サーキック・カルト(SCP Foundation)

登録日: 2017/05/20 Sat 00:12:38
更新日:2024/01/21 Sun 09:05:56
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苦行にある全ての者に忠告する。落ち着いて彼の手の内にある皮革の巻物を取り、
彼の手によって記し、その両の眼を上に向かせ、口を開かせるのだ、その血が流れ出づるまで。


君の見ていたこの男は犠牲の司祭にして生贄にして自らの肉体を吐き出せし者。
彼を通じて、血族と苦行にある者たちに権威が与えられる。





私はイオン。





アディトゥムの崇高なるカルキストにして、

尋常ならざる力を帯びたもの。


出典: Sarkicism Hub より


ここでは、シェアード・ワールドSCP Foundationに登場する宗教にして要注意団体である、
サーキック・カルト(Sarkic Cults)について解説する。


概要――「にくの」カルト

ギリシャ語の『肉』『新鮮』に由来し、「肉のカルト」という意味*1のサーキックは、指導者、崇高なるカルキスト・イオン(Grand Karcist Ion)が創始した宗教/哲学体系であり、「サーキシズム」を信奉する信者たち(サーカイト)の総称である。

その実態は魔術的な儀式により異常能力を得ようとする者たちの集団であり、信奉者たちは、主にカニバリズム、人身御供、肉体の増生、魔術、次元操作、そして他世界存在との契約…
要はエロ&グロ&バイオレンスをメイン活動に据え、実際に信者の多くは異常能力者で、創始者をはじめ、上位の指導者たちはもはや人間ではなくなっているという危険な団体である。

このサーキックという呼称は敵対勢力、壊れた神の教会(Church of Broken God)(以下メカニト)による渾名、というか蔑称で本人たちはあくまで自分たちをナルカ/ナラカ/ナラッキャ(Nälkä)と呼称する。

極めて秘密主義的であり、一般の大衆はほぼ彼らのことをわかっていない。
財団的にはありがたいが、それはつまり一般人がある日突然危険なものに巻き込まれるリスクも高い状況ということ。
信者たち個人での最終的な目標は「自身の神格化」で、一般的に「病気」とされるものを崇敬の目で見る…………というか『弱者を淘汰する』という側面から「聖別」と考えて積極的に広めにかかるWHOの敵で、膨張したリンパ節や腫瘍を捧げ物にしたりというグロイ上にわけのわかんない信仰がある。

また彼らの考えではこの世界に存在する多数の神格的存在、数多の神霊・精霊を何らかの方法で「喰らう」ことでその力を取り込むことが出来るとされ、この「人の身で神を貪り喰らう」ことを魔術的能力の根源としている。

「欲望は万物の尺度である。道徳の鎖に縛られるなかれ。望む事を、望む相手に成すが良い。」と言われる彼らはストッパーが外れてしまっているので倫理観もへったくれもないのだ。



そして財団の見識では神格化とは別の最終目的、またはその過程における経緯の結果サーキックがもたらす世界への影響の終着点は、
最終的に疾病やウイルスによる免疫に弱い一般人の壊滅的な被害、及びそれに生き残った者もいずれ勢力を広げていくサーキックに取り込まれていく事によって
人類の殆どが淘汰、またはサーキックの支配下に置かれてしまうSK-クラス:支配シフトシナリオ

よりストレートに言ってしまえば『世界征服』と推測されている。

財団世界における要注意団体は数多く、特殊能力者集団異常芸術を生み出すアート・テロリスト異常物品を売りとばす違法ビジネス会社
頭のネジが外れたトイ・メーカー良かれと思って大惨事を起こす慈善団体、その他サーキック以外にも数々いるカルト教団など、
様々な種類、形容の団体が存在しそのどれもが財団にとってははた迷惑な活動を行い、時に世界の危機をも引き起こす危険性を持っている。
しかし、それらの団体もなんだかんだで根本的な部分では自分たちの知的好奇心や探究心、アイデンティティーの確保、自分たちなりの信念や情熱、
単純な経営利益を欲する営利組織としての実情など、組織それ自体の目的で世界そのものをどうこうしようとする団体は意外と少ない。

そんな中で、サーカイトは自らが信奉するサーキシズムの教義に従いながら確かにそれを望んでいるのである。
世界が、人類が、自分たちの理想である死と腐肉と腐敗と不浄に満ちた異形に生まれ変わることを。

こういった思想の危険性、そして後述するサーキック信者たちの扱う力の強大さから、
財団世界でも逆に珍しいほど明確に『全ての世界の敵』として危惧されていることが多い団体となっている。

+ ちなみに
この要注意団体に関わる記事をある程度読んでいる者の中で意外と多い誤解なのが、
「サーキック」、「サーキシズム」、「サーカイト」、「カルキスト」の大まかな四つの用語が団体を指す名称としてややごっちゃになっていることが多い。
今のうちに改めて明記しておくと、

組織、団体としての総称が「サーキック・カルト」
サーキック・カルトが信奉する宗教理念、哲学体系の総称が「サーキシズム」
サーキック・カルトの構成員、サーキシズム信奉者の名称が「サーカイト」
サーキック・カルトの階級における幹部階級の名称が「カルキスト」
である。

この誤解が広まっている理由としては、この団体が正式に要注意団体に登録される以前に書かれた記事では
明確に団体の正式名称が出てくることがほぼ無く主に「カルキスト」の名が印象付ける構成になっていた事と、
正式登用された直後は「サーキシズム」で登録されていたがしばらく後に「サーキック・カルト」に修正された、という経緯がある為と思われる。


プロト・サーキックとネオ・サーキック

このサーキックなのだが、財団はこれらの中で教義の認識の違い、派生の時期と経緯の違いから
更に二つの派閥に分かれると定義付けを行い、それぞれを分けている。


プロト・サーキック

主にイオンが存在していたサーキックの発端から全盛期にかけての信者、及びその当時に広まった教義への認識で信仰する者たち。
サーキックの勢力が最も強大で猛威を振るっていた時代からの古参で有るゆえか、このタイプでのカルキスト達の力はどれをとっても凄まじい規模となる。

プロト・サーキックでの崇高なるカルキスト・イオンはいまだ神格化の途中にあるとし、
イオンの神格化が終わった暁には、信者はイオンによって死産の宇宙は破壊され、イクナーンという楽園へ生まれ変わると主張する。
プロト・サーカイトは基本的に自分たちの集落を作ろうとし、自分たちの存在が完全に隠れてない限りは教義を実践しない。
科学技術に著しい嫌悪を見せ、高度な機械が目の前にあるとぶっ壊そうとする。よほどメカニトが嫌いなようで。
プロト・サーカイトたちはそれぞれ個々の共同体同士で結びつきはなく、バラバラにイオンを信奉し、またかなりの迷信やタブーに縛られている。

また、サーキックの教義の一つに上記での「神格化」や「神食」の他に「犠牲」の概念があるのだが、
プロト・サーキックの場合は自分自身に苦行を与え、自らを傷つけ、痛めつけた上でそれに耐え抜くことで他の大勢の者が恩恵を与えられる為の「自己犠牲」と考えている。


ネオ・サーキック

サーキックが一度沈黙してから時が流れ、中世以降にとある貴族社会にてサーキシズムが広まったことで生まれた時代の信者。

ネオ・サーキックはプロト・サーキックとは逆に共同体同士で世界レベルの結びつきを有し、
その大半が政治家や資産家などの富裕層、マフィアや犯罪結社などの裏社会の一派が関わっているとされる。
そのくせ人数的にはまだまだプロト・サーカイトより少ないらしい。
迷信やタブーは信じないため、機械とともにある生活を送り、ぶっちゃけ信者がいてもすぐに信者と見抜けないくらい普通の人と変わらない生活をしている。

中世時代でのネオ・サーキックはまだプロトと似たような認識でサーキシズムを信奉していたが、
時代が進むにつれて次第に各々が独自にサーキシズムの認識を変えていき、より自分自身への欲求が強いものへと変わっていった。
そのため基本自己中な連中であり、自分たちこそが力を得られるべきだと思っているので、サーキック以外の人間を平気で犠牲にしてしまう。
というか、サーキックであっても犠牲にするときは犠牲にする。…もしかしてだから少ないとか?
プロトの「犠牲」が大勢の為の個人の犠牲なら、ネオの「犠牲」とは個人の為の大勢の犠牲である。要するに自分が良ければ他は全て餌としか考えていない。

「神格化」に関しても、ネオ・サーカイトはイオンは既に神格化を果たしていると主張し、自分たちもイオンの様な絶大な力を得よう、という教義を持つ。
そしてその為ならば当のイオンですら食えるチャンスがあるなら食おうとする。

プロト・サーカイトに対しては遥か古の先人たちとして敬意を持ってはいるものの、実際のところは自分がより深い知識と更なる力を得るために
体よく利用しているだけな場合も多く、特に近代の犯罪結社で構成されているネオに至っては教義そのものすらどうでもよく、
プロトの聖人の遺体すら異常な薬物を生み出す為の原材料代わりに使って好き勝手しているケースもある。


サーキック史

イオン誕生 悪しき帝国への反逆

サーキックの指導者たる崇高なるカルキスト・イオンはもし今も実在しているのならば、かなり強大な現実改変者であろうと考えられている。
イオンはもともとダエーバイト文明と呼ばれる文明において、ダエーワの母とその側室である人間の父から生まれた人であった。

ダエーバイト文明というのは遥か紀元前、ユーラシア一帯に広まっていた巨大帝国であり、サーキック及びメカニトにも大きな影響を与えている。
上記で“人間の父”と書いている通り、厳密には現在の我々人類とは異なる種族による文明だったらしい。
この文明は記録される有力者が全て女性であったことから女権社会だと考えられる。支配者であるダエーワなる種族はその血統にこそ価値があると考え、異種族である人間を奴隷として支配していた。またダエーバイト人女性とその側室の人間男性の間に産まれた男児は、奴隷となることが定められていた。
側室の父を持つイオンも例外ではなかったが、生まれつきかなり優秀であったため労働奴隷や魔術の実験モルモットにはならずに、女司祭あるいは錬金術師の召使いであったと推測されている。ある程度の実力による地位向上は認められていたらしい。

ダエーバイト文明は非常に強大な勢力を有していたが、この圧政に耐えかねた奴隷たちは
西シベリアを中心にダエーバイトに抗う反乱組織が生まれたことを知り続々と脱走してはその組織へと加入していく。
これこそがイオンが創始したサーキックであり、見る見るうちに勢力を拡大したサーキックによってダエーバイト文明の歴史は滅びの道へと歩んでいく。
具体的にイオンがどの時期に「崇高なるカルキスト」として異常の力を手に入れたのかは判明していないが、
少なくとも紀元前1800年頃にはイオンとサーキックを指す言及がされた文献が見つかっている。
なおダエーバイト文明が最終的に存続していたのは何時頃までなのか?というのもハッキリとしていない。
SCP-140(未完の年代記)は11世紀と主張し、SCP-2131(反物質教皇)は14世紀と主張している。*2
少なくとも最終的に栄華を極めたダエーバイト文明の最後は、モンゴルの一放牧民族と同程度にまで弱体化し、かのチンギス・ハンにトドメを刺されたらしい。
なおダエーバイト文明は中国とも対立していたが、中国の夏王朝はメカニト文明の王朝だったらしく、故にメカニトもかなり早期に生まれていたようである。

反逆者から侵略者へ 不死の軍勢の侵攻

そうやってダエーバイトを滅ぼしたイオンであったが、このときに援助者が4人いた。
これらは後にクラヴィガルと呼ばれるサーキックの聖人になっている。
紀元前1600年から1200年に至るまでの期間、サーキックは黄金期を迎えたが、生きている有機物質でできていた文明だったために考古学上の痕跡を残さなかったという。
…たぶんかなりグロい建物が沢山立っていたのだろう。現在のサーキック絡みの町でも一般家屋の表面に有機的な肉が覆われていたり生きた寺院なんかも多数みられる。
これがアディウム帝国であり、その首都はアディトゥムと言った。イオンの二つ名の『アディトゥムの魔術師王』というのもここから。
勢力が頂点と化したアディウム帝国はダエーバイト亡き後もその侵攻は止まらず、周辺の他の文明にまで手を伸ばし始める。

悪の帝国に反乱するレジスタンスは最早、新たなる侵略者と化して全世界を制圧せんとする異形の軍勢へと変わっていた。

紀元前1200年頃にいたり数多くの古代文明はサーキックのそのおぞましい力に畏怖して反サーキック色を強めていき、メカニトもこの頃からサーキックと敵対しはじめる。
この頃から、周辺諸国を従えたアディウム帝国と、その傘下に降った国々は、カルマクタマ帝国(〝不死〟を意味する)を名乗り始めた。
メカニトと各文明は一致団結し大連合を結成してカルマクタマ帝国に立ち向かったが、それでも尚カルマクタマ帝国の力は凄まじく強大で、
この戦争による死者数はなんと2000万から3000万にも上ると推測されている。しかもここで厄介なのが、サーキックの能力では死体すらも自らの兵士として取り込める為、
戦えば戦うほど、犠牲が出れば出るほどカルマクタマ帝国の兵力が拡大しより膨大な数の軍勢が雪崩れ込んでくるという悪循環となっていた。
同盟の文明たちがどんどん疲弊していく中、遂にメカニト達が最終兵器として作り上げた、
火炎放射と現実改変兵器を搭載した巨大ロボット軍団に乗って敵の本拠地に特攻を仕掛けた(SCP-2406「巨像」

激闘の果てにカルマクタマもとい、アディウム帝国は表向きには滅びた(SCP-2095「ギャロス包囲戦」)
この戦争のときにイオンは壊れたる神/MEKHANEに敗北し別の次元へと撤退したと思われる(これがサーキックの今の理想郷)、
しかしアディウムと戦った各文明も壊滅的な被害を受けており、その多くが滅亡した(ちなみに現実の史実でもこの頃は「前1200年のカタストロフ」と言われる多数の文明が滅亡した時期であり、その原因は今持って謎である。実は各種文明滅亡はサーキックとの戦いのためだった、と言うかたちで上手く史実とあわせている)

ここからAC1300年代まではサーキックもメカニトも信頼できる歴史書がない。
大きな動きが無かったと見るべきか、アノマリー大戦争だったせいで秘匿されたのかは定かではない。
が、1560年頃にある貴族に入り込んだサーカイトによって、血統を重んじる形でネオ・サーキックが台頭しはじめる。

そして決戦へ すべての生命の未来の為に

そして時は流れ現代。
サーカイトたちはいよいよもってイオンのためにXデーに備えており、それに呼応して
壊れた神の教会の三分派は結束を強めた。それまでマクスウェリズム教会はサーキックはおとぎ話と考えていたようだが、
壊れたる協会および歯車仕掛正教に味方し、「WAN*3」の復活に動きはじめる。
それに対して、財団・世界オカルト連合・そしてアブラハムの宗教を信奉する境界線イニシアチブ*4もまた世界の存続という共通の目的の為壊れた神の教会と共闘することに決まった(SCP-2217「鎚と鑕」*5

財団とGOCは異形の神々と信奉者にどう対抗するのだろうか? そして、世界の命運は果たして…?

余談

イオンはサーキックの主神であるヤルダバオートを手懐け/あるいは食ったと(教義や聖典などの抽象表現等では)され、イオンの魔術の源であると主張される。
一方メカニトの神である『壊れたる神/MEKHANE』は彼らの主張ではヤハウェ/エホバであるため*6
この辺で食い違っている箇所がある(ヤルダバオートとヤハウェは同じ神様を別の視点でみたものであるため)。
ヤルダバオート/ヤハウェ/壊れたる神に関する歴史はこれまたいくつか関連があり、
SCP-2932路線(SCP-1000と関与する)とSCP-1348/SCP-1427(ディセンサス)路線がある。
我らがカインお兄ちゃんはどっちにも関係してくるらしい。つまりKeter界のアイドル・アベルも?
(ちなみにカインとアベルが関係するのはサーキックがグノーシス主義を元ネタにするからっていう理由もある)
実際蛇の手が有する文書では、カインがMEKHANEの息子であると歯車仕掛正教ではみなされていると主張する。


サーキックの階級

オジルモーク

サーキック最高階級。イオン一人のための階級である。ここに至るのがネオ・サーカイトの最終目的。Grand Karcist(崇高なるカルキスト)


クラヴィガル

サーキック・カルトにおける聖人。現在4人確認されている。イオンの最も傍で彼を援助した側近クラス、High Karcist(上位カルキスト)
イオンを神格視するネオ・サーキックからはそれに合わせて「天使」とも称される。
ネオ・サーキックは血統を重視するため自身の祖先をしばしばクラヴィガルであると主張する事も多い(真偽は不明)。





カルキスト

クラヴィガルの下の指導者層。オジルモークやクラヴィガルの行方が知れない為、現在のサーキックの実質的なトップと言える。
サーキックに関わる記事に多数のカルキストが登場するため、サーキック=カルキストという認識が広まっている。
また「カルキスト」とは本来「司祭」、「司教」の意味合いなのだが、財団研究者の見解ではむしろ「操るもの」として考えられている。

ヴォルタール

カルキストの助手的立ち位置。なおプロト・サーキックではなぜか女性ばかりがヴォルタールになる。

ゼンド

一般的信者。肉体の変質などの基本的なサーキック能力が使えるようになるのはこの辺りから。

オリン

親類縁者にサーキックがいない新規の信者。秘密主義かつ血統主義的なサーキックコミュニティにおいて、オリンは少ないと言える。

古き神

ヤルダバオート(デミウルゴス/女媧)

サーキックの神話における主神的存在。
Važjuma(古き神)、神を喰らうもの、"貪るもの"、"彼の波打つ広漠"、"大いなる選別者"、“混沌の子宮”等、数々の異名を持つ。
サーキットにおいては『獅子の頭を持つ蛆』の姿で表現され、夏王朝では中国神話の創世神である「母なる龍」たる『女媧』と同一視された。
貪るものは実際にアレと関連しているのかたまたま同じ呼び名なのかは不明だが、古い文献では緋色の王とも同一視している記述も多い。
この宇宙の根本的な力とされ、崇敬をもって信者たちからは扱われているものの、直接の崇拝対象とはあまり見られていない。
理由は上述の様にイオンがこの神を喰らった、または服従させたと言い伝えられているため、どちらかというとイオンに従属する存在かイオンの魔術のエネルギー源として見られている感じが強い。
そのためサーキックの間ではイオンほど重要視されておらず言及する文献もそれほど多くはないのだが、
敵対するメカニトやその他文明からはこの神こそが全ての元凶にしてこの世界最大最悪の厄災と考える者も多い。

遥か古の時代、無数の世界、時空の果てにある『虚無』とも言える未知の次元にて存在する盲目的かつ本能のみで蠢く古き神であり、
多くの星々や神々を生み出す創造神にして、同時にその生み出したものを自ら貪り喰らい尽くす破壊神でもあるという。
そしてヤルダバオートはあるとき一つの世界を、そして我々人類を生み出した。喰らうために。
しかし、ただ本能のままに生きるだけだった人類に、ある時知恵を与え、機械を扱える英知を授けた存在がいた。
それはヤルダバオートと同じく超次元に存在した一柱の別の神。すなわち、メカニトの主神、『MEKHANE』であった。
自分の餌に余計なちょっかいを出されたヤルダバオートは怒り狂い、二柱の神は激しく戦った。人類の支配権を賭けた凄まじい死闘の末、
とうとうMEKHANEはヤルダバオートによって“壊されてしまう。”
しかし、『壊れたる神』はそのバラバラになった自らのパーツをもってヤルダバオートを封印する『檻』を形成し、そこに閉じ込めることに成功した。

ヤルダバオートは檻を抜け出すために激しく抵抗し暴れ回った。この際の凄まじいエネルギーによる次元への歪みが数々の平行世界に伝わり、
その影響で世界に異常存在…SCPオブジェクトが誕生する原因となったのだとする説もある。

アルコーン(渾沌/窮奇/檮杌/饕餮/龔工/祝融)

知性なく盲目的に蠢くヤルダバオートに付き従い、時に補助し、時にその意思を代行する眷属と思われる6柱の神格。
サーカイトからは“ヴァルター”“この世界の根源的混沌の貌無き顕現”“無貌の神”“恐ろしく強欲な天使”とも呼ばれる。
夏王朝においては女媧に従う6体の怪物として「四凶」を初めとした中国神話の悪神や邪龍の名が当てられている。
イオンが超常の力を得るに至ったのはこのアルコーン達と精神世界で接触し、6度にわたる試練を受けた先に全てを耐え抜いたことでその加護を受け、
アルコーンの力と同化することで『崇高なるカルキスト』として覚醒したとされる。

記述される度に恐らく別個体が出るため姿の描写は常に変わっており、イオンが試練に臨む際に出会ったときは血と不浄の山に立つ黒衣に身を包んだ男、
財団の博士がサーキシズムの研究の為に意図的に儀式で接触を図った際には金色の目を持つ恐ろしいほどの美しさと悍ましさを醸し出す女、
とある異空間の街で出現した際にはハイヒールの様な足をした貌の無い異形の怪人など様々な形で現れるものの、
上述の“貌の無い混沌の顕現”と称されるように人間の精神ではその真の姿を捕えることは出来ないとされている。

盲目白痴のヤルダバオートと異なり、彼らには明確な高い知性と、
明確な人類への見下しと加虐心、そして膨大な悪意に満ち満ちていることが推測されている。

ヤルダバオートもアルコーン達もその実体は次元の果てにある『虚無』から生れ出で、
意識もまた『虚無』と繋がっている為に常に飢えており、より満ちて完全であろうとする為に周囲のあらゆるものを貪り尽くそうとする。
総評するとこの神々たちは、無数に広がる平行世界、多元世界においての“巨大な癌”とすら称される存在として語られている。

メタ的なサーキック解説

ヤルダバオートらへんで気づいたと思うが、サーキックはグノーシス主義を下地にしたものであり、
ヤルダバオートがデミウルゴスとして「やっちまった」世界をイオンが「直す」というのもそういう部分が強い。
また、メカニトの肉体への嫌悪とサーキットの機械への嫌悪は、どちらもまたグノーシス主義特有の物質世界への嫌悪につながる。
MEKHANEが人類に知恵を与える役割にあるのも、グノーシス主義においての救世主の立場であるサタン/ルシファー(知恵の実の蛇)が元と思われる。
同時にメカニトがアブラハムの宗教とのリンクを強めたのはサーキックとの対比だろう。

また、ヤルダバオートの盲目白痴の創造神という性質やMEKHANEの封印も、クトゥルフ神話アザトースと旧神の関係を思わせる。
アルコーンに至ってはその立ち位置も役割も二つ名も完全にモチーフは例の黒い人である。

サーキックは近年発展したGoIだが、背後にはにくにくしいものや吊られた王の悲劇といった初期のオブジェクトの背後設定などから生まれた。



サーキックに関係するオブジェクト


SCP-610 - The Flesh that Hates (にくにくしいもの)

サーキック・カルトの世界観に取り込まれたものの、それ自体はサーキックと直接関係するか不明なもの。

ロシアのバイカル湖付近で猛威を振るった感染病で、初期は皮膚病のような症状を呈するが、
数時間で動かなくなり、そして直後に猛烈に動く。体が肉腫に覆われたグロモンスターになり、
「肉々しく」「憎々しい」見た目になってしまう。

起源は不明であり、サーキックと直接関係するという説以外にも、
ヤルダバオート由来説、ギャロス包囲戦由来説などがある。でも結局それ最後はサーキックですよね?

当初はサーキックと無縁だった三桁代オブジェクトだけあり、報告書の体裁が2009年と初期の頃の風味を残している。
(2009年といえば、あの止まっとれないトマトの頃だといえばわかるだろうか)
純然たるゾンビウイルスだったのがサーキック世界に放り込まれたために賛否両論を巻き起こしたわけである。
ただし本家記事そのものがサーキック前提に改稿、ということではないため、
今でもサーキックを前提にせずに読むことは可能。

SCP-2075 - The Way of All Flesh (肉体を統べる策)

「我が欠片の総和を君は計算違いしていたな」
「答えてくれ、蛸の足を檻に入れたとして、その蛸は本当に囚われているのか?」

呼気を吸い込ませることで自身の端末を作成するという人形実体。
自身をカルキスト・ヴァリスと主張するが、この時点ではまだ財団はサーキックの存在を把握していなかった頃だった為
インタビューによる証言も半ばカルト信者の妄言程度としか認識していなかったと思われる。

どうやらウイルスを媒介にして端末を生み出す、『実体を持たない生命体』らしい。

SCP-2095 - The Siege of Gyaros (ギャロス包囲戦)

「一人たりともこの島を生かして逃さぬ事を誓います。彼らの名は消されねばなりません」

エーゲ海のギャロス島に存在する寺院。有機的な素材でできた生きる建造物であり、
報告書を読む限り要するにアディウム帝国の要塞であったらしい。
おそらくは紀元前1200年頃のサーキックと各文明との戦争の過程で、Mekaneの軍勢により陥落した。

SCP-2191 - "Dracula Factory" (“ドラキュラ工場”)

「母様と土地は今や一つさ。彼女の土の子宮は膨れ、いずれ弾けるだろう」
「あんたの周りは神々の火に囲まれているんだよ」

ルーマニアの寺院。吸血鬼的な人形実体が多数生息する上、
どうやら地下には更にやばい実体がいるようで、SCPコミュニティの間では
地下の実体はクラヴィガル・ロヴァタールではないかと推測されている。

なお地元住民が生贄を捧げ、「うまくやってきた」ため通報がなされず、
財団がこのオブジェクトを把握するまでに相当な時間がかかっている。

SCP-2309 - Iron Wall of Dhul-Qarnayn (ズルカルナインの鉄壁)

「彼の者ら我らの地におほかるなる災ひ与へき」

ジョージアの山中に存在する鉄の壁。
見えない何かによって絶えず爪痕のような傷をつけられ削られているが、毎日自動的に修復される。
ズルカルナインとはコーランに登場する英雄の名前で、多くの場合アレクサンドロス大王のことと解釈されるのだが、
このSCPは古代ペルシアの王であるキュロスII世と解釈しているらしい。
かつて2人のカルキストの軍勢によりペルシアが侵略された際、キュロスの軍はカルキストを退け、
Mekane信者の力を借りて異次元にカルキストの軍勢を封じた。
それがこの壁であり、サーキックの軍勢は未だに壁を破ろうと削り続けているのだ。

SCP-2406 - The Colossus (巨像)

「私たちは、彼の者の荒涼たる領地に踏み込みます」
「そして左手には、答えがあります」

「起きてしまった事を取り返すことはできません。 しかし、肉の夜明けを遅らせることはできるのです」

カザフスタンにある対サーキシズム用汎用人型決戦兵器
各種のオーバーテクノロジーで制作されており、おそらくはサーキシズムとの戦いで損傷している。
これも年代測定及び他のオブジェクトからのクロスリンクより、紀元前1200年の戦争の際に用いられたと考えられる。

SCP-2408 - Orok's Fall(オロクの没地)

お前は内部で何に遭遇した?気付いたことを全て教えてくれ。
「古い寺院。野蛮人。黒い石。血。肉。詠唱。ドラミング。」
何をさせられたんだ?
「戦うか死ぬかと。選べなかった。 オロク のためだと。狩りの栄光のためだと。俺は弱かった。取るに足りなかった。価値が無かった。」
どうやって逃げた?
死人の間を。血が格子に流れていた。どこかに流れていた。血と肉と骨が。深かった。全ては黒だった。当然だった。そこまで強くなかった。名誉とともに殺されるべきだったんだ。」

ロシアの裏社会を牛耳るマフィアであり、かつネオ・サーカイトの大勢力の一つである「ハンターの黒きロッジ」(以下ロッジ)と、そのシノギ、そして彼らの本拠地にまつわるオブジェクト。
モスクワの地下に埋まった、ロッジが本拠地とする巨大な祭祀場の遺跡と、さらにその地下にある植物状態の巨大な人型実体の存在が語られる。

ロッジは一応プロト・サーカイトの流れを継ぐ由緒ある組織であるらしいが、問題は首領である“野獣”のオタリが伝統への敬意をかけらも持ち合わせていないところ。
上記の人型実体を利用して薬物を作って売りさばいていたこともそうだが、何よりの問題は本拠地が財団とGOCの混成部隊の襲撃を受けて逃走時に、組織の中でも伝統と権威を担う長老たちを殺したあげく、薬物製造を続ける為に製造に必要な上記の実体の臓器をえぐり出して持ち去ったのだ。
ネオの本性が垣間見える一件である。

余談だがオロクの没地とは祭祀場を示す名であり、人型実体とはクラヴィガル・オロクのこと。
見た目としては単眼で角の生えた体長300mの巨大なゴリラといったところらしい。

SCP-2480 - An Unfinished Ritual (未完の儀式)

「豚というのは、君も知っての通り、賢い動物だ」
「知的で高貴だ」

「だが、それでも豚肉は美味かろう? 」

マサチューセッツ州のとある森で起きている異常現象。
なにかしらの「人間が直接知覚できない」次元異常とかいうものらしい。

サーキック的にはこの儀式は失敗したものであり、なぜ失敗したのかというと
世界オカルト連合が崇高なるカルキスト・イオンを殺害するために暗殺を試み、
その過程で儀式を止めた、というものらしい。

が、当然下手に儀式なんぞ止めたら面倒くさいことになる。
なんとこのマサチューセッツ州の異常現象が起きている地域に隣接していた財団サイトの管理官が
財団に反旗を翻し、敬虔なサーキックの信奉者になってしまったのである。
事態を重く見た財団は、調査からわかったGOCがサーキックを追いかけているという物的証拠を元に、GOCに協力を要請。
…というか、当初はぶっちゃけ「お前らのせいでこっちに面倒事起きてんだけど」的な非難だったらしい。
なんだかんだで和解した財団とGOCは共同で「プロジェクト・シトラ=アキュラ」を制定。
ここでGOCからサーキック・カルトについての情報を入手した。
つまり上の情報はほぼ全てSCP-2480の案件以降に手に入れた情報である。
時系列で見てもここから財団も本格的にサーキックの存在を把握していった。

SCP-2481 - Kill the Suns (大羿射日)

「かつて父たる蛇は我らに、文字と機械を作る方法を教えた」
「禹王は"神は龍の食物に過ぎず、人は龍の末裔なり。しからば我らにとり神は恐るるに足らず"と答えた」

ぶっちゃけサーキシズムを越えたさらに大きな存在を明らかにしてるとんでもないオブジェクト

中国で殷王朝の遺跡発掘中に、遺跡のさらに地下から発見された球場の空間だが、
そこには古代の電子機器と思わしき-1、破壊された現実改変兵器である-2、
そして大怪我をした上に-2の下敷きになっている、ヘビと人間の間の子のようなヒューマノイドである-3が保存されていた。
SCP-2481-3が語ったことをまとめると、なんと中国の創世神話に登場する伏義がMekhaneであり、女媧がヤルダバオート、
そして最初の王朝である夏王朝がまるごとMekhaneから高度な技術を授けられた超古代文明だったという、やりたい放題壮大なオブジェクトである。

夏王朝が後の殷王朝である商と争った際、現実改変兵器を多数使用した結果暴走して夏王朝まるごとが現実から消えた。
SCP-2481は発動前に反撃で破壊された現実改変兵器から漏れ出した力により偶然保全された空間である。
直接サーキシズムや壊れた神の教会との関係はないようだが、ヤルダバオートとMekhaneがこれら以前人類に干渉していたことを示す。

SCP-2478 - Ordinary Japanese People (一般的日本人)

「浄土が降りてくるまで、俺たちは今世での苦業に耐えねばならない」
「きっと彼のお方は我らの地に現れた弥勒様なのだ」

7対の手足、7つの内蔵セット、7つの生殖器を持つ…らしいのだが、
我々日本人からはそうは見えず、「巨人症なだけの普通の日本人」にしか見えない実体。
穢多村の住民が日本人として受け入れられたいと願っていた所、
その村を訪れた外国人宣教師が組み替えてくださったというもの。
……この外国人宣教師とやらが、崇高なるカルキスト・イオンその人を連想せざるを得ないのが大問題なのだが。

ただ、穢多村の住民にとってサーキック・カルトという宗教は理解できず、
したがって崇高なるカルキスト・イオンを弥勒様(マイトレーヤ)として理解、
日本流に非常にアレンジされた儀式…もとい祭りを行っているようだ。

SCP-2688 - Enammu (エナンム)

「私は病んでいる。いや、彼女は病んでいる。そう、我々は全て病んでいる」
「彼女の行いは邪悪だ。我らの精神は虚ろとなりそれを感じることができる」

クウェートのブビヤン島にある村。中央部にはジッグラトがある。
報告書と関連文書を総合して考えると、どうもこのジッグラトは元来アッカドおよびシュメール文明により、
ナンム神を信仰するために建造されたもので、紀元前1200年の戦争により放棄されたらしい。
紀元前300年にトゥルヴァというカルキストに命令され旅に出たサーキシズム信者に再居住され、現在の村人はその子孫である。
住民たちはジッグラトから漏れ出す何らかの力により自らの体に奇形が生じたのをサーキシズム的な恩恵と考え、居住することにしたらしい。
地下には巨大な地下湖があり、シュメール神話の英雄であるジーウースードラを自称するヒューマノイドが触手に囚われている。
彼の台詞や関連文書の記述を総合すると、ナンム神の力が汚染されて瘴気となっており、
それが解放される危険があり、その背後にはカルキスト・トゥルヴァの暗躍があるらしい。


SCP-3989 - The Bone Orchard(骨樹園)

「生贄、裏切り。誰がこの供物を持ってきた?」
「人の世は無知と脆さの中を歩く。過去に囚われた心は現在の迷宮を歩めぬ」

シリアのオリーブ園の中に存在する次元ポータルと、その向こうに広がる遺跡。財団は周囲に壁と駐在サイトを建てて収容している。
骨化し、枝と葉はヒト組織で構成された木々が立ち並んでいる。その実はSK-BIO生物を生み出す。さらに警備のためにSK-BIO生物たちがうろついている。
この入口に当たる領域がどんどん拡大しており、加えて周辺区域には暴露初期には内部の異常性への認識を失わせ、暴露が進行すると逆に異常性を認識するどころか好奇心を増大させ、
平たく言うと信者化させる認識災害ベクターが仕込まれているという問題児。
さらに、内部に存在する実体群のうちいくつかはSCP-610の活動区域に同様のものが存在しており、以前に収容違反していた可能性がある。

2014年に行われた4度の探索で、探査主任のファリク・ギャザリー博士と部下の一部はこの認識災害に見事に引っかかっており、
影響をいまだ受けていない探索メンバーを殺害し、最終的には仲間に加わるか協力するつもりで遺跡深部へと向かう。
ログの一部は黒塗りで隠匿されている(反転で読める)が、それによるとこの領域はクラヴィガルの一人たる「暴力と忠誠をつかさどるオロク」の聖域のようなものらしい。
それを示すように、領域の奥に進むとオロクその人のものらしき声が聞こえている。
博士とそのチームは探索中に全員殺害されるが、2日後にサイト内に骨化した木が出現、その実から復活し、“通常勤務に戻された”。

そして2015年6月、マーシャル・グラント博士による抜き打ち査察の際に、サイト全体がすっかり“信者化”した職員に占拠されており、ベクターの影響を逃れた職員も拘束され骨の木の餌にされているという惨状が発見された。
グラント博士のチームによりサイトは制圧され、収容体制は再建されたが、2016年にも再度収容違反を起こしたらしい(詳細は書かれていないが、この際に2014年の探索ログが発見された)。

ちなみにギャザリー博士とチームの合計4人はいつの間にか逃亡したらしく現在は未収容である。


追記、修正は肉の神に祈りを捧げてからお願いします。






















さて、ここまで膨大な量の設定を読み終えて頂いたところで、サーキック・カルトが恐ろしい邪教団であることは理解してもらえた事と思う。

最初に財団世界でサーキック・カルトが関わる記事が投下されて早数年。
その間にも数多くのサーキックの記事が投下されその時代背景、人物設定が事細かに追加され続けていき
現代の邪悪にして悍ましい肉のカルトの世界観が完成されたのだが……

近年になってからこの恐ろしい邪教団の新たな側面と、
サーキックの頂点たる『崇高なるカルキスト・イオン』のもう一つの顔…というより彼の人物像に新しい仮説が目につくようになった。

いわく、



イオンは最初から最後まで純粋に弱者を救済するために立ち上がった善良な聖人で、

サーキックはその目的の為の正義の教団だった。


うん、上の方を読んだ人たちからすれば「何言ってんだコイツ」状態だと思うが、
財団のサーキックへの調査、研究が進んだ結果、より古い時代の文献、新たな聖典が発見され、それを調べてみると
どうにも現在我々が知っているサーキシズムとは明らかに矛盾している記述が多く、ものによっては全く正反対の事まで書かれていた。

財団世界でサーキック・カルトの設定が生まれて早数年。
SCP-2217で記された最終決戦たるXデー(2019年12月31日)もリアルタイムで経過したこともあるので、
少しずつ判明しだした肉のカルトの新たな側面を紹介していく。



※以下、サーキックの設定を生み出したMetaphysician氏の書いたTaleやディスカッションにて書かれたヘッドカノンを含めた形で書くが、
 あくまでも個人によるヘッドカノンでありMetaphysician氏自身も言っているが全てが確定した公式設定ではないことに留意。


原始サーキシズム


そもそも、現在知られているサーキックの教義であるサーキシズム。
疫病と腐敗、強大なるヤルダバオートとアルコーンを崇拝しその力を自らにも体現し世界を己のモノにしようとする現代のこれがサーキックの邪悪性を現しているが、
上記でのプロト・サーキックとネオ・サーキックの違いにもあるようにサーキシズムの認識にも年代によって大きな差異がある。

己の欲望が全てであり他の無辜の命を犠牲とする在り方は近代に入って生まれたネオの認識でのサーキシズムであり、
プロトの方はむしろ自身を犠牲にする自己犠牲でより多くの人間に幸福が訪れるよう祈る穏便な方法での信仰が目立つ。
そもそもプロトの方針ではサーキシズムを閉鎖的なコミュニティで信仰して自分たちだけで完結するようにしている為、
むしろ他の人間が巻き込まれて犠牲になるようなことは少ない。

それでも生贄や贓物の捧げものなど一般的な良識でいえばグロテスクで異端に見える部分もあるが、
ペイガニズムと言った古代からの自然崇拝など、現実の歴史の中で見れば実はそこまで珍しいものではない部分もある。

更に言えば、近年財団が調べて新たに発見されたより古い文献によると、
プロト・サーキックの教義にすら本来の教義と異なる曲解が生じている可能性があるという。

それが、イオンが最初に信者たちに広めた教えであり、プロトよりさらに前の時代、
本来の意味でのサーキシズムを実践していた本当の教義、“原始サーキシズム”である。

現代に残存する原始サーキシズムに近い体制をとっていた一部のプロトの集団を財団が見つけて調査し
現代のサーキシズムと異なる部分を比較してみると…

  • 崇拝対象はあくまでイオンとクラヴィガルの聖人たちで病や血肉は崇拝しない
  • 宗教的儀式に生贄などは使用しない
  • 基本的に慎ましく穏やかに生活を送れるよう努める
  • 身内が亡くなった際は遺族が遺体を食べるが、あくまで亡くなった家族と一つになって生き続ける祈りによるもの
  • 他の無関係な人間を襲って殺しその肉を積極的に喰らおうとはしない
  • 神々の存在は信じているが崇拝対象ではなく基本神に頼るべきではない
  • というより神と契約して人間をやめるようなことをすること自体が禁忌
  • ヤルダバオートとアルコーンは明確に自分たち含めた全人類の敵と断言する

など、既存のサーキックを知っていればおよそ信じられないくらい平和で牧歌的な生活をしており、調査の為にやってきた博士を驚かせていた。

救済者イオン

現在の『崇高なるカルキスト・イオン』のイメージと言えば、
救済の名のもとに全世界を支配せんと蠢く異形の肉塊の軍勢を統べる、いかにも魔王然とした姿が浮かぶが、
より古いイオンについて記した聖典や文献を見てみると、それまでのイオンに抱いていたイメージがかなり変わる。

ウラルトゥの人々は崇高なるカルキストを歓待しようと望んだ。戦争のため、彼は街の、命の、そして人々の運命の主であった。
イオンは宮廷のバルコニーに行き、群衆に視線を投げかけた。
人々が血と臓物にまみれているのを見て、崇高なるカルキストは彼らが何をしたところか聞いた。

「我らはあなたに我らの子らの血を捧げます!あなたの名のもとの偉大なる供物です!あなたのため、我らの救世主 ― 我らの生きる神のため!」
彼らは狂喜して体を揺すり、真紅の手を挙げたので、イオンは彼らの行いの証拠を見つめたのだろう。
「あなたの力と栄光のために!」
彼らは叫んだ。

崇高なるカルキストはよろめき膝をついた。無垢なものの壊れた残骸が地面に撒き散らされ、彼らの母と父が恍惚として立っていた
― 彼らの目は狂信に見開かれていた。オロクがイオンの側に立ち、彼が立ち上がるのを助け、問いかけた。
「このような獣たちが救済に値するのですか?彼らは贖われることすらできるのでしょうか?」

イオンは蛮行の輝きに目をくらまされて狼狽した。
「そうだ。」
彼は頬に涙を流しさえしながら言った。
「彼らは見捨てられしものだ。ダエーワと、その過ちを認めぬ神々のやり方しか知らぬ。我らは彼らをこの暗闇から教え、導き出す。」

オロクは嘆息して頭を垂れた。
「一度弱さを見せれば、彼らは彼らがそうであるところの貪欲な獣のようにあなたを裏切るでしょう。
 夜の間はお隠れになるよう注進いたします ― 群衆はただ予測し難いです。我らに彼らの熱狂を鎮めさせてくださるのが最良です。
 そしてもし彼らがあなたを害そうとすれば、私が彼らを破壊します。」

「彼らは救われることができる。」
彼はもう一度言った。
「そうでなくてはならぬ。」

イオンがあるダエーバイトの都市を陥落させて奴隷たちを開放した際、
都市の住人達は歓喜と共に自分たちを救ってくれたイオンへの感謝として
自分の子供をバラバラに切り刻み血肉と贓物をイオンへの献上品とした。
一つの都市中の人間がそれを行い夥しい量の血肉を撒き散らし、人々は血まみれで狂喜しながらイオンを讃えた。

それまでのイメージのサーキシズムであればそれはある意味いつも通りの光景とも言えたが、
それを目の当たりにしたイオンは……
その場に膝から崩れ落ち、涙を流すほどに深いショックを受けて肉塊となった子供たちを哀れんだ。

イオンは生贄も臓腑の供物も望んでなどいなかった。

同伴していたクラヴィガル・オロクも明らかに住人たちの凶行を嫌悪していた。
しかし、それでもイオンは目の前の血まみれの人々を救うべき存在と断言する。

彼らは何も悪くない。ダエーバイトの中で生きてきたせいで、感謝とは生贄であり、
崇拝とは血肉をもって行うことであるとしか知ることが出来なかった、この人たちこそ犠牲者なのだと。
そしてそんな血塗られた生き方から救い出すことこそが、自分の使命だと信じている……

アディトゥムの魔術師王、崇高なるカルキスト・イオンとは、そういった人物だと古い文献には記されていた。

“欲望は万物の尺度である”という教義も、元々は単純に虐げられてきて己のしたいことも出来ない奴隷たちに、
“平等な自由を謳歌してもらいたい”という想いが時代を得るにつれて変容した言葉なのかもしれない。


邪悪なる神々への反抗


現代と古代でのサーキシズムで特に異なった部分でいえば、ヤルダバオートとアルコーン達古き神と、それに関わるイオンの認識もである。

ネオではイオンはアルコーンの試練を乗り越え、最終的にヤルダバオートすらも取り込み自らの力の一部として服従させたとし、
イオン自身が既に神格存在として昇華したと解釈している。
プロトではイオンはいまだ神格化への修行の最中であり、その神格化がなされた際に神となったイオンが世界を平和な理想郷へと変えてくれると信じられている。

しかし原始サーキシズムでは、そもそもイオンは神々を崇め加護を得ようとしているのではなく、
ヤルダバオート達を明確に人類の真の敵と断言し、これを打倒するために自らが率いる教団を創設したと記されている。

世界を生み出し、そして自らその世界を喰らい尽くす最悪の破壊神たるヤルダバオート。
その封印されしヤルダバオートの眷属にして、人類を哄笑し見下す悪意に満ちた邪神アルコーン。

イオンはこの神々を明確に「悪の神」と断じ、いずれ来るかもしれないヤルダバオートの復活と侵略に対抗するために、
敢えて自らもアルコーンの力を得ることでその力の原理を知り、研究し、
いつの日かヤルダバオートを倒し古き神々の支配から人類を開放することが、イオンの本当の目的だったのだと推測されている。

だからイオンはまずダエーバイト文明に立ち向かいこれを打ち滅ぼした。
何故なら元々ダエーバイトが扱っていた数々の邪悪な魔術、それこそが他ならぬヤルダバオートとアルコーン崇拝によって齎された力だったのだから。
ダエーバイト文明が悪の帝国として君臨していたその本当の理由、それもまた、ダエーワの裏にかの邪神たちの影が蠢いていたからだった。

何故邪教へと変貌したのか


さて、そうなると何故これほどまでに高潔な人物であったイオンが現在の魔王の如き邪教の大神官となり、
配下たる信者たちは打倒すべきダエーバイトと同じ血肉と生贄を捧げ、世界を征服せんと魔手を伸ばす異形の邪教団と成り果ててしまったのか。
原因の一つは上述したように原始サーキシズムからの教義の認識が大きく変容してしまったことが大きい。
紀元前から続いていたサーキックも、長い時代を得るにつれてどうしてもその全貌を完全な形で後世に伝えていくことは出来ず、
それでなくても時代の世相によって宗教の在り方というものは流動的に変わっていくものである。
プロトとネオでのサーキシズムの認識もほとんど正反対と言っていいほど変容してしまい、
しかもネオを構成する人物の大半が犯罪結社などの悪人で占められてしまったせいで現在の悪のカルト教団というイメージが広がってしまった。
加えて古代の戦争の時点で指導者であるイオンとクラヴィガル達が居なくなってしまったせいで改めて正しい教義を教える存在もいない。
もはやかつての弱者を救済する心優しき救済者たちは、大きく逸れてしまった道を正すことも出来ないのである。

と、ここで気になるのは、「そもそも古代のイオンがダエーバイト以外に侵略戦争をしなければよかったのでは」という事。

何故、イオンはダエーバイトを倒した後もその侵略の手を止めなかったのか。
イオンの本来の目的が世界征服ではない事も当時の信者たちやクラヴィガル達もわかっていたはずである。

何故、イオンは変わってしまったのか。

考えられる可能性として一番高いのは………




封印されしヤルダバオートの復活を目論見、人類を見下し、その道具として弄んできた悪意の神…




“アルコーンが、自分の打倒を目指す存在に大人しく力を貸すわけがない。”




確かにイオンは魔術師として財団世界においてもトップクラスの力と才能を持っていた。
Metaphysician氏のヘッドカノンにおいては、アルコーンがイオンに力を与えたのも、それまで自分を崇拝していたダエーバイトの女帝ダエーワを見限り、より素質のあるイオンを選んだ為。
アルコーンは数々の誘惑をイオンのその身の中で囁き、嘯き、誑かそうとした。宇宙の叡智と神秘を、より人を操る術を、より巧みな現実操作の力を。
イオンは自分にとって有益になる部分だけを聞き入れながら、それでいて最後はアルコーンの誘いをキッパリと拒絶していった。
そのイオンをもってしても…その内に秘めたアルコーンの悪意を抑え切れず、徐々に魂と精神を浸食されていったのかもしれない。
彼の最も傍で彼を支え続けていた、クラヴィガル達にも伝播させながら。

つまり、現代のサーキックが邪教団として変容した本当の意味での元凶は―――

救世主が悪へと堕ちるよう導かれた、人類の真なる“ 敵 ”による狡猾な暗躍によるものだったと思われる。

さらに、アルコーン達にはある“計画”があった。

現実のグノーシス主義において、ヤルダバオートが生み出した天使たるアルコーンは基本的に7体存在するという。
しかし、この世界でのアルコーンは上述のように6体…
アルコーン達は自分たちの力を宿す、現時点での最高の逸材であるイオンを使い――――

崇高なるカルキスト・イオンを媒体に、『7番目のアルコーン』を生み出そうとしていた。

アルコーンが7体揃う。これに一体どういう意味があり、それが成された時一体どうなるのかは、何もわかっていない。
しかし、少なくともこの世界にとって“確実に良くない何か”が起こる事は間違いないだろう。

現在、イオンは古代の戦争の末にメカニトとの戦いに敗れアディトゥムごと異空間へと逃走したと語られているが、実際は
「自らがアルコーンに侵食されていることに気付いたイオンが、ギリギリ残った理性で自分ごと異空間に封印し世界を守った」というのが真相らしい。

しかしその後の現代においても、イオンは時折その姿を見せている。だがそれは大半が別のアルコーンがイオンに擬態した存在で、
サーキックをより邪悪に、勢力を拡大させてヤルダバオート再臨に“都合がいい邪教団”となるよう暗躍し誘導していたが為。

我々の現実世界において、リアルタイムでのXデーは既に過ぎ、SCP-2217以降の時代に関わるオブジェクトも増えてきた。
しかし、決戦の末にアディトゥムがどうなったのか、イオンがどうなったのか、明確に判明している記事は現時点ではまだない。

ヤルダバオートの再臨を企む6柱のアルコーン…イオンと同化しその力を与えていたのは、その中の1柱に過ぎない。
SCP‐2217の決戦で、『サーキック・カルト』という一つの要注意団体との戦いはひとまず一区切りを迎えたのかもしれない。
しかし、財団の世界には、



メカニトの文明でありながらMEKHANEだけでなく、ヤルダバオートを『龍』として崇めた古代王朝がある。

絞首の縄で首を吊った王が統べる、狂える神を崇拝する異形の宮殿がそびえる狂気の都がある。

かつてイオンによって滅びた悪の巨大帝国も、過去改変によって自らの滅亡を書き換え続け現代への復活を待ち構えている。

未だ世に出ていない、次なるアルコーンの『駒』が、今もなお闇の中で息を潜めている可能性もある。



財団が、メカニトが、生きとし生けるものが、本当に立ち向かうべき存在との戦いは……

まだ、始まったばかりなのかもしれない――――



原始サーキシズムでの聖人たちの人物像

  • 崇高なるカルキスト・イオン
上述の通り、本来の彼の人柄は虐げられる者たちを決して見捨てない、
弱者に救いの手を差し伸べる善良な聖人で、凄惨な光景に涙するほど繊細な心を持っていた心優しい人物だったと思われる。
最初の人物欄で書かれた邪教の教祖の姿や、悪性の自意識に満ちた人格や邪悪のカリスマとも言える人物像は
恐らくはアルコーンによって精神を浸食された後の姿が後世に伝わったものか、
アルコーン自身が分身を現世に飛ばし干渉する際にイオンの姿に化けて暗躍したことによる部分が大きいとされる。
(少なくともSCP-2480でボドフェル邸で召喚されサイト管理官を誘惑したイオンは、現在では高確率で偽物であると推測されている)

  • クラヴィガル・ナドックス
イオンの側近にしてクラヴィガルのリーダー格とも推測されていたかつての賢者。
原始サーキシズムでは信者たちからはより深い知恵を求める者や、物事の正しい選択を決める際に彼に祈りを捧げるらしい。
古代での戦争の終盤、彼だけがイオンに起きたことを正確に把握していたとされ、イオンが自身をアルコーンごと封じる際には
イオン自らの頼みを受ける形でイオンの動きを封じる術を彼にかけ、世界をアルコーンから守る一端を担ったとされる。

  • クラヴィガル・ロヴァタール
イオンの側近にして妻でもあった彼女も原始サーキシズム信者からはイオンと同じく崇拝対象となっており、
上記での黒魔術要素的な性愛や自己増殖といったようなグロテスクなイメージのものではなく、
もっと一般的な縁結びや子宝、子孫繁栄を司る女神の様に扱われていたらしい。
出産間近の妊婦や、恋人探しをするものが彼女に祈るとされる。
当時の彼女も、組織の側近としての立場だけではなく一人の女性としても甲斐甲斐しくイオンを傍で支えており、
傍目から見ても普通に仲睦まじく互いに信頼しあう夫婦だったと伝えられている。
ちなみに初期のヤンデレに関してはイオンが屋敷に忍び込んで対峙した際、イオンが自身の中に存在するアルコーンを自らを通じて
直接彼女に見せてSAN値直葬一歩手前にするショック療法で自分が今まで崇拝していた存在のおぞましさを理解することで一発改心している。

  • クラヴィガル・オロク
凄惨な光景に狼狽し涙するイオンを支え、その身を護る為に戦い続けた強靭な戦士。
自身も魔術の実験モルモットだった故かダエーバイトの民が行う残虐な崇拝方法には明確に嫌悪感を示していた。
また、イオンに対して「民たちにあまり親身になり過ぎれば裏切りや打算を考える者から危害を加えられるかも」と忠告を言うなど、
ともすれば御人好し過ぎる部分も見えるイオンに一歩引いたところから冷静に進言する一面もあったようだ。
力と守護を求める者、狩りにおける成功と幸運を望む狩人が彼に祈りを捧げている。

  • クラヴィガル・サアルン
呪い・復讐を司る彼女は、基本的に平和主義の原始サーキシズムでは流石に祈る者は少なく当時の彼女の人物像も現状あまり判明していない。
どうしても自分たちを害する存在から身を護る為、一方的な攻撃、理不尽な虐げを身内が受けた際に限り、
彼女への祈りが捧げられ呪術的儀式が行われる。


穏健なサーキック、原始サーキシズムが関わるオブジェクト・Tale


サーキシズムへの人類学的アプローチ

「なぜ奴らと俺達を比べる?すまないがあんたの仲間が以前話しているのを聞いた」
「俺は英語を完全に理解できるんだよな。あんたの組織は俺達と奴らを一纏めにしてる、『サーキック』ってレッテルを貼ってな」
「ナルカは信仰だ。俺の信仰だ。俺が誇りを持つ何かだ」

サーキックの最初の設定を生み出したMetaphysician氏自らが書いたTale。
マシュー・デスマレ博士という財団の人類学部門の博士がサーキシズムへのより深い調査の為に、
近年発見されたプロト・サーキックの集落へ自ら足を赴き住人達への直接インタビューを繰り返していく調査報告書。
この調査によって初めて原始サーキシズムの存在と、イオン達へのそれまで知られていなかった善良な側面を財団が知っていくこととなる。

SCP-2815 - Tree of Life(生命の樹)

「SCP-2815は我々がこれまで出会った中で最初の、そして唯一の善良なサーキックのコミュニティである」
「彼らに敵対的な行動を取れば類を見ない研究材料や、潜在的な戦略物資を失うことになるだろう」

ハンガリーのヴェシュ県に存在する小さなサーキック集落。
ペイガニズムとサーキシズムを混ぜ合わせた独自の教義を信仰しているが、全体的には他者への攻撃性は殆どなく、
住民達も基本的には温厚で気のいい人たちで構成されている。

村には内部にある種の異空間と繋がる大きな樹が存在しており、中には更に数本の木々があり、
樹には種類も様々な多種多様な果物が実り、また樹に空いた空洞には数々の人間の臓器がこれまた果実のように大量に生っている。樹液は血液となっている。
これらの果物は栄養素も通常のものより豊富で、臓器や臓器交換で使用しても副作用も一切なく、血液を輸血しても血液型関係なく全てに問題なく適合した。
この事から医療面、食料提供面でも非常に有用で、村の住民達からも果物や臓器の提供も人助けの為ならと例の迷惑慈善団体にも快く承諾するなど、
財団からも初めて発見された善良なサーキックコミュニティとして認識されている。
臓器は勿論、果物もサーキック技術により人間由来の肉からできているけど

作中ではネオ・サーキック等他のサーキックからは異端扱いされているものの、
原始サーキシズムを考えるとむしろこの集落のほうが本来のサーキシズムに近い信仰なのかもしれない。


SCP-4140 - Sarkic Containment Procedures(サーキック式収容プロトコル)

「私は多くの者のために私自身を犠牲とする」
「もし他の者たちがイクナーンの栄光の光を見られるようにするために
 私が永遠に闇の中で生きなければならないのならば、そうなるべきなのだ」

水没した洞窟の先にある謎の亜空間。洞窟内部の中心部は壁一面が人間由来の肉壁で覆われている。

洞窟内では常に音楽を演奏し続けなくてはならず、演奏が止まった瞬間洞窟内の各所に
上述の亜空間に似た空間以上が次々と出現し、この空間に物体が触れると触れた部分が即座に消滅していく。
これを止めるには、演奏の再開と生きた人間などの生物物質を空間に投入することが必要となる。

この空間の正体、実は古代にダエーバイトの司祭たちが魔術儀式で造りだした、アルコーンへと直接繋がるゲートの様なもの。
放っておけば周囲の物体を次々と消滅させるだけでなく、いずれはアルコーン本体が現世に顕現してしまう可能性がある。
それを食い止めているのが洞窟内部の生きた肉壁で、これが増殖する亜空間に触れることで空間の拡大を最小限に留めてくれていた。

古代、この場所を発見したとあるカルキストの一人がゲートを管理していたダエーバイト達を倒し、生贄にされていた奴隷たちを救った。
しかし、ゲートの正体、そしてそれを食い止める方法を知った彼は、自らを無限増殖する肉壁へと変え、
自分自身の身をもってアルコーンの顕現を防ぐ為の収容プロトコルを確立した。
かつてイオンが教えてくれた、人々が暗闇に怯えることのない未来を迎えられる世界のために…


SCP-1828-JP - 霧の森

「全てが夢のようであったが、私はあれを夢物語だとは考えていない」

フィンランドのパイヤト=ハメ県に存在する森の中に隠れ住む、原始サーキシズムを信仰する穏健派のプロト・サーカイトの集落。

宗教迫害から逃れるために森の守り神的存在の一部を『神食』して森一帯を特殊な霧で包み込み異空間化することで外部と遮断しひっそりと暮らしていた。
財団とはデスマレ博士による穏便な交渉により集落の保護を約束し、調査団が住み込みで滞在して交流しながら調査している。

財団が関連書籍の調査中見つけた伝記に書かれていたのは、
偶然迷い込んだ探検家と、集落の少女との一時の淡く切ない出逢いと別れの日誌。




追記、修正は肉の神への祈りをブン投げてからお願いします。

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最終更新:2024年01月21日 09:05
添付ファイル

*1 壊れた神の教会的には肉体に依存する存在は唾棄すべきもの

*2 もっとも未完の年代記自体による過去改変で何度も書き換わっているっぽいが

*3 壊れたる神/MEKHANEのマクスウェリズム教会における呼称

*4 ユダヤ/キリスト/イスラム各宗教に関係する団体連合であり、サーキックおよびメカニトとは同じ神に関係してしまうため仲が悪い。

*5 が、メカニト曰く、実は「FRESH対MEKHANE」という構図は意図せずして財団とGOCにも共有されてしまったらしい

*6 壊れたる神は「壊れたる協会」による呼称で、MEKHANEは歯車仕掛正教の呼称。壊れた神の教会にはもうひとつ、マクスウェリズム教会があるが、マクスウェリズム教会はWANと呼称する。ただし、マクスウェリズム教会は近年に至るまではサーキックはおとぎ話の存在だと考えていたようだ