SCP-571

登録日: 2017/09/20 Wed 01:05:28
更新日:2024/04/16 Tue 20:17:52
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媒介者に他者へとSCP-571を見せる意識的活動を取らせることは常に阻止されなければならず、
もし媒介者が大規模人口集積地に到達すれば、封じ込め違反はAKクラス世界終焉シナリオを招くでしょう。



SCP-571はSCP Foundationに登場するオブジェクトの一つ。
オブジェクトクラスはEuclid(元Anomalous)…だったが、後にKeterに再指定された。

項目名は『Self-Propagating Infectious Pattern(自己喧伝性感染図形)』

概要

このオブジェクトは…といってももう項目名がその性質を表してるとしか言いようはないが、まあミーマチックエフェクトを持った図形である。

画像はオブジェクトのページにはないが、それは見たらやべーやつだから。

故にオブジェクトの実験に際しても、

「実験をするとき以外は図形はただひとつだけの媒体で存在するようにしてね」
「実験をする部屋にカメラを持ち込んだり取り付けたりしないでね」
「見た奴がいたら速やかに焼却してね

ととにかく見ないようにするための特別収容プロトコルが組まれている。
また、収容施設が何らかの理由で使い物にならなくなったら、このオブジェクトの保存媒体をさっさと燃やすシステムが組まれている。
財団は基本的にオブジェクトを積極的に破壊はしないが、「緊急事態でこれを見た場合やばいことになる」という判断が優先されたということであろう。

で、じゃあ見たらどうやばいのか。

まずその図形は、複雑な線の落書きの図形だという。
単なる落書きでしかないはずのそれを見た人は、すぐにその場になんかしらの筆記具がないかなと探し始める。
で、見つかり次第、その筆記具で同じ図形を書き始める。
そして、書いた人はそれを持って、「ねえこの図形見てよ」と図形を見せ、その後また書いては見せ、書いては見せを繰り返す。

図形は非常に複雑なものとされるにも関わらず、なぜか96%の割合で正確に写しとることに成功するらしく、
また当然見せられた図形にもミーマチックエフェクトが存在するため、見せられた人もまた書いては見せのループに陥る。

最低限の生活に必要な食事を除いては、見た人は死ぬまでこの不毛な作業を続け、ねずみ算式に感染者を増やすのである。

ちなみに「人に書いた図形を見せる」行為を一定期間内に行えないと、つまり感染を広げられないと、その感染者は大脳の機能が劣化していく。
本人にも自覚が出るため、「これ見てくれないと俺がやばいんだよ!」と周囲を説得するようになる。性質悪い。

新たな媒介者にも「大丈夫、見せてる間は劣化しないから!」とかいうらしい。
なにがどう大丈夫なんですかね…。

さらに新たな感染者を見つけられないまま数日が経つと、感染者同士で見せ合いっこする。
この末期段階にくると飲食すらろくに行わず、最終的に渇きで全滅する。

そこまで行かない感染者も、食事以外の行為はすべてコピーが優先される都合、一度感染したら自発的に寝る、あるいはトイレに行くといった行動すら取らなくなる。
糞尿の匂いのする部屋で、寝ずにガンギマリ状態の人たちがよくわからない落書きを写し続ける…何この地獄絵図。

ちなみにクラスC記憶処理をしても図形を再作成し伝染させようとする行動指針だけはブレない。
が、そこまで記憶処理をされると複雑な図形であるために書き写せなくなるらしい。
(仮に映像記憶能力を持っていても、存在する図形そのものの特性がなければ正確に筆写できない)
とはいえ完全に根治できないためもはや廃人でしかない。

財団はこれが一般の目に触れれば、AK-クラス:世界終焉シナリオに結びつくと考えている


AK-クラス:世界終焉シナリオってなんだ?

さて、K-クラスシナリオに繋がるオブジェクトは山のようにあるが(あってはいけないのだが)
そのなかでも、AK-クラスはややイメージしにくい部分がある。

例えば『CK-クラス:再構築シナリオ』はざっくり言えば「現実改変で世界がメチャメチャになる」といえばいい話であり、
『XK-クラス:世界終焉シナリオ』は簡単には『北斗の拳』の世界をイメージしていればいい(あっちはまだ希望があるけど)。
『GH-クラス:”デッドグリーンハウス”シナリオ』は『マリアナ海溝から発見された文書』を読めばイメージがつかめる。
『SK-クラス:支配シフトシナリオ』はドラえもんの『ガラパ星から来た男』やウルトラセブンのノンマルトの回を見ればわかりやすいか。

それに対して、AK-クラスの説明はTheDeadlymoose氏の概略だけではわかりづらいといえる。

主観的な現実の再構築による世界終焉のシナリオです。人類の知覚または思考プロセスの崩壊、またそれら両方の崩壊による世界の終焉です。簡潔に言うと、方法はどうあれ"全て狂っちまう"ということです。

じゃあどういう状態なのか。
実はこれを説明するのに、もうひとつ便利なオブジェクトがある(財団的には大迷惑だが)。
『SCP-1101 − An Interesting Topic(興味深い話題)』。

早い話が大理石のテーブルなのだが、
このテーブルに影響された人は議論好きになり、その後様々な場所ですぐ議論をおっぱじめるようになる。
そしてそれらはミーム的な効果を持つため、どんどん周りの人が議論に参加し…まあそのうち喧嘩に発展する。

で、これの何が悪いのか、というと、人間の生活や文明の維持のためにはコミュニケーションが必要であるが、
コミュニケーションがいちいち議論になってしまうようになると、互いの協力が非常に困難になる。
人間社会は基本的に協力で成り立つものであるから、それができないということは、世界が維持できなくなるということになる。

で、SCP-571の話に戻ると、こっちはもっとシンプルに、
「図形を書き写すこと、他の仕事、例えば食料生産やモノの生産、サービスなどありとあらゆるものより優先される」という問題が発生する。

つまり自分たちの文明社会を維持しようとする活動そのものがストップしてしまうわけである。
しかも当の本人たちはその「人間らしい」生活には何の興味も持たなくなってしまう。
このため、「生きてはいるけど」それまでの世界はなくなってしまっている=世界終焉というわけである。

なおAKを「再構築シナリオ」として定義するヘッドカノンを持つ人もいるようだ。
実際社会は再構築され、それまでの世界はどこかへ消えるという考えではそうかもしれない。
しかしこの場合、再構築っつーか「別に新しい世界ができてるともいえない」ということで、一般的には世界終焉シナリオという扱いのようだ。
まあCKも最終的に、それまでの世界に対しては「世界終焉」なので、この辺を細かく議論する必要がないかも知れないが。


Keterへの再指定


…で、これで終わりゃよかったのだが、どういうわけか「実はこの画像他所にあるかもしれない」という話になったらしい。
そもそもこの画像をどこで収容したんだみたいな話が報告書に一切ない上に、発見した本人はこんな報告書書けないところを考えると、
それはもっと早く予想されてよかったんじゃねえのとしか言いようがないのだが…。

ということで、現在機動部隊イータ10("See No Evil")が収容されていないSCP-571の対処のために結成されている。


CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-571 - Self-Propagating Infectious Pattern
by seisatsu
http://www.scp-wiki.net/scp-571
http://ja.scp-wiki.net/scp-571


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最終更新:2024年04月16日 20:17