SCP-500

登録日:2017/10/10 Tue 00:22:14
更新日:2023/09/26 Tue 19:22:44
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今後、レベル3以下のSCP職員によるSCP-500の取り扱いを禁止。
これは二日酔いを治すためのものではない。エイズにでも罹ってから許可を得るように。―クレイン博士

SCP-500は、シェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト (SCiP) のひとつである。
項目名は『Panacea (万能薬)』、オブジェクトクラスはSafeである。


概要



どんな薬にも副作用は存在する。今回はそれが「作り方」だっただけさ。



SCP-500は、万能薬という名称が示す通り万能薬である。
服用すれば、服用者は2時間以内にあらゆる病気が治癒する。エイズだろうがSCPの影響だろうが完治する。
治療にかかる時間は、服用者の体調と病気の進行度合いによって変化する。
変質を避けるため、SCP-500は強い光を避け、涼しく乾燥した場所に保存する事が定められている。



SCP-500の性質はこれだけである。副作用や悪影響は一切ない。
SCPはどれもこれも曲者揃いで、良い点ばかりで無い物や、その代償が大きい物がゴロゴロある中でこれは珍しい事である。

唯一の欠点は、SCP-500が有限の数しかない事である。現時点での残りは47錠である。
自動的に補充なんていう都合のいい話はなく、いくら実験を重ねても、SCP-500の有効成分を再現する事は出来ていない。*1

それが故に、実験目的でも治癒目的でも、滅多な事では使用できない。
実際、管理が緩かった頃にDクラス二日酔いの治療に無断で使用してしまい、以後管理が厳しくなった。なお使用したDクラスは終了された。
SCP-038 (全てが生る木) で複製は可能であるが、治癒確率は30%となり、不治の病は60%の確率で進行を停止するが治癒はできない物になる。
ただしこれでも普通の薬よりよほど便利なのは間違いなく、財団では職員に使う際、オリジナルよりSCP-038の複製品を複数回使用する事を推奨している。
当然ながら、個人的な救急箱に常備したいという申請は却下されている。

申請書500

SCP-500と他のSCPとのクロステストでは以下の結果が示されている。
  • SCP-008 (ゾンビ病) : 末期状態に陥っても完治する事に成功。
  • SCP-038 (全てが生る木) : 上記の通り完全な複製には成功しなかった。
  • SCP-217 (時計仕掛けのウイルス) : 2錠使用されているが結果は示されていない。
  • SCP-208 ("ベス") : 比較試験に使用されたが、SCP-500の方が効果は上であった。
  • SCP-231 (特別職員要件) : SCP-231-4に対して使用。治癒そのものは成功し、SCP-██の痕跡を体内から全て排出することに成功したが…。
  • SCP-253 (感染性癌) : 申請は却下され実験されていない。
  • SCP-409 (伝染性の水晶) : 結晶化の停止と治癒に成功。ただし完治後も数日痛みは残った。
  • SCP-447 (緑のスライム) : SCP-447-2に5分間漬けたところ、SCP-500の効果に加え、服用者の息が新鮮なミントの香りになった。
「何を期待してこの実験を行ったんだ? 君は、真剣に、なにが起こると思ってた?」 - A. クレフ博士

SCP-914 (ぜんまい仕掛け) とは複数の実験が行われている。
  • SCP-500を入れて "Fine" に設定 ⇒ SCP-427 (冒涜的なロケット) が生成された。
  • SCP-500と白人女性を入れて "1:1" に設定 ⇒ 胸腔が巨大な口に変化した女性が生成。口からは神経毒のある舌が出ており、胃酸も強力になっていた。
  • SCP-500と白人女性を入れて "1:1" に設定 ⇒ リンパ節が高度に発達し、高度な治癒能力と停止もしくは遅くなった老化を示す女性が生成。ただし食欲がとても高まっている。


類似するSCP

SCP-500以外にも、病気を治癒する能力を持つSCPは複数存在する。ただし、これらの多くは代償が付き物であり、SCP-500を代替えするものではない。

SCP-208 ("ベス")

ライオンの鬣に類似した、幾分か毛の多いエジプト男性である。ナイルデルタの堆積物に犬神家状態で埋まっていた。
身体から特殊な電磁放射があり、これを浴びると急速に細胞の再生と再構成がもたらされ、健康になる。
治癒能力系のSCPとしては、悪影響がない珍しい存在であるが、SCP-500より治癒効果は劣るようである。
また、死刑囚のDクラスのような、本質的に悪意ある人物には本能的に逃走したくなるような精神的影響を与える。
SCP-208「でも俺はあっちよりちょっとはマシなジョーク言えるよ?」

SCP-269 (透析ブレスレット)

手首に装着すると、病原菌などの感染因子を透析してくれるブレスレット。これはエイズのような治療法の存在しない物も含まれる。
しかしながら透析を続けると、まず免疫系を透析し始め、挙句には赤血球や血小板と言った血液の重要成分も透析してしまう。
結果装着者は、急性貧血や血友病により死亡してしまう。
しかも、一度装着してしまうと、例え透析を始める前の段階ですら手を切断しなければ取り外せなくなる。
財団の発見時、SCP-269の製作者と思われる人は、エイズの治癒を主張し、その後死亡した。

SCP-407 (創生の歌)

未知の言語によるアカペラと思しき歌。
録音を再生すると、最初の1分間は健康状態が改善し、治療不可の物も含むあらゆる病気を治してくれる。
ただし、癌だけは健康状態の改善をもたらすが、治療してくれない。
しかしながら、再生を続けると、まず異常な細胞増殖を誘発し、続いて細菌や真菌の異常増殖を誘発する。
結果、再生を止めなければ、健康状態の改善にも関わらず、細菌と真菌に飲み込まれ死亡する結果となる。
また、現在SCP-407は、要注意団体の蛇の手によってバックアップを含め破壊されている為、そもそも利用が出来ない状態である。

SCP-427 (冒涜的なロケット)

SCP-914によってSCP-500から作り出されたロケット。
覆いを開くと光が発せられ、この光を浴びると病原体や毒物などを消し去る効果がある。
ただし、あまりに浴び続けると体組織の最適化が進行し、最終的にぐずぐずに崩れた凶暴な性格の肉塊と化してしまう。
この、口語的に "肉獣" と言われるSCP-427-1は危険性が高すぎて、Keterレベルに分類され、即座な殺害の対象となる。
しかも効果は累積する。SCP-500の代替品としての利用はあるが、最適化の進行は殺処分の理由になる為、厳密な使用時間を記録する必要がある。

SCP-596 (忌まわしき再生の像)

人の頭が付いたヘビのようなブロンズ像。
物理的に触れている人物は、驚くほどの再生能力を有し、ケガや傷から急速に回復する。
例え触れている手首から先が切断されても、その手首から全身が再生する程である。
ただし、接触すると像を離す事が不可能になり、像を自力で動かす事も不可能になる。
加えて、再生中は激しい痛みを常時感じるようになる。たちが悪い事に、鎮静等で意識を失うと再生しなくなるおまけつき。
唯一これを終わらせる方法は、他人が像に触れる事であり、その時点で先に触れていた人は離れる事が可能になるが、同時に死亡する。
すなわち、触れたが最後、再生こそするが、どうあがいても死亡するのである。
そこで財団は、治療目的以外の別の利用法を考案し、実行している…。

SCP-948 (希望)

ギリシャのとある島にある、元々はインフルエンザ患者の隔離用に作られた放棄された病院。
建物内に入った人は、幸福感および満足感を感じる他、精神的疾患限定であるが、3~7日の滞在で治癒する効果を得られる。
先天的および遺伝的な物ならば完全に治癒可能であるが、後天的な物は再発する恐れがある。
ただし、長く滞在しすぎると、徐々に正気を失っていき、言語能力や数学への理解が退行し、最終的には完全に本能にのみ従う野獣のような状態になってしまう。

SCP-500-KO (唯一の治療法)

とある製薬会社。様々な病気を治す薬を市販している。
しかし、その実態は現実改変によって元々わずかな症状しかなかった病気を生命に関わる病気にし、
更にはこれまであった治療法や他社の薬が全て無効となってしまい、この会社の薬を唯一の治療薬にするしかないという悪徳商法である。
財団が新たな特効薬を作る試みも失敗しており、未収容のままで終わっている。
(これゆえ、オブジェクトクラスはKeterである)

SCP-500-JP-EX (特効薬)

財団が発明した非異常性の乳児ワクチン。作用は全て現代医学で説明できるものである。
これを開発途上国に普及させれば、子供の病死を大幅に減らすことが出来る。首尾よく普及すれば世界中の人が先進国並みの生活ができるように導けるが、
同時に人口が大幅に増えることでSCPの初期収容時に記憶処理が追いつかなくなり、SCPの秘密が世間にバレてしまいかねなくなるというリスクを財団に負わせる。
そのため、対策が講じられるまでExplainedながらGevurah指定を受け門外不出の状態になっている。


追記・修正はSCP-500以外で二日酔いを治してからお願いします。


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最終更新:2023年09月26日 19:22

*1 SCP-1402"全てを暴露するブリーフケース"によれば、SCP-500の成分はアインスタイニウム、フルブラチウム、「錆びた懐中時計を砕いた物」であるとの事であるが、SCP-1402の性質上、元々内容が事実である保証はなく、強い放射性物質のアインスタイニウムや、財団世界でさえ存在しないフルブラチウムが挙げられている時点で疑わしい。