アナバス(魚類)

登録日:2017/8/25 (金曜日)11:26:00
更新日:2020/05/17 Sun 23:55:12
所要時間:約 6 分で読めます




アナバスとはスズキ目(Perciformes)・アナバス亜目(Anabantoidei)に属する魚の総称であり、
カラフルな体色と丈夫さ、育成の簡単さから、初心者にもオススメな熱帯魚である。


概要

アナバスの大きな特徴としては、エラの中に複雑に折りたたまれた特殊な呼吸器「ラビリンス器官(迷宮器官)」を持っている事である。
これで直接空気中からの酸素を血液に取り入れる事が出来る様になっており、口から酸素を取り入れる呼吸と普通の魚のようなエラ呼吸の2通りの方法で呼吸をしている。
これによって、通常の魚類では生息する事が出来ない酸素濃度の低い様な水たまりでも、水面から空気を吸って酸素を吸入する事が出来る。
逆に、空気呼吸の出来ない環境では(魚なのに)溺死する事もある。
1メートル越えになる種類もあり、現地では食用にもされている程に美味しいらしい。

アナバスのほとんどは雄が水面に巣を作って卵を育てる。また、縄張りを持つので侵入しようとする他の雄に対して活発な防御行動を取る。

原種は、東南アジアを中心にアフリカにまで分布しているが、市場に出回るほとんどの種類は東南アジアの養殖種である。
特に、品種改良された美しいグラミー達のほとんどはそれ。
ラビリンス器官のお陰で輸入しやすく育てやすい事から市場にも出回りやすく、瓶に入ったベタを見た人も多いのではないだろうか。

主なアナバス


ベタ


ベタ(Betta)の野生種はタイのメコン川のあたりに生息している。
「闘魚」とも呼ばれ、強い縄狩り意識を持つので、狭いエリアに複数のオスを一緒にすると戦い始める。
また、鏡を近付けると自分の姿を敵だと思って戦闘態勢に入るが如く興奮し始める。
オスは長く美しいヒレを持っている種が多く、小瓶やコップで飼育する事も出来るので初心者向けでもある。
だが、あくまでも「飼育出来る」というだけなので、美しいヒレをしっかり広げられるように、窮屈な容器ではなく小さめでもちゃんとした水槽で飼う事をお勧めする。

ワイルド
野生種の事。一口にベタといっても約50種類がおり、派手なものから地味なものまで様々。
このうち観賞魚として最も普及し、後述の改良品種の大元となったのがスプレンデンス種である。
またインベリス種は殺し合いをしない(ただし喧嘩自体はする)ため、逃げ場所や広さを工夫すれば数匹のオスを1つの水槽で飼う事も可能。
このほか水質に敏感なコッキーナ種や汽水域に生息するマハチャイエンシス種など、初心者向けではない種もいるので要注意。

プラガット
スプレンデンス種を元に闘魚としての改良品種したベタでヒレが短い。

トラディショナル
プラガットの改良品種で発色が良い。

ショーベタ
長く扇状に広がったヒレが特徴で、発色も良くて見た目も豪華。
ホームセンターで売られているほとんどがオスのこれ。


グラミー


ベタと同じ様に縄張り意識は強いが、温厚な性格の種類もいる。比較的協調性も高いので混泳自体は可能。
アンテナと呼ばれる細長い腹ビレを持つのが特徴で、興味のあるものはそれをツンツンと突っつく姿が見られる。
サイズは多くの種が小型から中型で飼いやすい。ドワーフグラミーという名前が付くと小型だなと思っても良い。
ペアで飼えば産卵の期待も高い。

ゴールデンハニードワーフグラミー

金色~オレンジ色の体色で、産卵期を除けば非常に穏和な性格な為、混泳にも向いている。一部ではGHDと略される事も。
逆に縄張り意識の強い魚との混泳になると、追いかけ回されて怪我をしたり、ストレスによって弱ってしまう。
ゆっくりと泳ぐ事から、餌を取りこぼしてしまう事も多い為、温和な性格の魚との混泳が望ましい。
実は改良品種なのだが、原種のハニードワーフグラミーが産卵期こそ綺麗なものの普段が地味なためか、ゴールデンの方が圧倒的に多く見かける。

ゴールデングラミー

見た目はゴールデンハニードワーフグラミーと似ているが、スリースポットグラミーという別のグラミーの改良品種。
非常に気性が荒くて10センチ越えの大きさとなる事に注意されたい。
同種同士でも喧嘩が起こるので、ゆとりを持った水槽で、水草や隠れ家を十分に用意しておくと良い。

ネオンドワーフグラミー

光沢のあるブルーにオレンジのラインが複数入る美しい種類で、ドワーフグラミーを品種改良したもの。
鑑賞性も高いが、品種改良の為か原種のドワーフグラミーよりも体質が若干弱い様に思える。一説にはホルモン剤を用いて強制的に青を発色させているとか…。

チョコレートグラミー

最大でも5センチ程度しかならない小型の種で、他の派手なグラミーと違ってチョコレート色の体色がとても渋い。
性格は温和を通り越して臆病とも言えるので、気性の荒い魚との混泳はオススメ出来ない。
育成は比較的難しい方だが、近年では輸入状態の良い個体が出回っている。
グラミーでは珍しいマウスブルーダー。

ピグミーグラミー

グラミーの中でもかなり小型な種で体長は3㎝ほど。
ラメを散りばめたように体がキラキラしている。
相手を威嚇する時に「クククッ」という感じの鳴き声を出す習性がある。

オスフロネームスグラミー

銀灰色の渋いグラミーで飼育は容易である。
ただしめちゃくちゃデカくなり、成魚になると体長は70㎝ほどに達し、迫力抜群。
そのサイズもあってか、本種を食用として養殖する地域もある。


スネークヘッド


ベタやグラミーとは異なり、細長い体型が特徴で、比較的大型のものが多い。
中国や日本にも生息している、カムルチー、タイワンドジョウと呼ばれる雷魚もスネークヘッドの仲間で、
小さいもので15センチくらいから、大きなものは1メートルを超える。
ジャンプ力の高いものが多く、水面から飛び出す事故も多いので飼育時には蓋を忘れずに。

レインボースネークヘッド

安価で良く売られているスネークヘッドはこれ。インド原産の小型種で大きくても15センチほど。
若干気が荒いので狭い場所での混泳には向いていないが、色鮮やかで人懐っこい性格から人気が高い。
飼い主を覚えており、手から餌を食べてくれたりする。
なお、鮮度が落ちやすくで美味しくないので食用には適さないとの事。

ドワーフスネークヘッド

レインボースネークヘッドの色違いに近く、サイズや性格もほぼ同じで共通点が多い。
野性味があってその色合いから小型の古代魚の雰囲気がある。


ジャイアントスネークヘッド

名前の通りにジャイアント。
アロワナ同等の1メートル越えまでに成長する。
獰猛な性格で歯も鋭くて力も強い。引きが強いので釣りには向いているかも。

ロイヤルトーマン

初年度の育成速度がとても速く、幼魚から一年で30センチ以上、最大で1メートル近くまで成長する。
気性はとても荒く、下手に手を入れると鋭い歯で怪我をする事もある。
レインボースネークヘッドと同様に、人慣れしてくると餌くれダンスをしてくるが、巨体の為にダメージも激しい(ウロコが剥がれる)。


追記・修正は餌やり後にお願いします 。



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最終更新:2020年05月17日 23:55