ハイザック

登録日:2012/02/06 Mon 18:27:35
更新日:2024/04/08 Mon 10:53:31
所要時間:約 25 分で読めます





ハイザックとは、『機動戦士Ζガンダム』に登場するモビルスーツ(以下MS)の事。







【性能諸元】

型式番号 RMS-106
所属 地球連邦軍
ティターンズ
エアーズ市民軍
ネオ・ジオン軍
ジオン共和国軍
レジオン
海賊
宙賊
開発 地球連邦軍グラナダ基地
アナハイム・エレクトロニクス社 グラナダ支社
生産形態 量産機
頭頂高 18.0m
本体重量 38.7t
全備重量 59.6t
出力 1,428kw
総推力 64,800kg
センサー有効半径 8,900m
装甲材質 チタン合金セラミック複合材
武装 ザク・マシンガン改
ビームサーベル
ビームライフル(マラサイと共用)
ヒートホーク
3連装ミサイルポッド×2
シールド
メガランチャー
主なパイロット 地球連邦軍一般兵
ティターンズ一般兵
ネオ・ジオン一般兵
ジェリド・メサ
カクリコン・カクーラー
キッチマン
デーバ・バロ
サラ・ザビアロフ
アドル・ゼノ
マウアー・ファラオ
ピーターセン
パミル・マクダミル
イズル・スガ
コウ・ウラキ
チャック・キース
ベルナルド・モンシア




【概要】

ハイザックとは、地球連邦軍及びティターンズの主力モビルスーツである。

一年戦争終結後の連邦政府は莫大な戦費と戦災復興の為に常に予算不足であり、軍も既存のMSをマイナーチェンジして使っていた。
しかし敗戦を認められずに投降を拒否したジオン軍残党による散発的な襲撃は続いており、それらは依然として脅威であった。

これらジオン残党の脅威を排除するためにも連邦軍再建の必要性に駆られたことで0081年に軍の再建計画が承認。
更に0083年のデラーズ紛争を契機としたティターンズ結成によってMS開発が活発化。
その流れの中で開発されたのが、このハイザックである。

開発は地球連邦軍とアナハイム・エレクトロニクス社の共同。
自社による1からの設計ではなかったが、アナハイムにとっては初めての量産型MSである。

この辺りは『A.O.Ζ』で補完され、「連邦軍が採算性度外視の高性能試作機(RX-106)を開発、後から計画に参入したアナハイムが量産化の為のデチューンを担当した」ということらしい。


開発に当たって参考とされたのはザクⅡF2型とされ、ザクをベースに基本構造はジムというハイブリッドとして開発された。実際、胸部にはジムの特徴的なエアダクトがある。
大きめのバックパックや脚部スラスターの配置から、高機動型ザクⅡR-2型なども参考にされた可能性が高い。
まさに両軍の長所を掛け合わせた夢のMSである!





……となる筈だったのだが、両軍の技術は機体の基本構造だけでなく駆動系や電装系など何から何まで違っていた為、ただ単に技術を掛け合わせただけでは不十分であった。
故に欠陥も多く、最新鋭機というよりは「ザクⅡを連邦の技術で強化改造してみました」的なMSに仕上がってしまった。


特に「ビームライフルとビームサーベルを併用出来ない」という重大な欠点が有名。

これはビーム兵器稼働用の装置が1基しか付けられていないためである。
なぜそうなったかというと、本機は連邦系モーター駆動とジオン系流体パルス駆動の混合というムチャをしたために内部に余裕がなく、供給ケーブルは装甲外部を這わせてどうにか武装のドライブ用1基分を確保している状態なのだ(機体各所から露出しているパイプがそれである)。

ここで「ビームライフルはEパック式じゃないの?」と思った諸氏。その疑問はもっともである。
実際、使うだけならビームサーベルを同時に使用する事は可能だ。
事実として第26話でアドル・ゼノ曹長のハイザックがビームライフルとビームサーベルを両方使用している。

だが、当然ながらビームサーベル使用時はそちらにエネルギーを供給しなければならない。
もしこれがビームライフルの再充填中だった場合、エネルギー供給が不足して武器の安全ブレーカーが落ちてしまうのだ。*1
これはジェネレーターだけでなく、1基分の想定しかない供給ケーブル容量も問題となっていると考えられる。
逆に言えばライフルの再充填にさえ気を付ければ運用できるわけだが、戦闘中に余計な火器管理を行わせるのは負担でしかなく、パイロットにそんな事をさせるぐらいなら最初から択一を徹底させた方がマシという判断なのだろう。


ジェネレーターに関しても出力不足(定格出力を発揮できなかった)という説があり、その原因は先述した供給経路に起因すると共に、本来ならアナハイム側がハイザック用にグラナダ工廠が新型ジェネレーターを用意していたものの、連邦と地球系企業の癒着によってタキム社*2製のジェネレーターを採用せざるを得ず、このような結果に陥ってしまったとされる。*3
タキム社製ジェネレーター自体そのものは信頼性の高い高性能な代物なのだが、先述したように連邦軍と企業の癒着の為に無理矢理ねじこんだものであり、純粋な連邦系のジェネレーターではジオン系の技術が使われているハイザックには馴染まなかったのだ。

ただし、ハイザックカスタムのようにジェネレーターを換装した機体もあったので、途中で何らかの改良がされた可能性はある。



以上のようにいくつかの欠点を抱えていたものの、逆にそれ以外では優れていた面も多い。

旧型の量産機より高性能を実現しつつも、ザク譲りの生産性、汎用性、操縦性の良さを保ち、それでいて軽量化、プロペラント積載量の増加、バーニア・スラスター技術の発展などによって機動性の向上にも成功。
ジェネレーターやパーツを連邦純正にした事で整備性や安定性、他の機体とのパーツの互換性や同時運用と言った面においても優秀であったと思われる。*4
量産機としては初めての全天周囲モニターとリニアシートの採用などの意欲的に技術を導入した結果として、ジムのマイナーチェンジに過ぎず、凡庸な性能に落ち着いたジムⅡや既に旧式化していたジム・クゥエルから連邦軍及びティターンズの主力の座を奪ったことからもこの機体に秘められた優秀さが窺える。

グリプス戦役も終盤に差し掛かった頃にはマラサイバーザムなどの優れた量産機が登場したが、それらは様々な要因によって配備が進まなかったこととハイザックの扱い易さから新兵をはじめとして愛用したパイロットは多かった。


余談だが、実はジムⅡとの明確な優劣の設定は存在しない。
だが、あちらが双方の陣営に大量に供給されたのに対し、ハイザックはエリート部隊たるティターンズに優先配備された事からジムⅡよりは高性能と考えていいだろう。
ハイザックのパイロットも「時代は変わったんだ!オールドタイプは失せろ!」と仰っていたことだし…
実際に乗ったパイロットのほとんどが扱い易さを褒めているので、恐らく操縦性や運用面といったスペック表に現れない部分で秀でているのかもしれない。


ちなみに、ザクそのものの外観になったのはザクⅡを参考にジオン系技術を導入したことでモノアイセンサーを採用し、尚且つ「連邦がザクを使っているぞ!」と残党に連邦が戦争の勝者であることをアピールする為……

というのは建前で、実際には「ジオンが残したザク系のパーツや生産施設を流用可能にすることでコストが削減できるから」というなんだか悲しくなる理由である。
この時期の連邦軍はジムガルバルディ、果てはザクキャノンなどの旧式機を近代化改修して使っているくらいには厳しい台所事情だったのだ。

当然ながらどストレートにザクそのものという外見は自軍の兵士からの反発を招き、ジオン残党からはかえって怒りを買うのでは、という懸念もあった。
しかしいざ配備が始まると、陳腐化していたジムⅡよりも優秀で扱い易いハイザックは好評をもって受け入れられ、主力MSとして各地への配備が進んでいったのである。
元々、連邦軍には一年戦争序盤に鹵獲したザクでジオン軍と戦ったベテランや、一年戦争を経験していない若いパイロットには訓練や仮想敵役等でザクに搭乗した経験がある者も多く、ザクが主力となり得る下地があったとも言えるだろう。

また「ジオンの残党からは怒りを買うのでは」という懸念もジオン共和国の軍人*5やティターンズ残党を取り込んだレジオンなど、実際にハイザックを扱ったジオン系の組織からは意外に好評だったのだから面白いものである。


なお、ティターンズ機は隊長機であってもかつてのザクのようにブレードアンテナは付かないが、一部ゲーム作品やジオン共和国軍の物には角付きが存在している。




【武装】

ザクを参考にした為か、全ての武装が選択式になっており固定・内蔵武装が無い。

  • ザク・マシンガン改
ザクを代表する武器だった120mmマシンガンの改良型。
性能が向上した以外にもセンサーの規格が連邦軍の物に改められている。

上記の欠陥によりビームライフルとビームサーベルを同時使用が出来ない為に用意されたが、この時代では火力不足気味。
とはいえ、劇中でリック・ディアスの腕やネモを破壊するシーンがあるので、ビーム兵器に比べれば物足りないだけで相応の威力はあるようだ。


  • ビームライフル
    型式番号:BR-87A
Eパック式のビームライフル。出力は2.2MW。
高火力だが連射も可能。

元々はゲルググのビームライフルを参考にボウワ社が開発したという設定だったが、
ゲーム『めぐりあい宇宙』に登場したアクト・ザクが全く同じ物を持っていたために
一年戦争時にジオンがアクト・ザク専用に開発したものをEパック式にしてバージョンアップしたもの
ということになった模様。

ハイザック専用ではなく、アクト・ザクマラサイジェガンもこのライフルを使用している。
また、バーザムのビームライフルも装備できる。


  • ビームサーベル
マシンガン装備時の近接白兵戦用武器。腰部ラッチに装備されている。
特に変わった機能は無い。


  • ヒートホーク
ビームライフル装備時の近接白兵戦用武器。
供給出来るエネルギーの容量が増えた為にザクのそれに比べて刃が大きめに改良されている。
だが、ある程度通用するザクマシンガン改と違ってこちらはと完全に時代遅れの代物と化しており、Zガンダムにもなると背後から直撃させても傷一つ付けられなかった。*6
しかしエネルギー消費量が抑えられたので意外と愛用したパイロットは多かったという。


  • 3連装ミサイルポッド
腰部ラッチに装備される3連装×2基のミサイル装備。
これ自体にもラッチがあり、これを装備する時はそのラッチにビームサーベルやヒートホークをセットする。


  • メガランチャー
超長距離攻撃用の大型メガ粒子砲。
非常に強力な兵器だが、発射には外部からの電力供給が必要な欠陥品。
マラサイやバーザムなら単機でも使用出来るらしい*7が、ハイザックの場合は砲手以外にも電力供給用にもう1機が必要となる。

一発発射するだけでエネルギータンク役のハイザックが行動不能になる程燃費が悪いが、それだけに威力は凄まじいものがあり、遥か遠方のテンプテーション級シャトルが跡形もなく消滅してしまうほど。


  • シールド
ザク系特有の右肩固定の物と、連邦系に多い左腕マウント携行式の2種を持つ。
携行式の物は裏側にライフル用のEパックを2つ内蔵出来る。
少々小型だが防御力は十分で、従来の連邦製MS同様に左腕で扱うので取り回しも良く、ジムから乗り換えたパイロットには好評だったそうな。
新訳Ζでは百式が奪って使用するシーンがある。

右肩の物は使われる場面は少ないが、ガンダムMk-Ⅱのライフル(おそらく通常出力射撃)を防げるだけの防御力がある。


  • その他
ジム・ライフルやハイパーバズーカなど、連邦軍製の火器は概ね使用可能。
この他、一部のジオン共和国軍仕様や宙賊の機体はシュツルム・ファウストやザクバズーカを携行していたりバックパックをマラサイ、両腕をジムⅡの物に換装したりしていた。




【劇中での活躍】

グリプス戦役序盤から終盤までのあらゆる局面で登場した。
戦争初期はジェリドやカクリコンなどのエースパイロットが搭乗してしばしばエゥーゴと激戦を繰り広げたが、中盤以降はMSのインフレについていけず、目に見えてパワー不足であった為、ヤザンのような人物からはガラクタ扱いされる等酷評されていた。

まぁ、つまるところヤラレメカだったのだが、バーザムなどと違ってエースパイロットや名前付きのパイロットが操縦していたりしたので、案外活躍は多かった。
Ζガンダムの登場した中盤以降もモブパイロットが2機がかりとはいえ、ビームサーベルで肉薄するシーンもあり、決して悪い機体ではないことが見て取れる。
またダカール演説の際にはなんとあのΖガンダムを騙し討ちとはいえあと一歩の所で追い詰めたことさえあった。

その後はジムⅢが配備され始めた為に活躍の場を追われてしまったが、月のエアーズ市がティターンズ残党を迎えてエアーズ市民軍を結成していたり、ダカールを占拠したネオ・ジオンが鹵獲した物を使用、グレミーの反乱時にもマラサイやアッシマーと一緒に反乱軍に参加している様子が確認されている。*8

グリプス戦役以後の連邦軍の装備更新が終わった後は大量に余ったようで、その殆どがジオン共和国や民間に払い下げられた。*9
また、入手経路等は不明だが、*10ラプラス戦争時にはクラーケ・ズールを奪おうとした宙賊や、ジオン残党軍と海賊との抗争で使われているのがわかる。

その一方で、連邦軍でアグレッサー部隊が演習の仮想敵として運用している機体もあり、UC外伝「アクロス・ザ・スカイ」に教導隊「レイヴン隊」にも配備されている。


『0083』のリブートである漫画『機動戦士ガンダム0083 REBELLION』ではデラーズ紛争終結後の第16巻以降に登場。
コウとキースがオークリー基地で重力下での運用試験を行う様子が描かれ、ハイザックの掌から朝日を見据えるコウのカットでコウ・ウラキの物語は幕を閉じた。

第17巻以降はティターンズ入隊後のモンシアの物語となり、その搭乗機として主役機の座を射止めた。
だが、ハイザックをグラナダで生産していたことからネオ・デラーズ・フリートを名乗るテロリストによってコロニー落としの標的にされてしまう羽目に……




【設定の変遷】

本機はいつの間にか高水準の性能という事になっていった同時期の量産機ジムⅡと比べ、設定の上積みが少なく相対的にやや不遇な立ち位置に落ち着いている。
その意味では、何かと曖昧な設定や後付けで前後するジム系列のあおりをモロに受けたMSの一つとも言える。

そもそも、コストパフォーマンス、操作性、整備性といった量産機の長所はジムⅡと丸被り。
開発やロールアウトもだいたい同じ時期であり、後の資料ではジムⅡの必要性や優秀性が強調される一方、ハイザックはビーム兵器同時運用不可という補えない欠点ばかりが目立つ形になっていった。
Zガンダム放映当時の資料でも「質量比の問題」、「ジェネレーターの出力不足」と曖昧だが、
いずれにせよビームライフルとビームサーベルを同時に使えないのはもはやハイザックの特徴・個性と化していると言ってよく、改修機はともかくロールアウト時の本機のコレは後付け設定でも取り除くことができない。

そしてそんなハイザックはジムⅡより優れていると断言できないにもかかわらず、生産数で劣り、しかもティターンズに優先配備されたという事になる。
ジムⅡが両陣営に供給された以上、ティターンズとて比較した性能は把握できて然るべきなのだが…。
まあ名ばかりエリートの寄せ集めで目が節穴と断定するならば矛盾はないし、
逆に性能不足を見抜いたからこそ「キミ…最近エゥーゴと仲良いんじゃない? ちょっとお話しようか…」になったと想像する事もできる。




【カラーバリエーション】

ハイザックは所属によってカラーリングや外観に多少の違いがある。

◆地球連邦正規軍カラー
通常の連邦軍各部隊が使用する物は青紫系の塗装が施されている。
これはザクに忌避感を持っているであろう一年戦争の被害者や連邦寄りのスペースノイド勢力への配慮とされている。

サラミス級サチワヌ所属機*11やブラン隊*12などのティターンズに吸収された部隊などではそのままのカラーで使用されるケースもあり、新訳Ζでもドゴス・ギアに配備されている様子が確認出来る。


◆ティターンズ・ジオン残党討伐部隊カラー
ティターンズが使用するタイプはザクⅡよりも濃い目の緑色。
わざわざジオン軍を思わせるカラーリングなのは、演習で仮想敵役が多かったことと、ジオン残党への心理的効果を狙ってのことらしい。
皮肉な事に、そのティターンズ兵がネオ・ジオンに投降してそのままジオン側で使用していたりネオ・ジオンに接収されてネオ・ジオンやジオン残党軍等のジオン系組織やジオンとは何も関係ない海賊や宙賊等でそのまま使用されてたりするのだが。


◆ティターンズ・別部隊カラー
いわゆるティターンズカラーの機体。
本編には出てこないが、『A.O.Z』に登場している。

また、『新訳ZⅢ』にはハイザックカスタムと同色の機体がゼダンの門近辺で確認されている。


◆ジオン共和国カラー
グリプス戦役当時はティターンズの傘下に置かれていた為、ジオン残党討伐部隊と同じカラーリングだった。

しかしジオン系の組織が散々やらかしたためか宇宙世紀0096年時には連邦政府にジオンカラーにすることを禁じられ、白無垢やグレーなどロールアウトカラーのまま使用している。
こちらの登場は小説版『ガンダムUC』のみで、現状映像作品では確認出来ない。

なお、ジオン共和国軍仕様は旧ジオン軍と同じ仕様になっているのか、連邦系のハイザックには見られない頭部ブレードアンテナ装備の機体が確認されている。


◆レジオンカラー
火星にて火星独立ジオンとシノギを削るレジオンでは真紅で塗装されている。
これは炎を表し、レジオンのイメージカラーでもある。


◆グレミー軍カラー
一瞬の登場だが、グレミー軍のMS部隊の中に同軍のシンボルカラーである灰色で塗装された機体が登場している。


◆レイブン隊カラー
連邦軍の教導部隊であるレイブン隊がアグレッサー機として運用するものは同隊のシンボルカラーである漆黒に塗装されている。




ハイザックのバリエーション

ハイザック試作型
マリン・ハイザック
マリン・ハイザック(RX-106M)
アクア・ハイザック
ハイザック・カスタム
アイザック
ホビー・ハイザック
ハイザック先行量産型
バイザックTR-2[ビグウィグ]
ハイザック・キャノン
ハイザック ケラウノス所属機
ハイザック[ヴァナルガンド]
ハイザック レジオン鹵獲仕様
グラン-ザック
ローザック
アドバンスド・ハイザック




【余談】

ネオ・ジオン系技術者達はこの機体をザクの後継機とは認めず、己の技術の威信をかけてザクⅢという正統な後継機を造り上げた。*13

ドーベン・ウルフと次期量産機の座を争ったが、MSがバ火力化していたこの時代では「汎用性なんてお呼びじゃねーんだよ!」と言わんばかりにド―ベン・ウルフ(元はガンダムMk-Ⅴ)が採用されるという屈辱を味わう。なおこのザクⅢ、更に上層部が「量産機だったらティターンズから接収したハイザックやマラサイや俺達作ったドライセンガルスJいるからこいついらないんじゃね?」と判断して量産が見送られたという説もある。
さらにその後のジオン系組織が用いたギラ・ドーガギラ・ズール、RFザクはどれもハイザックの血を引く機体であった。ザクⅢ開発者涙目である。

ハイザックは連邦系の勢力からジオン系の勢力に流出した物も少なくなかったが、意外と好評だったようで……
ジオン共和国の軍人達は連邦から払い下げられたハイザック・カスタムを「ザクの直系」として誇り、
火星に逃れたジオン残党のレジオンはティターンズ残党から接収したハイザックを「連邦からザクを取り戻した」として好意的に受け入れられ、改修・量産までしている。
また反ティターンズ組織「ケラノウロス」もハイザックを使用している。





ゲームでの活躍】

最初期よりZガンダム枠で参戦。
武装がそのシリーズごとに異なり、少なくともワールド及びオーバーワールドではヒートホークとビームライフルとミサイルポッド、ジェネシスではビームサーベルとザクマシンガン改となる。それ以前では連邦軍仕様とティターンズ仕様で武装が変わる事もある。
性能は決して高いものではなく、マラサイに劣りゲルググより少し強い程度。ゲーム開始当初はそれなりに厄介な敵になるだろうが、自軍ユニットを揃えるなり育てさえすれば只の雑魚ユニットに過ぎない。
自軍で運用するのなら、ハイザックカスタムなり他ティターンズMSに開発していくのが無難。一応、ジェリド搭乗機部隊などの拘りがあれば使ってもいいが……。


  • バトルオペレーション2
コスト400で参戦。原作の装備+ハイパーバズーカを選択式で装備できるが、ビームライフルとビームサーベルを両立させることもできる。
性能はそこそこといった具合で、特段強みも無ければ弱みもないため初心者が使っても問題無い。
武装選択も、集弾性とよろけ値で優秀なザクマシンガン改と、マガジン式なのでオーバーヒートが無いので弾数管理がしやすいビームライフル。威力と補正値で勝るビームサーベル、発生と武装切替の速さに優れるヒートホークと、自身の好みで選べる拡張性の高さも魅力的。
カラーリングも、調整すればホビーハイザックやジオン共和国軍の色調に合わせられる。


機動戦士ガンダム Extreme vs. 2で、バウンド・ドックのアシストとして参戦。
ミサイル発射と突撃の二種類があるが、ミサイルは弾速が遅く実用性は無い。
リロードがかなり速いという利点こそあるが、総じて並のアシスト以下という評価が正しいだろう。

GUNDAM VS.ではプレイアブル機として参戦。パイロットはサラ・ザビアロフかジェリド・メサ。
100発もあるザクマシンガンの総弾数に、ビームライフルやトマホーク投擲など基本武装は揃っている。
力不足感が漂うコスト200帯において、無視できない武装の豊富さとダイブシステムとの相性の良さは輝くものがある。

意外にも登場回数は非常に少ない。

初登場はScramble Commanderで、序盤の雑魚敵として登場。
性能はザクⅡと同程度で、これといった特徴もない最弱クラスの敵。

Scramble Commander 2ndでも前作と同様。

Zでは、連邦軍カラーの青い機体も登場。
いつものSRPG形式のスパロボで登場するのはこれが唯一である。
やはり性能は最弱クラスだが、序盤はジェリドやカクリコンが乗って登場することもあり、その時は多少強くなっている。
自軍が数も質も不十分な時期であり、ライラのガルバルディβやファントムペインのガンダム達といった強敵も同時に登場するので、所詮ハイザックと侮らないように。

X-Ωではいつものように雑魚敵として登場する他、イベント報酬でも登場し、自軍で使用可能。パイロットはジェリド。
イベント報酬機では唯一のレアリティUC(下から2番目)であり、同じイベントで同時編成不可のガンダムMk-Ⅱ(黒)やガブスレイも入手できるので、使う価値はない。
というか、貧相な性能に、SSRではないのでパイロットパーツ育成や超改造もできず、どんなに愛があっても戦力として使うことはできないだろう。

また、ホビー・ハイザックが新やDDでイベントのマップアイコンでのみ登場。

最初のビギンズ・キューブ序盤の雑魚敵として登場。
MSでは最弱であり、敵全般で見てもネタキャラガヴァドンしか下はいない。
また、シナリオ上ではウルトラ・キューブでマスターガンダムが主催した武闘大会リジェス・ファイトにティエレンとチームを組んで参戦していた。
雑魚量産機2人でなんと無謀な…と思いきやなぜか5回戦辺りまで残っていた。しかし、ヒーローチームを始末しようとするグランドガンダムの砲撃の巻き添えになり、クール星人アイロス星人とともに始末された。

ハイザック・カスタムもウルトラ・キューブのウルトラタワー内部で雑魚敵として登場。
普通のハイザックとは異なりそこそこの能力を持つ。

また、ホビーハイザックが終盤のヴェーダ・キューブや隠しダンジョンのカオス・キューブ最下層で出現。
防御力が高くすぐ逃げるが、倒すと多量の経験値を得られる所謂メタルスライム枠である。

地球連邦、ティターンズだけでなく、意外な事にジオン系の勢力でも開発可能。
ザクの発展形扱いで、ザク改があれば改造でハイザックにできる。
ちなみに地球連邦のみ、青色が開発可能である。
マシンガンかビームライフルか選べるがマシンガンの方が使いやすい。
開発すれば射程2のビームが撃てるハイザックカスタム、
異常な移動速度で、索敵ができるアイザックが開発できるようになる。
どの勢力でも、使い勝手の良い機体なので作って損はない。
マラサイ?ああ、マラサイも作れるよ。しかし性能がねぇ…




ガンプラ

1/144、1/100、HGUC、MGで発売。
旧作にはマシンガンとヒートホークとシールドしか付属しないが、1/144は武器セットにビームライフルとビームサーベルとミサイルポッドが入っている。
しかし腕の動力パイプのパーツがただのゴムチューブで、
腕を曲げるとチューブが浮き上がるうえに外れてしまう。
いっそのことチューブを付けない方がマシとまで言われるレベルであった。
1/100はジェリドのミニフィギュア付き。

HGUCは可動は改善されているが、武器がマシンガンとシールドしかない痛恨のミス。つまり近接武器がない。
一応武器セット(要接着、塗装)のヒートホークとビームサーベル、ミサイルポッドは流用可能。
また、腕部パイプ(パワーサプライヤー)が設定画と異なるアレンジにされてるのも問題か。
これは当時の技術がまだ未成熟だったこともあるが。
ただし、ティターンズ、連邦の2色が発売されていて、他にもバリエーション機のアイザック*14も発売されている。
そして令和の時代に入ってなんとホビー・ハイザックがAOZ版デザインでHG化。こちらは福岡のGUNDAM SIDE-Fでの限定販売となっている。
更には2024年にはそこから派生したと思しきハイザック・カスタムもAOZ版デザインでの立体化が発表されている。

完全なハイザックを求めるならMG一択だろう。



玩具など立体化商品

玩具版はハイコンプリートモデル、モビルスーツインアクション、ハイコンプリートモデルプログレッシヴにて確認されている。

ハイコンプリートモデルではティターンズカラーと連邦軍カラーの二種類が発売。付属武装はマシンガンとヒートホーク、シールド。モノアイは集光式で後ろから光を入れると発光する。余談だが連邦軍カラーはティターンズカラーよりもかなり遅れて発売されている。

モビルスーツインアクションではティターンズカラーと連邦軍カラーが通常ルートで発売。マシンガン、ビームライフル、ビームサーベル、ヒートホーク、ミサイルポッド、シールドが付属しており、完成度もかなり高い等、かなりのお薦めレベル。

ハイコンプリートモデルプログレッシヴではティターンズカラーのみ発売。武器はマシンガンとビームサーベル、シールドのみだが、カミーユ・ビダンの母・ヒルダが入れられたカプセル(劇中でジェリドが撃ち抜いたソレ)やサラ・ザビアロフが使っていた白旗という変化球入った付属品が付いている。

また、SDガンダム黎明期のプラモデルとして、カワルドスーツという変形するプラモデルにもラインナップされている。後のスタンダードであるBB戦士等にはラインナップされていないのでこの辺はかなり珍しい。





追記・修正はハイザックの欠陥を直してからお願いします。

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最終更新:2024年04月08日 10:53

*1 MG版組立説明書より。この時代の量産MSでEパックの自力充填はできるのか?という疑問もあるが、時間をかければ可能なのだろうが、シールド内部に交換用予備Eパックを配置してる辺り相当に出力余裕が無いと出来ないのだと推察できる。

*2 RXシリーズやジム系MSのジェネレーターを開発した企業

*3 異説あり。逆に本来タキム製でAEがねじこもうとした説などもある。

*4 実際「袖付きの機付長は詩詠う」でも、ジムⅡの両腕を装備した宙賊のハイザックがいた。

*5 ジオン共和国はMSの新規開発を禁じられていたのでパイロットの選択肢が近代化した旧式機か連邦に押し付けられたハイザックしかないということもあったが。

*6 第41話より。フライングアーマーは大気圏突入に必須の装備なので、耐久性が滅茶苦茶高かったから通用しなかったのだ…と信じたい。

*7 ただし、『AOZ』でバーザムが使用した際はメガランチャーにハイザックのボディのジャンクを括り付けたなんちゃって単独使用だったが。

*8 なお、サダラーンがダカールに停泊しているシーンでザクⅡと一緒に並んでいるシーンがある。

*9 装備更新が早すぎではないか?と言われる事もあるが悪名高きティターンズの主力MSだったので軍部のみならず民間からのマイナスイメージが強かったのも理由のひとつだろう。

*10 ただ、海賊が「ダカールやトリントン戦の後でジオン残党や連邦のMSを奪った」と海賊自らが言っているためジオン残党から奪った物の可能性もある。実際海賊の中には、ガルスKやマラサイ、ザクキャノン、ザク・マリナー、ズゴック、ザクⅡ改、ジムⅡ、ジムⅢ、ネモ等のダカールやトリントン戦に参加した機体が多く確認されている。

*11 初登場時からティターンズ所属だが、乗員の制服やハイザックのカラーを見るにティターンズに接収されたと思しい。

*12 所属先のオークランド基地がティターンズに鞍替えした。

*13 もっとも、開発に携わったAEグラナダ支社の母体は旧ジオニック社なので、そういう意味では間違いなくザクの正統な子孫である。

*14 ハイザックの金型を流用しているため「なんちゃってハイザック(逆も可能)」を作ることも可能