ゴルゴン(ギリシャ神話)

登録日:2017/12/05 Tue 14:31:55
更新日:2024/04/09 Tue 11:00:12
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ゴルゴン(ゴーゴン Gorgon)とは、以下のいずれかを示す名称である。

  1. ギリシャ神話に登場する妖女の三姉妹、ステンノーエウリュアレーメデューサのこと。
  2. ロールプレイングゲームに登場する巨大な牡牛の姿の怪物のこと。


【概要】

ゴルゴン(Gorgon*1)とは、ギリシャ語で「恐ろしいもの」を意味する言葉である。

ギリシャ神話におけるゴルゴンは、神の罰を受けて怪物に変えられた三姉妹のことを指す。
彼女らは恐ろしげな見た目と、視線で人を石と変える恐るべき能力を持っていたという。

RPGにおけるゴルゴンは硬質な皮膚に翼を持つ牡牛のような姿をしており、
こちらもまた視線あるいは吐息でもって相手を石化することができる。

どちらも大変強力かつ敵対的な存在で、ゲームなどでは極めて危険な魔物として出現することが多い。

【妖女ゴルゴン】

ギリシャ神話のゴルゴンとは、


長姉ステンノー(Sthenno 強き女*2)
次姉エウリュアレー(Euryale 遠く飛ぶ女*3
末妹メデューサ(Medusa 支配する女 *4


の三姉妹を指す。

○特徴など

●外見について

ゴルゴン三姉妹は、みな同じ外見と能力を有している。
外見の最大の特徴と言えばそのだろう。
彼女の頭髪はその一本一本が、鎌首をもたげてうねる毒蛇なのだ。

またその顔は非常に醜いとされ、目は飛び出ており宝石のようにぎらぎらと輝いている。
口からはイノシシのような歯と牙が生え、長い舌がのびているという。
さらに青銅の腕*5と黄金の翼を持つ。

また彫刻や絵画などによっては、胴体がイノシシであったり
下半身がケンタウロスのような馬のものであったりする。
ただ一般的には首から下は人のものであることが多い。

●能力について

彼女たち三姉妹を象徴する能力はその視線にある。
彼女らのかがやく瞳を見たものは、たちまちその体がと化してしまうのだ。
これについてより古い伝承では「恐怖のため石のように凍りつく」とされている。

また彼女らは黄金の翼で自由に空を飛びまわることができる。
さらに不死の能力までもそなえていたという。

ただし末妹のメデューサだけは不死ではなく、そのためにペルセウスに討たれてしまった。


●血縁について

ゴルゴン三姉妹は海の神ポルキュスとその妻ケートーの間の娘たちである。
ポルキュスは大地母神ガイアの息子なので、彼女らはガイアの孫ということになる。*6
また彼女ら三姉妹の妹として、さらに三姉妹の老婆グライアイがいる。

そしてメデューサは海神ポセイドンの愛人でもあった。
メデューサはその死と同時に、ポセイドンとの息子である巨人クリュサオルペガサスを産みだした。

クリュサオルはさらにオケアノスの娘カリロエとの間にゲーリュオンエキドナをもうけた。
つまりメデューサはふたりの祖母ということになる。
さらにエキドナはヒュドラやキマイラケルベロスなど数多くの有名な怪物を産み落とした。
メデューサはギリシャ神話、さらには現代までつながる数多くのモンスターたちの祖なのである。

また子供と言えるかどうかは微妙だが、彼女の生首から滴り落ちた血からは赤いサンゴや、毒蛇やサソリなどの毒を持つ生き物が生じたという。

●棲み処について

彼女らの棲み処はオケアノス *7 の流れの中とも、
ヘスペリデスの庭園*8に近い世界の西の果てとも言われている。

けれど彼女らはその翼で四方に飛びまわり里や街を襲うため、その居場所をつかむのが難しい。
それを唯一把握できていたのが、彼女らの妹たちであるグライアイだったとされる。

○伝承について

彼女らの伝承についてはいくつかのパターンがあるが、おおよその共通点としては
アテナの怒りにふれペルセウスに退治されるというものである。

●怪物となるまで

ゴルゴン三姉妹はいずれの伝承でも、もともとは美しい少女たちであったとされている。
なかでもメデューサはうるわしい髪を持った美少女であったという。

その美しさは海神ポセイドンの目にとまり、彼女はポセイドンの寵愛を受けた。
ポセイドンは正妻アムピトリテの目を盗むため、あろうことか処女神アテナの神殿でちちくりあってしまう。

これがアムピトリテとアテナの知るところとなり、2人の怒りを受けたメデューサはその美しい髪を毒蛇に変えられ、醜い魔物とされてしまった。
さらに妹を魔物に変えられたことに抗議した姉達も、同じ姿の怪物にされてしまったのだという。


また別の伝承としては、美しい髪の持ち主であったメデューサが


「私の髪は、女神アテナのものよりも美しい」


とアテナ神を侮辱するような発言をしてしまったため彼女の怒りにふれて、
自慢の髪を蛇に変えられ魔物へと落とされてしまったというものもある。*9


●ペルセウスとの対決

  • 発端

    大神ゼウスとアルゴス王の娘ダナエの間に生まれた勇者ペルセウスは、母とともにセリフォス島で暮らしていた。
    しかしセリフォス島の領主ポリデクテスはダナエーに懸想し、邪魔な息子を除くためペルセウスにゴルゴン姉妹の末妹メデューサの討伐を命じた。

    またポリデクテス王から進物として馬一頭を持参するようにと言われたペルセウスが
    貧しさのために馬を用意できず「馬以外のものならなんでも用意します」と言ってしまったせいで、
    あるいは「馬でなければメデューサの首だろうと進呈します」と大言壮語を吐いたせいで、
    メデューサ退治をさせられるはめになったという伝承もある。

  • 神々の助力

    恐るべき魔物であるゴルゴンを討つことになったペルセウス。
    その彼の前に、戦いの女神アテナが現れる。
    メデューサを忌み嫌う彼女はペルセウスの力となるため神々に助力を仰いだのだ。

    アテナの呼びかけに答え、ヘルメスが彼の鎌刀*10をペルセウスに与えた。
    さらに翼の生えたサンダル*11、そしてハデスから借り受けた隠れ身の兜*12もさずけた。*13

    そしてアテナ本人もペルセウスに*14を与え、彼をみちびき加護を与えるため同行したのである。

    また、この時、ペルセウスが頼ったのはゼウスとテミスの次女である正義の女神ディケー、別名星乙女アストライアで、彼女が異母妹のアテナに助力を求めるよう仲介したと言う説も有る。神罰の正式な執行役で地上に最後まで常駐していた女神であるも、人間同士の争い事には否定的で、権力の乱用や私物化にも厳しい上に、正義の天秤で慎重に罪を見極める彼女がメドゥーサ討伐に協力したとすると、最初はポセイドンとの浮気やアテナの嫉妬レベルの騒動だったものの、怪物にされた後のメドゥーサの暴走は慎重派のディケーですら座視出来なくなっていた可能性が高い。

  • 老婆グライアイ

    アテナに導かれ旅立ったペルセウスだが、メデューサの居場所は女神アテナさえ知らなかった。
    そのためペルセウスはメデューサの、そして彼女を討つための道具を持つ精霊(ニンフ)の居場所を知っているというグライアイを訪ねることとなった。
    グライアイ(Graiae *15)はゴルゴン三姉妹の妹であり、


    ペンブレードー(Pemphrēdō 警告*16
    エニューオー(Enȳō 恐怖 *17 )
    ディノー(Deinō 危惧*18

    の三姉妹であった。


    三人は目も歯もない奇怪な風貌の老婆で、たった一つの目玉と一本の歯を奪い合って暮らしていた。
    三人のもとを訪れたペルセウスは彼女らの目玉と歯を奪い取り、メデューサとニンフの居場所を教えるよう迫った。
    グライアイたちからメデューサとニンフの居場所を聞き出したペルセウスは、
    メデューサにそのことを伝えられないように彼女らの目と歯を湖にほうり投げてしまった。

    そしてグライアイの話通りに冥界の入り口を訪れたペルセウスは、冥府の河ステュクスのほとりにいたニンフから
    メデューサの毒と視線を封じる魔法の袋キビシスを受け取る。*19
    こうして必要なものを揃えたペルセウスは、メデューサの居場所へと向かっていったのである。

  • 決戦と最期

    メデューサの居場所をつきとめたペルセウスは一路その地、ヒュペルボレオス人の国*20へと向かう。
    グライアイらの言葉通り、そこにはメデューサがいて猛威を振るっていた。
    ペルセウスはメデューサが眠るのを待ち、鏡に映ったメデューサの姿を見ても石にならない事を利用し、
    青銅の盾に映る姿を覗きながら近づき、その首を掻き切った*21

    ペルセウスはすぐさまその首をキビシスに詰めこんだが、まだ気を抜くことができない。
    首をはねたときに飛び散った血から巨人クリュサオルと天馬ペガサスが生まれたからだ。
    彼らは生まれるやいなやメデューサの姉らを呼びに行った。
    彼らもまたメデューサの姉らと同様不死であることをアテナから聞かされたペルセウスは、
    翼のサンダルとハデスの兜を用いて彼らから命からがら逃げのびたのである。

●生首となった後

ペルセウスに討たれ首だけとなったメデューサ。
しかし姉らの不死の血を受け継いだ彼女の首は、いまだその力を失ってはいなかった。

キビシスに詰めこまれたメデューサの首はペルセウスを害することはできなかったが、
その首から流れ袋からしみ出し滴り落ちた血はリビュア*22の砂漠に落ち、その地に多数の毒蛇を生じさせた。
そして海に落ちた血は、海底で赤いサンゴとなったという。

さらにその魔眼の力もいまだ健在であった。 その力は天を支える大巨人アトラスを*23
囚われの王女アンドロメダを喰らおうとしていた巨大な海獣(ケートゥス)(cetus)らをことごとくに変えた。

さらにメデューサの首は、アンドロメダの本来の婚約者であり彼女とペルセウスの婚礼を阻止するべく
なだれこんできたピネウスをその手勢ごとにし
ペルセウスの母と養父ディクテュスが逃れた神殿を包囲していたポリデクテス王とその軍勢を
セリポス島ごとに変えてしまった。*24

こうして恐るべき力をしめしたメデューサの首は、その加護への感謝の意をこめてペルセウスから女神アテナに捧げられた。
アテナは己の盾アイギスにメデューサの首を埋めこみ、最強の盾としたのだという。*25

メデューサの首から滴る血も小瓶に貯められてアテナに献上された。
切断された首の左側から落ちた血は人を殺す猛毒で、右側から落ちた血は人を蘇らせる霊薬であった。
アテナが右側の血をアポロンの子アスクレピオス*26に授けたことで、彼は死者をも蘇生させる名医となったという。

【牛の魔物ゴーゴン】

ゴルゴンという名は上記したゴルゴン三姉妹が有名だが、近代のロールプレイングゲームなどでは同名の、まったく別の怪物が登場している。
そのゴルゴン(ゴーゴン)は硬質の体を持った牛の怪物として描写されている。

○特徴など

牡牛の姿のゴーゴンは、妖女のゴルゴンのように皮あるいは黄金製の翼を持っている。
体は硬質の皮膚・金属のような鱗で覆われており防御力が高い。

無論、牛と同等以上のパワーとスピードがあり、その大きく硬い体による突撃は脅威。
しかし、何より恐ろしいのはその特殊能力。
ゴーゴンは口から炎・高熱のガスを吹きだしてくる。
そして同名の妖女と同じように、敵を石化させる能力も持っているのだ。

石化させる手段はやはりその視線、あるいは口から吐きだすガスによるもの。
特に危険なのはガスの方だろう。
視線であれば神話通り鏡を使う手があるが、石化ガスではそれも通じない。
攻撃範囲も広いため、状況次第ではひと吹きでパーティが全滅することもあり非常に危険。

○出自について

上記のような牡牛の怪物ゴルゴンは、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』やアバロンヒル社のボードゲーム『タイタンの掟』、『ウィザードリィ』シリーズなどに登場している。
ただ、神話・伝承などではこれと同じ名前で同じ姿のモンスターはいない。

しかし、モチーフとなったと思われるものはやはりギリシャ伝承関連で存在する。
そのうちのひとつがカトブレパス(catoblepas)と呼ばれる魔物だ。

カトブレパスはギリシャ語で「うつむくもの」「下を向くもの」を意味する。
アフリカに生息するこの怪物は、牛あるいは羊のような姿をしており、頭部が非常に大きく重い。
そのため名前通り常に下を向いており、誰とも目を合わせようとしない。
さらにその眼は厚い瞼もしくはたてがみで覆われていて、普段はその様子をうかがい知ることはできない。
しかし、ひとたびその眼を覗きこんでしまった者はたちどころに死に至るのだという。

上記のようなカトブレパスはプリニウスの「博物誌」などで紹介されている。
しかしアテナイオスの「食卓の賢人」では、これと同じ外見・特徴を持ったリビアの生き物が「ゴルゴン」と呼ばれていたという記述がある。
ゴルゴン三姉妹から名付けられたのか、単に「恐ろしいもの」であったからそう呼ばれていたのかは定かではないが、
このゴルゴンは視線だけでなく息にも人を殺す力があったとされており、恐らくはこれが直接の原型になったのではないかと思われる。

ただカトブレパスは非常に鈍重な獣で、さらにその体はぐにゃぐにゃとした柔らかい質感で描写されることが多い。
炎を吐いたりもしないため、上記のゴルゴンとはかなりかけ離れた形態である。

これらの特徴については、バビロニア神話のフンババ・クサリクの要素が含まれているものと思われる。
この魔物らはどちらも「ギルガメシュ叙事詩」に登場し、ギルガメシュに退治された。
フンババは神々の森の守護者で、全身を硬く鋭い鱗に覆われ頭には牛の角が生えていた。
ゴルゴン三姉妹らと同じように視線で人を殺すことができ、さらに口からは炎を吐くこともできたらしい。
そのためにゴルゴンとしばしば対比され、ゴルゴンと同じように装飾品として用いられている。

そしてクサリクは女神イシュタルからギルガメシュへと遣わされた有翼の牡牛である。
これらの怪物が組み合わされて誕生したのが、牛の魔物ゴルゴンではないだろうか。

【解説】

起源と神話について

ギリシャ神話では妖女とされるゴルゴンだが、元来は女神であったというのが定説である。
古代ギリシャ人がギリシャに入植する以前からの先住民族たちに信仰されていた女神で、同じくこの地に根付いていた神であったポセイドンの妻。
それがメデューサ本来の姿なのだ。

後にギリシャ人がこの地を支配すると、ポセイドンは彼らの神としてオリュンポス十二神の中に組み入れられた。
しかしそのポセイドンでさえ、ギリシャ都市国家の象徴であるアテナ相手には幾度も苦杯を飲まされてしまっている。
ましてその妻のメデューサがどのような扱いをうけたかは、推して知るべしだろう。
彼女は神性を剥奪されてただの怪物となり、あげくに殺されてしまったのだ。


・・・と言いたいところだが、実際のところゴルゴンはけして死んでもいないし力を失ってもいない。
メデューサこそ退治されたが二人の姉はいまだ健在、しかも「不死」なのでけしていなくなることはない。
そしてメデューサも、むしろ首を落とされてしまってからのほうが活躍している。
彼女の首はペルセウスの敵をことごとく打ち倒し、そして女神アテナとひとつになったのだから。


何故にかは定かではないが、メデューサはギリシャ人たちには決して受け入れられる存在ではなかったのだろう。
しかし、その力を無視も軽視もできる存在ではなかったのではないだろうか。

ゴルゴン三姉妹のうち、長姉のステンノーの名は「強き力」を意味する。
次姉のエウリュアレー「広くさまようもの」「遠くまで飛ぶもの」
すなわち「広範囲に影響力を持つ」「遠くまで力が及ぶ」ことの暗示ともとれる。
そして末妹メデューサの名が意味するところは「支配」
これらを組み合わせると・・・



強い力(ステンノー)広い領域(エウリュアレー)を持った支配者(メデューサ)たる恐るべき女神(ゴルゴン)は、

その領域はそのままに支配権を奪われた」



・・・という寓意が読み取れるようで、面白い。


○ギリシャの蛇の女神たちについて私見

ギリシャ神話で「零落して蛇の魔物になった女神」というと、ゴルゴンらのほかに忘れてはならないものが二人いる。


ひとりはスキタイの女神だったといわれるエキドナ
もうひとりは同じくスキタイ、あるいはリビアの女神とされるラミアである。


彼女らは「魔物と化した蛇女神」であるというほかにも共通点がある。
それはポセイドンとの関係が深いということ。
メデューサはポセイドンの情婦であり、エキドナはその孫。
そしてラミアもまたポセイドン直系の血縁である。

またメデューサの血はラミアの出身地であるリビアに毒蛇を生みだした。
メデューサはアテナと対立して討たれ彼女の盾とされてしまったが、
プラトンによるとラミアとアテナの起源は同一のものであるという。
そして英雄ヘラクレスと子をなしスキタイ人の祖となったのはエキドナであるともラミアであるとも言われている。
アテナもまた「輝く瞳を持つ者」と呼ばれ、へパイストスとの間に半人半蛇の子を産んだ。

出自も性質も違う彼女らだが、アテナも含めた四人のあいだには
様々なエピソードが蛇のように絡み合って結びついている。


彼女らがもともと同一、あるいは類似の存在であったかどうかは定かではない。
だが、古代の地母神たちにはいくつかの共通項があった。

地母神は古代において、無数の生命が生じ死者が還っていく大地の母性の象徴であった。
人々は彼女らのために死と誕生をあらわす性愛の儀式を執り行っていた。
そうして命と死をつかさどることで権力を得て、それをもって人々の支配者となった神だったのである。

かつて、黒海から地中海にかけて広く信仰された古き女神がいた。
強い力で広い領域を支配していた彼女は、新しき神々に負けてその身を三つに引き裂かれた。




その母性(エキドナ)となり*27、人を喰らって魔物を産み落とした。

への渇望淫奔(ラミア)*28となって、人々の夢に潜み血と精をすするようになった。

そしてその権力支配者(メデューサ)になり、新しき神々に力を奪われたのだ。




・・・以上は私見であり妄想である。
ただ確かなことは、彼女らはいまだ健在であるということだろう。
エキドナは百眼の巨人アルゴスに殺されたとされるが、不死であるという説もある。
ラミアは無数の夢魔と同一となり、その一族は連綿と人の夢の中で生きながらえてきた。
そしてゴルゴンは不死であるふたりの姉が生き続けており、
アテナとひとつになったメデューサもその瞳を今なお輝かせ続けている。

何より彼女らはこの現代社会で活躍の場を神話から美術、文学、そして映像へと移し、
遂には電子の海にたどりついて、今なお古き女神の系譜を伝えて続けているのである。





【創作におけるゴルゴン】

妖女ゴルゴンは誕生してから現代に至るまで、数々の創作の題材となってきた。
その扱いは、まず第一には恐怖の対象としてである。
うごめく蛇髪にきらめく邪眼は、本能に根差した生理的な恐怖・嫌悪感を人に与えてきた。
創作・現実、生物・無生物問わず「多数のゆらめく触手(のようなもの)を持つもの」にはゴルゴン・メデューサの名が与えられている。

そして副次的には怒れる女性の象徴・男性が女性に抱く恐怖の象徴でもあったろう。
うねり逆立つ髪、人を射すくめるきらぎらしい瞳はまさしく女性の怒れるさまそのものである。
かの精神医学者フロイトによると、血を滴らせるメデューサの生首は「毛にまみれた女陰」「去勢」を象徴するものらしい。

あと忘れてはならないのは、彼女の悲劇的な側面である。
もともと美しかった姉妹たちが神の怒りを受けて醜い怪物と化し英雄に殺されるという伝承は、人々の心に強く印象を残したのだろう。
しかしそれよりもなによりも創作文化のゴルゴンに求められたのは、彼女への恐怖の源泉でもある絶大な力だろう。
彼女を倒すには、神話を代表するような偉大な英雄が神々の惜しみない助力を受けてなお、命がけで挑まなくてはならなかった。
しかも死してなおその力は失われず、巨人や怪物、軍勢までもをことごとく石と凍りつかせてみせた。

美と醜、力と恐怖、活劇と悲劇。
さまざまな要素を秘めた彼女は女神アテナや英雄ペルセウスの付属品としてのみならず、単体でも多くの作品の題材となっていったのだ。


○古代~近世のゴルゴン

古代からゴルゴンは美術、装飾のモチーフとして扱われていた。
代表的なのは「ゴルゴネイオン」と呼ばれる、斬り落とされたメデューサの首の意匠だろう。
その恐ろしげな表情と妖しい視線を放つ瞳は力の象徴として扱われ、
アテナのそれと同じように胸当てや盾などにメデューサの首があしらわれた。

またその視線は悪しきものを追い払うとも考えられた。
なので建物に彼女の彫刻や壁画が鬼瓦のように飾られたり*29、彼女の姿が陶器やコインなどの表面に描かれたりした。
トルコなどでは邪悪な視線から守ってくれる目玉を模したガラス玉のお守りがあるが、これは彼女の目をあしらったともいわれている。

中世においてはその造形美がより取り上げられるようになり、数多くの芸術家たちがメデューサを題材とした。
一番有名なのはルーベンスの絵画「メデューサの頭部」だろう。

○近代・現代のゴルゴン

近現代に入り、微生物や古代のもの含め多くの生物が発見されて分類された。
そして動植物とわず「長くゆらめく多数の触手をもつもの」の多くに「ゴルゴン」「メデューサ」の名がつけられた。
それがどんな生き物であろうと多数の触手をうごめかせていれば、毒蛇の髪をうねらせるあの姿を想いおこさせずにはいられない。
彼女らの姿はそれほどまでに世界中の人々の心に強く深く刻まれていたのである。

その姿をちょっと連想させるというだけの生き物でさえ、ことごとく彼女らに結びつけられていったのだ。
まして彼女ら自身が現実世界で生きて動くさまを見せつけられたときの人々の衝撃は、いかばかりのものであったろうか。

近代に入り社会や技術の進歩などによって様々な創作文化が成立していったが、
ゴルゴンという存在にとってもっとも大きかったのが「映像」表現の確立だったろう。
無数のうねる毒蛇の髪、じわじわ石となっていく哀れな犠牲者。
映像として再現されたこれらは、それまでの時代ものとは次元の違うおぞましさを見る者たちに与えたのだ。

さらに特殊撮影(SFX)、モデルアニメ、セルアニメ、3DCGといった新たな技術が生まれるたび、
その技術を得た創作者たちは競うようにメデューサの造形に取り組んでいった。
非常に複雑な造形をもつメデューサは、彼らにとって挑み、乗り越えるべき存在だったのである。

そして進化し続けたその姿は更なるインパクトを人々に与えた。
旧来からの絵画による表現もコミック・ゲーム文化に継承され、
彼女の悲劇的な側面やその内面についても深い考察がなされていった。
そしてゴルゴンは単なる魔物以上の存在として創作文化に定着したのだ。

それがただの絵や動画にすぎなくとも無数の蛇の下で輝く瞳を前にすれば、
一瞬であっても心の奥底が石と凍りつかずにはいられないだろう。
そのあまりの見た目での分かり易さ、存在感の大きさから、
「怪物」が登場する作品にはことごとく彼女が出ていると言っても過言ではない。
彼女は非常に多くの作品に出演し、その多くで重要な役どころを務めている。

代表的なものを挙げるなら心ならずも人を殺める悲しき妖女を描いたイギリス映画「妖女ゴーゴン」。
ハリウッド映画「タイタンの戦い」で登場する、名匠ハリーハウゼンに命を吹きこまれたメデューサ。
日本代表としては漫画「ピグマリオ」に登場するメデューサが挙げられる。

●妖女ゴーゴン

ホラー映画のパイオニア・ハマーフィルム社による1963年の作品。
死体が石と化しているという奇怪な事件を追う大学教授が、自身もまた怪物の餌食となり石となって死亡した。

その息子ポールが父の遺志を引き継ぎ、医学博士マナロフの助力を得て怪物を探す。
そしてついには妖女メゲーラに遭遇するが、あまりの恐怖のため昏倒してしまう。

倒れたポールをかいがいしく看病するマナロフ博士の助手カーラ。
ふたりの間にはいつしか愛が育まれていった。
しかし長年ともにあったマナロフ博士のもとを離れられない彼女。
ポールはカーラをこの危険な村から連れ出したいと苦悶する。

そこに訪れたのがポールの師マイスター教授。
教授は豊富な知識と優れた洞察力、そして強い意志の力でもって怪物の存在に迫る。
そしてついにふたりは、恐るべき妖女メゲーラと対峙する・・・

物語のカギを握るマナロフ博士を演じたのはピーター・カッシング。
ヒロインのカーラにはバーバラ・シェリー。
そしてメゲーラと対決するマイスター教授にクリストファー・リー。
当時のハマー映画の花形スターらが勢ぞろいしたこの作品に登場したことによりゴルゴンは、
世界三大怪物と言われる吸血鬼ドラキュラ、狼男、フランケンシュタインの怪物
そしてそれに並ぶミイラ男や半魚人と同等のあらゆるモンスターの代表格として現代創作文化に定着したのである。
今でもこれら世界を代表するモンスターらが共演する作品には、彼女ももれなく登場している。

●タイタンの戦い

「タイタンの戦い」は1981年のアメリカ映画で、ペルセウスの神話を題材にした冒険活劇である。
この作品はかの特撮技術の父リー・ハリーハウゼンの最後の作品として知られ、
全編通して彼が手掛けた怪物たちがところせましと画面の中を暴れまわる。
ハリーハウゼンは関節つきの骨格を持つ人形を実際の俳優を撮影した映像に合わせてコマ撮りし合成するという
「ダイナメーション」のオーソリティとして知られている。
この技術により命を吹きこまれたメデューサは中盤の強敵としてペルセウスの前に立ちふさがり、観客たちの度肝を抜いた。

なおこの作品でのメデューサは下半身が蛇という形態で、
これがおそらく半人半蛇のメデューサの元祖だろう。
この作品は現代における魔物としてのメデューサ像を確立させたのだ。
後のリメイク版ではCG技術を駆使し、おぞましさのなかに妖艶さを秘めた迫力あるメデューサを復活させている。

●ピグマリオ

日本の創作文化における「メデューサ」を代表する存在を挙げるとするならば、
選ばれるのは「スケバン刑事」で有名な和田慎二の代表作「ピグマリオ」に登場するメデューサだろう。

悪神エルゾの娘メデューサにより母を石と変えられた主人公クルトは、母を救うためにメデューサに挑む旅に出る。
その長く苦しい旅路の中で多くの人に出会い数々の出来事を経て少年クルトは成長し、
味方が傷つき倒れていく中、1人メデューサに立ち向かう。

クルトの母ガラティアの仇であるメデューサはガラティアと表裏一体の存在でもあり、
クルトに対して愛憎入り混じった複雑な感情を抱いている。
そして強大な存在として恐れられる彼女だが、自身もまたさらに巨大で邪悪な存在の支配下にあった。
彼女はクルトが成長し自分のもとに迫るにつれて、大きな力と揺れ動く感情のはざまで苦悩していく。

この作品のメデューサは明確に愛や憎しみ、そして母性といった人の心を持つ女性として描かれており、
「人としてのゴルゴン」を代表する存在だと言っても過言ではないだろう。


○ファンタジー作品におけるゴルゴン

ファンタジー作品における「ゴルゴン」は、固有名詞ではなく一種族の呼称となっていることが多い。

妖女であるゴルゴン族は、蛇の頭髪を持つ見眼麗しい人間の女性というシンプルな形態が一般的。
また前述のタイタンの戦いの影響で、下半身が蛇という描写がなされることもある。
神話のように翼があったり体の一部が金属や野獣であったりといったことはあまりない。
また特にモンスターとして出てくる場合はゴルゴネイオンからの着想か、首だけになって飛びまわるものもいる。

牛の魔物としてのゴルゴンは先述の通り。彼らはもともと現代ゲーム文化の発祥である。
ただどちらのゴルゴンも、敵であればもちろん味方であった時さえも危険な存在であることがほとんど。


●モンスターとしてのゴルゴン

牛であれ妖女であれ、敵としてのゴルゴンは例外なく強敵である。
どちらの種にも共通の石化攻撃が何より恐ろしいのだ。
ほとんどの作品において石化は防止・治療手段が無ければ即死に等しい重篤な状態異常なので、
それを扱えるというだけでも十分すぎるほど強い。

さらに妖女のゴルゴンなら頭の蛇も当然毒牙をひらめかせて噛みつきにくる。
彼女らには人間以上の知能と腕力があるため、武器や魔法、罠に策略も駆使してくる。
牛のゴルゴンは剣も通らない硬質の巨体と怪力、そしてその大きさに見合わぬ機動力を持ち
角を構えて突進してこられたなら人間どころか城であっても耐えられない。
しかも炎や高熱ガスを噴き出してくるので、こちらが大人数であっても一瞬で壊滅させられかねない。
石化を防ぐことができたとしても、なお彼ら彼女らは容易ならざる敵なのだ。

なのでゴルゴンはどの作品でも、ほぼ中盤以降の強敵として出現する。
ボス級の扱いを受けていることも多い。

亜人種としてのゴルゴン

亜人種としてのゴルゴンは言うまでも無く妖女としてのゴルゴンであるが、
「世界中に広く繁栄して人類と共存し交流している」という扱いはあまり無い。
ひとにらみで人を石と化し、頭からは牙をむき出す毒蛇を生やしたゴルゴンは
見た目の奇怪さ以上にそこにいるだけで危険な存在。
「亜人」とされるモンスターたちの中でも、ぎりぎり亜人種に入れるかどうかという魔物だろう。

あとは作画が面倒という事情もあると思われる。
ちゃんと描くと1人だけでも相当な手間である。
ゴルゴン族の大群衆という描写はあまり一般的ではない。

これらの理由によりゴルゴン族は人間たちの身近な隣人というよりは、
人と距離を置き積極的にはかかわりを持たない孤高の種族としてよく登場する。
人間社会で生きる場合には人間に化けて正体を明かさぬまま暮らしていることも多い。


●恋愛対象・エロ要員としてのゴルゴン

前述の通りゴルゴンは人とはあまりに異質すぎ、かつ人にとってあまりに危険すぎる存在である。
なのでよほどコミカライズされていないかぎりは、人間の姿に変じていないとまともに社会の中で暮らすこともままならない。
その正体が明らかになってしまった時、愛が破れてしまえばまだ救われるのかもしれない。
愛を貫こうとしたならば、その先で2人を待ち受けるのは過酷すぎる運命である。

なのでラミア以上にメデューサとの恋は悲恋に終わるパターンが多い。
存在感が強すぎるのもあって、恋愛ものでの単純な出演・主演数ではラミアに大きく水を開けられてしまっているようだ。
それでもけして多くはないその作品のなかでは、ラミアをさらに超えるほどの堂々たるヒロインっぷりを発揮している。

エロ要員としてのゴルゴンは、事実上ラミアの上位互換である。
下半身を蛇にしておけばラミアの役割はことごとく果たせる。
それに加えてその瞳は相手を石と化して硬直させ、屈辱的なポーズを取らせたまま一方的になぶってしまえる。
さらに頭部の蛇は長くのばせば触手のように男にからみつき、毒の牙で妖しくしびれさせる。
作画の問題さえクリアできるならラミアを超える万能選手として、存分に男たちを蹂躙してくれるだろう。
ただ器用貧乏になりがちなのか、こちらもラミアほどには出演・主演作品が多くない印象。


【主な登場作品】

ここでは「ゴルゴン三姉妹(ステンノー・エウリュアレー・メデューサ)」「牡牛の魔物ゴルゴン」
そしてそれらをモチーフとしたキャラクター・それらから名付けられた存在などを取り上げる。

○生物など


○近代以前


○映画・特撮


○漫画・アニメ


○ゲーム

R P G(ロールプレイングゲーム)


S T G(シューティングゲーム)A C T(アクションゲーム)


T C G(トレーディングカードゲーム)



追記・編集は、彼女の瞳を真正面から見ないようにしてからお願いします。
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最終更新:2024年04月09日 11:00

*1 ギリシャ語 Gorgōn 古代ギリシャ語: Γοργών,、またはゴルゴー Gorgō、古代ギリシャ語: Γοργώ,

*2 ギリシャ語:Sthennō、古代ギリシャ語: Σθεννώ あるいはステノー(ギリシャ語:Sthenō、古代ギリシャ語: Σθενώ

*3 ギリシャ語:Euryalē古代ギリシャ語: Εὐρυάλη 「広くさまよう女」とも。なお、ミノス王の娘にも同名の女性がいる。彼女はポセイドンとの間に英雄オリオンをもうけた。

*4 ギリシャ語:Medoūsa メドゥーサ 古代ギリシャ語:Μέδουσα 名の語源はmedousa「女支配者」「王妃」「女王」とされる。

*5 頭も青銅であるともいう。

*6 伝承によってはガイアの娘ともされる。ガイアはギガントマキアの際、戦力とするため彼女らを産んだのだという。

*7 ここではギリシャ神話世界を取り囲んでぐるぐると流れまわり続ける外海のこと

*8 世界を支える巨人アトラスがいるアトラス山の近く・あるいは山頂にある、彼の娘ヘスペリスたちが住んでいる。ヘラクレスの12の功業の目的のひとつとなった、黄金のリンゴの樹が植わっている。

*9 アテナが一方的に嫉妬したためとする説もある。

*10 鎌刀 harpe ハルペー 内側に刃がついた大きく湾曲した形状の刀で、内側にひっかけて力任せに引き切り落とすための刀。ヘルメスの項目参照

*11 翼のサンダル talaria タラリア ヘルメスが着用している、足首に翼をあしらった黄金製のサンダル。ヘルメスの項目参照。

*12 ハデスの兜 Aidos Kuneen アイドスキューネ ハデスの兜 (ギリシャ語:Ἄϊδος} κυνέην) かぶると姿が見えなくなる。ハデスの項目参照。

*13 この二つは後述の冥府のニンフから受け取ったという伝承もある。

*14 鏡のように磨き上げた青銅の盾とされるのが一般的。アテナの山羊皮の盾アイギスであるとの伝承もある。

*15 グライアイ ギリシャ語Graiai 古代ギリシャ語: Γραῖαι 名の意味は「老人」の複数形。産まれたころから灰色の髪が生えていたためこう呼ばれた。

*16 Pemphrēdō ペムプレードー 古代ギリシャ語: Πεμφρηδώ 名の意味は「警報」「意地悪な」。

*17 Enȳō エニューオー 古代ギリシャ語: Ἐνυώ 名の意味は「恐怖」「戦いを好む」。 戦争の神アレスの従者にも同名の者がいる。

*18 Deinō ディノー 古代ギリシャ語:Δεινω 名の意味は「恐ろしい」「危惧する」

*19 翼のサンダルとハデスの兜もこのニンフから受け取った、あるいはすべてグライアイが持っていたため奪い取ったというパターンもある。

*20 Hyperboreios ヒュペルボレイオス 「北風のかなたに住む人々」の意。 クトゥルー神話における地名「ヒューペルボリア」のモデル。

*21 盾がアイギスの場合は、目をそらしながらアテナに手を引いてもらい導いてもらったという伝承である。また石化能力は鏡に映った姿を見ても効果があるため、メデューサに青銅の盾を突き付けて、盾に映ったメデューサの姿を見せる事でメデューサ自身を石化させて倒したという伝承もある。

*22 北西アフリカ、ナイル川より西側。現在のリビア

*23 苦痛から解放されるためみずから石と化すことをペルセウスに望んだ、黄金のリンゴを奪われると思ったアトラスに殺されそうになったためにペルセウスが反撃したなどの伝承がある

*24 セリポス島が岩だらけの地形になったのはこのためだという。

*25 胸当てに埋めこみ、盾にはメデューサの首の意匠を施したともされる。

*26 アスクレピオス Asklēpios 古代ギリシャ語: Ἀσκληπιός アポロンとコローニスの子。 ケンタウロスの賢人ケイローンに師事し、師を超える医術を身につける。 さらにメデューサの血を得ることで死者をも蘇らせるようになるが、世界の秩序を乱す者としてハデスに弾劾されゼウスの雷霆に撃たれた。死後は天上にかかげられ、へびつかい座になったという。

*27 蝮は卵胎生で子供を直接産むため多産の象徴となった

*28 ラミアの語源は古代ギリシャ語で「貪欲」を意味するラミュロス(λαμυρός)だとされる。女性に対して使えば「性に奔放」「淫乱」といった意味になる。

*29 鬼瓦の起源をゴルゴネイオンに求める説もある。

*30 本作では堕天使などの名称がまるで脈絡が無いと思われるMonsterにつけられていることも多い。

*31 攻略法:ダミーの1人目はペガサスの翼を背中に装備して神殿に侵入し、ハデスの帽子で透明になり、敵の背後から大鎌で首を切り落とし、銅の矢で一つ目を射抜いて倒す。2人目と3人目は銀の矢で一つ目を射抜くだけで倒せる。本物は、鏡の盾にメデューサを映してそれを見ながら敵の動きを確認し、ペガサスの翼で空中から蹴り飛ばしてから、光の矢と聖なる矢で一つ目と心臓を射抜いて倒す。