本名は「シバタ・ソウジロウ」。
1999年以前の世界を管理していた鷲の一族の生き残りである。
鷲の一族はローマ皇帝の血統であり、全世界の武器市場をコントロールし、死とマネーで人類を駆り立ててきた。
地球規模の支配計画を企てており、実際それは2020年頃には問題なく完遂されているはずだった。
しかし、Y2Kの発生によって全世界のUNIXが連鎖爆発を起こし、電子戦争が勃発した事で鷲の一族の計画は頓挫した。
地上を追われた鷲の一族は地球衛星軌道上コロニーに避難し、コールドスリープに入ったが、そのコロニーも磁気嵐に呑まれて爆発墜落。
鷲の一族は呆気なく滅びた。
が、シバだけは地球へ墜落していく中でゼウス・ニンジャがディセンションした事で生き延び、
鷲の一族に仕えるニンジャの生き残りであるドラゴンベイン、スワッシュバックラーを従え、辛酸を舐め尽くした末に現在の地位まで上り詰めたのである。
その目的は鷲の一族の悲願の達成であり、世界を自分達が支配していた頃のあるべき姿に戻す事。
即ち、Y2Kによってオヒガンと現世が接近した事で起きたケオス、それによって発達したテックの全てを根絶、オヒガンとのリンクを完全に断つ「再定義」の実行である。
この目論見はある意味で世界に秩序をもたらすものであり、結果だけを見れば世界を整然とした姿に戻す試みであるとも言え、
オヒガンとのリンクが断たれればニンジャソウル憑依現象も起きなくなり、完全なるニンジャ殺しが成される結果にも繋がる。
しかし最大の問題はこの再定義が実行されれば全てのオーバーテックが存在の機能不全を起こして一斉に爆発・消滅を起こすという事。
つまり数々の天変地異を引き起こしたY2Kと同じ現象がもう一度引き起こされるという事であり、アルゴスの試算によればあるいはY2K以上の被害を地上にもたらす可能性すらある。
アガメムノンはそれらすべてを承知した上で容認しており、利己的で無慈悲な計画の元、世界に未曽有の大災害をもたらそうとしている。
アガメムノンがチバをアマクダリ・セクトの首領に選んだのは、チバが己以外で唯一の鷲の一族の純血の生き残りであるため。
ニンジャとなった事で子を成せなくなった自分に代わり、鷲の一族の血統を残す役割をチバに望んだのである。
再定義実現のため、ネオサイタマを支配する傍ら、メガトリイ社の遺産にして再定義実行の要であるアルゴスとの接触を狙っており、
メフィストフェレスを派遣してアマクダリに取り込んだフクトシン博士の開発したロケット「将来性」を月面に向かわせ、
アルゴスとのリンケージを回復。これ以降、アルゴスは「12人」の一人にしてアマクダリ電子防衛の要となる。
更にアルゴスを強化する為、カスミガセキ・ジグラット内部に存在するA.R.U.G.O.Sバックアップシステムの機動を狙う。
システムへのアクセスには知事レベルの権限が必要であるため、サキハシ知事には重篤な健康状態に陥っていただき、その代理の座に収まる。
恐らくサキハシ知事の秘書となっていたのはこの時のため。気の長い話だが、秩序を尊ぶ鷲の一族であるからして、鷲の一族の定めた正規のルールは守らねばならないというこだわりあっての事であった。
しかし、手続きのための丸一日に渡るハナミ儀式でアガメムノン不在となる隙を突いたニンジャスレイヤーとナンシーは、「12人」への襲撃を敢行。
「12人」はたとえ誰かが死のうともすぐにバックアップで補填されるエイトヘッズ・ドラゴンの如きシステムであったが、
流石にたった一日で過半数が殺される事までは想定しておらず、これまでは常に余裕を見せてきたアガメムノンもこの時ばかりは激昂を隠せなかった。
しかし、ここで自分が動けばシステムの敗北を認める事になると粛々とハナミ儀式を続けるのだった。
それはそれとして報告に来たサンシタニンジャは消し炭にした。間が悪い!
そして遂に権限移譲は成り、アガメムノンはバックアップシステムを起動。
これによって更に力を増したアルゴスはオヒガンと現世の重なり合いが産むノイズである磁気嵐を消失させた。
そしてインフラと電子ネットワークを制したアガメムノンはカスミガセキ一帯のエネルギードレインを可能にし、現人神とも称される力を手に入れた。
アルゴスによる徹底した監視の目と、補足されれば即座に飛んでくる雷撃によってニンジャスレイヤー達はしばらく潜伏を余儀なくされる事となる。
そして2038年1月19日、アガメムノンはアルゴスの完全起動のために月へと向かったが、そのシャトル「クロフネ」にニンジャスレイヤーが密航。
再定義が行われる傍ら、ニンジャスレイヤーとの最終決戦を演じる事となる。
しかしまともにカラテの相手をするつもりなどなく、デン・ブンシンによる時間稼ぎで稲妻フィールドを創り出し、壁の向こう側からデン・スリケンを連発するという戦法に出る。
地味だが実際有効!ジリー・プアー(徐々に不利)!
だが、ナラクの内なるギンカクを通じてヴァレイ・オブ・センジンより飛翔した三本足のカラスの導きによって稲妻フィールドの弱点を見抜いたニンジャスレイヤーはこれを破壊。
そして一瞬の隙を突かれ、ニンジャスレイヤーが投擲したフロッピー・ディスク・スリケンによって再定義プロセスを妨害され、あくまで直接対峙するつもりのなかったアガメムノンは遂に激怒し、ニンジャスレイヤーの直接排除にかかる!
「これほどまでに!」
「これほどまでに執拗に貴様は!黄金の鷲の道に!汚濁と血反吐と死肉を撒き散らさんとするかーッ!」
「鷲?黄金だと?笑止!所詮思い上がった腐れニンジャよ!」
「儂のイクサに桟敷席なぞ無いわ!そッ首叩き落とし、恥辱の底に晒してくれよう!」
そして激闘の末に一度はニンジャスレイヤーを打ち倒したが、ダメージを受けた再定義プロセスはクロックアップを余儀なくされたため、
そちらにかからねばならず、目の前で無防備に倒れたニンジャスレイヤーをカイシャクできないというジレンマ。
更にチバが月面基地のシステムに介入し始めたためそちらにも時間を取られ、遂にニンジャスレイヤーは内なるギンカクの力によって復活。
再びカラテの激突が始まる!
「貴様を排除し!世界構築を完遂するのが我が使命だ!」
「儂一人で済むものか。全ての者を排除せねばならぬ目論見なぞ、畢竟、絵空事よ」
「絵空事大いに結構」
「それをこそ完遂するのが鷲の儀であり、メガトリイの叡智であり、ヨロシサンの最終テックである!人類はエントロピーに抗わねばならん。イレギュラーに汚染された思考を捨て、鷲の羽根となって整然と並び、アルゴス駆動のリソースたるべし!」
「言いも言うたり!」
「オヌシの頼みの綱はそこで腐りかけたガラクタ機械てか!案ずるな、オヌシを殺すだけでは終わらせぬ。このくだらぬ城を叩き潰し、アルゴスを滅ぼし、サンズ・リバー畔りの積み石めいてオヌシが必死に企てた虚ろの伽藍を全て無駄足としてくれる!」
「愚か者め!アルゴスとはすなわち概念だ。アルゴスを滅ぼすことはできん。アルゴスを動かすには私一人あればよく!」
「世界を動かすにはアルゴスがあればよい。ただ私一人が健在であればよい!」
そして遂にニンジャスレイヤーのジキ・ツキがアガメムノンを捉え爆発四散!
しかし執念により自分の体を稲妻に変えて再構成して復活!エエーッ!
だがそのダメージは甚大!ニンジャスレイヤーもそれは同じ!
アガメムノンはオヒガンによって人類が舐めさせられてきた苦汁を語り、絶対悪たるオヒガンを切断する己こそニンジャを滅ぼす有資格者。真にニンジャ殲滅を為す者であり、お前はただの無軌道殺人者にすぎぬと語る。
しかし、
「……人類が舐めたオヒガンの辛酸か」
「徹頭徹尾わからぬ。興味も無し。だが、オヌシの行いはわかるぞ。ニンジャよ」
それを切り捨て、チャドー必殺奥義アラシノケンを叩き込み、
アガメムノンをフックロープで捕えたニンジャスレイヤーは、複合UNIXにアガメムノンを叩き付ける。
その衝撃によって月面が爆発したことで宇宙に放り出されたアガメムノンは咄嗟にデン・スフィアを展開し、地球へと逃れようとするが、状況判断によってそれを見越したニンジャスレイヤーにデン・スフィアの内部に入り込まれ遂に退路を失う。
全ての野望が潰えた男は、目の前の男、ニンジャスレイヤーを殺すためだけにカラテを振るい、宇宙空間において壮絶な殴り合いを展開する。
キンカク・テンプルの異常接近で力を増していたアガメムノンは最大出力のデン・ジツによってニンジャスレイヤーを葬ろうとするが、ニンジャスレイヤーはこれに耐えきり、
アガメムノンは更にネオサイタマから電力を吸い上げようとしたが、決断的な拳に阻まれ、遂に爆発四散した。
しかし彼が行った再定義の影響は変革を余儀なくし、日本も磁気嵐による鎖国から解放。更には各地に眠っていたリアルニンジャ達も覚醒を始め、世界はこれよりマッポーカリプスの時代に突入する事となる。