猫神じゃらし!

登録日:2017/09/12 (火曜日) 20:15:00
更新日:2021/03/28 Sun 21:41:00
所要時間:約 10 分で読めます





このこまり(・・・)こそが この藍々浦をずーっと昔から見守っている 偉大な”猫神”さまなんよー!!





猫神じゃらし!とは、2016年から2017年まで週刊少年チャンピオンで連載されていた漫画作品である。
キャッチコピーは「神様×少女の和やかコメディー」。作者は福地カミオ。
単行本は全4巻。

【概要】

猫が多く住む田舎町「藍々浦」を舞台とした、猫の神様「ネコガミ」と、人間の少女たちとの交流を描いた人外コメディー漫画。
作風は緩く、絵柄も相まって全体的に和やかな雰囲気が漂う作品である。神様を題材とした作品であるが、
作中ではネコガミ以外の神様は登場せず、「神様×少女」というよりは「猫×少女」といった感じである。
シリアスな展開はほぼなく、基本的には癖のある登場人物たちの和やかな掛け合いや、猫とその飼い主のやり取り、
メインキャラであるこまりの可愛らしさとS気をくすぐる泣き顔を愉しむ作品と言える。
人によっては「ポストイカ娘」という声もある。

【あらすじ】

藍ヶ浦に住む秋雨沙耶は、脱走した飼い猫・ゆきちを追って、山の上の神社へ向かう。そこは藍ヶ浦に古くから伝わる、「ネコガミさま」の神社であった。
ネコガミとは「そのお姿はまるで化け猫のようで 長い尻尾の先端にはそれはそれは恐ろしい形相の猫の顔がついているという」と恐れられる存在だった。
神社へたどり着いた沙耶の前に、猫の耳がついた不思議な少女・こまりと出会う。自身のことを伝説の「猫神」と語るこまり。
言い伝えとまるで異なるその姿に、こまりの話を信じない沙耶は、こまりをからかう。
涙目で憤慨するこまりは、鈴を鳴らしてゆきちを呼ぶことで信じさせようとするが、沙耶は「他に何かできないか」と更にからかう。それを受けたこまりは、

こ…こまり…まだこれしかできんのに~…!!

な…泣いたー!?


慌てて謝る沙耶の前で、こまりのスカートの中から顔の付いた尻尾が姿を現す。
こまりの訴えを聞いたその尻尾は、凄まじい剣幕で沙耶を罵倒する。

おのれ…猫神を疑うとは…愚かな人間風情がー!!!

死ね!!!



その存在を目の当たりにした沙耶は、さすがに猫神を信じざるを得なかった。
しかし、小さいころに聞かされた話とのあまりのギャップに、「猫神なんて認められない」と言い放って神社から走り去ってしまう。
追いかけてきたこまりはまた泣き出し、「もう神社に来てくれないのか」と沙耶に訴える。

み 認めてくれんってことはもうこの神社にも来てくれんのん…?


ま…また泣いた!!!

その寂しそうな姿を見かねた沙耶は、「たまには遊びに来てもいい」と言い、こまりと友達になる。

こうして、へんてこな「猫神」と、人間との交流が始まったのだった。

【猫神の起源】

こまりが沙耶に対して語った猫神のはじまりとは、
「かしこくやさしい一匹の猫が、人々に助言を与え、町に豊かさをもたらした。人々はその猫を称え、その猫のために山の上に社を建てた」
というものである。

【主な登場人物】

こまり
ネコミミに、巫女装束を纏った少女の姿を持つ「2代目猫神」。
姿こそ人間そっくりだが、魚を見れば一目散に飛びつき、雨や海などの水を極端に嫌がるなど、その行動習性は猫そのもの。
完全な猫としての姿は持たず、所謂獣人(ただし本人は「ネコ人間」呼ばわりされることは嫌っている)。
尾の部分には後述する父親・しっぽがくっついている。こまり自身の尻尾もあるが、非常に短く、ウサギの尻尾のような形をしている。
猫と会話が成立し、通訳を務める場面が多い。
本人はことあるごとに「偉大な猫神」であることをアピールするが、単行本のキャラ紹介で「ポンコツ」呼ばわりされる他、
かなりの泣き虫で(ほぼ1話に1度は涙目になってる)、出来ることが物語開始時点で「猫呼び鈴」による猫の召喚一つのため、神としてはまだまだ未熟である模様。
ただし、話が進むにつれ、冬毛を生やしたり、しっぽと協力して人間を猫に変える「にゃんこウイルスM」による「にゃんでみっく」を引き起こすなど
猫神として成長していく。
初見の相手には沙耶を始め大体怖がられず、都会から来た猫には「変な服着てる さすが田舎」とコケにされた。あとはいてない。

父親で先代猫神であるしっぽと異なり、人間に対して好意を抱いており、人懐っこい性格。曰く「人間も猫も大好き」。
そのため、ことあるごとに人間を悪く言うしっぽに対して反発することは少なくなく、「しっぽより沙耶ちゃんたちと遊ぶ方が楽しい」
「(人間の手伝いについて意見を求めて)しっぽに聞いたこまりが間違いだった」など、辛辣な言葉をかけることも。
ただし、しっぽのことは先代の猫神として尊敬しており、決して嫌っているわけではない。
しっぽに過保護に育てられ、沙耶達に出会うまでは全く外界と関わらず、神社に籠っていたためか、精神的に非常に幼くかなりの甘えん坊で、
「今日は遊べない」と言われただけで過剰なリアクションで大泣きする。沙耶にも「駄々っ子か」と突っ込まれるレベル。

具体例
沙耶ちゃーん! 今日の放課後何して遊…

…あ~…悪いこまりしばらく遊ぶのは…(学校は期末テスト前)

しょ…しょんな…さや…ちゃ…でっでもっ沙耶ちゃんがそう言うなら仕方なっうううえええ

きっ貴様…ッこまりを泣かすなーッッ

大げさか!!!



しっぽ
こまりの父親であり、先代の猫神。かつて藍ヶ浦に豊作をもたらし、人々に崇められていた。
現在は娘であるこまりの尻尾として彼女を見守っている。娘の尻にくっつく父親ってどうよ
元々は普通の猫だったが、しっぽ形態ではちよちゃんのお父さんのような外見をしている。
かつてのように猫神を敬わない人間に対して「猫神から受けた恩を忘れた」と忌み嫌っており、言動の節々に人間に対する嫌悪を滲ませている。
こまりに対し、先代の猫神として色々教育しているが、かなり自分や猫を美化した偏った教育を施している。
一方で後述する(ネタバレ注意の箇所)事情から娘であるこまりは溺愛しており、自分の言動でこまりの怒りを買った時は、
即座に謝罪して、「嫌わないでくれ」と娘に対して泣きつくという情けない姿を見せる。ただし、人間には決して素直に謝らない。 
性格は人の良いこまりと異なり、尊大で毒舌。作中で恐らく一番口が悪く、態度がデカい。
しかし、極度に怯えると、普段の口調と打って変わり、「ふえええ」「こわいよう」など、こまりを彷彿とさせる言動を取ることも。
こまりには度々人間を相手にするなと言い聞かせているものの、基本的にはこまりの意思を尊重している。
娘想いの父親であるが、上述したように、行き過ぎた言動のせいでこまりに煙たがられることもある。
人間嫌いではあるが、こまりと共に関わっている内に、なんだかんだで馴染んできており、態度は軟化している。わりとツンデレ気質の様子。誰得であろうか

+ 主な台詞
暴言・毒舌
  • 見ただろうこまり!人間とはあんな奴らばっかりなのだ あんなん相手にする必要とかいわしの頭ほどもないぞ!
  • やーい人間だけなかまはーずれー!!!
  • 町にあるもんは全部猫神のもんだろうがー!!!
  • しーっかし前も思ったが相変わらず狭くてみすぼらしい部屋だな!まあ人間にはこんくらいがお似合いかー!
  • 猫神にとって貴様らなどゴミ同然ということだー!!
  • 真の猫神ならば人間になど一切構わず神社でしっぽと一緒にお昼寝するだけで十分ーーー!!!
  • もっと猫神を敬わんかバカ猫どもーッ!!!
  • 人間が神に奉仕するのは当然なのに~…
  • そうだ!!人間を愛せぬのならみな猫になってしまえばいいのだ!!

デレ
  • けっ…小娘が気の利いた真似を…
  • 気は進まんが…以前助けられた恩もあるか…
  • 勘違いするな人間!!普段こまりが世話になっとるから猫神の力で1日だけのささやかな贈り物を~…



秋雨沙耶
こまりと最初に友達になった人間の少女。13歳のJC。
神社でこまりと知り合って以来、彼女の遊び相手をほぼ毎日務めたり、彼女に連れられ、猫同士の集会に行ったりするなど、猫社会に深く関わるようになる。
こまりに対して人間社会について説明する役割を担う。
幼少期に拾った、愛猫のゆきちのことは溺愛している。
ゆきちの足音を判別し、毛を一本見るだけでゆきちのものであると見分けられるなど、ゆきちへの入れ込み具合はある意味病的。
勝気でぶっきらぼうな態度を取るが、面倒見のいい姉御肌の性格。学校の成績は悪い。
微妙に怖がりなところがあったり、ひな祭りを楽しみにしていたりと、年相応な一面を持つ。


寒恋雪子
沙耶のクラスメイト。中学生とは思えないほどの豊満なバストの持ち主。
しょっちゅう居眠りをしており(初登場した時も階段で横になって死体と勘違いされていた)、会話の最中は勿論、泳いでいる時でも居眠りを始めてしまう。
夢の中で度々会っていた猫・たぬがみさま(本名たぬのしん)と出会い、彼を引き取っている。
たぬのしんは本来都会の家で飼われていたが、本人曰く「ビッグになるため」家出した。
見た目通りおっとりした口調及び性格で、こまりともすぐに打ち解けていた。
友人に独特の仇名を付けている(こまり→こまにゃん、しっぽ→しーぽん、沙耶→さやちょん)
夢の中でたぬのしんとお互いに遭遇し、度々会話していたなど、中々アレな能力持ち。


九生葵
沙耶の後輩のオカルト少女。
目次の人物紹介にある通り、悪霊研究に命を懸けており、こまりを「悪霊に憑りつかれている」と誤解して、しっぽを切り落とそうと度々襲撃している。
かなり神出鬼没で、唐突に出現してこまりを驚かせている。
高い技術力を有し、自前の怪しげな薬品を大量に所有しているほか、こまりの毛玉から、しっぽのクローンを不完全ながらも精製するなど、
随所で突出した技術力を発揮している。
その目的は、悪霊を研究することで、亡くなった愛猫・ナナと再会すること。
ナナの方は死して後も霊体となって葵の側におり、暴走しがちな彼女を見守りながら、度が過ぎた場合は物理的な方法を以て諌めている。
こまりを捕らえるため罠を設置したり、監禁して無理やり実験しようとするなど、かなり危険な人物だが、
その行動の根幹にあるのは「ナナに会いたい」の一点であるため、決して悪人ではない。
しかし、その過激なやり方から、こまり及びしっぽからは恐怖心を抱かれている。
ちなみに霊感は全く無い





あ あの…!wiki籠りさん!こ…こまりのことキライにならないでください…!猫神はたしかに怖くってスゴイですが人間に悪いことはしません!だから『猫神じゃらし!』の項目を追記修正してくださっゔゔえ゛え゛え゛





(な…泣いてる!!!)























【ネタバレ注意】

「猫神」の起源は江戸時代に遡る。

当時、名の無い野良猫であったしっぽは、魚売りから魚をくすねて生活していた。

くくく…間抜けな魚売りめ…
貴様のおかげで今日も飯にありつけるというもの…くっくっく…

ある日、盗みの現場を発見され、殺されそうになるしっぽだったが、人の姿をした化け猫・まりに助けられる。
彼女から化け猫について聞いたしっぽは、自身も化け猫になろうとするが、「二度と人間と暮らせなくなる」とまりに止められる。
しかし、化け猫になろうとした影響で、尻尾が若干分かれてしまう。この時まりから「しっぽ」と呼ばれるようになる。

まりと別れた後、魚売りに見つかったしっぽは殺されそうになったものの、しっぽの尾に猫の顔を見た魚売りから「猫神」と崇められる。
化け猫に片足を突っ込んだことで、人語を話せるようになっていたしっぽは、お告げを請う人間たちに適当に助言する。
その助言によって村は栄え、気が付けば山の上には立派な社が建てられた*1。その様子を見に来たまりに対して、しっぽは助けてもらった礼にと、一緒に暮らそうと告げる。
こうしてまりとしっぽは夫婦となり、社で共に暮らすようになった。
その後しっぽは人々からの信仰によって力を増し、肉体を失ってなお100年以上に渡って村を守り続けたのだった。

しかし、時が経つにつれ、人々の信仰が薄れていき、終いにはお供え物も満足に得られなくなってしまう。
恩知らずな人間に怒りを爆発させたしっぽは、祟りを起こそうとするが、まりによって止められる。
まりはかつて自分が捨て猫となった恨みから化け猫になったこと、飼い主が自分を捨てたことを後悔していたことを語り、人間も話せば分かってくれると言って
生まれた赤子をしっぽに預け、猫神の布教を行うべく村へ降りる。
しかし、まりが戻ることはなく、しっぽは懸命にまりを捜索するも、遂に彼女を発見することはなかった。
悲嘆にくれるしっぽには、人間への嫌悪感が募るのだった。
その後、自分に唯一残された一人娘・こまりの成長を見守るため、しっぽは母に似て短い尾であったこまりの尻尾となったのだった。


この子は…この子だけは守らねばなるまい

たとえ猫神がこの町から完全に忘れ去られようと この子だけは―――…






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最終更新:2021年03月28日 21:41

*1 ちなみにその影響で村には猫を大切にする文化が出来上がり、猫神が忘れ去られた後も、その習慣は残り続けた