ドラえもん のび太の太陽王伝説

登録日:2017/05/23 Tue 23:39:47
更新日:2024/01/22 Mon 00:48:45
所要時間:約 11 分で読めます





君は誰を守れるか。


監督:芝山努
脚本:岸間信明
主題歌:由紀さおり・安田祥子「この星のどこかで」

『ドラえもん のび太の太陽王伝説』とは、『映画ドラえもんシリーズ』の第21作目及び『大長編ドラえもんシリーズ』第20作目のタイトルである。
2000年3月11日公開で上映時間は91分。
同時上映は『ザ☆ドラえもんズ ドキドキ機関車大爆走!』と『おばあちゃんの思い出』。

ドラえもん誕生30周年記念作品である。また、本作が20世紀最後のドラえもん映画となった。

●目次

【概要】

今作は太陽を崇拝する古代文明に南アメリカ大陸に存在したマヤ文明、冒頭部の展開にマーク・トゥエイン作の児童文学『王子と乞食』を下敷きにしている。

大長編の執筆にあたり、作画担当のむぎわらしんたろう氏らは実際にメキシコのユカタン半島まで取材に行き、地下水道が走る石灰岩でできた大地などを作品中に取り入れている。コロコロコミック担当だった斎藤満氏は、むぎわら氏が特に力を入れた作品だったと述懐している。

言葉を話す人面岩、白蛇の潜む崖、老婆の姿に戻るレディナ等、『魔界大冒険』に並ぶトラウマシーンの多い作品でもある。


【あらすじ】

学芸会の練習をしていたのび太達。
「白雪姫」の劇をすることになっていたが、なかなか上手くいかず、
その上ジャイアンがドラえもんの道具である「万能舞台セット」を持ち去ってしまう。

ドラえもんは「タイムホールとタイムとりもち」で万能舞台セットを取り戻そうとするが、
のび太が無理をしたことで時空に乱れが生じ、その向こうには、ジャングルが広がっていた。
そして2人は、仮面を被った謎の少年に襲われるが、その素顔はなんと、のび太と瓜二つだった。

この世界に存在する王国「マヤナ国」の王子だったその少年「ティオ」は、現代文明に興味を持ち、しばらくのび太と入れ替わることを提案。
ティオは母親を魔女「レディナ」の呪いで眠らされてしまっており、力を求めていたのだ。
早速入れ替わり、王子生活を楽しむのび太だったが、慣れない王宮暮らしにタジタジとなり、一方のティオも慣れない現代文明で騒動を起こしてばかり。

後に静香たちも彼らの秘密を知り、のび太やドラえもんと共にマヤナ国へ行くが、ティオに仕えていた少女「クク」がレディナにさらわれてしまう。
ドラえもん達はククを助けるべく、レディナのいる闇の神殿へと向かうのだった…


【登場キャラクター】

【メインキャラクター】

お馴染み22世紀の科学の結晶。ドラモンではない
ティオの我儘ぶりに手を焼き、訪ねてきた静香を家から追い出した彼に怒り、一度は突き放すもののすぐに後を追ったツンデレ

物語終盤にて、レディナによって四次元ポケットを燃やされてしまう。
白雪姫の配役は小人のリーダーで、エンディングでも変わらず。

心優しいヘタレ眼鏡。
ティオと入れ替わり、王子生活を楽しむも、イシュマルとの棒術の稽古にはついていけず。
しかし、得意のあやとりでククや子供たちと打ち解けたり、ドラえもんから預かっていたスペアポケットを活用する活躍も見せる。
静香たちを連れてマヤナ国へ来る際は「王子が二人いるとややこしい」と言う理由から女装させられ、「のび子」となったが、クク救出の際はティオを思わせる衣装に変わった。

また、四次元ポケットを燃やされた際は、スペアポケットを持っていたことで窮地を脱する。
サカディや終盤のレディナとの決戦では、ティオとのコンビネーションを発揮した。
白雪姫の配役は舞台の木で、エンディングでも変わらず。

みんなのアイドル。
当初はティオと入れ替わっていた事を知らなかったとはいえ、のび太の態度が急に変わった事に困惑する。
さらにジャイアンとティオが空き地でマジ喧嘩した際、彼女が放ったある一言が、ティオの心に深く突き刺さることになる。

後にドラえもんから事情を知り、下の二人と共にマヤナ国へ行く。
マヤナ国ではククに「白雪姫」の話を聞かせていた。
白雪姫の配役は白雪姫だったが、エンディングでは王子になった。

歌好きガキ大将。
冒頭では万能舞台セットを持ち去ってリサイタルの練習をするなど相変わらずであるが、
中盤からはいつも通り男気を発揮し、特にイシュマルとの師弟愛は必見。
空き地ではティオと互角の殴り合いを繰り広げた。
イシュマル直伝の棒術でコアトルと激闘を繰り広げる。

白雪姫の配役は最初は王子だったが、エンディングでは…
とりあえず吐き気対策を忘れずに。

スネちゃま。
ジャイアンとティオが空き地でマジ喧嘩した際は、流石にヤバいと感じたのか止めに入った。
レディナが恐ろしい魔法使いだと知ってビビっていたが、ジャイアンに「こっちには22世紀の科学の結晶・ドラえもんがいるんだぞ」と諭される。
終盤では自慢のラジコン操縦テクニックで大活躍した。
白雪姫の配役は魔法使いで、エンディングでも変わらず。

【ゲストキャラクター】

  • ティオ
CV:緒方恵美
マヤナ国の王子。のび太そっくりな顔をしているが、眼鏡はかけていない。
偉大な『太陽王』として名を馳せた父に強い劣等感を抱いており、性格はのび太とは正反対。
偉大な王になろうと努力してきただけに能力は高いが、自分に対する自信と先代への劣等感からくる焦りがない交ぜになっているために、尊大で気が強い人間になってしまって、周囲がティオに抱く不満にも気付けなかった。

しかし、のび太達との関わりを通じて、自身も穏やかな性格へ変化していき、のび太の事も途中で友達と認め、名前で呼ぶことを許している。ジャイアンとタイマンを張った際も、彼を「マヤナ国の戦士にしたいくらいだ」とお互いの実力を認め合った。
現代文明に興味を持ち、のび太と入れ替わるが、強気な彼ものび太のママには逆らえなかった。ドラモン…否、ドラえもんに勧められたカップ麺を気に入った。

ククがさらわれ、単身レディナのいる闇の神殿へ向うも、「白骨の森」の沼にはまり動けなくなったところをのび太達に助けられ、彼らと共に闇の神殿を目指す。
その道中、レディナの配下・ヤフーが操る大鷲に捕まり、のび太達とはぐれてしまうも、ポポルに助けられる。

終盤ではのび太達のピンチに駆け付け、抜群のコンビネーションでレディナに打ち勝つ。
最後はマヤナ国の新たな王となり、父と同じ「太陽王」の称号を授かった。
しかし、タイムホールとマヤナ国の繋がりが絶たれてしまい、のび太達とは挨拶もできないまま永遠の別れとなってしまった。

  • ポポル
CV:杉山佳寿子
ティオのペットである小動物で、本作のマスコット枠。
彼が時空が乱れたタイムホールから出てきたことが冒険の切っ掛けとなる。
収集癖の持ち主で、ティオですらも呆れるほど。
飼い主と顔が似ているのび太に懐くが、ククによるとティオ以外の者には滅多に懐かないらしい。
後に彼もドラえもん達に同行することになり、自慢の嗅覚でティオが沼にはまっていたのを発見した。

  • クク
CV:飯塚雅弓
マヤナ国の少女で、イシュマルの娘。
ティオに仕え、彼に好意を寄せているものの、中々気づいてもらえない様子。
ある夜、ティオに相手にされず一人で泣いていたところを、レディナによってティオをおびき寄せる囮としてさらわれてしまう。
最後はドラえもん達の活躍で救出され、ティオの接吻によって目を覚ました。しかしティオとのび太が並んでいたため「王子様が二人?」と混乱しながらまた気絶した。

  • イシュマル
CV:中田浩二
ティオの棒術の先生で、ククの父。
当初はのび太と入れ替わっていた事を知らなかったとはいえ、ティオが急に棒術で弱くなったのを見て困惑する。
ジャイアンとは師弟関係を結んだ。

後にのび太とティオの事情を知り、ドラえもん達に同行するものの、途中で白蛇の潜む崖から落ちて消息を絶ってしまう。
しかし終盤では無事生還し、ジャイアンと再会。ジャイアンから受け取った槍でコアトルを倒した。
漫画版では「イサマル」という名前になっている。ちなみに声優は「忍風カムイ外伝」の声優。

  • カカオ
  • モカ
CV:江川央生
マヤナ国の少年コンビ。
棒術の夜稽古に付き合わされるため、ティオに対していい感情を持っておらず、陰で悪口を言っていた。
サカディの試合でティオと対戦し、最初は劣勢に追い込むものの、のび太がティオの助太刀に入った事で形勢が逆転し、2-3で敗北を喫する。

しかし、のび太のおかげで罰を許されたことで、ティオと和解した。
その後はククがさらわれるのを目撃してビビっていたが、最後はマヤナ国の人々と共にのび太達の応援に駆け付けた。
漫画では「カン」「クン」という名前になっている。

  • 女王
CV:鈴木弘子
マヤナ国の女王でティオの母であるが、レディナの呪いで眠らされてしまっていた。
事件解決後に呪いが解け、目を覚ました。

  • ヤフー
CV:けーすけ
レディナ配下の動物使い。
動物を使役し、自在に操ることが出来る。
巨大ワニを使ってククを連れ去った張本人。
最後は超スーパー風船ガムでアドバルーン化したワニと共に何処かへと飛ばされた。

漫画では単に「動物使い」という名前だった。
藤子プロ「お前の名前など、どうでもいい。ただの『動物使い』で十分だ。」
某検索サイトとは関係ない。

  • ケツアル
CV:島田敏
レディナ配下の薬使い。
薬を使ってドラえもん達に石の怪物の幻覚を見せる。
しかし、ドラえもん達が咄嗟に鼻をつまんだことで幻覚がばれてしまい、
最後はラジコンアンテナをつけたコショウをばら撒かれてクシャミが止まらなくなり、ジャイアンとスネ夫にロープで縛りつけられた。

配下の中では唯一名前を呼ばれず、漫画では単に「薬使い」という名前だった。
名前の由来はコアトルと併せて、アステカ神話の神である「ケツァルコアトル」からと思われる。

  • コアトル
CV:広瀬正志
レディナ配下の使い。仮面を被っている。
闇の神殿にてジャイアンと対決して圧倒するも、他所に気を取られた隙を突かれて一度は敗れる。
しかしそれはやられたふりであり、生還したイシュマルを背後から襲おうとするも返り討ちにされた。

他二人が曲りなりに特殊な技能を持っていたのに対して、コアトルは結果として11歳児に敗れ、槍の達人を相手にしたら容易く蹴散らされたため、上映時には三人の中でも際だって微妙な人扱いを受けた。
漫画では単に「槍使い」という名前だった。

  • レディナ
CV:唐沢潤
マヤナ国の支配を目論む魔女で、映画ドラえもんシリーズ初の女性のラスボスである。
かつて、マヤナ国の神官長を務めていたが、怪しげな魔術で民衆を惑わせたことで、ティオの父に国から追放された過去を持つ。
その為、マヤナ国に対して恨みを抱き、魂を入れ替える「食の儀式」で、ティオの体を手に入れてマヤナ国を征服してしまおうと企んだ。

ククを囮にしてティオを闇の神殿へおびき寄せるが、のび太達とティオの活躍によって企みを打ち砕かれ、本来の姿である老婆の姿に戻ってしまう。
最後は神殿の仕掛けを発動させ、のび太達とティオをまとめて消そうとするも失敗に終わった。
映画ではその後の去就は不明。漫画版ではその後、配下たちと共にティオの王位戴冠式に来ていた。
老婆に戻りつつ画面へと迫ってくるシーンは本作のトラウマ要素の一つ。


【用語】

  • マヤナ国
古代文明の王国で、「太陽の国」とも呼ばれる。
マヤ文明やアステカ文明に似ており、漫画版ではドラえもんやスネ夫も指摘している。所在地は地球かどうかも語られずじまいで、時代も顕生代可動かも語られずじまいであった。
紐を使った占いといった文化があるほか、男子は皆、小さい頃から棒術を習うという。

また、「サカディ」と呼ばれるサッカーのような試合も行われており、龍の口の中へボールを蹴り入れ、3点先に取った者が勝ちであるが、負けた者は勝った者のいう事を何でも聞かなければならない為*1、命がけで行われている。しかも、ボールに手が触れさえしなければどんな手を使っても許されてしまう。

  • 白骨の森
闇の神殿への道の途中に存在する深い森。
大きな沼があり、ティオもここに足を踏み入れてしまう。

  • 闇の神殿
レディナの拠点である神殿。ここにて「食の儀式」が行われる。
麓にあるスイッチを押すと、自動的に崩れるようになっている。
漫画版では石柱の一つを外すと崩れる設定。


【ひみつ道具】

  • 万能舞台セット
万能舞台装置」とほぼ同じ道具。
様々な舞台を出すことが出来る。冒頭でジャイアンに奪われてからそれっきり。

おなじみ小さなドラえもん達。
白雪姫の配役は小人達。

  • とりかえっこふろしき
「物体変換クロス」のように、二つの物体を入れ替えることが出来る。

  • タイムホールとタイムトリモチ
過去に失われた物を取り返す事が出来る道具。
のび太が無茶をしたことで、偶然にもタイムホールとマヤナ国のジャングルの木の洞と繋がってしまう。

  • 手品ステッキ
このステッキを当てると、当てたものが様々なものに変化する。

おなじみの移動手段その1。

おなじみの移動手段その2。

  • 瞬間クリーニングドライヤー
どんなに汚れたり、濡れたりした物もあっという間に乾かせるドライヤー。
元々は「気ままに夢見る機」の付属品だったが、本作では単品で登場した。

見た目白ブリーフな四次元ポケットのスペア。
のび太がティオと入れ替わる際、ドラえもんから預かっていた。

  • お天気ボックス
天気のカードを入れることで、好きな天気にすることが出来る。
この道具を使って雨を降らせたことで、生贄を出すことなく国を日照りから救った。
なお、この時生贄の少女を演じていたのは、まだ無名だったころの堀江由衣

  • きせかえカメラ
おなじみのファッションアイテム。

  • キャンピングカプセル
おなじみのキャンプ用アイテム。

  • どこでもだれでもローラースケート
これを履くと、どんなに不器用でも自由自在にローラースケートが出来る。
たとえ水上でも可。

  • 風神うちわ
超強力なうちわ。襲ってきた大鷲に使用し、丸裸にした。

  • 超スーパー風船ガム
食べると体がアドバルーンのように膨らんでしまうガム。

おなじみの武器アイテム。

  • ラジコンアンテナ
アンテナを付けたものをラジコンとして動かすことが出来る。
漫画版では「RCダコ」というタコの形をした道具に置き換えられている。
こちらは墨をかけて攻撃することが可能。

  • 桃太郎印のきびだんご
おなじみ、動物を懐かせる黍団子。
コンドルに食べさせ、神殿の崩壊からのび太とティオを救出した。

  • 復元光線
漫画版に登場。
壊れたものを復元できる道具。
割れた壺を修復した。

  • 進化退化放射線源
漫画版に登場。
光をあてた物を自在に進化、退化させる事ができる。
作中ではスネ夫のビデオカメラに使用した。

  • チアガール手ぶくろ
漫画版に登場。
これをつけた女性に応援されると、必ず勝てる。
作中ではサカディの際に静香とククが使用した。

  • 秘境探査ボール
漫画版に登場。
未知の場所を探索できる道具。
ボールの位置はモニターから見ることが出来る。

  • かるがるつりざお
漫画版に登場。
どんなに重いものでも軽々持ち上げられる釣竿。
沼にはまったティオを救出した*2

  • ジュー水器
漫画版に登場。
どんなに汚れた水でもろ過し、ジュースとして飲むことが出来る。
のび太のションベンも


【余談】

本作の「ドラえもんのうた」は、ウィーン少年合唱団が歌っている。映像はジャングルの動物に扮したドラえもん達がメインであり、壮大なオーケストラとマッチしている。

前売りプレゼントとして『ドラえモーションカード』*3、入場者プレゼントとして『スライドラ・パズル』*4が配布された。

地上波では2001年1月7日に初放送された。

予告編ではのび太とティオが階段を駆け上がるシーンがあるが、本編では該当するシーンは存在しない。シンエイ動画プロデューサーだった山田俊秀氏は『南海大冒険』以降予告編動画を発注している制作プロダクションが独自に作ったシーンである為と、超全集の寄稿にて証言している。








追記・修正は、異世界の王子様と入れ替わってからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 太陽王伝説
  • 劇場版
  • 映画ドラえもん
  • ドラえもん
  • 太陽
  • 異世界
  • 王子
  • 白雪姫
  • 生贄
  • 日食
  • 大長編
  • 神殿
  • マヤ文明
  • 王子と乞食
  • 22世紀の科学の結晶VS恐ろしい魔法使い
  • 友情
  • 魔術
  • 学芸会
  • 呪い
  • 儀式
  • そっくりさん
  • 大山版ドラえもん長編映画リンク
  • みんなのトラウマ
  • アニメ
  • 映画
  • 岸間信明
  • 芝山努
  • 東宝
  • 感動のラスト→笑撃のラスト
  • シンエイ動画
  • ウィーン少年合唱団
  • アニメ映画
  • 2000年
  • ティオ
  • 任天堂

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年01月22日 00:48

*1 例え命を奪われたとしても。

*2 映画では使わず、のび太達が引き上げた。

*3 角度を変えるとウマタケに乗ったドラえもんとのび太がの絵が動いて見えるカード

*4 ドラえもんの顔の裏に、9マスのパネルを合わせるパズルが付いているというもの。全7種類。