PoH(SAO)

登録日:2017/09/29 Wed 15:13:23
更新日:2024/04/11 Thu 14:23:00
所要時間:約 9 分で読めます




※この項目は、ネタバレが多分に含まれています。


イッツ ショウ タイム


PoHとは、ライトノベルソードアート・オンライン』に登場するキャラクターである。

CV:小山剛志(アニメ版)・岡本信彦(アニメ版少年期)/藤原啓治(ゲーム版)


◆概要

殺人(レッド)ギルド《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》、通称「ラフコフ」の首領。
黒ポンチョを被ったイケメンであり、強烈なカリスマ、少なくとも3ヶ国語を喋れるマルチリンガル、卓越した技術を持っている。特にカリスマ性は非常に高く、多くの《犯罪者(オレンジ)》プレイヤーを先導・扇動し、狂気のプレイヤーキラー(PK)に仕立て上げた。
SAOの世界で死んだプレイヤーは現実世界でも死亡するため、PKer=殺人鬼と言っても差し支えない。

「SAO最悪の殺人鬼」とまで言われており、次々とPKの手段を編み出してはプレイヤー間に広め、SAO最初期から暗躍するうちにその手腕に魅せられてしまったプレイヤーからカリスマ扱いされている。彼に悪影響を受けた人々も多い。

プレイヤーとしての技術も高く、ナイフを武器に様々なプレイヤーやモンスターを切り刻んだ。特にドロップ品でいわゆる《魔剣》の一つで「プレイヤーを攻撃すればするほどパワーアップし、モンスターを攻撃すればするほどパワーダウンする」という「人殺しに使ってください」と言わんばかりの特性を持つ《友切包丁(メイト・チョッパー)*1を入手してからは攻略組ですら手こずる存在となっていた。カーディナルェ…
キリト達から見れば不倶戴天の敵である。

ラフコフ壊滅後は捕縛者にも死者にもPoHはおらず、雲隠れした。


◆本編での活動

…とまあ、いかにもボス然とした風ではあるが、本編にはほぼ登場しない。
名前が初めて出てくるのが6巻『ファントム・バレット』であり、本人が登場するのは8巻『アーリー・アンド・レイト』の短編「圏内事件」でちょっと顔見せするだけ。

SAOクリア後も他のラフコフ幹部が事件を起こす中、本人は一切登場していない。どうやらラフコフ壊滅後はグリーン(一般プレイヤー)に戻って潜伏していたらしいという事だけが明かされており、アニメでは彼と思わしき人物がキリトとクラディールのデュエルを観戦している。

プログレッシブではまだ名前が明かされてはいないものの本人らしき人物が登場。まだ殺人事件は起こしていないが、既に怪しい事件を起こしており、キリトとも一度対面している。

ガールズ・オプスではトラップによりクリスタル無効エリアに飛ばされてしまったルクスを救い、彼女を潜入員としてラフコフにスカウトした。
因みにコミック版でPoHの素顔を描いたのはこれが初である。



※この先、《アリシゼーション》後章のネタバレを含みます。






















■ヴァサゴ・カザルス


◆概要

ガブリエルの部下で、VR戦闘の専門家。上司である彼を《兄弟(bro)》と呼び、直属部隊の一員として《オーシャン・タートル》を襲撃した。
「野性味溢れるハンサム」「努力次第ではモデルにもなれたのではないか」とか言われる程のイケメンで、PoHの正体。
ヒスパニックと日系人のハーフで、外人だらけでまともに日本語を喋れない部隊でガブリエルを除いて唯一日本語を喋れる。


◆本編での活動2

日本語を喋れるため、ガブリエルとともに《暗黒騎士》のアカウントを用いて《アンダーワールド》にダイブする。
《アンダーワールド》に入ってからはガブリエルの腹心として暗黒界で暗躍。《アンダーワールド大戦》が始まって以降は行方を眩ませていたが、こっそり人界軍の数人を暗殺していた。

そして補給部隊に到達するも、ロニエには勘付かれ暗殺には失敗する。
それでも素の実力で殺害しようとするも、ちょうどログインしたアスナの力で自分の足元に谷を作られ転落死。

8時間も気絶していたが、目覚めてからはSAOのアカウント《PoH》を利用してアンダーワールドに再ダイブ。

その際何やら凄絶な笑みを浮かべており……











































◆真の概要

アインクラッドから始まったソードアート・オンラインシリーズの真のラスボスであるPoHだが、その正体はどうしようもないレベルの人間の屑。
ここまで起こしたすべての行動はすべて「猿同士の殺し合いが見たい」がために起こしたものであり、特に目的があって殺害をしたわけではない。
つまりコイツはある意味殺人鬼ですらない。というかこいつと本当の鬼達を比べること自体が失礼ですらある。

要するに単なる愉快犯にして、「対立煽り」の究極系である。*2
「新世界を創造する」という野望を持っていた茅場、「真の強さを証明する」為に事件を起こした死銃、「魂の正体を確かめる」ことを人生の至上命題に掲げていたガブリエルのように(内容はともかく)壮大な目標を持っていた訳でもなく、また須郷アドミニストレータ達のように自負や矜持があった訳でも無い、そういう意味ではSAOラスボス勢一番の小物であり、上記のこれまでのSAOラスボス勢はおろか彼らと対決したキリト達主人公陣営のキャラ、引いては上記の端的な「悪質極まりない荒らし」という説明を含めれて言えば、「オンラインゲーム」をテーマとした「ソードアート・オンライン」という物語に対して存在そのものがそれらに対する『侮辱』そのものと言えるラスボス

ラフィン・コフィン壊滅劇に関しても、PoH本人が攻略組にはアジトをリークし、ラフコフ側には討伐隊が来ると伝えたことで起こった、完全なる自作自演。
自身は攻略組とラフコフの戦いをハイドして高みの見物を決め込んでいた。

そしてこの事件の目的は「攻略組を殺人者に仕立て上げること」。要はただの荒らしである。
つまり荒らしのためだけに百人単位の人物を平気で切り捨てたということであり、もうこの時点で擁護できる要素がない。

このような人物像からして、オーシャン・タートル襲撃に関しても「殺し合いが見たい」がために参加した可能性が高い*3
しかし、その過程で偶然アスナを見つけてしまったために目的を変更する。


◆本編中の活動3

アスナを見つけたために、連想ゲームで「KoBの《閃光》がいるならキリトもいるだろう」という風に予測をつけ、《PoH》のアカウントをコンバートし再ダイブ。
その際にアメリカのプレイヤーだけでなく、中国・韓国のVRMMOプレイヤーを偽の広告を用いて誘導。自らがリーダーとなって《アンダーワールド》を守ろうとする日本人VRMMOプレイヤーと戦闘し物量で圧倒。
一時休戦時、キリト・アスナを発見すると、アスナに対し衝撃的な告白をする。


俺がどれほどあいつを愛しているか、あんたなら解ってくれると思ってたけどな
クソったればっかりの世界で、アイツだけが唯一、無条件に信じられる男だった


つまり、人間の屑であるのみならず、クレイジーサイコホモでもあったのである。その歪んだ愛情は「キリトさえ殺せれば直後に自分は死んだっていい」と独白するレベル。
しかも、キリトを好きになった理由が「殺す姿が気に入ったから」である。未だに《殺人者》達の命を奪ったことを後悔しているキリトが浮かばれない話である。
地の文での記載に至っては、「最高の愛情を持って殺す」とまで書かれており、歪んでいるものの彼がどれほど執着しているか分かるようになっている。
しかもこれだけでなく、「《ラフコフ討伐戦》の後に用意していた仕掛けがキリトが75層でクリアした所為でフイになった」という憎悪も持っているため、更にタチが悪い。

しかし、ここでキリトが心神喪失状態であったことに気付き、キリトを目覚めさせるためだけにその場の人間に殺し合いをさせようとする。
この時既に韓国語を扱えるシウネーの説得によって中韓サイドでも「停戦派」と「殲滅派」に分かれだしており、停戦派のプレイヤー達を「裏切り者」呼ばわりし、収まりかけた火にガソリンをぶちまけて再燃させる様は、さながらネット上で適当言って炎上を楽しむ「荒らし」らしいとも言える。


◆過去

ヴァサゴは、サンフランシスコのスラム街で、ヒスパニックの母と日本人の父の間に産まれた。
日本人の父が本当の息子を救うドナーとする為に金で買った女に産ませた子であったため、当然親からの愛情は得られず、名前「ヴァサゴ」*4と日本語のスキルだけを与えられた。
15歳になり、腎移植が済めば生活費を得られなくなると危惧したヴァサゴは単身父の母国である日本に飛び立ち再起を図るものの、法律の都合*5でまともな生活は送れず、結果的に韓国系の犯罪組織に拾われそこで暗殺者として生きていくことになった。

犯罪組織で5年間で9件の仕事を成功させたが、10件目が難儀だった。
それは「脱出不能のゲームの中でターゲットを殺す」というもの。足がほぼつかないという利点はあれど、暗殺者自身も脱出出来なくなるという点が問題であった。
莫大な報酬が提示されたとはいえ立場上拒否権のなかったヴァサゴはこれを引き受けるが、ゲームプレイ経験がなかったためキャラネームだけが難航した。
最終的に悪魔ヴァサゴの異名である「地獄の王子(Prince of Hell)」を略し《PoH》とする。
SAO事件後は報酬を渋ったボスを殺害してアメリカに戻り、VR戦闘の専門家として《SAO帰還者》であることを隠しながら生きていた。
これまでより充実した生活を得られたが、ヴァサゴは再びSAOの世界に飛び込むことを願った。
そうした時にオーシャン・タートル襲撃の話が舞い込み、これに参加することになる。

こうした過去により、ヴァサゴは潜在的に「東アジア人に対する強烈な憎悪」を持っていたが、デスゲーム下にいたことで燻ぶらせていた憎しみが暴発した。
そういう点では哀しき悪役と言えるかも知れないが、行き過ぎた行動、「デスゲームの影響で狂う」という扇動し使い捨てた部下のPKと同等の存在であるという点、何より明らかに壊れているその人間性により、哀しき悪役と呼ぶにはどう考えてもお門違いである。


◆末路

身勝手な告白を聞いたアスナは憤慨。キリトを守ろうと剣を取りPoHと対決する。
親友から受け継いだOSS《マザーズ・ロザリオ》を用いて遂にPoHを打倒するも、友切包丁の「《死》というリソースを吸収する」という特性が影響してか、心臓を破壊されたにも関わらず生存し続けるという不死身性を発揮。

諦めたその時、幸か不幸か、比嘉達の尽力によってキリトは心神喪失状態から復帰する。
友切包丁の特性をキリトの《夜空の剣》《青薔薇の剣》のコンビネーションにより打ち砕かれ、《スキルコネクト》を絡めた必殺の《ヴォーパル・ストライク》を食らい遂に魔剣を打ち砕かれる。
それでも殺すまで何度でもキリトとアスナの前に現れると豪語するが、キリトの心意によりその身を杉の大木に変えられてしまった。

その後、仲間のやらかしによって限界加速フェーズが発動した結果、現実世界の1分が10年という極限環境で皮膚以外の五感を絶たれ、死ぬこともログアウトも不可能状況で50年以上を過ごす羽目になり、30年程経った所で知覚すらも喪失するという、因果応報な最期を迎えた。
なお、この影響からかリアルでも髪の毛が白髪となり、肉体が衰えたような廃人同然の姿に成り果てている。

しかし、撤退時に遺体らしきものはなく、生死不明のまま再びその行方を眩ませている。


◆余談

ゲームのホロウ・フラグメントでは彼を再現したデータのPoHも登場するのだが、
本編のこの本性とはかけ離れた人格・キャラクターをしていることで一部に有名。
詳しい内容は避けるが、いうなればこの記事前半で書かれた「悪のカリスマ・殺人鬼」的に描かれているのである。
(前述のとおり、コイツは殺人鬼と呼ぶこと自体が侮辱になる人間性である)
当時文庫版がコイツの本性が描かれるシーンまで進んでいなかったための措置として結構面白い演出である。

アニメでは大筋の流れこそ変わっていないがいくつか設定面で変更点がある。
  • 腎移植については父親が生活費を盾にした結果仕方なく受けた
  • 韓国系犯罪組織に拾われたという描写がない
  • ↑のため、憎んでいる対象は日本人だけになった
  • SAOへの参加は「依頼」によるものではなく、SAO事件のニュースを見て日本人を殺すために勝手にナーヴギアを盗み出して途中参戦した
  • 中韓プレイヤーに対する「扇動」は心意の力により威力が増していた

結果としては境遇には若干悲劇性が増したが、一方で自分の思想のためにまったくもって無関係な韓国人と中国人までも巻き込んだ真正のクソ野郎*6という、原作以上の屑みたいな存在になった。

また、アニオリ展開として、映画のキャラクターであったエイジと対決。
心意の力を全開にして襲い来る彼に苦戦したものの、最終的には勝利している。
エイジはフルダイブ不適合によりSAOではまともに戦えなかったとはいえ、最強のギルドである血盟騎士団メンバーになるほどの実力者。
通常のアミュスフィアとSTLの性能差、アカウントの地力の差こそあったものの、彼に勝つだけの高い実力を持つことが、戦闘描写の少なかった原作と比較してより明確となっている。




追記・修正はマルチリンガルの方がお願いします。

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最終更新:2024年04月11日 14:23

*1 なお、これでモンスターを多数倒すことで、似たような名前のカタナに進化するらしい。が、PKerであるPoHにとってはそんな事実全く興味のない話である。

*2 その余りの人格の悪さには、自らが率いていた中韓VRMMOプレイヤーの一部からも「悪魔」と呼ばれている。

*3 ただし、襲撃部隊で唯一日本語の読み書きができる(ガブリエルは話せるだけ)ことで必要とされたとも考えられる。

*4 ソロモン72柱悪魔の一柱。母からの愛情がないことの証。アメリカでは「確実に子供の不利益となる」と判断された名前は役場が却下するのだが、ヴァサゴ(ヴァサーゴ)はマイナーな悪魔だった為受理されてしまった。役場にダークファンタジーオタが居なかったことが悔やまれる。

*5 恐らく国籍が得られなかったため。両親不明かつ外国で産まれた子供に国籍が与えられることはほぼない。

*6 全体的に中韓プレイヤーも停戦ムードの中で、「扇動」により無理矢理殺意を増幅するという描写もある。