駆逐型デストロイヤー艦

登録日:2017/7/23 (日曜日) 2:42:30
更新日:2023/10/29 Sun 08:37:26
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「この船では、奴らには勝てない」


駆逐型デストロイヤー艦とは、宇宙戦艦ヤマトシリーズに登場する架空の宇宙船である。
派生型を合わせると旧シリーズにおいては「さらば」「永遠に」と「復活篇」以外のすべてに登場しており、
時には敵、時には味方として活躍したシリーズの縁の下の力持ち的な存在である。


【概要】

ガミラス帝国における主力の宇宙戦闘艦。単にガミラス艦といえばこのタイプを指す事も多い。
とにかく数が多いのが特徴で、ドメル将軍は異次元断層内における演習で三千隻という大艦隊を率いていた。
ガミラスが地球方面以外にも多数の戦線を展開していた事を考えると、恐らくは何万隻もが生産されていたのだろう。
また派生型も豊富で、それぞれの特徴を活かして広大なガミラス帝国を支えていたものと思われる。

【基本形】

主に以下の三タイプに分けられる。

  • 駆逐巡洋(D型)デストロイヤー級
基本形。主砲として円型パルスレーザー砲塔を上部に三基、下部に二基装備している。また、両舷には大型パルスレーザー砲がケースメイト式に前後各二基存在する。
最大の特徴は、艦首についた巨大な『目玉』の様な開口部。グラデーションのかかった黄色をしており、緑色の船体との対比でひときわ目立つ。これは大型ミサイル発射管やレーザー砲など資料や描写が一定しないが、第9話ではレーザーを撃っていた。
ヤマト第一話で艦隊を組んで登場し、沖田艦の砲撃を軽くはじき返し、地球艦隊を圧倒する強さを見せた。
その際、沖田がつぶやいた上記の台詞は有名。
しかし、ヤマトにはまるで歯が立たなくなり、その後のシリーズにおいても大抵一撃で撃沈されてしまっている。
デストロイヤー艦が強かったというより、当時の地球艦隊が弱すぎたのが本当の所だろう。
PSゲーム版では下部の主砲が一基減っている。また、主砲の攻撃力はヤマトの副砲程度とされている。ゲームバランス上の設定か四基ある主砲のうち第二砲塔が使えず、後部の第三砲塔は前方目標を攻撃する。後方目標には両舷のパルスレーザーが攻撃する。上部煙突状の構造物がミサイルランチャーとなっている。

  • 高速巡航(C型)デストロイヤー級
高速クルーザー(巡洋艦)とも呼ばれる。
D型に比べて船体が延長されているためデストロイヤー艦の中では最も大きい。
艦首の『目玉』は四つになっているが、こちらはD型に比べ、小さくなっている。
主砲が前後に各一基と砲数を減らし巡航性能を強化したタイプだが、大口径砲を積む事で戦闘力の低下を抑えている。
PSゲーム版では大口径の主砲は前部一基のみとなっており、後部は副砲として中口径砲に変更されており、前方目標を攻撃する。なお、グラフィックでは下部にも副砲があるが、ゲームシステムのバランス上か使用不能となっている。他には両舷にミサイル発射管と対空機銃を持ち、デストロイヤーのなかで唯一対空戦闘能力を備え、また、各武装に10%増しの攻撃補正を持つユニットとなっている。高速性能を持つ反面、防御力はD型やM型よりも低くなっている。

  • ミサイル(M型)デストロイヤー級
駆逐型ミサイル艦とも。
もっとも小型のタイプで、艦首にミサイル発射管四門、艦橋後方にミサイルハッチを片舷三門ずつ計六門、後部に大型パルスレーザー砲塔が一基だけある。
単艦での戦闘力では最弱だが、艦隊戦を想定した運用をされており、完結編で登場した際には集団での突撃でディンギル艦隊を押しつぶした。
PSゲーム版では後部の大型パルスレーザー砲塔が大口径主砲とされ艦首ミサイルと上部ミサイルランチャーが各二基、それと下部にD型の主砲と同型の砲塔が一基、副砲として追加されている。

【派生型】

ガミラスにおいて代表格といえる艦種のため、ゲーム版を含めるとこの他にも派生型は多く存在する。

  • 病院船
オクトパス星団でヤマトの前に現れた船。のっぺりとした非武装船であるが、デストロイヤー級特有の目玉のパーツを持っている。
ヤマトがいることを知らずに通り過ぎ、その進路からヤマトはオクトパス星団の海峡を知る事ができた。

  • 蒼い雷光
PSゲーム版において後半に登場する、デスラー親衛隊の専用艦。
船体がデスラー総統のシンボルカラーである青で染められており、全性能がチューンアップされている。
だが、この場面までゲームを進めてきたプレイヤーにとっては、ちょっと強くなったデストロイヤー艦でしかない。

  • 強襲艦
PSゲーム版で登場する、武装を全廃して防御力を極限まで高めた艦種。
直接敵艦に取り付いて艦内に兵士を送り込み制圧する為の艦で、防御力の高さを活かしてしゃにむにヤマトに突進してくる。
とにかく固く、ヤマトの主砲でもちょっとやそっとでは沈められない。
しかも、取り付かれると白兵戦と艦隊戦の同時進行となり、片方でも負ければゲームオーバーとなる。
だが何よりも恐ろしいのは、事前にイベント等を一切挟まずに襲ってくるという点。初見殺しも良い所で、いつもの艦隊戦だろうなと思って戦うと、いきなり白兵戦になって、パニックになってるうちに負けてしまう恐れがある。

  • ハーゲル
PS2ゲームの1つ『イスカンダルへの追憶』で登場する超質量捕獲艦。
デストロイヤー艦を横に二隻つなげた形の双胴艦となっている。
超質量物質*1を白色矮星などから採収する為の工作艦だが、目的の都合上船体は頑丈にできており、また最低限の自衛火器も搭載しているため艦隊戦においてもそこそこ戦える。

【活躍】


  • 『宇宙戦艦ヤマト』
冥王星会戦にて、堂々の単縦陣を組んで地球防衛艦隊を迎え撃つという華々しいデビューを飾る。
当時の地球艦隊の主砲であるフェザー砲をまったく受け付けず、ミサイルで少数が撃沈されるものの沖田艦を除く全地球艦隊を撃沈する圧倒的強さを見せつけた。

ヤマトに対しては冥王星宙域にて反射衛星砲の囮として駐留艦隊が出撃。
ブラックタイガーに翻弄され、ヤマトの主砲射撃で多数が撃沈されるものの、ヤマトを反射衛星砲の射程に引き込む目的は果たした。

冥王星基地壊滅後は、大破したヤマトになんとかとどめを刺そうとシュルツ艦に率いられて行動。
だが、やっとヤマトを補足するもののアステロイドリングには砲撃が通じず、全艦隊で体当たり攻撃を仕掛けるものの、全艦がアステロイドリングの前に散った。

次元断層内においてはドメル将軍に率いられ、三千隻という大艦隊でヤマトを攻撃するものの逃げられてしまう。

  • 『宇宙戦艦ヤマト2』
ガミラス残存艦隊の中に多数の姿が見られる。
グラーフ・シュパー将軍など、デストロイヤー級を旗艦としている将校も見られた。

ヤマトとの決戦ではデスラー機雷で身動きのとれないヤマトを完全に包囲する。
だがヤマトが小ワープでデスラー艦と絡み合ったために手出しができず、以降は戦いを傍観。
最後は戦闘空母に率いられて去っていった。

  • 『新たなる旅立ち』
ガミラス星での暗黒星団帝国の作業船団との交戦で活躍する。
だがデーダー艦隊に背後をとられて奇襲され、プレアデスや護衛艦の砲撃で次々と撃沈されてしまう。
少数がなんとかイスカンダルへの着水に成功し、新デスラー機雷を撃ち上げる等して粘り続けたものの、敵の物量にじわじわと削られた末に機雷原を排除されてプレアデスの侵入を許し、遂に全滅してしまう。

  • 『ヤマトⅢ』
ガルマン星の解放戦争*2と、ワープミサイルの迎撃の際に登場。
この時代にははるかに大型で強力な艦艇が多数揃えられているため、本星の警備には二線級の旧式艦が当てられていたのかもしれない。
ワープミサイルの迎撃に奮戦するが、撃ち漏らしたミサイルの直撃を受けて撃沈されてしまう艦も見られた。

ディンギル艦隊に包囲されて戦闘不能のヤマトを救援に、デスラー艦に率いられてミサイル艦型が登場。
この際のデスラー艦隊は国境巡視が目的のため、デスラー艦を含めてあえて旧型で編成されていたものと思われる。
ディンギル艦隊に反撃の暇を与えることなく猛攻で一気にこれを殲滅、最後の舞台を大勝利で飾った。


【2199にて】

宇宙戦艦ヤマト2199でもヤマトのやられ役……という作中での扱い自体はさほど変わらないが、名称や設定が整理されて二等航宙装甲艦にカテゴライズされ、ついでに種類も少し増えた。
11話冒頭でドメル指揮下の第6空間機甲師団がガトランティス相手に快速性を活かし毎回ヤマトにボコられる鬱憤を晴らすがごとく活躍するシーンは必見。

特徴的な「目玉」が巡行時は緑に、戦闘時はグラデーションのかかった黄色に発光するようになった。
また、ゲール艦隊やバンデベル艦隊所属のダズル迷彩(風)塗装や、親衛隊所属の青く塗装され「目玉」がピンクに発光する艦も登場する。

  • デストリア級航宙重巡洋艦
旧作での駆逐巡洋デストロイヤー級。地球軍はメ号作戦などでは「戦艦」と呼称している。
本作でもガミラスにおける主力艦艇である。
旧作と比べると艦底の砲塔が一つ減っている。また、こちらでは高速巡航型デストロイヤー級のリメイク版であるケルカピア級の上位互換の艦となっている。
バリエーションも含め基本名無しだが、地味に冥王星に配備されていた一隻が本級のネームシップだった様子。

  • ケルカピア級航宙高速巡洋艦
旧作での高速巡航デストロイヤー級。地球軍はメ号作戦などでは「巡洋艦」と呼称している。
元は星間通商破壊用の軽巡洋艦らしい。……ガミラスが星間通商破壊を仕掛ける必要がある敵ってどんな敵だ?

  • クリピテラ級航宙駆逐艦
旧作でのミサイルデストロイヤー級。地球軍もメ号作戦などでは「駆逐艦」と呼称している。
駆逐艦の名前の通り、ガミラス艦では一番小型でミサイルを使った雷撃戦がメインらしい。
旧作と比べると艦底砲塔が連装に、後部砲塔が砲身付の連装になり、艦橋の前後にそれぞれVLSと旋回式ミサイル発射管を備え……と細部が結構違う。

  • メルトリア級航宙巡洋戦艦
新登場。地球軍もメ号作戦の時期は「巡洋戦艦」と呼称していたが、ヤマト進宙後に区分が『L型巡洋艦』に変更されている。
二等航宙装甲艦の中では最も新しい。
目玉が艦の側面に付いているのと、正面二つの三連装砲塔がガミラス艦では珍しい「砲身付き」なので慣れると簡単に見分けがつく……はず。


【余談】

  • 漫画『エメラルダス』では重科学大学の学生ラメールの試作宇宙船のイメージとして、デストロイヤー艦・高速十字空母・ドメラーズⅡ・サーシャのロケットが1カット登場する。

  • PSゲーム『松本零士999』にはネオガミラスの戦艦としてデストロイヤー艦が登場する。
    究極の波動エネルギーの秘密を狙って星野鉄郎を襲撃してくるが、突然ワープアウトして現れたヤマトの波動砲で一掃された。

  • 旧シリーズでは本艦の象徴ともいえる「目玉」だが、2199シリーズではガミラス艦の共通意匠とされ、ガイペロン級(三段空母)など一部例外を除きほぼすべてこの「目玉」がある。
    ドメラーズⅢ世など、リデザインにあたって旧作にあったディテールが「目玉」に置き換えられたものも多い。




追記・修正願います。

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最終更新:2023年10月29日 08:37

*1 遊星爆弾等を作る際に必要となるマイクロブラックホールの原料

*2 1カットだけ作画ミスなのか、前半分が駆逐型で後ろ半分が高速巡洋型になった奇怪な艦が出てくる