キール星人(ウルトラシリーズ)

登録日:2017/08/07 Mon 15:29:40
更新日:2024/02/23 Fri 21:20:07
所要時間:約 12 分で読めます




キール星人は、ウルトラシリーズに登場する宇宙人。

この項目では、キール星人の操る生物兵器「宇宙エイ ボスタング」
キール星人と敵対関係にある「ルパーツ星人」についても紹介する。


【概要】

元々ウルトラQで名前のみが登場した宇宙人。
地球人に敵対する事、好戦的な性格である事のみが設定され、その全容は長らく謎に包まれていたが、
それから41年後に製作された『大怪獣バトル』シリーズにメインキャラとして大抜擢。
その際に、外見を始め様々な設定が盛り込まれる事となった。

後述のルパーツ星人同様、地球人と全く変わらない外見を持っており、
普段の活動時にはの模様が入ったタイツ状のスーツ、棘が多いヘルメットなどを着用している。
主人公のライバル格という事もあり、どことなくダークヒーロー風の見た目になっているのが特徴。
劇中に登場したキール星人は2人のみだが、どちらともレイブラッド星人の血を引く怪獣使い「レイオニクス」で、しかもその強さは宇宙でも指折りである。

なお、名前が似ているがキル星人」とは全く関係ない

【主な活躍】

◆ウルトラQ

登場:第21話「宇宙司令M774」
身長:地球人と同じぐらい
体重:地球人と同じぐらい
上記の通り、ルパーツ星人ゼミが伝えた情報内のみで言及された存在。
好戦的な性格らしく、地球にもボスタングを送り込む形で攻撃を仕掛けてきた。

ただし平和を愛するルパーツ星人にいつも侵略計画を邪魔されているらしく、彼らを激しく憎んでいるという。
そして今回も、ルパーツ星人ゼミの進言によって計画は破綻してしまうのであった。


◇大怪獣バトルシリーズ

「概要」欄でも述べた通り、ゲーム、漫画、実写版すべてのジャンルで主人公のライバルとしてキール星人が2名登場。
両者ともも非常に重要な役割を担う事となった。
どちらとも後述のボスタングに似た宇宙船を所有しているのが特徴。

なお、時系列的にはグランデの方がヴィットリオよりも遥か昔の人物である。

○キール星人ヴィットリオ

登場:『大怪獣バトル ULTRA MONSTERS』、『大怪獣バトル ウルトラアドベンチャー』など
声:日比愛子
使役怪獣:EXゴモラ、ベロクロン(一部ゲームモードのみ)

宇宙の覇権を巡る「レイオニクスバトル」に、相棒のEXゴモラを引っ提げて参戦したキール星人の少年怪獣使い。
その力は圧倒的で、ヤプールの超獣軍団やEX怪獣(EXエレキング、EXレッドキング)を相手に一方的な立ち振る舞いを見せ、
さらに漫画版では主人公・御蔵イオの相棒であるゴモラとの決戦でも押し勝つほどである。

ゲームではヘルメットを被ったままで素顔は明かされていないが、漫画版ではその中にあるオールバックの金髪でツリ目の地球人の少年のような顔を披露している。

当初は地球人に対して敵対的な姿勢を取っており、主人公に対しても舐めたような挑発的態度を取っていたが、
何度も戦ううち次第に相手を単なる敵ではなくライバルとみなすようになり、協力的な態度をとる事も多くなっていった。
だが、主人公の怪獣との戦いに乱入したシルバーブルーメに捕らわれ、一命はとりとめたもののレイオニクスの力を奪われてしまう。
さらに黒幕であるレイブラッド星人が憑依したデスフェイサーから主人公を庇った事で大ダメージを負ってしまい戦線離脱。
相棒であるEXゴモラを主人公に託した。

その後無事力を回復し、さらに新たな力を手に入れる「第二覚醒」を経てよりパワーアップ。
続編のゲームである『大怪獣バトル ULTRA MONSTERS NEO』では頼もしい味方キャラとして参戦し、
再び暗躍を始めたレイブラッド星人や幾多もの宇宙人に、新たな仲間である主人公やカネゴンたちと共に挑む事となった。
過去の世界でグランデに「弱いチビ」と言われて怒ったり、異常事態に慌てたりと少年らしい所も多数見せるようになったが、
これが彼の素なのかどうかは不明。
漫画版の最終決戦では良き友でありライバルである御蔵イオとの再会、そして再びの共闘も実現している。

○キール星人グランデ

登場:『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』など
演・声:唐橋充
身長:2m
体重:84kg
使役怪獣:タイラント→レッドキング
デザイナー:後藤正行

そうです、私がキール星人です♪

惑星ハマーを舞台に繰り広げられていた各地のレイオニクスが集結し死闘を繰り広げる「レイオニクスバトル」に、
キール星から参戦したレイオニクス。

見た目は長い髪を結った変なおっさんで、耳のピアスに触れる癖がある。
上記の台詞を始めエレキングの電撃を浴びても「あー肩こりが治った♪」と言ってのけたり、主人公・レイの姉であるケイトの霊体をナンパしようとしたり、飄々として掴みどころのないような風貌だが、
根は非常に好戦的で勝つためには一切の容赦をしない性格。
そもそもレイオニクスバトルに参戦した目的の時点で、かつて宇宙を支配したレイブラッド星人の後継者になるのではなくただ単に戦うためと言ってのける、根っからの戦闘狂である。
だが、実はその裏で……。


その実力は、主人公であるレイを含めても劇中最強クラス。
初登場話である第6話のタイトル「史上最強のレイオニクス」は伊達ではなく、それまで幾多もの戦いを潜り抜けてきたレイの相棒であるゴモラタイラントで圧倒した挙句、
代わって参戦したエレキングの命を奪ってしまうほどであった。

この時は戦いに飢えるレイオニクスの本性を否定しようとするレイに呆れかえっていたが、
その後レイの姉・ケイトの霊体から弟を舐めるな、というリベンジじみた宣言を受ける。
そしてその言葉通り、仲間たちやケイトの奮戦により復活し、
よりパワーアップした「第二覚醒」を迎えたレイやゴモラの前にタイラントは圧倒され、ついに敗北してしまう。

通常のレイオニクスバトルの場合、怪獣使いと怪獣の命はほぼリンクしており、怪獣が敗れ去るとそれを操っていたレイオニクスも命を落としてしまうのだが、
レイの場合エレキングが身を挺してリンクを切った事で何とか命を繋ぎ、逆転勝利を収める事が出来た。
ところが、グランデは逆に自らリンクを断ち、「あの怪獣にも飽きてきた」と言う理由でタイラントを見殺しにする事で命を繋ぐという手段に出た。
そして、軽い口調のままリベンジを誓い、そのまま去っていったのである。

今度会う時は紹介しろ、お前のねーちゃん!

その後、タイラントの足を形作っていたどくろ怪獣レッドキングを引っ提げ再び登場。
その力を侮っていたペダン星人のキングジョーブラックをボコボコにするなど相変わらずの強さを見せ続けた後、
レイブラッド星人との最終決戦が迫る中、レイにリベンジバトルを挑む事となった。
そしてこの戦いの中で、自らがレイオニクスバトルに参戦した理由は、レイと同様に教育係を務め、
自らのレイオニクスとしての覚醒と引き換えにその命を奪った自身の姉のためであると真実を語っていた。

戦いの前半はレッドキングの力を駆使してレイのゴモラを追い詰めるも、やがてレイ&ゴモラもパワーアップし、
逆に追い詰められていく。だが、敗北した後もとどめを刺される事なく一命をとりとめた。

そして、レイブラッド星人の後継者になる事を否定したレイが絶体絶命の危機に陥った時……。

面白そうな相手だな……。

グランデ、お前……!

おやぁ?お前今勘違いしてるでしょう?
言ったろ、俺は楽しいバトルがしたいだけだと。
それにな、お前のねーちゃんまだ紹介してもらってねーし♪

……相変わらずお茶らけた言葉を述べつつ援護にかけつけ、ここにゴモラ&レッドキングと言う夢のタッグが実現した。
それでもレイブラッド星人が憑依したアーマードダークネスの猛威の前には流石に大苦戦を強いられるも、
レイの頼もしい仲間・ZAP SPACYの援護により一時的に隙が出来た所を見て、レイと共に使役怪獣を「EXモード」へとパワーアップ。
その凄まじい力をもって、レイオニクスバトルを見事終結させる事に成功した。

その後、俺たちの戦いは何だったのだろうか、とシリアスな言葉を述べつつも、
やっぱり最後はレイの姉ちゃんの事に触れつつ、いつもの調子で惑星ハマーを去っていくのだった……。


なお、タイラントの足に過ぎなかったレッドキングに興味を持った経緯は漫画版で描かれており、
上記のテレビ版より少し前に、未来の世界から乱入したヴィットリオの仲間である浅間アイが操るレッドキングの猛攻を目撃したのがその理由であった。
その際、嫉妬するかのように吼えるタイラントに対し、お前は仲間だと声をかけていたグランデだったが……。


……今のところはな。

ウルトラマンタイガ

登場:第9話「それぞれの今」
声:工藤雅久
水異怪獣マジャッパを封じたタリスマンを求め、祖母から「お守り」として受け継いでいた女性・行方(なめかた)マイコをヒュプナスと共に狙うが、
その過程で民間警備組織「E.G.I.S.」の工藤ヒロユキや宗谷ホマレとの戦いになり、やがてマイコを守るホマレを追い詰めていく。
だが、その中でタリスマンが破損してしまい、液体状に封印されていたマジャッパが蘇ってしまった。

計画が滅茶苦茶になった腹いせにホマレを散々痛めつけるが、ウルトラマンフーマの登場で奮起したホマレによって次第に形勢が逆転。

何故俺たちの邪魔をする!?お前も宇宙人だろ!!
だからなんだ!?俺は守りたいもんを守る!!

その後も肉弾戦や光線銃で応戦するが、大ジャンプで背後を取られ、ホマレの渾身の拳で敗れ去った。

大怪獣バトルシリーズ以来10年ぶりの映像作品の登場となったが、
「ウルトラマン」の名を冠したテレビシリーズ作品への出演は実はこれが初めてである。
また、ヴィットリオやグランデと異なり人間態の姿は披露していない。
というか、大怪獣バトルシリーズの描写に準ずれば、この個体はヘルメットを装着したままわざわざ人間態に擬態したという事にもなりそうだが……

登場:『[[劇場版 ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス]]』
ヴィラン・ギルドの一員であり、二本の短剣を装備している。
シャプレー星人、サーペント星人と共にヒロユキのウルトラアクセサリーを狙い、カツミと戦うも、グリムドが復活すると逃走した。

【関連怪獣・宇宙人】

◆宇宙エイ ボスタング

登場:『ウルトラQ』第21話「宇宙司令M774」
全長:50m
体重:1万t
地球侵略を企んだキール星人が送り込んだ、巨大なエイの姿をした怪獣。某所で「ボスタング ただのエイ」と言う検索候補が出るほど
卵の状態で地球に送り込まれた後、三浦半島沖の海底で孵化。近くを航行していた船を撃沈させるなど大暴れを始める。
水中は勿論空中もマッハ2で飛ぶ事が出来、ヒレの一撃の威力も場外ホームラン120万発分に匹敵する(なんじゃそりゃ)ほど凄まじい。
毒はないようだが、長い尻尾の一撃はタンカーを叩き切る程の威力を有するらしい。

「ボスタング」の名前はキール星人の言語で「不滅の生命」を意味しているらしいが、その割に防御力はイマイチ。
海上保安庁の巡視船からの攻撃には耐えたものの、客船から目を逸らすため離れた場所に誘い込まれた後に航空自衛隊の戦闘機のミサイル攻撃を受け、
 呆気なく海の藻屑となってしまった。やっぱりただのエイだったんじゃないか…?

『大怪獣バトル』での登場は果たせなかったものの、キール星人グランデが操る宇宙船がボスタングそっくりの形をしており、
一部の書籍に「ボスタング型宇宙船」と紹介されている場合もある。

なお、本来は「OilS・O・S」という話(こっちじゃないよ)に怪獣クラプトンとして登場予定であったがこの話自体が没になってしまい、
残ってしまった操演用のミニチュアが改めて使用されたと言う経緯がある。
その後、このクラプトンは『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』にてベリュドラの体の一部としてだがようやく映像作品に登場している。

◇ルパーツ星人ゼミ

登場:『ウルトラQ』第21話「宇宙司令M774」
身長:160cm
体重:45kg
演:水木恵子
キール星人同様、地球人と変わらない外見を持つ宇宙人。
宇宙の平和を守るために活動しており、ゼミは地球を影から守る任務に就いていた。
普段は中央図書館の司書・一条貴世美と名乗っている。

残忍なキール星人とは敵対関係にあり、彼らが地球侵略のためにボスタングの卵を送り込んだことを受け行動を開始。
人形を使って新聞記者の由利子に、不思議な空間のバーにあった無人のレコードプレイヤーを用いて航空会社の万城目と一平にその危機を伝えた後、
改めて彼らの前に姿を現し、ボスタングの脅威を警告した。
その後は彼らと共に海上保安庁の巡視船に乗り込み、ボスタング撃破を見守った。

事件が無事に解決した後も、ゼミは「美しい星」地球にそのまま残る事にした。
そして彼女は、自分以外にも地球には多くのルパーツ星人が住んでいる事を万城目たちに語った。
彼女と同様、素足にサンダルを履いた、地球人そっくりの人たちが……。

貴方の隣の人も、宇宙人かもしれませんよ……?

それから少し経った後、地球人は同じように宇宙の平和を守るために戦う宇宙人たちと長い付き合いをしていく事となる。
その中でもウルトラマンメビウス アンデレスホリゾントで、情報提供者として彼女の名前が登場している。

とは言え流石の彼女でも、その時代から遥か未来にキール星人と地球人が宇宙の平和のためにする事になるとは予想できなかったかもしれない……。


【余談】

  • 「宇宙エイ」と言う別名を持つボスタングと異なり、キール星人とルパーツ星人は歴代ウルトラ怪獣・宇宙人でも数少ない別名が存在しない宇宙人である。

  • ボスタングのデザインは成田亨。氏が気に入っているエイの写真をそのまま怪獣のデザインにしたとのこと。
    まだ「クラプトン」だった頃のデザイン初稿ではエイというよりクラゲ染みたものも存在している。
    ボスタングの卵のデザインは、実在の生物よりも「木星の模様みたいにしたかった」と述懐している。

  • 前述した通り、『ウルトラQ』では名前が言及されるのみで『大怪獣バトル』まで実際の登場が全く無かった事から
    実はキール星人は架空の存在で、ルパーツ星人が地球滞在の許可を得るためにボスタングを操って自作自演したのではなんて身勝手な考察をする特撮ファンもいたらしい。
    ルパーツ星人にとってはとんだ風評被害もいいとこである。

  • 上記の通りグランデの実力は劇中でも最強レベルだが『大怪獣バトル』以外の作品でもその事が触れられており、
    ダークネスファイブの一員でありタイラントを従えるテンペラー星人・極悪のヴィラニアスから高く評価されている。


  • その唐橋充氏と主人公・レイを演じた南翔太氏が雑誌企画で家庭版の『大怪獣バトル』のゲームで勝負した事があったが、結果は唐橋氏の勝利
    やっぱりグランデは最強のレイオニクスなのであった。


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最終更新:2024年02月23日 21:20