ラミー/リャナンシー(灼眼のシャナ)

登録日:2017/07/20 Thu 22:01:20
更新日:2023/05/24 Wed 11:45:07
所要時間:約 4 分で読めます






灼眼のシャナ』の登場人物。
CV.清川元夢(ラミー時)

屍拾い(しかばねひろい)”は通称。炎の色は深い緑色。


◆概要

この世の“歩いて行けない隣”にある世界“紅世”の住人“紅世の徒”の一人。
普段は老いた紳士の姿をしているが、これは憑依したトーチの姿を借りたもので、本来の姿ではない。

力そのものは小さいが、トーチから“存在の力”を集めたり、追跡を逃れるため多くのダミーを配置したり、わずかな動作で特定の人物だけを眠らせたり、と言った技巧に優れた自在師。

通常の“紅世の徒”が人を喰らうのと違い、人を直接食らわず、屍=トーチ*1 のみを食らい力を集めている。
その為、ラミーは他の“紅世の徒”から“屍拾い”と呼ばれ蔑まれている。

ラミーがこのような屈辱に甘んじてもなお、“存在の力”を集め続けているのは、その目標とする絶対量が余りにも膨大なためである。

彼が行おうとしている『失われたものを復元する自在法』は、完全に破壊されたものを元に戻すという性格上、その式の起動には莫大な量の“存在の力”を必要とする。
それを真っ正直にこの世の人間を喰らうことで集めようとすれば、“祭礼の蛇”や“棺の織手”のようにどれだけ強大な存在であっても、集まってくるフレイムヘイズに討滅されてしまう。

しかし、無害でさえあれば、フレイムヘイズは通常、討滅に乗り出してこない為、ラミーは他の“紅世の徒”が作った燃え尽きそうなトーチを摘み、糧とすることで世界のバランスに影響を与えないようにしている*2
とはいえ、それでもマージョリー・ドーのように目をつけて襲って来るフレイムヘイズもいるのだが。




追記・修正お願いします。












以下ネタバレ








その正体は、“紅世”最高の自在師と名高い“螺旋の風琴(らせんのふうきん)リャナンシー*3
cv浅倉杏美

「“屍拾い”ラミー」という通称も、本名を隠すための偽名
真名は“螺旋の風琴(らせんのふうきん)” 。

普段の老紳士の姿も、“存在の力”の消費を減らすために寄生しているトーチのものであり、本当の姿は翠色の短髪の儚げな雰囲気の少女。

力の総量自体はとても小さな“紅世の徒”でありながら、あらゆる自在法をまさに望むまま、自由自在に構築できる。

かつて “探耽求究(たんたんきゅうきゅう)ダンタリオンとの共同研究で封絶や転生の自在式といった数々の自在法を世に編み出した。

◆過去

遥かな昔、紅世からこちらの世界にやって来たリャナンシーは、他の多くの“紅世の徒”と同様に己が欲するままに力を振るい、そのために人間を喰らうことに何の疑いも持たず自由に世界を遊び巡っていた。

その旅の途中でリャナンシーはロンバルディアの片田舎で芸術家を目指していたドナートという名の青年と出会う。

やがて二人は愛し合うようになるが、リャナンシーが人を喰らって存在する者であることを知ったドナートは、悲しみと怒りの余り彼女を非難してしまう。

恋人に非難されたことで衝動的にドナートの元を飛び出したリャナンシーは、無気力状態で彷徨っていたところを、とある“紅世の王”によって捕らえられ“紅世の徒”を支配する鳥籠型の宝具に閉じこめられた。

それ以後、膨大な量の“存在の力”を注ぎ込むことで、内に捕らえたリャナンシーに望みのままに自在法を使わせる宝具『小夜啼鳥(ナハティガル)*4として扱われるようになったリャナンシーは、やがて時を経て“棺の織手”アシズの手に落ち、『とむらいの鐘』による『壮挙』*5の中核にされる。



「ドナートは俺に言った―――――君の絵を描いたよ、と」



「―――――絵を」


「見たい、触れたい、確かめたい」


「ドナートの描いた、私の絵を」



長年に渡って無気力と諦観の泥中に沈んでいたリャナンシーだったが、中世の『大戦』の最中、ドナートが死の間際に残した自分への伝言を耳にして気力を取り戻し、アシズの支配を跳ね除け自らの意志で籠を出た。

大戦後、ドナートが自分を描いた絵を見に行くが、彼の絵は既にローマ略奪の際にこの世から失われた後だった。

その後、失われた絵を復元するための自在法を編み出したリャナンシーは、その自在法の発動に必要な莫大な量の“存在の力”を集めるため、本来の真名と存在を隠し“屍拾い”ラミーとして、長い時間をかけて消えかけのトーチから“存在の力”を集めていくこととなる。

愛した人が彼女の為に残してくれたもの、しかし今は失われてしまったものをその目で見、触れ、確かめるためにリャナンシーは他の“紅世の徒”達から“屍拾い”と揶揄されながらも、この世界を彷徨い続けた。

◆作中での活躍

本編にはII巻で登場。

マージョリー・ドーに追われながら“狩人”フリアグネが、『都喰らい』の準備で大量に作りだした多数のトーチを目当てに御崎市に現れた。

偶然から美術館でデート中の坂井悠二と吉田一美に出会い、シャナとの関係に悩む悠二に様々な助言を与える。

彼を追って御崎市にやってきたマージョリーに襲われるが、この時はシャナたちによって救われ、マージョリーをねじ伏せ自身を守ってくれたシャナと悠二に報いるべく、集めた“存在の力”で戦場を修復して去っていった。
その後、現代の大戦の開戦に伴い、デカラビアから動員令の伝達を受け、『仮装舞踏会(バル・マスケ)』に招聘される。

『星黎殿』にて悠二・アラストール・シャナと再会した後、仮装舞踏会の客分として、『久遠の陥穽』に向かった教授に代わり『大命詩篇』の分析にあたった。

リャナンシーが仮装舞踏会に協力したのは、彼らの大命に賛同しているからではない。

大命の最終目標たる楽園創造が成れば、この世界の“紅世の徒”の数も、その食い滓であるトーチも激減する。
そうなれば彼女の望みである失われた絵を復元するための自在法を起動させることは永遠に不可能になる。

もはや、この世から去る“紅世の徒”が残していくであろう“存在の力”を己が望みの糧とするしか、彼女には他に選択肢が無かったのだ。

そして最終巻にてようやく自らの望みを果たした彼女は、リャナンシー本来の姿に戻り、悠二に約束であった遺失物を復元する自在式を渡して更にとある餞別を残して、長年の望みであった復元したドナートの板絵を胸に抱きながら、新世界へと旅立っていった。


◆余談

ちなみに、最終巻で坂井悠二が身につけた自在法に「グランマティカ」の名をつけたのは彼女である。

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最終更新:2023年05月24日 11:45

*1 “紅世の徒”がフレイムヘイズからの追撃を逃れるため、もしくはフレイムヘイズが『世界の歪み』の衝撃を和らげるため、故人の“存在の力”から作る『人間の代替物』。

*2 これは自分はこの世界のバランスを乱す存在ではないとアピールする事でフレイムヘイズに目をつけられるのを防ぐため。

*3 元ネタはアイルランドの妖精リャナンシー

*4 小鳥のナイチンゲールの意味。

*5 人間と“紅世の徒”という二つの存在を分解し、寄り合わせ、定着させることで人間と“紅世の徒”二つの異なる存在の間に生まれた子供。『両界の嗣子』を誕生させる事を目指した