レ・ミゼラブル

登録日:2012/01/07(土) 00:23:33
更新日:2023/05/10 Wed 09:44:57
所要時間:約 3 分で読めます




ヴィクトル・ユーゴー作の小説。

主人公のジャン・ヴァルジャンが罪人から聖人として天に召されるまでを描いた長編。
度々メディア化されており、特に日本でもロングランとなっているミュージカル版が有名。
また日本では、レ・ミゼラブルの登場人物であるコゼットを主人公にアニメが放映されたりもした。
もちろん、我らが『世界名作劇場』(BS復活版)として。


あらすじ


主人公ジャン・ヴァルジャンはパンを盗んだ罪で19年ものの間、牢獄に居た。
パンを盗んだ理由は、兄弟達の飢えを満たしてやるため。
彼は貧困であったが為にパンを買えなかったのだ。

長い牢獄生活で憎悪に満たされた彼を暖く迎えてくれたミリエル司祭であった。
恩を仇で返すように彼は盗みを働いた。
警備隊に掴まり、獄に戻されるという寸前で司祭は彼が盗んだものを「私が与えたものだ」と彼を許した。
司祭の情愛によって彼は改心し、長い年月をかけて、別の街にてマドレーヌ氏という偽名と市長と資産家という地位を得る。
ミリエル司教の説いた「正しい人」になる為に……

だが、彼の過去を知る男ジャヴェールや貧困にあえぐ女フォンティーヌの出会いにより、物語は変化を迎えるのであった………


登場人物


  • ジャン・ヴァルジャン
この物語の主人公であり、元徒刑囚の男。
ミリエル司教の情愛により改心し、正しい人であるよう努める。
19年ものの獄中生活により、卑劣漢となったりもしたが、根は間違いなく善人。
ちなみに19年の監獄生活は脱獄を幾度も重ねた結果、刑期がのびたからである。

改心してからの彼は聖人と呼ぶに相応しい人間になる。
過去を隠し、マドレーヌと名乗って市長となるがジャヴェールに正体がバレてしまい、引き取ったコゼットを連れて逃亡生活をしていたが彼女の結婚を機に姿を消した。
物語終盤でコゼットとその夫と再会し、彼らに見守られながら天に召された。
遺体は彼の遺言通りにペール・ラシェーズ墓地の片隅に埋葬され、墓石には何も刻まれなかった。
その墓石には何者かが彼の生き様を示す四行詩を記した跡があったという。

  • ミリエル司教
悪墜ちしかけていたジャン・ヴァルジャンを救った最大の恩人。
地元の名士でありながら給料も住処も最小限で慈善活動に尽くす無私の人である。
登場は作品冒頭のみだが、ジャン・ヴァルジャンの人生に絶大な影響を与えたキーパーソンであり、
ジャン・ヴァルジャンも彼から与えられた銀の燭台だけは死ぬまで手放さなかった。

  • ジャヴェール
ジャン・ヴァルジャンの過去を知る警官。
法の守護者としては優秀だが、人としては何処か抜けている。
他人にも厳しいが自分にも厳しい。
ヴァルジャンを追ううちに彼の正しさに触れて自分の正義を疑問視するようになり、川に身を投げて自殺する。

  • フォンティーヌ
コゼットの母親。
畜生以下の存在であるテナルディエに頼ってしまったが為に娼婦にまで墜ちた。
ジャン・ヴァルジャンによって救済され、娘のコゼットを彼に託した。

  • コゼット
フォンティーヌの娘。
テナルディエによって虐待されていたが、ジャン・ヴァルジャンによって助けられる。
それ以来、彼を父のように慕う。
革命の中心メンバーの1人であるマリユスと惹かれ合い、後に結婚する。
別作者によって描かれたミゼラブルの後日談とアニメでは主人公になった。
アニメの彼女は可愛い、本当に可愛い。

  • テナルディエ
宿屋を経営している。
人間の悪い部分を凝縮したように卑劣で、コゼットが病気にかかった等色々と理由を付けてフォンテーヌから養育費を巻き上げていた。
2012年に公開された映画版では悪人ではあるがどこか憎めない脇役としてシリアスな展開を和らげる。
ファーストネームは不明だが、夫妻であり、二人の娘と一人の息子がいる。
娘の片割れと息子の方が別人な程に良い子である。
物語の中盤辺りでは見事に墜ちた姿を見せてくれる。

  • エポニーヌ
テナルディエ夫妻の長女。
マリユスに想いを寄せていたがコゼットに惹かれる彼に想いを告げることなく革命に参加し、兵士の銃撃からマリユスを庇って致命傷を負い、彼の腕の中で息絶えた。

  • ガブローシュ
マリユスらと共に革命に参加する陽気な浮浪児。
実はテナルディエ夫妻の息子でエポニーヌの弟。
幼いながらもジャヴェールがバリケードに潜入していることを見抜くなど活躍するが兵士の死体から弾薬を回収しようと外に出た際に射殺された。
12歳の若さで命を散らした彼の死は多くの人々に悼まれ、冷徹なジャヴェールでさえも動揺する素振りを見せた。

  • マリユス
革命の中心となる青年達の1人。
コゼット(16歳)の落としたハンカチ(本当はヴァルジャンさん60代)をクンカクンカスンスンして興奮する変態さん。
というのは冗談として、コゼットをただひたすら愛する姿は気持ち悪いぐらい情熱的。
終盤、恋心との間で葛藤しながらも市民革命に身を投じる姿はかつての作者自身がモデル。
革命で負傷したがヴァルジャンに助けられて一命を取り留め、コゼットと結婚する。

  • アンジョーラ
青年達をまとめるリーダー的存在。
作者ユゴーが「天使」「女神」と形容する絶世の美青年で、民衆達を演説によって団結させ、先導するカリスマ性も持つ。
バリケードが陥落した後も最後まで戦っていたが、兵士に追い詰められ射殺される。
彼の最期は各媒体で細部が異なるが、どれを取ってもカッコいい名シーンである。

  • グランテール
革命に参加する青年。
彼らの集会場所である居酒屋で常に酒を呑んでいる不真面目な男として描かれている。
その為アンジョーラからは良い印象を持たれていないが、当の本人はほぼ彼目当てで革命に参加するほどアンジョーラに心酔している。
本人に「君を信仰している」とのたまうくらいである。
革命が勃発してからは居酒屋で酔い潰れていたが、目を覚ましてアンジョーラの元に駆け付け、彼と和解を果たして射殺された。
なお醜男という設定だが映画版ではイケメン。
婦人にディープキスを仕掛けて椅子を奪うシーンは必見である。




ここに篭る、編集の荒波を生き抜きし人
追記・修正するものを失いしとき死せり
それも、自然のなりゆきぞ
昼のあとには夜が来るように


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最終更新:2023年05月10日 09:44