあったそれまでの鬼達とは異なり、戦闘スタイルは己の武術を術で強化した「破壊殺」による搦め手無しの正面からの肉弾戦。
「武の道を極める」と豪語するだけあって武術家としての実力は非常に高く、柱でも上位の実力者だったと思われる煉獄や痣を発現させた『水柱』冨岡義勇の攻撃すらも僅かな時間で適応し、圧倒した。
義勇からは「戦うこと以外全てを捨てた男」として畏怖されており、純粋に闘争を楽しむ姿はまさに文字通りの修羅
ただし、強者への執着が強いあまり勧誘相手との戦闘を楽しみすぎて隙ができる悪癖もある。
ファンブックによると、人を食う時間より鍛錬の時間の方が長いとのこと。

さらに恐るべきは、下弦はおろか上弦の中でも一線を画する理不尽なまでの超高速再生能力。
腕を斬り落とされようと半身を袈裟斬りにされようと基本たった1コマや数コマ程度で完全再生するその再生力は鬼の中でも群を抜く。
猗窩座にして見れば、人間にとっては命に関わる重傷であっても瞬きする間に治るかすり傷程度の認識でしかなく、この驚異的な生命力が猗窩座が人間を見下し蔑む最大の要因の一つとなっている。

催眠や血を混ぜた切符など搦め手・策略を武器とする魘夢が敗れた直後に
シンプルにフィジカル・再生能力を武器に一行を圧倒する姿は下弦と上弦の格の違いを表現しているといえる。

実は猗窩座がその真価を発揮するのは短期決戦よりも長期戦
格下の弱者は瞬殺されてしまうが、仮に強者であっても
  • 上記の超高速再生
  • 更にそれにより肉体的疲労も負ったそばから回復していくが故の無尽蔵のスタミナ
  • 正確で強い攻撃に対して同じく正確で鋭い攻撃を返す技量
  • 一対多でも問題としない“羅針”による鉄壁の防御
  • 時間が経つ事に相手の全ての攻撃に適応し、技の先読みすら可能とする格闘センス
が合わさることで戦いが問答無用で泥沼化していくためにやがて敵対者はジリ貧に追い込まれ、敗北してしまう。
すなわち鬼という種族の特性をフル活用した戦い方を可能とする鍛え抜かれた格闘技術が猗窩座最大の武器。

なお、頚への斬撃は確実に防いでいるため、半天狗妓夫太郎の様な特殊なギミックは無い様子。

破壊殺(はかいさつ)

血鬼術と人間時代に習得した格闘術素流(そりゅう)の技を組み合わせた猗窩座独自の格闘術。
「闘気*4を感知して動きを読み取る血鬼術と数百年掛けて鍛え抜いた武術の粋によって、相手の隙を突く正確無比な攻撃や背後や死角からの奇襲への対応を可能とする。
血鬼術自体はあくまで補助であり、攻撃手段は徒手空拳による純粋な打撃のみであるが、その一撃は直撃すれば致命傷になりうる程の衝撃波を発生させ、打撃は容易く肉を抉り骨を粉砕する
物理法則を捻じ曲げ、空間や精神にすら干渉することもある鬼としては極めて単純だが、武術家として高い技量を誇る猗窩座の強みを最大限に活かした戦術とも言える。

技の名称は「破壊殺・〇〇」。技名の元ネタは全て花火の種類から付けられている。
破壊殺とは風水における凶方位の一つで「あらゆる予定が破壊されるが死にはしない」というもの。言い換えるなら「自分の命は残るがそれ以外の全てを失う」とも言える。



◆活躍

無限列車編


素晴らしい提案をしよう
お前も鬼にならないか?

無惨の命令である「青い彼岸花」捜索の過程で、鬼殺隊抹殺の命を受けたことで、魘夢討伐の喜びに浸る炭治郎及び煉獄の元に何の前触れもなく出現。
「話の邪魔になりそう」というだけの理由で真っ先に手負いの炭治郎を殺害しようとするが、煉獄により阻まれる。
すると自分の腕を斬り裂いた煉獄の練り上げられた闘気と高い力量を賞賛、人間の限界と鬼の生命力を語り自身と同種の鬼になるよう勧誘するが、煉獄は「老いも死も人間という儚い生き物の美しさであり、だからこそ愛おしく尊い」と即座に申し出を拒絶、そのまま戦闘に突入する。

炭治郎や駆け付けた伊之助の目では追いきれない速度で激しい技の応酬を繰り広げるが、それまでの鬼とは一線を画する力量と再生能により次第に煉獄は劣勢に立たされていく。
さらに煉獄の渾身の奥義を正面から迎え撃って致命傷を負わせ、奥義による損傷すらも一瞬で再生・完全回復するという、生物種としての理不尽すぎる格の違いを見せつける。
そしてなおも煉獄を鬼にしようと詰め寄るが、猗窩座の「選ばれし強き者」という言葉に亡き母を思い出し奮起した煉獄により貫通した腕を利用して動きを封じられ、頚に刃を叩き込まれてしまう。
さらに夜明けとともに陽光が射し始め、その時点で今までの余裕は完全に喪失。
一刻も早く撤退するため必死の形相で抵抗を見せ、頚を半ば断たれた状態で抑えられた両腕を引き千切り辛くも脱出。
瞬時に肉体を再生させると、これまでの戦いなどどうでもいいとばかりに煉獄に目もくれず陽光を避けて林に逃げ込んでいく。

この行動に炭治郎の怒りと悔しさは頂点に達し、愛刀を投擲して逃げる猗窩座の胸に命中させ「逃げるな卑怯者!!逃げるなァ!!!」と罵倒。
猗窩座は遥かに格下であり彼にとって雑草にも等しい弱者である炭治郎の発言に青筋を立ててガチギレする。

ビキ

(何を言ってるんだあのガキは 脳味噌が頭に詰まってないのか?)

(俺は鬼殺隊(おまえら)から逃げてるんじゃない 太陽から逃げてるんだ)

(それにもう勝負はついてるだろうが アイツは間もなく力尽きて死ぬ!!)

と心の中で激昂しながらも陽の光の下にいる炭治郎達の元に戻ることはなく、戦場からフェードアウトした。

その後、無惨への報告のため彼が子供に化けて隠れ潜む邸宅に姿を見せると、求めていた青い彼岸花の存在や情報を得ることはできなかったことを伝え、その上で鬼殺隊の要である柱を殺したことを報告するが…

で?

無惨様の御期待に応えられるようこれからも尽力致します
ご命令通り柱の一人は始末して参りましたので御安心くださいますよう…

お前は何か思い違いをしているようだな 猗窩座

たかが柱……それを始末したから何だと言うのか?鬼が人間に勝つのは当然のことだろう

私の望みは鬼殺隊の殲滅
一人残らず叩き殺して私の視界に入らせないこと
複雑なことではないはずだ
それなのに未だ叶わぬ… どういうことなんだ?
お前は得意気に柱を殺したと報告するが あの場にはまだ三人の鬼狩りがいた
なぜ始末して来なかった?わざわざ近くにいたお前を向かわせたのに…


猗窩座 猗窩座


猗窩座!!


お前には失望した
まさか柱でもない剣士から一撃を受けるとは "上弦の参"も墜ちたものだな

下がれ

パワハラ叱責を喰らってしまう。*5
結果として自身のプライドをズタズタにされた猗窩座は先刻まで己の胸を貫いていた炭治郎の日輪刀を見て激怒。

貴様の顔…!!覚えたぞ小僧

次に遭った時はお前の脳髄をぶちまけてやる!!!


日輪刀を粉々に砕くと憤怒の表情で炭治郎への報復を誓うのであった。


遊郭編


無惨様がお前に何か命じたか?
失せろ

妓夫太郎の死亡によって急遽召集がかけられ、鳴女によってパワハラ空間異空間無限城に強制転移させられる。
なお、以前にも同様の理由で呼ばれたことがあるようで、この空間に呼ばれた時点で上弦の鬼が敗死したことを即座に悟っている。

無限城に到着すると再会早々にこちらを煽る玉壺を無視、鳴女に“上弦の壱”の所在を尋ねるが、そこへ童磨も登場。
ウザ絡みに顎を粉砕する形で応えるもヘラヘラと笑う童磨に青筋を立てるが、そこへ最初からその場にいた“上弦の壱”黒死牟の言葉とともに無惨が姿を現わす。

113年ぶりの上弦の敗北と数百年かけても産屋敷一族の殲滅および青い彼岸花を発見が叶わない現状に対する無惨からのパワハラ叱責を静かに享受。
無惨が去った後は指令を無視して玉壺に迫る童磨の頭部を粉砕する…が、その瞬間にそれを良しとしない黒死牟に腕を斬り落とされてしまう。
黒死牟は従属関係における序列の重要性を説き、見下されるのが気に入らなければ私闘ではなく「入れ替わりの血戦」を申し込めと諭すように告げる。
それに対し猗窩座は「猗窩座殿では我らに勝てまい」とケラケラと煽る童磨を無視し

猗窩座 私の…言いたいことは…わかったか…

わかった 俺は必ずお前を殺す

と真っ向から宣戦布告。
しかし、「そうか…励む…ことだ…」と言い残して去った黒死牟に対し複雑な表情を見せており、何かしら思うところがある模様。
その後、なおも話しかけてくる童磨を相手にせず、鳴女の琵琶の音色が鳴るのも待たずに自ら無限城から姿を消した。


無限城決戦編

久しいなァ

よく生きていたものだ お前のような弱者が

無惨討伐を目指して無限城を進む炭治郎と義勇の前に遥か上層から拳による一撃で床と天井をぶち抜き、城全体を揺るがす衝撃と轟音とともに登場。
怨敵である炭治郎の存在を目に捉えると怒りのままに攻撃を仕掛けるが、上弦との激戦と柱稽古を経て大きく成長した炭治郎に腕を斬り落とされ、さらに顔面に一太刀浴びせられてしまう。
弱者として認識していた炭治郎の思わぬ反撃に虚を突かれた表情を見せる猗窩座だったが…

“この少年は弱くない侮辱するな”
杏寿郎の言葉は正しかったと認めよう お前は確かに弱くなかった 敬意を表する

先程までの怒りは何処へやら、炭治郎の成長と実力を認めると静かに微笑みすら浮かべて構えをとり、己の血鬼術を発動する。

術式展開

さあ始めようか 宴の時間だ

本格的な戦闘が始まり義勇も参戦するが、義勇と炭治郎の二人を同時に相手しながらも猗窩座は余裕の態度で優勢に勝負を展開。
己の価値観を真っ向から否定する炭治郎に何者かの幻影を見るも、それを振り払って炭治郎を追い詰めていく。
さらに“痣”を発現させて技の速度と威力が増した義勇にも次第に順応していき、その斬撃に同等かそれ以上の一撃を返すことで徐々に圧倒していく。
そしてとうとう振り下ろす刀を横から殴り折り、返す拳で義勇の鳩尾を貫いたと思われたが…

ボトッ

命をすり減らす激闘の中で「透き通る世界」に至った炭治郎に腕を斬り落とされ失敗。
今までとは全く別物となった炭治郎の気配に危険を悟った猗窩座は終式・青銀乱残光を繰り出し周囲を一掃する。
凪により何とか致命傷を避けた義勇を賞賛し鬼へと勧誘するが、炭治郎もまた傷を負いながらも生きていた。
必殺の一撃を凌いだ炭治郎に驚きつつも羅針に集中しその動きを見極めんとするが…

…何だ? 何だこの奇妙な気配は
何か別の生き物になったようだ コイツ

闘気が消えた 闘気がない!!

闘気を消した炭治郎に動揺しつつもすぐさま切り替えて拳撃を放つ猗窩座。
しかし、透き通る世界によりその一撃を読み切っていた炭治郎のヒノカミ神楽・斜陽転身によりとうとう頚を切断され、激闘も遂に決着かと思われた。

だが猗窩座は炭治郎が己が望んでいた『至高の領域=無我の境地』に到達したことを悟り、純粋な強さへの執念によりまさかの覚醒。
頭部は塵となって崩壊しながらも頚から下の身体は活動を再開、炭治郎を気絶させトドメを刺さんとするが、義勇に阻まれる。
既に限界ながらも立ち塞がる義勇に再び何者かの幻影を見る猗窩座。さらにその手を引く見知らぬ女性の影が…

もうやめにしましょう
どうしてですか?どうして強くなりたいのですか?

それは
強くなければ持って帰って来られないからだ(・・・・・・・・・・・・・・)
親父に 薬を

病の末に己のせいで自殺した父親、師範の慶蔵、そして婚約者の恋雪ーーー頚を再生させながら次第に人間時代の記憶を取り戻していく猗窩座。
しかし、それは鬼となった今では何の意味も無いくだらない記憶だった。
猗窩座は頭部を半ばまで再生させ八つ当たりの形で義勇に襲いかかるが、目を覚ました炭治郎が拳を振るう。
それは刀を握る握力もない貧弱な一撃でしかなかったが、その拳に猗窩座は慶蔵の言葉を思い出す。

生まれ変われ少年

弱い奴が嫌いだ 弱い奴は
正々堂々やり合わず井戸に毒を入れる
醜い 弱い奴は

辛抱が足りない すぐ自暴自棄になる “守る拳”で人を殺した
師範の大切な素流を血塗れにし 親父の遺言も守れない

そうだ俺が殺したかったのは

全てを思い出した猗窩座は技を放つ刹那、炭治郎に静かに感謝の笑みを浮かべると、滅式を己自身に喰らわせる。
それでも肉体は再び再生を始めるが、猗窩座の意識は自身の敗北を認めて地獄を望み、この世とあの世の狭間で父親と慶蔵に再会。
人間の姿に戻り、己の不出来を二人に謝罪するが、次の瞬間に慶蔵の姿は無惨の姿へと変貌、「強くなるのではなかったのか」と問われると再び鬼の姿へと戻りかけるが…

狛治さんありがとう もう充分です
もういいの もういいのよ

猗窩座!!

ごめん ごめん 守れなくてごめん
大事な時に側にいなくてごめん

約束を何一つ守れなかった…!!
許してくれ 俺を許してくれ 頼む 許してくれ…!!

私たちのことを思い出してくれて良かった
元の狛治さんに戻ってくれて良かった…

おかえりなさい あなた…

最愛の女性の言葉に無惨の呪縛を振りほどくと、自身の感情を吐露しながら“狛治”は恋雪を抱き締める。
そしてまるで誰かを抱擁するような姿勢の“猗窩座”の肉体もまた再生を止め、呆気にとられる炭治郎と義勇の前で崩壊。
狛治の魂もまた恋雪や二人の父親と業火に呑まれ何処かへと消えていくのだった。

ただいま親父 戻ったよ

師範 恋雪さん
ただいま




◆余談

主人公である炭治郎が慕う煉獄の仇であり因縁の宿敵である猗窩座だが、当初はどちらかというと敵キャラというよりはネタキャラとしての人気の方が目立っていた。
というのも煉獄との激闘以降は
  • 任務報告の際に最高幹部の一角とは思えない厳しいパワハラを喰らう
  • 人間の強者には親しげに距離を詰めて勧誘してくるのに無限城では仏頂面
  • 他の上弦に碌な奴がおらず同僚と上司に恵まれない中間管理職的な悲哀が感じられる
  • 2018年の2月3日の節分の日に公式Twitterで猗窩座の顔を使った節分用なりきりお面を配布する
といったように些かシリアスな笑いを提供する場面が多かったからだと思われる。


  • かつて黒死牟に血戦を挑んだことがあるらしい。
    結果は敗北したようだが、血戦を挑まれたことが嬉しかった黒死牟は彼を食べなかったらしく、その後も上弦会議のセリフから察するに同じ武人として期待されて目をかけられていたようである。
    過去に黒死牟に血戦を挑んだ鬼は他にも2人いたようだが、彼等は皆食べられたようなので猗窩座の鬼としてのポテンシャルにも期待していたのかもしれない。

  • 鬼は自分より序列が下の鬼達には無惨の許可制であるが視覚共有とテレパシーが可能とのこと。
    しかし、「上弦の弐」となった童磨があまりにもウザ絡みをしてきたため、無惨に対して苦情を入れたことが語られた。無惨に対してひたすら従順で淡々と仕事をこなす猗窩座が文句を言ったのは後にも先にもこの時だけだったらしい。

  • なお猗窩座自身の無惨に対する感情は「完全なる無」。ただ単に「自分に命令する者」という認識だけであり、そこには忠誠心はおろか尊敬も畏怖も憎悪すらもなかった。
    実際本編でも説教という名のパワハラを受けた時も、癇癪寸前のパワハラを上弦全員が受けた時もただ黙っていただけだった。無惨からの命令がない時にはただひたすら鍛錬ばかりしていた模様。
    相対すれば思考が読める無惨も猗窩座のそのような思考が読めたはずだが、恐らくどんなに無茶ぶりしても文句も不満も何も思わずに従う彼を便利ツールか何か程度の存在とみなしてこき使って重宝していた可能性がある。*6

  • 鬼は例外なく地獄に堕ちるため地獄に堕ちた猗窩座だったが、ファンブック2にて恋雪も共に地獄に堕ちていたことが判明。*7
    数百年経っても狛治に戻るのを待ち続けた彼女なら、自分だけ天国に行き狛治と離れ離れになるよりは、狛治と共にいられる地獄を選ぶのは当然ではある。

  • キメツ学園」では割と酷いことになっていることが多い十二鬼月の中でも幼馴染で幼い時に結婚を約束し親公認・道場を継ぐことが確定・学生結婚しているという幸せぶり。
    あまりの幸せぶりとベストカップルぶりから姫と狛治殿と呼ばれている模様。
    この本編の救われなさを綺麗に晴らす救われぶりから読者からも祝福の声が相次いだ。

  • 2021年秋に実施された日清「鬼滅の刃」コラボでは、猗窩座パッケージの「日清焼そばU.F.O.」が発売。「練り上げられている至高の領域に近い!」というキャッチコピーと共に「お前もU.F.O.を食べないか?」と言わんばかりに両手を出す猗窩座にはシリアスな笑いを感じざるを得ない。ちなみに翌年の日清「鬼滅の刃」コラボでは、堕姫パッケージの「日清焼そばU.F.O.」が発売された。

  • 日本の女子プロレスにおいて、坂崎ユカ(東京女子プロレス)となつぽい(STARDOM)が冠先割(と同フォームの変形トラース・キック)を得意技として使用している。



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最終更新:2024年04月10日 14:54

*1 不老不死である鬼同士の戦いは基本的に決着がつかないため

*2 なお勧誘に乗った者はいたようだが、全員死んだとの事

*3 事件の内容が余りにも凄惨であった事と、凶器が「ただの素手」と言う荒唐無稽な内容から、奉行所は30年程後にこの記録を捏造と断定し焼却処分している。

*4 赤子から大人まで全ての人間が発してるらしいが詳細は不明

*5 とはいえ、「鬼殺隊を殲滅しろ」「特に耳飾りの鬼狩り(炭治郎)は絶対に殺せ」と命じられていたにもかかわらず、杏寿郎一人にかかずらっている間に夜明けが来て失敗してしまったのは事実なので、その点では猗窩座にも非があると言えなくもない。

*6 「無」という点では童磨と同じだが、彼と違って「強くなる」という向上心があるのがその違いだろう

*7 本編では共に地獄に堕ちたかどうかまでは不明だった