変身忍者嵐

登録日：2017/07/26 Wed 18:45:29
更新日：2023/11/11 Sat 13:29:37
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嵐見参！

『変身忍者嵐』は石ノ森章太郎原作、東映制作の特撮番組。1972年4月7日から1973年2月23日まで毎日放送（大阪・MBS）をキーステーションにNETテレビ（現在のテレビ朝日）系列で放送された。

『仮面ライダー』の人気が高く、それに手応えを感じたMBSが子供向けコンテンツをさらに拡充すべく、
変身ヒーローに『仮面の忍者赤影』などの時代劇要素を取り入れて制作された。
原作者、放送局、メインライター、監督、ナレーターまでもが『仮面ライダー』と同じ。

MBSは嵐にかなり期待していたが、同日にTBS系で放送を開始した『ウルトラマンA』とは時間帯が被り、激しい視聴率競争に晒され、ウルトラマンに負けることも多かった。
このため怪人が化身忍者から西洋妖怪に変更されるなど度重なるテコ入れを実施し、全47話が放送された。
高見山大五郎、ファイティング原田、沢村忠といった有名格闘家がゲストとして出演し、ジャイアント馬場や堺正章などもゲストとして検討されていた。
実現することはなかったが、仮面ライダーを登場させる案もあったとか。
ちなみに裏番組の『ウルトラマンA』も路線変更は行われており、双方が視聴率確保に躍起になっていたようである。
だが一ヶ月早い47話で終了が決まり最終回タイトルも「さらば嵐！妖怪城に死す!!」とバッドエンドを思わせるものだった。
（実際は妖怪城で失ったのは嵐への変身能力だけで、内容自体はハッピーエンドである）

大まかなストーリーとしては、江戸時代に謎の怪人・魔神斉を頭とする忍者集団・血車党（速い話が改造人間軍団）が日本を征服するために活動を開始。
血車党の野望を阻止すべく変身忍者嵐が立ち向かうというもの。

漫画版は、原作者の石ノ森章太郎氏によって「週刊少年マガジン」並びに「希望の友」で連載された2バージョンが存在。
どちらもベクトルは違えど非常に救いのないバッドエンドを迎えているのが特徴。
また、「冒険王」誌で連載された、TV版をベースに著者らしいアレンジを加えた石川賢の漫画版もある。
単行本収録時には、希望の友版は『新・変身忍者嵐』、石川賢版は『変身忍者嵐外伝』という題で、マガジン版とは区別されている。

【登場人物】

ハヤテ/変身忍者嵐（演:南城竜也⇒市川治（声）/嵐の声:池水通洋）

本作の主人公。
代々血車党の首領・魔神斎の片腕として仕えてきた一家に生まれた。
血車党の頭、魔神斎の邪悪な野望を知り、父・谷の鬼十に志願して父の編み出した「人間変身の法」により変身忍者・嵐となり、血車党壊滅を目的に日本中を旅している。

変身ポーズを取りつつ「吹けよ嵐、嵐、嵐」と叫び、背中の日本刀のツバを鳴らすと嵐へ変身する。ただし中盤以降は刀を使わずにポーズを掛け声だけで変身するようになった。
嵐へ変身すると素早い動きと数々の忍術で敵を倒し、目が見えなくても臭いで敵の居場所を突き止めるほどの嗅覚も備える。
主な武器は愛刀・速風と羽根手裏剣。これは変身前も同じ。ただし変身前は素手で戦う事が多い。
主な必殺技は秘剣影うつしと嵐旋風斬り。
第39話で月の輪と合体し新生嵐となり、刀の代わりに変身前は碎や釵を、変身後はバトンを使用するようになった。変身方法は「変身」と叫びながら以前と同じポーズを取ってジャンプするという形式に変更された。必殺技は目から発射するガンビーム。
衣装も派手なものからシンプルになった。

名張のタツマキ（演:牧冬吉）

江戸幕府の命令で血車党の動向を調査していた伊賀忍者。
血車党の企みを知った後はハヤテ、娘のカスミ、息子のツムジと共に血車党壊滅の旅に加わる。様々な忍術を使いこなし、人形彫りを得意とする。血車党の骸骨丸が苦手。

カスミ（演:林寛子）

タツマキの娘。どう見ても忍ぶ気が無い格好。
弟のツムジとともに化身忍者に襲われたところをハヤテに助けられて仲間になった。
江戸で医学を学んでおり、傷の手当てが得意。基礎的な忍術も会得。ハヤテから貰った横笛「凉風」を吹くと刀と共鳴してハヤテに危険を知らせる。
役者のスケジュールの都合で、後半には登場しなくなる。

ツムジ

カスミの弟でタツマキの息子。好奇心が強いが、それゆえに敵に罠にはまることも多い。忍術の腕はまだまだ修行中のレベル。

谷の鬼十

ハヤテの父。嵐や化身忍者を作り出す人間変身の法を編み出した。
血車党に息子と共に仕えていたが、組織の実態を知って組織を抜け出し、ハヤテを嵐に改造した後血車党によって殺害された。

月の輪（声:市川治）

西洋妖怪と戦う嵐を助ける謎の男。その正体はハヤテの双子の兄、フユテ。

カゲリ、ツユハ

後半から登場。血車党の抜け忍・鬼目の源十郎の娘である姉妹。魔神斎に父を殺された事からハヤテに協力する。

シノブ

大魔王サタンによって盲目の呪いをかけられてたハヤテの母。盲目のまま息子を求めて旅している。ハヤテが嵐に変身する度に彼女が地獄の苦しみを味わうという呪いをかけられており、それ故にハヤテはむやみに嵐に変身できなくなった。

イタチ小僧（演:潮健児）

後半から登場。街道筋を荒らす泥棒だが、カゲリに一目惚れしてツムジと共にハヤテの後を追って協力するようになる。

【敵勢力】

血車党

血車魔神斎（声:納谷悟朗）

血車党の首領。二百の下忍を従え自らが世の中を武力で支配しようという野心を抱く。
そのために組織を抜けた谷の鬼十を殺害し、秘術「人間変身の秘伝書」を奪って多くの化身忍者を生み出す。
裏切り者は地割れを作ってそこへ落とし、地獄の業火で焼き尽くす。
その正体は大魔王サタンが操っていた機械人形。このオチは『希望の友』連載の漫画版でも採用された。

骸骨丸（演:曽根晴美）

血車党の幹部。頭蓋骨の一部がはみ出たような顔をしており、刀と鞭が武器。不死身の体を持つ。
南蛮の言葉にも通じており、死体を操る「死人操り」の術を使い、化身忍者を川から呼び出すことも。
最後は魔神斎を裏切ったために地獄の業火で焼き尽くされる事になった。

化身忍者

谷の鬼十の編み出した秘術「人間変身の秘伝書」を元に生み出される怪忍者の総称。
それぞれが特定の動物や虫の能力を持つが、時代劇なのでチョイスもゲジゲジ魔など妖怪じみた不気味なものが多い。

血車党下忍

早い話はザコ敵。網目の覆面を被っており、掛け声は登場する化身忍者に応じて変化する。血の掟に縛られ、作戦に失敗すれば容赦なく処刑されることも多い。

西洋妖怪軍団

血車党が西洋から呼び寄せた西洋妖怪の軍団。化身忍者に代わって嵐と戦う。

悪魔道人（演:沼田曜一）

西洋妖怪軍団の首領。21話で魔神斎により呼び出され、征服の暁には領土の半分をもらうという契約で血車党と結託。

大魔王サタン（演:天本英世）

41話より登場。血車魔神斎や悪魔道人を陰で操っていた黒幕。
とある山の地下に隠された妖怪城を根城とし、妖怪城の上部を分離させた空飛ぶ円盤で世界を飛び回り、
世界各地に眠る妖怪を復活させて手下にし、日本征服を企てる。
悪魔（堕天使？）だけに人間の良心や弱さにつけこんだ作戦を得意とし、ハヤテを追い詰めるためには手段を選ばない。

【他作品への影響】

『仮面ライダー龍騎』に登場する仮面ライダーオーディンには嵐の意匠が取り入れられている他、
『仮面ライダー剣』に登場するイーグルアンデッドも、デザインの全体像として初代『仮面ライダー』のギルガラスと共にその意匠が取り入れられている。

『仮面ライダー響鬼』の企画段階では上記の『剣』を最後に一旦シリーズを休止し、本作を参考にした作品を制作する予定だったが、スポンサーの意向でシリーズ続行が決まり、当初の企画案がそのまま『響鬼』に転用された。
『響鬼』第36話に登場した鬼の鎧は嵐を参考にして作られた他、映画『劇場版仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼』では、「血車党」を意識したと思われる敵「血狂魔党」（読みは同じ「ちぐるまとう」）が登場している。

講談社キャラクター文庫刊『小説仮面ライダー響鬼』（著：きだつよし）では仮面ライダー響鬼と嵐の競演が実現している（ただし嵐側は一部IF設定）。

石ノ森章太郎による漫画版の続編として『変身忍者嵐 SHADOW STORM』（漫画：大賀浅木、シナリオ：井沢ひろし）がWEB媒体の「Comip!スピネル」で連載されていた。
……が、残念ながら物語は打ち切りENDを迎えてしまい、単行本も刊行後半からは電子書籍のみのリリースになってしまっている。

にわのまことによるリメイク漫画『変身忍者嵐χ』が「コミック乱」誌にて連載中。
……なのだが、こちらも2018年6月号以降は掲載が止まってしまっており、事実上の連載頓挫という状態に陥ってしまった。

島本和彦版『スカルマン』の終盤に超未来忍者という存在が出る。抜け忍と思われる若者が仲間に倒されたのをスカルマンが助け、改造手術により『変身忍者』として蘇る。

実は本作に仮面ライダーと滝和也をゲスト出演させる展開も検討されていたが、現代を舞台にしている『仮面ライダー』と江戸時代を舞台にしている本作の舞台設定の兼ね合いが難しかったためか断念されている。だがその後、本作が他のヒーロー作品とのクロスオーバーする作品もあり、『スーパーヒーロー烈伝』では『地殻変動の影響により血車党と共に変身忍者嵐が現代に復活する』、『AZITO3』では『キカイダー01』とのクロスオーバーで『大犯罪組織シャドウのザダムが作ったタイムマシンで江戸時代に飛び、平賀源内を誘拐しようとするが(※平賀源内を誘拐するエピソードは『キカイダー01』の第36話で描かれている。)事故によって血車党と変身忍者嵐と遭遇し、両者とも現代に連れてこられる』という形で共演を果たしている。

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