SCP-1316

登録日: 2017/05/17 Wed 13:51:28
更新日:2023/06/07 Wed 18:18:34
所要時間:約 7 分で読めます




SCP-1316は、シェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト(SCiP)である。
オブジェクトクラスはEuclidである。


概要

このSCP-1316はなんなのかというと、仔猫。ルーシーという名前の可愛い子猫ちゃんである。
品種については特に明記されておらず、ありふれたイエネコなんだということである。
下半身が消失してたりしないしネガティブで自滅的だったりもしない。
病気を媒介したりもしなければ感染者にしか見えなかったりもしないし実はベンガルトラだったりもしない。
以後、そういうことですよろしくおねがいします。ねこでした
…というか財団猫オブジェクト多いな。鳥の次くらいには多いのでは?

だが、他の猫同様、アノマリーであることは間違いない。
というのも財団にいる間ずっと仔猫の姿で有り続けるのだ。不死身の爬虫類ならぬ不死身の猫。
もっともあのクソトカゲは寿命に限らず死そのものキノコの蟹身詰めと自らの飲酒運転でしか殺せないんだけど。
もともと高齢のおじいさんが1926年に購入したにも関わらず、報告書執筆時点である1948年(だいぶ昔だな)でもなお「生後三ヶ月」だった。
財団は確保したはいいがそれ以外に特性がなかった頃はAnomalousアイテムとしてサイト-112で飼育していた。

だがその後どういうわけか、このルーシーはラジオ放送することがわかり、4225kHzから16048kHzの周波数できっちり五分、
最初はイギリスの民謡"Tam Lin"の三小節、その後女性の声で80を連呼する声が聞こえたのだという。
えいてぃえいてぃえいてぃ…みたいな感じだろうか。ここでEuclid認定。




作戦成功。任務完了。更なる指令か救助求む。




1952年、サイト-112は夜明け前にカオス・インサージェンシーの強襲を受けた。
(原本ではカオスゲリラとなっているが、まあ同じである)


「まったく、参るよこんなめちゃくちゃなサイトの『掃除』とか…おお、ルーシー大丈夫かい? 本来の飼い主は…死んじまってるのか、ったく…」
「アニヲタ隊長、リストにのぼっているブツ、大半が消えちまってますよ…」
「残ってるのは?」
「これとこれと…でも壊れちまってます」
「そうか、ご苦労だった。112の生き延びてるやつから盗まれたと判明してる物はこんだけ…おい、正真正銘消えてんのもあるな」
「カオスの連中、とんでもないことをしてくれましたね」
「じゃあお前ら、『ルーシーを安全な部屋につれていけ』」
「了解。ルーシーおいで」
「にゃー」


F疑い深し。行動制限される。救助求む。


「博士、やはりカオスの連中はこちら側の発信した電波を受信して来ているということです」
「外側に発信する馬鹿はいないだろう。スパイが仕掛けたということだろうな」
「その線でサイト-112を調べております。結果として、そのスパイがわかりました」
「ほう? 誰かね」
「ルーシーです」


命令来ず。通知求む。


「すまないなルーシー、サイトはまだ片付いてなくてな。お引っ越しだ」
「あと向こうのサイトは猫が苦手な人が多いからケージにいれとくね」
「にゃー」


監禁される。任務成功の暁には救助されたし。


「やはりルーシーが犯人か」
「おい、俺達が飼い主になったらなんだかんだで機密漏れるんじゃねえか?」
「とはいえ下手に殺したらそれはそれでめんどくさかったりするかもしれませんよ」
「おそらくルーシーが実際に歩き回って情報を得てるんだろう。だからルーシーのためにサイトを用意しよう」


新たなサイトに移動。任務の状態不明瞭。更なる指令求む。


「高周波帯を遮る壁で覆っとかないと」
「飼育はDにでも任せよう。職員が愛着わくと困る」


WがSCPに指定される。F気付いてる。早く助けて下さい。


「ったく、俺は犬派なんだよ…」
「まあまあ、一ヶ月猫の世話するだけでシャバに出られるんだぜ? 願ったり叶ったりじゃねえか」
「そうだな、そう思えば猫もいいかもしれねえ」
「すぐ手のひら返しやがってwほら、猫助、餌だ」
「…にゃー」


最後の通信が届いたかわからない。たすけて。はやく。



…ということで、可愛い子猫ちゃんのルーシーは実はスパイだった。
ルーシーが歩き回ってその内部情報をラジオ放送で流していた、というわけである。
もっと早く気づいていればサイト-112の惨事に至らなかったとは思うが、
もしかしたら他にもカオスのスパイがいて、職員が可愛がる方向性に仕向けていたのかもしれない。
そもそも最初に登場したおじいさんがカオスの工作員だったのかも?

で、このスパイ猫はしばしばSCPファンコミュニティでは糞猫呼ばわりされたりもする。
…だが待ってほしい。20数年ずっと仔猫でいさせられるという異常性をどうやって得たかは不明だが、
こんなスパイに都合の良い愛らしさと特性を有するあたり、カオスの連中が生み出したものだろう。
(あるいは依頼したものかもしれないがいずれにせよカオスが準備したと見るのが正しいだろう)
で、カオスに忠誠を尽くさせるためにおそらくはかわいがっていたものだろうし、猫も飼い主に尽くしたんだと思われる。
…それが作戦終了後はポイーなのである。スパイってそういうところあるけど。
ぶっちゃけ猫視点で言えば財団は別に忠誠なんてそもそも尽くす気はないわけで、
それを人間の倫理感で咎めることがおかしい。糞猫呼ばわりするほうが間違っているのだ。
というか下手にアノマリーをほっつき歩かせた財団が悪いし…。



たすけこないの?


SCP-1316は後に定期的な放送をやめている。ちょっとかわいそう。


SCP-1316 - Lucy the Kitten(子猫のルーシー)Feline Espionage Device(猫っ被りのスパイ装置)




サイト内を歩き回るSCP

財団には他にもいくつか、財団内を自由に行動することを許されているオブジェクトはいる。

我らがカイン兄貴。あのアベルのお兄ちゃん。
メイン食堂で食事もするが野菜は食べられない(植物性のものを近づけたり触ると腐る)。
オブジェクトながら他のオブジェクトの情報を管理したり財団内で仕事をしていて、
むしろブライトをはじめとした問題児たちよりもよほど財団に尽くしている気もする。

  • SCP-1675 - Goose Terminator (ガチョウ・ターミネーター)
原語は「ガチョウを終了させるやつ(とか『ガチョウを殺すマン』)」みたいな意味だが、
ターミネーターって表記がツボったのかまんまそのままカタカナにされている。
『ガチョウ絶対殺すマン』、もしくは今風に言うなら『ガチョウスレイヤー』。
人間には危害を加えようとはしないが、時々ガチョウに対しての反鳥プロパガンダを仏語で流し、
何故かコクガン属、ハクガン属、マガン属の鳥はどんな手を使ってでも殺そうとする。
ガチョウに何の恨みがあるんだ…。

  • SCP-1048 - Builder Bear (ビルダー・ベア)
かわいいかわいいテディベア。ざいりょうをみつけてともだちをつくるよ。


き み も と も だ ち に し て や ろ う か

  • SCP-131 - The"Eye Pods"("アイポッド")
SCP黎明期に収容された古参オブジェクトの一つ。
体高30cm程度、単眼の謎の生物。
(但しタイヤのような器官を持つため生体機械なのでは?とも言われている)
サイト-19内を気ままに動き回っており、プロトコルとしては「一時間おきに居場所を確認する」、「虐待したら処罰」程度。
実はあのSCP-173を完封できたできる子。



追記・修正・ラジオ放送をお願いします。


CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-1316 - Lucy the Kitten Feline Espionage Device
by Gaffney
http://www.scp-wiki.net/scp-1316
http://ja.scp-wiki.net/scp-1316

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最終更新:2023年06月07日 18:18