GODZILLA3部作(アニメ)

登録日:2017/11/28 Tue 00:50:08
更新日:2024/01/20 Sat 08:32:52
所要時間:約 45 分で読めます







G O D Z I L L A


絶望は進化する
― 怪 獣 惑 星 ―

人類最後の希望(メカゴジラ)が、起動する
― 決 戦 機 動 増 殖 都 市 ―

その黄金は絶望すら焼き尽くす
― 星 を 喰 う 者 ―






本項では、2017年11月より公開された劇場アニメ3作品と、その関連作品について記述する。


●目次

概略

2014年、ギャレス・エドワーズ監督の米国映画『GODZILLA』(ギャレゴジ)が公開されることになった。
日本の本家本元である東宝もそれに呼応して、同年12月に「ゴジラ戦略会議」を立ち上げ、新たなゴジラ作品の検討を始めるのであった。

そしてギャレゴジの成功を受け、正式に「全く新しいゴジラ」を描く2つの企画が動き出した。
1つは、2016年公開の実写版新作。後に『シン・ゴジラ』の名で世に送り出され、2016年度邦画界を席巻する作品である。

もう1つは、アニメ企画。
日本に負けず劣らずゴジラ大好きな米国では1978年のハンナ・バーベラ制作版と、1999年版『GODZILLA』のアニメ続編『Godzilla: The Series』が作られているが、意外にも日本の本家ゴジラシリーズでは初のアニメ化である(知育OVA『すすめ! ゴジランド』やコラボ除く)。
この企画に伴い、東宝アニメーションは1人の監督と1つの会社、そして1人の脚本家に白羽の矢を立てた。
北米を中心に活動しながら7年間にわたり劇場版『名探偵コナン』の監督を務める静野孔文。数々の賞を受賞し、日本では『シドニアの騎士』や『亜人』などで勇名を馳せたポリゴン・ピクチュアズ最近はエロゲー屋と見られていない硬派ゲーム屋ニトロプラスを率いる虚淵玄である。


監督は静野氏と、『シドニア』などで静野氏と組んだ日本人屈指のCGアニメーター・瀬下寛之が担当。
シナリオ・脚本作成は、ワイワイ盛り上がっている瀬下監督と虚淵氏に、全くのゴジラ素人である静野監督が冷たい視線を向けてクールダウンさせる形で進んだ。
静野氏は「どうしてゴジラはわざわざ火を吐くの? 頑丈な体で格闘すればよくね?」と大真面目に質問し、
ゴジラマニアの瀬下監督と「それが当たり前」な虚淵氏を愕然とさせ、同時に「初心者の目線」の重要性を思い起こさせたらしい。
なお(当然と言うべきか)3人はこの仕事のオファーが来たとき、戸惑い、一度はお断りを出している。
しかし、先に庵野秀明の手で『シンゴジ』が作られると聞き、先駆者に続こうと決断したとのこと。
シナリオはこれまでよりハードSF色がグッと濃くなり、なおかつ旧作へのオマージュも一見わからない所に仕込まれている。
(『宇宙大戦争』や『怪獣大戦争』、小説『地底怪生物マントラ』『見知らぬ明日』、漫画『神の獣』あたりのノリに近いか)。
なお二部からスタッフ周りが多少変わっている。

映像はほぼ全編をポリゴン・ピクチュアズが担当。
各分野で経験を積んでポリピクに合流した精鋭モデラー・アニメーターが集い、いつものポリピクらしい良質な3DCG撮影を魅せてくれる。
なに、『シドニア』っぽい? 違うのだ。『シンゴジ』が「庵野の芸風」だったように『GODZILLA』も「ポリピクの芸風」なのだ。
逆に言うとあの画作りが苦手な人には合わないかもしれない、ということだが……。

音楽は巨匠・服部隆之が担当。『VSスペースゴジラ』『ミレニアム』以来、3度目の参加である。
出演声優も実力派揃い。本職声優以外のサプライズ起用は一切ない。

2018年3月29日からは『少年ジャンプ+』にて倉橋ユウス氏によるコミカライズ版が連載された*1
基本的には映画をなぞっているものの、そちらでは触れられなかった各キャラクターの過去など独自の要素も追加されている。
2018年11月2日には後述する小説版と同じ角川文庫のレーベルで、大倉崇裕氏による映画本編のノベライズも刊行。
こちらは同年12月22日刊行の続刊で完結した。

なお、ポリピク作品の例に漏れず、劇場公開後はストリーミング配信社のNETFLIXが全作を配信することが決定している。



ストーリー:各部概略


20世紀末最後の夏。その日人類は、地球と言う惑星の支配者が自分達だけではないことを知った。
地球的意思によるとしか思えない環境変化が起こり、突然変異した巨大生物「怪獣」が出現したのだ。
人類と怪獣の戦いは数年おきに繰り返され、その度に数百万の人命が失われ、いつしか30余年が過ぎようとしていた。

ニューヨークに、後に「ゴジラ」と名付けられる怪獣が現れた。
ゴジラは、それまでの怪獣とは比べ物にならない力を持って、同時に出現した3体の怪獣もろともに都市を消し去ってしまう。
怪獣も含めた全ての生態系の頂点に立つゴジラの前に、人類はますます追い詰められていく。

2035年。この年、人類は異星人とのファースト・コンタクトを果たした。
それぞれが母星を失い宇宙を放浪していた「エクシフ」と「ビルサルド」の人型生命体は
偶然にも同じ星=地球に目をつけ、自分たちの移住と引き換えにゴジラの駆逐を引き受けたのだ。
……だが、地球文明より遥かに進歩した彼らの技術をもってしても、破壊者ゴジラを止めることは叶わなかった。
とうとう人類は、新たなる隣人となった2つの異星人に習い、選ばれし人々のみを外宇宙へ脱出させる計画に最後の力を注ぐ。
そして2048年。たった2隻の恒星間移民船に、僅かに1万と5千の人々が分乗し、それぞれの目的地へ飛び去っていくのだった。

それから、20年。くじら座タウe星系方面へ向け出発した「アラトラム」号にて、ひとつの事件が起こる。


前日譚その1:怪獣黙示録

2017年10月25日発売。角川文庫より発売されたノベライズ版。著者は大樹連司
アラトラム号乗船直前の「A.S」が生存者への聞き取りを行って編纂した、99年5月から48年に至るまでの戦いの歴史が綴られている。
99年5月、突如ニューヨークに出現した「怪獣」との遭遇、その後の全世界での怪獣と人類の戦い、そして2030年の“G”の出現。
さらに「エクシフ」と「ビルサルド」との出会いから「オペレーション・エターナルライト」での束の間の人類の勝利までが描かれる。

小説と言うよりドキュメンタリータッチの文章で、設定マニアホイホイ。
内容は東宝オールスターと言わんばかりの小ネタの宝庫。カマキラスに始まり、ラドンやアンギラスといった有名どころや、
オルガやジラといったマイナー連中、果てはジェットジャガーや「電磁砲塔式多脚戦車G-HED」まで網羅している。
東宝怪獣シリーズやニトロプラスのファンなら必読の内容。映画本編をより深く楽しむことが出来る。

前日譚その2:プロジェクト・メカゴジラ

怪獣黙示録の続編。2018年4月25日発売。
「オペレーション・エターナルライト」までの歴史を描いた前巻に続き、とある「妖星」を巡る事件をきっかけに再び活性化したゴジラを相手にした
人類の壮絶なまでの消耗戦の記録、そして地球に残された人類の結末から、劇場本編へと繋がる最後の希望が描かれる。

ドキュメンタリータッチの文章や小ネタの宝庫なのは相変わらずだが、曲がりなりにも勝利の記録がある程度ある前作と比べ、
「神様と虫ケラのケンカに、カブト虫くんとクワガタ虫くんが助太刀してそれで何か変わるか?」
という作中のセリフが表すように、ゴジラとの圧倒的な力の差を前にした狂気という言葉でもってしても到底及ばない、絶望的な戦いの描写が続く。

第1章:怪獣惑星

―――この地球を 必ず取り戻す
―――滅びるのは、人か、ゴジラか。
タウeにたどり着いたアラトラム号を待っていたのは、「惑星の環境は移住に不適」という非情な事実であった。
ゴジラへの復讐を望む青年・ハルオは、対ゴジラ戦術論文を密かに艦内に流した上で、愚鈍な中央委員会を糾弾。
協力するエクシフの司祭・メトフィエスの根回しもあり、 船内では地球帰還も止む無しとする意見が多数派になっていく。
やがてアラトラム号は超長距離亜空間航行を行い、艦内時間で22年、現実時間で2万年が経過した地球への帰還を試みる――

2017年11月17日公開。上映時間89分。主題歌は当時19歳の新星、XAIによる「WHITE OUT」。
ハルオ達の地球帰還と22年越しの初戦が描かれる。

虚淵氏の代表作で強引に例えるなら「まどマギ第3話までを映画にした」ような感じ。
シナリオは導入部ということもあって、良く言えばアニメ作品らしい王道展開、悪く言えば先の展開が読みやすいお話。
まだ序盤なのだから仕方ないと言えば仕方ないが、怪獣惑星と化した地球などの説明が多い。ゴジラの出番も中盤からとなっている(まぁギャレゴジもそんな感じだが)。
ただその会話などには、後の章に繋がる伏線も多々ある。全部見終わってから見返せば、新しい発見に繋がるかも?
最初から最後までノリに乗って楽しんでいたら、「進化する絶望」の正体にまどマギ3話ショック状態になった人もいるのではないだろうか。
エンドロール後も席を立ったり、ソフトの再生を止めないように。


第2章:決戦機動増殖都市

―――ゴジラ 破壊― 恐怖― 我らが神の―敵
ゴジラに一矢報いたハルオ達ではあったが、ゴジラの反撃も壮絶を極めた。
散り散りになった一行は、地球で独自の進化を遂げていた人型種族・フツアに救助される。
そんな中、ビルサルドのガルグとベルベは、かつてのメカゴジラの痕跡を発見し、その復活を試みる。
やがて再集結を終えた一行は、巨大な「増殖都市」にてゴジラを迎え撃つのであった…!

2018年5月18日公開。上映時間は12分増えた101分。主題歌は引き続きXAIの「THE SKY FALLS」
かつて対ゴジラ最終兵器として造られながら起動せず放棄された「人類最後の希望」、メカゴジラが再起動する。
無人在来線爆弾にも匹敵する声に出して読みたい副題。監督両名も虚淵氏が出してきたこの文字列に圧倒されたらしい。

あらかたの説明が終わったので、今回からいよいよSF映画路線が本格化。お話は山あり谷あり、人物の掘り下げも進む。かわいい双子も出るよ!
メカゴジラもしっかり登場するし、活躍もするのだが、何と超巨大都市に進化しているという前代未聞な状況に(まさにサブタイに偽りなし)。意思を持った超巨大都市という怪獣はゴジラシリーズにおいて初の事例。むしろあってたまるか。
SNSや掲示板では「怪獣の出るSFアニメとして見てみれば良作」「もっと怪獣プロレスが観たかった」などなど、賛否が飛び交った。
視聴者が作品に何を求めているか、怪獣映画をどう捉えるかで評価がざっくり割れる、尖った作品になっている。
「事前に(ロボットとしての)メカゴジラ推しなのに何で街になってんねん」という容赦ないツッコミも。予告編も「嘘は言ってない」構成だったしね。
ちなみに劇場パンフレットは価格が200円UPしたが、さらにクオリティアップしているので一見の価値あり。公衆の面前で開けないページもあるよ!


第3章:星を喰う者

――伏して拝むがいい
――黄金の終焉を
メカゴジラという怪獣になってまで、ゴジラという怪獣を滅ぼそうとするビルサルド。
それは人類にとって、到底看過できるものではなかった。両種族は決裂し、地球降下部隊はますます追い詰められていく。
一方、メトフィエスはハルオを新たなる軍神と崇め、彼を偶像とする信者を増やしていく。
全てはエクシフの悲願・すべての種族に終わりという救済を齎す為に――

2018年11月9日公開。上映時間91分。主題歌は引き続きXAIの「live and die」
遂にゴジラのライバルであるギドラが登場し*2、ラスボスとしてゴジラの前に立ちはだかる。
この星が選ぶのは、<滅びの救済>か、<命の繋ぎ>か。

物語のクライマックスに向けて、完全に「怪獣映画」から「SF映画」に振り切った内容。一部では「宗教哲学映画」とも。
地球滅亡の危機を通して、前作から問いかけられたゴジラとは何者か、人が成すべき事は何かという問いに、主人公ハルオから一つの答えが出される。
あまりにも衝撃的な結末が激しい賛否両論を呼んだ、正真正銘の問題作中々にエッチな場面があるせいで親御さんが気まずくなった意味でも問題作。

ゴジラがどうして生まれるのか、その存在が人類にとって何を意味するのか、そして怪獣を前にして人類はどうするべきかといったテーマ性の強いストーリーは、過剰な科学進歩へのアンチテーゼを押し出したあの初代ゴジラに通じるものがある。ハルオ「幸福に暮らせよ! さよなら、さよなら!」
前作以上に尖った作品であり、ゴジラという存在をどのように考えているか、そして登場人部たちの行動理念を理解できるかが評価の分かれ目になる。あと人によるが、ギドラの異様とも言える活躍に恐怖を覚える……かも。


登場人物


地球人

◆ハルオ・サカキ宮野真守 / 幼少期:洲崎綾
主人公。24歳。階級は大尉。4歳の頃に地球を離れるが、目前で両親が乗ったバスがゴジラに吹き飛ばされて以来、ゴジラへの強い復讐心を抱いている。
死をも辞さず、ゴジラ抹殺と地球奪還のためには躊躇いなく軍紀違反を犯す。一見すると狂人めいているが、
同胞を思いやる意識は強く、心中では人類の「心」を信じている熱い漢。観察力や作戦立案力、ホバーバイクの操縦にも長けている。
性格は初期の、実務力は後期の某第104期生を思い出す。
落ち込むこともあるけれど、最初から最後までブレずにゴジラを抹殺せんとするその姿は、周囲の人々からある意味での英雄像として祀り上げられていく。
ビルサルド、フツア、エクシフそれぞれの思想に触れていった彼が、最終的に見出した答えとは……。

奇しくも宮野氏は、国民的特撮作品であるウルトラシリーズとゴジラシリーズでそれぞれ主役を演じたことになる。2万年遅いぜ!
静野監督はシナリオ作成作業を通して、ハルオという人物の描き方に疑問を抱いていたが、虚淵氏が提出した第3章のラストシーンを見てようやく得心が行ったとのこと。

◆ユウコ・タニ花澤香菜
19歳の女性曹長。やせ形で華奢。地球脱出後に生まれた世代で、幼馴染のハルオを「先輩」と呼ぶ。
体力不足がコンプレックスでハルオにも案じられているが、パワードスーツの操縦能力はトップクラス*3
他にも武器設計や運用全般に通じており、様々な作業に引っ張りだこになっている。
戦いの中で原始的なフツアに対する反感からビルサルド寄りの思想へと変わり、新兵器ヴァルチャーのテストパイロットにも任命されるが……。

当初はロングヘアーも考えられたが、長髪を描くのが非常に面倒な3DCG作品故にショートカットにさせられている(代わりにアクセントとしてカチューシャを貰った)。
朝ドラの人気女優の雰囲気が取り入れられているらしい。

◆ダイチ・タニ(堀越宮三郎)
ユウコの祖父。サカキ家とは地球脱出前から交流があり、4歳のハルオを脱出シャトルに連れて行ったのも彼である。
軍人時代にはビオランテと戦ったこともある往年の戦士。
しかし、アラトラム号での長期の航海には、彼自身もう精神的に限界であった。

◆マーティン・ラッザリ杉田智和
34歳の大柄なイタリア系アメリカ人。軍属の環境生物学者で階級は少佐。通称「マーティン博士」。
ゴジラシリーズには欠かせない「ものしり博士」役。好奇心旺盛、かつ類まれなる分析・考察力を持ち、地球到着後は精力的に働く。
ひょうきん者ながら決めるところでは決め、他人への気配りも欠かさないナイスガイ。
というか人類側で「実況・解説役」ができるほぼ唯一の人物であるため、『星を喰う者』では主役たちを喰いつくす勢いでしゃべくり倒している
ちなみに今回の杉田氏は明るい声を出すことはあっても至って真面目・おふざけ一切なし。氏のシリアスな演技を聴きたい人にもおすすめ。

◆アダム・ビンデバルト梶裕貴
21歳の金髪ドイツ人少尉。彼もユウコと同じ船内出生者。
腕利きパイロットで、地球奪還を推すハルオのシンパの1人。ハルオやベルべからの信頼も厚い。
少々血気盛んであるものの、明るく闊達とした好青年……なのだが、激戦の中で心を折られていき、やがて……。

◆エリオット・リーランド小野大輔
32歳の金髪イギリス人大佐。腰の重い中央委員会を疎み、ゴジラ討伐を利用して老人たちの追い落としを画策する野心家。
ハルオのシンパの1人だが、本当に苦しい状態になるまで無謀な行動はしない慎重派。

◆ウンベルト・モーリ(堀内賢雄)
アラトラム号船長兼、中央委員会の人類代表を務めるイタリア人。56歳。階級は大将。
2039年のオペレーション・エターナルライトでは轟天型潜水艦1番艦「轟天」副長としてジングウジ艦長を補佐、マンダ討伐の一翼を担うなどの武勇を誇る。
本人は自分がなぜ艦長に選ばれたか分からず、作中では右往左往しているシーンが目立った。

◆タケシ・J・ハマモト(山本兼平)
アラトラム号副長。階級は准将。
典型的な事なかれ主義の人物で、ハルオのゴジラ討伐計画に対しても難色を示している。
……が、メカゴジラシティの一件が露見すると、ハルオの断罪を主張するビルサルド側に対し、ハルオの正統性を主張して牽制。
小説版によると、彼もまたアラトラム号という狭いコミュニティの主導権の座を虎視眈々と狙っていたようである。

◆マルコ・ジオーネ(柳田淳一)
伍長及び工兵隊員。年齢国籍共に未公開。
映画ではモブキャラ同然だったが漫画版では名前欄付きで登場しており、そこで階級も初めて判明している。

◆ジョシュ・エマーソン(石谷春貴)
マーティン博士の助手。まさに名は体を表す。
『怪獣惑星』ではモブに等しい出番しかなかったが、『星を喰う者』ではマーティン博士を手伝う関係で、彼に次ぐくらいしゃべり倒す。

エクシフ

西暦2035年に現れた異星人。母星エクシフィカルスの滅亡後、放浪の末に地球・ニューヨークへ至った。
長い耳と金髪が外見的特徴の、非常に長命な種族ぶっちゃけエルフ。教皇を中心とした階級社会をつくっている宗教国家でもある。
独自の数学体系に基づいた、一定の未来予知を可能とする「ゲマトロン演算」技術を地球に齎すと共に、
他者への献身を教義とするその宗教を伝え、怪獣出現で既存宗教への信仰を失った人類にとっての新たな宗教的支柱ともなっている。
ゲマトロン演算は人類の文明史にもその片鱗が見られ、古代から人類と密かに交流していたのでは?という説もある。
しかし、ゴジラの前にはその精神的な支柱すら崩壊寸前となってしまっており、アラトラム号でも信奉者はあまり多く残っていない。

名前の由来はX星人。怪獣を引き連れて地球侵略に訪れた経験があるが、本作でもめっちゃ胡散臭い。
エクシフの祈りの所作が七芒星なのはとある怪獣と関連があるとファンは噂するが…。
ビルサルドのガルグからは「地球人のカルト洗脳計画は結局うまくいかなかったよなぁ(ニヤリ)」とバカにされた。

◆メトフィエス櫻井孝宏
軍属の神官(大司教)。50歳だが、風貌は地球人の25歳程度。階級は中佐。
実質的に教団を運営している人物で、中央委員会にも席をおいている。その人格と博愛主義から人種を越えた人望を集める。
ゴジラ討伐に燃えるハルオの理解者……というより信者に近く、中央委員会限定の機密データを横流しするなどの背信行為にも手を染めている。
ハルオからの信頼も厚く、彼が何らかの迷いを抱えた際には真っ先に相談相手になっている。

幾多の腹黒キャラを演じた櫻井氏が声を当てているため、ファンからついたあだ名は「櫻井」あんまりである
中にはあまりのうさん臭さ故に「メフィラス星人櫻井」と呼ぶファンもいるとか。

◆エンダルフ山路和弘
エクシフ族長である軍属神官(枢機卿)。105歳(外見50歳)。階級は中将。
教団運営はメトフィエスに一任しており、敬語で話しかけることも。

◆ドハフィエス
名誉エクシフ。カッ飛んだ怪獣崇拝ぶりを見せるゴジラ教ゴジモス派の大司教。地球での名はマイケル・ドハティ。

ビルサルド

西暦2036年に現れた異星人。母星ビルサルディア連星がブラックホールに飲まれそうになった為、宇宙を放浪してロンドンへ流れついた。
エクシフ程ではないが、それでも平均寿命200歳の長命種。作中に登場する人物は全員が黒人で髭を生やしている。おかげで見分けづらいのなんの……。
地球には亜空間飛行や金属技術を齎し、技官や軍事教官として活躍する者も多い。つまりドワーフ
かつては地球で対ゴジラ兵器・メカゴジラを作っていたが、材料のナノメタル調達に4年かかり、最終調整が間に合わずに遁走する憂き目を見た。
技術力は確かでまじめ、質実剛健。初めて地球人と会食した際にも文化に理解を示しマナーを学んでくるなど、人類との交流を平穏に行っていた。
自らの宇宙船を解体したりゴジラ共々爆破を図るなど、地球に本気で骨をうずめると決めていたようである。
しかし対ゴジラ戦においては、何よりも合理性を優先し、肉体を捨て機械化も厭わない本能が露見。人類を戦慄させることになる。

名前の由来はブラックホール第3惑星人。やっぱりこいつらも怪しい……。
エクシフのメトフィエスからは「ゴジラを倒した後はメカゴジラで地球征服したんでしょ?(ニタァ)」とツッコまれている。


◆ムルエル・ガルグ諏訪部順一
技術士官。60歳(外見35歳)。階級は中佐。
ビルサルドの中でも特に屈強な肉体の持ち主だが、当人は科学至上・合理主義を貫く優秀な技官。
メトフィエスの工作を黙認し、ハルオの対ゴジラ作戦の科学的裏付けを行うなど、ハルオには目をかけている。
一方で科学技術の発展こそ人類の進化と捉えているので、原始的な生活を営むフツアのことは「虫」と軽蔑している。

◆リルエル・ベルベ三宅健太
軍事教官。55歳(外見35歳)。階級は少佐。
ハルオたちの元軍事教官であり、ホバーバイク部隊の第一班長を務める。

◆ハルエル・ドルド中井和哉
ビルサルド族長。70歳(外見40歳)。階級は中将。
冷静沈着な懐疑論者で、何事に対しても違う視点からの可能性を指摘する。

フツア族

2万年後の地球にいた人類の末裔。生活様式は原始人だが、知能は人類と同等かむしろ上回っている。
その体は昆虫にも似た生態に変化しており、鱗粉状の粉末で体を覆っている。
テレパシーで言語を超えて交信し、人類を遥かに凌ぐ運動能力も備えている。
「憎しみ」という感情を知らず、ゴジラについても「吾らが神の敵」とは言うが一方で「台風や雷と同じ」程度の認識しかない。
他種族へ対しても寛大であり、一時は一触即発となった地球降下部隊も受け入れている。
自身の神の産んだ卵を信仰している。

◆マイナ上田麗奈
フツアの巫女の少女で、ミアナの双子の姉。年齢不詳。
冷静な性格で他種族への警戒心が強く、ハルオらに対し常に厳しい眼差しを向けている*4
しかし、手助けするうちにゴジラに立ち向かうハルオに惹かれていき、『星を喰う者』では想いが行動に表れ…。つまりツンデレ。

◆ミアナ小澤亜李
フツアの巫女の少女で、マイナの双子の妹。年齢不詳。
マイナとは逆に好奇心旺盛な性格で、仲間たちからはぐれたハルオに興味を持ち、テレパシーでなく言語でコミュニケーションを取ろうとする*5
ハルオもそんなミアナを可愛がるが、彼女にはある使命が託されていた。

怪獣黙示録&プロジェクト・メカゴジラの登場人物


怪獣黙示録における各国家の動き


登場怪獣


ゴジラ

ご存じ怪獣王。2034年に現れた最強の突然変異種。
全体のデザインはギャレゴジ版をほぼ踏襲している。時々映る瞳は妙に人間っぽい。

今作では強い放射線に加えて、体内から強い電磁波を発し、周辺の電装系に悪影響を与えるジャミング能力まで備えるようになった。
さらにこの電磁波により、一切の物理的干渉を遮断する非対称性透過シールドまで展開する。
おまけに電磁波抜きにしても表皮は超頑丈&超再生能力を持ち、250キロトン級熱核兵器150発の直撃にも耐える。

光線も吐く。今回はシンゴジのガスバーナーか水圧カッターとは異なり、いかにもSF兵器風の単発ビームをぶっ放す。
空は飛べないので、ユーラシア大陸に熱核兵器2000発で作られた人工クレーターに落とされたこともあるが、1年後にはヒマラヤを吹き飛ばして脱出した。
当然ながら2万年生きている。特撮を考えなくていいアニメだからってトンでも設定ばかりブチ上げ過ぎだろう……。いいぞもっとやれ

ハルオは過去の記録映像を偏執的に調べ上げ、非対象性透過シールドの電磁パルスに数万分の1秒単位でノイズが混ざることを突き止めた。
このタイミングで攻撃を集中。パルス発信源を特定しつつパルスのノイズを拡大し、シールドを突破。EMPプローブを撃ちこんで体内から破壊する作戦だ。
なお、劇場パンフレットにはこの怪文書ハルオ論文がおまけとしてまるまる収録されている。


虚淵氏の「生態系の頂点」という構想を受けた瀬下監督は、2000年もの時を耐えた蓮の種子のように、
長寿・条件が揃えば超巨大化・頑丈な繊維質の体組織を持つ・水と光があれば大体どこでも生きる「植物」をデザインモチーフに選んだ。


翼竜型セルヴァム

非常に凶暴なゴジラの亜種生物で空を飛ぶ。*6名前はラテン語で「奴隷」を意味する。火炎や超音波メスなどの飛び道具は吐かず、歩兵用小火器でハチの巣にされれば死ぬが、パワードスーツはおろか揚陸艇の装甲すら破壊し、ナイフが刃負けするほどの葉っぱを持つ樹木を何本もなぎ倒す強靭な力と優れた飛行能力を持つ。

ワーム型セルヴァム

食物連鎖上、翼竜型の餌でしかない。


ギドラ

エクシフがみだりに口にしないよう秘め隠してきた、宇宙に潜む絶対的な破壊の力。
ゴジラの力を恐れるハルオに対して、「それ以上の脅威を知れば和らぐだろう」とメトフィエスがその名を伝えた、ゴジラをも凌ぐ「怪獣」。
かつてのエクシフの母星エクシフィルカスも、この怪獣によって滅ぼされたというが…。


怪獣黙示録の怪獣たち


プロジェクト・メカゴジラの怪獣たち



登場メカニック


恒星間移民船

2隻の乗組員は地球連合中央政府所有の人工知能「オムニエレクティオ」によって選別されている。

オラティオ(Oratio)号
第一恒星間移民船。全長3km、定員10,000名。冷凍睡眠施設を備えた長距離仕様。
移民予定地は地球から約1400光年離れたはくちょう座ケプラー425。

アラトラム(Artrum)号
第二恒星間移民船。全長1.5km、定員5,000名。
こちらは冷凍睡眠施設非搭載の短距離型。目的地はくじら座タウeまでの11.9光年。

アラトラム号の装備

シャトル
大気圏の単独突入・離脱能力を持った大型艇。アラトラム号には最低でも11隻が搭載されている。
装甲パーツを外付けすることで軍用の運用にも耐える揚陸艇にもなる。積載量は結構大きいが、例によって重力圏内では鈍足。

パワードスーツ
全高5mほどの1人乗りロボット。元は採掘機能を有した惑星開拓用重機だが、地球帰還後の対ゴジラ戦に於いて歩兵部隊の装備として運用される。
射撃武器として両腕部に20mm口径レールガンを搭載。採掘装備を転用したらしいパイルバンカーも一応搭載している。

ヴァルチャー
ビルサルドがパワードスーツを改良し進化させた高機動型巨大ロボ。
ホバー300機分に相当の火力を持つが、実は地球人側には一切知らされていない恐るべき機能が搭載されている。

多脚砲台
4脚の自走砲。2連装電磁加速砲を搭載している。
対ゴジラ戦では砲兵隊の装備として運用される。

43式航空偵察艇(ホバーバイク)
1人乗りの浮遊マシン。乗馬の鞍をイメージしてデザインされており、外見はかなり頼りない。武装は機銃を一門搭載。
これは「ゴジラの熱線に耐える装甲は無いのだから、機動性に特化した簡素な兵器を量産した方が効率がいい」という設計思想による。
劇中での登場時から「どう見ても特攻兵器じゃねーか」と視聴者に突っ込まれていたが、
「プロジェクト・メカゴジラ」では実戦投入までの経緯と、オペレーション・ロングマーチの中で現地で徴用した少年兵達による
死を前提としたゴジラへの時間稼ぎの為に用いられていたという壮絶なエピソードが明かされた。

メカゴジラ

ビルサルドが富士山麓に開発プラントを作り、特異物質ナノメタルを装甲に使用し2046年に完成させた対ゴジラ決戦兵器。
高さ50m、総重量3万t、高度な量子コンピューターとAIを搭載。
完成直後に富士裾野決戦に実戦投入される予定だったが最終起動寸前で原因不明の起動失敗に終わり開発プラントはゴジラの攻撃で破壊。それが2万年後も残っているらしい。
「プロジェクト・メカゴジラ」ではこのメカゴジラを讃える歌として、『ゴジラ対メカゴジラ』の主題歌「メカゴジラをやっつけろ」の歌詞が引用される場面がある。

正規空母群

怪獣出現後も海上における人類の主力であり、多くの艦が沈む中怪獣と交戦を続けた。
ゴジラには無力であったとはいえ、通常の怪獣の中には空母とその艦載機によって殲滅された怪獣も少なくない。
●ハリー・S・トルーマン…実在のニミッツ級8番艦。アメリカに出現したゴジラに一瞬で轟沈させられる。
●エンタープライズ…リアルでは2027年3番艦として就役予定のジェラルド・R・フォード級。ゴジラのリオデジャネイロ上陸時に轟沈。
●マティアス・ジャクスン…マティアス・ジャクスン級。人類が建造したおそらく最後の正規空母。名の由来は地球連合の初代首相。
 宇宙提供技術が用いられ、オペレーション・エターナルライト時に活躍。
 だが、ゴジラ南米上陸時には既に座礁状態で洋上基地と化し、ブエナベントゥラを守護していた。
●サラトガ…架空のニミッツ級。13体の怪獣と交戦、エビラなどを撃破している。
 日本・富士山麓決戦時には艦載機喪失・中破状態となるが多くの兵士を南米に脱出させた。
 オペレーション・クレードル(登場用語参照)時は稼働可能な最後の正規空母となっており避難民と 人類の希望となる「ある積荷」を載せ、日本に出航した。

轟天型潜水艦

エクシフ・ビルサルドからの技術供与を受けて建造された最新鋭の潜水艦。
従来の潜水艦とは桁違いの潜航深度・運動性と索敵能力を誇り、「海底軍艦」と称された。
●1番艦:轟天
2039年5月進水。艦長はジングウジ一佐、副長は後にアラトラム号の船長に任命されるウンベルト・モーリ。
「オペレーション・エターナルライト」の前哨戦としてドーバー海峡でマンダと激戦を繰り広げ、特殊潜航艇「薩摩」との共同作戦により勝利した。
その後はゴジラとの遠州灘での大規模海戦を前にしてインド洋で消息を絶ち、轟沈したものと思われていたが
地球外への移民計画の完了後、クーデターを起こした「総攻撃派」の本拠地を陸戦隊と共に襲撃、総攻撃派を道連れにフォークランドで轟沈した。
●2番艦:震天
メカゴジラ防衛のため、地球連合海軍の総力を投入した遠州灘でのゴジラとの大規模海戦に最後の轟天型潜水艦として投入。
ゴジラ発見の報を受け急行し、自らを巻き込む覚悟で熱核爆雷の投下を要請、
自らも戦術核魚雷でゴジラを攻撃しつつ、爆雷に巻き込まれる形で轟沈した。
●3番艦:驚天
妖星ゴラスの接近に伴い観測された北極圏の異常な海温上昇の調査の先遣隊として北極点に向かったが、
後続の砕氷艦「しらせ」に無線封鎖を通達後、消息を絶つ。
状況的にゴジラに遭遇、轟沈したものと思われる。


怪獣黙示録&プロジェクト・メカゴジラの登場用語



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最終更新:2024年01月20日 08:32

*1 ただし「怪獣惑星」のみ。

*2 作中ではギドラとしか呼ばれないが、別名の一つである「王たるギドラ」が英語で「King Ghidorah」と翻訳されている。

*3 先述のコンプレックスから強さに対する憧れがあり、それが重武装兵器の操縦能力に結びついている。

*4 そのせいでハルオからは「よく睨む方」と区別されている。

*5 最初はハルオと上手く発音できずハルオイと呼んでいた。かわいい。

*6 コズーキーへのオマージュなのかは不明。

*7 実際には、ゴジラもダメージを負ったとされており、ゴラスを破壊するため、バトラもゴジラもお互いを喰おうとしていたと推測されている。