アンティノラ/ジュデッカ

登録日:2017/09/09 Sat 18:07:01
更新日:2023/10/16 Mon 23:00:10
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アンティノラ及びジュデッカとはスーパーロボット大戦シリーズに登場するオリジナルメカの一種。
機体名は共にイタリアの詩人、ダンテ・アリギエーリが作曲した代表作『神曲』の地獄篇に登場する、『神曲』において最も重い罪とされる「裏切り」の罪を犯した者が落とされる地獄の最深層「コキュートス」の四つに区切られた地名が由来である。


◆概要(アンティノラ)



「私の名はユーゼス=ゴッツォ。君達がエアロゲイターと呼んでいる異星人の副司令官だ……」


スパロボシリーズ中期以降では馴染みの深いオリジナル敵勢力、ゼ・バルマリィ帝国の機動兵器。
ラオデキヤ・ジュデッカ・ゴッツォ率いる第7艦隊の副官、ユーゼス・ゴッツォが独自に開発した後述するジュデッカの試作品。

白を基調としたカラーリングであるが、その外見は一言で言い表すのは難しい。
パッと見巨大な手のようにも見える一対の翼のようなパーツや、角の生えた黒色の兜。
一見すると獣の下半身を思わせる肥大化したスカート部分など、かなり独特な構造をしている。
更に付け加えると顔面部は左右非対称型で、右目部分にグリーンカラーのレンズが覗き、
更に口元にかけて青いパイプのようなパーツも装着されている。
こうした既存の兵器群からかけ離れた如何にもなテスト機体然とした姿に惚れ込んだスパロボプレイヤーも密かに多いとか何とか。

現状の出演は初代αのみであり、作中世界のユーゼスが野望を果たすために作り上げた叩き台的な存在。
それでも実質第7艦隊専用の高級機というだけあり、全体的な性能は帝国の既存兵器群を軽く凌駕している。
特に開発者であるユーゼスが直に駆る1号機には帝国機動兵器の上位機体の主動力である量子波動エンジン、
念導力増幅装置のカルケリア・パルス・ティルゲム、単独転移を可能とするクロスゲート・ドライブ・システムといった、
特殊機能の数々がふんだんに盛り込まれており更に凶悪な仕上がりとなっている。

少数生産された2号機以降の機体はヴィレッタやシャピロ、自律回路などによって運用されている。

何よりも恐ろしいのは劇中でユーゼスがこの機体を駆って現れた際、
アスカエヴァ弐号機に海中に没したエンジェル・ハイロゥのサイキック・ウェーブをコントロールして浴びせてパイロットを無力化するわ、
レイエヴァ零号機には機体のズフィルード・クリスタルを侵食させて自爆に追い込むわと実にやりたい放題であり、
これらのシーンが強烈に印象に残っているプレイヤーも多いのではないのだろうか。
(率直に言うならエヴァ原作におけるアラエルアルミサエルの役所を纏めて担っている感じ)

高い基礎ステータスに加えて武装も豊富に取り揃えており、遠近どちらの戦闘もそつなくこなす。
正直コイツがサルファの時代に小隊組んでわらわら現れてたりしようもんならとんでもない曲者と化していただろう。

余談であるが、サルファに登場するヴァイクランはヴァイクル(OG1のみ登場するが設定上αシリーズにも存在する)の発展形とされているが、
見た目はヴァイクルよりもアンティノラに似ている。
ヴァイクラン開発にはユーゼス・ゴッツォが残したデータが用いられているため、アンティノラの設計も活用されたのかもしれない。

◇武装一覧

  • タキス・ミサイル
機体下部から一斉に放たれるミサイルで、着弾指定型のMAP兵器

  • フォトン・ソード
腕部から発振させるエネルギーの刃で切り裂く近接戦闘用武装。
ソードとはいうが一般的な帝国機動兵器の単線型のエネルギー刃とは段違いの大きさであり、
出力が桁外れであろうことが一目でわかるグラフィックとなっている。

  • オルガ・キャノン
両腕でエネルギーを収束、大型の円盤状のエネルギーとそれを取り囲む6つの小さなエネルギー光を展開。
それらを更に一つに纏めた上で竜巻のような膨大なエネルギー波を放って攻撃する。
こちらも帝国上位兵器が所持する武器と々名前であるが、やはり見た目の段階で大きく異なっている。

  • アサシン・バグス
両手の甲のアーマーを開放しそこから小型の端末を計8機射出。相手の周囲に転移させてオールレンジ攻撃を行う。
後述するジュデッカの武装の一つと非常に似通っており、このことからも試作機であることが窺える。

  • ドラウプニール・リング

「享受せよ! ドラウプニール・リング!」

両腕に念を集中しリング状に形成。それを相手機体に放ちリングを収束させて圧殺する必殺技
尚、ヒュッケバイン・ガンナーの武装であるグラビティ・リングとよく似ており、開発の際に参考としたのではと言われている。



◆概要(ジュデッカ)



「私とジュデッカに魅入られたら…終わりだよ」
「さあ、現世と奈落をつなげてやる」


アンティノラの開発を経てユーゼスが完成させた独自の機動兵器。
第7艦隊戦闘指揮官であるレビ・トーラー用の白い機体、ユーゼスが自分用に作った黒い機体の計2機が存在する。

外見は更に異形のものと化しており、禍々しい表情をした頭部と腹部にある2つの顔。
計4本備えている腕部パーツに大蛇の如き巨大な尻尾、右側上腕部は蛇の頭のようになっている。
ただ、それでも全体的なシルエットはアンティノラよりは纏まっているので、そういう意味でも完成型と呼べるだろうか。
武装の方も既存のものの延長縁上であったアンティノラと違い、全てが元ネタの神曲の地獄篇に沿ったものであるあたりも専用機っぽさ増している。

試作機のアンティノラと同じくカルケリア・パルス・ティルゲムや量子波動エンジンといった上位テクノロジーを搭載。
ゲーム中の性能で考えてもHP・EN回復、念導フィールドや分身といった多くの特殊機能を搭載した強敵。

レビ機についてはカルケリア・パルス・ティルゲムの機能によってレビ=マイの洗脳を制御しているようだ。

そしてユーゼス機の方については率直に言えば初代αにおけるラスボス機体。
性能はレビ機を軽く凌駕しズフィルードにも匹敵する高さである。
また、スーパーヒーロー作戦の頃からお馴染みのクロスゲート・パラダイム・システムも搭載。
単なる色違いでは終わらない、凶悪な力を以ってして最後の敵として立ちはだかる。


また、レビ機についてはスーパーロボット大戦OGシリーズにも登場。
基本的な設定は変わらないが、作中のバルマー勢が根城にしているネビーイームの制御も司っており、
名実共にバルマー軍の中枢となっているので重要度が遥かに増している。
GBA版においては進め方次第でαのユーゼス機と同じでラスボスになる他、
隠しルートではこの機体の破壊が最後のカウンタープログラムであるセプタギンの目覚めを促すトリガーであることも判明した。
なお、ゲームでは普通に破壊されているが、メディアミックス作品では操縦不可能なまでに大破したところでセプタギンに回収されている。
その後の描写を見る限り、ゲームでは飛び散ったコックピットブロックが地球に落下してセプタギンに回収されたのだろう。
と、リュウセイ編では推測できるのだが、ジュデッカとの最終決戦がネビーイームの屋内戦となったキョウスケ編では不明
ちなみに隠し最終話でイベント発生後に規定ターンが過ぎるとセプタギンが回収したジュデッカをレビごと修復した上で複製して複数機出現させたところでゲームオーバーになる。
その後、OG2では半端に修復されたコックピットブロックが連邦軍に回収され、中から記憶を失ったレビ改めマイが発見されたのだが、残ったコックピットブロックがどこへ行ったのかは不明。

ユーゼス機はOGシリーズでは直接的な登場はしていないものの、
第2次OGにおいてユーゼスが完成させたアダマトロンの最強技である「エルヨウン・イェダ・ドーマー」にて、
他のαシリーズ重要ユニットと共に「黒き地獄」のシルエットとして姿を見せている。

因みにPS2リメイクであるOGSでは演出麺で大幅なパワーアップを遂げている。
サソリやドラゴンに変形したり、メギロートを無尽蔵に召喚したり、果ては相手を地獄に叩き落したりと実にやりたい放題。
ある意味で後のOGシリーズにおけるボス級機体の最強技が過剰演出化した先駆け的な存在とも言える。

デザインは後にR・D・Jの主人公機を手掛ける大輪 充氏


◇武装一覧

  • 第一地獄カイーナ
右上腕の蛇型アームを展開し、相手に突撃後それを噛み付かせて攻撃する。
OGでは上空高く飛び上がってサソリ型に変形して急降下、頭突きを食らわせてから背部の尻尾の先端で相手機体を突き刺し、
豪快にぶん回してから放り投げるというやけに豪快な内容へと変化している。
「カイーナ(Caina)」とは、旧約聖書の『創世記』で弟アベルを殺したカインに由来し、肉親に対する裏切者の落ちる地獄とされる。

  • 第二地獄アンティノラ
紫色の念動波を放出して周囲を攻撃するボス機体にはお馴染みの全方位型MAP兵器。
OGでは元ネタに倣ってか、両腕で念を集中した後、無数の氷塊を飛ばして攻撃する演出に変わっている。
「アンティノラ(Antenora)」とは、トロイア戦争でトロイアを裏切ったとされるアンテーノールに由来し、祖国に対する裏切者の落ちる地獄とされる。

  • 第三地獄トロメア
6機のメギロートをユニット代わりに射出しオールレンジ攻撃を行う。アンティノラのアサシン・バグスの発展武装。
OGでもメギロートを飛ばすのは変わらないが、数百単位で突撃させて相手を飲み込むという内容に。
「トロメア(Ptolomea)」とは、旧約聖書外典『マカバイ記』上16:11-17に登場し、シモン・マカバイとその息子たちを祝宴に招いて殺害したエリコの長官アブボスの子プトレマイオスに由来し、客人に対する裏切者の落ちる地獄とされる。

  • 最終地獄ジュデッカ

「これで終わりだよ…」
「時空の彼方へ消え去れ…」

最終地獄、ジュデッカ!!

4本の腕を妖しく蠢かせて膨大な念を収束、それを機体前方に展開した後相手機体へと射出。
直撃した相手機体を異空間に放り込んで消滅させる最強技。
この際、レビまたはユーゼスのカットインが挟まれる他、独特の腕の動きがシュールすぎてバルマー盆踊りとか呼ばれたりもする。

……そして上述したようにOGシリーズでは演出が異常なまでに強化されている。
まずはドラゴン型に変形して念を纏い相手機体へ連続突撃、
次に相手の周囲をグルグル回りながら円を描きその中に相手を閉じ込める。
そして相手の直上から更に突撃しそのまま急降下。
カイーナ、アンティノラ、トロメアの順に地獄巡りツアーを満喫させ、
到達点である最終地獄ジュデッカに叩き込み、そこに潜む多数の蛇に相手機体を喰らい尽くさせてトドメ。
……うん、自分でも書いててよくわかんなくなってきた。
「ジュデッカ(Judecca)」とは、イエス・キリストを裏切ったイスカリオテのユダに由来し、主人に対する裏切者の落ちる地獄とされる。
ジュデッカの中心には、魔王ルチフェロが三面の顔を持つ恐ろしい姿となって、半身を凍り漬けにされ幽閉されているとされており、
OGs版の演出で最後に襲いかかる三頭の怪物はルチフェロを意識しているのであろう。


◆余談

と、散々述べてきてアレなのだが、ジュデッカ自体の初出は初代αではなく、
64で発売したスーパーロボットスピリッツという格闘ゲームのボスキャラとしての登場の方だったりする。

αやOGにおける武装名もこのゲームにおける必殺技の名前が元となっており、
ゲーム上の演出もどちらかといえばOGSでの演出に近いものがあるので、
演出強化は間違いないのだが、ある意味で先祖返りでもあったりするのだ。

また、上述の通り、
「アンティノラ」は、祖国に対する裏切者の落ちる地獄を、
「ジュデッカ」は、主人に対する裏切者の落ちる地獄を指す。
αシリーズにおける開発者であるユーゼス・ゴッツォの真意は、祖国(=ゼ・バルマリィ帝国本星)がどうなろうと意に介さず、主君(=霊帝)への反意を含むものであったことを思うと何かしらの含みを感じられると言えるだろう。




追記・修正はジュデッカに魅入られてからお願いします。

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