World of Tanksに登場する戦車(ソ連)

登録日:2017/09/05 Tue 23:09:05
更新日:2022/05/03 Tue 09:06:31
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※本項目はWorld of tanksWorld of Tanksに登場する戦車から分離した記事です


ソ連と言えば大祖国戦争(独ソ戦)においてドイツと世界最先端の戦車戦を繰り広げた戦車の本場であり、当然World of tanks(以下Wot)内においても最も有力なツリーの一つになっている。カラーリングは草色

というか実質的にドイツと並んでこのゲームの主役勢力と言っても過言ではなく、車輌ラインナップもドイツに次いで2番目の数を誇っている。

基本的な性能傾向としては、高次元でバランスがとれており、特に装甲・火力・機動性・隠ぺい率といった最重要部分の性能に隙が無く、単純な意味で「強い」傾向がある。
ただし全体的に砲の精度・収束速度などがやや悪く、視界範囲などもやや狭い傾向がある。また砲の俯角もしょっぱいため、総じて言えば「殴り合いには超強いが、その分不器用」という感じに収まっている。まあ平たく言えば脳筋である。
一見隙の無い強さを誇っているソ連戦車だが、そうした弱点を突かれてしまう状況になると、一転して苦境に立たされることもある。

とはいえ基礎性能の高さはそのまま乗りやすさ、安定性にもつながるため、プレイヤーからの人気は非常に高い。ゲーム全体から見た使用率ランキングでも、上位に入っている車両はほとんどがソ連戦車となっている。
この高い性能、そしてWot自体がロシア産(正確にはウォーゲーミング自体はキプロスの企業である)ということもあってか、プレイヤーから「アカめ!ソ連優遇やめろや!」とのやっかみが寄せられることもままある。

国別の乗員強化アイテム*1予備戦闘糧食ソ連製のとてもマズい予備戦闘糧食。
ただしこれは予備=Extraの翻訳ミスで、正確には「追加戦闘糧食(チョコやアメなどのおやつ的なもの)」と看做すべきだろう。


《代表的な共産主義戦車》



「BT-7」

ノモンハン事件で日本軍と戦ったソ連の快速戦車。tierは4で、区分は軽戦車。
「赤軍の至宝」ことトハチェフスキー元帥が編み出した機甲戦ドクトリンに基づいて開発されたが、スターリンおじさんによる赤軍大粛清によってその運用教義が失われてしまい、下手な使い方をされて損害を出しまくったという笑えない歴史を持つ。
ちなみにガルパンで活躍した「クリスティー突撃砲」ことBT-42はフィンランド軍がこのBT-7を鹵獲して改造したものだが、残念ながら本人(?)はいまだ実装されていない。

性能的には典型的な「攻撃型軽戦車」で、機動性と火力に優れる反面、大型な車体は隠蔽率が低く、視界も狭いと、偵察性能が控えめになっている。
しかしこのtier帯ではまだ軽戦車・中戦車・重戦車の役割分担はそれほど明確ではなく、軽戦車といえども偵察力よりも戦闘力が求められるため、あまり問題にはされていなかった(過去形)。
ver1.9でTier3から4に格上げになったが、性能がTier3時代からほぼ据え置きなので苦しくなった。そのせいでソ連戦車140台中最低のWN8レーティング*2を叩き出すことに。
苦行とか言われてるM5スチュアートやリー先生よりやばい数字を出していると思うと…。
非課金、非コレクション戦車の中ではフランスTier3軽戦車であるAMX38に次ぐブービーである…。


T-34

Урааааааааа!!!!
説明不要な救国の赤い英雄こと、頼れる鋼鉄の同志T-34。tierは5で、区分は中戦車。
傾斜装甲による高いAP弾耐性、素晴らしい機動性、tier帯屈指の貫通力と精度とDPM*3を誇る主砲など、走攻守いずれにおいても十分なスペックを発揮する良戦車。

……なのだが、Wotではどうにも環境に恵まれていない面がある。
というのも同tier帯のライバル中戦車(4号H型M4シャーマン)は強力な榴弾砲、通称「十榴(口径が10センチの榴弾砲、の略)」を搭載できることが多く*4その大口径HE弾に対してはT-34自慢の傾斜装甲の優位性が薄れてしまうのである。

とはいえ同格ライバル達とのタイマンではやや不利がつくというだけの話であり、総合性能で言えばそれらライバル達よりも優位に立てる高性能戦車ではある。特にソ連名物傾斜装甲はきちんと防御姿勢を取ればかなり頼れる(4号はほぼ全部垂直装甲、M4は砲塔のみ垂直装甲)。
同志達よ、祖国を信じろ。

ちなみに85mm砲搭載型のT-34-85は別戦車扱い(無印T-34から開発で入手可能)。



KV-1

恐らくはこのゲームを始めたプレイヤーが、最初に実感することになる「壁」であり、tier5にして突如出現するラスボス級重戦車。
史実では足回りのあまりの残念さ故にまともな運用を諦められた*5欠陥戦車だが、故障などという概念が存在しないWotでは話が別。

初心者「露助の欠陥戦車なんかに負けたりしない!」

~3秒後~

初心者「重戦車様には勝てなかったよ……」

という即堕ち2コマは最早Wotの風物詩である。

tier5としては許されざる火力と装甲を誇り、同格以下の戦車の砲弾はガンガン弾きながら、次々に敵をKOしていくという重戦車の典型的な「こっちだけズルして無敵モード」を早々と見せてくれる超高性能重戦車。
視界範囲が超せまいというソ連戦車共通の弱点もあるのだが、機動性もそれなりにあるし、第一まだまだ初心者ばかりのtier5ではその弱点を正確につくのも難しく、低tier帯の戦場はしばしばKV-1無双と化す。
格下殺しの連射速度を誇る57mm砲、汎用性重視の85mm砲、一撃重視の122mm榴弾砲のどれもがそれぞれ長所があり、一見では相手が何を狙ってるのかが分かりにくいのも強み。

ちなみにこれでも度重なるnerf(弱体化)を受けた状態であり、かつては今よりさらに強かった。なんだそれ。



KV-2

「君たちはなぜ戦車の上に冷蔵庫を乗せているのかね?」って見た目の”街道上の怪物”。tierは6で、区分は重戦車。ガルパンおじさんには「カーヴェーたん」の方が通りがいいかもしれない。
同格中戦車のHPが750前後、重戦車のHPが850とかの世界に、HE弾ダメージ910という驚天動地のビッグキャノンを引っ提げて登場する何かおかしい重戦車。
ちなみにドイツtier10重戦車マウスの128mmHE弾ですらダメージ620である。なんなのこの子…

当然その152mm砲の直撃をもらえば同格以下の戦車なら一撃昇天(格下軽戦車などなら至近弾でももれなく昇天)、格上戦車ですら大ダメージを免れない。
その超絶的火力を除けば、装甲はtier5のKV-1から据え置きなので相対的に弱体化、砲塔旋回速度も超悪化、装填速度は最早論外といまいち不器用な戦車ではあるが、圧倒的な長所がそれを補って余りある。

ただし敵からのヘイトもKV-1以上に高く、その脆さとリロードの遅さ、ド近眼故に孤立にも弱いため、KV-1とはうって変わって(重戦車の中では)かなり慎重な立ち回りが要求される。
ちなみにもうちょっと数を撃ちたいなら107㎜砲も搭載可能。こちらもたまーに見かけるが、最大の長所が薄れてしまうため基本的には152㎜砲装備を推奨。107mmを載せたいなら、同格のT-150に乗ったほうが安定する。
ただ、T-150は107mmを乗せるまでが苦行なので、先にKV-2で開発だけしておいてT-150に持っていくというルートはあり。
ここからの開発ルートは重戦車でなく、Tier7駆逐戦車のSU-152になることだけは注意。


「SU-100」

同僚のT-34やライバルのへったん・三突に比べ、大変に知名度の低い(多分)ソ連製駆逐戦車。tierは6。
ドイツの三突に触発されて開発されたソ連初の駆逐戦車SU-85の改良型で、第二次大戦で実戦投入された最後のソ連の駆逐戦車である。古い模型ファンなら、「ジェーコフ戦車」のタミヤ式ペットネームを聞いたことがあるかもしれない。

大火力、重装甲、高機動と3拍子揃ったソ連戦車らしい基礎スペックの高さが魅力で、地形や戦況によって繁みに隠れた待ち伏せも、他戦車に混じって前線を張ることもできるとても優秀な駆逐戦車である。
加えて砲の精度面でもかなり優秀なのだが、これはあくまで「ソ連としては」という前置詞がかかせない。ドイツやイギリスなどのライバルに比べると泣きたくなるほどのガバガバ砲であり、ここが玉に瑕か。



「IS」

ご存知、元祖スターリン戦車。通称書記長。
このゲームでの所属はtier7重戦車であり、IS-1とIS-2初期型が統合されている(最初はIS-1仕様だが、開発を進める事でIS-2初期型装備となる)。
ちなみにスターリンシリーズは他に-2後期型が中国とソ連に2種類有る他-3~-8(T-10に名称変更)まできっちり揃っている。

史実通りの傾斜装甲による高い跳弾能力と高い機動性を誇る人気車両…なのだが、そこはソ連戦車の伝統と言うべきか、砲性能に問題を抱えている。
ただソ連戦車の通弊と言えば、一般的には「精度の悪さ」と「俯角の無さ」だが、ISの場合はむしろソ連戦車には珍しい「貫通力の不足」という欠点がちょっと深刻。
加えてこのtier帯あたりからは重戦車の装甲が飛躍的に強化され、「きちんと弱点を狙わないと、同格相手でも貫通しない」という傾向が強くなるため、この欠点は(特に初心者にとっては)結構つらい。

とはいえ総合的には扱いやすく強い戦車であること、開発までにキツい戦車がない*6事から「KV-1からもっと先に行きたい」と言う向きには自信をもってオススメ出来る戦車である。

もちろん単純に「ノンナが乗ってたから」で選んじゃってもOK。ちなみに公式からノンナボイスMODも出ているぞ。
というかこいつに限らず、ガルパンで印象的だった戦車はやはり人気が高めである。



「S-51」

独ソ戦の最中に試作された大型自走砲で、tierは7。
大雑把にいうとKVの車体にB-4 203mm砲を搭載した自走砲なのだが、重すぎる砲+重すぎる車体の合わせ技により駆動系のトラブルが頻発し、結局試作だけで量産されることは無かったという代物。

その最大の特徴は何といっても後期砲である203mm砲の超威力で、一発1050ダメージ(自走砲全体の調整以前は1850ダメージ)の砲弾は格下車両なら一撃で昇天させ得るし、重戦車ファランクスの中央に落ちれば怒涛のモジュール破壊ログを拝むこともできる。
ただしその分精度・照準時間・装填時間・射角などは劣悪極まりないため、いわば典型的な「ソ連式バ火力自走砲」と言える。

色々と癖が強すぎる自走砲ではあるが、格下をワンショットキルできる快感は捨てがたいものがあり、またこれ以降のソ連自走砲は威力面では頭打ちになる*7こともあって、熱狂的に愛好する自走砲プレイヤーも多い。



「Object 252U」

2017年2月23日に追加されてしまった、新しいプレミアム戦車。tierは8で、区分は重戦車。
同じTier8のプレミアム重戦車、IS-6の試作機にあたる。

かつてはWotにおけるプレミアム戦車、即ち課金戦車は、基本的に「稼げる補正がついているけど、特に強くはない」という傾向が強かった。
しかし2016年あたりから、アメリカ通常ツリーに属するT32の上位互換こと「T34」や、超絶装甲中戦車「T26E4」、ドイツの火力全振り鬼畜駆逐こと「Skorpion G」など、同格の通常戦車を上回る強力な課金戦車が目立ち始める。
そしてこの252U(とカラーバリエーションモデルのDefender)もそんな強力課金戦車の一台であり、同格重戦車の中でも1,2を争う強烈な性能を誇っている。

基本的には走・攻・守の3大基礎ステータスを高レベルで兼ね備えたソ連らしい重戦車なのだが、特筆すべきはその圧倒的な防御力の高さ。
良質な傾斜が施されたその装甲は、正面から見た場合最も薄い車体下部でも220mm相当、最も厚い砲塔正面では400mmにも達し、同格どころか上位tierの重戦車にすら匹敵する超重装甲に仕上がっている。
唯一150mm相当しかないキューポラが弱点ではあるが、投影面積がかなり小さく、ハルダウンでもされようものなら狙うのはほとんど不可能となってしまう。

これに加えて砲精度こそソ連戦車共通のガバり気味だが、同格重戦車中トップの単発火力を誇る主砲を持ち、おまけに機動性まで(このクラスの重戦車としては)良好と、正直な所バランスブレイカーに片足突っ込んでいると言わざるを得ない強力なインファイター型重戦車に仕上がっている。
このため実装時にはその圧倒的な性能、そして課金戦車であるという点から随分と物議をかもした*8

しかしこういった装甲重視型のインファイターは同格~格下に対して圧倒的な力を発揮する反面、格上戦になると防御力の優位が失われ、機動力や火力に特化したタイプに比べて価値の低下が激しいという弱点がある。
特に単発火力が強大な反面砲精度が劣悪な252Uではこの傾向が強く、格上戦では出来ることが激減してしまう。

とはいえその欠点があってもなお圧倒的な強戦車であるのは間違いなく、車輌全体の勝率ランキングにおいては上位1/5クラス。
流石に格上戦との影響を殺しきれないWN8レートでは160-170位程度まで下がる。



「Object 260」

ソ連重戦車、IS-7の試作機。パーソナルミッション*9のクリア報酬としてもらえる。

この戦車の何がやばいのかというと、戦車自体の性能ではなく、それに乗ってるプレイヤー。
まずObject260ミッションに挑戦するためには「全車種でTier6以上の車両を所持している」が前提となり、
Object260ミッションは15×5の合計360もあり、またそれぞれ軽戦車・中戦車・重戦車・駆逐戦車・自走砲に均等に振り分けられている。
つまりWotに登場するすべての車種を完璧に乗りこなせなければクリアできないということである。

そしてミッションの内容も、最初は「軽戦車で敵車両の履帯を1回切断せよ」「駆逐戦車で300m以上の距離から敵車両にダメージを与えよ」といった簡単なものだが、
最終的には「中戦車で体当たり撃破」「重戦車で自車両のHPの3倍以上のダメージを装甲で止め、かつ自分は3000以上のダメージを与えよ」とか「自走砲で1発の砲弾で敵3車両以上を同時にスタンさせろ」などといった鬼畜なものになる。
ここまでくると本人の高いスキルは勿論は大前提として、どうしようもない運も達成に絡んでくるため、クリアには相応の試行回数が必要不可欠。

つまりこの戦車を持っているということは即ち、軽戦車・中戦車・重戦車・駆逐戦車・自走砲の全てを乗りこなすことができて、それぞれの車種の長所や欠点を知りつくし、
かつ当然ながら高いプレイヤースキルを持ち、運が絡むミッションをコンプリートできるほどに試合経験も豊富な、まさしくスーパープレイヤーであることの証明なのである。

この戦車に乗っているという時点で中の人が(アカウントRMTとかでもない限り)超上級者であるということであり、戦場での注目度は半端ない。
戦車自体の特性としては機動性が中戦車並の重戦車であり、装甲や火力は微妙だが、陣地転換を華麗にこなすという点で柔軟性が高い。
この戦車を持っているということはすべての戦車を乗りこなす柔軟性を持つコマンダーであり、その知識を十二分に発揮させられる戦車である。

「Object 279 early」
で、V1.1.0で追加されたパーソナルミッション第2段の報酬車両。
こちらもチャレンジ条件が鬼畜を通り越しており、
「全ミッションでTier8以上の車両を使用」「最低でもソ連とアメリカorイギリスの自走砲、ドイツor日本とフランスorスウェーデンorチェコorイタリアの車両を所持」「しかもミッションごとに特定の数戦とか2戦連続で結果を出さないとリセットされる」という始末。
これでも途中から難易度が若干下がったというのが非常にアレである。
性能的には…車体下部が全部履帯扱いかつ、その他の部分も正面なら金弾が無いと抜けないというTier10重戦車にふさわしい防御力を持つ。
まあそれ以上にこれを持っているという事は鬼畜ミッションのクリア者ということなので…。


追記:修正求む

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最終更新:2022年05月03日 09:06

*1 その国の兵士たちの好物。飲食物なので消耗品だが、乗員のスキルを10%も上げてくれる優れもの

*2 2020/12/05 WOTINFO ASIA鯖集計。

*3 Damage par Minute。1分間当たりのダメージ総量

*4 ただしこれは厳密には「ゲーム上の嘘」である。105mm砲シャーマンは本来は歩兵や非装甲の砲のようなソフトスキン目標を始末するのを目的とした車輌(一種の歩兵戦車)であり、対戦車戦闘を目的とした戦車とはそもそも運用コンセプトが異なる。ちなみにソ連はこの手の車輌については戦車の砲塔を丸ごと変えて新車種を作る傾向が強い。また、ドイツでも本来この手の任務には突撃砲が充当されており(本ゲームで言えば10榴三突がちょうど105㎜シャーマンとよく似たコンセプトである)、10.5cm榴弾砲装備型4号なんて戦車は存在しない。

*5 有名な逸話「ソ連戦車兵は金槌でシフトレバーをぶん殴ってギアチェンジしていた」もおそらくこの戦車によるもの

*6 Tier4のT-28が火力&機動力極振りでちょっと苦しいくらいで、明確な「ガレージの無駄」な戦車に乗る事は無い

*7 Tier9の212Aまで同じ砲を使う、Tier10のObj.261は精度の代わりに威力が下がる。

*8 本車に限らず、最近のWoT自体がP2W…つまり課金ゲー偏重を批判されているのも否定できない

*9 通常ランダム戦において、特殊な条件を満たして達成する特殊実績のようなもの。4段階にわかれており、それぞれの段階をクリアすると特定の戦車がもらえる