トランスフォーマー 最後の騎士王

登録日:2017/08/12 Sat 22:14:45
更新日:2023/08/18 Fri 17:11:54
所要時間:約 5 分で読めます






我々の星を救うために、全人類を滅ぼす




『トランスフォーマー 最後の騎士王(Transformers:The Last Knight)』とは、2017年に公開された米映画。
実写映画版『トランスフォーマー』のシリーズ第五弾である。
監督は今作がシリーズ最後の登板となるマイケル・ベイ

前作『ロストエイジ』から数年後の世界を舞台に、またまた訪れた地球の危機を、
アーサー王と円卓の騎士の伝説を背景に歴史とトランスフォーマーの関係を紐解きながらオートボットとその協力者たちが立ち向かっていく。
今作では、前作で宇宙へと旅立った司令官オプティマス・プライムが敵の手に堕ちて人類に牙を剥く。
また、前作では少なめだった変形シーンやディセプティコンの出番も多めで、破壊の規模としてはシリーズ一を誇る。

…しかし、あまりにも前4作と変わらない作風(爆発、カークラッシュ、残虐ロボファイト、下ネタギャグの鉄板)のためか全米の評価や興行収入は散々な結果になってしまい、雑誌『映画秘宝』のコラムには「全米が飽きた!?」と揶揄されてしまっていた。
映像面でも、本来はIMAX向けのビスタとシネスコの混合映像が通常スクリーン上映版でも採用された結果、
数秒ごとの画面比の変化や、シネスコ部分の額縁状態が見づらいという批判も多かった。

だが、半ば強引な謎解きや早すぎる人類滅亡のタイムリミット、それらの解決の強引さなど、ツッコミどころ満載の作風は、ある意味初代アニメである『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』に近いとも言える。

本作の不振の影響により、制作が予定されていた第6作が白紙となる事態となってしまった。

それとは別にバンブルビーを主役とした前日譚に当たるスピンオフ作品『バンブルビー』が2018年12月に全米公開、2019年3月22日に日本でも公開された。

いざ公開されたバンブルビーは第1作~第5作とはパラレルともいわれている。
それまでのシリーズも矛盾点などがそれなりに存在しているが。


ストーリー

地球滅亡を目論むトランスフォーマーの「創造主」を倒すために、オートボット司令官オプティマス・プライムは単身宇宙へと旅立った。
ディセプティコンのリーダー、メガトロンも行方をくらまし、最早地球でトランスフォーマーたちの居場所は奪われつつあった。
そして、オートボットに協力する貧乏発明家のケイドは、彼らと共に政府に追われる身となっていた。
そんなある日、ケイドは立ち入り禁止区域に墜落していた宇宙船に乗っていた瀕死の騎士スティールベインに一枚のメダルを託される。
そのメダルを狙って、メガトロン率いるディセプティコンと政府直属部隊「TRF」がオートボットのアジトを襲う。
間一髪で逃れたケイドだが、今度は人型のTFコグマンに「一緒に来てくれ」と同行を迫られ、バンブルビーと共にイギリスへ。
そこで彼は、そのメダルの秘密と迫りくる地球の危機を知らされる。

…一方宇宙では、創造主・クインテッサに捕らえられたオプティマスが、故郷サイバトロン星と地球の真実を聞かされ、そして故郷を救うために地球を滅ぼす決意を固めていた。

地球に迫るサイバトロン星。刻一刻と迫る地球壊滅の危機。人類は、そしてトランスフォーマーは…?


登場人物


  • ケイド・イェーガー
演:マーク・ウォールバーグ
前作に引き続き登場、自称天才発明家。
敵対宇宙人扱いされたオートボットの味方をしたため政府から指名手配され、現在逃亡の身。サウスダコタ州の廃車置き場で細々とジャンク品から発明品を造っている。
主にオートボットの修理や武器の開発、生活費のために修理工も日課にしている。
大学に進学した娘のテッサとも距離を置き、電話でも気軽に話せない侘しい日々を送っていた。
妻に先立たれて以来、女性関係にも恵まれず、娘に心配されバートン卿から気の毒な目で見られるほど。
過酷な戦いを経て、世界から居場所をなくしていくオートボットたちのために体を張ることを厭わない献身的な性格となった。

  • ヴィヴィアン・ウェンブリー
演:ローラ・ハドック
オックスフォード大学の考古学教授。知的で美人、おまけに運動神経も抜群の才色兼備な女性。
しかし喧嘩早いため男運に恵まれず、30代で彼氏なしとまずい境遇にあり、母親や親戚のおばさんたち(女系一族)から世話を焼かれている。
小さい頃亡くした父の後を追って歴史研究者になったものの、アーサー王の伝説に関しては「作り話」と割り切った態度を取っていた。
しかし、ホット・ロッドによりバートン卿の元へ拉致され、自分が魔術師マーリンの直系の子孫であり世界を救う者という使命を言い渡されてしまう。
あまりに突然なことに当初は反発し、軽薄なケイドとは反目し合っていたが…。

  • エドムンド・バートン卿
演:アンソニー・ホプキンス
ロンドンの田園に邸宅を構える謎めいた貴族。
古くから地球に移住していたトランスフォーマーたちと歴史を築き上げてきたウィトウィック騎士団の一員であり、自宅にもオートボットを匿っている。
年老いているものの快活な好々爺であり、突然の使命に混乱するケイドとヴィヴィアンを導いていく。
地球を救う使命に殉じており、そのためにはあらゆる手段をも辞さない高潔な精神を持つ。

  • イザベラ
演:イザベラ・モナー
ケイドがシカゴで知り合った14歳の少女。
シカゴの戦いで両親を失い、今や立ち入り禁止区域となったシカゴで、逃亡中のオートボットたちとTRFから隠れながら暮らしていた。
その最中で戦闘のスキルも身に着けており、すっかり喧嘩早いお転婆な性格。
TRFとの戦いで保護者同然の存在だったキャノピーが死亡し、相棒のスクィークスと共にケイドの工場に押しかけ、オートボットに協力することに。

  • ウィリアム・レノックス
演:ジョシュ・デュアメル
元オートボット連合チーム「NEST」隊長の陸軍大佐。現在は対TF部隊のTRFに所属している。
昔のよしみの罪悪感からか、オートボットには温情をかけており敵対している現状に納得がいっていないが、政府の命令には背けず葛藤している。
社会の大きなうねりに揉まれたためか、今回は前三部作のような熱血さよりも慎重さが目立つ。

  • サントス
演:サンティアゴ・カブレア
元CIA部隊「墓場の風」に所属していたTRF隊長。
全てのトランスフォーマーを敵対種族だと信じ込んでおり、TFの地球からの掃討に執念を燃やしている。
しかし、逃亡中のケイドを追い、レノックスの訴えを経て地球の危機に瀕した時、彼の心境にも変化が…。

  • モーシャワー将軍
演:グレン・モーシャワー
元NESTの司令。レノックスとは現在も上司と部下の関係。
迫りくる人類の危機に、TRFの指揮をとって再び立ち上がる。

  • ジミー
演:ジェロード・カーマイケル
ケイドの助手。
コンピューターエンジニアとしてケイドに雇われたが、逃亡犯であるオートボットと一緒に逃げる羽目になりしょっちゅう泣き言を言っている。
他のオートボットからも散々いじられ、自身もノリよくボケまくって愛されている。

演:ジョン・タトゥーロ
セクター7捜査官から紆余曲折の人生を歩んだTF研究家。
現在はオートボット保護区であるキューバでTFの研究をしながら生活している。
ウィトウィック騎士団に入団希望を出しながら、バートン卿に情報を提供していた。

  • マーリン
演:スタンリー・トゥッチ
アーサー王を導いたとされる魔術師。前作のジョシュア・ジョイスとは別人。
その正体は大酒飲みの大法螺吹きであり、魔法はまるで使えなかった。
しかし、地球に逃亡していた12人のサイバトロン騎士に交渉し、彼らに協力を仰いで使役することでブリテン兵に勝利をもたらし、その御業を「魔法」と称された。
彼が騎士を使役するのに使った杖が、地球とサイバトロン星の運命を左右することとなる。

  • アーサー王
演:リアム・キャリガン
中世ブリテンを治めた伝説の王。
日本では大罪と戦ったり女体化したりでお馴染み。
蛮族との絶望的な戦いの中でも、魔術師であるマーリンを最後まで信じ、援軍が来るまで戦い抜いた。

  • サム・ウィトウィッキー
演:シャイア・ラブーフ(写真のみ)
前3部作主人公。実家が実はウィトウィック騎士団の家系に連なる者だった。
ヴィヴィアンが最後のウィトウィック騎士団なので、彼の生存はおそらく…。

  • テッサ・イェーガー
演:ニコラ・ペルツ(声のみ)
ケイドの娘。現在は親元を離れ、ポルトガルの大学に通っている。
逃亡中の父を心配し、「英雄にならなくてもいい」と安寧を願っている。その一方で恋人も作って欲しいようだ。
吹き替え版でも僅かな出番のために中川翔子が続投している。


登場TF



ご存じ顔面破壊大帝司令官。
地球で散々な目にあったものの、地球を守る決意をし単身で黒幕である創造主の元に殴り込みに宇宙へと飛び立った。
しかし、サイバトロン星で件の創造主=クインテッサに捕まり、サイバトロン星と地球の衝撃の真実を知らされ揺さぶられた挙句、
サイバトロン星を救うために自分の下僕になれと唆され彼女に忠誠を誓い、悪の戦士「ネメシス・プライム」として覚醒してしまう。
地球を犠牲にするべく再び地球へと戻り、マーリンの杖を奪ってかつての部下であるバンブルビーにさえ刃を向けるが…。

ご存じみんなの人気者・ビー。
オプティマス不在後オートボットの臨時リーダーとなるが、相変わらずの人望ゼロで不貞腐れている。
未だに発声回路が治らず、1作目の地声が不評だったラジオでの会話が慣れきっている。今回、スタースクリームの発声回路で修理したものの何故か声がsiriになってしまった。
実は古くから地球に滞在しており、第二次世界大戦中はコマンドー部隊「悪魔の旅団」の恐るべき暗殺者ZB-7として名を馳せていた。今とあまり変わらない気もする
洗脳されたオプティマスと戦うことになるが、その時…。

  • ホット・ロッド
バートン卿に協力しているオートボット。
フランス人かぶれで女性に優しいフェミニスト。
ヴィヴィアンの愛車として陰ながら守っており、地球の危機で彼女をバートン卿の下へと連れてきた。
第二次世界大戦中はバンブルビーとコンビを組んでおり、今回再び戦闘で力を合わせる。
撃ったものの周辺の時間を止める特殊な銃を所持している。

バートン卿の執事TF。ヘッドマスターだが、作中では変形しない。
普段は英国紳士らしい落ち着いた振る舞いだが、やはりそこはTF、唐突にキレて暴れだしたり空気の読めないボケを言ったり魚雷になって魚を取ったりと芸達者。
注文の多いバートン卿には毒舌を吐いているが、忠実に依頼をこなしながら彼を敬愛する。

軍医になった動けるデブ火薬庫。
相変わらずのトリガーハッピーで、メガトロンにさえ臆せず撃ちまくり。
戦闘でも遠距離だけでなく近接戦もこなす。

チョイ悪チンピラスナイパー。
ビーをおちょくって喧嘩したり、コグマンに因縁を吹っ掛け指を折られるなど小物臭い。
イザベラがお気に入りらしい。

武士道かぶれの暴力サムライ。
ビークルモードが赤に変わり、本当の意味で「赤組」になった。
後半は宇宙船の操縦係になりほとんど出番なし。

  • グリムロック
騎士団ダイナボットの団長。近所のパトカーを盗み食いするなどでっかい犬のようなキャラとなっているが、伝説の戦士としての実力は健在。

  • スラッグ
グリムロックの側近。団長とのコンビネーションは抜群。

  • ミニダイノボット
小型のダイナボット。オートボットのマスコットになっている。

  • スクィークス
イザベラの相棒の小型オートボット。
TRFとの戦闘で損傷し、ビークルモード(ベスパ)に変形できなくなってしまう。
すばしっこいが臆病な性格で、イザベラにつきっきりで離れられない。だが、最終決戦でその体格を生かすことに…?

  • ホィーリー
実は生きていたラジコンTF。
ケイドに協力し、ジミーに悪口を叩きながら情報収集や修理の手伝いをしていた。

  • デイトレーダー
ジャンク屋の野良TF。
ケイドたちオートボットと取引しているが、商売のためならディセプティコンとも取引し、身なりも汚くガラクタばかり売るため彼らからは邪険に扱われる。

  • ブルドッグ
バートン卿のTF。年代物の戦車が変形。
バートン邸の門番をしているが認知症を患い、今もなお第一次世界大戦の真っ最中と思い誰彼構わず砲撃する。

  • キャノピー
イザベラとシカゴで暮らし、彼女を守っていたオートボット。
TRFの攻撃を受け死亡してしまう。

  • トップスピン
  • ロードバスター
キューバでシモンズと暮らしている。今やすっかりニート。




ご存じ破壊大帝。前作のガルバトロンと同一個体かは明言されていない。
地球の戦闘機に近いエイリアンジェットに変形し、頭部の形状がG1版に近くなっている。
数年間雲隠れしていたが、騎士のタリスマンの出現を察知し、それを奪うために地球人と交渉し部下を釈放してもらい、ケイドをつけ狙う。
今回もまた、ラスボスの手下という位置づけだが、過去作より大物感を出している。

  • バリケード
第1作、3作と登場し続けたパトカー。大胆に形状チェンジして再登場。
スタスク亡き後の新しいディセプティコンNO.2として、オートボット側の動向を陰で監視し続けていた。

  • ニトロ・ゼウス
戦闘機グリペンに変形。頭部がショックウェーブと同型。
無口だったショックウェーブと違いやたらとノリのいい航空担当で、メガトロンにも馴れ馴れしい。

  • モホーク
オートバイに変形。小型ディセップの例に漏れず、すばしっこく凶暴。
あまり強そうには見えないものの、メガトロンから真っ先に釈放を要求されていた辺り、過去の戦争で活躍していたのかも知れない。でも制限はなかった。

  • ドレッドボット
3のドレッズ型。強盗殺人を犯した凶悪ディセップ。後パトカー食い損ねた騎士のおやつ。

  • バーサーカー
3作目に登場したクランクケースと同型のドレッズ。
刑務所に収監されており、メガトロンは最も彼を釈放したかったようだが、あまりに凶暴で手が付けられないためTRFから釈放を拒否される。
つまり出オチ。

  • オンスロート
バーサーカーの代わりに釈放。巨体に違わず動きはのろいレッカー車。
玩具設定だと戦略家らしいが、作中ではそういった知的な様子は皆無。

3作目で戦死した元ディセプティコンNo.2。
今回はデイトレーダーが木っ端微塵にされた筈の彼の頭部をオートボットに提供。その後メガトロンに発見された時には「最も古き友」として惜しまれていた。
愚か者ではあったものの、信頼は得ていたようだ。


【サイバトロン騎士】
かつてはサイバトロンの創造主クインテッサを守護していたが、クインテッサの本性に気付き彼女に反旗を翻した12人の古代TF。
地球に逃亡後、ブリテン国の魔術師マーリンと関係を持ち、彼の真摯な説得に賛同し円卓の騎士と共闘した。
その後、迫りくる危機に備えてマーリンの墓と杖を、彼の後継者、そして「最後の騎士」が現れるまで守護する役目についた。
オプティマスもまた、前作において騎士の資格を得たものの、クインテッサに唆される形で彼らを裏切ってしまう。


  • ドラゴンストーム
12人のサイバトロン騎士が合体した三つ首の龍。
炎を吐きながら空を飛び、この圧倒的な力でブリテンに対抗する蛮族を打ち滅ぼしていた。


【クインテッサ一味】
  • クインテッサ
メインヴィラン。トランスフォーマーの創造主である超生命体で、自称「生命を司るプライム」。原作とは異なり完全な女性。
戦争で滅びたサイバトロン星を支配しており、再興のために地球を滅ぼすべく、星自体を地球へと向かわせ、さらに歯向かおうとしたオプティマスを洗脳し自分の配下に置く。

  • インフェルノコン
クインテッサの近衛兵。
6体が合体し巨人インフェルノカスに変形している。
我らが司令官完全復活の象徴、もとい、その被害者。





玩具

玩具版は「TLKシリーズ」と銘打って発売され、従来のように変形だけでなく可動もする通常ラインと「ロストエイジシリーズ」「イージーダイナミックシリーズ」の系譜である簡易変形ライン「スピードチェンジ」に分かれる。
ディセプティコンの商品が異常に少なく、一般販売では全31種中たった7種類のみである。通常ラインとスピードチェンジでキャラが被っていることもあり、たった4キャラクターしか発売されていない。

通常ラインと小型のスピードチェンジに関しては、日本版も海外版のアイテムがそのまま流用されている。
その後のトランスフォーマーシリーズ全体でも独自仕様が廃止されている*1ため、そのはしりと言える。

通常ラインはのっけから過去シリーズからの流用が多かったり完全新規造形のオプティマスプライムがなぜかトイザらス限定だったりと謎な部分もあったが、評価の高い新規キットも少なくない。

スピードチェンジは「ビッグ~」とつく巨大版がもともとの完成度の高さに加え日本版限定の追加塗装もあり、隠れた名作となっている。

その後に発売された「スタジオシリーズ」では、コグマンとトイザらス限定のドリフトがTLKシリーズの流用*2、WWⅡ仕様の玩具は劇中と似てないが新規造形である。


サイバトロン星が滅んだ日以来の声で、追記修正お願いします。


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最終更新:2023年08月18日 17:11

*1 ジェネレーションズセレクトなど、ごく一部を除く。

*2 4作目出典の「KSIボス」がTLKシリーズのニトロゼウスの流用だったりもする。