レッドアロー(西武鉄道)

登録日:2017/09/22 Fri 19:28:49
更新日:2024/04/17 Wed 18:49:13
所要時間:約 6 分で読めます




レッドアローとは、西武鉄道が運行する特急列車の愛称。某赤い通り魔の必殺技とは関係ない。多分。


概要

1969年の西武秩父線開業に伴い、西武初の特急列車として運行を開始した。

当初は池袋線系統の列車のみだったが、1993年からは新宿線にも特急「小江戸」が新設された。

ちなみにレッドアローの名称は西武鉄道の登録商標であり、他の鉄道事業者は使用することができない。
また特急列車には小江戸・むさし・ちちぶなどの愛称が設定されているが、一部を除いて駅やHPでは「特急レッドアロー」と表記している例が多い。

列車解説

定期列車

ちちぶ・むさし・ドーム(池袋線系統)

「ちちぶ」は池袋~西武秩父間を結ぶ列車だが、土休日の下り1番列車が所沢始発となる。
「むさし」は池袋~飯能間を結ぶ列車で、ホームライナー的性格を持つ。かつては次述の新宿線特急の愛称だった。
「ドーム」は池袋~狭山線西武球場前間を結ぶ列車で、西武ドームでのプロ野球開催時や週末・イベント開催時などに運行される。

小江戸(新宿線系統)

1993年より運行を開始した、西武新宿~本川越間を結ぶ新宿線初の定期特急列車で、同区間を最短45分で結ぶ。

1976年に設定された臨時特急の「むさし」がルーツで、1986年に本川越まで延長されて現在のスタイルとなった。
他にも西武新宿発着の西武秩父行き「おくちちぶ」が運転されていた。

全区間でJR埼京線川越線副都心線東武東上線と競合しており、特に副都心線のFライナーは特急料金不要にも関わらず所要時間はレッドアローより早い。
川越線?あそこは単線で…

臨時列車

小さな旅号

1980年代より不定期で運行されている団体列車で、ニッポン放送制作の同名のラジオ番組に由来する。

MISATO TRAIN

1990年から2005年まで毎年西武球場でコンサートを開催していた歌手・渡辺美里のライブへの観客輸送用に設定されていた臨時特急列車。
5000系と10000系が使用され、オリジナルのヘッドマークをつけて運用されており、この記事に掲載されている5000系の写真がまさにそれ。
2018年に一回限りの復活を果たしている。

拝島線特急

レッドアロークラシック運行記念に伴い、2011年12月12日~18日に西武新宿→拝島間の片道のみ運行された。なお、拝島線の特急運行はこれが史上初。
途中停車駅は高田馬場(乗車のみ)・田無・小平・玉川上水(3駅とも降車のみ)。
運転時期や停車駅等の変更もあったが、2014年まで運行されていた。

夜行列車

2015年からツアー限定で池袋→西武秩父間の片道で夜に運転された。この列車ではヱビスビールとサッポロ黒ラベルが飲み放題だったとか。
好評につき以降も車両や種別を変えながら不定期に運行されている。
ちなみに同種の列車は西武秩父線開業初期にも「こぶし」の名称で運行されていたことがある。

ラブライブ!サンシャイン!!×西武鉄道 プレミアムトレインツアー

2017年9月29日・30日限定運行。両日開催の「ラブライブ!サンシャイン!!Aqours 2nd LoveLive! HAPPY PARTY TRAIN TOUR」に合わせて運行された団体列車。運行区間はドーム号と同じで、ラッピングを施された10109編成を充当。
この列車が運行されたためか、2nd開催に伴うドーム号の設定はなかった。



車両

いずれの形式も日立製作所が製造を担当している*1

(5000系・10000系の画像の出典はWikiメディアコモンズより)

  • 5000系
1969年10月に運行を開始。
当時西武は自前の車両工場である所沢車両工場を持っていたが、戦後の西武車両では初めて外部発注された。
また、西武の車両では初めて4桁形式を名乗っている。

当初は4両編成で、多客期は2編成連結して8両で運行した。
その後6両へ増結され、過渡期には6+4の10両で運行された事もある。

主要機器類は当時の最新車両である101系に揃えられた。全固定窓で冷暖房完備、長時間乗車を考えてトイレを設置している。垂れ流し式が主流の時代の中で黄害*2を防ぐため、循環式汚物処理装置を採用している。
座席は登場当初はリクライニングしない回転クロスシートを供え、後に簡易リクライニングシート→フリーストップ式リクライニングシートへ交換された。

1994年から10000系による置き換えが始まり、定期列車からは1995年中に撤退。同年10月のさよならイベント、翌月の団体列車が最後の営業運転となり、同年12月に最後まで残っていた編成が廃車されて形式消滅となった。

廃車後、多くの車両は解体処分となったが足回りの機器類は後継の10000系へと流用され、6両分の車体が富山地方鉄道へ譲渡され、同社で16010形として運行中。
また先頭車のクハ5503(1両)とクハ5504(カットモデル)が横瀬車両基地に保存されている。

1970年鉄道友の会ブルーリボン賞受賞。


  • 10000系
老朽化した5000系の後継車として1993年に登場。
1995年までに11本が製造され、2003年に仕様変更した1編成が追加製造された。

車体こそ新造だが、足回りは上述の5000系と通勤車の101系・新501系からの流用品。
最終編成以外は特急型らしからぬ爆音が車内に響き渡る。
最終編成である10112編成は制御装置が回生ブレーキ対応のVVVFインバータ制御へ変更され、走行音が小さくなっている。
この他パンタグラフの設置台数、方向幕などの仕様が異なる。

座席は1070mmピッチでフリーストップリクライニングシートが並び、座席下にはフットレストを装備。
シートピッチが5000系より140mm広くなったことで1両あたりの定員は減っているが、編成を7両に増やすことで定員を確保している。

2003年より従来編成の仕様を10112編成に揃えるリニューアル工事が行われ、座席・パンタグラフの交換、カーテンの更新などが行われた。
ちなみに交換された座席は伊豆急行8000系や秩父鉄道6000系に流用されている。

このうち10105編成を5000系と同じカラーリングに塗装を変更した「レッドアロークラシック」となり、車体に「RED ARROW CLASSIC」のロゴが飾られた。
2011年11月27日に臨時特急として運行を開始し、2021年4月に運行を終了した。

後継となる001系が導入されたことに伴い池袋線からは撤退し、2020年3月14日のダイヤ改正以降は新宿線でのみ定期運用に就いている。
2020年7月の時点で、6編成(10105F・10108F・10109F・10110F・10111F・10112F)が残留しており、トップナンバーの10101Fの3両が横瀬車両基地に保存されている。

10102F・10106Fのうち3両+1両(部品取り)がこれまた富山地方鉄道に譲渡され、同社20020形として2022年2月にデビュー。
2023年11月からは「キャニオンエキスプレス」の愛称がついた。

  • 001系
池袋線の10000系を置き換えるために、2019年から導入された。
「レッドアロー」の名は冠してないものの、LaViewのaは矢のような速達性を意味するアローの頭文字で、レッドアローの後継であることを意識している。

8両編成7本が投入された。
建築家の妹島和世がデザインを担当し、車体はアルミニウムの無塗装で前面は球形の独特なもの。
側窓が異常なまでの大きさであり眺望性は抜群である。
内装は黄色でまとめられているが、これは西武通勤車の塗装をオマージュしたもの。

前照灯はLED方式になっており、通常のライトとして使う以外にも「スマイル点灯モード」と銘打ってニッコリマークにすることもできるという謎の機能が搭載されている。

また性能的には起動加速度が地下鉄車両並の3.3となっており、更に車幅が2,808mと狭く前面には非常用の貫通扉も付いていることから、
一部では小田急60000形MSEのように地下鉄直通運用も視野に入れているのでは?と言われることもある。
実際運転台の設定画面には、元町・中華街⇔西武球場前と元町・中華街⇔西武秩父で数パターンが用意されており、東京メトロ副都心線東急東横線みなとみらい線への直通対応はしているようであるが、現行のダイヤでは線路容量に余裕がなく、トイレの汚水処理の問題もあり具体的な進展はない。

2020年鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞。

(2019年12月29日 西武秩父駅にて編集者撮影)






追記・修正はちちんぶいぶいダンスを踊ってからお願いします。


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最終更新:2024年04月17日 18:49
添付ファイル

*1 車両以外では主要機器などで取引が多かった。

*2 線路上に落とされたアレによる公害のこと。