ヌート・ガンレイ

登録日:2017/10/31 Tue 10:22:00
更新日:2024/03/23 Sat 00:21:14
所要時間:約 20 分で読めます






「油断するな。ジェダイを見くびると痛い眼に遭うぞ……」


ヌート・ガンレイ(Nute Gunray)とは、SF映画『STAR WARS』シリーズのエピソードⅠ~Ⅲにかけて登場した宇宙人である。
演じた俳優はサイラス・カーソン氏。日本語吹き替え声優は鈴木勝美氏。


当時の銀河系でも最も裕福な組織の一つ「通商連合(Trade Federation)」の総督(ヴァイスロイ)。
種族はニモーディアンである。

●目次

【ニモーディアンとは】

惑星二モーディアを起源とする昆虫型ヒューマノイド種族。芋虫を思わせる質感の灰色または緑色の肌に、鼻も耳も唇も無い頭部と、赤またはオレンジ色の目が特徴。

生まれた直後は芋虫のような姿をしており、7歳まで一つの巣の中に閉じ込められ、そこで大勢の兄弟とともに育つ。
しかし僅かな餌しか与えられないため、兄弟の大半は餓死し、餌を蓄える知恵と忍耐力を持った者だけが生き残り、巣から出ることを許される。
この幼少期の経験ゆえに、彼らは本能レベルで生き残るための執念とへの忌避感、臆病さと慎重さを持つようになる。

その性質故に戦闘や肉体労働を嫌い*1、商業や頭脳労働に従事する者が多く、「殺人的」とも称されるビジネス手腕で成功を収めて種族全体としては裕福な存在となっており、銀河中に◯◯・ニモーディアと名の付く数百もの植民惑星を持つ。

ちなみに、キャド・ベインの種族であるデュロスとは同じ先祖から枝分かれした種族らしい。
見比べると「目は赤一色」「鼻のない顔立ち」「細身で長身が多い」「のっぺりとした肌」など、似ている点は多い。


【概要】

もともと通商連合自体、星間貿易や運輸業といった銀河の交易を一手に担う超グローバルな企業複合体である。
その組織力のすさまじさはそんじょそこらの惑星国家を軽く上回るレベルで、一企業なのに銀河共和国の議員を選出できるほど。
現実世界でも小国のGDPを遥かに上回る年商・資本金を持つ世界的大企業が幾つも存在するが、例えればそれらの企業がむりやり国連に議席を持っているようなものである。
エピソードⅠの時点で通商連合首脳部はニモーディアンに占められており、ガンレイはその代表である。

そしてその背後には、シスの暗黒卿ダース・シディアスがいた。


【来歴】

◆総督就任まで


通商連合ぐらいの巨大組織となってくると、有力な幹部というものも当然増えてくる。
ガンレイもそうした幹部の一人だったが、ほかのライバルたちに対してそこまで力の差があったわけでもなかった。
本人の手腕は群を抜いていたものの、それと抱えている組織力は自ずから別の問題である。

そんな彼に、ダース・シディアスが接触。
ほかの有力なライバルをシディアスの手のものが暗殺して、ガンレイを総督に就任させる。
その代わり、ガンレイはシディアスの壮大な野望のために、通商連合の力を投入する――という契約を結ばせた。
ガンレイは呑んだ。
かくして、ガンレイは通商連合において盤石な体制を築き上げ、同時にシディアスは強大な組織を手に入れることに成功した。

エピソードⅠ

ナブー危機


ところで通商連合の権力は、腐敗が著しかった。

もっとも、通商連合はその特性上、銀河共和国ともべったりの組織である。
銀河共和国自体が救いようもないほど腐敗していたのだから、通商連合が清廉潔白な組織であることなど、望むべくもなかったとはいえる。

貿易を一手に握るゆえに関税を好き勝手に掛けて大量の資金を稼ぎ、貿易特権をちらつかせて反対者を黙らせる。
莫大な賄賂を要路に撒いて、悪事を犯しても塗りつぶす。
更には財力にモノを言わせてバトルドロイド武装商船を中心とした私設軍隊を作り上げ、反発する相手には実力行使をも辞さなかった。
一応弁護すると、宇宙は事故も多いし、こと辺境では治安の悪い星も多いので、自警組織を作ること自体は違法ではない。ただ通商連合の戦力は度を過ぎていた。

ガンレイもそうした通商連合の特性は継いでおり、そのビジネス手腕は「殺人的」とも形容されている。


そんな通商連合に対して、とうとう銀河共和国議員の中から対抗意見が噴出。
通商連合が支配する貿易ルートへの課税が議題に上がった。
……実は「議題に上がった」だけで可決されたわけではない。そもそも通商連合は議員を正式に出しているから当然反対するし、なにより当時の共和国は組織が巨大化しすぎた上に腐敗しており、法案一本すらまともに通らないありさまだった。
放っておいても、通った可能性は低い。

しかし、シディアスはここでガンレイに強行策に打って出るように命令。
法案審議への抗議として、辺境の惑星ナブーを武力封鎖するという挙に出た。
一つの星を単独の企業が経済制裁したわけである。

ガンレイ自身も旗艦ルクレハルク級「サカック」にて陣頭指揮を執った。

これに対して、銀河共和国は延々と議論を繰り返すばかりで、救助も対策もさっぱりできない。
そもそも課税法案すらが宙に浮いてしまっている。


そんな状況を見かねた銀河共和国最高議長フィニウス・ヴァローラムは独断でジェダイ評議会に掛け合い、二人のジェダイ――クワイ=ガン・ジンオビ=ワン・ケノービを特使として派遣し、調停させることになった。
これがエピソードⅠの始まりである。
なお例によってこの辺の事情は冒頭のテキストでさらっと流されるだけなので、EP1はナブー危機に至る経緯がよくわからない、などと言われることもある。]
実は、ガンレイ自身は本気でナブーを攻略したり、ジェダイや共和国と事を構える予定はなかったようである。
しかし、この頃から彼と通商連合は、彼らの利益よりもシディアスの野望のために振り回されていく事となる。


ガンレイVSジェダイ


ともかくジェダイの派遣はダース・シディアスさえ予想外だった。
しかしシディアスは更なる強行策に出ることを命令。ガンレイに「ジェダイを殺し、ナブーには軍隊を上陸させて占領しろ」と命令した。
このときガンレイは「それ違法では?」と微妙に反論しているが、影法師から「余が合法にするから心配するな」と一蹴されている。
なお部下たちは「ジェダイの相手など御免被る」「この企み、失敗です!」と完全に降伏ムードだった。そりゃ閣下も「その腰抜けのツラ二度と見せるな」と言いたくもなる。

やむなくガンレイは特使を通した部屋に毒ガスを流した上、念のためドロイド一個小隊を派遣。ついでにハンガーに駐機していた特使を乗せてきた船も乗員もろとも破壊した。
だが、ジェダイ二人は手持ちの装備で毒ガスを突破、逆にドロイド部隊を蹴散らし、完全に敵と認定したガンレイたちを目指して攻め込んできた。


……しかし、ここでガンレイも腹をくくる。

ハーコ「これまでにジェダイを相手になさったご経験は……?」
「いや無い。無いが……ブリッジを閉鎖しろ!」
「その程度ではとても……」
ドロイディカ*2を呼べ!」
「とうてい彼らにはかないません……」

いつまでもヘタレてグダグダ嘆く副官ハーコを完全に無視して矢継ぎ早に指示を出していくガンレイ。
さらに門前にまで切り込んだクワイ=ガンがライトセーバーで扉を破ろうとするが、

「ブラストドア閉鎖!」

とすぐに分厚い隔壁を閉ざす。
しかしクワイ=ガンのライトセーバーは通常のものよりも高出力であり、長時間押しつけることでブラストドアを融解させ始めた。

「破られる!? そんな馬鹿な……!」

もはや時間の問題…さすがに動揺するガンレイだが(ハーコはもっとビビッてました)、彼が事前に打った手は生きていた。



ガランッガラガラガラッ!!

オビ=ワン「マスター、新手です!!」



間一髪、彼が手配していたドロイディカが駆けつけたのである。
この強力なドロイド相手に、クワイ=ガンたちは適わず撤退。
しかしガンレイの初動対処があと少しでも遅れていれば、彼らの負けはここで確定していたといえる。

ちなみにハーコは「とうてい適いません」とか言ってたくせに、勝ったとなったら「ドロイディカにはお手上げのようで」愛想笑いを浮かべていた
…ところで半分溶けたブラストドアって簡単に開けられるのかな?

その直後、今度はナブーから通信。
アミダラ女王直々に「特使が来てるだろう。おまえらの負けは決まりだから覚悟しろよ」と(意味のあるのか疑わしい)糾弾を受ける。

実はこのタイミングでアミダラからの通信が届いたことはガンレイにとってまったく予想外の出来事で、特に対策があったわけでもない。
しかし彼はとっさに「特使など来ておりませんが……何かの間違いでは」と虚勢を張ってやり過ごしてのけた。なかなかの胆力と言えよう。
劇場版ではアミダラも泰然と返していたが、ガンレイが堂々と言い切ったものだから内心「えっ!? 話が違う?」と焦っていたらしく(小説版では顔に出してしまっている)、そそくさと通信を切ってしまった。ナブーの大臣たちもハッタリと見抜けず、初動対応が大いに遅れることとなった。


一方、ハーコもハーコで驚いていた。
シディアスは「議会はこっちでなんとかする」と言ってはいたが、その通信からまだ時も立っておらず手は打てていなかったからである。
つまりシディアスの援助も見込めぬまま、銀河共和国の特使など来ていないとホラをふいたわけだ。
そういうわけで、「よろしいのですか……? 元老員は決して……」と日寄るハーコに、


「もう手遅れだ!!」


ついにガンレイは開き直ってキレるのだった(実際ハーコは全然活躍していないし)。

結局「攻撃を感付かれたでしょうか……?」と話題を逸らすハーコに「どうかな!(知るか!)」と一蹴したガンレイは、すぐさま通信の封鎖と強襲揚陸部隊の投入を決行。
ナブー側の判断ミスも重なり、瞬く間にナブー占領とアミダラの捕縛を完了した。


「これで勝った……」


ジェダイの暗躍


しかし、彼の強襲もただ一つの穴があった。
ジェダイ二人は撃退こそしたものの、まんまと逃げられたのである。それどころか強襲艇でナブーに潜り込まれてしまった。
しかも、アミダラ女王の救出とナブーからの脱出を許してしまう。

ガンレイ側としてはここまでやってしまった以上、アミダラを捕えて「この占領政策はナブー側との合意のうえで行なったものです」と一筆したためさせないと、どう弁解しても納まらなくなってしまう。
そのアミダラに逃げられたのだから追跡しなければならないのだが、広大な宇宙で船一つ探すのは不可能に近い。

それに対して、シディアスは弟子ダース・モールを派遣。
「アミダラたちの捜索はこちらでやるから、おまえらはとりあえずナブーを支配しておけ」と命じられる。

通信が終わってから、ガンレイとハーコは恐ろしい同盟者が二人もいることを知って戦慄するのだった。
そして彼らの戦慄は、十数年後に的中する。

そして当面動きを取れなくなったため、ガンレイらは物語からフェードアウト。
このとき、ガンレイらに脅された大臣が「通商連合軍の暴政で、虐殺が起きている」との通信を送っていたが、そのシーンや死体が無いため真偽は不明(アミダラの不安を煽るためのブラフの可能性もある)。
彼らが再び本格的に動くのは、アミダラが帰ってきてからである。


決戦


共和国議会でヴァローラム議長への不信任決議案が提出されて少し後、
密かにナブーへ帰還していたアミダラがグンガンと和解し、その軍団を投入して正面から攻め込んできた。
しかし数と武装では通商連合のドロイド軍のほうが圧倒的に優位であり、ガンレイたちはシディアスの許可を受けて、主力軍を投入する。

「攻撃を、お許しいただけますか」
「奴らを殺せ。一人残らず」

……しかし、この正面から攻め込んだグンガン軍は囮であり、手薄になった宮殿にアミダラ、クワイ=ガン、オビ=ワンらを中心とする少数部隊が潜入していた。
彼らはさらに二手に分かれ、一隊はスターファイターを奪ってドロイドコントロール艦の撃沈、一隊は宮殿奥深くに侵入してガンレイら通商連合首脳を捕える、という作戦を展開した。
どちらかでも成功すれば、通商連合軍は破れる。

この時点で、ガンレイは投入した大軍のほとんどを遠くグンガン軍の撃破に投入しており、残る戦力はわずかな予備兵力と、なにを考えているか分からないシス卿ダース・モールだけだった。
最大の脅威と言えるジェダイ二人にはダース・モールが当たるものの、二対一という事情やジェダイの強さもあって一進一退。

しかし、ガンレイは乏しい予備兵力を集中し、アミダラが直卒する突入部隊を圧倒し始めた。
地形を知り尽くしている突入部隊は窓を破るなどして突き進むものの、十字路に出たところでガンレイが一斉投入したドロイディカに包囲され、捕縛されてしまう。

さらにドロイドコントロール艦もスターファイター部隊に対して優位に立っており、さらに平原ではドロイド軍がグンガン軍を壊滅に追い込んでいた。
そして、前後してダース・モールはクワイ=ガン・ジンを撃破。

捕えたパドメ・アミダラを眼前に引き立てたガンレイは、ついに勝利を確信した。


「反乱ごっこもこれまでですな女王。協定書に署名して元老院の論争を終わりにしましょう」


「総督!」
「!?」
「そなたこそおしまいです!」


その瞬間、階下で戦っていたパドメの影武者が率いる一隊が到着した。

実はこの時点まで、アミダラ女王は影武者を使い分けながら行動していた。
そしてガンレイと応対していたアミダラ女王は、ほとんどが影武者のほうだった。
つまり、ガンレイは本当のパドメ・アミダラを知らなかったのである。
さすがにガンレイは頭の回転が早く、パドメが影武者を使っていたことを瞬時に見抜いた。しかし……


「あっちを追え!! こいつは替え玉だ……!!」


咄嗟のことで、いままで自分が見知っていた影武者のほうを「本物のアミダラ女王」と勘違いしてしまった。
その隙に、「替え玉」と見なされ注意がそれたパドメが玉座に隠されていたブラスターを引っ張り出して猛反撃。
影武者たちも猛攻をかけ、逆にパドメによって扉を締められ王室に閉じ込められてしまう。

「では総督、話し合いと参りましょうか」

皮肉にも、ガンレイは彼自身の判断の速さが仇となって、捕えかけたパドメに捕え返されてしまったのである。

さらに、もう一人の切り札だったシス卿ダース・モールも戦死。
相前後して、ドロイドコントロール艦だった「ヴーチュン・パーラ」(サカックから指揮権移譲)も当時十歳のアナキン・スカイウォーカーにより轟沈し、軍は壊滅。
ガンレイたち通商連合幹部は逮捕され、首魁であるガンレイも失脚した……









かに思われたが、なんと四度の裁判で「有罪」の判決を受けながらも通商連合総督の座を守り抜いた。つまり敗戦して敗訴したのに失脚しなかったのである。
築き上げた莫大な財力を賄賂に注ぎ込んだためとされるが、それでも敗者を裁く戦争裁判を失脚もせずに切り抜けた力量はさすがといえる。
しかも、侵略に使ったことで軍縮を命じられたはずのドロイド軍団や保有艦艇も、ドロイド工場は辺境の惑星に移設し、艦艇については解体したと見せかけて、分離合体機能を組み込んで将来に備えるという脱法行為で切り抜けた。
ガンレイに科せられたのは敗者への戦争裁判と制裁であったはずだが、それをここまで骨抜きにしたガンレイの政治手腕は、単なる賄賂の力だけでは説明がつかない。

とはいえ、それでもなおガンレイと通商連合が味わった屈辱と打撃は大きく、彼はパドメへの復讐を胸に雌伏した。
なお、この時期にナブーへの嫌がらせをかねて惑星の核にいる巨大怪獣を突然変異させたりしていたらしい。


独立星系連合への参加



「ナブー選出の議員はどうなっておる……まだ死んでおらんのか」

さて、ナブーの敗北から十年後、通商連合の新拠点の一つ・惑星ジオノーシスに一人の老人が現れた。
元ジェダイマスター、ドゥークー伯爵である。

かつてジェダイ騎士団の重鎮として知られたドゥークーは、共和国の腐敗とそれを愚直に守る、しかも傲慢になりつつあったジェダイのあり方に異を唱え、銀河共和国に反対する分離主義運動の指導者となっていた。
しかし一見高潔なその行ないも、真相はかつてガンレイを操っていたシス卿ダース・シディアスの弟子となっており、その指示を受けてのものであった。

ドゥークーはコマースギルド、テクノユニオン、インターギャラクティック銀行など銀河系の有力企業に協力を要請し懐柔しており、その一環としてガンレイら通商連合も招かれていたのだ。
ガンレイは参加する見返りとして「パドメの死」を求めており、ドゥークーは腹心の賞金稼ぎジャンゴ・フェットを用いてその依頼を果たそうとしていた。
つまりエピソードⅡ冒頭でパドメを殺そうとしていた黒幕はガンレイだったのである。
パドメ暗殺は失敗に終わったものの、ドゥークーは続行を約束。
ガンレイも分離主義運動に参加し、十年間増強を続けていた強大なドロイド軍団と艦隊、莫大な資金力でもって、分離主義勢力から発展した独立星系連合を支援することとなった。

しかし、ガンレイは少なくともシディアス卿とは面識がある。
つまりガンレイは「ドゥークーの背後にシディアスがいる」ということを知っていてもおかしくはないのだが、映画ではその辺りははっきりしない。
もっともエピソードⅢにてガンレイはダース・ヴェイダーと化したアナキンを見ても「なぜお前がここに」的な反応を一切せず迷いなく「ヴェイダー卿」と呼んでいるので、後には分離主義の黒幕を改めて教えられていたのだろう。


しかし、ガンレイがアミダラ議員暗殺を依頼したからといえばこじつけになるが、彼らの動きは潜伏していたオビ=ワン・ケノービによって発見されていた。
もっとも、彼は間もなくドロイディカに敗れて捕えられ、救援に訪れたアナキン・スカイウォーカーとパドメ・アミダラまで捕まってしまう。三人はジオノーシスのアリーナで猛獣により処刑させることにした。
ガンレイにとっては願ってもない復讐のチャンスであり、特に因縁のパドメが背中を裂かれて苦悶したときには横向きながらガッツポーズをかましている。
「(無言でグッ)」

が、三人ともそれぞれ激しく抵抗し、猛獣の一匹はアナキンに支配され、パドメを狙っていた猛獣も倒されてしまう。
まだ一番強力なカマキリのような化け物はオビ=ワンを圧倒していたものの、劣勢と見た彼はジャンゴ・フェットを出そうとするが、ドゥークーに制止される。
「ええい、こんな予定ではなかった……ジャンゴ! 女を殺せ!」
ドゥークー「まあそう焦りたもうな。じっくり楽しめ」

とはいえ直後にドロイディカが投入され、パドメたちもここまでかと思われたのだが、そこに二百人のジェダイが出現。
「ジオノーシスの戦い」が始まった。
もともと最前線でどうこうできるような人物でもないので、アリーナでの乱戦では流れ弾にビビるのと、ドゥークーの背後にいるぐらいしか目立っていない。

クローントルーパーの大部隊が現れた時にはジオノーシスの司令部に戻り、ドロイド部隊の指揮をとったが、その場にいる全ドロイド軍の物量でもクローンとの質の差は覆せず、手遅れになる前にと脱出した。
(ガンレイ自身は最初に「全軍を投入するしかないぞ!」と猛攻を掛けようとしたがドゥークーから「かなわない」と制止された)


◆クローン大戦


この時期には独立星系連合の組織面の大幹部として、ドゥークー伯爵、グリーヴァス将軍に続く重要人物として活躍した。
各地で抵抗する独立星系連合の兵力も主力は通商連合のバトルドロイドであり、ガンレイの活躍は大きかったといえる。
一度は捕えられたこともあるが、シディアス、ドゥークーは愛弟子アサージ・ヴェントレスを派遣してわざわざ救出させていることからも、彼の重要さは見て取れる。
(口を割ることを恐れたと言うこともあるが、口封じに殺してしまわなかったことを見ると「まだ生かしておくべき相手」と見られていたことは間違いない)


エピソードⅢ

しかし分離主義勢力軍事面のリーダーであるグリーヴァスとはとにかく仲が悪く、向こうが「総督の頭を叩き割る命令を待つ」といえば、
ガンレイも「ドゥークー伯爵が死んだいま、おまえの『安全』なんか信じられるか」と面と向かって言い返す関係だった。
グリーヴァスは生半可なジェダイを瞬殺するほどの武闘派で、対してガンレイはクローントルーパーを不意討ちなら倒せるレベルでしかない。
にもかかわらず面と向かってグリーヴァスに啖呵を切るあたり、なかなか根性が座っていると言わざるを得ない。

一方、表向きの最高指導者であるドゥークーのことはちゃんと尊敬し従っていたようで、グリーヴァスとの不仲もドゥークーの生前はそこまで決定的に紛糾はしなかった。
上記の発言も、ひっくり返せば「ドゥークーなら信頼できた」と言っているに等しい。


しかし戦争は全体としてみれば独立星系連合が劣勢であることは変わらず、さらには「コルサント奇襲作戦」の失敗からドゥークーとグリーヴァスが相次いで戦死してしまう。
これによりガンレイが独立星系連合のまとめ役となったが、その本部は辺境も辺境、火山の惑星ムスタファーに移る始末で、ガンレイは苦境に立たされた。


だが移転直後にコルサントでパルパティーン=ダース・シディアスが皇帝に就任し、まさかの一発逆転が決められた。
「閣下の計画通り事は運んでおりますぞ」
「苦労をかけたなガンレイ総督。余の新しい弟子、ダース・ヴェイダーがそちらに着くが、そなたらも楽になれるだろう」
ガンレイの長年の苦労が報われるときがついに来たのである。
そう、報われるときが……

「ようこそヴェイダー卿。お待ちしておりました」
笑顔を浮かべて出迎えるガンレイ。
だが、ヴェイダー卿(=アナキン)の金色の眼は、凶暴な殺意の光を放っていた。




報われるときとは、楽になれるとは、「用済みとして処刑される」と言う意味であったのだ。


野望を実現させたシディアスにとって、最早ガンレイ達は用済みであり、逆に戦争の真実を知っていてシディアスの陰謀を暴くリスクを孕んでいるのも有り、このまま生かしておいては自分の立場が危うくなるため、口封じに処刑されるのは当然の話であった。

フォースによって扉を閉じ、退路を塞いだヴェイダーはおもむろにライトセーバーを起動し、次々と幹部たちや衛兵たちを殺していく。
「よせ……やめろ……!」
怯えるルーン・ハーコも死んだ。
シディアスが銀河皇帝として歴史に残る大演説を打ち、ヨーダとオビ=ワンがライトセーバーにより殺されたパダワンたちの姿に愕然としているまさにその時、ガンレイたち幹部は抵抗することもできずに虐殺されていったのだ。

死の間際、命乞いではなく、主と仰いだシディアスに対する疑問を叫ぶガンレイ。
「戦争は終わった!! シディアス卿は、平和を約束した! 我々の――――」
だがそこまでだった。


万雷の拍手の中、自由が死んだまさにその瞬間、「見えざる脅威」の立て役者だったヌート・ガンレイもまた命を落としたのである。




その後乗り込んだオビ=ワンとヴェイダーの死闘の中、物も言わずに横たわる姿が、彼の銀幕における最後であった。




【補足】


死の間際のシス卿への訴えは、映像版では返事もなく殺されたが、小説版では「平和(ピース)」ではなく「ばらばら(ピース)にする」と言う意味だ」とアナキンから明かされる。
あ、悪趣味すぎる……。

映画版でアナキンが返事をしなかったのは、小説版では「暗黒面の無限のパワーに開眼して調子づいたから」だったのに対し、映画版では「無力なガンレイたちを虐殺することに激しい呵責を抱きながらも、それを懸命に押さえ込んで暴れ回る」と描かれており、とてもこのようなジョークを口にできる精神状態ではなかったため。
実際この場面のアナキンは映画版では一言も口を利いておらず、またガンレイを殺した直後はムスタファーの溶岩を見つめながら涙を流し、ジェダイの道を、そして人の道さえも完全に外れ、それでもシスとして前に進むしかないことを胸に刻みつけるという、非常にシリアスな場面となっている。
「ガンレイの虐殺」と「ジェダイ虐殺犯をオビ=ワンが悟る」が同時に進行することからも、ガンレイとジェダイをともに「シスの犠牲者」「アナキンがヴェイダーに変わるための生け贄」として描いたのだろう。

彼の作ったドロイドも、彼の死後ヴェイダーにより機能停止させられている。

通商連合を初めとする独立星系連合に参加していた大企業も、ガンレイたちが粛清されたのちに勢力を大きく減らし、銀河帝国の公営企業として組み込まれたとのことである。

ガンレイたちは「日本人がモデルなのか」と言われたことがある。が、その理由が「たどたどしい英語」「金儲け主義者」=「テンプレ日本人」という類推だそうで……(実際はタイ人の話し方がモデル)。

公開当時はジャー・ジャー・ビンクスが引き合いに出されるぐらい「不人気」だったらしい。しかしガンレイは悪役なので、その意味ではむしろ「悪役として成功した」と言えるだろう。

ちなみに演じた俳優はジェダイマスター、キ=アディ=ムンディと二役だとか。と言っても半分着ぐるみのガンレイなので似ているとかは感じない。




「閲覧を感付かれたでしょうか……?」
「どうかな! とにかく、追記・修正の支度にかかれ!」

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • STAR_WARS
  • スター・ウォーズ
  • ヌート・ガンレイ
  • クローン大戦
  • クローンウォーズ
  • 通商連合
  • 総督
  • 分離主義勢力
  • 独立星系連合
  • 不人気な悪役 ←悪役冥利
  • 商人
  • 強欲
  • 小心 ←?
  • 有能
  • サイラス・カーソン
  • SW
  • 鈴木勝美

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月23日 00:21

*1 もっぱらドロイドや下層階級の仕事である模様

*2 翻訳だとドロイデガスと読んでいる。これは複数形の呼び方を固有名詞と間違えたため。