エミヤ・オルタ

登録日:2017/05/14 Sun 02:22:50
更新日:2024/03/21 Thu 20:57:35
所要時間:約 19 分で読めます





くだらないしがらみが崩れていく気分だ。いっそ、砂の城のように何もかもなくなればいい



Fate/Grand Order』に登場するサーヴァント

霊長の守護者にしてアーチャーのサーヴァント、英霊エミヤのオルタ化した姿。
ただし、聖杯の力で元の英霊が変質している、またはオルタとして聖杯によって一から作られた存在等とは異なり、
生前から別の道を辿り、結果として反転した英霊エミヤのifとでも言うべき存在。


イラスト:佐々木少年
CV.諏訪部順一


身長:187cm
体重:78kg
出典:Fate/Grand Order
地域:日本
属性:混沌・悪

◆ステータス
筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具
C B D B E

◆クラス別スキル
対魔力:D
魔術に対する抵抗力。一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。
魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

単独行動:A
マスター不在でも行動できる。
ただし宝具の使用などの膨大な魔力を使用する場合はマスターのバックアップが必要。

◆保有スキル
防弾加工:A
最新の英霊による「矢避けの加護」とでも言うべきスキル。
防弾、と銘打ってはいるが、厳密には高速で飛来する投擲物であれば大抵のものは弾き返すことが可能。

投影魔術:C(条件付きでA+)
道具をイメージで数分だけ複製する魔術。
アーチャーが愛用する『干将・莫耶』も投影魔術によって作られたもの。
投影する対象が『剣』カテゴリの時のみ、ランクは飛躍的に跳ね上がる。
この『何度も贋作を用意できる』特性から、エミヤは投影した宝具を破壊、爆発させることで瞬発的な威力向上を行う。

嗤う鉄心:A
反転の際に付与された、精神汚染スキル。
精神汚染と異なり、固定された概念を押しつけられる、一種の洗脳に近い。
与えられた思考は人理守護を優先事項とし、それ以外の全てを見捨てる守護者本来の在り方をよしとするもの。
Aランクの付与がなければ、この男は反転した状態での力を充分に発揮できない。


宝具
『無の剣製(アンリミテッド・ロストワークス)』
ランク:E~A++ 種別:対人宝具 レンジ:30~60 最大補足:?

魔力を回せ。……すぐに終わらせてやる

I am the bone of my sword.──So as I pray,

『Unlimited lost works』


無限の剣製』は剣を鍛える事に特化した魔術師が生涯をかけて辿り着いたひとつの極地である。
この固有結界には彼が見た「剣」の概念を持つ兵器、そのすべてが蓄積されている。
……が、この男の『無限の剣製』は何と相手の体内に生じる。極小の固有結界は、体内で凄まじい威力となって相手を破裂させる。
本編では約500m級の大きさをもつ小惑星ベンヌを一撃で粉砕した

固有結界を展開する魔弾を撃ち出し、それによって相手の体内で固有結界を暴走させる。
この性質は起源弾に近いものと言える。まあ実際の原理は根本的に別物なのだが。

炸裂の瞬間に生じる固有結界の心象風景は衛宮士郎とも英霊エミヤとも異なり、黒い荒野と血のように赤く染まった空、そしてひしめく巨大な歯車の動きを鎖が縛っている、というものになっている。

ちなみに宝具カードの限の字には削り取ったような傷が刻まれている。


◆失墜した執行者


社会が生み出した無銘でなく、自ら名を捨て失墜した無心の執行者。
最早生前の記憶は損なわれ、過去も喪っている。
理想もなく、思想もなく、ただ効率の良さのみを重視し、守護者として容赦のない殺戮を行う。
そんな自分を「中身が腐っている」と称し、生きる屍となった己を嗤う男。


無論、一人の人間の人生がこうまで変貌するには理由がある。
剣の如き強靭な男の魂を失墜させたのは、聖母の如き慈愛を持つ一人の女だったと言われている。

ある国で興った新興宗教。それは営利目的も政治的な思想もない、ごく普通のものだったという。
「誰からも相手にされない除け者」「最先端の智慧を持つゆえに世間から疎まれた者」、
偶然にも世界を変えるだけの才人が集まっただけであり、彼らは決して悪ではなかった。

その教団を創立した、彼らが崇める教主の女を除いては。

世界でただ一人、彼だけがその女の末路に気が付いた。
あの女を変生させてはならない。あの魔性を羽化させてはならない。

男に自分の信念を曲げてでも必ず殺さねばならぬと決意させるほどに、その女は常軌を逸していた。

しかしその女に魅了されていた信者たちはそれを防ごうとし、結果として、男はすべての信者を虐殺した。
そして女を追い詰めたが、その女は自らビルから身を投げて自殺した。
男は女に悪逆の報いを受けさせることも出来ず、残ったのは無辜の民を殺したという罪の意識だけだった。

そして男は、彼らの命に殉じるように魔道に落ちた。


その魂の失墜は霊基にも及んでいるのか、再臨を繰り返すほどに、絆を深めるほどに、彼の中身は腐り落ちて無くなっていく。
英霊エミヤの十八番であった料理は味覚が死んでいるため出来ず日記に書き留めて置かなければ1日分の記憶すら思い返すことも出来ない程に重篤な記憶障害を患っているが、「大の男が日記など」とそれを口にすることはない。
霊基再臨をする毎に、肉体には金色の亀裂が刻まれていき、最終的には「俺を語る中身は全てなくなった」と語る。
そう口にする彼の心象風景の空には光が差し込んでいる。
絆を深めていくと理想も思想も溶けていくが、「正義の味方」という言葉にだけは「いいじゃないか、正義の味方。───なんでか、妙に泣きたくなる」と語っている。
どんな姿になろうとも、その在り方だけは胸に残るということだろうか。

スキルに投影魔術を持つ為、その気になれば多彩な武器を使えると思われるが、
基本的には干将・莫耶を改造した二丁拳銃しか使わない。
本人曰く、「魔力を通しやすく、破壊力があればそれでいい。作り手の心意気などクソ食らえ」との事。
しかし結局使うのが干将・莫耶なあたり、好みは変わらないという事か。

ちなみに英霊エミヤの事は「腐っていない自分」と呼び、疎ましく感じると共に
「向こうからすればオレは殺したいほどおぞましい代物だろう」と語っている。
しかしそんなエミヤは二丁拳銃に興味津々なのだった!

またエクストラアタックの際には干将・莫耶を繋げて薙刀形態に変化させて敵を切り裂く。また、漫画版『FGOturas realta』では黒化エミヤ繋がりからか、シャドウアーチャーがこの武器を使用する描写がある。
ストーリー中で投影した宝具は他に『熾天覆う七つの円環』があり、ジャンヌ・オルタの攻撃を防いでみせた。

聖杯にかける願いは不明。聖杯について聞くと急に笑い出すため、そもそも願いがあるのかも分からない。


実装された当初は反転どころか人種レベルでの変貌っぷりがネタにされており、
真名が明かされる前は黒人然とした容姿から「ボブ」という仮称で呼ばれ、真名が明らかになってからは「ボブミヤ」と呼ばれた。
ちなみにこれ、中の人も使っていたりする。
その後公式から「デトロイトのエミヤ」、略して「デミヤ」という呼び方が使われた事で、現在はそう呼ばれる事が多い。

明かされた過去が余りにもネタにならないレベルで悲惨だった事、同じ名を持つ暗殺者を思わせる徹底した仕事人ぶり、
オルタ化しても変わらない在り方などからダークヒーロー的な人気を集めることになった。

なお、プリヤで既に同じエミヤが黒化した姿(厳密には本人が黒化した存在ではないが)が登場している為、実装前はこちらが実装されるという予想も少なからず存在していた。結果的には黒化ランサーと同じように『該当英霊の黒化版ではあるが別存在』が実装されたわけだが。
そちらのデザインはエミヤの要素を残しつつも、アヴェンジャーに似たデザインとなっている。
しかし、あちらが冬木のエミヤの要素が強いのに対し、エミヤ・オルタはEXTRAシリーズのアーチャーを思わせる設定が多い。

ちなみに、彼も衛宮士郎から派生したエミヤという英霊ではあるものの、エミヤシリーズお馴染みの処刑用BGM『エミヤ』が実装されてないのが特徴。
彼が無銘の執行者だからなのだろうか。
まあ、父親のIFの姿にも専用エミヤが実装されていないので突っ込んだら負けなんだけど。


◆ゲームユニットの性能

レアリティ☆4/SRのアーチャー。
亜種特異点I「新宿」クリア後にストーリー召喚に追加される、いわゆるスト限サーヴァントのうちの一騎。
普通のガチャからは出てこないため、入手難易度は高い部類に入る。

カード構成はQ2A2B1型。
スキルは全てオーソドックスな自己強化だが、3つ中2つに回数制限がついているのが特徴。
  • 防弾加工:回数型のDEF強化・ダメージカット(3回・5T、ダメカはターン無制限)
  • 投影魔術:QAB全種のカード性能強化(1T)
  • 嗤う鉄心:回数型のATK強化(3回・5T)
ターン制限のみのスキルと比べ、運と使い方次第ですぐ使い切ってしまうこともあるので安定感にはやや欠ける。
その代わり効果が同種のスキルの中でもトップクラスに高く、特に「防弾加工」発動中は異次元の硬さを誇る。
「防弾加工」と「嗤う鉄心」が5T継続・最短CT5、且つダメージカット効果は永続のため、チャージターンを短縮出来れば重ね掛けも狙える。

宝具「無の剣製」は防御無視のArts単体攻撃。追加効果として確率で相手のチャージを減らす。
当初は基礎火力が後一歩足らずな上に確率チャージ減も不安定だったが、強化クエストを経て威力・チャージ減確率がアップし、強力なメインウェポンとなった。

エミヤ・オルタ最大の特徴はアーチャークラス屈指の高耐久力
星5にも匹敵する高HPと第1スキル「防弾加工」が合わさってとにかくしぶとく、火力面に特化する傾向の多いアーチャーでは希少なタイプ。
代償として攻撃力は星4アーチャー内では下から数えた方が早い程低いが、第2・第3スキルで強力な火力バフを付与出来るため、瞬間火力は高い。
「防弾加工」で地道に相手の攻撃を耐え、スターやNPが溜まったタイミングで「嗤う鉄心」「投影魔術」を使用し一気に大火力を叩き込むのが基本スタイル。
カード構成がArts寄りで耐久パ―ティに組み込みやすいのもあり、更に耐久面を補強出来る味方と組ませれば正に不沈艦と化す。

弱点は良くも悪くもスキルへの依存性が高い事。
スキルレベルが自身の強さに直結しているのだが、レベル上げに収集困難な素材を大量に要求してくるため、育成の敷居が非常に高い。
また耐久力の高さがほぼ「防弾加工」頼りのため、すぐに3回のストックを使い切らせてしまう全体通常攻撃持ちや防御力無視宝具が苦手。
他にもスキル構成のシンプルさに反して意外と考える事が多く、フルスペックを引き出すにはマスターの根性と腕前が試される。

ちなみに本家エミヤは全体宝具からの強烈なクリティカルを武器とした爆発力型なのに対し、こちらはゆっくりだが着実に相手を削る仕事人タイプ。
あちらの様な派手さは無いが、育て切ればいぶし銀の活躍を以て応えてくれるだろう。
カード構成的に相性も悪くないため、両方持っていれば組ませてみるのも悪くない。

◆シナリオでの活躍


  • 亜種特異点「悪性隔絶魔境新宿」。
初登場。新宿のアーチャーによって召喚され、黒化してなお新宿のアーチャーに反抗しようとしたセイバーとランサーをその場で殺害。新宿のアーチャーの側に付いた。
無銘の英霊である自分の霊基が影響を受けないか確信を持てなかったため、「幻霊」の移植は受けていない。
新宿のアーチャーによれば、「数式は複雑だが解だけは単純な分与しやすい」との事。

しかし実際は魔神柱を倒すために行動しており、新宿のアーチャーの傍らで魔神柱が正体を表すのを待っていた。
亜種特異点である新宿は既に世界から切り離されている為、どれだけくたばったところで支障はないと、平然とサーヴァント達を始末していた。
正体を現したバアルを始末した後、結実した完全犯罪計画によって出現した小惑星ベンヌの破壊に協力する。
もっとも、仕事は果たしたからいつ死んでも構わない、という捨て鉢な考えによるものであったが。
そして新宿のアーチャーの敗北によって魔弾の特性を失ったベンヌを宝具によって粉砕し、その破片も約束された勝利の剣によって消滅した。

最後まで諦める事のなかった主人公に対しては「死ぬには惜しい」と語っており、召喚された時に敵ではなかったら一度くらいは助力すると言い残し、新宿から去っていった。


  • イベント「深層電脳楽土SE.RA.PH」
黒幕の妨害で主人公から引き放されたエミヤの代わりとしてBBがカルデアから呼び寄せた。
ちなみに口では否定しつつもエミヤに会えると聞いて楽しみにしていたメルトリリスからは「アナタどこの誰よ!チェンジよ、チェンジ!」と言われた。
まあここまで外見が違えばそりゃあね…
あと「デトロイトのエミヤ」はこのイベントでタマモキャットが命名したもの。本人はそう呼ばれる度にキレそうになっている。

効率を重視する故、危険を冒して敵を助けようとする姿勢には呆れており、苦言を呈している。
しかし本人もタマモキャットのKPを撃ち抜き、黒幕の影響下から解放する、と言う真似もする。
「たまたま似た症状を知っていたから撃った。失敗して死んでも別に困る事はない」というドライな観点での事だったが。

そしてその悪党っぽさを見込んだBB(GO?)によってセラフィックスの真実を知ったことで本来の抑止の守護者としての仕事に戻り、生き残りの人間を全員抹殺した。






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最終更新:2024年03月21日 20:57

*1 クラス相性が変更になっている他、とあるサーヴァントの絆礼装も効果を発揮する。