学者(FINAL FANTASY XI)

登録日:2017/11/23 Thu 20:00:03
更新日:2023/12/28 Thu 18:23:11
所要時間:約 21 分で読めます




MMORPG『FF11』に登場するジョブの一つ。
四枚目の拡張ディスクである『アルタナの神兵』で実装された。
名称こそFF3に登場した存在意義がボス1匹のためだけだったジョブ「学者」のそれを継承しているが、性能・デザイン共に全くの別物。

というか11だけに限らずFFの学者と言うのはタイトルごとに性能・設定が全然違い、「本を使う」こと以外の共通点はほぼ皆無だったりする(稀に本すら使わないことも)。


◆「どんなジョブなの?」

ネタ元のそれと異なり、FF3で言うと「賢者」に近いジョブ*1
つまり黒魔道士の使う黒魔法、白魔道士が使う白魔法の双方を使いこなすことができる素敵な上位魔法職
……なんて都合のいい上位互換がMMORPGに存在するわけもなく、実態としては「黒魔道士に次ぐ黒魔法と、白魔道士に次ぐ白魔法の双方を、制限付きで使い分けることができるジョブ」と言ったところ。

つまりアビリティである「戦術魔道書グリモア」を開き、

・「黒のグリモア」……黒魔道士モード。黒魔法の使用に関して様々なボーナスがつき、逆に白魔法に関してペナルティを受ける。さらに「黒の補遺」を起動させることで、使用可能な黒魔法が増える。

・「白のグリモア」……白魔道士モード。白魔法の使用に関して様々なボーナスがつき、逆に黒魔法に関してペナルティを受ける。さらに「白の補遺」を起動させることで、使用可能な白魔法が増える。

この二つのモードをスイッチしながら戦うことで、いわば疑似的に両魔道士の力を発揮できるが11の賢者……じゃなくて学者なのである。

とは言えモードチェンジ式の劣化黒・兼・劣化白では流石にちょっと微妙過ぎるため、

「吹雪の陣」 ……味方1人に対して「氷天候」の効果を与える白魔法。効果中は氷属性の魔法に対するボーナスがつき、風属性の魔法に対するペナルティがつく。

「火門の計」……敵1体に対して火属性ダメージを与え、さらに一定時間、命中ダメージに比例した計略DoT(継続ダメージ)の状態にする黒魔法。

「女神降臨の章」……「白のグリモア」中に使えるアビリティ。次に唱える白魔法の効果範囲を「単体→広範囲」にする。

「疾風迅雷の章」……「黒のグリモア」中に使えるアビリティ。次に唱える黒魔法の詠唱時間/再詠唱時間を半分にする。

などといった学者だけの専用魔法、アビリティなども数多く与えられている。

武器はFFの学者らしく本でぶん殴る……のではなく、他の後衛同様に両手棍片手棍・ごく一部の短剣などと言ったところ。
本は基本的にアビリティ扱いになっているため、武器として使うことはない。この不心得者があ!



◆「どんなところが優れてるの?」

まずは当然というべきか、アタッカー(攻撃役)とヒーラー(回復役)のどちらもこなせる賢者めいた汎用性の高さ
さらにグリモアのボーナス効果である消費MPの低減、また自己のMPを回復できるアビリティ「机上演習」の存在などによって、MP周りに関しては黒や白よりも余裕がある。

この点では同じく黒魔法・白魔法の双方を使いこなせる赤魔道士に近いものがあるが、赤魔道士が黒+白な「前衛」なのに対して、学者の場合は黒+白な「後衛」と言った感じで差別化されている。

また高レベルになると、むしろそうした汎用性とはまったく逆の、高い局地戦性能こそが評価されるようになる。
高レベルの学者のアビリティには黒・白・赤は勿論、他のジョブにもまったく類似性能がない独特のものが多く、それらを駆使した「学者にしか不可能な戦術」と言うものが多数存在する。

例えば

「疾風スタン」
敵の大技や魔法の発動をキャンセルさせることができる暗黒魔法「スタン」を、疾風迅雷の章を使って高速で連射する戦術。
スタンは本来45秒と言う長い再使用時間が設定されているのだが、装備を整えた学者は疾風迅雷を使うことでこれをわずか4.5秒に縮めてしまえる。
学者が二人でこれを交互に使えば、条件次第で敵の大威力攻撃を一切完封してしまうことも不可能ではない。

「女神・令狸リジェネ」
味方に「徐々にHP回復」の強化効果をかける白魔法「リジェネ」を、女神降臨の章を使ってパーティメンバー全員にかける戦術。
また同時に「令狸執鼠の章」を使い、その効果時間を2.5倍にする。
通常時に撒いておくだけでもヒーラーの回復の負担を大きく軽減できるし、パーティメンバーがそれぞればらばらに動く状況などではとてつもない効果を発揮する。

「震天連携」
精霊魔法(攻撃魔法)に、「技連携」という特殊なコンボ効果を持たせることができる「震天動地の章」を使った戦術。
技連携というのは基本的に「武器を使うアタッカー」「2人以上」で、「敵を攻撃してゲージをためて」からでなければ使えない。
しかしこの戦術では「後衛である学者が遠距離から」「1人で」「事前準備なしで」使うことができるため、運用性が段違いに高い。
技連携の発生直後に魔法ダメージを与えると「マジックバースト」と呼ばれる超強力ダメージ増加補正が発動するため、基本的にそのマジックバースト要員である黒魔道士とあわせて使用される。

などと言ったものが代表的。
いずれも一定条件下では極めて有効であり、これらの戦術を使う場合は学者の起用が必須となる。



◆「んじゃ欠点は?」

端的に言えば「攻撃性能では黒魔道士に負け、回復性能では白魔道士に負け、汎用性では赤魔道士に負けている」点。
特に深刻なのは3番目で、低~中レベル帯はともかく、LV99に到達してしまうと「汎用魔法ジョブ」という点が殆ど看板倒れになってしまう。

これはグリモアの使用に関して

・黒のグリモア←→白のグリモアの切り替えは、1度行うと再切り替えまで1分かかる

・「○○の章」系のアビリティは5回までという仕様制限がある。回数は時間経過で回復していくが、1回分回復するのに最長4分、完全に育成を終えても33秒かかる

・高レベル帯では「補遺」を使わないと魔法のラインナップが貧相だが、補遺もまた○○の章と使用回数制限を共有している

といった様々な制限があるせい。
このためノーリスクで黒白両方の魔法を使用できる赤魔道士に比べどうしても行動が鈍重になってしまい、汎用系ジョブに必要不可欠な「柔軟な対応力」に欠けがち。

よって看板通りの万能ジョブとしてそのポテンシャルをフルに発揮したいと思うなら、常に戦況全体を見渡して一歩(理想を言えば二、三歩)先を読んでいく高度な知識と判断力が必要不可欠。



◆「世界観的には?」

プレイヤーがジョブチェンジできる「学者」とは、正確には「シュルツ流軍学者」のことを指す。
プレイヤーたちの故郷である中の国にはいくつもの軍学(戦争指揮・用兵に関する学問)があるが、中でもシュルツ流軍学は「戦術的見地からの魔法運用」を重視するという点で極めて独特な学派である。

その起源は今より500年ほど昔、中の国全土の制覇を成し遂げた史上随一の名将「ルンゴナンゴ」にまでさかのぼる。

彼は当時(天晶歴327年)のウィンダス連邦大魔元帥、即ち最高司令官だったが、タルタル族にしては珍しく魔法の力を全くもっていなかった。
しかしそれ故に普通の魔道士とは全く別の観点……即ち用兵家としての立場から、魔法と言う力を戦術単位として冷静に見ることができ、数々の効果的な魔法戦術を考案・実践するに至ったのである。

彼は自ら編み出した戦術を書物に記して後世に残そうとしたのだが、後にその存在の大きさを危惧した元老院によって追放刑を受けてしまい、流刑先で罪人として病没したため、その遺稿もまた散逸してしまった。

しかしその後300年の時を経て、バストゥーク共和国に生まれた一人の青年がこの戦術を蘇らせる。彼こそが「グンサー・シュルツ」、シュルツ流軍学の祖となった人物である。

シュルツは本来画家志望だったが、絵では食えなかったため止む無く戦場画家*2に転身、その後才能を認められて参謀畑に転身したという変わり種だった。
彼はその巧みな戦術でガルカ傭兵の乱、バルクルム紛争、第二次コンシュタット会戦など数々の戦争を共和国の勝利へと導いたのだが、その戦術の基礎となった書物こそ、かのルンゴナンゴが遺した戦術魔道書だったのである。

最終的に第二共和軍団参謀長にまで出世したシュルツは、当時既に散逸していたルンゴナンゴの遺稿を拾遺し、自身の戦術や注釈を付けくわえて「戦術魔道大典・グリモア」として再編。
この書は以降シュルツの門下から出た弟子の系統、つまり「シュルツ流軍学」の軍師にとって必携の書となり、また彼らによって時代に応じた加筆・修正がなされ続け、より完成度を高めていくことになった。

更にシュルツはその弟子たちに対し、常に「知行合一」の心構えを説いていた。
知行合一とは、「知識は知るだけでは意味がなく、行動を伴うことで初めて完成する」という意味で、これをモットーとするシュルツ流の軍師は「単なる机上論ではなく、実戦に強い軍学者」として各地で重んじられることになった。

特に20年前のクリスタル大戦におけるシュルツ流軍学者の働きは特筆すべきもので、獣人血盟軍に対し質・量共に劣っていたアルタナ連合軍がなんとか持ち直し、ついには辛勝を修めるに至ったのは、彼らの働きによる所が小さくない。

しかし戦時中、シュルツ流軍学者の一人が学を追い求めるあまり「連続魔道士失踪事件」という反乱級の大スキャンダルを起こしたことで、戦後となると一転してその危険性が取りざたされるようになった。

こうして「狡兎死して走狗煮らる」の故事をその身で証明してしまった始祖ルンゴナンゴ同様、その遠い子孫のシュルツ流軍学者たちもまた、
各国から追放、投獄、関連書籍の禁書、焚書、甚だしきは暴徒によるリンチなどの様々な弾圧を受け、歴史の闇に消え去ってしまうことになった。



◆「学者48の必殺技」

気炎万丈の章(アビリティ)
次に唱える黒魔法のダメージを増加(初期値は1.2倍)する。
単純明快かつ強力な効果を持つ攻撃用アビリティだが、常にチャージ(グリモア関連アビの使用回数)がカツカツな学者では常用するというわけにはいかず、計画的なタイミングで使うのが一般的。


以逸待労の計(アビリティ)
敵にかかっている計略DoT(上述)の効果時間を半分にするが、時間当たりのダメージを倍増させる。
一見短期決戦向きのアビリティに思えるが、
「結局合計ダメージは変わらない」
「複数の学者が重ねがけしても1回あたりのスリップは10000が上限」
「アビリティ自体がレジスト(無効化)されやすい」
など数々の欠点があり、あまり有力なアビリティとは考えられていない。
しかしかつてはそうした制限が殆ど存在せず、またどんなに時間が短縮されても1回だけはかならずスリップが発生するという仕様もあって、
「学者10人による同時以逸待労でダメージ2×2×2×2×2×2×2×2×2×2×2=1024倍のスリップ」
という凄まじい戦術が成立していたことがある。
つまり計略の着弾ダメージが100だった時、10人の学者が同時に以逸待労をぶつければ、次のスリップは怒涛の99999(カンスト)ダメージということになり、当時存在したいかなる敵でも瞬殺できた。DoTとは一体……うごごごご
まあ当然ながら発覚した直後に修正され、すっかり微妙なアビリティとされてしまった。残念。


連環計(アビリティ)
効果時間中、黒・白の双方のグリモアのボーナスだけを受けた状態になり、グリモア関連のアビリティの再使用時間が全て0(使い放題)になる。効果時間は基本180秒。
メインジョブが学者の時だけ、しかも1時間に1回だけ使用できる「スペシャルアビリティ」である。
汎用ジョブとしての色が濃い低~中レベル帯ではそこまでドラスティックなアビリティではないが、局地戦用ジョブとしての側面が強くなるレベル99以上では一気に重要性が上がる。
天下無双の漢をハニートラップではめたりとか、人妻大好きおじさんをだまして船を鎖で繋いだりとかする計略の事ではない。


リジェネ(魔法)
味方1人を徐々にHPが回復する状態である「リジェネ」にする強化魔法。レベル5まで存在し、5は学者だけの特権。
学者が回復に関して白魔道士を上回る数少ない点の一つで、範囲化したこれを常時かけ続けられる点がヒーラーとしての学者の長所。


極光の陣(魔法)
味方1人に対して「光天候」の効果を付与する強化魔法。レベル1と2があり、どちらも学者専用。基本効果時間は180秒。
FF11にはの8つの天候があり、基本的にその属性の魔法ダメージ&命中率にボーナスがつくのだが、光天候だけは「ケアル」のHP回復量にもボーナスがつく。
これを自分に付与することでケアル効果に2割(レベル2だと3.5割)の増強効果を受けることが出来るため、他のジョブに比べて同レベルのケアルでもより高い回復量を出すことができる。


オーラ(魔法)
味方1人に複合強化状態「オーラ」を付与する強化魔法。学者専用の魔法で、しかも「連環計」の効果中のみ使用できる。効果時間は基本90秒。
オーラの効果は「リジェネ」「リフレシュ(徐々にMP回復)」「ヘイスト(行動速度短縮)」と至れり尽くせりの3種複合で、短枠の強化効果としては非常に高性能。


メルトン(魔法)
敵一体に闇属性のダメージを与え、同時にそのダメージに応じたDoTを与える暗黒魔法。オーラ同様、連環計の効果中のみ使用できる。
わかりやすく言えば計略の上位版だが、ダメージ量が別次元で大きく、条件によっては万単位の着弾ダメージ+怒涛のDoTをたたき出すまさに必殺兵器。
ただし大ダメージを出すための前提条件が色々と厳しく、そこに至るまでがかなり大変。


トゥプシマティ(武器)
FF11の最強武器の一つ「ミシックウェポン」に属する学者用両手棍。所得には膨大な時間と金(ギル)と手間がかかり、誰でも持てるようなものではない。
非常に攻撃な両手棍で、命中・魔法命中・魔法攻撃の3ステータスにバランスよく、しかも怒涛のボーナスがつく。黒魔道士に比べ敵対心(敵からの攻撃のされやすさ)にハンデがある学者には、敵対心-20%のおまけもうれしい。
装備中は専用ウェポンスキル(武器を使った技)「オムニシエンス」が使用可能になり、さらに使用後には「アフターマス」という強化効果が一定時間付与され、魔法性能がさらに上がる。


スカラーアタイア(防具)
ジョブLV60になると装備できる*3専用防具「アーティファクト」の学者版。
FF3の白と赤を基調にしたバロック調のスタイルとは全く異なり、前近代のアカデミックドレスを思わせる、より「学者」らしいデザインになっている。
このスタイルはFF14、メビウス、4戦士などにも受け継がれているため、最早FFシリーズの学者の基本モチーフとして定着したといってもいいだろう。
女性版はFF11において極めて少ない、というか初めての「ミニスカ」装備(絶対領域つき)で絶大な支持を集めたが、タルタル女性のみ男性と共通のパンツスタイルであったため、全世界から苦情が殺到したという。
性能面ではアーティファクトの中でもかなりの高水準と言ってよく、特に火力や回復力と言った単純な性能よりも、速度や命中率と言った運用面での強化が顕著。
ちなみにLV99になると、高レベル装備「アカデミアタイア」へと強化が可能。



◆「プレイヤー的な意味での学者の歴史」

※ここからはややディープな用語が登場します。


1 『危急存亡の章』

踊り子と共に鳴り物入りでデビューしたアルタナジョブの片割れだったが、デビュー当時の学者の性能は率直に言って「ポンコツ」の一言に尽きた。

「何が足りなかったの?」と聞かれたら、正直「何もかもが」と言うしかななく、ありとあらゆる面で設定ミス&調整不足のオンパレードだったのである。

一応ケアルは使えたのでレベル上げパーティでのヒーラーぐらいは務まらなくもなかったが、それでも赤や白の完全な下位互換、いや下手すると吟遊詩人や召喚士にも劣っているのでは?とすら言われた程だった。


2 『無明長夜の章』

とまあ誰の目にも明らかなガラクタ振りを露呈したため、それから1年ほどをかけて学者の調整&強化が進められたのだが……

結局のところ「劣化黒&劣化白&劣化赤」という点が全く変わらなかったため、どうにもパッとしない立ち位置から脱却することができないでいた。

その後ジョブバランスに大きな変化をもたらした『アビセア三部作』が実装され、レベル上限も75→99へとアップしたが、学者の地位はやはり変わらなかった……

……どころか悪化した超悪化した
というのもアビセア内では強化効果の影響でキャラのHPが数倍に上昇していたため、高レベルのケアルを独占していた白魔道士以外のジョブは、ヒーラーとしての機能を失ってしまったのである。

無論学者もその例外ではなく、唯一残されていた劣化白魔道士としての役割すら果たせなくなってしまう。


3 『起死回生の章』

こうした惨状がようやく変化を見せたのは、アビセア三部作が終わってからのこと。
その要因となったのは、開発側の学者に対する方針の根本的な変化だった。

実装されてから実に4年以上が経過したこの頃になって、ようやく開発チームも「黒魔+白魔÷2.5」という初期コンセプト自体に無理があったことに気づいたらしく、学者独自の要素を伸ばしていく方向性へシフトしはじめたのである。

そして手始めとばかりに実装されたのが、学者専用の強化魔法「オーラ」だった。
当時のオーラは現在よりもはるかに強化効果、特に前衛アタッカーに対するそれが高く、「前衛脳筋ゲー」と揶揄された当時のバランスにおいては凄まじい価値を持っていた。

これによって学者は一躍メジャージョブの一端に名を連ねたが、あまりにオーラの効果が高すぎて
「これが必須なゲームバランスになりつつある」「他のバッファー(強化ジョブ)の立場がない」などの様々な問題が露呈し、実装から1年後に大幅な弱体調整が施されてしまった。
こうしてオーラと共に始まった学者の黄金時代は、オーラと共にその短い歴史を終えることになった……


4 『捲土重来の章』

……かと思いきや、全然そんなことはなかった。
それから程なくして実装された『アドゥリンの魔境』の実装と共に、学者は更なる栄華の時代を迎えたのである。

アドゥリンのメインコンテンツとなった「メナスインスペクター」では、
「モンクや暗黒騎士戦士などの高火力前衛をなるべく沢山集め、吟遊詩人やコルセア、風水士などの強化を山盛りにして、被弾を厭わず火力全開で殴り殺す」
という脳筋の極致とも言うべきリンチ戦法が流行していた(というか当時のゲームバランス上、それ以外の方法が無かった)のだが、この戦法のキージョブとなったのが学者だったのである。

この「前衛バーン」戦術には、当然ながら「敵の反撃に対してどう対応すんの?」という問題が残る。
基本的にFF11ではタンク以外のジョブは敵の攻撃に耐えられるようにはできておらず、格上からの大技なんか喰らったら一撃昇天という事態も少なくないのだ。
防御を捨てた前衛アタッカーが敵の周囲に密集するこの戦術では、特にその危険が高く、これを放置していては戦術がそもそも成立しなくなる。

これを解決するのが、学者が(サポートジョブを黒か暗にして)使う「スタン」、特に冒頭で触れた「疾風スタン」だった。
学者がスタンによって敵の大技の発動をキャンセルし、いわば敵をサンドバッグにしてしまうことで、防御面の問題を解決したのだった。

こうして学者は代用の利かない必須ジョブとなったが、しかし当の学者たちがそれを喜んだかと言うとそうでもなかった。
というのもこの「スタナー」というポジションは、他のポジションと違って「失敗=壊滅」という極めて重い責任を持たされており、かつ「スタン」のタイミングも極めてシビアだった。
「発動ログを見てスタンして下さい(猶予時間1秒~2秒)」なんてのはまだ序の口で、
「敵が構えた時点でスタンしてください(猶予時間0.3秒~0.5秒)」とか、
酷い場合は「発動を予測してスタンしてください(!?)」などと中の人にニュータイプ能力を要求してくるケースすらあったのである。

瞬きすらはばかられるような画面の注視を長時間にわたって要求され、しかも一度でも失敗すれば戦犯確定という精神的負担はなかなかにきびしいものがあった。
「人気ジョブにはなったけど、あんまりうれしくない」という学者もかなりの数に上ったという。


5 『有頂天外の章』

やがてアドゥリンも半ばになると、隆盛を極めたこの前衛バーン戦術も「スタン耐性の強化」「敵の火力のさらなる強化」「専門のスタナーが入らない少人数コンテンツの増加」などの様々な対策が入り、急速に最前線から消えていくことになる。

そうした前衛バーンに代わって台頭してきたのが、度重なる強化で絶大な火力を獲得した黒魔道士だった。
だが黒魔道士の火力源である「マジックバースト」には、その前段階として技連携という特殊なコンボが必要不可欠だった。

当初この技連携を担当するのは遠隔アタッカーである狩人だったが、間もなくして「震天動地の章」を用いた魔法によって技連携ができる学者の方が、より効率がいいことが判明。

それまで前衛アタッカーのお供として必須の存在だった学者が、今度は一転、黒魔道士の理想的パートナーとしてその地位を不動のものとしたのである。尻軽女め!


6 『千軍万馬の章』

その後、学者・黒魔道士によるマジックバースト戦術は「(相棒であった)風水士の弱体化」「魔法耐性を持つ敵の増加」などの修正を受け、かつての絶対的な地位こそ退いたものの、いまだに強力な戦術として最前線の一角を担っている。

おまけに「最速のスタナー」「リジェネ特化ヒーラー」としての機能も全く失っていないため、主流コンテンツや戦術の変化によって、再びそうした側面が表に出てくる可能性をも秘めている。

とまあそんな具合に、アビセア以降の強化で「学者にしかできないこと」がかなりの数に上っている以上、当分の間その地位は盤石だと考えられている。



◆「有名人」

「あら、ご客人なんて珍しい。もしかして、「シュルツ流軍学」を学びに来たのかしら?」

「アーリーン」Erlene (NPC)

ヒューム♀。20年前の世界におけるアルタナ連合軍の参謀の一人(エルディーム古墳担当)。
恐らく最も出番が多い学者NPCであり、学者のジョブを所得する際も彼女にお世話になることになる。
奇人変人が揃っているシュルツ流の学生にしては珍しく常識的な人物で、人当たりもよい。あとスカラーアタイアを装備しているので、当然ながら絶対領域完備。
現代ではその姿は見られないため、戦後の軍学者に対する弾圧に巻き込まれて刑死、もしくは獄死した可能性が高い。
と思われていたが、『アドゥリンの魔境』で、顔と名前を変えて神聖アドゥリン都市同盟に逃げ延びていたことが明らかになる。



「師曰く「兵は詭道なり」なんですぅ~。」

「アーデルハイト」Adelheid Sturm (NPC)

ヒューム♀。20年前の世界におけるバストゥーク共和軍団の参謀総長
シュルツ流らしく前線での情報収集に力を入れており、重職の身にありながら第二共和軍団偵察隊を率いて自ら前線に赴くこともある。
……と書くとなんだかものすごくかっこいい系のクールで知的な女性を想像してしまいそうだが、性格は……まあ、上の台詞のような感じの女の子である。 つまり大変にウザい。
大人数バトルコンテンツ「カンパニエバトル」では味方NPCとして参戦するが、初期の学者の迷走っぷりを全力で体現したような性能をしており、無駄行動ばかりではっきり言って弱い。
ちなみに学者として唯一フェイスに採用されているが、こちらでは行動ルーチンが改善、というか全く別物になっておりそこそこ使えるように。



「待ってください。その前に、ひとつ確かめたいことがあります。」

「ニコラウス」Nicolaus (NPC)

ヒューム♂。20年前の世界におけるバストゥーク大統領直属特務部隊「ミスリル銃士隊」の一人。
歳は若いがシュルツ流の中でも俊才としてその名を知られており、明晰な頭脳だけでなく魔法の扱いにも優れている。
基本的にクエスト(ストーリー)にのみ登場するキャラだが、「火曜バスペンス劇場」とも称されるミステリ仕立ての過去バスクエでは、ミスリル銃士隊の知恵袋として探偵役に近いポジションを務めているため、大変に出番が多い。



「人はみな仮面をかぶって生きている。でなきゃ、そいつは獣だ。……けれど、考えたことはあるかい?どっちが、本当の自分だろう……ってね。」

「ゾルクアゾルク」Zolku-Azolku (NPC)

タルタル♂。20年前の世界におけるウィンダス連邦正規軍「戦闘魔導団」の一つ、「天秤戦闘魔導団」の団長。
正確に言えば彼はシュルツ流の軍学者ではなく、本来の人格である白魔道士ゾルクアゾルク、別人格である黒魔道士アダルエーダルが1人の人間に同居しているという多重人格者なだけである。
……という厨二心をくすぐりまくる設定、さらにそのイカしたファッションセンスでタル好きのプレイヤーからの人気を博した。
カンパニエNPCとしても登場し、設定を反映してか白魔道士や黒魔道士しか使えない魔法も多数使いこなすという高性能学者になっている。
更に奥の手として、味方NPCとしては反則級の超技「デスネル」を持つ。これは範囲内の敵すべてに死の宣告効果という非道な技で、発動したが最後、ボス級の敵であろうがハエの様に落ちていくことになる。



「知的好奇心は学者の宝。大切にすることです。ただし、私のように限度を越えぬよう……。」

「シュルツ」Schultz (NPC)

20年前の世界におけるシュルツ流軍学者の一人。学派の祖であるグンサー・シュルツと同姓同名の持ち主で、またその名に恥じない恐るべき軍略の持ち主。
当時シュルツ流軍学の第一人者とされた男で、先述のアイリーン、アーデルハイト、ニコラウスなど、各国のシュルツ流軍学者はほとんどが彼の門下である。
その名前やたたずまい、思わせぶりな登場の仕方から、「どう見ても只者じゃないオーラ」がダダ漏れであるが、果たして……?





※「さあ、「知行合一」。追記に、修正に、軍学者の底力を見せてやりましょう!」



(他ジョブの項目へ)

【スタンドードジョブ】
戦士モンク白魔道士黒魔道士赤魔道士シーフ
【エキストラジョブ】
ナイト暗黒騎士・獣使い・吟遊詩人・狩人
【ジラートジョブ】
忍者竜騎士召喚士
【アトルガンジョブ】
青魔道士コルセアからくり士
【アルタナジョブ】
踊り子・学者
【アドゥリンジョブ】
風水士魔導剣士

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最終更新:2023年12月28日 18:23

*1 実際、ジョブの企画段階では学者ではなく賢者と呼称されていたらしい

*2 「戦争絵画」を描く画家のこと。軍に雇用されて戦場に従軍し、戦争を絵画にして記録を残す。

*3 正確には「全部位が」LV60で装備できる。学者の場合は手はLV52から、足は54、脚は56、胴は58から装備可能