ザムエル・デマンティウス

登録日:2017/05/30 Tue 20:31:17
更新日:2024/04/16 Tue 16:46:31
所要時間:約 6 分で読めます





「大切なモノのために戦う、か―――まったく、人間だった時と、変わり映えしない」


灼眼のシャナ』の登場人物。

●目次

◆プロフィール

契約した“紅世の王”:吾鱗の泰盾(ごりんのたいじゅん)”ジルニトラ
称号:犀渠の護り手(さいきょのもりて)
炎の色:薄墨色
出身:チェコ
CV:野島昭生*1

◆概要

吾鱗の泰盾(ごりんのたいじゅん)”ジルニトラフレイムヘイズ
称号は犀渠の護り手(さいきょのもりて)。炎の色は薄墨色。

外見は四十代から五十代くらいの壮年の男性。
立て襟のオーバーコートに皮手袋、軍帽を被り、顔の左側に大きな傷跡がある。

◆人物

孤児(シロッツィ)」の異名を持つ歴戦のフレイムヘイズで、契約前も契約後も戦争に明け暮れてきた生粋の軍人。*2
本来が復讐者であるため、基本的に近視眼的で個人主義者が多いフレイムヘイズとしては珍しく、広く高い視点から戦いを見る事ができる人物。
そのためか、情報将校の肩書で各国の軍に潜り込み、「研修」によって戦略眼を常に鍛えている。

生前は傭兵としてフス戦争*3に参加していたが、その死の間際、自分が人生の全てを賭けて参加していた戦争が“紅世の徒”同士の代理戦争協定『君主の遊戯』*4の一部にすぎないと知らされ、その怒りからジルニトラと契約した。
契約した経緯から、『君主の遊戯』を取り仕切っていた逆理の裁者(ぎゃくりのさいしゃ)ベルペオルに強い復讐心を抱いている。
またこのような過去から、基本的に戦場では戦争の遂行によって己を動かすことに専念しており、他が頭にない。

中世の大戦では事情があって戦場には立たなかったものの、人員の集結から軍の編成、物資の調達など戦闘の下支えとなる後方支援を一手に引き受けた。

革正団戦争では参戦の遅れから多くの戦友を失っており、そのことを百年後の現代でも悔やんでいる。

また『仮装舞踏会(バル・マスケ)』の将の一人・デカラビアは長年の宿敵であり、互いに実力は評価しつつもその存在を忌々しく思っている(ことにデカラビアの方は顕著)。

◆契約した“紅世の王”

  • 吾鱗の泰盾(ごりんのたいじゅん)”ジルニトラ
この世の“歩いて行けない隣”にある世界“紅世”の住人“紅世の徒”の中でも、特に強い力を持った“紅世の王”。
スラブ神話に伝わる魔法竜がネタ元*5
親指大の銀杯“ターボル”に意志を表出し、しわがれた男の声で話す。
無骨で堅苦しい性格をしておりザムエルとは「戦友」と呼び合う仲。ちなみにザムエルのことは基本「デマンティウス」と苗字で呼んでいる。

◆戦闘能力

戦闘スタイルも一風変わっており、固有の自在法『ジシュカの丘』で築いた建造物を拠点に、仲間の討ち手の力を吸収・集約することでそれを制御、攻防に使用するという「集団戦」が本領。
軍人としての経験や戦場を見る目が存分に生かされる、というザムエルならではのスタイルだが、フレイムヘイズは成り立ちの関係で個人主義者がほとんどであるため、たいていの討ち手からは「有能だが変人」とみられている。

ちなみにザムエル個人での戦闘は、『ジシュカの丘』で建造物を築くことで相手の動きを制限し、その隙に攻撃を加えるという堅実なもの。
自身の地力も相応に高いため、孤立しているからと言って弱体化するわけではない。

◆固有の自在法

  • ジシュカの丘
大地を操り城壁等の構造物を作り上げる自在法。
神器“ターボル”を弾いた後、掌を地面に打ち付ける事で発動。
この自在法で作り出した構造物は、“存在の力”によって強化されているため容易に破壊されず、強固な城塞を築くことができる。
また、この自在法は数ある自在法の中でも極めて珍しい「集団で動くことを前提とした自在法」であり、これで作り出した建造物には多くの討ち手から注ぎ込まれた力を蓄積・集約させることで、攻防に絶大な威力を発揮できる。
この一形態である『ジクムントの門』は、建造物を通して他のフレイムヘイズの存在の力を集めて展開する巨大な防御障壁。

  • 車両要塞(ヴァーゲンブルグ)
太い鎖で連結した石製の大型車両を幾重にも重ねることで、障壁を稼働する城塞の如く操り拠点防御を行う自在法。
ザムエルの切り札たる自在法で、車両からの各種攻撃の他、切り離しての単独行動も可能。
だが、大規模ゆえ力の消耗が激しく、長時間の使用はできない。本来はこれも『ジシュカの丘』を通して友軍の討ち手から力の供給を受けつつ使用する。


◆本編での活躍

X巻の時点で“孤児”という異名は語られていたが、本格的に登場したのは現代の大戦が本格的に始まったXVI巻以降。
外伝漫画「ETARNAL SONG」では、先代“炎髪灼眼(えんぱつしゃくがん)の討ち手”であるマティルダ・サントメールの回想にて当時の兵士の軍装を纏い、ゾフィーに現状報告をしている姿が描かれている。

現代の大戦では総大将である“震威(しんい)の結い手”ゾフィー・サバリッシュの下でフレイムヘイズ兵団の幕僚長を務め、その手腕を存分に発揮した。

仮装舞踏会(バル・マスケ)』の本拠地である『星黎殿』での決戦では、全方位から集った飛行機からフレイムヘイズを一点に投下させることで『仮装舞踏会(バル・マスケ)』の警戒網をくぐり抜け奇襲を成功させる。

その後は自身の自在法である『ジシュカの丘』の能力で前哨基地を築城。
フレイムヘイズ兵団を指揮して『星黎殿』直衛軍と戦闘を行う。

盟主である“祭礼の蛇”と最高幹部のの不在という偶然の好機から、当初は戦局を優位に進めるも、留守を任された“淼渺吏(びょうびょうり)”デカラビアの指揮と『星黎殿』直衛軍の奮戦により戦況は膠着状態に陥いる。

しかし、『星黎殿』の墜落と『神門』に突入する直前のシャナの宣布によって、戦況はフレイムヘイズ兵団に有利になり、ザムエルたちは一気に攻勢を仕掛ける。

戦局の不利を悟った『仮装舞踏会』側は、総司令官であるデカラビア自らが前線に出撃。
これに対しザムエルは『ジシュカの丘』で『星黎殿』への橋梁を築き、デカラビアを無視して『星黎殿』を直接攻略するという突破作戦を仕掛ける。

それを見たデカラビアは、ザムエルが築き上げた『星黎殿』まで通じる橋梁を破壊するべく、頭部を現したところをゾフィーの落雷蹴りを受け討滅された。

結果、『星黎殿』直衛軍の士気は砕け、崩壊寸前に陥るも、その直後“煬煽(ようせん)”ハボリム率いる西部方面主力軍が戦場に到着。
フレイムヘイズ兵団に横腹から猛撃を仕掛けてきたことでこれの対処に追われ、紙一重の差で勝利の機を逸する。
この時ハボリム率いる主力が、ちょうど『ジシュカの丘』による通路を横から狙い撃つ形で現れたことで伸びきった戦線を食い破られる形となってしまい、これが劣勢に拍車をかけることになった。

“祭礼の蛇”本体の帰還によって戦いの趨勢が決した後も、ザムエルは戦場東部に築いた保塁で戦線を支え続けるも、“祭礼の蛇”坂井悠二による二度目の『大命』宣布によってフレイムヘイズ兵団は崩壊。
仮装舞踏会(バル・マスケ)』との決戦はフレイムヘイズ側の敗北に終わった。

その後は、“皓露の請い手”センターヒルと共に殿軍を引き受け、『仮装舞踏会(バル・マスケ)』の包囲網内で散り散りになった残存の討ち手らを救出するため、目印兼陽動としてセンターヒルの瑠璃色の灯火を冠した塔を戦場に築き、集まってくる討ち手らを『天道宮』へ導いて収容すると同時に、引き寄せられた敵の軍勢を『車両要塞』で押しとどめ、奮戦の末に死亡した。

「死ぬか、ザムエル・デマンティウス」

「っ、ああ、そのようだ……二度目となると、感慨もない、な」

最後の最後まで戦い続けたのは意地や信念ではなく、「やるべきことが他に思いつかなかったから」という、心底からの軍人らしい理由であった。






「さらばだ、ザムエル・デマンティウス……儂は、再びの戦いを期して去ろう」

「それがあるべきか、なかるべきか、私には判断できないが。武運を祈る―――我が戦友、ジルニトラ」

「協力に感謝する―――我が戦友、ザムエル・デマンティウス」





なお、“紅世”へと帰還したジルニトラは、新世界『無何有鏡』の創造後に再び狭間を渡り、本編の終了後は他の秩序派*6の王たちと共に新世界で外界宿の協力者として活動している。



「追記・修正に感謝する―――我が戦友、アニヲタ」




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最終更新:2024年04月16日 16:46

*1 シャナと悠二のクラスメイトである池速人の中の人、野島裕史の御尊父。

*2 「孤児」の異名は、討ち手となる以前に在籍していた軍団の名称に由来する。

*3 1419年に始まるベーメンのフス派による反乱。15年以上にわたって続いた。

*4 中世ヨーロッパで、紅世の徒同士の勢力争いを、自分たちが直接闘うのではなく人間の勢力争いによって行うとする協定。

*5 ただし、実際はジルニトラ関係の発掘物は捏造であったことが分かっており、実在は強く疑われている。

*6 元々フレイムヘイズと契約していたが、契約者の戦死などで一度紅世に帰った紅世の王たちの総称。新世界ではフレイムヘイズと言う形で人間を通さなくとも世界のバランスを乱す恐れがないため、別のフレイムヘイズと契約せず、自分で出現して活動している。立場上、世界のバランスを考え、新世界の紅世の徒の放埓な振舞いに対する抑止力として活動している。