トールギス

登録日:2010/05/07 Fri 14:52:01
更新日:2024/04/19 Fri 08:34:35
所要時間:約 19 分で読めます






殺人的な加速だッ!



新機動戦記ガンダムW』に登場するモビルスーツ(MS)。



■目次





■機体データ


型式番号:OZ-00MS
所属:OZ→無所属
開発:後のガンダム開発者達、ハワード
頭長高:17.4m
重量:8.8t
装甲材質:チタニュウム合金(小説版ではガンダニュウム合金)

武装:
ドーバーガン
ビームサーベル×2
シールド×1


  • アビリティレベル
ファイティングアビリティ:レベル100
ウエポンズアビリティ:レベル110
スピードアビリティ:レベル150
パワーアビリティ:レベル130
アーマードアビリティ:レベル120


■概要


アフターコロニー(AC)暦における最初の戦闘用MS。
白い装甲と頭頂部の赤いプレート状のパーツが特徴。その姿は鎧を纏った西洋の騎士を想起させる。
名前の由来は降霊術師(トールギスト)から。転じて「奇跡を起こす者」の意。
パイロットはOZのエースパイロット、「閃光の伯爵(ライトニング・カウント)」ことゼクス・マーキス。
デザイナーは、ガンダムエピオン以外のOZ製MSの多くを担当するカトキハジメ氏。


AC暦のMSは元々、宇宙空間での作業用機器として誕生した。
その用途はあくまで宇宙服の機能を持った重機の延長であり、コロニー建設などに投入される事で普及していったのである*1

しかし、AC170年代、MSの「兵器」としての可能性に着目したOZ、ひいてはロームフェラ財団により戦闘用MSの開発が開始された。
兵器へと転用されたMSは宇宙だけでなく地上でも優れた性能を発揮し、統一連合各国へと輸出されていった。
そして、MSの先進性を確信したOZは、より純粋な「戦闘用MS」の開発に着手することを決定。

設計・製造を担当したのは、当時は各分野の権威であったガンダム開発者及びハワード。
彼らは戦闘用MSの本質を突き詰め「考え得る全ての戦闘パターンにおいて、単機でも完璧な勝利を可能にする」という兵器としてある種究極的な性能を追求し、
持てる技術を投入し開発を遂行。そうして、トールギスという「世界初の戦闘用MS」が誕生したのである。

ちなみに頭部のフェイス部分の装甲を外すと、[□]←こんな具合にリーオーとそっくりな四角いセンサーカメラが現れる。
また、作中では使用されていないが背面にある丸い蓋状のパーツは緊急脱出用ハッチである。

なお、本機のカラーリングは元々いかにも兵器然とした迷彩カラーだったのだが、偶然ハワードに会う機会があったトレーズが「英雄に相応しいエレガントな色」を希望したためとされる。
これはその時まで「MSは現代兵器として破綻している」と考えていたトレーズにとって、ハワードが語った「本来MSは一機で戦局を変える『英雄』として開発された」という大時代的な思想に衝撃を受けた為らしい。
この発想はのちのガンダムタイプたちの兵器らしからぬカラーに影響を与えていると思われる。だがガンダムタイプのカラーはハワード曰く「英雄というより馬鹿者の色」。


■機体性能


その性能は実戦においても理論上は開発者をして「機動性を持った要塞」と称される本物であった。

しかし……開発されたトールギスは、「スペックがあまりに高すぎる」という、兵器にとって致命的な欠陥を持っていた。
普通ならスペックは高ければ高いほどいい、と思うだろう。

何百機からの攻撃を防ぎ切る「重装甲」と超高速戦闘にも対応できる「機動力」を両立する為に、
「全身の分厚い装甲で巨大化し重くなった機体を大推力で無理矢理飛行させ、同時にその運動を制御する」というコンセプトで生み出された本機は、
両肩に装備された巨大なスーパーバーニアによって
  • 瞬時に15G以上*2まで加速する大推力
  • エアリーズのマッハ2を遥かに超える速力*3
  • 最高速度は計測不能
  • エアリーズの三倍以上の旋回能力
を与えられていた。
そのため、加減して動かすことこそ出来るものの、その真価を発揮させるために必要な全力飛行を行った場合、パイロットには全身の骨が砕け内臓が破裂するほどの負荷が掛かってしまう。

これによりトールギスはMSとして一個の完成形になると同時に、スペックが高すぎるが故に通常の人間のパイロットでは扱いかねるどころか命を落としかねない「じゃじゃ馬」となってしまった。
当時まだ技術的に未熟な面もありガンダニュウム合金すらも実用段階に無く*4、既存の技術から目標性能を実現した結果、
トールギスはパイロットの生命を完全に無視するという近代兵器として著しく破綻した代物になってしまったのである。
そしてこれに飽き足らず、基本性能をより推し進め*5、更に兵器としての側面をパイロットにまで求めたのがウイングガンダムゼロである。


開発者たちからすれば技術の粋を尽くした見事な「作品」となったトールギスであるが、スポンサーであるロームフェラからすれば「商品」になり得ない失敗作であった。
「売れる兵器を作る」を第一オーダーに注文したのだから当たり前である。
結局、「実際の運用に適さない」という理由でトールギスを極端にデチューンしたリーオーが開発され、トールギスは試作一機の開発と予備パーツの製造のみに終わった。
このためトールギスは「プロトタイプ・リーオー」とも呼ばれる。
また、小説版ではガンダニュウム合金を多用した初のモビルスーツであった為、開発中は「ガンダム」のコードネームで呼ばれていた。
なおOZのMSはリーオー、ガンダムタイプはウイングゼロをベースに開発された物であるため、
時期的・技術的にもトールギスはAC暦における戦闘用MSの始祖と呼べる存在でもある*6

そして開発者達からすれば手抜き作品といえるリーオーを押すようなわからずやともやっていくつもりは毛頭なかったので、
後に失踪する一因になる。

当然ながら使おうと思って使える代物ではないので製造から20年の間、OZ内部でも忘れ去られていたが、ガンダムという超高性能MSを前に封印を解かれ、再び歴史の表舞台へと躍り出た。
ゼクスを乗り手に20年越しに発揮されたその性能は、最新技術の結晶であるガンダムに勝るとも劣らぬ物であり、
実戦投入当時には「OZ最強のMS」という評価を受けることとなった。



■武装・装備


  • ドーバーガン
右肩アタッチメントに接続された大型砲。
ガンダニュウム合金にもダメージを与えられる程の高い威力を持ち、一射で複数のMSを飲み込み破壊するほどの凄まじいビームが発射が可能。
コストパフォーマンスに難があるためOZ内部でも配備数は少ない。
更に本来は両手で保持して地に足を付けてないと扱えない位反動が強い火器だが、
トールギスのパワーと推進力なら空中・無重力下問わず飛行しつつ片手で扱うことが出来る。
また、命中精度を上げるためにあえて旧式のマズルブレーキを使用しているともされる。

一応、実体弾とビーム砲の二種使い分けが可能。
後付なのか描写で徹底されてないためか、何故かゲーム等では実体弾のみに扱いされる事が多い。
ただし本編では一回両肩に設置し二丁ドーバーガン(弾種は描写から判断するに実体弾)をやったリーオー(無論設地した状態)がいたりする。


  • ビームサーベル
接近戦用のビーム剣。
トールギスのものはリーオー等に比べて出力が高く、ガンダムと同等である。
作中では潜水空母を正面から真っ二つにしたこともある。*7


  • シールド
円盤状のチタニュウム製盾。サイズやデザインはリーオー用の物と大差無いが、本体装甲同様表面部分が白い。
普段は左肩のアタッチメントに接続されているが、裏面にはグリップも有るので取り外して手持ち装備することも可能。
内部にビームサーベルを二基搭載している。
表面には大きな鷲の紋様が描かれているが、省略されることも多い。


  • スーパーバーニア
両肩に一基ずつ装着されている大型バーニアユニット。トールギスの象徴であり機動力の要といえる装備。
通常時は左右の蓋を閉じているが、飛行時には蓋部分を開いて左右にバーニアを展開する。
その推進力は上記の通り瞬時に15G以上に達するほどで、ゼクスの評する通り「殺人的な加速」を生み、離着陸から通常の旋回飛行、超高速で機動しながら目標への激突寸前で一瞬で停止、あるいは直角上昇など、鋭角的な挙動と明らかに慣性を無視した超高速機動はトーラスが登場するまでの劇中にそれまで登場したOZの機体とは別物でありガンダムと同等の機動性を有している。
更に左右の蓋の上部には可動式の小型翼を備え、バーニアの推力と合わせ機体の挙動を補助する。

ただ上記の通り加速によるパイロットの身体への負荷はもちろん、その中で機体の挙動を制御するのは至難の業である。
そのため実戦投入後しばらくは操縦性を確保するためメカニックがリミッターを設けていたが、後にゼクス自身の希望で解除され、以降は全力飛行を行っている。
後発のOZ系の量産機の中でこれに類する装備を持つのはリーオーからトールギスに先祖帰りしたグライフくらい*8だが、ウイングゼロやウイングガンダムの背面バインダーなどにはこの装備の面影が窺える。


  • 大気圏脱出用バーニア
元々はハワードがガンダム用に用意していたのをトールギス用に調整した物。
スーパーバーニアに機体の倍ほどもある双胴型の大型バーニアを装着し膨大なプロペラントにより単独での大気圏離脱を可能にする。
離脱後はプロペラント部分だけ残して大部分は分離可能。
また背面の脱出ハッチに簡易居住ユニットを取り付けることで宇宙でも短期間なら単独行動できる。


これらの他に一回だけビルゴ輸送艦襲撃の際、手持ち式のミサイルランチャーを持っていた事があった。あとOP映像の謎ライフル。



■劇中の活躍


◇TV版

設計者たちが失踪したことから、組み立て途中の未完成状態のまま20年もコルシカ基地の倉庫に放置され、博物資料同然に扱われていた。
しかし、OZのワーカー特士がゼクスの求める「ガンダムに対抗できる機体」として見出し、日の目を見る事となった。

コルシカ基地へのガンダム襲撃の際になんとか持ち出され、その後は部品の整備や解析を含めた組み立てが行われ、完成後にオットー特尉がテストを行うが、
その非常識な性能が明らかになると共に、オットーはあまりのGに体が持たず重傷を負う。
そしてゼクスに引き渡されサンクキングダム開放戦に投入されるが、「閃光」と称されていたゼクスでさえもその「殺人的な加速」には直感的に死を覚悟し、ギリギリで撤退するものの重傷を負う事になった。
(この時、オットーとゼクスはそれぞれトールギスのことを「特攻機」「戦闘用ではなく決闘用」と評している)
そして、ゼクスの代わりに負傷をおしてトールギスに乗ったオットーが命を投げ打ち敵司令部に特攻を仕掛けることでサンクキングダムの開放は成し遂げられた。

その後は回復したゼクスの愛機として使用され続けるのだが、間もなくゼクスはトールギスの負担を克服し、剰え操縦性への配慮からメカニックが施していたリミッターも解除させたうえで乗りこなし、
ヒイロ・ユイの駆るウイングガンダムガンダムヘビーアームズ、その他にも多数のMS、モビルドール(MD)を相手に地上・宇宙を問わず死闘を繰り広げる。


しかし、遂には(とんでもない話だが)ゼクスの反応速度に機体が追い付かなくなってしまい、戦闘を重ねる中で僅かなズレを生じるようになってしまう。
そしてウイングゼロ破壊作戦阻止のため出撃した際、敵部隊の攻撃を前に徐々に追い詰められ、最期はゼクスに看取られながら敵MS部隊を道連れに自爆した。

さらばだ、トールギス……我が愛機よ、安らかに眠れ


好敵手であるヒイロのウイングに比べて、ワーカーやオットー、その他様々なドラマが多く、
またゼクスの凄まじい戦いぶりから、ガンダムWのMSの中でも随一の人気を誇る。
デザイナーであるカトキ氏は「自分の中ではトールギスが主役」とも発言しており、事実前半の主役はこの機体とするファンも多い。
本来の前半主役機が散々な扱いになってしまったのはそのせいか?


◇小説版

ウィングゼロ奪取時にゼクスの乗機の役目を終えるのは同じであるが、反応速度がゼクスの其れに対応出来なくなりつつあったので、ピースミリオンに封印された。


■トールギス(EW版)


漫画『敗者たちの栄光』に登場するにあたってリファインされたトールギス。
基本的にはTV版と同じデザインだが、肩などに黄色の縁取りが追加されている。
その他、ヒートランス<テンペスト>や組立式のハルバードなどコミックオリジナルの武装が追加された。



■トールギスF(フリューゲル)


こちらも『敗栄』に登場。
先述のEW版がハワードによって改修された状態。
ゼクスのOZ脱退後に舞台が宇宙へ移行したため、そちらを主眼においた仕様として背部のスーパーバーニアをウイングバインダーのバーニアユニットへと換装。
これにより更に驚異的な機動性を持ち、ルーセットを装備することでウイングガンダムと短時間なら同等の飛行能力(極超音速以上の機動が可能)を持つデスサイズの強化型であるデスサイズヘル(こちらも宇宙戦を主眼においた強化型)と速度においても同等なほどに強化された。
あと、トサカが羽根飾りっぽくなった。

バインダーは機体を覆うほど大型の主翼と、若干の違いはあるもののビームサーベルやスラスターを内蔵した副翼からなり、
見た目的にも機能的にも我々のよく知るEW版ウイングゼロ(通称ゼロカスタム)のアレである。

武装は右肩のドーバーガンと左肩のテンペスト、副翼のビームサーベル。
また両肩の懸架モジュールには大型ミサイル・ランチャーを各2基ずつ装着できる。
元々のシールドは主翼が盾になるため携行していない。しかし鷲の紋章は引き継がれており、主翼前面に分割して描かれている。

ゼクスの腕前もありビルゴなどを圧倒する強さを見せていたが、組み立て途中で長年潮風に曝されながら放置されていたため本体にガタがきており、
ハワードが手を尽くしたもののオーバーホールをしなければ限界と判断され、ゼクスに見守られながらトールギス本体は封印。
同時に半壊状態で回収されたウイングガンダムプロトゼロにウイングバインダーなどは改良された上で移植され、EW版ウイングゼロが完成した。
つまり『敗栄』においてのウイングゼロ(EW)は、本当にウイングゼロカスタムなのである。



■トールギスの派生機


◆トールギスⅡ


ミリアルド、先に逝っているぞ……




□機体解説

ゼクス機の予備パーツを用いて、トレーズの機体として組み上げられた機体。
ウイング爆破偽装の際ゼクス機の予備パーツのほとんどは無くなってしまったので、様々な場所からパーツをかき集めた物と思われる。
神代創の小説版では、各地の工場に放置されていた試作パーツがトレーズが幽閉されていた間にトレーズ派によって発見されたという設定になっている。
小説版では試作機のためゼクス機とはデザインが異なり、バーニアが一回り小型で胸の他にもトサカも青となっている。

ガンダムタイプに近い頭部や白に青を加えたカラーリング以外、スペックはゼクス機と同一である。
そのため「Ⅱ」とついているがザクⅡジムⅡのような後継機ではなく、いわゆる2号機といった扱いのほうが正しい。

つまり超加速も健在という事だが、トレーズは涼しい顔で使いこなしていた。流石は閣下パネェ……
人には近接武器しかないガンダムを提供しといて、自分は飛び道具持ちかよとツッコんではいけない。

企画段階では単なる色替えであり「ブラックトールギス」と呼ばれていた。ときた漫画版ではこちらが登場。
黒いのはエレガントではない、と判断されたのだろうか?しかし、青いトールギスだと始龍と同じカラーなわけで五飛と対決する機体としては全くエレガントではない。

『敗栄』ではTV版と同デザインで登場。ゼクス機と違い細かな変更などもされていない。
ただしオリジナルの追加装備として巨大なヒートサーベルを装備。
これは長期戦に備えエネルギー消費を抑えるために装備されたらしいが、それでもガンダニュウム合金を容易に両断する切れ味を持つ。
グリップ部などはゼクス機のテンペストと同型のパーツを使用している。

リーブラ進軍時のドーバーガンを剣のように地面に突き立てたポーズは非常に格好よくエレガントであり、最近のトールギスⅡの立体物のはこれを再現する為の手首パーツがついてくるのが定番となっている。




□劇中の活躍

世界国家軍の指揮官機としてホワイトファングとの決戦に参戦。
トレーズの腕前もあり、多数のMDを撃墜してみせた。
最終的には張五飛アルトロンガンダムと決闘を行い、互角以上に渡り合うも、ツインビームトライデントで胴体を貫かれ撃破される。



◆トールギスⅢ



トレーズの亡霊が彷徨っている以上、
大人しく棺桶で眠っているわけには
いかないのでな!


□機体データ

型式番号:OZ-00MS2B
頭長高:17.4m
重量:8.2t
装甲材質:チタニュウム合金

武装:
メガキャノン
シールド
ヒートロッド
ビームサーベル×2
バルカン×2

搭乗者:プリベンター・ウインド


□機体解説

Endless Waltz』に登場した三機目のトールギス。
トールギスⅡと同時期に開発された機体だが、その製造には諸説ある
(専用武装の開発に間に合わなかった、ゼクスがエピオンに乗ったために不要になった等)。

外観としてはⅡ同様白に青を加えたカラーリングだが、頭部には金色の三又の角のようなパーツが追加されており、大分印象が異なる。
また、武装ラックを兼ねる両肩部分の装甲も形状が変更されており、よりマッシブなシルエットとなっている。
性能面ではトールギスの推力を更に強力にし(全速力で移動する際はゼクス曰く「エピオンよりもじゃじゃ馬」)、バスターライフルと同等の破壊力を持つメガキャノンや、
ヒートロッドの付いたシールドを持つなどかなりの重装備で、火力面でも改良後のガンダムタイプに劣らないレベルとなっている。
……だが何故か機体重量は先代達より軽い
更に、なんとこの機体のメガキャノンの出力はあのウイングゼロよりも高い

多分、気にしてはいけない。

コクピット内装はエピオンと同じデザインだがエピオンシステムは積んでいないらしく、専用ヘルメットは無くモニターも普通に点灯している。
エピオンシステムの試作的なシステムを積んでいたとも言われている。実際、ゼクスの反応についてこれない描写はないので反応速度を強化しているのは間違いないと思われる。

地球圏統一国家の諜報機関プリベンターによって秘匿されていたが、マリーメイアの蜂起によって封印を解かれ、ウインドと名乗るゼクスと共に戦場に赴いた。



□武装

  • メガキャノン
右肩アタッチメントに接続された大型ビーム砲。
後部にはヴァイエイトみたいな円形のジェネレーターが付いている。
通常の形態でもドーバーガンを上回る威力を持つ。
更に出力を調節することが可能で、砲身を2分割し拡張した最大出力時の威力はツインバスターライフルに匹敵する。
初登場時に装備されていたが、続く地上での戦闘時にはサイズや威力の問題もあってか取り外されている。

  • シールド
左肩アタッチメントに接続された盾。
先代機のような円形ではなく、大きさ自体もややサイズアップされ厚みも増している。

  • ヒートロッド
シールドの先端部に内蔵された熱溶断用の多節鞭。
ヒートロッド自体の構造はエピオンと同型だが、シールド内への伸縮・格納機能が追加された(後にデザインされたEW版エピオンでは同機構になっている)。
エピオンのそれ同様高い溶断能力に加え、サーペントの脚部に巻きつけたまま引き倒し牽引するなど伸縮性と耐久性にも富む。

  • ビームサーベル
接近戦用のビーム剣。
シールドの裏側に二基ずつ収納されている。

  • バルカン砲
頭部に内蔵されたバルカン砲。
これを搭載したことで、頭部のデザインが先行2機と異なる。


□劇中の活躍

プリベンターからゼクスに託された後、大気圏を離脱しマリーメイア軍が占拠する資源衛星MO-Ⅲに到達する。
メガキャノンでMO-Ⅲを破壊するもデキムに逃げられ、マリーメイア軍の地球降下を許してしまう。
その後は燃料不足に陥り漂っていたが、ノインに助けられ共に地球へと降下する。

ブリュッセルでの戦闘では、ルクレツィア・ノイントーラスやデスサイズヘル、ヘビーアームズ改、サンドロック改と共に、多数のサーペントを行動不能に追い込んだ。
騒乱終結後の本機の処遇は不明である。

月刊コミックボンボンに掲載されたジオラマによるアフターストーリーでは、
プリベンター入りした五飛用の機体として、改修され、アルトロンのドラゴンハングを装備した格闘戦仕様になった。
五飛は本機を用いて、廃棄されたモビルスーツ(サーペント)を回収した者たちと交戦。



◆トールギス始龍(シロン)


搭乗者:竜妹蘭


□機体解説

老師Oが製造したトールギスの同型機。
ちなみにパイロットの妹蘭は五飛
性能はゼクス機と同じだが、頭部がリーオータイプ、カラーリングが青という違いがある。
当然その非常識な性能も健在で、竜一族に乗りこなせる者はおらず、妹蘭もまたトールギスの加速Gにより死亡してしまう。
どうも五飛は青いトールギスにトラウマを負わされる運命にあるらしい。
ちなみに以前は単なるトールギスの色変えだったが、『敗者たちの栄光』にて名前とデザインが新設定されている。



◆トールギスヘブン


搭乗者:ゼクス・マーキスキュレネの風


□機体解説

『フローズン・ティアドロップ』に登場するトールギス。
火星時代の技術によって改良された新しいトールギスだが、その基礎部分に関してはトレーズのトールギスⅡを使用している。(爆散したはずでは……?

新技術のナノ・ディフェンサーによってMDを始めとする無人機を停止させる能力を持っており、バーニアポッドではなくトールギスFのように翼状のスラスターを装備している。
一方でこの時代のスタンダードと言えるホロ・モニターなどは搭載しておらず、AC時代の直接点灯式のモニターを使用している。ここら辺はゼクスのこだわりのようなものらしい。

ナノ技術以外においてはドーバーガンやビームサーベルなど、特に真新しい装備はない。
とはいえ基礎設計が非常に優秀であったため、開発から半世紀以上経った状態でも最強クラスのポテンシャルを誇る

一時期ゼクスの息子であるミルが搭乗した事もあるが、彼曰く「トールギスには他にはない魅力がある」らしく、一度乗ると中々手放したくなくなるとか。
なんだかんだゼクスとトールギスの付き合いも30年以上になるので、彼もまたその魅力に憑りつかれた人物と言えるかもしれない。ってか、30年以上も乗り続けてなんでピンピンしてるんだろうね。



■ゲームでの性能


基本的に、その加速力が特徴となっている事が多い。
なお、トールギスⅡは素のトールギスと性能差がないなんて設定はトレーズ様補正により無視される事が多い。
スパロボはともかく、あのキュベレイの性能をちゃんとMk-Ⅱと合わせるGジェネですら、トールギスは何故かⅡの方がIより性能が高かった作品がある。

弱い機体を強い機体へ開発していくゲームデザイン上、リーオーからこの機体を開発するという逆転現象が起きている。
リーオーは序盤から入手可能で開発ツリーも近く、ゲーム序盤から先祖返り改め開発に取り掛かりやすい。
開発元のリーオーから段違いに性能が上がって空まで飛べるようになるため、ゲーム序盤に作りたい機体として度々名が挙がる。
移動力が高く設定されている事が多く、回避能力も高い。
Ⅲは基本的には近距離でも遠距離でも火力を発揮でき、MAP兵器を搭載されていることも多いなど優秀な機体だが、IやIIは火力の不足が目立つ。
アビリティはシールド防御程度だが、それを差し引いても近距離にしか対応できないガンダムエピオンよりは強い。
なお、Ⅲは基本的には火力を発揮できると言ったが「F」で初登場したⅢはメガキャノンがマップ兵器のみだったため、バルカンとサーベルとヒートロッドしか通常武器がないというエピオンみたいな機体だった。
言うまでもなくⅡの方が使いやすい。

「WORLD」以降、I・Ⅱ共にドーバーガンの実弾、ビーム撃ち分けが可能になったため、敵の防御アビリティに対応しやすくなった。
「CROSSRAYS」ではトールギスFが初登場。I・Ⅱと違いドーバーガンはビーム限定だが、貫通付きの物理格闘ヒートランスを持ち、地形適応も良好。
(I・Ⅱは宇宙B空中A、Ⅲは宇宙A空中Bだが、Fは宇宙A空中A)

またGジェネADVANCEでは「ハハハハッ!凄いよこのトールギス、さすがウイングのお兄さんだ!!」という間違ってるのに間違っていない台詞が存在する。

I・II共に基本的に敵として登場。Iは『OE』、IIは『D』で自軍運用可能。ただし、Dでは最終話で出撃できない点に注意。
第2次Z再世篇』ではIIのトドメ演出として前期OPを再現したトレーズ様のエレガントカットインがあり、これを見るために味方機を落とさせてもいいかもしれない。

IIIは逆に、作品によっては一時的に敵になる場合もあるものの、基本的には味方機体。逆に言えば何故かちょくちょく敵として登場するということでもあり、
初登場の『F完結編』では敵としてのみ登場だった
α』では条件次第でボス敵時の高HPのまま仲間になり、自爆させると大きなダメージソースともなる。仲間にできなかった場合、敵として登場したまま出番を終えるわけだが

なお、「基礎設計が非常に優秀であったために旧式の機体なのに未だに活躍している」というのはスパロボでは結果的に再現されており、
この作品では2年前は連合の最新鋭機だったのが修理役になるくらい型落ちしているのを後目にとっくにEWも終わってる設定なのに
未だに型落ちせずに大暴れしている事には思わずツッコんだプレイヤーもいたとか。逆に言えばガンダムW系のガンダムとトールギスがオーパーツ過ぎるという事でもあるが…


  • ガンダムvs.ガンダムNEXT
他の機体と異なりジャンプボタンを一度入力するだけでブーストダッシュできる、原作の「殺人的な加速」を見事に体現したスーパーバーニア(SB)能力を持つ。
変則的な動きが出来、攻撃を「見てから避ける」事も充分可能。
そのため他の機体とは操作感覚がだいぶ違い、初心者にオススメできる機体ではなくなっている。
これも原作再現か。
またメイン射撃のドーバーガンは誘導が全く無く、いちいち止まって撃つため、これまた万能機のライフルの感覚とは違う。

ちなみにあの子安氏も初めはトールギスを愛用していた…が、そのせいで通常のBDができなくなっていた。
子安「すっげぇ弱ぇなこのターンX」


■トールギスⅢ
初代EXVSで参戦。コスト2500の高機動射撃寄り万能機。
NEXT同様にSBと通常のBDを併用可能。
が、現状最強とも言われるポテンシャルを秘めている。
高火力の射撃だけでなく、鞭による接近拒否が出来、SBを活かした追い・逃げはコスト3000以上とも。

隠者と共に2500コス最強とされたが、解禁当時は最終ver.の比ではないほど強く、
「下格のSB急降下着地に盾を出すと、まず着地を取られない」などゲーム的におかしい要素が詰め込まれており、ぶっ壊れ機体筆頭であった。

バンナムも持て余し気味なのか、シリーズが進むにつれ上方修正と下方修正を繰り返しており、使用者が多くないこともあって評価は安定しない。
ただし極端に弱体化することはなく、高めの立ち位置をキープしている。

そしてEXVS2からはコスト3000に昇格。
ここに来て普通のBDのみとなりSBが特格のコマンド配置になった事で、じゃじゃ馬要素が解消。
それだけで無く各所が超絶強化され、

  • 射撃ではメイン連射のみで200削れる上に、追従アシストとして出せる格闘CSのトーラスが射撃制度抜群なので多方向から攻撃可能
  • 射撃バリア以外の全てにおいてエピオンすら凌駕する最強の鞭により近距離の強さも格闘機すら上回る
  • 全盛期に近いレベルに強化された下格により着地が取れない

と、正に全能機と呼べる機体と化してしまった。
マイルドな下方修正が3回も入ったが結局性能が高いままで、公式大会を制してなお邁進し続けた。

EXVS2XBでは更なるお仕置きを受けて続投。
……とはいえ、受けたお仕置きの大半は射撃武装のヒット判定縮小で、基礎的なポテンシャルは未だ健在。

■トールギスⅡ
EXVSMBに2015年6月に解禁。コスト2500。
操作性・武装を含めトールギスⅢとは別物。
メイン射撃はドーバーガンからビームを発射し、CSではドーバーガンから実体弾を撃つ。
サブ射撃はSBをしながらメイン射撃をするという技。
特殊格闘はSBを展開させ、5秒ほど機動力を向上させる。
特殊射撃ではレディの乗るウイングガンダムを呼び出す。ビーム三連射か突撃なのだが、突撃はビームサーベルだけでなく機体全体に判定を有するので、ぶつかっただけでスタンになる理不尽な性能。
覚醒技ではウイングガンダムがリーブラの砲撃からトールギスⅡを庇うもので、爆風は核爆発より狭いが咄嗟のカウンターなどに扱える。

トールギスⅢほどのじゃじゃ馬さは無いものの、解禁当初は攻防に隙が無さ過ぎて、文句無しに2500コスト最強の座を縦にしていた。
解禁当初は特殊格闘の機動力向上が余りにも極端(並の機体の覚醒より遥かに速い)&リロードも早く、更に基本性能も高い状態だった。
普通、時限強化兵装を持つ機体は基本性能が控えめにされバランスが取られるものだが、トールギスⅡはそういった穴もなく、
まさに一機だけ自動回復する覚醒ゲージを持っているようなものであった。
かくして、無印EXTREME.VS.以来数年ぶりにゲーセンがギスギスすることに相成った。
全盛期の機体勝率は後年作品の新規参戦機体を全て含んでもなおトップというのだから、当時のゲーセンでどれだけ暴れまわったのかはお察し。

細かく弱体化は入ったが最上位クラスの強さは譲っていない。
ただし次作の「EVXSMBON」では厳しいお仕置き下方修正を受けており、一気にコスト帯下位クラスまで身を落とした。
リリース当初にPS3家庭用で発売されていたEXVSFBでDLC販売された。こちらは下方修正が一切無い状態で投入されたので、猛烈に大暴れをして大顰蹙を買っている。

EXVS2初期では下格闘にジャンプ斬りが追加された代わりに格闘面で若干の下方調整を受けたが、中間アップデートで大幅な強化を受けている。
環境上位とまではいかないが、それでも強い部類に位置する。

EXVS2XBでは射撃CSがウイングガンダム呼出に、サブ射撃が個別弾数化のうえで旧射撃CSとレバー入れも実弾発射になった。
さらに下格闘が急降下&急上昇、特殊格闘にジャンプ斬りとカウンターが移設された。
主力である射撃に手が加えられたため使い勝手に慣れが必要となったが、相変わらず主力一歩手前レベルの性能は有している。

■トールギス
初代にして最もリリースが遅く、家庭用のGUNDAM_VERSUSでようやく参戦。
しかしアーケードとしての参戦はそれからもかなり待たなくてはならず、結局EXVS2XBで2021年12月のエクストラ機体枠で参戦した。コストは2500でⅡと同じ。
ⅡとⅢの両方がSBをコマンド化した中で、現在唯一ブースト形式がSBな機体。但し往年の時代と比べてSBによるハイスピード性は大した脅威ではなく、むしろ挙動さえ読んでしまえば停止した瞬間に攻撃を押しつけられるのでリスクが多い。
運営側もそうしたリスクを鑑みたのか、全体的に火器の威力は高く射程距離も長めに調整されている。それでも上級者向けには違いない機体なのだが、使いこなせばそれなりに上手く立ち回れるためチャレンジの価値はある。

射撃CSは実弾を発射するがレバー入れにすると回転しつつ三連射する。
サブ射撃はミサイルポッドを発射する。一定距離進むと自動で爆発するスタン属性のもので、下方向への誘導にかなり優れている。
特殊射撃はリーオー呼出。割と普遍的なバズーカ二連射と順次突撃の二択だが、トールギスの敏捷性で相手の視点を無理やり背けさせると意外に引っかかりやすい。
特殊格闘はドーバーガン投擲。格闘派生でサーベルを突き刺して引き裂くモーションが入る。ドーバーガン投擲はS覚醒で連射できるので、ネタではあるがそれのみで強制ダウンに繋げられる。
格闘は凡庸的だが、BD格闘の射撃派生にはOPでウイングガンダム相手に見せた射撃を再現。
覚醒技は格闘と射撃を織り交ぜた乱舞系。カット耐性はそこそこなので、差せる時には使っておきたい。


■立体化


ガンプラ


TVシリーズの1/144でⅠとⅡ、『EW』ではⅢが1/144、1/100でリリースされている(ⅢはどちらもⅠやⅡとのコンパチ)。
また、EWのⅠがMGで、Ⅱ、Ⅲはプレミアムバンダイにて発売された。

TVシリーズの1/144のⅠは「金型設計者出てこい」レベルの不細工な面構え。
トレーズ閣下に粛清されても文句言えない。

ⅡもⅢもそれまでのトールギスに追加パーツを加える形で発売されているので、色の違いさえ気にしなければコンパチが可能。
因みにⅢを発売する時に金型に修正が加えられており、若干だがスネパーツが延長されている。
今となっては昔のキットだが、EW版はプロポーション自体は良好なので現代風に改造してみてはいかがだろうか。

MGのEW版はスーパーバーニアや両肩武装の接続方法が変更されており、成型色も若干変わっているがアニメ版とそこまで変わっていない。
当然ながらこちらでもⅡとⅢがプレミアムバンダイ限定で発売。Ⅱは後に敗栄版で装備したヒートソードが武器セットという括りで他機体の装備と共に発売した。

2018年にはEW版のI、ⅢがRGから発売された。Ⅱもプレミアムバンダイにて発売されたがこちらはテレビシリーズ版が出典。後にカラーリングをTV版にしたⅠも発売。

地味にアナザーの非ガンダムタイプがMG・RG化される事は非常に稀であり、いかに本機の人気が高いかがうかがえる。
しかし2022年に至ってもHGACでの発売アナウンスは無く、現状は前期ガンダム5機とリーオータイプに留まっている。




HCMProでも発売され、マスクの下は劇中同様にリーオーと同じ構造になっている。
一応主人公のライバル役なためか、SDガンダム系では敵として登場することが多い。







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最終更新:2024年04月19日 08:34

*1 21話のウィナー家の資源衛星のシーンなどで手足はトールギスや旧式リーオーに似ているがパワーローダー型の作業用MSが働いている姿が確認できる

*2 しかも直線軌道、最大速度時はそれ以上のGがかかる

*3 エアリーズは全速離脱する戦闘機を遥か後方から軽々と距離を詰めらる程

*4 小説版では「トールギスが史上初のガンダニュウム合金多用モビルスーツ」という設定で、ガンダニュウム合金は使われているも、ノウハウ皆無の素材の本格導入に製造担当者や部品メーカーが苦労した事は想像に難くない

*5 フレームの時点でトールギスの基本性能を凌駕するどころかもう一機分以上のスペックを持たせている程

*6 1/60ウイングゼロの説明書に記載の概要によれば、キャンサー/パイシーズ(新機動戦記ガンダムW)だけはコロニー建設作業用MSから発展したものらしい

*7 南極戦では作劇の都合もあって複数回切り付けたにも関わらずヘビーアームズの装甲にほとんどダメージを与えられていなかった

*8 空中戦用のエアリーズのバーニアは大型だがトールギスほどの可動域を持たない