アンノウン(超越生命体)

登録日:2011/07/11 Mon 21:58:25
更新日:2024/01/07 Sun 06:04:53
所要時間:約 6 分で読めます





〜それは、未確認生命体を超える脅威〜





「アンノウン(UNKNOWN)」とは、特撮テレビドラマ『仮面ライダーアギト』に登場した敵怪人・及び敵対勢力の名称。
デザイン:出渕裕・草彅琢仁


【概要】

2年前に、当時の特捜班とその協力者たる「第4号」に滅ぼされた未確認生命体に続いて出現した、未知なる脅威である。

未確認生命体に比べ高い戦闘能力を有しており、警察の未確認生命体特捜班が彼らの再出現の際の兵器として調整を繰り返していた特殊強化服である仮面ライダーG3では力不足である程だった。
 映像記録には姿が残らないなどの異常性から警察幹部が漏らした「UNKNOWN(正体不明)」という呼称が、そのまま劇中での正式な通称として用いられていた。
劇中では、ある特定の因子を持つ人間を物理法則を無視した「不可能殺人」と呼ばれる方法(樹のうろに詰め込む、一切水気がない場所に水溜まりを作り出して溺死させる、床を透過させてビルの中で墜落死させる、一瞬で餓死させる等)で殺害する行動を見せている。

前述の未確認生命体特捜班の他、その「因子」を持つ存在であるアギトと敵対しており、正にその力を行使する主人公らと激しい戦いを繰り広げた。



※以下はネタバレ。


【解説】

かつて人類を生み出した創造主(「闇の力」=オーヴァーロード、テオス)の使徒であり、「闇の力」を「」とするのならば、天使とも呼ぶべき存在。
裏設定では「マラーク」と称されている(アラビア語で「天使」の意味)。
半人半獣の異形の姿だが、本来はこの世界の存在ではない為か、当初は映像記録等には残らないと云う設定があった。

なお、地球上の生物に似た特徴と姿を持つが、これは彼ら「使徒」が生物に似ているのではなく、『アギト』の世界観設定に於いては創造主である「闇の力」が、「使徒」の姿に準えて生物を生み出したと云う設定が存在する為である。
(旧約聖書における「神は自らの姿に似せてアダムを作った」という記述が元ネタか)
よって彼らの名称である「○○ロード」には、その生命体の君主と云う意味合いが込められていると考えられる。

初期設定では、テオスの似姿である人間が自分達の似姿である動物を家畜とした事に怒ったのがこの戦いの発端である。

因みに「○○ロード」とは、同系統の「使徒」に纏めて付けられた呼称であり、更に細かな個体毎の名称としては、
能力、身体的特徴により分類されたラテン語名(一部スペイン語、ギリシャ語が混ざる)が設定されている。
……余談となるが、現実の生物の学術名や分類上の名称にもラテン語が用いられるが、「アンノウン」の名称は敢えて現実のそれとは一致しない、法則からは外された名称が設定されている。

高い身体能力を持つ者や特殊能力を持つ者等、種類は様々だが、基本的に同系統の種族ならば似た特徴となるものの、個体毎の差異が大きいのが特徴。
一応、共通した要素としては背中に翼のような器官を持つ事と、特殊能力(超能力)の使用の際や消滅する際に頭上に出現する「光の輪」の様なエネルギーフィールドが挙げられる。
……いずれも「天使」を思わせる特徴であり、専用の武器もまた、この空間から出現する。
また、最初期には人間の攻撃が「届かない」という描写がされており、人間よりも高次元の存在である事が示唆されていた。

同種を率いる「クイーンロード」や、闇の力直属の「エルロード」といった上位個体も存在し、いずれも背中の翼状器官が大きい等の特徴を持つ。

なお、本編において主君である「闇の力」によってエネルギー体から受肉を果たし現世に降り立つ、という描写が見られ、肉体を喪いこの世界から消滅する際には「光の輪」を通して元の世界に還るのだとする意見もある。

以上のように神秘性が高い設定の為か、デザインは古代エジプトや古代ギリシャ、ローマ帝国時代を意識した物となっており、
その統一性の計られた完成度の高いデザインは人気が高く、デザイン画集も出版されている。

また、標的を殺す前に左肩から胸に右手を下ろし、左手の指で右手の甲に主である「闇の力」の紋章を切る仕草を見せる。
過去の出来事から人間を憎んでおり、低俗な存在としか見ておらず、彼らの言葉を使いたくないという裏設定が存在しており、劇中で殆ど話さないのはこのためで、実際はどのアンノウンも普通に人間の言葉を話せる。
同様に裏設定によると個体毎に各々異なる性格をしているとの事。
実際ビーロードなんかは、登場した個体のどちらもわざと見つかるようにターゲットの後をゆっくりと尾行したり、殺す際に笑みを浮かべて笑い声をあげたり等、殺人を楽しんでいるような姿が見られる。
かつての戦争は嫉妬が発端だった事といい、実はかなり人間に近い存在のようである。

ちなみに全て現生生物がモチーフとなっているが、何故か古生物の怪人は登場していない。
が、イコン画にはプテラノドンを思わせる怪人が、テオスが創造した生き物の中に恐竜が存在している事から、
大昔には古生物のアンノウンも存在し、アギトが東洋の龍モチーフである事と何か関連があったのかもしれない。


【登場した種族】

特筆のない限り、デザイン担当は出渕氏。

ジャガーロード

ヒョウ型超越生命体。
殺人方法:樹のウロに対象を押し込む*1

パンテラス・ルテウス(黄色の豹)

パンテラス・トリスティス(暗き豹)

パンテラス・アルビュス(白き豹)
※vol.1〜2に登場。

パンテラス・キュアネウス(蒼き豹)

パンテラス・ルべオー(紅き豹)

パンテラス・マギストラ(女指導者の豹)
※マギストラは種族を指揮するクイーン・ロード。
キュアネウスとルべオーはマギストラの護衛。
vol.20〜21に登場。


トータスロード

カメ型超越生命体。
殺人方法:液状化させた地面に対象を引きずり込み、窒息死させる。

テストゥード・オケアヌス(大海の亀)

テストゥード・テレストリス(大陸の亀)
※vol.3〜4に登場。


スネークロード

ヘビ型超越生命体。
殺人方法:「次元断層」と呼ばれる一種のワームホールを使って対象を上空へ転送し、墜落死させる。

アングィス・マスクルス(男性的な蛇)

アングィス・フェミネウス(女性的な蛇)
※vol.5〜6に登場。


クロウロード

カラス型超越生命体。
殺人方法:高速飛行しながらの頭突き

コルウス・クロッキオ(鳴く鴉)
※vol.7〜8に登場。

コルウス・ルスクス(独眼の鴉)

コルウス・カルウス(禿げた鴉)

コルウス・イントンスス(長い髪の鴉)
※vol.26〜27に登場。
イントンススはクイーン・ロード。

コルウス・カノッスス(白髪の鴉)
※vol.36に登場。


オクトパスロード

タコ型超越生命体。
殺人方法:瞬時に大きな水溜まりを作り、対象を引きずり込んで溺死させる。

モリペス・オクティペス(軟体の蛸)
※vol.9〜10に登場。


ゼブラロード


エクウス・ノクティス(宵の馬)

エクウス・ディエス(昼の馬)
※vol.11〜12に登場。


スコーピオンロード

サソリ型超越生命体。
殺人方法:対象の体内に極小の金属片を注入し、時間差で凍死させる。

レイウルス・アクティア(悪意を持つ毒蠍)
※vol.13〜14に登場。


ジャッカルロード

ジャッカル型超越生命体。
殺人方法:鎌鼬で対象の頸を切る。

スケロス・ファルクス(大鎌を持つ犬)
※vol.15〜17に登場。

スケロス・グラウクス(鉛色の犬)
※vol.40に登場。


ハイドロゾアロード

クラゲ型超越生命体。
殺人方法:対象を落雷で発火させ、焼き尽くす。

ヒドロゾア・イグニオ(炎のヒドロ(ちゅう)*2
※vol.18〜19に登場。

ヒドロゾア・テグラ(覆うヒドロ虫)
HERO SAGA『PROJECT G1』に登場。


ビーロード

ハチ型超越生命体。
殺人方法:対象を無機物と融合させる。

アピス・ウェスパ(雀蜂)

アピス・メリトゥス(蜜蜂)
※vol.22〜23に登場。


スティングレイロード

エイ型超越生命体。
デザイン担当は草彅氏。
殺人方法:対象を非物質化させ、床などをすり抜けさせて墜死させる。

ポタモトリゴン・ククルス(頭巾のエイ)

ポタモトリゴン・カッシス(鉄兜のエイ)
※vol.24〜25に登場。


シーアーチンロード

ウニ型超越生命体。
デザイン担当は草彅氏。
殺人方法:「深淵の菱」と呼ばれる手裏剣を対象に打ち込み、生命エネルギーを奪い尽くして餓死させる。

エキヌス・ファメリカーレ(飢餓の雲丹)


フィッシュロード

魚型超越生命体。
デザイン担当は草彅氏。
殺人方法:「海神の叉」と呼ばれるで対象を突き刺し、潜水症に似た症状を起こす。

ピスキス・アラパイマ(赤い鰭の魚※ピラルク)
※vol.29に登場。

ピスキス・セラトゥス(鋸の歯の魚※ピラニア)
※vol.35に登場。


クラブロード

カニ型超越生命体。
デザイン担当は草彅氏。

クルスタータ・パレオ(蒼ざめた蟹)
※vol.30〜31に登場。

オルカロード

シャチ型超越生命体。
デザイン担当は草彅氏。

ケトス・オルキヌス(鯨や鯱と似た者)
※vol.31〜33に登場。


マンティスロード

カマキリ型超越生命体。

プロフェタ・クルエントゥス(血塗れの預言者=蟷螂)
※vol.34に登場。


リザードロード

イグアナ型超越生命体。
デザイン担当は草彅氏。
殺人方法:瘴気を対象に吐きかけ、泡状に溶かす。

ステリオ・デクステラ(右方の蜥蜴)

ステリオ・シニストラ(左方の蜥蜴)
※vol.37〜38に登場。


オウルロード

フクロウ型超越生命体。
殺人方法:手の鉤爪を対象に突き刺し、内臓を消滅させる。

ウォルクリス・ウルクス(梟に似た鳥)
※43〜44に登場。


ファルコンロード

ハヤブサ型超越生命体。
殺人方法:高速飛行しながらの頭突き。クロウロードと被っているが、気にしてはいけない

ウォルクリス・ファルコ(隼に似た鳥)
※vol.43〜46に登場。


ヘッジホッグロード

ヤマアラシ型超越生命体。
殺人方法:頭の針を投げて対象に突き刺し、時間差で体組織を水に変える。

エリキウス・リクォール(溶解させる針鼠)
※vol.45〜46に登場。


ビートルロード

カブトムシ型超越生命体。
殺人方法:角から発射する針を対象に打ち込み、灰化させる

スカラべウス・フォルティス(強靭な甲虫)
※TVスペシャル『仮面ライダーアギト スペシャル 新たなる変身』に登場。


アントロード

アリ型超越生命体。
殺人方法:蟻酸を対象の顔面に吐きつけ、水中に引き摺り込んだかのような状態で窒息死させる。

フォルミカ・ペデス(歩兵の蟻)

フォルミカ・エクエス(騎兵の蟻)

フォルミカ・レギア(王位の蟻)
※映画『劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4』に登場。レギアはクイーンロード。


●ライノロード

サイ型超越生命体。
殺人方法:対象をバリア内に閉じ込め、そのままバリアを縮小して圧殺。

※読み切り漫画『3大ライダーVS(スーパー)ロード』に、白と黒*3の2体が登場。個体名は不明。

ドッグロード

イヌ型超越生命体。
※HERO SAGA『HEAVEN'S DOOR』に登場。連載時はドッグオルフェノクだった。


バッファローロード

バッファロー(スイギュウ)型超越生命体。
殺人方法:「至高のトリアンナ」と呼ばれる槍から撃ち出すプラズマにより、対象を跡形もなく焼き尽くす。

タウルス・バリスタ(砲撃の雄牛)
※『仮面ライダーディケイド』に登場。

なお、上記の通り、イコンにはプテラノドン型のアンノウン等が描かれている事から、本編未登場のアンノウンも相当数存在するものと思われる。

●エルロード


「闇の力」に近しい高位の使徒。
劇中では「水」「風」「地」の3体のみが出現したが、OPのイコン画を見る限り、全7体が存在していた模様。
ただし、イコン画には血を流し堕ちていくエルロードと思われる天使の姿も描かれている事から、本編に登場しないエルロードは既に戦死している(現世の肉体を失った?)とも考えられる。
恐らく元ネタは7大天使。
7体のうち中央に描かれ、人間に加護を与えてで刺し殺されているエルロードは、人間に火を扱う知識や技術と自身の力を与え、罰として殺される際にアギトの力をばら撒いた「光の力」プロメスである。
高位の「使徒」と云うだけあり、下位の「使徒」を遥かに凌ぐ力を持つ他、背中の羽根が大型化している。
また、アギト同様に複眼を備えるなど、「仮面ライダーと敵怪人のルーツは同じ」という『仮面ライダーシリーズ』の要素はここでも健在である。

◇光の力 / プロメス
白い服の青年。他のエルロードと同じ形式で呼ぶなら「火のエル」とでも言うべき存在。
聖書でのルシファーギリシャ神話でのプロメテウスに相当する存在。

最後まで彼の怪人体が登場する事はなかったが、出渕氏はサラマンダーを意識したデザインにする予定だったという。
なお、イコン画に描かれているアギトと思しき存在がフレイムフォームらしき姿である事から、「『自身の力を与えた=火の力』では?」という考察もある。
余談だが、本編ではあたかも「闇の力」と同じ姿の対等な存在のように描かれた彼が「7人のエルの一人」という立場だったことから、『エルロードの人間体は皆「闇の力」と共通なのではないか』という考察もある。

水のエル
クジラ型エルロード。
最初に出現したエルロードで、あかつき号事件の元凶。
デザイン担当は草彅氏。

風のエル
タカ型エルロード。
「闇の力」の眠る聖地の守護者で、「憐憫のカマサ」と呼ばれるから光の矢を放ち、対象を消滅させる。
デザイン担当は草彅氏。

地のエル
ライオン型エルロード。
「闇の力」の命により、アギト抹殺を使命とし、手から放つ熱砂にて、対象を灰塵に帰す。

大地のエル
7体のエルの1体かは不明だが、読み切り漫画『3大ライダーVS(スーパー)ロード』に登場した。
ゾウのような姿…だが、従来のどのアンノウンともかけ離れた容姿をしており、エルロードに見られた大きな目の意匠もない。



※3体には強化体が存在するが、風のエルのみ強化体にならなかった。





追記・修正は天使の輪を頭に浮かべて爆死してからお願いします。

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最終更新:2024年01月07日 06:04

*1 作中では、対象の頸椎を握り潰す(それからウロに押し込む)というシーンが見られる

*2 クラゲに近いが、少し違う生物。「電気クラゲ」として有名なカツオノエボシは、ここに属する。

*3 白黒漫画の為、正確な色は不明。